忌むべき行為
航行開始から一時間後。何の進展の無いまま進み続けるドラグーン隊。
偵察機のエネルギーが不足したため、艦停止。偵察機を帰還させ、エネルギー充填も兼ねて休憩する隊員たち。
「「暇ぁぁぁ」」
「充填まだかぁぁ」
「お前も双子同様、根性ないな」
「生粋の兵士であるイーグルに言われたくない」
テーブル付近でだらけるラキとジェミニ。ブレードは外を眺め、エスタとレックスは端末を操作中。
「ふぅ・・・ドクターさっきから何を見ているのだ?」
「え?・・・いや別に・・・充填がまだだし、どうしようかなと思って。・・・そうだ!予備の偵察機でも飛ばしておく?」
「何故だ?」
「この先の通り道ぐらい確認した方がいいでしょ?未知の地帯なら、なおさらやっておくべきだよ」
「そうだな・・・」
「レックス。4番機を南へ射出」
「了解。偵察機カタパルトオープン。Dフライ4号機 発進」
「君たち暇でしょ。映像でも見たら?」
ドクターがそう言うとテーブルの上で垂直に映像が映る。偵察機から見える地上の映像だ。
「おお、床に座って見れる」
「・・・だらしない」
「うっさいぃ!」
イーグルたちは端末でラキたちはテーブルの映像を見始める。
「「砂」」
「面白くない」
二人と一人が愚痴っていると画面に黒い小さな複数の影が現れた。見ていた全員が注目しだす。
「生命反応7つ確認」
「拡大して旋回をとれ」
イーグルの指示で映像が大きく映し出される。
そこには女性らしき2人と男性5人がいた。男たちは彼女らを取り囲もうと迫っている。一方、女性は彼らに刃を向けている。
「なにこれ?映画の撮影?」
「・・・こんな時代にしかも戦場近くでやっている訳がなかろう」
「ねえねえ、野郎の方は中世に出てきそうな騎士の格好をしているよ」
「なんかファンタジーゲームで出てきそうなナイトの格好・・・」
「これはゲームじゃない。ジェミニ。偵察機からの現実の映像だ」
「・・・・・・」
「ドクター?」
一人考え込むドクター。そうしている間にも映像の男たちは長い鉄製の剣を取り出す。
「おお、本物?」
「ロングソード攻撃力40」
「ジェミニ、なんだその設定・・・」
剣で彼女らに斬りかかる男たち。しかし、彼女らも同じような武器で対抗している。
「こっちの短髪の女性は禍々しい甲冑のアーマー着てるね。黒騎士みたい」
「こっちの長髪は僕たちみたいに肌黒。ってか耳長!どゆうこと?」
双子がそうこう言っている内に男の一人が何か取り出し、彼女らに向けて放った。
「んん!?あれって・・・」
「・・・ボウガン。ライフルぐらいの大きさだな」
「お!ブレードもなかなか詳しいじゃん」
「・・・お前よりはな」
「なんだと!」
ラキが不満げにしていると彼女らの内、肌黒の女性の右肩に矢が刺さっていた。それを機に女性陣が不利な状況に陥っていた。
全員が静かに見ていた。皆それぞれ、苛立ちが湧き上がっている。
「なんかこの野郎ども苛ついてきた」
「「同じく」」
「腹立たしいな」
「いい雰囲気ではないね」
「私もそう思います」
「・・・・・・」
珍しくレックスも皆と同じく不満を言っている中、ブレードだけ無言だった。
すると突然、彼は早足で司令室を出ようとする。
「待て!ブレード!」
「・・・!!」
彼がドアをくぐり抜ける前に止めるイーグル。しかし、反抗するかのように彼は隊長を睨みつける。
「勝手な行動はするな」
「・・・・・・」
俯く彼の震える握りこぶしを見つめ、ため息をつく隊長。
「ラキと一緒に向かえ」
「・・・!!」
「えぇ!?自分も!?」
「相手は複数だ。その方がいいだろう。負傷した彼女らの救出に向かえ!」
「「了解!!」」
イーグルの威厳とした指示に喜び、司令室をあとにする二人。
「ふぅん。面白くなってきたね」
「異論はないのか?ドクター」
「いや、むしろいい具合だよ。現状をましにするきっかけができるかも・・・」
「きっかけ?」
「ジェミニたちも興味深いこと言ってたしね」
「へ?」「え?」
「ジェミニ。ぼさっとしてないで応急キットを持ってこい」
「「りょ、了解!」」
戦艦クリプト内<格納デッキ>
ラキとブレードはバイクのような乗り物に跨る。
<スカイチェイサー>
小型のジェットエンジンを搭載した高速飛行可能なホバーライダー。補給物資を運ぶのに適し、高度を取っての飛行も可能。
『CAUTION。レフトハッチオープン』
ガコオオオオオオオン!!
