No.14 恋心
日が落ち始め、シャインローズの町に夕闇が訪れる。
屋敷内ではランプが灯されていき、メイド達は夜を迎える準備をしていた。
屋敷のある一室。
そこにある大きなベッドに一人の青年が仰向けで眠っている。
衣類は下半身の濃い青色のトランクスのみ。それ以外は身体の至る所に包帯が巻かれていた。顔の左頬にも白い小さなガーゼが貼られている。
ベッドの左横では、椅子に座りながらうつ伏せで寝るレンジェの姿があった。時節、腰の白い羽をピクピクと動かしている。
コンッ、コンッ
「失礼します」
「・・・・・・ん・・・」
凛とした声に眠っていたレンジェが目を覚ます。彼女は目を擦り、ドアの方向へ目を向けた。
「領主様・・・」
「・・・ヴィーラ」
部屋に入って来たのは秘書である吸血鬼。彼女は左手で伊達メガネを整え、レンジェの傍までやって来る。
「・・・まだ、お目覚めにならないのですか?」
「・・・ええ・・・あれから四日も経ちました・・・」
“陰なる存在”によって、スリップス領は崩壊。町を含め、居城から半径数キロ先まで植物すら枯れ果ててしまい、誰も住めぬ土地へと変貌した。
その町のほぼ全ての住人が操られ、その命を糧にされた者は衰弱し、非常に危険な状態だった。夢乃達が連れてきた援軍により、住人達はすぐにシャインローズへと運ばれた。
「教会の動きは?」
「沈黙したままです・・・というより、こちらと関わりたくない姿勢を見せています。恐らくレスカティエの件で警戒しているのではと・・・」
「そうですか・・・・・・」
住人達が治療している間、ヴィーラはスリップス領から一番近い反魔物領にある教会へ連絡を取った。事態の報告と救助した住人の移送を要請したが、教会は被害にあった住人を受け入れないと拒否したのだ。
「こちらで受け入れるしか出来ないようです。現在、別の親魔物領の町や魔界と連絡を取り、移住する準備を進めておりますが・・・」
「・・・住人の意志は?」
「複雑な心境に立たされているため、少々時間が掛かります」
被害を受けた住人のほとんどが、隣人や身内を襲い、魔に犯されたと衝撃を受けて、発狂寸前の者まで出てしまう。そんな中、深刻なものが二つほどあった。
「領主様、これが例のリストです」
「・・・こんなにも・・・・・・」
「我々の出来る範囲で最善を尽くしましたが・・・間に合いませんでした」
「埋葬は?」
「ほとんどが親族を持つ者だったので、ある程度は兵士達に手伝わせました」
生命を吸収された者の中には、根こそぎ奪われ、衰弱死した者もいたのだ。薬や魔法による治療を行ったが、それでも救えなかった者たちがいた。
レンジェは手渡された洋紙に目を向ける。そこには救助した住人の内、死亡してしまった十数人の名前が書かれていた。ほとんどが60歳以上の高齢の者ばかりである。
「あと・・・魔物化した者ですが・・・」
「どれくらい居ますか?」
「こちらになります」
ヴィーラはさらにもう一枚の洋紙を手渡した。それは衰弱死させないために魔力を与えた者たちのリストである。ほとんどが、若い年齢の者ばかりで、こちらは先程のリストよりさらに数が多かった。
「インキュバス化と種類は様々ですが、魔物化も多数・・・」
「それでも救えたのですね」
「ええ・・・何名かは伴侶になると申し出ました。また、魔界や親魔物領へ行く意志も強いです」
「彼らの望み通りにしてあげてください」
「御意」
秘書は一礼して部屋から立ち去った。残されたレンジェはベッドで眠るシンヤを見つめる。未だ意識のない彼に悲しげな表情を浮かべてしまう。
(息はしている・・・でも・・・あれから目覚める様子が無い・・・)
魔女による診断の結果、傷以外に身体の支障は無いと言われた。あらゆる治癒魔法も試みたが、どれもいい効果が得られず、青年が目を覚ます兆候は見られなかった。
(・・・・・・)
途方に暮れるレンジェ。彼女は右手で彼の額を軽く撫でる。
(・・・精神が回復しきれていないのでしょうか?)
彼女はそこであることを思い出した。
(・・・・・・魂は戻せた?・・・・・・なら・・・呼び覚ますことは?)
そう思った彼女は触れている右手を青年の胸に当てた。
「・・・」
彼の魂は肉体の中に入ったままである。触っても感じられるそれに、レンジェは右手で狙いを定めた。
「すぅぅぅぅ・・・ふぅぅ・・・」
一呼吸して自身の右腕に魔力を籠める。腕が桃色に輝き、彼女は目を瞑って集中し始める。
「・・・」
キィィィィィィィィ・・・
瞑ったはずの目に真っ白な視界が広がった。次の瞬間、彼女は信じがたいものを目にする。
「これは・・・」
真っ白な世界から鮮明な視界が見えてきた。そこは見たことの無い森林地帯のような場所。すると、まるで自身を確認するかのように、少年の身体が映る。動物の毛皮で作ったような茶色の服を纏い、華奢な体つきである。
『これは・・・まさか、あの少年を?』
「!」
初めて聞く声の主だが、彼女はその口調が彼と似ていることに気付いた。
「シンヤさん!?」
『なんてことを・・・吾(われ)は・・・あの少年を・・・』
「・・・聞こえていない?」
『無意識とはいえ・・・無垢な少年の身体を奪ってしまった・・・』
「・・・奪った・・・まさか、あの時話してくれた・・・」
レンジェはその光景が“陽なる存在”の体験した過去であると確信する。
『やってしまった以上、悔やんでも仕方あるまい・・・少年には申し訳ないが、この身体・・・吾が使わせて貰おう・・・』
「初めて自身を自覚したときなのですね・・・・・・えっ?」
またも視界が真っ白になり、別の光景が目に映った。今度は先程の場所と似ていて、焚き火の近くで座っているようだ。服装も身体もさっきと同じ姿だった。しばらくして、草むらの方から何かが飛び出して来る。
『!?』
「ひっ!?」
彼は慌てて飛び退いたらしく、避けた直後に襲撃者へ目を向けた。それは赤黒い肌を持つ角の生えた巨漢。魔物でいうアカオニと似ているが、こちらは男のようで牙が剥き出し、丸の目が黄色に輝いていた。
『物の怪か?・・・いや、こいつは・・・』
『がああああああああ!!』
再び襲い掛かる怪物に、彼はひらりとかわしながら、相手の足元に結界を展開する。
『こうか?・・・消えろ!!』
キィィィィ・・・バシュウウウウウウウウウウ!!
『があああああああああああああ!!』
青い光によって、怪物は消滅していった。相手の消え去った跡を彼は見つめ続ける。
『何故、こいつを倒す方法を吾は知っていた?』
「無意識で術を行使したのね・・・」
『・・・もしかして・・・吾はこの輩を倒すために?・・・』
「・・・」
『・・・いや、違う・・・こんな輩を倒しても・・・何も満たされぬ・・・』
「満たされない?・・・何故・・・」
『・・・考えても仕方ない・・・行こう』
それから彼女は様々な視界を見ることとなった。
人を襲う化け物を退治する彼。
『ふん・・・雑魚だったか・・・』
『あんた・・・何者だ?』
『・・・・・・吾自身も知らぬ』
彼はそこで初めて奴と遭遇する。
『・・・何者だ?』
『ほぅ・・・変わった力を持っておるな・・・どうだ、我に忠誠を誓わぬか?』
『・・・禍々しい・・・貴様、この国で何をするつもりだ!?』
『この身体の姉である女王巫女はうまそうよ・・・』
『・・・・・・今分かったことがある』
『ぬ?』
『貴様は・・・吾が滅ぼすべき存在だ!!』
彼が化け物と罵られる時もあった。
『ち、近寄るな!』
『化け物め!』
『村人のために出て行ってはくれぬか?』
『・・・ふん・・・もとより、吾は他人との関わりに興味はない』
陰陽術師と出会い、彼らと関わり合う日々を送る。
『お主は変わった存在だな・・・』
『何がだ?』
『これほど陽の力で満ちた魂は初めて見る・・・』
『・・・』
『まるで陽そのものである存在よ・・・』
『・・・・・・好きに呼べ』
肉体が限界を迎え、死を体験する彼。
『・・・また、人としての死か・・・』
『・・・苦痛ではあるが・・・それほど辛くもあるまい・・・』
『・・・次の世・・・に向か・・・うとし、よ・・・・・・』
ある若い陰陽師とともに、物の怪と戦う彼。
『来るぞ、陽の者! 準備はよいな!?』
『いらぬ心配だ、若造』
『ふっ、ならよい!』
『そっちこそ、稲荷の子として、安倍の名を恥じぬようにな』
『母上は別格よ・・・我々では手が届かぬ』
『だろうな・・・』
妖狐に乗り移った奴と対峙し、彼女に思いを寄せていた青年の覚悟を見届ける彼。
『小僧! 行けえええ!!』
『ぐっ! こやつ・・・まだ、意志が・・・・・・きて・・・』
『わあああああああああ!!』
『ぐぅぅぅ!?・・・・・・ありがとう・・・』
『あとは小僧・・・お前が決めろ・・・』
『陽なる者・・・感謝します・・・』
多数の物の怪と出会い、彼らの生き方を間近で見る彼。
『人並みの生活をするのだな・・・』
『そりゃあ、俺たち鬼も酒がありゃあ、暴れたりしないぜ!』
『おらも噂で聞いたが・・・何故か蜘蛛の化身どもも大人しくなっているらしい・・・』
『吾も耳にした。特に女郎蜘蛛などが稲荷のように人里へ隠れ住んでいると聞く』
『何でもすげえ別嬪さんだと聞いてるぜ!』
『何の前触れかは知らんが、それほど気にすることでもないだろう・・・』
再度、奴と出会い、その息の根を止める彼。
『ふっ・・・よもやお前が絡んでいようとはな・・・』
『何故、貴様が存在する?』
『そなたも気付いておろう・・・我と似た存在・・・いや、我と対を為す者よ・・・』
『なんだと?』
『この焼け落ちる寺とともに、我もそなたも朽ちようぞ』
『くっ・・・』
転生した先で移り変わって行く時代を眺める彼。
『人の世とは・・・血生臭いな』
『だからこそ、我らが存在できる・・・』
