物乃怪複鳥草紙 ー影娘乃巻ー
「ういっくっ・・・。」
瓢箪を片手に持ち、もう片方には無数の傷が付いた木刀を握り千鳥足になりながら眼下の光景を見る。
月明かり、星明り、落ちて紙と竹組みに燃え移った提灯の火が照らす地面。
数打ちの刀と襤褸の着流しを身に着けた男達が口から唾液を垂らし、白目をむいて倒れているだけ。
「あんたら・・・、浪人かい?それとも・・・、追い剥ぎの賊かい?どちらにしろなんで俺が死んでないんだ?」
言葉を漏らしたところで答えてはくれない。
自分で打ちのめした成れの果てなのだから。
「けっ・・・。また生き残っちまった。しょうがない奉行所の前に捨てとくか。」
寝転がってる男三人を一人担ぎ、二人担ぎ、三人目は着物の襟首を掴んで引き摺り町場の役所がある方へと歩いていく。
土と着流しが擦れる音、二人分の重み。
慣れてしまったことでの鈍りを感じながら日が落ちて寝息や淫声がそこらから耳に届く長屋街へとやってきた。
奉行所まで後少しと、歩を進めようとすると・・・。
「そこの主。こんな夜明けに何をしておる?」
明かりを手に巡回していた役人に声をかけられる。
「おぅ、丁度良かった。お役人殿、こいつらお願いしますわ。」
「ぬっ?こやつらは・・・。」
「人が酒を飲んで気持ち良く塒へ帰ろうとしてたのを邪魔してきたんですよ。」
担いでいた奴、引き摺ってきた奴を目の前に出して事情を説明していく。
「いきなり抜刀して、何も言わずに斬りかかってきたんで思わず伸しっちまったんで・・・。」
「一人でか?それにしてもこの人相・・・。」
「はい、街道の外れや裏で盗みや殺しをしていた下手人の描き絵と一致します。」
「ここまで持ってきたんで、後任せますわ。」
荷が降りたので塒へ引き返そうとすると肩を掴まれてしまう。
「待て待て、お前さん。名ぐらい聞かせてくれないか?」
「お耳を汚す名ですんで、勘弁してください。」
手を解き、ひらひらと掌を振ってその場を後にして自分の来た道を戻っていき。
長屋街から少し離れたところで腰に付けた瓢箪を取り、栓を抜いて中にはいっている碁仙鬼で喉を潤すと、再び歩き始めた。
名か、先程尋ねられた事をふと思い出す。
石畳が土へと変わり茶の敷物にぽつりぽつりと緑が顔を出してきた。
道を進みながら口からは己を識別する名称が零れる。
「黒翼、か・・・。」
春が吹き、夏が昇り始める時期。
風は温かいが自分の名を言った心は寒く冷たい。
優しく包んでくれる今夜の満ちた月を尻目に整備された街道とは違う裏の道。
人の滅多に通りはせずに獣道と化した旧道の草を踏んで進んでいく。
暫く行くと木々の数が増えていき、更に歩いていくと左手に暗く緑に隠れているが石段が置かれている場所へと辿り着いた。
酔いが回って千鳥な足を面倒だが一回一回と上げていき、段を上り目的の場所を目指す。
次第に見えてくる朽ちた瓦と骨組み剥き出しの屋根、数を重ねることに事に姿を露わにしていく塒。
廃寺というか廃社というか、今にも崩れ落ちそうな建物が出迎えてくれ。
その中へ入って床が軋む音を鳴らしながら適当な所へ腰を落ち着かせ、そのまま寝転がる。
酔っていた性もあってか、目蓋を下ろすと程なく意識は落ちていった。
霞がかった視野、虚ろな思考。
それは眼前に広がる光景を受けいれるには充分な条件で。
土手の上に構えられた茶屋、田の真ん中にある庄屋、稲を植え付けている知った顔や畦道を走り回り無邪気に遊ぶ子供達。
懐かしき郷が、生まれ育った土地がそこにはある。
百を超えるかどうかの小さな集落、だけれど人妖寄り添って細々と暮らしてた場所に、村の入り口ともいえる土手の上に俺は立っていた。
帰ってきたのだと歓喜に震え、目尻に涙が溜まろうとするがそれは溢れ出すこともなく。
自身の感情を無視するかように足は進んでいき、何かを成そうとしている。
駆け寄ってきた子供達の頭を撫で、擦れ違う顔見知りと会話をし、馴染みからの飲み誘いを断り、向かう先は庄屋の屋敷。
そこまできて、これが何を示しているのか理解できた。
俺は悪夢を見ているのだ。
目的地に辿り着き、家へと上げられ応接の間で主と会う、この時に交わした会話の内容は今も覚えている。
だが、夢の顛末を知っている身として、こんな話よりもすべき事が言わねばならぬ事があるのに口はつまらぬ事を喋り、真に伝えようとしたいことを吐いてはくれない。
一頻り話終えるとその場から立ち上がり、庄屋の屋敷を後にした。
次は、父と母に顔を見せに行ったはずだ。
村を出て領主様の元で働いている俺は実家に帰る機会が少なく、有事を伝える時ぐらいにしか顔を見せられない。
家に帰り、久方振りに会う父と母に心配の言葉をかけられ。
職業上仕方が無いいつも通りの返しをしていると後ろから叱りの声が飛んでくる。