二人の前の壁が向こうへとゆっくり倒れ開く。その向こうはあの砂の世界で満ちている。
半分開いた状態でブレードが器用にすり抜ける。
「ええ!?ちょっと!早いって!」
慌てて追いかけるラキ。彼らの目指すは南。突然、右耳につけた小型通信機のインカムからレックスの声が響く。
キィィン、ピピ
『目標は約7キロ先。まだ持ちこたえていますが長くは続かない様子』
「了解!全速で行くよ!」
「・・・遅れるなよ」
「はん!フライングしてそれかよ!」
<砂漠場所不明>
状況は最悪だ。偵察で教会の駐屯地に向かい、気付かれないよう立ち去るはずが尾行されていた。
仕方なく尾行を向かえ討ったが、卑劣にも痺れ薬の矢を撃たれ、私のパートナーが動けなくなる。彼女を庇いながらの戦闘。数では不利な状況。
「へへ、どうした?魔物の嬢ちゃん。さっさとくたばっちまえよ!」
「馬鹿!先にすることがあんだろうが!生け捕りにしろ!」
「いい思いして死ぬか、苦しい思いして死ぬか選びな!」
ふざけるな。これでも騎士としての誇りがある。貴様らに陵辱や情けをされるつもりはない。道連れにしてまでも戦うつもりだ。
奴らが迫る。剣を構え、覚悟を決めた瞬間だった。突然、今までに聞いたことのない小さな耳鳴りが聞こえてきた。それは奴らも同じく、辺りを見回し始める。徐々に音は大きくなり、発生源が私たちの右側から来ていると判断した。
何か来る。それは最初、小さな影にしか見えなかった。しかし、それは音が近づくとともに姿がはっきり見えるようになる。
人だ。何か鉄のような乗り物に跨り、物凄い速さで飛びながらこちらに向かって来た。
先頭を突っ切っているブレードが野郎の一人に向かって速度を落とさず突撃。
「な、なんだ!?きさ・・ぶぅ!!!」
ぶつかると同時にブレーキをかけ、思いきり跳ね飛ばす。跳ばされた奴は動かなくなる。
続いてやってきたラキはブレードの横に止まり、スカイチェイサーから飛び降りる。
「よっと。そらよ!」
地面へ着地とともに右のホルスターから『L.B.H』を抜き、光弾を彼らの足元に向けて乱射した。
「うわっ!なんだこれ!?」
「や、やめろ!」
怯んだ隙にブレードが一人に向かい、顔面に右ストレートを当てる。そして、ラキは銃口を地面から二人の剣に向かって発射。いとも簡単に剣が折れる。
「「な!?」」
驚愕する二人にラキは走り向かう。左の『L.B.H』も抜き、両方のシールドを展開。二人をシールドで殴り飛ばす。
「ぶっ!」
「ぎゃ!」
あまりの出来事に唖然とする彼女たち。
(な、なんだこいつら!?)
最後に残った一人が斬りかかる。ブレードは平然とし、その攻撃を左へと避けた。その瞬間、彼は何か握っている右手から青光の刃が出現。相手の剣を斬り上げる。鉄製の剣は音も無く刃を失った。
「ば、馬鹿な」
「・・・馬鹿はお前だ」
上げた拳を相手の後頭部に叩きつけるとゆっくりと倒れ動かなくなる。
彼の手に握られているのは『RAY EDGE』
ペンのような本体から高出力の青いレーザー刃を照射。最大稼働は30分。
「よし!むかつく奴らは叩きのめした。すっきり!」
「・・・まったくだ」
『二人とも楽しんだところ悪いけど、西から同じような奴らが大群で来るよ』
「え、まじ?」
「・・・新手か!」
二人が西を見ると人影が大勢迫っていた。距離は遠いが、馬に乗っているので短時間で到着するだろう。慌ててスカイチェイサーに乗り、彼女たちに接近する。
二人は警戒しているが、お構いなしに近づく。
「「・・・」」
「え、えーと・・・」
「・・・新手が迫っている。大群だ。死にしたくないなら乗れ」
「「!?」」
「一様、危害とか加えないから、乗った方がいいよ?」
「「・・・わかった」」
一瞬、考え込んだ彼女らは意を決し、二人に同意した。騎士の女性はブレードに。長髪の女性はラキの手を借り、後ろに跨る。
追ってはもうすぐ目の前に迫っていた。
『二人とも。ヘルファイヤを発射したから急いでねぇ』
ドクターのセリフに凍りつく二人。
「でえええ!!!」
「・・・飛ばすぞ!掴まれ!」
「な、何が?」
「味方が援護してきた!」
「どこから!?って、うわっ!」
答える暇も無く、二台は発進。高速で離脱する。一足遅く、到着する大群。
「追ええ!逃がすな!」
「ええい貴様ら何をやって・・・」
「おい!あれなんだ!?」
大群の一人が空から飛んでくる黒い物体に気付く。
「こっちに来るぞ!」
「た、退・・・」
チュドオオオオオオオオオオオオン!!!!