『・・・・・・滅ぼされる覚悟は出来たのか?』
『今度は我が引導を渡してやろう』
『・・・・・・笑止!!』
さらに転生した先で、彼を知る者と出会う。
『言い伝えは本当だったようだな・・・陽なる存在・・・』
『誰だ?』
『安倍と言えば分かるか?』
『・・・よく血の存続が出来たな』
『簡潔に言おう・・・妖が復活した』
『奴か・・・』
『手を貸してほしい・・・』
『・・・・・・いいだろう』
そして・・・今の時代へと転生した彼が出会った人。
それはある無機物で出来た建物の屋上に居た。
落ちないための鉄柵を乗り越え、遥か下の地面へ飛び込もうとする黒い服を着た青年。
彼はその青年に問い掛ける。
『お前に問いたい』
『誰です?』
『お前は死を望むのか?』
『はい・・・僕みたいな人は必要がない・・・』
『ならば・・・その身体を吾にくれぬか?』
『身体を?』
『目的を果たしたい・・・人に仇なす輩を滅ぼすために・・・』
『人に仇なす・・・輩?』
『妖と言われる化け物がいる・・・放っておけば、何人も犠牲が出る』
『そんなものが・・・』
『奴の気を感じる・・・恐らく近くに居るのだろう・・・』
『・・・』
『再度聞こう、お前の捨てようとしている人生、ある輩を滅ぼすために使わせてくれないか?』
青年は間を置いてから彼に答えた。
『はい』
『お前という意志は完全に吾へ吸収される・・・それでもいいのだな?』
『この身体がまだ役立つなら、喜んで差し上げます』
『青年・・・名を聞こう』
『・・・・・・“玉川 シンヤ”です』
「シンヤさん!?」
「はっ!?」
ふと目を開けたレンジェは、辺りを見回した。そこはさっきと変わらぬ元の部屋。キョロキョロする彼女にある者が呼び掛けてくる。
「何を探している?」
「えっ?」
呼び掛けてきたのは、ベッドで眠っていたはずのシンヤだった。彼は首だけを傾けて、レンジェの方を見ている。
「シン・・・ヤさん?」
「ん?」
「シンヤさん!!」
「!?」
思わず彼女はベッドに乗り上がり、目を覚ました青年に抱き付いた。
「レンジェ?」
「よかった・・・シンヤさん・・・ぐすっ・・・」
彼は胸元で泣きつく彼女の頭を包帯だらけの右手で優しく撫でる。
「心配かけたな・・・」
「魂に何かあったのではと思いまして・・・」
「思った以上に負担が激しかったのでな。気を失っただけだ」
「よかったです・・・」
「・・・代償も軽くて済んだからな・・・問題はあるまい」
「!」
彼の言ったことに反応して、レンジェはあることを思い出す。
『転生するための術式が刻まれ・・・』
「シンヤさん・・・まさか・・・」
「・・・・・・ようやく、人として消滅する機会ができた・・・」
「っ!?」
「もう・・・転生し、次の時代へ行くことはない。死を迎えたら生まれ変わるだろう」
「・・・」
「君のおかげでようやく目的を果たせた・・・レンジェ、あり・・・」
「嫌です!」
突然、彼女が叫んだことで、青年は言葉を失う。彼の胸に当てているレンジェの手が震え、顔を俯かせていた。
「私は・・・あなたに色々と助けられました。死を覚悟したことが何度あったか・・・」
「・・・」
「それでもあなたは・・・私を助けてくれた。私だけじゃありません。私の友人や、教会の人たちも・・・全部・・・」
「・・・」
「あなたが居なければ・・・この世界が危機に晒されていました」
顔を上げたレンジェの顔は涙でいっぱいだった。
「命を懸けて戦ってくれたのに・・・お礼できずに消えるなんて・・・しないでください」
「レンジェ・・・」
「“シンヤさん”のように自殺するようなことをしないでください」
「・・・見たのか?」
彼はその名が自身へ向けられていないことに気付く。
「はい・・・あなたが目覚めるのではないかと思い・・・」
「そうか・・・この身体の記憶を見たのか・・・」
「・・・・・・全部です」
「なに?」
「あなたが初めて肉体を得てからシンヤさんの肉体を得るまで・・・」
「そこまで見られたか・・・まぁ、記憶の塊でもあるからな・・・」
青年は気まずそうに目を瞑った。
「だが・・・・・・俺はもう転生を望まない。人としての生涯を迎えるのは確かだ・・・」
「・・・」
「レンジェ・・・その道だけはどう足掻いても変えられない」
「・・・ます・・・」
「レンジェ?」
「私なら・・・それを変えられます」
レンジェの意外な言葉に、青年は彼女の目を見つめる。
「どういうことだ?」
「・・・インキュバスを覚えていますか?」
「マニウスの言っていた魔になった人間か?」
「見た目は変わりませんが、魔物娘と相応する身体になります・・・」
「・・・・・・まさか!?」
彼女の言いたいことに気付いた青年は目を丸くした。やがて、彼女からその通りに告げられる。
「超人的な身体能力や魔力だけでなく、不老なる寿命も得られます」
「そういうことか・・・・・・しかし、レン・・・」
「私は! あなたに死んでほしくない・・・私は、私は・・・」
「・・・」
「あなたのことが好きだから・・・ずっと一緒に居てほしいです!」
レンジェの力強く言い放った告白。その後、お互いに時間が長く感じられた。しばらくして、先に口を開いたのは青年の方だった。
「・・・やれやれ、やっと安らかに眠れると思ったら・・・とんでもない術に縛られたものだ」
「えっ? 術?」
「そう・・・恋という術にな・・・」
「えっ・・・あっ、その・・・」
彼は戸惑う彼女を左手だけで抱き寄せる。
「魔物の姫君から求婚・・・よもや自身が愛されるなんて、考えたことがなかった・・・」
「先にそちらから求愛されましたよ?」
「俺から?」
「私の初めての口付け・・・あの時に奪われましたから♪」
「・・・・・・故意ではなかったのだが・・・言われてみればそうだな・・・」
納得する彼に、レンジェはさらに力強く抱き締めた。
「レンジェ?」
「私は・・・あなた方に恋をしました」
「あなた方?」
「陽なる存在である“あなた”と・・・シンヤである“あなた”です」
「!」
「少し欲張りですけど、両方のあなたが好きです・・・」
「レンジェ・・・」
再び互いに見つめ合う中、彼の目に涙が零れた。しかし、それは彼の意志とは関係なしに涙を流している。
「シンヤさん?」
「これは・・・・・・そうか、そういうことか・・・」
「えっ・・・」
「お前にも伝わったのだな。意志はもう無いと思っていたのだが・・・“シンヤ”よ・・・」
「!」
「彼にも君の思いが届いたのだろう・・・」
「シンヤさん・・・」
「こんな“俺達”で良ければ、受け止めよう・・・君の愛を・・・」
涙を流す二人はゆっくりと顔を近付けて、優しいキスをした。
「はむ・・・んぅ・・・ちゅ・・・ぷはっ・・・んん・・・」
青年へ覆い被さるように抱き付き、二人は互いの唇を貪るように舐め合う。それと同時にレンジェは、自身の股を青年の股へリズミカルに擦っていた。
「んんぅ!・・・」
「ぷはっ・・・はぁ、はぁ・・・」
「はぁ、はぁ・・・見ても、いいですか?」
「ああ・・・」
彼から了承を得て、レンジェは青年の唯一身に着けているトランクスをゆっくりと脱がす。そこから顔を出したのは、彼自身も余り見なかったもの。シンヤの男性器。意外に大きく立派なそれはギンギンとそそり立っていた。
「大きいですね・・・」
「俺自身も風呂に入るぐらいしか見なかったからな・・・」
「えっ、そうなのですか?」
「古からずっと戦うか、生き延びる術をするか・・・それぐらいしか行動しなかったからな・・・無論、性に関してもシンヤの知識から学んだ。それ以外の昔の知識には余り無い」
その告白に少々顔を赤らめるレンジェ。彼女からしてみれば、この身体の方が性知識に恵まれていると彼は言っているのだ。恥じらうのも無理はない。
「どうした?」
「い、いえ! なんでもありません・・・では・・・・・・レロ・・・」
「んっ・・・」
レンジェは戸惑うことなく、シンヤの性器を舐め始めた。根元から丁寧に舐めていき、裏筋をカリ裏までなぞる。
「はぷちゅ・・・ん・・・」
彼女は先端のカリの部分を包み込むように咥えた。口の中で舌だけを動かし、亀頭の先端へ刺激を与える。
「んん・・・んふぅ・・・んちゅ・・・」
「・・・ぅ・・・く・・・」
次第に肉棒を咥えこむ口を上下に動かし、さらに彼女は左手で自身の股を擦り始める。その口淫により、彼も刺激に反応するような声を洩らした。互いの興奮度が高まり、二人の体温と心拍数も上がる。
「んんぅ・・・・・・ん・・・ぷはぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
心地よく火照ったレンジェは黒衣と下着を脱いでいく。それらを右手でベッドの傍らに置き、シンヤの上で四つん這いになった。白雪と言われるのも納得がいく白い肌は、彼女の優美さを物語っている。それを見て青年は思わず呟いた。
「綺麗だ・・・」
「ふふ♪・・・殿方で私の裸を見せたのはあなたが初めてです」
彼女は左手でシンヤのものを支え、まだ誰にも捧げていない女の証へと導く。彼女のそこはすでに弄ったせいか、愛液で潤っていた。先端が彼女の秘裂と接触し、その中へと少しずつ入っていく。
「んぅぅぅ・・・ん! くぅぅ・・・ああっ!」
何かが破けるような音が一瞬響いた。それは彼女の純潔が破かれた瞬間だった。その証拠に彼女の股から赤い鮮血垂れている。
「レンジェ・・・」
「ご、ご心配なく・・・こう見えても我慢強いですよ・・・」
「・・・・・・すまない・・・」
「えっ?」
「必死で君を傷付けまいと守って来たのに・・・俺自身が君を傷付けてしまった」
唐突な謝罪とその理由に、彼女はのぼせたかのように顔が赤くなった。
「私のために・・・そこまで大切に思ってくれたのですね」