振り向くとそこには一人の女性がいた。
恋仲であり、婚姻を結ぼうと約束し、村に置いて行ってしまった愛しい人。
蓮だ。
抱き締めたくなる衝動に駆られるが、無論身体は動いてくれず。
言い訳をする俺に呆れた口調で彼女は反論で言い負かし、そして笑い合う。
最後に微笑み、身体を気を使ってくれたところで全てを塗り替えたあの音が村に木霊した。
砲撃の着弾する音が、家の中まで響き渡る。
そうこれが 悪夢といった理由。
後に分かった事だが、水の京を有する国が火の京を有する俺達の国に攻め込んできたらしいのだ。
この時は只々頭が混乱し、家族を蓮を避難できそうな麓の社に移動する事を促し自らは逃げ遅れた村人を助けることしか考え浮かばなかった。
田畑に火を放ち、家々を焼き。
老若男女、命乞いする者を無言で斬り捨て紅く濡れそぼった刃を持った武者が赤い炎を背に侵略している光景が広がっていく中を刃を交え、多勢に無勢を押し除けて駆け回っていく。
息のある者を抱え、逃げ遅れた者を導き、少数で動き回っている敵をかき回しながら出来る事をと、出来る事をとしていると。
一番の要、村の人間、物乃怪が全て避難している社が吹き飛んだ。
血の気が引いていくのが感じられる。
有事の際はあそこに集まり、護り神である龍神が全てから守ってくれる手筈なのだが。
その場所が跡形も無く消えた。
何かの間違いだと、きっと全員が無事であると。
自分の目で確かめなければと社のあった方へ急ごうとすると背後から馬の嘶きと共に一人の武者が現れる。
刀を抜き、高らかに声を上げ刃を向けてくるが、今はそんなことに構ってなどいられない。
早くこの目で見ない事にはと、こちらの俺にはどうなっているのか分かりきっていたがもしかしたらという僅かな望みが心を焦らせていく。
構え合い、隙を探してお互い不動となり。
炎の波が揺らめき、大きく飛沫を上げたところで一閃は放たれ。
俺の身体から赤い体液が飛び散り、紅蓮の絨毯へと命は沈んでいった。
「うぐぅあ!」
声を上げて意識を呼び戻されると、そこはいつもの塒、誰もいない朽ちた社の中。
炎もなければ、故郷も無く、こちらが仕留めたはずの騎馬武者もいない。
「はぁはぁはぁ・・・。何度目だ・・・。」
幾度となく見た絶望、知らせることも逃がすことも、まして助けることも出来ずに自身の命が果てることで完幕が降りる悪夢。
そして・・・。
「蓮・・・。やはりお前が恋しいよ・・・。」
今は亡き者への想い、人肌の恋しさを感じる。
あの略奪で国は土地の四分の三を焼かれ生きている者には希望さえも残されなかった。
物資の無い状態での冬越え、飢餓と寒さを耐えれる者は少なく弱ったものから去っていく。
俺の郷で残った者は自分しかなく、社には人妖含む人々の影も無い状態。
蛻の殻となった村、この場所にいる事が辛く耐えれることが出来ず、領主様の元へ逃げ帰るとそこでも同じ光景が待っており。
行き場をなくした俺は流れに流れて土の京を有する国でこんな有様になったという訳だ。
逃げ出した弱さを憎み、生きている事を呪い、あの夢通りに斬られていればと虚空を見る。
寝汗に濡れ、火照る身体と渇く喉を潤す為に瓢箪を取ろうとすると、月明かりに照らされて社の中へと伸びてきた影に気付く。
塒を共有している者等いないし、新参者や迷い人がここに来たのかと目線をその持ち主へと向けると俺は言葉を失った。
「なっ・・・。」
そこには絶対にいない、いや居てはいけない人物が立っていたのだ。
「蓮・・・。」
淡い桃色の小袖を着て、小柄な顔に華奢な身体。
紅を塗らずとも白い肌に映える唇は何度となく目を擦り見直しても三年前の戦火で両親と共に消えた蓮そのもの。
「黒翼・・・。」
幽霊か、妖怪か物乃怪か。
頭の中に思い付く限りの単語が出てくるが今はそんなことどうだっていい。
腰を上げ、渇きすら忘れて彼女の傍へと駆け寄っていき。
「蓮!!」
力一杯抱擁して、肉体を感じ纏っている香りを肺に満たし夢ではない現つを確認する。
「会いたかった。会いたかったわ。」
お互いに涙を浮かべ、名を呼び合って出会えた事に再会を喜びに誰ともなく感謝した。
そして俺達は温もりを求め合い・・・。
布が擦れる音と共に斬り傷だらけの身体と陶磁器のように白く透き通った肌を晒して肉同士が重なっていく。
久方振りの口付け、口唇を貝の如く密着させて一滴の液も零さずに舌を這わせる。
蓮の蠢くものに絡ませ扱いてこちらの唾液を擦り付けたり、先端部分で側面を掻いてやり悦を引き出す。
「ん!?んぅ・・・。んんぅ。」
頬は上気し、うっとりと快に身を任せ。
腰に当てられていた手は背へと移動し、腕に力を込められてより身体が合わさっていき、彼女の慎ましい形の良い乳房が胸板へと当たり柔らかい感触と共に押し潰されていった。
