No.02 認識
「・・・・・・う・・・此処は?」
微かに香る植物の匂いで、男子学生は意識を取り戻した。彼は大木に背中からもたれて、足を伸ばして座っている。意識を取り戻すと、彼は今までの出来事を思い返した。
(奴は・・・何をしたのだ?・・・もし、奴の言う通りならば・・・ここは・・・・・・!?)
考え込んでいる最中、彼はある気配を察知する。木々に遮られて見えないが、それは明らかに彼自身の方へと向かって来る。急いで立ち上がろうとした瞬間、右脇腹に激痛が走った。
「うぐっ!?」
(あの時に受けた傷か!?・・・こんな時に・・・)
触手の鞭で叩かれた箇所。受けた直後は痛みを無理やり術で抑えていたが、すでにその効果は薄れ、激痛に耐えながらその部分を左手で抑えた。
(力が・・・まずい・・・・・・この状態で戦う訳には・・・)
彼は口を噛みしめながら迫り来る気配の対処を考える。
(一か八か・・・)
彼は右手に青い光を収束させて札を出現させた。それを自身の目の前にある地面へ放り投げ、地中に仕込む。
(あとは・・・相手がひっかかるかどうかだな・・・)
暗闇に包まれた辺り一帯。その真正面を彼は見つめ続けた。
(・・・・・・・・・!?)
彼は向かって来る相手の姿に驚く。まだはっきりとは見えないが、角や翼、そして尻尾という人外なる存在の姿に気付いたからだ。
(物の怪?・・・見たことが無い奴だ・・・・・・奴の手先か?・・・)
そんな中、彼は今まで感じたことの無い力を相手から感じ取る。
(なんだこれ・・・・・・何かに似ている・・・何の力だ?・・・)
彼がそう考え込んでいる内に、あと5、6歩で相手は罠の仕掛けた地面に辿り着く。彼はすぐに右手の拳を握り、罠の起動準備をした。
(例え物の怪でも・・・直撃すれば・・・・・・)
彼は気を静めて集中し始める。相手が札の入った地面に足を踏み入れた瞬間、彼は握っていた右手の指を二本だけ立てた。
(囲め!)
バシュ! バシュ、バシュ、バシュ・・・
相手を囲むように地面から鉄の棒を出現させる。2m以上の長さの棒で囲み込んだ後、右手を顔の前に構えた。
(かかった!)
続けて相手の足元に青く輝いた五芒星の魔法陣を描き、持てる限りの力を魔法陣に注ぐ。
「どうやら一匹だけのようだな・・・」
「!」
「悪いがこちらも余裕がないんでね・・・これで決めさせてもらう!」
「しまっ・・・」
「浄化結界!」
キィィィィィィィィ・・・
彼は相手を討ち取ったと確信した。魔法陣から出来た円柱の光が彼女を包み込む。
バシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!
「なん・・・だ、と・・・・・・?」
「・・・?」
レンジェは目の前で起きたことに呆然としてしまう。目の前の男性は彼女を消し去ろうと罠を張り、まんまとそれにハマってしまった。
彼女は青い光に包まれたとき、“死”を覚悟した。
だが・・・・・・光が徐々に治まると、彼女の身体には何も起きていなかった。
特に外傷もなく、魔力も正常である。
彼が何をしたかったのか疑問に思うも、肝心の彼も何が起きたのか分からない様子だった。
(浄化結界が・・・無効化された!?・・・いや! 違う! むしろ効果がない!?)
「?」
驚愕する彼をレンジェはさらに見つめる。黒い服を上下に着た男性。前面を留める金色のボタンが縦に並び、若々しい髪形と顔が見えた。右の脇腹を抑える左手は怪我をしていることを示している。
「あの・・・」
「くっ!・・・ぐぅ!?」
「!」
突如、彼は苦痛の声を洩らし、歯を食い縛った。先程の罠の魔法陣へ残った力を使用することにより、抑えていた激痛と疲労が彼に襲い掛かる。あまりの唐突な苦痛に彼は耐え切れず、顔を俯かせて気絶した。
(こ・・・こま・・・で・・・・・・か・・・・・・・・)
「ちょっと!」
レンジェは思わず彼の傍に駆け寄り、相手の顔を覗く。すでに意識はなく、真っ青な表情で苦しそうな息切れをしていた。
「このままじゃまずいわ・・・」
「姫様〜!」
「!」
上空から聞こえた夢乃の声に、彼女は顔を振り向かせる。そこには照明魔法で辺りを照らす夢乃と、4人のサキュバス兵士が飛んで来た。彼女たちはレンジェのいる付近へやって来ると、男性の存在に気付く。
「姫様! その者は!?」
「ちょうどよかったわ。夢乃、この人を屋敷へ運びます。手伝ってください!」
「えっ? 一体な・・・」
「いいから手伝って、危険な状態なの! 長くは持たないわ!」
「しょ、承知!」
レンジェの一喝に夢乃が慌てて彼女の元へ近寄った。二人で協力して男性を抱えると、彼女たちは他のサキュバスとともにその場から立ち去る。静けさの増した森の木の一つがざわめいた。
ガサッガサッ・・・
町の屋敷へ戻ったレンジェ達は、男性をある個室のベットに横たわらせる。すぐに医者の魔女を呼びつけて、彼の容体を診断させた。