「君は多くの者に慕われている。彼女らを悲しませたくない」
「でしたら・・・シンヤさん・・・」
「なんだ?」
「私も・・・悲しませないでください・・・・・・」
ゆっくりと腰を動かし始めるレンジェ。まだ自由に動けないシンヤを気遣って、魔物の本能である性欲を抑えながら動いていく。垂れていた鮮血は溢れ出す愛液によって流し落とされていた。
「ん・・・あっ、あぁ・・・うっ・・・はぁ・・・」
四つん這いの状態で腰を動かし、滑らかな抽送を繰り返す。その動きに合わせて、白く丸みのある美乳も上下に揺れた。
「はっ・・・はっ・・・はっ・・・あぁ、あっ、あ・・・」
徐々に動きが速くなり、彼女は上半身を上げる。騎乗位の体勢で性交し、レンジェの息遣いが荒くなってきた。
「はぁ! はぁ! あっ! あぁ!」
「くっ、うっ、つぅ・・・」
(無理もない・・・見た目も成熟した淫魔だ・・・)
少し苦痛の声を洩らしたシンヤだが、堪えながら彼女に話し掛ける。
「レン、ジェ・・・」
「はぁ、はい! うん! ん!」
「好きに、動いてくれ・・・」
「!」
「我慢、するな・・・君の、思うがままに・・・」
「シンヤさん!」
彼のその言葉で、彼女は腰の動きを速め、普段とは違う艶姿を見せた。まるで目の前の大好物に目を光らせるかのような眼差し。彼のものを飲み込むだけでは飽き足らず、白い双丘の胸を彼の胸に押し付ける。腰の動きによって、胸の乳首も擦れていく。
「ふっ! あっ! あっ! あっ!」
「・・・!・・・くっ・・・」
「あぁ! もう・・・いきそう! あっ! あっ!」
「レンジェ・・・うぅ!」
もうすぐ訪れる最高の瞬間に、シンヤは身構え、レンジェは心待ちにしていた。
「ああぁ!!」
「っ!?」
それが先に訪れたのはシンヤだった。彼は彼女の胎内に突き刺さる己自身から精を放つ。レンジェも放出された精を感じ取りながら達した。
「あはぁぁぁぁぁ♪・・・」
「うぅぅ・・・」
ドクドクと脈打つ感覚に酔いしれるレンジェ。彼の力が宿る精は、すぐさまリリムの魔力へと変換されていき、彼女の身体がピンク色に輝いた。数秒も経たない内にそれが治まると、レンジェは力尽きるように彼の身体へ覆い被さる。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
「ふぅ、ふぅ・・・」
「はぁ・・・・・・シンヤさん・・・」
「ん?」
「続けても・・・いいですか?」
「・・・・・・無理はするなと言ったはずだ・・・君が満足するまで・・・」
「はい♪」
同時刻、別の屋敷内の個室。
こちらにも大きなベッドがあり、そこで寝ていたリリエルが上半身だけを起こしていた。彼女の左側にはレグアとメイヤが土下座して頭を下げている。
「「申し訳ありません!」」
「御二人共・・・」
「我々が・・・いえ、自分が不甲斐ないばっかりに・・・このような最悪の事態を・・・」
「私は・・・操られたとはいえ、御使い様を陥れるような真似を・・・」
「・・・」
「「誠に申し訳ありません!!」」
シャインローズで保護と治療を受けた3人は、今までの経緯と自分達が置かされている状況を理解した。その結果、少年と少女は自分達に非があったと告げて、天使に謝罪をする。
「御二人共、顔を上げてください」
「「・・・はい」」
リリエルの指示で顔を上げた二人。その顔は涙を流し、必死に許しを請う姿であった。そんな彼らに天使は話し続ける。
「私は・・・あなた方を責めたり、恨んだりもしていません・・・全て・・・全て私の責任です」
「そんな・・・」
「リリエル様は・・・」
「私があのような穢れを早めに察知できれば・・・未然に防げたはずです・・・ですから・・・」
話す途中で彼女の目にも涙が零れ落ちた。今の彼女も多数の後悔で苦しんでいたからだ。
スリップス領を浄化させる使命。
それを果たす前に、襲撃者によって穢されてしまった。
その上、自身や大切にしてきた少年、少女、そこに住む民も穢された。
魔物によって、手遅れになる前に救い出されたが、助からなかった命もあった。
天使の少女がその罪悪感で苛まれるのも無理はない。
そして、目の前にも彼女を苦しませる要因がもう一つあった。
「メイヤ・・・」
「は、はい!」
「身体の方は大丈夫ですか?」
「はい! ここの方々に治療してもらいましたので・・・特に問題は・・・」
「本当のことを言って下さい・・・」
「・・・」
彼女の要望に、元気よく見せていた少女が黙り込んでしまう。その数秒後、彼女は観念してあることを話した。
「私は・・・私はもう長くは生きられません・・・」
「なっ!?」
「・・・メイヤ・・・」
「な、なんで!? どうして・・・」
「あの女によって、私の命のほとんどが奪われたそうです。少量は戻ったそうですが・・・大半は・・・戻らなかったそうです」
「そんな・・・」
「やはり・・・」
天使の少女はメイヤの命が弱弱しくなっていることに気付いていた。それは人としての生きられる時間がより短くなっていることを意味している。つい先刻、ここの秘書である吸血鬼に、救助された住人のほとんどがそうなっていることを告げられた。
「メイヤ・・・ごめんなさい・・・あなたには本当に・・・」
「御使い・・・様・・・」
「そんな・・・メイヤ・・・」
「それで・・・・・・あなたは受けないつもりですか?」
「!?」
リリエルの質問に、少女はいち早くその意味を理解する。
「私は・・・私は魔物になるつもりはありません・・・」
「メイヤ!?」
「・・・何故です?」
「私は御使い様を陥れただけでなく・・・好きだった勇者様まで殺そうとしてしまった・・・」
「・・・その罰のつもりで、残り少ない人生で死を迎えるつもりですか?」
「私には・・・勇者様を愛する資格はありません」
「・・・・・・」
彼女の言ったことに俯いてしまう天使。しかし、彼女は思い切ってあること口にした。
「レグア」
「は、はい?」
「私からのお願いです・・・メイヤを愛してください」
「えっ!?」
「御使い様!?」
天使の唐突な頼みごとに少年と少女が驚く。
「あなたが不幸になる理由はありません。罰を受けるのは私一人で十分です」
「で、ですが・・・御使い様・・・」
「リリエル様・・・」
「でないと・・・私はあなた達を許しませんよ?」
「「!?」」
意外な脅迫で二人はさらに驚いた。それは以前の彼女とは思えない発言である。
「し、しかし・・・」
「レグア・・・あなたが私を愛してくれているのは分かっています」
「!」
「ですが・・・目の前の命尽きようしている少女を見放すつもりですか?」
「そ、それは・・・」
「なら、隣人である彼女を愛してあげなさい。勇者であるなら・・・」
「リリエル様・・・」
天使の意外な指示に、彼は左隣にいる少女へ目を向けた。彼女は気恥ずかしそうに視線を逸らす。
「メイヤ・・・そうだったな・・・君にもすまないことをした」
「ゆ、勇者様・・・」
「思えば、いつも君の助けを邪険に扱っていた・・・」
「い、言わないでください・・・」
「君にも謝る必要がある。メイヤ・・・」
「勇者様・・・」
思わずレグアに抱き付くメイヤ。そんな彼女を少年は優しく抱擁した。二人のその光景を見ていたリリエルは、部屋の扉に向かって声を掛ける。
「・・・入って来て下さい」
「「?」」
「かしこまりました」
「「!」」
声が響き、扉から一人の女性が入って来た。その女性は露出度の高い服装をし、頭に黒い角があり、腰の後ろからは黒い羽根で出来た翼と鎖で縛られた尻尾が生えている。彼女は3人に一礼をした。
「失礼します。ヴィーラ様の要請で万魔殿から参りました。ダークプリーストのナンシィです」
「魔物!」
「ダーク、プリースト?」
「・・・お聞きしていたのですか?」
「はい・・・命尽きようとするメイヤ様を救うために・・・堕落神様から預かった魔力をお持ちしました」
彼女はメイヤを庇う少年の元へ近付き、その目の前で跪く。
「ご心配なく・・・本人の意志を尊重するようにと命じられています。無理強いて魔物化させるつもりはありません。決めるのはメイヤ様ご自身で・・・」
「お前!」
「私が・・・決める?」
「メイヤ・・・これはあなたで決めてください・・・」
「御使い様・・・」
天使とナンシィから言われたことに、少女は深く考え込んだ。そして、彼女は決意したのか、真剣な眼差しで闇修道女に答える。
「魔物に・・・してください!」
「メイヤ!?」
「私は・・・まだ、生きていたい・・・勇者様の傍でずっと生きていたいです・・・」
「メイヤ・・・」
「・・・その願い、確かに聞き取りました。では、そちらの殿方も今からする説明をお聞きしてください」
「は? 僕も?」
不意に声を掛けられた少年も彼女から説明を受けた。
「メイヤ様に堕落神様の魔力を与えます。手を当てて送り込むだけですが、それだけでは魔物化しません」
「えっ? では、どうしたら・・・」
「その状態でそちらの殿方から精を受け止めてください」
「へ? 僕の精!?」
「それって・・・」
少女の答えが出る前に、ナンシィは微笑みながら答える。
「簡単です。性交し、胎内に精を取り入れれば、完全に魔物化できます♪」
「「!?」」
「それと下手に我慢なさらないようお願いします。そちらの方も命に関わりますので・・・」
予想通りの答えに少女と少年は顔を赤らめてしまう。それでもメイヤは勇気を振り絞って、闇修道女の前に座った。
「メイヤ様、よろしいのですね?」
「お願いします・・・」
「・・・そちらの殿方も受け止める覚悟は?」
「・・・・・・」
「勇者様・・・」
「・・・僕だけが逃げる訳にはいかない」
「では、始めます」
彼女はそう言って、少女の胸元に右手を当てる。