固い二つの突起が肉板の上を転がり、溶けていく表情の中で無意識なのか強く吸い付きだして生成される水分を啜りだす。
間で戯れていた舌が蓮の口へと寄せられて歯による甘噛みをされ軽く跡の付いた箇所を優しく舐めて刺激を与えてくれる。
それは電流のように肩や背筋から全身に伝わっていき、最初の行為から固くなっていったイチモツは更に張り上がり熱く脈を打っていた。
閉じた貝が開き、次の段階へと進みたく彼女に確認を取ろうとすると股に湿り気を感じ指を這わせ蓮の顔を見ると恥ずかしそうに目を反らし。
辿り着いた場所からは粘性のある蜜が触れられた事によって漏れた媚声が手と耳に届く。
「気持ち良かったのか?」
「・・・、うん。」
「じゃあ、もっと良くなろう。」
「ええ、きて・・・。」
薄暗い廃社の中、外には月と星しかなく木や草は眠り虫は鳴き声さえない二人だけの空間で雄と雌は繋がり合う。
肉棒を蜜壷の入り口へ宛がい、腰を落として重を掛け秘肉の内へと男根を沈めていくと。
「入って・・・。入ってきてる!きっ、きつい!」
「熱いよ。連の中・・・、溶けそうだ。」
熱を帯びた淫肉は押し出そうと膣を狭く閉ざそうとするが、鉄の如く硬くなっている魔羅は排除できない。
むしろその現象はイチモツを締め付けていく形となり股から悦が全身へと走っていきもっとこの感覚を味わいたいと奥へと進めていく。
肉を掻き分けて入れていくと、弾力のある先端に当たる。
一度だけ経験したことのある感触に、この娘は蓮ではないのだなと実感が沸いた。
「そ、それ私の・・・。」
「破るけど、いいかい?」
「貴方の私だもの。いいに決まってるじゃない。」
健気に愛しい人のふりをしてくれる彼女に申し訳なさとここまでしてくれている感謝の念で体重を乗せ最深部へとイチモツを導いていき。
「っ・・・。入ったぞ。」
「そ、そうね。黒翼のがここにあるのね。」
壁ともいえる子宮口に男根が届くとそこで一度、動く事を止める。
人化している時は生娘と同じなのか薄っすらと脂汗を浮かべ呼吸の中に苦痛の色が窺えたからだ。
「落ち着くまで少し待とうな。」
「ありがとう。でも大丈夫よ、動いて・・・。」
自分の快よりも俺の悦を気にかけてくれる蓮の姿をした女性に心は潤い。
彼女に出来る限り痛みを与えないようにゆっくりと肉棒を引き媚肉を掻き、押し込めて淫肉を広げていく動作を繰り返していった。
それに応え肉壁も強い刺激とならないが絡み付いて、愛液を大量に分泌しながら扱いてくれる。
「蓮・・・、気持ちいいか?」
「気持ちいい・・・、もっと欲しい・・・。」
蓮が言わないような淫らなおねだり。
その言葉に負けて腰を動かす速度を上げていく。
早くなることでお互いに与え合う悦の度合いは大きくなり生成された汁は膣に納まりきらないとばかりに溢れ出て、肉と肉がぶつかる音も廃社に響く程になっていた。
また早く動いてるということは与えられる刺激も強くなっていき。最初の方から蓄積されていた快に拍車がかかり限界が近付いてくる。
「っう・・・。射精そうだ。」
「でるの?でちゃうの?膣に頂戴!貴方の子を孕みたいの!」
自分の子を産みたい、男冥利に尽きる言葉だ。
そういわれると彼女と共に達したくなり、込みあがってくるものを我慢して蜜壷の中を掻き回す。
「はぅ・・・。こ、黒翼?」
「一緒だ。一緒にいこう。」
「あふぅ・・・。う・・・、うれし・・・。い!あん!」
魔羅の出し入れは更に速くなり、舌を頬や耳に這わせて蓮の感度が良い場所を探していく。
「ひゅん!みみ・・・!だめぇ・・・!」
本人と同じ部分が弱いらしく、その部分も含めて彼女を高みへと導いていき。
「き、きちゃう・・・。なにかきちゃうわ・・・。」
「俺も、もう・・・。」
流石に塞き止めることも無理となり、最後の一突きと言わんばかりに腰を引き。
打ち付けて精を放った。
「ううっ!」
「ああぁ!あくぅ!」
熟されて待ち侘びた射精は頭の中が焼け付くほどの快楽を生み出し、熱く大量の子種が秘肉へと流れ込み蓮を満たして。
「あついのがながれてきて・・・。また・・・、いっ。くううぅ!」
更に絶頂を体感させ痙攣を起こした膣壁は搾り取る様に男根を締め付けてくる。
「・・・。」
「・・・。」
言葉も出ない位に俺と彼女は悦に浸り、身体を密着させて今を感じあった。
暫く時間が経ち、息は整わないが会話が出来るまでに落ち着いていき。
仰向けに寝転がって事後の余韻を味わっている中で、一つの言葉が漏れていく。
「ありがとう・・・。」
「えっ?」
何に対していっているのか分からないといった返事がくるが構わずに話を進めつつ、蓮へと化けてくれている女性を胸元へと引き寄せる。
「そして君は誰なんだい?」
「!?」
突然放たれた言葉に、彼女の顔から快と悦の色が消えていき逃げ出そうとするが、腕の中に包まれている状態ではそれは容易ではない。