幼い少女の姿をした魔女が杖を振りかざし、魔法で男性の容体を伺う。数分後、診断を終えた魔女から『肋骨が折れている』と言われた。医者の魔女に薬を取りに行かせ、その間、レンジェと夢乃は彼に付き添うことにした。しばらくして、両開きの扉からディラハンのセシウともう一人の女性が部屋に入って来る。
「レンジェ様! 一体何事で・・・」
「セシウ、静かにしてください。怪我人が寝ているのですよ?」
「・・・失礼しました」
「また、厄介事を拾われたのですか?」
「ごめんなさいね、ヴィーラ」
レンジェはもう一人の女性に謝罪した。
彼女は“ヴィーラ・ラズベリート”レンジェの秘書であるヴァンパイアだ。動きやすそうな赤黒いドレスに、コウモリの羽のようなマント。そして、金髪のショートカットに紅い目でメガネをかけた女性。ちなみに彼女曰く“伊達メガネ”だそうだ。
ヴィーラはレンジェに叱りつけるような口調で尋ねる。
「どういった経緯でその青年を連れてきたか、包み隠さずお教えください」
(やばい・・・)
事情を説明すること数十分。
「・・・レンジェ様」
「・・・姫様」
「・・・領主様」
「あははは・・・」
セシウ、夢乃、ヴィーラはレンジェに対し、半ば呆れながら叱りつけた。
「レンジェ様! 笑い事じゃありませんよ!?」
「そうです! 姫様に何かあったら・・・某は自らの腹を切って詫びる所存です!」
「あなた様は、私たちのかけがえのない存在です。もし、領主様に何かあれば魔王様に顔向けできません」
「お、おお落ち着いて・・・私が悪かったです。ご迷惑をかけて申し訳ありません」
「そう思うのでしたら・・・領主様、もっとご自分をご自愛くださいませ」
「は、はい・・・」
3人に怒鳴られたレンジェはすこし落ち込んでしまう。レンジェと説教を終えた3人は改めて青年の姿を眺めた。彼女たちにとって容姿は普通ではあるが、その服装は全く見たことの無いデザインの黒い服だった。
「黒を強調した服装ですね。夢乃、あなたこんなジパング人を見ましたか?」
「いえ、セシウ殿。このような着物は初めて見ます」
「きっちりとした服装にも見えますが・・・ジパングで見た武士のご子息などが着ていたものとは違うようですね」
「・・・」
「・・・ん? 領主様?」
ヴィーラがレンジェの様子に不審に思って声を掛ける。彼女はいつも以上に真剣な眼差しで青年を見つめていた。
「・・・・・・・・・ぅ・・・」
「「「!」」」
「!」
「・・・く・・・・・・う・・・」
呻き声とともに青年が意識を取り戻す。目を覚ました彼は首だけを動かして、左側にいるレンジェ達を見た。慌てて動こうとして身体を動かすも、脇腹の激痛に悶え苦しんでしまう。
「ぐぅ!」
「動いちゃ駄目よ。肋骨が折れているから、しばらく安静にしないと・・・」
「くぅ・・・ふぅ・・・やはり、脆弱な身体だな・・・2、3本は折れてると思ったが・・・」
「医者が言うには5本折れているそうよ。むしろ、内蔵に刺さらなかったのが奇跡とも言っていたわ」
「そうか・・・」
レンジェの言葉で、彼は納得するかのように目を瞑って大人しくなった。再び彼はレンジェ達の方へ目を向ける。その目は常人とは違う鋭さがあった。
「どうやら俺が勘違いしたようだな・・・」
「?」
「君に危害を加えようとしてすまない。謝罪させてくれ」
「えっ?」
突然の青年からの謝罪にレンジェは顔少し赤らめてしまう。
「い、いえ・・・私の方こそ、不用心にあなたへ近付いてしまって・・・」
「それは違う。君はただ侵入者を見に来ただけであろう? 何も言わず訪問した俺が悪い・・・といっても自分で望んで来たわけでもないが・・・」
「!・・・やはり・・・」
「ここは・・・俺の居た世界ではないな?」
青年の質問にレンジェだけでなく、他の3人も耳を疑った。
「ま、まさか・・・」
「別の・・・世界?」
「にわかに信じがたいが・・・貴殿のその服装でそう判断せざるを得ないな。しかし、領主様」
「なんでしょう?」
「何故、別世界から来たと察したのですか?」
ヴィーラの問いにレンジェは当たり前のように答える。
「大気を揺るがすほどの衝撃。それは別世界から何かを召喚する際、その世界の空気まで召喚する可能性があります」
「空気まで?」
「別世界とこの世界の空気が全く同じである可能性は低い。もし、二つがぶつかり合えば、それは凄まじい衝撃を産むことになります」
「では! 某と姫様があそこで感じた振動は!」
「恐らく異世界から彼とともにその空気も召喚されたのでしょう。そうでもなければ、あのような凄まじい衝撃は起こりません」
「鋭い洞察力だ。白いお嬢さん」
レンジェの推察に褒める青年。彼女は照れ臭そうにしゃべり続けた。
「どうも。それと申し遅れました。私はレンジェ。魔王の娘であるリリムの1人です」
「レンジェ様の護衛騎士であるセシウ・キュアテッドだ」
「某の名は安佐伊 夢乃。夢乃と呼んでもらっても構いませぬ」
「レンジェ様の秘書であるヴィーラ・ラズベリートです。以後、お見知りおきを・・・」