キィィィィ・・・
「うっ・・・」
ピンク色の光が手元で輝き、それに反応するようにメイヤが声を洩らした。
・・・ィィィィン
「終わりました」
「・・・?」
「あとは殿方と楽しんでください♪」
ナンシィはその場から立ち上がり、部屋からそそくさと出て行く。魔力を受けた少女はぼんやりとした表情で身体のあちこちを触っていた。
「メイヤ、大丈夫かい?」
「ええ、特に何も・・・・・・っ!?」
突然、メイヤは苦しむような体制で胸を抑える。咄嗟に両肩を掴む少年が彼女に呼び掛けた。
「メイヤ!?」
「身体が・・・熱い・・・」
「レグア! 早くメイヤをベッドに!」
「えっ! でも、リリエル様・・・」
「構いません! 急いで!」
リリエルの指示ですぐさまメイヤを抱えて、彼女をベッドに寝かせる。天使は彼らとは反対の方向へ退いた。彼女は少女に寄り添い、その額に右手を置く。
「・・・これが堕落神の力、魔力の浸透が凄まじいです」
「リリエル様・・・」
「レグア、早くメイヤに精を・・・」
「よ、よろしいのですか? 僕とメイヤが・・・その・・・」
「私は彼女の苦しみを知りませんでした。ですから、私には気にせず、彼女を愛してあげて・・・」
「・・・はい」
返事をしたレグアは身に着けていた装備を外し、それらをベッドの下へ置いた。軽い服装になり、その状態でベッドに乗り上がる。少女の足に跨るように、右片膝を付けた蹲踞(そんきょ)で姿勢を保った。
「勇者様・・・はぁ、はぁ・・・」
「メイヤ・・・」
彼女は熱のある呼吸をしながらスカートを捲り上げる。そこはすでに股の部分が湿った下着があり、それを見た少年はギョッとしてしまう。彼の挙動を気にせず、少女はその下着を脱いでいき、足をM字に開脚した。
「・・・ここに・・・勇者様のものを、ください・・・」
「ゴクッ・・・」
レグアは緊張で息を飲んでしまう。彼にとっては初めての体験である。少女から漂う女の匂いで、すでに少年の股のものは膨らんでいた。ぎこちない動きでズボンと下着からそそり立つ陰茎を晒し出す。
「はぁ、はぁ・・・ここです・・・」
少女の導きで少年は自身の先端を彼女の秘穴へと宛がう。そのまま滑り込むように少年の分身が彼女の中へと入っていった。
「ああっ!!」
「くぅ! うああっ!?」
挿入された直後、我慢できずに達した少年が射精してしまう。少女は不意打ちの彼の精を受け、魔力によって変換された快感が最高潮に達した。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ♪」
それをきっかけにメイヤの身体に変化が訪れる。金髪の頭から黒い角が生えてき、耳がエルフのように鋭く尖った。腰の背部から漆黒の翼と鎖で巻かれた悪魔の尻尾が出てくる。それは先程のナンシィと同じ姿“ダークプリースト”そのものだった。服の方は腰以外が破れず、変化などはしていない。
「はぁ、はぁ、勇者様・・・」
「あっ! ご、ごめん!! 入れたら、凄く気持ちよくて・・・」
「だ、大丈夫です・・・私も・・・気持ちよかったですから・・・だから・・・」
「・・・えっ?」
「もっと・・・してください」
紫色の欲情した瞳でそう申し出る少女。すでに彼女の身体の内部も魔物化によって、男性を喜ばすための器官が発達していた。性を初めて知った少年には耐えきれることができず、がむしゃらに腰を動かし始める。
「ふぅ! あっ! あっ! いい! もっと!」
「ふっ! はっ! メイヤ!」
初めて感じ取った快感は二人にとって甘美なものだった。貪るように互いの身体を求め合う。
「あぁ! あぅ! あっ! いっ! くぅ!」
「ふぐぅ!!」
またも少年の射精が始まり、少女は二度目の絶頂に達した。一度目以上の快感に酔いしれてしまう二人はキスを求め合う。そんな彼らを天使は横からずっと眺めていた。
「・・・」
「はぁ、はぁ、はぁ・・・ぁ・・・」
右横からの視線に気付いたメイヤは、そっちの方へ右手を差し伸べる。
「・・・御使い様・・・」
「メイヤ?」
「あなたも・・・勇者様の愛を・・・受け取って下さい・・・」
「え、ええ? でも・・・私は・・・」
「皆平等であるべきなのに・・・御使い様だけ愛されないのは理不尽だと思います・・・」
「それだと・・・またあなたに・・・」
戸惑う天使に少女は手を伸ばし、彼女の手を優しく引き寄せた。
「あっ・・・」
「大丈夫です・・・私も勇者様もあなた様を歓迎します♪」
「メイヤ・・・」
「リリエル様・・・」
「!」
いつの間にか少年は結合を解き、雄々しく立っているものを晒しながら天使に目を向ける。彼はゆっくりと彼女に近付いていった。少し怯えるリリエルは抵抗もせず、少年に押し倒される。
「きゃ!・・・レグア、あなたも・・・」
「僕も、あなたを愛したい・・・僕はずっと前から、あなたが愛しかったです」
「それでいいのですか? もうあなたにはメイヤがいるのに・・・」
「御使い様なら許します♪」
「僕も、リリエル様が欲しいです・・・」
起き上がったメイヤは天使の着る服のスカートを捲り、手慣れた手つきで彼女の白い下着をずり下ろした。無防備になった天使の足を少年がゆっくりと開脚させる。無抵抗のリリエルは両手を握り、少し涙目で身構えていた。
「あ・・・あ・・・」
「力を抜いてください。その方が楽になれます」
「い、いきます・・・」
「レグア・・・あっ・・・あああああ!?」
少年は自身の性器を天使の秘裂へ押し込んだ。勢いをつけて入ったそれは、天使の純潔をいとも簡単に破き貫く。結合の隙間から鮮血が垂れ落ち、ベッドのシーツを赤く染めていった。
「はぁ・・・痛っ・・・くぅ・・・」
「リリエル様!?」
「はぁ、はぁ、大丈夫です・・・・・・けて・・・」
「?」
「・・・続けて・・・我が子よ・・・」
その言葉で少年の理性が失われる。彼は再び貪るように動き始めた。
「ふあっ! あっ! つぅ!」
「はぁ! はぁ! はぁ!」
少々の痛みはあるも、天使の少女は突き抜かれる度に幸福感が高まる。リリエルも内心彼のことを気に掛けていたが、教会内で不埒な関係は許されなかった。何も縛られない今だからこそ、彼女にとって、大切に育ててきた勇者から愛されることが幸せだった。
「レグア! 愛してます! 愛してます!」
「リリエル様!・・・」
天使から送られた愛の言葉に、少年は動きを速めた。神に対する背徳的な行為を二人は無我夢中に味わう。次第に天使の少女は、少年達が経験した絶頂がまもなく自身にも訪れると予感した。
「あぁ! レグア! 来ます! 気持ちいいのが!」
「うぐぅ! うっ! ふぅ! リリエル!」
「んくっ! んんぅぅ! ふあぁぁぁぁ♪」
「うあああああ!!」
少年が最後に突いた直後、天使の胎内に灼熱の精液が注がれた。3度目にも拘らず、その量は凄まじく、若干ではあるが天使のお腹がぷっくりと膨らんでいく。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・・・・あっ、ああああああああああ!?」
その時、余韻に浸っていた天使の少女にも異変が訪れる。純白の翼が漆黒に染まっていき、身に着けていた服も下着のような黒い服へと変わった。健康そうな肌は薄い紫肌へと変わり、天輪も紫色へと変色する。瞳も紫色に輝き、金色だった髪は銀髪と化していた。
それはエンジェルが堕天したときの魔物姿“ダークエンジェル”である。
「ああぁぁぁ♪ 御使い様・・・」
「リリエル様・・・」
「はぁぁぁぁ・・・あはぁぁぁ♪」
天使の少女の変わり様に、メイヤは微笑み、レグアはその禍々しさに見惚れてしまう。堕天したばかりの少女は左手で自身の左脇腹を擦り、ある文字を身体に刻む。それは“快楽のルーン”と言われる快楽を増幅させる魔の刻印だ。
「次は・・・私とメイヤで・・・レグアを気持ちよくさせましょう♪」
「はい、御使い様♪」
「えっ・・・」
一方、レンジェとシンヤが居る個室では・・・。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
「ふぅぅ・・・・・・ふぅ・・・」
部屋の中で息を整える声が二人分響いていた。青年はすでに力尽きたらしく、大きくなったままの怒張がぐったりしている。彼の右側ではレンジェが横向きで相手を見るように倒れていた。
「流石に・・・5回は、辛いな・・・・・・」
「ご、ごめんなさい・・・・・・こんな病み付きそうな快楽は初めてだったので・・・」
「・・・・・・サキュバスの王女だから予想は出来ていた。まぁ、無理はないな」
「はぅぅぅ・・・」
恥ずかしそうに両手で顔を隠すレンジェ。彼女の股から一筋の白い液体が垂れ落ち、こぽりと音を立てる。あれから抜かずに連続で行われた行為で、彼女は恍惚な表情で満足感を得ていた。その代わり、シンヤの回復しきれていない身体に若干の負担が掛かってしまう。
「・・・お母さんも・・・こんな感じで交わっていたのですね・・・」
「俺はされるがままに犯される感じだったがな・・・」
「で、でも・・・・・・いえ、やっぱりなんでもないです・・・」
「・・・」
「あの・・・シンヤさん」
「?」
レンジェはもじもじしながら青年にあること話す。
「私と・・・私と・・・」
「?」
「私と・・・結婚してください・・・」
「・・・」
少し弱弱しい彼女のお願いに、彼は動じない姿勢で相手を見続けていた。しばらくして彼は微笑んで答えた。
「君のそんな可愛らしいところが好きになるな・・・」
「えっ・・・」
「・・・いいだろう・・・この世界で君との生き方・・・見せてくれ・・・」
「・・・・・・シンヤさん・・・」
レンジェは涙を流し、シンヤとキスをする。
屋敷内ではランプが灯されていき、メイド達は夜を迎える準備をしていた。