爆発に巻き込まれる大群。直撃はしなかったものの、大半が爆風で吹き飛ばされる。
「あ〜あ、かわいそうに」
「・・・同情はしない」
「・・・それで?」
「はいぃ?」
「どこに連れていくつもりだ?」
黒い鎧の女性はまだ警戒している。長髪の方はしゃべれる余裕はないようだ。
「・・・仲間のいる戦艦だ」
「後ろのお嬢さんが負傷しているし、そこで手当してあげるよ」
「・・・そうか・・・すまない」
『お礼は治療してからでね。どんな状態?』
「!?」
通信の声に驚く女性。二人以外の声がしたから無理もない。
「・・・心配するな。仲間と常に連絡しているだけ。奴らに何された?」
「ああ、痺れ薬にやられている。なんとかなるか?」
「もちろん!」
『準備しておくね』
話している内に戦艦が見えてきた。女性の方は驚きを隠せない。格納デッキに入るため右に旋回。戦艦の全貌が確認できる。
大型戦艦<クリプト>
四足のような部分は大型ホバーエンジンで、地上と海上を移動できる。前方の短い鎌首を持ち上げた頭部は司令室となっている。上部は甲板デッキで砲台も搭載されている。
(これは船か?でかい・・・)
『負傷者を司令室まで連れてきて。手当と同時にお話しもあるから』
「了解ぃ」
ハッチが開き二台が入り込む。
偵察機のエネルギーが不足したため、艦停止。偵察機を帰還させ、エネルギー充填も兼ねて休憩する隊員たち。
「「暇ぁぁぁ」」
「充填まだかぁぁ」
「お前も双子同様、根性ないな」
「生粋の兵士であるイーグルに言われたくない」
テーブル付近でだらけるラキとジェミニ。ブレードは外を眺め、エスタとレックスは端末を操作中。
「ふぅ・・・ドクターさっきから何を見ているのだ?」
「え?・・・いや別に・・・充填がまだだし、どうしようかなと思って。・・・そうだ!予備の偵察機でも飛ばしておく?」
「何故だ?」
「この先の通り道ぐらい確認した方がいいでしょ?未知の地帯なら、なおさらやっておくべきだよ」
「そうだな・・・」
「レックス。4番機を南へ射出」
「了解。偵察機カタパルトオープン。Dフライ4号機 発進」
「君たち暇でしょ。映像でも見たら?」
ドクターがそう言うとテーブルの上で垂直に映像が映る。偵察機から見える地上の映像だ。
「おお、床に座って見れる」
「・・・だらしない」
「うっさいぃ!」
イーグルたちは端末でラキたちはテーブルの映像を見始める。
「「砂」」
「面白くない」
二人と一人が愚痴っていると画面に黒い小さな複数の影が現れた。見ていた全員が注目しだす。
「生命反応7つ確認」
「拡大して旋回をとれ」
イーグルの指示で映像が大きく映し出される。
そこには女性らしき2人と男性5人がいた。男たちは彼女らを取り囲もうと迫っている。一方、女性は彼らに刃を向けている。
「なにこれ?映画の撮影?」
「・・・こんな時代にしかも戦場近くでやっている訳がなかろう」
「ねえねえ、野郎の方は中世に出てきそうな騎士の格好をしているよ」
「なんかファンタジーゲームで出てきそうなナイトの格好・・・」
「これはゲームじゃない。ジェミニ。偵察機からの現実の映像だ」
「・・・・・・」
「ドクター?」
一人考え込むドクター。そうしている間にも映像の男たちは長い鉄製の剣を取り出す。
「おお、本物?」
「ロングソード攻撃力40」
「ジェミニ、なんだその設定・・・」
剣で彼女らに斬りかかる男たち。しかし、彼女らも同じような武器で対抗している。
「こっちの短髪の女性は禍々しい甲冑のアーマー着てるね。黒騎士みたい」
「こっちの長髪は僕たちみたいに肌黒。ってか耳長!どゆうこと?」
双子がそうこう言っている内に男の一人が何か取り出し、彼女らに向けて放った。
「んん!?あれって・・・」
「・・・ボウガン。ライフルぐらいの大きさだな」
「お!ブレードもなかなか詳しいじゃん」
「・・・お前よりはな」
「なんだと!」
ラキが不満げにしていると彼女らの内、肌黒の女性の右肩に矢が刺さっていた。それを機に女性陣が不利な状況に陥っていた。
全員が静かに見ていた。皆それぞれ、苛立ちが湧き上がっている。