「・・・そうだな。俺の名前は・・・玉川(たまがわ)、玉川 シンヤ・・・シンヤと呼んでもいい」
お互いにそれぞれ自己紹介をすると、レンジェが彼に質問する。
「それでは、シンヤさん。早速聞きたいのですが、どうやってこちらへ訪れたのでしょうか?」
「俺はある者と戦っていた。そいつが妙な術を使用すると、光に包まれてしまい、気が付けばあそこに居た」
「随分と簡単な話ですね。そのある者とは?」
「まぁ、君達にとって初めて聞く言葉かもしれんが、そいつは“妖”(あやかし)と呼ばれている」
「妖?」
彼の言う通りで、それを聞いた彼女たちはその言葉に聞き覚えが無かった。
「シンヤ殿はその妖とやらを討伐する最中に、こちらの世界へ紛れ込んだと?」
「そういうことになる」
「脇の骨折もそやつの仕業でしょうか?」
「不意打ちを食らってこのざまだ。なんとも情けない姿を晒してしまった」
気まずい答えに夢乃は黙ってしまう。ここでセシウが彼にあることを聞いた。
「大事なことなので聞きたい」
「どんなことだ?」
「我々の領主であるレンジェ様に危害を加えようとしたと言ったな? その理由をしゃべっていただこう」
「・・・単純な話だ。手負いの状態で近づいてくる者。危機的状況の中、敵であると思ったからだ」
「そうか・・・」
少し怒りの籠った質問だが、彼は気にせず答える。その時、部屋のドアが開いて、小柄な少女が入って来た。彼女はウィッチ帽子に白衣を着た姿の少女である。彼女がベットの近くにやって来ると、青年の無事な様子を見て微笑んだ。
「よかったです〜気が付かれたのです〜」
「君は?」
「初めまして〜医者であり、魔女のアイラです〜」
「どうも・・・玉川 シンヤだ・・・」
「よろしくです〜あと、これをどうぞです〜」
「?」
青年は少女が背伸びして差し出してきたタブレット錠の薬を受け取る。
「それは痛み止めと治癒効果の高い薬です〜」
「助かる」
「お礼はサバトに入ってくれるだけでいいです〜♪」
「さばと?」
「あれ? 知らないです〜?」
聞き慣れない言葉に頭を傾げる青年を見て、ヴィーラが白衣の魔女を抱えてドアに向かった。気になったレンジェが彼女の名を呼ぶ。
「ヴィーラ?」
「話がややこしくなるので、アイラを客室へ連れて行きます。後のことは任せますよ?」
「はい♪」
「です〜?」
彼女が出て行くと同時に、セシウも退出すると告げた。
「レンジェ様の出した警戒指示の解除を兵たちへ伝えなければならないので・・・」
「ああ、そうでしたね」
「すまないな。騒がせてしまって・・・」
「いえ、これも仕事ですのでお気になさらず・・・では、失礼します」
そう言ってセシウも部屋から退出する。青年は錠剤を口に放り込み、ゴクンと一気に飲み込んだ。残ったレンジェと夢乃は彼と話を続ける。
「正直に話すと、あの時は危害のある物の怪か何かだと思った。それで君を罠にはめた」
「多分、それをセシウの前で言ったら斬り付けられていたかも知れません」
「セシウ殿ならやりかねないですね」
「ところで・・・君らはどういった存在なのだ?」
「ああ、そうでしたね。では、まずこの世界について説明します」
青年は簡単な説明で、この世界について、魔物について聞く。それは彼自身も信じがたい話であった。
「なるほど・・・魔を統治する存在が共存を望む魔に代わり、その魔の影響で危害のない魔たちが出来上がったと・・・」
「某のような存在がそれです」
「そして・・・君が現在、魔を統治する王の娘“リリム”とな?」
「はい♪」
「・・・」
満面の笑顔で微笑むレンジェ。それを見ていた青年は表情を変えず、あることを考え込んだ。
(世界を変えるほどの王の娘・・・だから浄化結界が効かなかったのか?・・・それに魔力と言っていたな・・・彼女だけでなく・・・他の者たちも同じ力を持っている・・・)
「どうかされましたか?」
「いや、なんでも・・・げふっ! げほっ!」
「大丈夫ですか!?」
「ふぅ、大丈夫だ。少し咳き込んだぐらいだ」
「喉が渇いていませんか? お水を持ってきます」
レンジェはそう告げて部屋から出て行こうとする。慌てて夢乃が止めようと声を掛けた。
「姫様! 某が・・・」
「夢乃は彼に付き添っていて、すぐに戻るから♪」
「あっ、ちょっと姫様!」
静止の言葉を聞かず、レンジェは部屋から出て行ってしまう。残された二人はドアの方を見つめるしかなかった。
「ああいう性格なのか? それともリリムという存在だからなのか?」
「多分、両方だと思われます」
一方、屋敷の外ではサキュバスの兵士と話すセシウの姿があった。彼女は兵士に町の警戒の解除を伝えるよう指示を出す。伝令を受けた兵士は翼を拡げて空へと飛び去っていった。それを見送ったセシウは屋敷に戻ろうと、踵を返して歩き始める。
「やれやれ・・・これで一息つける」
・・・・・・ガサッガサッ・・・・・・
「?」
彼女は近くの茂みから微かに聞こえた音に足を止めた。音のあった茂みの方へ視線を向けるが、怪しいものは見当たらない。
(気のせいか?)