屋敷のある一室。
そこにある大きなベッドに一人の青年が仰向けで眠っている。
衣類は下半身の濃い青色のトランクスのみ。それ以外は身体の至る所に包帯が巻かれていた。顔の左頬にも白い小さなガーゼが貼られている。
ベッドの左横では、椅子に座りながらうつ伏せで寝るレンジェの姿があった。時節、腰の白い羽をピクピクと動かしている。
コンッ、コンッ
「失礼します」
「・・・・・・ん・・・」
凛とした声に眠っていたレンジェが目を覚ます。彼女は目を擦り、ドアの方向へ目を向けた。
「領主様・・・」
「・・・ヴィーラ」
部屋に入って来たのは秘書である吸血鬼。彼女は左手で伊達メガネを整え、レンジェの傍までやって来る。
「・・・まだ、お目覚めにならないのですか?」
「・・・ええ・・・あれから四日も経ちました・・・」
“陰なる存在”によって、スリップス領は崩壊。町を含め、居城から半径数キロ先まで植物すら枯れ果ててしまい、誰も住めぬ土地へと変貌した。
その町のほぼ全ての住人が操られ、その命を糧にされた者は衰弱し、非常に危険な状態だった。夢乃達が連れてきた援軍により、住人達はすぐにシャインローズへと運ばれた。
「教会の動きは?」
「沈黙したままです・・・というより、こちらと関わりたくない姿勢を見せています。恐らくレスカティエの件で警戒しているのではと・・・」
「そうですか・・・・・・」
住人達が治療している間、ヴィーラはスリップス領から一番近い反魔物領にある教会へ連絡を取った。事態の報告と救助した住人の移送を要請したが、教会は被害にあった住人を受け入れないと拒否したのだ。
「こちらで受け入れるしか出来ないようです。現在、別の親魔物領の町や魔界と連絡を取り、移住する準備を進めておりますが・・・」
「・・・住人の意志は?」
「複雑な心境に立たされているため、少々時間が掛かります」
被害を受けた住人のほとんどが、隣人や身内を襲い、魔に犯されたと衝撃を受けて、発狂寸前の者まで出てしまう。そんな中、深刻なものが二つほどあった。
「領主様、これが例のリストです」
「・・・こんなにも・・・・・・」
「我々の出来る範囲で最善を尽くしましたが・・・間に合いませんでした」
「埋葬は?」
「ほとんどが親族を持つ者だったので、ある程度は兵士達に手伝わせました」
生命を吸収された者の中には、根こそぎ奪われ、衰弱死した者もいたのだ。薬や魔法による治療を行ったが、それでも救えなかった者たちがいた。
レンジェは手渡された洋紙に目を向ける。そこには救助した住人の内、死亡してしまった十数人の名前が書かれていた。ほとんどが60歳以上の高齢の者ばかりである。
「あと・・・魔物化した者ですが・・・」
「どれくらい居ますか?」
「こちらになります」
ヴィーラはさらにもう一枚の洋紙を手渡した。それは衰弱死させないために魔力を与えた者たちのリストである。ほとんどが、若い年齢の者ばかりで、こちらは先程のリストよりさらに数が多かった。
「インキュバス化と種類は様々ですが、魔物化も多数・・・」
「それでも救えたのですね」
「ええ・・・何名かは伴侶になると申し出ました。また、魔界や親魔物領へ行く意志も強いです」
「彼らの望み通りにしてあげてください」
「御意」
秘書は一礼して部屋から立ち去った。残されたレンジェはベッドで眠るシンヤを見つめる。未だ意識のない彼に悲しげな表情を浮かべてしまう。
(息はしている・・・でも・・・あれから目覚める様子が無い・・・)
魔女による診断の結果、傷以外に身体の支障は無いと言われた。あらゆる治癒魔法も試みたが、どれもいい効果が得られず、青年が目を覚ます兆候は見られなかった。
(・・・・・・)
途方に暮れるレンジェ。彼女は右手で彼の額を軽く撫でる。
(・・・精神が回復しきれていないのでしょうか?)
彼女はそこであることを思い出した。
(・・・・・・魂は戻せた?・・・・・・なら・・・呼び覚ますことは?)
そう思った彼女は触れている右手を青年の胸に当てた。
「・・・」
彼の魂は肉体の中に入ったままである。触っても感じられるそれに、レンジェは右手で狙いを定めた。
「すぅぅぅぅ・・・ふぅぅ・・・」
一呼吸して自身の右腕に魔力を籠める。腕が桃色に輝き、彼女は目を瞑って集中し始める。
「・・・」
キィィィィィィィィ・・・
瞑ったはずの目に真っ白な視界が広がった。次の瞬間、彼女は信じがたいものを目にする。
「これは・・・」
真っ白な世界から鮮明な視界が見えてきた。そこは見たことの無い森林地帯のような場所。すると、まるで自身を確認するかのように、少年の身体が映る。動物の毛皮で作ったような茶色の服を纏い、華奢な体つきである。
『これは・・・まさか、あの少年を?』
「!」
初めて聞く声の主だが、彼女はその口調が彼と似ていることに気付いた。
「シンヤさん!?」
『なんてことを・・・吾(われ)は・・・あの少年を・・・』
「・・・聞こえていない?」
『無意識とはいえ・・・無垢な少年の身体を奪ってしまった・・・』
「・・・奪った・・・まさか、あの時話してくれた・・・」
レンジェはその光景が“陽なる存在”の体験した過去であると確信する。
『やってしまった以上、悔やんでも仕方あるまい・・・少年には申し訳ないが、この身体・・・吾が使わせて貰おう・・・』
「初めて自身を自覚したときなのですね・・・・・・えっ?」
またも視界が真っ白になり、別の光景が目に映った。今度は先程の場所と似ていて、焚き火の近くで座っているようだ。服装も身体もさっきと同じ姿だった。しばらくして、草むらの方から何かが飛び出して来る。
『!?』
「ひっ!?」
彼は慌てて飛び退いたらしく、避けた直後に襲撃者へ目を向けた。それは赤黒い肌を持つ角の生えた巨漢。魔物でいうアカオニと似ているが、こちらは男のようで牙が剥き出し、丸の目が黄色に輝いていた。
『物の怪か?・・・いや、こいつは・・・』
『がああああああああ!!』
再び襲い掛かる怪物に、彼はひらりとかわしながら、相手の足元に結界を展開する。
『こうか?・・・消えろ!!』
キィィィィ・・・バシュウウウウウウウウウウ!!
『があああああああああああああ!!』
青い光によって、怪物は消滅していった。相手の消え去った跡を彼は見つめ続ける。
『何故、こいつを倒す方法を吾は知っていた?』
「無意識で術を行使したのね・・・」
『・・・もしかして・・・吾はこの輩を倒すために?・・・』
「・・・」
『・・・いや、違う・・・こんな輩を倒しても・・・何も満たされぬ・・・』
「満たされない?・・・何故・・・」
『・・・考えても仕方ない・・・行こう』
それから彼女は様々な視界を見ることとなった。
人を襲う化け物を退治する彼。
『ふん・・・雑魚だったか・・・』
『あんた・・・何者だ?』
『・・・・・・吾自身も知らぬ』
彼はそこで初めて奴と遭遇する。
『・・・何者だ?』
『ほぅ・・・変わった力を持っておるな・・・どうだ、我に忠誠を誓わぬか?』
『・・・禍々しい・・・貴様、この国で何をするつもりだ!?』
『この身体の姉である女王巫女はうまそうよ・・・』
『・・・・・・今分かったことがある』
『ぬ?』
『貴様は・・・吾が滅ぼすべき存在だ!!』
彼が化け物と罵られる時もあった。
『ち、近寄るな!』
『化け物め!』
『村人のために出て行ってはくれぬか?』
『・・・ふん・・・もとより、吾は他人との関わりに興味はない』
陰陽術師と出会い、彼らと関わり合う日々を送る。
『お主は変わった存在だな・・・』
『何がだ?』
『これほど陽の力で満ちた魂は初めて見る・・・』
『・・・』
『まるで陽そのものである存在よ・・・』
『・・・・・・好きに呼べ』
肉体が限界を迎え、死を体験する彼。
『・・・また、人としての死か・・・』
『・・・苦痛ではあるが・・・それほど辛くもあるまい・・・』
『・・・次の世・・・に向か・・・うとし、よ・・・・・・』
ある若い陰陽師とともに、物の怪と戦う彼。
『来るぞ、陽の者! 準備はよいな!?』
『いらぬ心配だ、若造』
『ふっ、ならよい!』
『そっちこそ、稲荷の子として、安倍の名を恥じぬようにな』
『母上は別格よ・・・我々では手が届かぬ』
『だろうな・・・』
妖狐に乗り移った奴と対峙し、彼女に思いを寄せていた青年の覚悟を見届ける彼。
『小僧! 行けえええ!!』
『ぐっ! こやつ・・・まだ、意志が・・・・・・きて・・・』
『わあああああああああ!!』
『ぐぅぅぅ!?・・・・・・ありがとう・・・』
『あとは小僧・・・お前が決めろ・・・』
『陽なる者・・・感謝します・・・』
多数の物の怪と出会い、彼らの生き方を間近で見る彼。
『人並みの生活をするのだな・・・』
『そりゃあ、俺たち鬼も酒がありゃあ、暴れたりしないぜ!』
『おらも噂で聞いたが・・・何故か蜘蛛の化身どもも大人しくなっているらしい・・・』
『吾も耳にした。特に女郎蜘蛛などが稲荷のように人里へ隠れ住んでいると聞く』
『何でもすげえ別嬪さんだと聞いてるぜ!』
『何の前触れかは知らんが、それほど気にすることでもないだろう・・・』
再度、奴と出会い、その息の根を止める彼。
『ふっ・・・よもやお前が絡んでいようとはな・・・』
『何故、貴様が存在する?』
『そなたも気付いておろう・・・我と似た存在・・・いや、我と対を為す者よ・・・』
『なんだと?』
『この焼け落ちる寺とともに、我もそなたも朽ちようぞ』
『くっ・・・』
転生した先で移り変わって行く時代を眺める彼。
『人の世とは・・・血生臭いな』
『だからこそ、我らが存在できる・・・』
『・・・・・・滅ぼされる覚悟は出来たのか?』
『今度は我が引導を渡してやろう』
『・・・・・・笑止!!』