「責めている訳じゃない。ここまでしてくれた事に、献身的に接してくれた事に礼を言いたいんだ。蓮の姿でなく、本当の姿の君に・・・。」
なんとか引き剥がして俺から離れようとしていたが、その話を聞くと抵抗をやめて涙目になりながら顔を胸板へと埋めてきて。
「嫌わない?」
「なぜさ。君は救ってくれた。心が渇いてた俺に潤いをくれたんだ。嫌いになる訳がない。」
「絶対よ?」
「ああ。」
そういうと、彼女から黒い靄が溢れ出し身体を包むと抱いていた蓮の肉体に変化が起こり、形が変わっていく。
華奢な体付きは更に細っていき、触れていた股も縮んでゆく感触が伝わってくる。
そして、覆ったものが晴れると一回り程小さな女性というより女の子と呼ぶ方がしっくりとくる娘がいた。
「黒翼さん・・・。」
口調も変わり、どこかたどたどしい雰囲気でこちらを見てくる。
こんなにも小柄でか弱そうな子が俺の為に性交までしてくれたのか。
それが愛おしくてしょうがなくなり。
彼女を抱き締め。
「えっ!?どうしたんですか?」
「君のそのままの姿を愛したい。」
「貴方の想い人じゃないんですよ?こんな地味な子なんですよ?いいんですか?」
「君じゃなければ駄目なんだ。蓮は、もうこの世にはいないのだから・・・。」
心に巣食う何かを消し去る為に、彼女に了承を得る。
己の身勝手なお願いだったが、悟るように一言だけいってくれた。
「心一杯・・・。愛してください。」
「ありがとう。」
軽く口付けをして、身体を起こして秘所にイチモツを宛てがうと、ゆっくりと体重に身を任せて膣内へと男根を入れていく。
「いぐぅ・・・。お、大きいです・・・。」
「大丈夫か?」
「先程の行為で濡れてますので、ちょっときついだけですから構わずに動いてください。」
「いや・・・。」
苦しそうな表情に少しでも楽にしてやりたくて、荒い息遣いの彼女に今度は深い口付けをする。
変化していた時とは違い、積極的ではなくされるがままの受身の接吻。
舌を絡め、唾液を送ってやるとゆっくりと飲み込み喉が鳴っていき、締め千切るほどの力が肉棒へと伝わってきた。
接吻だけで身体が反応し、快楽を感じてくれてるらしい。
その事が嬉しく、続けて吸い付いて舌を扱いてやると身体が震えて一時の間、蜜壷の圧が高くなる。
軽く気をやってしまったのかと思っていると、口唇を離して、言い辛そうに言葉を口に含む。
「・・・、動いていいか?」
「はい!お願いします!」
口に出すことが恥ずかしかったのだろう。
彼女の意図を汲みとり、こちらから動いていく。
「あぁ・・・、あぁ・・・、あぁ・・・。」
速度を上げず遅く動かしていくと、光悦の表情を浮かべ、うっとりと与えられる快楽に身を委ねていき肉壁もそれに呼応するように優しくイチモツに絡みつき刺激を伝えてくれ俺も心地がいい。
「ふあぁ・・・、いい!いいの!貴方のいい!」
気が付くとこの娘も自ら腰の上げ下げをしていて、次第に互いの動きは激しさを増して求め合いだす。
「黒翼さん!はげしいです!どうにか!どうにかなりそう!」
「なってくれ!俺のために!君のために!」
溢れ出て泡となる先程の精、それを洗い出す程に滴り肉を塗らす愛液。
淫肉と獣肉がぶつかり、水の跳ねる音が再び社の中に響き渡り耳へと届くと高い興奮と鳴り、更に動きは大きく速くなる。
「こ、これ以上されたら・・・。きます!またきちゃいます!」
「俺も・・・、もう射精そうだ。」
高みへと、雄と雌は再び目指す為に言葉も忘れて、只ひたすらに肉欲を貪り。
そして・・・。
「くあぁ!いくっうぅ!」
「うっ!!」
果てていった。
暗い闇に朝を告げる陽が射す頃合い。
目蓋に当たる光に意識を戻す。
夢だったのか、どこまでが夢なのかと途中から曖昧となったが・・・。
「これは現だよな・・・。」
身体に抱き付いて、安らかな寝息を立てている彼女がいた。
可愛い顔をして寝ている娘に新たな生きる糧ができたことを感じ髪を触っていると。
「黒翼殿・・・。」
外から誰かが呼んでいる。
俺の第二の物語が始まりだしたとそんな気がした。
あの出会いから五年の歳月が流れ、彼女は今も傍で支えてくれていて。
俺達は夫婦となった。
契りの夜が明け、朝に名を呼んでいたのは火の京を有する国の使い。
戦乱で散り散りとなった領民や土地を治めていた役人の生き残りを国の再興の為に探していたらしいのだ。
俺のその話に乗り、焼き払われた故郷を元の姿に戻すために働いている。
「あなた。お昼にしましょう。」
「ああ、睡蓮。ありがとう。」
想いから生まれ名の無い影娘を睡蓮と呼び、共に住み共に過ごし生きていく。
蓮との愛は離れてしまったが、清純な心で尽くし優しく信頼してくれる彼女と新たな愛を育んでいこう。
共に果てるまで・・・。