再び歩き出そうと足を進めた瞬間、茂みから何かが伸びるように飛び出して来た。
シュルルルルルルルルルルルルルルル!!
「!?」
パシッ!!
「なっ!? しまっ・・・」
長く伸びたそれはセシウの右足を絡め捕り、一気に茂みの方へ引き寄せた。
「ぃたっ! ああああああああああ!?」
茂みの中へ引き寄せられた彼女は、少し開けた空間へと連れて行かれる。ここでさらに四方八方から別の長いものが複数現れた。それらは彼女の手足を絡め捕り、身体を大の字にした状態で宙吊りにしてしまう。
「ぐぅ・・・なんだ、これ・・・・・・触手?」
彼女を捕らえたそれは、紫色の触手だった。その先端の形は男の一物とそっくりである。不意に彼女の目の前に何者かが現れた。それは闇夜ではっきりとは見えないが、長髪でロングスカートが辛うじて見える。
(侵入者!?)
「ほほぅ・・・これは、これは・・・」
「!」
「あれほどではないが、なかなか器量のある娘だな・・・」
「き、貴様・・・!」
「そう急かすでない。じっくり可愛がってやろうぞ・・・」
「んぶぅ!?」
突如、触手の一本が彼女の口へと侵入した。これでは助けを呼ぶ声が出ない。そうしている間に、彼女の股の下では、別の触手が下着のパンツを引き千切った。
「ん〜〜!? んぅ〜〜!」
「美味しそうな蜜よのぉ・・・さぁて・・・」
「ん!? うぶぅ! んぅん〜〜!!」
相手のスカートの股下からもさらに一本の触手が出現し、その先端がセシウの秘裂へと向かう。それは躊躇なく彼女の純潔ごと一気に貫いた。
ブチィ!! メリメリ・・・
「んぐぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」
「よいぞ、生娘でありながらこの量の力! このような女子(おなご)は初めてよ!」
「んぅぅぅ・・・」
初めてを奪われて涙を流すセシウ。歓喜するそれは触手をさらに動かし、彼女の口内と股下の秘裂を突き刺す触手はリズムよくピストン運動を始めた。
グチュ、グチュ、グチュ、グチュ・・・
「んぅ、んぶ、んぶ、んん・・・」
「はぁ・・・微量ではあるが流れてきおる・・・」
彼女を陵辱するそれは口元を歪ませて微笑む。この時、彼女の首が外れてしまい、胴体の首から精力が漏れ出した。
「おや? これはいかんな・・・蓋をしてやろう」
「ん!? ぐぶぅ!! ぶほっ!?」
外れた胴体の首の穴へ3本の触手が入り込み、彼女は今までにない息苦しさを味合わされる。次第に動きが速まり、セシウの意識にも限界が訪れようとしていた。
「ん! ん! ん! ん!・・・」
「さぁ、味あわせて貰おう! そなたの力を!」
「うんぅ!?」
ドクンッ!!
彼女を犯していた触手が体内へ多量の白濁液を注ぎ込む。喉奥、首の食道、胎内に入りきらなかった量が溢れ出る。
「んぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」
信じがたい快感に見舞われたセシウは力尽きるように意識を失った。動かなくなった彼女を触手はゆっくりと拘束を解いていく。地面へ倒れた彼女の目には光がなく、時々痙攣していた。そんな彼女を見つめていた相手が月明かりによって姿を露わにする。
「このような存在がいようとは・・・丁度良い。奴を消すにはいい力よ。存分にいただこうか」
黒い長髪の女性は不気味に光る赤い目で屋敷を見つめた。
「あの透き通った“白雪”が特に良い・・・逃さぬぞ・・・」
微かに香る植物の匂いで、男子学生は意識を取り戻した。彼は大木に背中からもたれて、足を伸ばして座っている。意識を取り戻すと、彼は今までの出来事を思い返した。
(奴は・・・何をしたのだ?・・・もし、奴の言う通りならば・・・ここは・・・・・・!?)