「なんかこの野郎ども苛ついてきた」
「「同じく」」
「腹立たしいな」
「いい雰囲気ではないね」
「私もそう思います」
「・・・・・・」
珍しくレックスも皆と同じく不満を言っている中、ブレードだけ無言だった。
すると突然、彼は早足で司令室を出ようとする。
「待て!ブレード!」
「・・・!!」
彼がドアをくぐり抜ける前に止めるイーグル。しかし、反抗するかのように彼は隊長を睨みつける。
「勝手な行動はするな」
「・・・・・・」
俯く彼の震える握りこぶしを見つめ、ため息をつく隊長。
「ラキと一緒に向かえ」
「・・・!!」
「えぇ!?自分も!?」
「相手は複数だ。その方がいいだろう。負傷した彼女らの救出に向かえ!」
「「了解!!」」
イーグルの威厳とした指示に喜び、司令室をあとにする二人。
「ふぅん。面白くなってきたね」
「異論はないのか?ドクター」
「いや、むしろいい具合だよ。現状をましにするきっかけができるかも・・・」
「きっかけ?」
「ジェミニたちも興味深いこと言ってたしね」
「へ?」「え?」
「ジェミニ。ぼさっとしてないで応急キットを持ってこい」
「「りょ、了解!」」
戦艦クリプト内<格納デッキ>
ラキとブレードはバイクのような乗り物に跨る。
<スカイチェイサー>
小型のジェットエンジンを搭載した高速飛行可能なホバーライダー。補給物資を運ぶのに適し、高度を取っての飛行も可能。
『CAUTION。レフトハッチオープン』
ガコオオオオオオオン!!
二人の前の壁が向こうへとゆっくり倒れ開く。その向こうはあの砂の世界で満ちている。
半分開いた状態でブレードが器用にすり抜ける。
「ええ!?ちょっと!早いって!」
慌てて追いかけるラキ。彼らの目指すは南。突然、右耳につけた小型通信機のインカムからレックスの声が響く。
キィィン、ピピ
『目標は約7キロ先。まだ持ちこたえていますが長くは続かない様子』
「了解!全速で行くよ!」
「・・・遅れるなよ」
「はん!フライングしてそれかよ!」
<砂漠場所不明>
状況は最悪だ。偵察で教会の駐屯地に向かい、気付かれないよう立ち去るはずが尾行されていた。
仕方なく尾行を向かえ討ったが、卑劣にも痺れ薬の矢を撃たれ、私のパートナーが動けなくなる。彼女を庇いながらの戦闘。数では不利な状況。
「へへ、どうした?魔物の嬢ちゃん。さっさとくたばっちまえよ!」
「馬鹿!先にすることがあんだろうが!生け捕りにしろ!」
「いい思いして死ぬか、苦しい思いして死ぬか選びな!」
ふざけるな。これでも騎士としての誇りがある。貴様らに陵辱や情けをされるつもりはない。道連れにしてまでも戦うつもりだ。
奴らが迫る。剣を構え、覚悟を決めた瞬間だった。突然、今までに聞いたことのない小さな耳鳴りが聞こえてきた。それは奴らも同じく、辺りを見回し始める。徐々に音は大きくなり、発生源が私たちの右側から来ていると判断した。
何か来る。それは最初、小さな影にしか見えなかった。しかし、それは音が近づくとともに姿がはっきり見えるようになる。
人だ。何か鉄のような乗り物に跨り、物凄い速さで飛びながらこちらに向かって来た。
先頭を突っ切っているブレードが野郎の一人に向かって速度を落とさず突撃。
「な、なんだ!?きさ・・ぶぅ!!!」
ぶつかると同時にブレーキをかけ、思いきり跳ね飛ばす。跳ばされた奴は動かなくなる。
続いてやってきたラキはブレードの横に止まり、スカイチェイサーから飛び降りる。
「よっと。そらよ!」
地面へ着地とともに右のホルスターから『L.B.H』を抜き、光弾を彼らの足元に向けて乱射した。
「うわっ!なんだこれ!?」
「や、やめろ!」
怯んだ隙にブレードが一人に向かい、顔面に右ストレートを当てる。そして、ラキは銃口を地面から二人の剣に向かって発射。いとも簡単に剣が折れる。
「「な!?」」
驚愕する二人にラキは走り向かう。左の『L.B.H』も抜き、両方のシールドを展開。二人をシールドで殴り飛ばす。
「ぶっ!」
「ぎゃ!」
あまりの出来事に唖然とする彼女たち。
(な、なんだこいつら!?)