さらに転生した先で、彼を知る者と出会う。
『言い伝えは本当だったようだな・・・陽なる存在・・・』
『誰だ?』
『安倍と言えば分かるか?』
『・・・よく血の存続が出来たな』
『簡潔に言おう・・・妖が復活した』
『奴か・・・』
『手を貸してほしい・・・』
『・・・・・・いいだろう』
そして・・・今の時代へと転生した彼が出会った人。
それはある無機物で出来た建物の屋上に居た。
落ちないための鉄柵を乗り越え、遥か下の地面へ飛び込もうとする黒い服を着た青年。
彼はその青年に問い掛ける。
『お前に問いたい』
『誰です?』
『お前は死を望むのか?』
『はい・・・僕みたいな人は必要がない・・・』
『ならば・・・その身体を吾にくれぬか?』
『身体を?』
『目的を果たしたい・・・人に仇なす輩を滅ぼすために・・・』
『人に仇なす・・・輩?』
『妖と言われる化け物がいる・・・放っておけば、何人も犠牲が出る』
『そんなものが・・・』
『奴の気を感じる・・・恐らく近くに居るのだろう・・・』
『・・・』
『再度聞こう、お前の捨てようとしている人生、ある輩を滅ぼすために使わせてくれないか?』
青年は間を置いてから彼に答えた。
『はい』
『お前という意志は完全に吾へ吸収される・・・それでもいいのだな?』
『この身体がまだ役立つなら、喜んで差し上げます』
『青年・・・名を聞こう』
『・・・・・・“玉川 シンヤ”です』
「シンヤさん!?」
「はっ!?」
ふと目を開けたレンジェは、辺りを見回した。そこはさっきと変わらぬ元の部屋。キョロキョロする彼女にある者が呼び掛けてくる。
「何を探している?」
「えっ?」
呼び掛けてきたのは、ベッドで眠っていたはずのシンヤだった。彼は首だけを傾けて、レンジェの方を見ている。
「シン・・・ヤさん?」
「ん?」
「シンヤさん!!」
「!?」
思わず彼女はベッドに乗り上がり、目を覚ました青年に抱き付いた。
「レンジェ?」
「よかった・・・シンヤさん・・・ぐすっ・・・」
彼は胸元で泣きつく彼女の頭を包帯だらけの右手で優しく撫でる。
「心配かけたな・・・」
「魂に何かあったのではと思いまして・・・」
「思った以上に負担が激しかったのでな。気を失っただけだ」
「よかったです・・・」
「・・・代償も軽くて済んだからな・・・問題はあるまい」
「!」
彼の言ったことに反応して、レンジェはあることを思い出す。
『転生するための術式が刻まれ・・・』
「シンヤさん・・・まさか・・・」
「・・・・・・ようやく、人として消滅する機会ができた・・・」
「っ!?」
「もう・・・転生し、次の時代へ行くことはない。死を迎えたら生まれ変わるだろう」
「・・・」
「君のおかげでようやく目的を果たせた・・・レンジェ、あり・・・」
「嫌です!」
突然、彼女が叫んだことで、青年は言葉を失う。彼の胸に当てているレンジェの手が震え、顔を俯かせていた。
「私は・・・あなたに色々と助けられました。死を覚悟したことが何度あったか・・・」
「・・・」
「それでもあなたは・・・私を助けてくれた。私だけじゃありません。私の友人や、教会の人たちも・・・全部・・・」
「・・・」
「あなたが居なければ・・・この世界が危機に晒されていました」
顔を上げたレンジェの顔は涙でいっぱいだった。
「命を懸けて戦ってくれたのに・・・お礼できずに消えるなんて・・・しないでください」
「レンジェ・・・」
「“シンヤさん”のように自殺するようなことをしないでください」
「・・・見たのか?」
彼はその名が自身へ向けられていないことに気付く。
「はい・・・あなたが目覚めるのではないかと思い・・・」
「そうか・・・この身体の記憶を見たのか・・・」
「・・・・・・全部です」
「なに?」
「あなたが初めて肉体を得てからシンヤさんの肉体を得るまで・・・」
「そこまで見られたか・・・まぁ、記憶の塊でもあるからな・・・」
青年は気まずそうに目を瞑った。
「だが・・・・・・俺はもう転生を望まない。人としての生涯を迎えるのは確かだ・・・」
「・・・」
「レンジェ・・・その道だけはどう足掻いても変えられない」
「・・・ます・・・」
「レンジェ?」
「私なら・・・それを変えられます」
レンジェの意外な言葉に、青年は彼女の目を見つめる。
「どういうことだ?」
「・・・インキュバスを覚えていますか?」
「マニウスの言っていた魔になった人間か?」
「見た目は変わりませんが、魔物娘と相応する身体になります・・・」
「・・・・・・まさか!?」
彼女の言いたいことに気付いた青年は目を丸くした。やがて、彼女からその通りに告げられる。
「超人的な身体能力や魔力だけでなく、不老なる寿命も得られます」
「そういうことか・・・・・・しかし、レン・・・」
「私は! あなたに死んでほしくない・・・私は、私は・・・」
「・・・」
「あなたのことが好きだから・・・ずっと一緒に居てほしいです!」
レンジェの力強く言い放った告白。その後、お互いに時間が長く感じられた。しばらくして、先に口を開いたのは青年の方だった。
「・・・やれやれ、やっと安らかに眠れると思ったら・・・とんでもない術に縛られたものだ」
「えっ? 術?」
「そう・・・恋という術にな・・・」
「えっ・・・あっ、その・・・」
彼は戸惑う彼女を左手だけで抱き寄せる。
「魔物の姫君から求婚・・・よもや自身が愛されるなんて、考えたことがなかった・・・」
「先にそちらから求愛されましたよ?」
「俺から?」
「私の初めての口付け・・・あの時に奪われましたから♪」
「・・・・・・故意ではなかったのだが・・・言われてみればそうだな・・・」
納得する彼に、レンジェはさらに力強く抱き締めた。
「レンジェ?」
「私は・・・あなた方に恋をしました」
「あなた方?」
「陽なる存在である“あなた”と・・・シンヤである“あなた”です」
「!」
「少し欲張りですけど、両方のあなたが好きです・・・」
「レンジェ・・・」
再び互いに見つめ合う中、彼の目に涙が零れた。しかし、それは彼の意志とは関係なしに涙を流している。
「シンヤさん?」
「これは・・・・・・そうか、そういうことか・・・」
「えっ・・・」
「お前にも伝わったのだな。意志はもう無いと思っていたのだが・・・“シンヤ”よ・・・」
「!」
「彼にも君の思いが届いたのだろう・・・」
「シンヤさん・・・」
「こんな“俺達”で良ければ、受け止めよう・・・君の愛を・・・」
涙を流す二人はゆっくりと顔を近付けて、優しいキスをした。
「はむ・・・んぅ・・・ちゅ・・・ぷはっ・・・んん・・・」
青年へ覆い被さるように抱き付き、二人は互いの唇を貪るように舐め合う。それと同時にレンジェは、自身の股を青年の股へリズミカルに擦っていた。
「んんぅ!・・・」
「ぷはっ・・・はぁ、はぁ・・・」
「はぁ、はぁ・・・見ても、いいですか?」
「ああ・・・」
彼から了承を得て、レンジェは青年の唯一身に着けているトランクスをゆっくりと脱がす。そこから顔を出したのは、彼自身も余り見なかったもの。シンヤの男性器。意外に大きく立派なそれはギンギンとそそり立っていた。
「大きいですね・・・」
「俺自身も風呂に入るぐらいしか見なかったからな・・・」
「えっ、そうなのですか?」
「古からずっと戦うか、生き延びる術をするか・・・それぐらいしか行動しなかったからな・・・無論、性に関してもシンヤの知識から学んだ。それ以外の昔の知識には余り無い」
その告白に少々顔を赤らめるレンジェ。彼女からしてみれば、この身体の方が性知識に恵まれていると彼は言っているのだ。恥じらうのも無理はない。
「どうした?」
「い、いえ! なんでもありません・・・では・・・・・・レロ・・・」
「んっ・・・」
レンジェは戸惑うことなく、シンヤの性器を舐め始めた。根元から丁寧に舐めていき、裏筋をカリ裏までなぞる。
「はぷちゅ・・・ん・・・」
彼女は先端のカリの部分を包み込むように咥えた。口の中で舌だけを動かし、亀頭の先端へ刺激を与える。
「んん・・・んふぅ・・・んちゅ・・・」
「・・・ぅ・・・く・・・」
次第に肉棒を咥えこむ口を上下に動かし、さらに彼女は左手で自身の股を擦り始める。その口淫により、彼も刺激に反応するような声を洩らした。互いの興奮度が高まり、二人の体温と心拍数も上がる。
「んんぅ・・・・・・ん・・・ぷはぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
心地よく火照ったレンジェは黒衣と下着を脱いでいく。それらを右手でベッドの傍らに置き、シンヤの上で四つん這いになった。白雪と言われるのも納得がいく白い肌は、彼女の優美さを物語っている。それを見て青年は思わず呟いた。
「綺麗だ・・・」
「ふふ♪・・・殿方で私の裸を見せたのはあなたが初めてです」
彼女は左手でシンヤのものを支え、まだ誰にも捧げていない女の証へと導く。彼女のそこはすでに弄ったせいか、愛液で潤っていた。先端が彼女の秘裂と接触し、その中へと少しずつ入っていく。
「んぅぅぅ・・・ん! くぅぅ・・・ああっ!」
何かが破けるような音が一瞬響いた。それは彼女の純潔が破かれた瞬間だった。その証拠に彼女の股から赤い鮮血垂れている。
「レンジェ・・・」
「ご、ご心配なく・・・こう見えても我慢強いですよ・・・」
「・・・・・・すまない・・・」
「えっ?」
「必死で君を傷付けまいと守って来たのに・・・俺自身が君を傷付けてしまった」
唐突な謝罪とその理由に、彼女はのぼせたかのように顔が赤くなった。
「私のために・・・そこまで大切に思ってくれたのですね」
「君は多くの者に慕われている。彼女らを悲しませたくない」
「でしたら・・・シンヤさん・・・」