考え込んでいる最中、彼はある気配を察知する。木々に遮られて見えないが、それは明らかに彼自身の方へと向かって来る。急いで立ち上がろうとした瞬間、右脇腹に激痛が走った。
「うぐっ!?」
(あの時に受けた傷か!?・・・こんな時に・・・)
触手の鞭で叩かれた箇所。受けた直後は痛みを無理やり術で抑えていたが、すでにその効果は薄れ、激痛に耐えながらその部分を左手で抑えた。
(力が・・・まずい・・・・・・この状態で戦う訳には・・・)
彼は口を噛みしめながら迫り来る気配の対処を考える。
(一か八か・・・)
彼は右手に青い光を収束させて札を出現させた。それを自身の目の前にある地面へ放り投げ、地中に仕込む。
(あとは・・・相手がひっかかるかどうかだな・・・)
暗闇に包まれた辺り一帯。その真正面を彼は見つめ続けた。
(・・・・・・・・・!?)
彼は向かって来る相手の姿に驚く。まだはっきりとは見えないが、角や翼、そして尻尾という人外なる存在の姿に気付いたからだ。
(物の怪?・・・見たことが無い奴だ・・・・・・奴の手先か?・・・)
そんな中、彼は今まで感じたことの無い力を相手から感じ取る。
(なんだこれ・・・・・・何かに似ている・・・何の力だ?・・・)
彼がそう考え込んでいる内に、あと5、6歩で相手は罠の仕掛けた地面に辿り着く。彼はすぐに右手の拳を握り、罠の起動準備をした。
(例え物の怪でも・・・直撃すれば・・・・・・)
彼は気を静めて集中し始める。相手が札の入った地面に足を踏み入れた瞬間、彼は握っていた右手の指を二本だけ立てた。
(囲め!)
バシュ! バシュ、バシュ、バシュ・・・
相手を囲むように地面から鉄の棒を出現させる。2m以上の長さの棒で囲み込んだ後、右手を顔の前に構えた。
(かかった!)
続けて相手の足元に青く輝いた五芒星の魔法陣を描き、持てる限りの力を魔法陣に注ぐ。
「どうやら一匹だけのようだな・・・」
「!」
「悪いがこちらも余裕がないんでね・・・これで決めさせてもらう!」
「しまっ・・・」
「浄化結界!」
キィィィィィィィィ・・・
彼は相手を討ち取ったと確信した。魔法陣から出来た円柱の光が彼女を包み込む。
バシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!
「なん・・・だ、と・・・・・・?」
「・・・?」
レンジェは目の前で起きたことに呆然としてしまう。目の前の男性は彼女を消し去ろうと罠を張り、まんまとそれにハマってしまった。
彼女は青い光に包まれたとき、“死”を覚悟した。
だが・・・・・・光が徐々に治まると、彼女の身体には何も起きていなかった。
特に外傷もなく、魔力も正常である。
彼が何をしたかったのか疑問に思うも、肝心の彼も何が起きたのか分からない様子だった。
(浄化結界が・・・無効化された!?・・・いや! 違う! むしろ効果がない!?)
「?」
驚愕する彼をレンジェはさらに見つめる。黒い服を上下に着た男性。前面を留める金色のボタンが縦に並び、若々しい髪形と顔が見えた。右の脇腹を抑える左手は怪我をしていることを示している。
「あの・・・」
「くっ!・・・ぐぅ!?」
「!」
突如、彼は苦痛の声を洩らし、歯を食い縛った。先程の罠の魔法陣へ残った力を使用することにより、抑えていた激痛と疲労が彼に襲い掛かる。あまりの唐突な苦痛に彼は耐え切れず、顔を俯かせて気絶した。
(こ・・・こま・・・で・・・・・・か・・・・・・・・)
「ちょっと!」
レンジェは思わず彼の傍に駆け寄り、相手の顔を覗く。すでに意識はなく、真っ青な表情で苦しそうな息切れをしていた。
「このままじゃまずいわ・・・」
「姫様〜!」
「!」
上空から聞こえた夢乃の声に、彼女は顔を振り向かせる。そこには照明魔法で辺りを照らす夢乃と、4人のサキュバス兵士が飛んで来た。彼女たちはレンジェのいる付近へやって来ると、男性の存在に気付く。
「姫様! その者は!?」
「ちょうどよかったわ。夢乃、この人を屋敷へ運びます。手伝ってください!」
「えっ? 一体な・・・」
「いいから手伝って、危険な状態なの! 長くは持たないわ!」
「しょ、承知!」
レンジェの一喝に夢乃が慌てて彼女の元へ近寄った。二人で協力して男性を抱えると、彼女たちは他のサキュバスとともにその場から立ち去る。静けさの増した森の木の一つがざわめいた。
ガサッガサッ・・・
町の屋敷へ戻ったレンジェ達は、男性をある個室のベットに横たわらせる。すぐに医者の魔女を呼びつけて、彼の容体を診断させた。
幼い少女の姿をした魔女が杖を振りかざし、魔法で男性の容体を伺う。数分後、診断を終えた魔女から『肋骨が折れている』と言われた。医者の魔女に薬を取りに行かせ、その間、レンジェと夢乃は彼に付き添うことにした。しばらくして、両開きの扉からディラハンのセシウともう一人の女性が部屋に入って来る。
