読切小説
[TOP]
物乃怪複鳥草紙 −幽霊娘乃巻−
 「ああぁ・・・。あっ・・・、ひぐぅ・・・!ああああっ!?」

 絶頂する声と共に、光の柱が幽霊娘を包み。
 そのまま光の中で姿を霧散させて溶けていく。

 「成仏したか・・・。」

 片手に組んだ印を解き、自身に張った結界と結界から生えて今もまだ蠢いている触手を消す。

 「さっきので最後の一人だったのか?」

 周囲の気配を探りながら、誰もいない事を確認して最終警戒を解く。
 すると、足元が少しひやりとして何かに掴まれた感触に襲われる。

 「・・・殿。お慕い・・・、てお・・・、ま・・・。」

 「不覚!だが・・・!」

 もう1度片手に印を結び、結界を張る為に詠唱を始める。

 「だめで・・・、よ・・・。・・・殿、その様な・・・、をしては・・・。」

 段々と幽霊娘の声が鮮明に聞こえてくると次の刹那。
 某の頭の中に何かが侵入してきた。
 それは幽霊娘と接吻をしている光景・・・。
 某とこの娘が口を密着させて塞ぎ合い、舌を絡まさせ合っている。

 「むごっ・・・。」

 「んぅ・・・。ん・・・、ん・・・、ちゅぱぁ・・・。」

 貪るという言葉が適切だろう。娘の舌が歯茎や口の裏、某の舌を強く愛撫しながら舐めまわしていく。
 それと同時に涎も口の中に送られてくる。
 最初は味のないただの液体だったが次第に甘みを帯びていった。

 「・・・。・・・。」

 頭の中で繰り広げられている光景をなんとか振り払いながら片手の印を崩さないように耐えるが、思考は甘美な艶事で拡がっていき刺激に流れそうになる。
 必死にそれを抑えて詠唱を続け片手の印を組んでいく。

 「あら・・・?片手を動かして下さるなら、私の蜜壷の中で動かしてくださいませ・・・。それとも、この堅固と化した魔羅を私が慰めましょうか?」

 艶事は加速していき、娘は某の手首と魔羅に手を添えてきた。

 「それは・・・、遠慮願う!」

 全ての術式を組み終えて、印を結んだ手から球体状の結界が拡がり身体を包むと、某の頭の中にいた娘と共に身体の中から何かが押し剥がれていく。

 「きゃっ!?鳥丸殿、何をなさるんですか・・・。いいところでしたのに、もはやお互いを縛るものはないでしょう?ですから楽しめばよかったですのよ?」

 宙に浮かび、こちらが拒否したことに対して恨めしそうな目で見詰めてくる。

 「やはり、飛鳥姫でしたか・・・。そのような姿になられるとは・・・、しかし輪廻を止めるわけにはいきませぬ!御覚悟を・・・。」

 焼け焦げた床板、崩れ落ちた土壁、散乱した瓦と茣蓙に横たわる亡骸。
 落ちた城の一角で某と姫は再会した。





 ジパングの都の一つに火の京と呼ばれる都がある。
 近隣の山からは良質の鉱石が採れ、鍛冶を生業としている者も多く。
 また土地は肥沃で治めている者も良主と呼ばれ善政を敷いている所だ。
 その中の小さな神社、さまざまな神を祀っている家で某は育った。
 家の生業は浄化師というものやっているらしい。
 世に留まる魂や抜け殻となっても彷徨い歩く器を浄化し、輪廻の川に還すのだ!と師は話している。
 某はその浄化師の跡取りにそえられる為に、この家に迎えられた。
 ・・・、某は捨て子だったらしい。そう聞かされたのは元服の時、浄化師としての生業で飯が食える様に、次期鳳凰院家の当主と認める印を授かった時にだ。
 更に真実を受け入れる準備が整わぬうちに領主のもとへと次期当主の顔見せという行事に連れていかれた。
 そこで出会ったのが飛鳥姫だ。
 初め某は主従の関係を結ぶとばかり思っていたのだが、姫は堅苦しいのは嫌いだと言い。
 咎める役のはずである彼女の父親の殿様も笑いながら娘の婿にならんかと聞いてくる。
 それを聞き慌てる某を見て、殿様も姫もえらく楽しそうだった。
 城から帰った某は、すでに自分が捨て子であった事や出生の事など忘れており、それは些細なことなのだと結論付いてしまったからだ。
 あの二人から受けた衝撃が凄まじく、飲まれてしまったからなとどは口が裂けても言えないがな・・・。
 顔見せが終わってから、浄化師としての生業を行い。四季が変わるごとに城に顔を出す。
 春には近隣諸国の政状態を報告し、夏には浄化師の行事である鎮魂の儀に領主親子は参加され、秋には自国の政状態を見て回る。
 冬は廻る国を報告するために城へ顔を出した。