瓢箪を片手に持ち、もう片方には無数の傷が付いた木刀を握り千鳥足になりながら眼下の光景を見る。
月明かり、星明り、落ちて紙と竹組みに燃え移った提灯の火が照らす地面。
数打ちの刀と襤褸の着流しを身に着けた男達が口から唾液を垂らし、白目をむいて倒れているだけ。
「あんたら・・・、浪人かい?それとも・・・、追い剥ぎの賊かい?どちらにしろなんで俺が死んでないんだ?」
言葉を漏らしたところで答えてはくれない。
自分で打ちのめした成れの果てなのだから。
「けっ・・・。また生き残っちまった。しょうがない奉行所の前に捨てとくか。」
寝転がってる男三人を一人担ぎ、二人担ぎ、三人目は着物の襟首を掴んで引き摺り町場の役所がある方へと歩いていく。
土と着流しが擦れる音、二人分の重み。
慣れてしまったことでの鈍りを感じながら日が落ちて寝息や淫声がそこらから耳に届く長屋街へとやってきた。
奉行所まで後少しと、歩を進めようとすると・・・。
「そこの主。こんな夜明けに何をしておる?」
明かりを手に巡回していた役人に声をかけられる。
「おぅ、丁度良かった。お役人殿、こいつらお願いしますわ。」
「ぬっ?こやつらは・・・。」
「人が酒を飲んで気持ち良く塒へ帰ろうとしてたのを邪魔してきたんですよ。」
担いでいた奴、引き摺ってきた奴を目の前に出して事情を説明していく。
「いきなり抜刀して、何も言わずに斬りかかってきたんで思わず伸しっちまったんで・・・。」
「一人でか?それにしてもこの人相・・・。」
「はい、街道の外れや裏で盗みや殺しをしていた下手人の描き絵と一致します。」
「ここまで持ってきたんで、後任せますわ。」
荷が降りたので塒へ引き返そうとすると肩を掴まれてしまう。
「待て待て、お前さん。名ぐらい聞かせてくれないか?」
「お耳を汚す名ですんで、勘弁してください。」
手を解き、ひらひらと掌を振ってその場を後にして自分の来た道を戻っていき。
長屋街から少し離れたところで腰に付けた瓢箪を取り、栓を抜いて中にはいっている碁仙鬼で喉を潤すと、再び歩き始めた。
名か、先程尋ねられた事をふと思い出す。
石畳が土へと変わり茶の敷物にぽつりぽつりと緑が顔を出してきた。
道を進みながら口からは己を識別する名称が零れる。
「黒翼、か・・・。」
春が吹き、夏が昇り始める時期。
風は温かいが自分の名を言った心は寒く冷たい。
優しく包んでくれる今夜の満ちた月を尻目に整備された街道とは違う裏の道。
人の滅多に通りはせずに獣道と化した旧道の草を踏んで進んでいく。
暫く行くと木々の数が増えていき、更に歩いていくと左手に暗く緑に隠れているが石段が置かれている場所へと辿り着いた。
酔いが回って千鳥な足を面倒だが一回一回と上げていき、段を上り目的の場所を目指す。
次第に見えてくる朽ちた瓦と骨組み剥き出しの屋根、数を重ねることに事に姿を露わにしていく塒。
廃寺というか廃社というか、今にも崩れ落ちそうな建物が出迎えてくれ。
その中へ入って床が軋む音を鳴らしながら適当な所へ腰を落ち着かせ、そのまま寝転がる。
酔っていた性もあってか、目蓋を下ろすと程なく意識は落ちていった。
霞がかった視野、虚ろな思考。
それは眼前に広がる光景を受けいれるには充分な条件で。
土手の上に構えられた茶屋、田の真ん中にある庄屋、稲を植え付けている知った顔や畦道を走り回り無邪気に遊ぶ子供達。
懐かしき郷が、生まれ育った土地がそこにはある。
百を超えるかどうかの小さな集落、だけれど人妖寄り添って細々と暮らしてた場所に、村の入り口ともいえる土手の上に俺は立っていた。
帰ってきたのだと歓喜に震え、目尻に涙が溜まろうとするがそれは溢れ出すこともなく。
自身の感情を無視するかように足は進んでいき、何かを成そうとしている。
駆け寄ってきた子供達の頭を撫で、擦れ違う顔見知りと会話をし、馴染みからの飲み誘いを断り、向かう先は庄屋の屋敷。
そこまできて、これが何を示しているのか理解できた。
俺は悪夢を見ているのだ。
目的地に辿り着き、家へと上げられ応接の間で主と会う、この時に交わした会話の内容は今も覚えている。
だが、夢の顛末を知っている身として、こんな話よりもすべき事が言わねばならぬ事があるのに口はつまらぬ事を喋り、真に伝えようとしたいことを吐いてはくれない。
一頻り話終えるとその場から立ち上がり、庄屋の屋敷を後にした。
次は、父と母に顔を見せに行ったはずだ。
村を出て領主様の元で働いている俺は実家に帰る機会が少なく、有事を伝える時ぐらいにしか顔を見せられない。
家に帰り、久方振りに会う父と母に心配の言葉をかけられ。
職業上仕方が無いいつも通りの返しをしていると後ろから叱りの声が飛んでくる。
振り向くとそこには一人の女性がいた。