「レンジェ様! 一体何事で・・・」
「セシウ、静かにしてください。怪我人が寝ているのですよ?」
「・・・失礼しました」
「また、厄介事を拾われたのですか?」
「ごめんなさいね、ヴィーラ」
レンジェはもう一人の女性に謝罪した。
彼女は“ヴィーラ・ラズベリート”レンジェの秘書であるヴァンパイアだ。動きやすそうな赤黒いドレスに、コウモリの羽のようなマント。そして、金髪のショートカットに紅い目でメガネをかけた女性。ちなみに彼女曰く“伊達メガネ”だそうだ。
ヴィーラはレンジェに叱りつけるような口調で尋ねる。
「どういった経緯でその青年を連れてきたか、包み隠さずお教えください」
(やばい・・・)
事情を説明すること数十分。
「・・・レンジェ様」
「・・・姫様」
「・・・領主様」
「あははは・・・」
セシウ、夢乃、ヴィーラはレンジェに対し、半ば呆れながら叱りつけた。
「レンジェ様! 笑い事じゃありませんよ!?」
「そうです! 姫様に何かあったら・・・某は自らの腹を切って詫びる所存です!」
「あなた様は、私たちのかけがえのない存在です。もし、領主様に何かあれば魔王様に顔向けできません」
「お、おお落ち着いて・・・私が悪かったです。ご迷惑をかけて申し訳ありません」
「そう思うのでしたら・・・領主様、もっとご自分をご自愛くださいませ」
「は、はい・・・」
3人に怒鳴られたレンジェはすこし落ち込んでしまう。レンジェと説教を終えた3人は改めて青年の姿を眺めた。彼女たちにとって容姿は普通ではあるが、その服装は全く見たことの無いデザインの黒い服だった。
「黒を強調した服装ですね。夢乃、あなたこんなジパング人を見ましたか?」
「いえ、セシウ殿。このような着物は初めて見ます」
「きっちりとした服装にも見えますが・・・ジパングで見た武士のご子息などが着ていたものとは違うようですね」
「・・・」
「・・・ん? 領主様?」
ヴィーラがレンジェの様子に不審に思って声を掛ける。彼女はいつも以上に真剣な眼差しで青年を見つめていた。
「・・・・・・・・・ぅ・・・」
「「「!」」」
「!」
「・・・く・・・・・・う・・・」
呻き声とともに青年が意識を取り戻す。目を覚ました彼は首だけを動かして、左側にいるレンジェ達を見た。慌てて動こうとして身体を動かすも、脇腹の激痛に悶え苦しんでしまう。
「ぐぅ!」
「動いちゃ駄目よ。肋骨が折れているから、しばらく安静にしないと・・・」
「くぅ・・・ふぅ・・・やはり、脆弱な身体だな・・・2、3本は折れてると思ったが・・・」
「医者が言うには5本折れているそうよ。むしろ、内蔵に刺さらなかったのが奇跡とも言っていたわ」
「そうか・・・」
レンジェの言葉で、彼は納得するかのように目を瞑って大人しくなった。再び彼はレンジェ達の方へ目を向ける。その目は常人とは違う鋭さがあった。
「どうやら俺が勘違いしたようだな・・・」
「?」
「君に危害を加えようとしてすまない。謝罪させてくれ」
「えっ?」
突然の青年からの謝罪にレンジェは顔少し赤らめてしまう。
「い、いえ・・・私の方こそ、不用心にあなたへ近付いてしまって・・・」
「それは違う。君はただ侵入者を見に来ただけであろう? 何も言わず訪問した俺が悪い・・・といっても自分で望んで来たわけでもないが・・・」
「!・・・やはり・・・」
「ここは・・・俺の居た世界ではないな?」
青年の質問にレンジェだけでなく、他の3人も耳を疑った。
「ま、まさか・・・」
「別の・・・世界?」
「にわかに信じがたいが・・・貴殿のその服装でそう判断せざるを得ないな。しかし、領主様」
「なんでしょう?」
「何故、別世界から来たと察したのですか?」
ヴィーラの問いにレンジェは当たり前のように答える。
「大気を揺るがすほどの衝撃。それは別世界から何かを召喚する際、その世界の空気まで召喚する可能性があります」
「空気まで?」
「別世界とこの世界の空気が全く同じである可能性は低い。もし、二つがぶつかり合えば、それは凄まじい衝撃を産むことになります」
「では! 某と姫様があそこで感じた振動は!」
「恐らく異世界から彼とともにその空気も召喚されたのでしょう。そうでもなければ、あのような凄まじい衝撃は起こりません」
「鋭い洞察力だ。白いお嬢さん」
レンジェの推察に褒める青年。彼女は照れ臭そうにしゃべり続けた。
「どうも。それと申し遅れました。私はレンジェ。魔王の娘であるリリムの1人です」
「レンジェ様の護衛騎士であるセシウ・キュアテッドだ」
「某の名は安佐伊 夢乃。夢乃と呼んでもらっても構いませぬ」
「レンジェ様の秘書であるヴィーラ・ラズベリートです。以後、お見知りおきを・・・」
「・・・そうだな。俺の名前は・・・玉川(たまがわ)、玉川 シンヤ・・・シンヤと呼んでもいい」
お互いにそれぞれ自己紹介をすると、レンジェが彼に質問する。