「なんだ?」
「私も・・・悲しませないでください・・・・・・」
ゆっくりと腰を動かし始めるレンジェ。まだ自由に動けないシンヤを気遣って、魔物の本能である性欲を抑えながら動いていく。垂れていた鮮血は溢れ出す愛液によって流し落とされていた。
「ん・・・あっ、あぁ・・・うっ・・・はぁ・・・」
四つん這いの状態で腰を動かし、滑らかな抽送を繰り返す。その動きに合わせて、白く丸みのある美乳も上下に揺れた。
「はっ・・・はっ・・・はっ・・・あぁ、あっ、あ・・・」
徐々に動きが速くなり、彼女は上半身を上げる。騎乗位の体勢で性交し、レンジェの息遣いが荒くなってきた。
「はぁ! はぁ! あっ! あぁ!」
「くっ、うっ、つぅ・・・」
(無理もない・・・見た目も成熟した淫魔だ・・・)
少し苦痛の声を洩らしたシンヤだが、堪えながら彼女に話し掛ける。
「レン、ジェ・・・」
「はぁ、はい! うん! ん!」
「好きに、動いてくれ・・・」
「!」
「我慢、するな・・・君の、思うがままに・・・」
「シンヤさん!」
彼のその言葉で、彼女は腰の動きを速め、普段とは違う艶姿を見せた。まるで目の前の大好物に目を光らせるかのような眼差し。彼のものを飲み込むだけでは飽き足らず、白い双丘の胸を彼の胸に押し付ける。腰の動きによって、胸の乳首も擦れていく。
「ふっ! あっ! あっ! あっ!」
「・・・!・・・くっ・・・」
「あぁ! もう・・・いきそう! あっ! あっ!」
「レンジェ・・・うぅ!」
もうすぐ訪れる最高の瞬間に、シンヤは身構え、レンジェは心待ちにしていた。
「ああぁ!!」
「っ!?」
それが先に訪れたのはシンヤだった。彼は彼女の胎内に突き刺さる己自身から精を放つ。レンジェも放出された精を感じ取りながら達した。
「あはぁぁぁぁぁ♪・・・」
「うぅぅ・・・」
ドクドクと脈打つ感覚に酔いしれるレンジェ。彼の力が宿る精は、すぐさまリリムの魔力へと変換されていき、彼女の身体がピンク色に輝いた。数秒も経たない内にそれが治まると、レンジェは力尽きるように彼の身体へ覆い被さる。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
「ふぅ、ふぅ・・・」
「はぁ・・・・・・シンヤさん・・・」
「ん?」
「続けても・・・いいですか?」
「・・・・・・無理はするなと言ったはずだ・・・君が満足するまで・・・」
「はい♪」
同時刻、別の屋敷内の個室。
こちらにも大きなベッドがあり、そこで寝ていたリリエルが上半身だけを起こしていた。彼女の左側にはレグアとメイヤが土下座して頭を下げている。
「「申し訳ありません!」」
「御二人共・・・」
「我々が・・・いえ、自分が不甲斐ないばっかりに・・・このような最悪の事態を・・・」
「私は・・・操られたとはいえ、御使い様を陥れるような真似を・・・」
「・・・」
「「誠に申し訳ありません!!」」
シャインローズで保護と治療を受けた3人は、今までの経緯と自分達が置かされている状況を理解した。その結果、少年と少女は自分達に非があったと告げて、天使に謝罪をする。
「御二人共、顔を上げてください」
「「・・・はい」」
リリエルの指示で顔を上げた二人。その顔は涙を流し、必死に許しを請う姿であった。そんな彼らに天使は話し続ける。
「私は・・・あなた方を責めたり、恨んだりもしていません・・・全て・・・全て私の責任です」
「そんな・・・」
「リリエル様は・・・」
「私があのような穢れを早めに察知できれば・・・未然に防げたはずです・・・ですから・・・」
話す途中で彼女の目にも涙が零れ落ちた。今の彼女も多数の後悔で苦しんでいたからだ。
スリップス領を浄化させる使命。
それを果たす前に、襲撃者によって穢されてしまった。
その上、自身や大切にしてきた少年、少女、そこに住む民も穢された。
魔物によって、手遅れになる前に救い出されたが、助からなかった命もあった。
天使の少女がその罪悪感で苛まれるのも無理はない。
そして、目の前にも彼女を苦しませる要因がもう一つあった。
「メイヤ・・・」
「は、はい!」
「身体の方は大丈夫ですか?」
「はい! ここの方々に治療してもらいましたので・・・特に問題は・・・」
「本当のことを言って下さい・・・」
「・・・」
彼女の要望に、元気よく見せていた少女が黙り込んでしまう。その数秒後、彼女は観念してあることを話した。
「私は・・・私はもう長くは生きられません・・・」
「なっ!?」
「・・・メイヤ・・・」
「な、なんで!? どうして・・・」
「あの女によって、私の命のほとんどが奪われたそうです。少量は戻ったそうですが・・・大半は・・・戻らなかったそうです」
「そんな・・・」
「やはり・・・」
天使の少女はメイヤの命が弱弱しくなっていることに気付いていた。それは人としての生きられる時間がより短くなっていることを意味している。つい先刻、ここの秘書である吸血鬼に、救助された住人のほとんどがそうなっていることを告げられた。
「メイヤ・・・ごめんなさい・・・あなたには本当に・・・」
「御使い・・・様・・・」
「そんな・・・メイヤ・・・」
「それで・・・・・・あなたは受けないつもりですか?」
「!?」
リリエルの質問に、少女はいち早くその意味を理解する。
「私は・・・私は魔物になるつもりはありません・・・」
「メイヤ!?」
「・・・何故です?」
「私は御使い様を陥れただけでなく・・・好きだった勇者様まで殺そうとしてしまった・・・」
「・・・その罰のつもりで、残り少ない人生で死を迎えるつもりですか?」
「私には・・・勇者様を愛する資格はありません」
「・・・・・・」
彼女の言ったことに俯いてしまう天使。しかし、彼女は思い切ってあること口にした。
「レグア」
「は、はい?」
「私からのお願いです・・・メイヤを愛してください」
「えっ!?」
「御使い様!?」
天使の唐突な頼みごとに少年と少女が驚く。
「あなたが不幸になる理由はありません。罰を受けるのは私一人で十分です」
「で、ですが・・・御使い様・・・」
「リリエル様・・・」
「でないと・・・私はあなた達を許しませんよ?」
「「!?」」
意外な脅迫で二人はさらに驚いた。それは以前の彼女とは思えない発言である。
「し、しかし・・・」
「レグア・・・あなたが私を愛してくれているのは分かっています」
「!」
「ですが・・・目の前の命尽きようしている少女を見放すつもりですか?」
「そ、それは・・・」
「なら、隣人である彼女を愛してあげなさい。勇者であるなら・・・」
「リリエル様・・・」
天使の意外な指示に、彼は左隣にいる少女へ目を向けた。彼女は気恥ずかしそうに視線を逸らす。
「メイヤ・・・そうだったな・・・君にもすまないことをした」
「ゆ、勇者様・・・」
「思えば、いつも君の助けを邪険に扱っていた・・・」
「い、言わないでください・・・」
「君にも謝る必要がある。メイヤ・・・」
「勇者様・・・」
思わずレグアに抱き付くメイヤ。そんな彼女を少年は優しく抱擁した。二人のその光景を見ていたリリエルは、部屋の扉に向かって声を掛ける。
「・・・入って来て下さい」
「「?」」
「かしこまりました」
「「!」」
声が響き、扉から一人の女性が入って来た。その女性は露出度の高い服装をし、頭に黒い角があり、腰の後ろからは黒い羽根で出来た翼と鎖で縛られた尻尾が生えている。彼女は3人に一礼をした。
「失礼します。ヴィーラ様の要請で万魔殿から参りました。ダークプリーストのナンシィです」
「魔物!」
「ダーク、プリースト?」
「・・・お聞きしていたのですか?」
「はい・・・命尽きようとするメイヤ様を救うために・・・堕落神様から預かった魔力をお持ちしました」
彼女はメイヤを庇う少年の元へ近付き、その目の前で跪く。
「ご心配なく・・・本人の意志を尊重するようにと命じられています。無理強いて魔物化させるつもりはありません。決めるのはメイヤ様ご自身で・・・」
「お前!」
「私が・・・決める?」
「メイヤ・・・これはあなたで決めてください・・・」
「御使い様・・・」
天使とナンシィから言われたことに、少女は深く考え込んだ。そして、彼女は決意したのか、真剣な眼差しで闇修道女に答える。
「魔物に・・・してください!」
「メイヤ!?」
「私は・・・まだ、生きていたい・・・勇者様の傍でずっと生きていたいです・・・」
「メイヤ・・・」
「・・・その願い、確かに聞き取りました。では、そちらの殿方も今からする説明をお聞きしてください」
「は? 僕も?」
不意に声を掛けられた少年も彼女から説明を受けた。
「メイヤ様に堕落神様の魔力を与えます。手を当てて送り込むだけですが、それだけでは魔物化しません」
「えっ? では、どうしたら・・・」
「その状態でそちらの殿方から精を受け止めてください」
「へ? 僕の精!?」
「それって・・・」
少女の答えが出る前に、ナンシィは微笑みながら答える。
「簡単です。性交し、胎内に精を取り入れれば、完全に魔物化できます♪」
「「!?」」
「それと下手に我慢なさらないようお願いします。そちらの方も命に関わりますので・・・」
予想通りの答えに少女と少年は顔を赤らめてしまう。それでもメイヤは勇気を振り絞って、闇修道女の前に座った。
「メイヤ様、よろしいのですね?」
「お願いします・・・」
「・・・そちらの殿方も受け止める覚悟は?」
「・・・・・・」
「勇者様・・・」
「・・・僕だけが逃げる訳にはいかない」
「では、始めます」
彼女はそう言って、少女の胸元に右手を当てる。
キィィィィ・・・
「うっ・・・」
ピンク色の光が手元で輝き、それに反応するようにメイヤが声を洩らした。