恋仲であり、婚姻を結ぼうと約束し、村に置いて行ってしまった愛しい人。
蓮だ。
抱き締めたくなる衝動に駆られるが、無論身体は動いてくれず。
言い訳をする俺に呆れた口調で彼女は反論で言い負かし、そして笑い合う。
最後に微笑み、身体を気を使ってくれたところで全てを塗り替えたあの音が村に木霊した。
砲撃の着弾する音が、家の中まで響き渡る。
そうこれが 悪夢といった理由。
後に分かった事だが、水の京を有する国が火の京を有する俺達の国に攻め込んできたらしいのだ。
この時は只々頭が混乱し、家族を蓮を避難できそうな麓の社に移動する事を促し自らは逃げ遅れた村人を助けることしか考え浮かばなかった。
田畑に火を放ち、家々を焼き。
老若男女、命乞いする者を無言で斬り捨て紅く濡れそぼった刃を持った武者が赤い炎を背に侵略している光景が広がっていく中を刃を交え、多勢に無勢を押し除けて駆け回っていく。
息のある者を抱え、逃げ遅れた者を導き、少数で動き回っている敵をかき回しながら出来る事をと、出来る事をとしていると。
一番の要、村の人間、物乃怪が全て避難している社が吹き飛んだ。
血の気が引いていくのが感じられる。
有事の際はあそこに集まり、護り神である龍神が全てから守ってくれる手筈なのだが。
その場所が跡形も無く消えた。
何かの間違いだと、きっと全員が無事であると。
自分の目で確かめなければと社のあった方へ急ごうとすると背後から馬の嘶きと共に一人の武者が現れる。
刀を抜き、高らかに声を上げ刃を向けてくるが、今はそんなことに構ってなどいられない。
早くこの目で見ない事にはと、こちらの俺にはどうなっているのか分かりきっていたがもしかしたらという僅かな望みが心を焦らせていく。
構え合い、隙を探してお互い不動となり。
炎の波が揺らめき、大きく飛沫を上げたところで一閃は放たれ。
俺の身体から赤い体液が飛び散り、紅蓮の絨毯へと命は沈んでいった。
「うぐぅあ!」
声を上げて意識を呼び戻されると、そこはいつもの塒、誰もいない朽ちた社の中。
炎もなければ、故郷も無く、こちらが仕留めたはずの騎馬武者もいない。
「はぁはぁはぁ・・・。何度目だ・・・。」
幾度となく見た絶望、知らせることも逃がすことも、まして助けることも出来ずに自身の命が果てることで完幕が降りる悪夢。
そして・・・。
「蓮・・・。やはりお前が恋しいよ・・・。」
今は亡き者への想い、人肌の恋しさを感じる。
あの略奪で国は土地の四分の三を焼かれ生きている者には希望さえも残されなかった。
物資の無い状態での冬越え、飢餓と寒さを耐えれる者は少なく弱ったものから去っていく。
俺の郷で残った者は自分しかなく、社には人妖含む人々の影も無い状態。
蛻の殻となった村、この場所にいる事が辛く耐えれることが出来ず、領主様の元へ逃げ帰るとそこでも同じ光景が待っており。
行き場をなくした俺は流れに流れて土の京を有する国でこんな有様になったという訳だ。
逃げ出した弱さを憎み、生きている事を呪い、あの夢通りに斬られていればと虚空を見る。
寝汗に濡れ、火照る身体と渇く喉を潤す為に瓢箪を取ろうとすると、月明かりに照らされて社の中へと伸びてきた影に気付く。
塒を共有している者等いないし、新参者や迷い人がここに来たのかと目線をその持ち主へと向けると俺は言葉を失った。
「なっ・・・。」
そこには絶対にいない、いや居てはいけない人物が立っていたのだ。
「蓮・・・。」
淡い桃色の小袖を着て、小柄な顔に華奢な身体。
紅を塗らずとも白い肌に映える唇は何度となく目を擦り見直しても三年前の戦火で両親と共に消えた蓮そのもの。
「黒翼・・・。」
幽霊か、妖怪か物乃怪か。
頭の中に思い付く限りの単語が出てくるが今はそんなことどうだっていい。
腰を上げ、渇きすら忘れて彼女の傍へと駆け寄っていき。
「蓮!!」
力一杯抱擁して、肉体を感じ纏っている香りを肺に満たし夢ではない現つを確認する。
「会いたかった。会いたかったわ。」
お互いに涙を浮かべ、名を呼び合って出会えた事に再会を喜びに誰ともなく感謝した。
そして俺達は温もりを求め合い・・・。
布が擦れる音と共に斬り傷だらけの身体と陶磁器のように白く透き通った肌を晒して肉同士が重なっていく。
久方振りの口付け、口唇を貝の如く密着させて一滴の液も零さずに舌を這わせる。
蓮の蠢くものに絡ませ扱いてこちらの唾液を擦り付けたり、先端部分で側面を掻いてやり悦を引き出す。
「ん!?んぅ・・・。んんぅ。」
頬は上気し、うっとりと快に身を任せ。
腰に当てられていた手は背へと移動し、腕に力を込められてより身体が合わさっていき、彼女の慎ましい形の良い乳房が胸板へと当たり柔らかい感触と共に押し潰されていった。
固い二つの突起が肉板の上を転がり、溶けていく表情の中で無意識なのか強く吸い付きだして生成される水分を啜りだす。