「それでは、シンヤさん。早速聞きたいのですが、どうやってこちらへ訪れたのでしょうか?」
「俺はある者と戦っていた。そいつが妙な術を使用すると、光に包まれてしまい、気が付けばあそこに居た」
「随分と簡単な話ですね。そのある者とは?」
「まぁ、君達にとって初めて聞く言葉かもしれんが、そいつは“妖”(あやかし)と呼ばれている」
「妖?」
彼の言う通りで、それを聞いた彼女たちはその言葉に聞き覚えが無かった。
「シンヤ殿はその妖とやらを討伐する最中に、こちらの世界へ紛れ込んだと?」
「そういうことになる」
「脇の骨折もそやつの仕業でしょうか?」
「不意打ちを食らってこのざまだ。なんとも情けない姿を晒してしまった」
気まずい答えに夢乃は黙ってしまう。ここでセシウが彼にあることを聞いた。
「大事なことなので聞きたい」
「どんなことだ?」
「我々の領主であるレンジェ様に危害を加えようとしたと言ったな? その理由をしゃべっていただこう」
「・・・単純な話だ。手負いの状態で近づいてくる者。危機的状況の中、敵であると思ったからだ」
「そうか・・・」
少し怒りの籠った質問だが、彼は気にせず答える。その時、部屋のドアが開いて、小柄な少女が入って来た。彼女はウィッチ帽子に白衣を着た姿の少女である。彼女がベットの近くにやって来ると、青年の無事な様子を見て微笑んだ。
「よかったです〜気が付かれたのです〜」
「君は?」
「初めまして〜医者であり、魔女のアイラです〜」
「どうも・・・玉川 シンヤだ・・・」
「よろしくです〜あと、これをどうぞです〜」
「?」
青年は少女が背伸びして差し出してきたタブレット錠の薬を受け取る。
「それは痛み止めと治癒効果の高い薬です〜」
「助かる」
「お礼はサバトに入ってくれるだけでいいです〜♪」
「さばと?」
「あれ? 知らないです〜?」
聞き慣れない言葉に頭を傾げる青年を見て、ヴィーラが白衣の魔女を抱えてドアに向かった。気になったレンジェが彼女の名を呼ぶ。
「ヴィーラ?」
「話がややこしくなるので、アイラを客室へ連れて行きます。後のことは任せますよ?」
「はい♪」
「です〜?」
彼女が出て行くと同時に、セシウも退出すると告げた。
「レンジェ様の出した警戒指示の解除を兵たちへ伝えなければならないので・・・」
「ああ、そうでしたね」
「すまないな。騒がせてしまって・・・」
「いえ、これも仕事ですのでお気になさらず・・・では、失礼します」
そう言ってセシウも部屋から退出する。青年は錠剤を口に放り込み、ゴクンと一気に飲み込んだ。残ったレンジェと夢乃は彼と話を続ける。
「正直に話すと、あの時は危害のある物の怪か何かだと思った。それで君を罠にはめた」
「多分、それをセシウの前で言ったら斬り付けられていたかも知れません」
「セシウ殿ならやりかねないですね」
「ところで・・・君らはどういった存在なのだ?」
「ああ、そうでしたね。では、まずこの世界について説明します」
青年は簡単な説明で、この世界について、魔物について聞く。それは彼自身も信じがたい話であった。
「なるほど・・・魔を統治する存在が共存を望む魔に代わり、その魔の影響で危害のない魔たちが出来上がったと・・・」
「某のような存在がそれです」
「そして・・・君が現在、魔を統治する王の娘“リリム”とな?」
「はい♪」
「・・・」
満面の笑顔で微笑むレンジェ。それを見ていた青年は表情を変えず、あることを考え込んだ。
(世界を変えるほどの王の娘・・・だから浄化結界が効かなかったのか?・・・それに魔力と言っていたな・・・彼女だけでなく・・・他の者たちも同じ力を持っている・・・)
「どうかされましたか?」
「いや、なんでも・・・げふっ! げほっ!」
「大丈夫ですか!?」
「ふぅ、大丈夫だ。少し咳き込んだぐらいだ」
「喉が渇いていませんか? お水を持ってきます」
レンジェはそう告げて部屋から出て行こうとする。慌てて夢乃が止めようと声を掛けた。
「姫様! 某が・・・」
「夢乃は彼に付き添っていて、すぐに戻るから♪」
「あっ、ちょっと姫様!」
静止の言葉を聞かず、レンジェは部屋から出て行ってしまう。残された二人はドアの方を見つめるしかなかった。
「ああいう性格なのか? それともリリムという存在だからなのか?」
「多分、両方だと思われます」
一方、屋敷の外ではサキュバスの兵士と話すセシウの姿があった。彼女は兵士に町の警戒の解除を伝えるよう指示を出す。伝令を受けた兵士は翼を拡げて空へと飛び去っていった。それを見送ったセシウは屋敷に戻ろうと、踵を返して歩き始める。
「やれやれ・・・これで一息つける」
・・・・・・ガサッガサッ・・・・・・
「?」
彼女は近くの茂みから微かに聞こえた音に足を止めた。音のあった茂みの方へ視線を向けるが、怪しいものは見当たらない。
(気のせいか?)