最後に残った一人が斬りかかる。ブレードは平然とし、その攻撃を左へと避けた。その瞬間、彼は何か握っている右手から青光の刃が出現。相手の剣を斬り上げる。鉄製の剣は音も無く刃を失った。
「ば、馬鹿な」
「・・・馬鹿はお前だ」
上げた拳を相手の後頭部に叩きつけるとゆっくりと倒れ動かなくなる。
彼の手に握られているのは『RAY EDGE』
ペンのような本体から高出力の青いレーザー刃を照射。最大稼働は30分。
「よし!むかつく奴らは叩きのめした。すっきり!」
「・・・まったくだ」
『二人とも楽しんだところ悪いけど、西から同じような奴らが大群で来るよ』
「え、まじ?」
「・・・新手か!」
二人が西を見ると人影が大勢迫っていた。距離は遠いが、馬に乗っているので短時間で到着するだろう。慌ててスカイチェイサーに乗り、彼女たちに接近する。
二人は警戒しているが、お構いなしに近づく。
「「・・・」」
「え、えーと・・・」
「・・・新手が迫っている。大群だ。死にしたくないなら乗れ」
「「!?」」
「一様、危害とか加えないから、乗った方がいいよ?」
「「・・・わかった」」
一瞬、考え込んだ彼女らは意を決し、二人に同意した。騎士の女性はブレードに。長髪の女性はラキの手を借り、後ろに跨る。
追ってはもうすぐ目の前に迫っていた。
『二人とも。ヘルファイヤを発射したから急いでねぇ』
ドクターのセリフに凍りつく二人。
「でえええ!!!」
「・・・飛ばすぞ!掴まれ!」
「な、何が?」
「味方が援護してきた!」
「どこから!?って、うわっ!」
答える暇も無く、二台は発進。高速で離脱する。一足遅く、到着する大群。
「追ええ!逃がすな!」
「ええい貴様ら何をやって・・・」
「おい!あれなんだ!?」
大群の一人が空から飛んでくる黒い物体に気付く。
「こっちに来るぞ!」
「た、退・・・」
チュドオオオオオオオオオオオオン!!!!
爆発に巻き込まれる大群。直撃はしなかったものの、大半が爆風で吹き飛ばされる。
「あ〜あ、かわいそうに」
「・・・同情はしない」
「・・・それで?」
「はいぃ?」
「どこに連れていくつもりだ?」
黒い鎧の女性はまだ警戒している。長髪の方はしゃべれる余裕はないようだ。
「・・・仲間のいる戦艦だ」
「後ろのお嬢さんが負傷しているし、そこで手当してあげるよ」
「・・・そうか・・・すまない」
『お礼は治療してからでね。どんな状態?』
「!?」
通信の声に驚く女性。二人以外の声がしたから無理もない。
「・・・心配するな。仲間と常に連絡しているだけ。奴らに何された?」
「ああ、痺れ薬にやられている。なんとかなるか?」
「もちろん!」
『準備しておくね』
話している内に戦艦が見えてきた。女性の方は驚きを隠せない。格納デッキに入るため右に旋回。戦艦の全貌が確認できる。
大型戦艦<クリプト>
四足のような部分は大型ホバーエンジンで、地上と海上を移動できる。前方の短い鎌首を持ち上げた頭部は司令室となっている。上部は甲板デッキで砲台も搭載されている。
(これは船か?でかい・・・)
『負傷者を司令室まで連れてきて。手当と同時にお話しもあるから』
「了解ぃ」
ハッチが開き二台が入り込む。
11/06/05 01:14更新 / 『エックス』
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