間で戯れていた舌が蓮の口へと寄せられて歯による甘噛みをされ軽く跡の付いた箇所を優しく舐めて刺激を与えてくれる。
それは電流のように肩や背筋から全身に伝わっていき、最初の行為から固くなっていったイチモツは更に張り上がり熱く脈を打っていた。
閉じた貝が開き、次の段階へと進みたく彼女に確認を取ろうとすると股に湿り気を感じ指を這わせ蓮の顔を見ると恥ずかしそうに目を反らし。
辿り着いた場所からは粘性のある蜜が触れられた事によって漏れた媚声が手と耳に届く。
「気持ち良かったのか?」
「・・・、うん。」
「じゃあ、もっと良くなろう。」
「ええ、きて・・・。」
薄暗い廃社の中、外には月と星しかなく木や草は眠り虫は鳴き声さえない二人だけの空間で雄と雌は繋がり合う。
肉棒を蜜壷の入り口へ宛がい、腰を落として重を掛け秘肉の内へと男根を沈めていくと。
「入って・・・。入ってきてる!きっ、きつい!」
「熱いよ。連の中・・・、溶けそうだ。」
熱を帯びた淫肉は押し出そうと膣を狭く閉ざそうとするが、鉄の如く硬くなっている魔羅は排除できない。
むしろその現象はイチモツを締め付けていく形となり股から悦が全身へと走っていきもっとこの感覚を味わいたいと奥へと進めていく。
肉を掻き分けて入れていくと、弾力のある先端に当たる。
一度だけ経験したことのある感触に、この娘は蓮ではないのだなと実感が沸いた。
「そ、それ私の・・・。」
「破るけど、いいかい?」
「貴方の私だもの。いいに決まってるじゃない。」
健気に愛しい人のふりをしてくれる彼女に申し訳なさとここまでしてくれている感謝の念で体重を乗せ最深部へとイチモツを導いていき。
「っ・・・。入ったぞ。」
「そ、そうね。黒翼のがここにあるのね。」
壁ともいえる子宮口に男根が届くとそこで一度、動く事を止める。
人化している時は生娘と同じなのか薄っすらと脂汗を浮かべ呼吸の中に苦痛の色が窺えたからだ。
「落ち着くまで少し待とうな。」
「ありがとう。でも大丈夫よ、動いて・・・。」
自分の快よりも俺の悦を気にかけてくれる蓮の姿をした女性に心は潤い。
彼女に出来る限り痛みを与えないようにゆっくりと肉棒を引き媚肉を掻き、押し込めて淫肉を広げていく動作を繰り返していった。
それに応え肉壁も強い刺激とならないが絡み付いて、愛液を大量に分泌しながら扱いてくれる。
「蓮・・・、気持ちいいか?」
「気持ちいい・・・、もっと欲しい・・・。」
蓮が言わないような淫らなおねだり。
その言葉に負けて腰を動かす速度を上げていく。
早くなることでお互いに与え合う悦の度合いは大きくなり生成された汁は膣に納まりきらないとばかりに溢れ出て、肉と肉がぶつかる音も廃社に響く程になっていた。
また早く動いてるということは与えられる刺激も強くなっていき。最初の方から蓄積されていた快に拍車がかかり限界が近付いてくる。
「っう・・・。射精そうだ。」
「でるの?でちゃうの?膣に頂戴!貴方の子を孕みたいの!」
自分の子を産みたい、男冥利に尽きる言葉だ。
そういわれると彼女と共に達したくなり、込みあがってくるものを我慢して蜜壷の中を掻き回す。
「はぅ・・・。こ、黒翼?」
「一緒だ。一緒にいこう。」
「あふぅ・・・。う・・・、うれし・・・。い!あん!」
魔羅の出し入れは更に速くなり、舌を頬や耳に這わせて蓮の感度が良い場所を探していく。
「ひゅん!みみ・・・!だめぇ・・・!」
本人と同じ部分が弱いらしく、その部分も含めて彼女を高みへと導いていき。
「き、きちゃう・・・。なにかきちゃうわ・・・。」
「俺も、もう・・・。」
流石に塞き止めることも無理となり、最後の一突きと言わんばかりに腰を引き。
打ち付けて精を放った。
「ううっ!」
「ああぁ!あくぅ!」
熟されて待ち侘びた射精は頭の中が焼け付くほどの快楽を生み出し、熱く大量の子種が秘肉へと流れ込み蓮を満たして。
「あついのがながれてきて・・・。また・・・、いっ。くううぅ!」
更に絶頂を体感させ痙攣を起こした膣壁は搾り取る様に男根を締め付けてくる。
「・・・。」
「・・・。」
言葉も出ない位に俺と彼女は悦に浸り、身体を密着させて今を感じあった。
暫く時間が経ち、息は整わないが会話が出来るまでに落ち着いていき。
仰向けに寝転がって事後の余韻を味わっている中で、一つの言葉が漏れていく。
「ありがとう・・・。」
「えっ?」
何に対していっているのか分からないといった返事がくるが構わずに話を進めつつ、蓮へと化けてくれている女性を胸元へと引き寄せる。
「そして君は誰なんだい?」
「!?」
突然放たれた言葉に、彼女の顔から快と悦の色が消えていき逃げ出そうとするが、腕の中に包まれている状態ではそれは容易ではない。