再び歩き出そうと足を進めた瞬間、茂みから何かが伸びるように飛び出して来た。
シュルルルルルルルルルルルルルルル!!
「!?」
パシッ!!
「なっ!? しまっ・・・」
長く伸びたそれはセシウの右足を絡め捕り、一気に茂みの方へ引き寄せた。
「ぃたっ! ああああああああああ!?」
茂みの中へ引き寄せられた彼女は、少し開けた空間へと連れて行かれる。ここでさらに四方八方から別の長いものが複数現れた。それらは彼女の手足を絡め捕り、身体を大の字にした状態で宙吊りにしてしまう。
「ぐぅ・・・なんだ、これ・・・・・・触手?」
彼女を捕らえたそれは、紫色の触手だった。その先端の形は男の一物とそっくりである。不意に彼女の目の前に何者かが現れた。それは闇夜ではっきりとは見えないが、長髪でロングスカートが辛うじて見える。
(侵入者!?)
「ほほぅ・・・これは、これは・・・」
「!」
「あれほどではないが、なかなか器量のある娘だな・・・」
「き、貴様・・・!」
「そう急かすでない。じっくり可愛がってやろうぞ・・・」
「んぶぅ!?」
突如、触手の一本が彼女の口へと侵入した。これでは助けを呼ぶ声が出ない。そうしている間に、彼女の股の下では、別の触手が下着のパンツを引き千切った。
「ん〜〜!? んぅ〜〜!」
「美味しそうな蜜よのぉ・・・さぁて・・・」
「ん!? うぶぅ! んぅん〜〜!!」
相手のスカートの股下からもさらに一本の触手が出現し、その先端がセシウの秘裂へと向かう。それは躊躇なく彼女の純潔ごと一気に貫いた。
ブチィ!! メリメリ・・・
「んぐぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」
「よいぞ、生娘でありながらこの量の力! このような女子(おなご)は初めてよ!」
「んぅぅぅ・・・」
初めてを奪われて涙を流すセシウ。歓喜するそれは触手をさらに動かし、彼女の口内と股下の秘裂を突き刺す触手はリズムよくピストン運動を始めた。
グチュ、グチュ、グチュ、グチュ・・・
「んぅ、んぶ、んぶ、んん・・・」
「はぁ・・・微量ではあるが流れてきおる・・・」
彼女を陵辱するそれは口元を歪ませて微笑む。この時、彼女の首が外れてしまい、胴体の首から精力が漏れ出した。
「おや? これはいかんな・・・蓋をしてやろう」
「ん!? ぐぶぅ!! ぶほっ!?」
外れた胴体の首の穴へ3本の触手が入り込み、彼女は今までにない息苦しさを味合わされる。次第に動きが速まり、セシウの意識にも限界が訪れようとしていた。
「ん! ん! ん! ん!・・・」
「さぁ、味あわせて貰おう! そなたの力を!」
「うんぅ!?」
ドクンッ!!
彼女を犯していた触手が体内へ多量の白濁液を注ぎ込む。喉奥、首の食道、胎内に入りきらなかった量が溢れ出る。
「んぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」
信じがたい快感に見舞われたセシウは力尽きるように意識を失った。動かなくなった彼女を触手はゆっくりと拘束を解いていく。地面へ倒れた彼女の目には光がなく、時々痙攣していた。そんな彼女を見つめていた相手が月明かりによって姿を露わにする。
「このような存在がいようとは・・・丁度良い。奴を消すにはいい力よ。存分にいただこうか」
黒い長髪の女性は不気味に光る赤い目で屋敷を見つめた。
「あの透き通った“白雪”が特に良い・・・逃さぬぞ・・・」
12/10/20 18:27更新 / 『エックス』
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