 そんな一年が五度ほど続いた六年目の春、飛鳥姫に見合いの話が舞い込んできたのだ。
 相手は近隣の国、海辺の土地を多く治めている殿様の息子らしい。
 家臣は悪い話ではないと助言をしていたが、その国からはあまりいい噂をきいておらす。
 殿様も、そのことを重々承知していた。見合いの話は先延ばしになり季節は流れて夏となる。
 年一の土地を彷徨う魂を鎮める鎮魂の儀の後、殿様は密に話がしたいと鳳凰院の屋敷へと来られた。
 最初師と殿様だけが話していたが、某も呼ばれて話を聞く。
 どうやら見合いの話らしい。
 話を奨める家臣はあちら側に内通しており、調べた結果相手の目当ては火の京の鉱山資源で戦の物資確保の為に外縁でこちらを取り込もうと目算しているようなのだ。その話をして、本題へと殿様は移っていった。
 この見合いをして飛鳥姫を嫁がせれば、人質となり、脅しで鉱山資源を取引することになる。
 見合いを断われば、これだけの資源がある国を見過ごす他国はおらず、資源目当て、もしくは驚異の排除目的でどこかの国が攻め込んでくるはずだと殿様は話し。
 そして、自分はこの見合いを断わり周囲から狙われる道を選ぶと殿様は言う。
 姫を人質にとられれば、相手は許容量以上の物資を要求しだし民の生活を圧迫してしまうことや、自分の娘がどのような目にあうか分らない所へは嫁がせられないと力説し、また今の国力ならば十分に他国への対抗ができ民を守ることもできるという。
 話し終えた殿様はこちらの眼をジッと見て、自分の判断、決断が正しいか意見を求めてくる。
 師は、嫁がせる利点。嫁がせない利点を殿に提示しどちらの道も険しいが自分は殿の味方だと言い、曖昧な返事を返す。
 某は嫁がせる道が一番命を保つ事の出来ることだと考えていた。
 近隣諸国の政状態にキナ臭い部分があったし、外縁があれば同盟をほぼ同等な関係にあり他国も手が出せないと思ったからだ。
 だが、某の口からはその意見は出てこない・・・。
 自分の間近で、身分も関係なしに話を聞いてくれた姫、元服の時より側にいた同年代の気になる女子が他の男の、しかも良い噂をきかない者の牙にかかるなど某自身が嫉妬に駆られて許せなかったからだ。
 結局、口から出てきたのは殿様を支持する言葉だった。
 その言葉を聞いた殿様は決意で顔を堅くすると同時に優しく某を見て、部屋を後にし城へと帰っていく。
 某は帰路を行く後姿をただ見ることしかできずにいた。
 そしてまた季節は移り変わり秋となる。



 殿様が治める領土内を行脚し政が行き届いているか、民がどの様に、何を求めているかを聞いて廻っていく。
 国内の三分の一を廻り、国境に近い村から次の村へと行こうとした時に某は武装した足軽隊と呪法師一個中隊が運搬部隊を引き連れ、行軍しているのが目にとまった。
 旗印を見るとこの国のものではない、その刹那背中に悪寒が走る。
 秋の中頃に軍を行軍する馬鹿はいない、戦が長引けば野営で冬を迎えなければならない、そうなれば士気は落ちる上に兵の動きも鈍くなる。
 自軍がその危険にさらされる可能性が高いのに行軍する理由はただ一つ、冬になる前に戦が終わるということを指す。
 悪い考えが某の頭を巡り、その場から急いで火の京へと戻ることにした。



 国境にいたことと、他国の塀に見つからぬように獣道を通った為に足取りが遅れてしまう。
 焦りと不安が入り混じる中、絶望と現実だけが某の目に写っていく。京への道筋にある村々が全て焼け落ちており、鼻につく肉の焼けた臭いと血の匂い、崩壊した家々だけが某を迎えてくれたからだ。
 そして、とどめを刺された・・・。
 育った土地が、恵んでくれた故郷が、支えてくれた人々が、全て黒く染まっている。京が一望できる場所から見えたものがそれだ・・・。某は泣いた・・・。



 しばらくして雫が滲む目を抑え、焼け跡となった京を歩き惨状を受け入れていく。
 崩れ落ちた家屋、見知った人の亡骸、他国の印を付けた兵の亡骸。
 常人なら気が狂いそうになる光景を冷静に見つめる。
 その中で息のある者を見つけた。
 姿を見るに行商人だろうか柱に背をもたれて呼吸をするのもやっとな状態でいる。
 話を聞きたいがそれは無理なことだろう。
 某は治療の術式を組み、傷の手当を行っていく。