・・・ィィィィン
「終わりました」
「・・・?」
「あとは殿方と楽しんでください♪」
ナンシィはその場から立ち上がり、部屋からそそくさと出て行く。魔力を受けた少女はぼんやりとした表情で身体のあちこちを触っていた。
「メイヤ、大丈夫かい?」
「ええ、特に何も・・・・・・っ!?」
突然、メイヤは苦しむような体制で胸を抑える。咄嗟に両肩を掴む少年が彼女に呼び掛けた。
「メイヤ!?」
「身体が・・・熱い・・・」
「レグア! 早くメイヤをベッドに!」
「えっ! でも、リリエル様・・・」
「構いません! 急いで!」
リリエルの指示ですぐさまメイヤを抱えて、彼女をベッドに寝かせる。天使は彼らとは反対の方向へ退いた。彼女は少女に寄り添い、その額に右手を置く。
「・・・これが堕落神の力、魔力の浸透が凄まじいです」
「リリエル様・・・」
「レグア、早くメイヤに精を・・・」
「よ、よろしいのですか? 僕とメイヤが・・・その・・・」
「私は彼女の苦しみを知りませんでした。ですから、私には気にせず、彼女を愛してあげて・・・」
「・・・はい」
返事をしたレグアは身に着けていた装備を外し、それらをベッドの下へ置いた。軽い服装になり、その状態でベッドに乗り上がる。少女の足に跨るように、右片膝を付けた蹲踞(そんきょ)で姿勢を保った。
「勇者様・・・はぁ、はぁ・・・」
「メイヤ・・・」
彼女は熱のある呼吸をしながらスカートを捲り上げる。そこはすでに股の部分が湿った下着があり、それを見た少年はギョッとしてしまう。彼の挙動を気にせず、少女はその下着を脱いでいき、足をM字に開脚した。
「・・・ここに・・・勇者様のものを、ください・・・」
「ゴクッ・・・」
レグアは緊張で息を飲んでしまう。彼にとっては初めての体験である。少女から漂う女の匂いで、すでに少年の股のものは膨らんでいた。ぎこちない動きでズボンと下着からそそり立つ陰茎を晒し出す。
「はぁ、はぁ・・・ここです・・・」
少女の導きで少年は自身の先端を彼女の秘穴へと宛がう。そのまま滑り込むように少年の分身が彼女の中へと入っていった。
「ああっ!!」
「くぅ! うああっ!?」
挿入された直後、我慢できずに達した少年が射精してしまう。少女は不意打ちの彼の精を受け、魔力によって変換された快感が最高潮に達した。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ♪」
それをきっかけにメイヤの身体に変化が訪れる。金髪の頭から黒い角が生えてき、耳がエルフのように鋭く尖った。腰の背部から漆黒の翼と鎖で巻かれた悪魔の尻尾が出てくる。それは先程のナンシィと同じ姿“ダークプリースト”そのものだった。服の方は腰以外が破れず、変化などはしていない。
「はぁ、はぁ、勇者様・・・」
「あっ! ご、ごめん!! 入れたら、凄く気持ちよくて・・・」
「だ、大丈夫です・・・私も・・・気持ちよかったですから・・・だから・・・」
「・・・えっ?」
「もっと・・・してください」
紫色の欲情した瞳でそう申し出る少女。すでに彼女の身体の内部も魔物化によって、男性を喜ばすための器官が発達していた。性を初めて知った少年には耐えきれることができず、がむしゃらに腰を動かし始める。
「ふぅ! あっ! あっ! いい! もっと!」
「ふっ! はっ! メイヤ!」
初めて感じ取った快感は二人にとって甘美なものだった。貪るように互いの身体を求め合う。
「あぁ! あぅ! あっ! いっ! くぅ!」
「ふぐぅ!!」
またも少年の射精が始まり、少女は二度目の絶頂に達した。一度目以上の快感に酔いしれてしまう二人はキスを求め合う。そんな彼らを天使は横からずっと眺めていた。
「・・・」
「はぁ、はぁ、はぁ・・・ぁ・・・」
右横からの視線に気付いたメイヤは、そっちの方へ右手を差し伸べる。
「・・・御使い様・・・」
「メイヤ?」
「あなたも・・・勇者様の愛を・・・受け取って下さい・・・」
「え、ええ? でも・・・私は・・・」
「皆平等であるべきなのに・・・御使い様だけ愛されないのは理不尽だと思います・・・」
「それだと・・・またあなたに・・・」
戸惑う天使に少女は手を伸ばし、彼女の手を優しく引き寄せた。
「あっ・・・」
「大丈夫です・・・私も勇者様もあなた様を歓迎します♪」
「メイヤ・・・」
「リリエル様・・・」
「!」
いつの間にか少年は結合を解き、雄々しく立っているものを晒しながら天使に目を向ける。彼はゆっくりと彼女に近付いていった。少し怯えるリリエルは抵抗もせず、少年に押し倒される。
「きゃ!・・・レグア、あなたも・・・」
「僕も、あなたを愛したい・・・僕はずっと前から、あなたが愛しかったです」
「それでいいのですか? もうあなたにはメイヤがいるのに・・・」
「御使い様なら許します♪」
「僕も、リリエル様が欲しいです・・・」
起き上がったメイヤは天使の着る服のスカートを捲り、手慣れた手つきで彼女の白い下着をずり下ろした。無防備になった天使の足を少年がゆっくりと開脚させる。無抵抗のリリエルは両手を握り、少し涙目で身構えていた。
「あ・・・あ・・・」
「力を抜いてください。その方が楽になれます」
「い、いきます・・・」
「レグア・・・あっ・・・あああああ!?」
少年は自身の性器を天使の秘裂へ押し込んだ。勢いをつけて入ったそれは、天使の純潔をいとも簡単に破き貫く。結合の隙間から鮮血が垂れ落ち、ベッドのシーツを赤く染めていった。
「はぁ・・・痛っ・・・くぅ・・・」
「リリエル様!?」
「はぁ、はぁ、大丈夫です・・・・・・けて・・・」
「?」
「・・・続けて・・・我が子よ・・・」
その言葉で少年の理性が失われる。彼は再び貪るように動き始めた。
「ふあっ! あっ! つぅ!」
「はぁ! はぁ! はぁ!」
少々の痛みはあるも、天使の少女は突き抜かれる度に幸福感が高まる。リリエルも内心彼のことを気に掛けていたが、教会内で不埒な関係は許されなかった。何も縛られない今だからこそ、彼女にとって、大切に育ててきた勇者から愛されることが幸せだった。
「レグア! 愛してます! 愛してます!」
「リリエル様!・・・」
天使から送られた愛の言葉に、少年は動きを速めた。神に対する背徳的な行為を二人は無我夢中に味わう。次第に天使の少女は、少年達が経験した絶頂がまもなく自身にも訪れると予感した。
「あぁ! レグア! 来ます! 気持ちいいのが!」
「うぐぅ! うっ! ふぅ! リリエル!」
「んくっ! んんぅぅ! ふあぁぁぁぁ♪」
「うあああああ!!」
少年が最後に突いた直後、天使の胎内に灼熱の精液が注がれた。3度目にも拘らず、その量は凄まじく、若干ではあるが天使のお腹がぷっくりと膨らんでいく。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・・・・あっ、ああああああああああ!?」
その時、余韻に浸っていた天使の少女にも異変が訪れる。純白の翼が漆黒に染まっていき、身に着けていた服も下着のような黒い服へと変わった。健康そうな肌は薄い紫肌へと変わり、天輪も紫色へと変色する。瞳も紫色に輝き、金色だった髪は銀髪と化していた。
それはエンジェルが堕天したときの魔物姿“ダークエンジェル”である。
「ああぁぁぁ♪ 御使い様・・・」
「リリエル様・・・」
「はぁぁぁぁ・・・あはぁぁぁ♪」
天使の少女の変わり様に、メイヤは微笑み、レグアはその禍々しさに見惚れてしまう。堕天したばかりの少女は左手で自身の左脇腹を擦り、ある文字を身体に刻む。それは“快楽のルーン”と言われる快楽を増幅させる魔の刻印だ。
「次は・・・私とメイヤで・・・レグアを気持ちよくさせましょう♪」
「はい、御使い様♪」
「えっ・・・」
一方、レンジェとシンヤが居る個室では・・・。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
「ふぅぅ・・・・・・ふぅ・・・」
部屋の中で息を整える声が二人分響いていた。青年はすでに力尽きたらしく、大きくなったままの怒張がぐったりしている。彼の右側ではレンジェが横向きで相手を見るように倒れていた。
「流石に・・・5回は、辛いな・・・・・・」
「ご、ごめんなさい・・・・・・こんな病み付きそうな快楽は初めてだったので・・・」
「・・・・・・サキュバスの王女だから予想は出来ていた。まぁ、無理はないな」
「はぅぅぅ・・・」
恥ずかしそうに両手で顔を隠すレンジェ。彼女の股から一筋の白い液体が垂れ落ち、こぽりと音を立てる。あれから抜かずに連続で行われた行為で、彼女は恍惚な表情で満足感を得ていた。その代わり、シンヤの回復しきれていない身体に若干の負担が掛かってしまう。
「・・・お母さんも・・・こんな感じで交わっていたのですね・・・」
「俺はされるがままに犯される感じだったがな・・・」
「で、でも・・・・・・いえ、やっぱりなんでもないです・・・」
「・・・」
「あの・・・シンヤさん」
「?」
レンジェはもじもじしながら青年にあること話す。
「私と・・・私と・・・」
「?」
「私と・・・結婚してください・・・」
「・・・」
少し弱弱しい彼女のお願いに、彼は動じない姿勢で相手を見続けていた。しばらくして彼は微笑んで答えた。
「君のそんな可愛らしいところが好きになるな・・・」
「えっ・・・」
「・・・いいだろう・・・この世界で君との生き方・・・見せてくれ・・・」
「・・・・・・シンヤさん・・・」
レンジェは涙を流し、シンヤとキスをする。
12/10/20 18:36更新 / 『エックス』
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