「責めている訳じゃない。ここまでしてくれた事に、献身的に接してくれた事に礼を言いたいんだ。蓮の姿でなく、本当の姿の君に・・・。」
なんとか引き剥がして俺から離れようとしていたが、その話を聞くと抵抗をやめて涙目になりながら顔を胸板へと埋めてきて。
「嫌わない?」
「なぜさ。君は救ってくれた。心が渇いてた俺に潤いをくれたんだ。嫌いになる訳がない。」
「絶対よ?」
「ああ。」
そういうと、彼女から黒い靄が溢れ出し身体を包むと抱いていた蓮の肉体に変化が起こり、形が変わっていく。
華奢な体付きは更に細っていき、触れていた股も縮んでゆく感触が伝わってくる。
そして、覆ったものが晴れると一回り程小さな女性というより女の子と呼ぶ方がしっくりとくる娘がいた。
「黒翼さん・・・。」
口調も変わり、どこかたどたどしい雰囲気でこちらを見てくる。
こんなにも小柄でか弱そうな子が俺の為に性交までしてくれたのか。
それが愛おしくてしょうがなくなり。
彼女を抱き締め。
「えっ!?どうしたんですか?」
「君のそのままの姿を愛したい。」
「貴方の想い人じゃないんですよ?こんな地味な子なんですよ?いいんですか?」
「君じゃなければ駄目なんだ。蓮は、もうこの世にはいないのだから・・・。」
心に巣食う何かを消し去る為に、彼女に了承を得る。
己の身勝手なお願いだったが、悟るように一言だけいってくれた。
「心一杯・・・。愛してください。」
「ありがとう。」
軽く口付けをして、身体を起こして秘所にイチモツを宛てがうと、ゆっくりと体重に身を任せて膣内へと男根を入れていく。
「いぐぅ・・・。お、大きいです・・・。」
「大丈夫か?」
「先程の行為で濡れてますので、ちょっときついだけですから構わずに動いてください。」
「いや・・・。」
苦しそうな表情に少しでも楽にしてやりたくて、荒い息遣いの彼女に今度は深い口付けをする。
変化していた時とは違い、積極的ではなくされるがままの受身の接吻。
舌を絡め、唾液を送ってやるとゆっくりと飲み込み喉が鳴っていき、締め千切るほどの力が肉棒へと伝わってきた。
接吻だけで身体が反応し、快楽を感じてくれてるらしい。
その事が嬉しく、続けて吸い付いて舌を扱いてやると身体が震えて一時の間、蜜壷の圧が高くなる。
軽く気をやってしまったのかと思っていると、口唇を離して、言い辛そうに言葉を口に含む。
「・・・、動いていいか?」
「はい!お願いします!」
口に出すことが恥ずかしかったのだろう。
彼女の意図を汲みとり、こちらから動いていく。
「あぁ・・・、あぁ・・・、あぁ・・・。」
速度を上げず遅く動かしていくと、光悦の表情を浮かべ、うっとりと与えられる快楽に身を委ねていき肉壁もそれに呼応するように優しくイチモツに絡みつき刺激を伝えてくれ俺も心地がいい。
「ふあぁ・・・、いい!いいの!貴方のいい!」
気が付くとこの娘も自ら腰の上げ下げをしていて、次第に互いの動きは激しさを増して求め合いだす。
「黒翼さん!はげしいです!どうにか!どうにかなりそう!」
「なってくれ!俺のために!君のために!」
溢れ出て泡となる先程の精、それを洗い出す程に滴り肉を塗らす愛液。
淫肉と獣肉がぶつかり、水の跳ねる音が再び社の中に響き渡り耳へと届くと高い興奮と鳴り、更に動きは大きく速くなる。
「こ、これ以上されたら・・・。きます!またきちゃいます!」
「俺も・・・、もう射精そうだ。」
高みへと、雄と雌は再び目指す為に言葉も忘れて、只ひたすらに肉欲を貪り。
そして・・・。
「くあぁ!いくっうぅ!」
「うっ!!」
果てていった。
暗い闇に朝を告げる陽が射す頃合い。
目蓋に当たる光に意識を戻す。
夢だったのか、どこまでが夢なのかと途中から曖昧となったが・・・。
「これは現だよな・・・。」
身体に抱き付いて、安らかな寝息を立てている彼女がいた。
可愛い顔をして寝ている娘に新たな生きる糧ができたことを感じ髪を触っていると。
「黒翼殿・・・。」
外から誰かが呼んでいる。
俺の第二の物語が始まりだしたとそんな気がした。
あの出会いから五年の歳月が流れ、彼女は今も傍で支えてくれていて。
俺達は夫婦となった。
契りの夜が明け、朝に名を呼んでいたのは火の京を有する国の使い。
戦乱で散り散りとなった領民や土地を治めていた役人の生き残りを国の再興の為に探していたらしいのだ。
俺のその話に乗り、焼き払われた故郷を元の姿に戻すために働いている。
「あなた。お昼にしましょう。」
「ああ、睡蓮。ありがとう。」
想いから生まれ名の無い影娘を睡蓮と呼び、共に住み共に過ごし生きていく。
蓮との愛は離れてしまったが、清純な心で尽くし優しく信頼してくれる彼女と新たな愛を育んでいこう。
共に果てるまで・・・。
12/06/06 01:00更新 / 朱色の羽