 淡く薄紫色に光る衣が包み込み、輪廻の川へ流れ行く魂を呼び戻し、器となる入れ物の傷を塞ぎ魂が漏れぬ様に再生させ、精をもって固着させ、生をもって歩みださせる。

 術のお陰で傷は癒え、息も整っていき、顔色も元に戻った。
 すると行商人は某に一言礼を言い、瞼を落して眠りにつく。
 再生した肉体に還ってきた魂が馴染む為の行為だが、このままここに寝かせておくわけにはいかず、抱き上げると安静にできる場所を探して歩きだす。
 焼け落ちた京の中で、唯一の望みにかけて自宅を目指す。
 鳳凰院家の屋敷は、本殿も自宅も跡形もなくなっており塀だけがそこに家があったことだけを物語っている。敷地内は野戦病院のようになっており、行商人を空いている茣蓙に寝かせると、敷地内で指揮をしている者を探すために歩き始めた。



 腕を斬り落とされた者、片目を失った者、火傷をしている者、顔見知りから友人、知人、よくいく問屋の商人が傷を負い苦しんでいる姿を見ながら、治療をしている医師や薬を調合している薬師の所を廻っていく。
 そして敷地の奥、本殿があった場所で某は師と再会した。

 再会した師に現状を教えてもらうと、現在この国は周辺三ヶ国から侵略をうけ、出城や駐屯地の七割が落されているとのことだ。
 他国へ通じる道にある村々も全滅に近く、逃げる場所を求めて民は様々な場所へ散ってしまったらしい。
 そして、敵国の軍勢は火の京と本城にも及び。
 師や残存の兵達で抵抗したが城は落ち、京も火の海となった。
 さらに話を聞くと姫と殿様の生死が不明らしく、探索へ出かけるかを話し合っていたようだ。
 某はその話を聞き、姫の探索をさせてほしいと願い出た。



 落ちてから三〜四日経ったとみられる城、そこにはかつての面影はない。
 黒く煤けた柱と折れた梁から落ちた瓦、処理されていない亡骸。
 生焼けの肉の臭いや腐敗しかけた肉の臭い、焼け焦げた臭いが某達を迎えてくれる・・・。
 共に付いてきた京の人間と城の人間が涙をこらえながら、茣蓙を敷き亡骸を移動させ城の中を調べやすくしていく。
 日が出始めた頃から作業を始め、落ちる直前まで作業は続いた。
 その中で京に出払っていたいた者以外全ての者が亡骸として見つかり、無論飛鳥姫の亡骸もある。
 作業も終わり、亡骸を搬送しようとした時、軽い違和感を覚え。
 亡骸の頬へ手を当てると、あるはずのものがない。
 輪廻の川へと還す儀は行っていないし、抜けて彷徨うにもまだ時間があるはず、と。
 そう思っていると搬送用の荷車の方からざわめきと叫び声が聞こえてきた。



 感じていた違和感。
 亡骸を相手にしているのに悲しみや嫌悪感の他に性的欲求の様なものが頭をよぎっている。
 それは作業をしていた者にもあらわれおり休憩時間中に不謹慎な話だがという話題が上がっていたのだ。



 荷車が止めてある所へ着くと、幽霊だ!と叫び声をあげて京から着たものが逃げていく光景が目に入った。
 中には腰を抜かし逃げ遅れた者もいる。
 某は彼らを守るために幽霊の前に躍り出た。
 目の前にいる複数の幽霊と対峙し、逃げ遅れた者を鼓舞して城から脱出させ、浄化の準備にはいる。

 印を組み、球状の結界を展開し。
 自身を守りながら触手を構成して幽霊を・・・。
 いや、幽霊娘を捕えていく。
 大まかに数えて二十五体はいるだろうか、出てきた幽霊娘は城の女官や女中のようで某は全ての人を知っているわけではないが亡骸の数の半数といったところだろう。
 他の者が幽霊娘として出てこないことを願いつつ、結界から生やす触手の数を増やし拘束して着物の隙間から中へと侵入させていく。
 結界の触手とはいえ実体化、半実体化していない彼女らを捕まえることはできない。
 捕えられているということは作業中の人間から精を少しづつ抜いていたのだろう。
 元来、思考を共有して精を得て満つった時にその者の前に現われてまぐわい、本格的に精を摂取するようだが精の質が良かったのだろうか少しの期間で半実体化をして姿を現してる。
 何かあったのか・・・?と考えつつ幽霊娘たちの愛撫に集中していく。
 最初は微弱な快楽を少しづつ受け入れているようで、顔を紅くしながら触手から逃れようともがきながらも身体をくねらせている。
 一本の触手が手首に巻き付き、そのまま乳房の方へ伸びて締め付け先端は乳首を刺激し。
 二本目の触手が脚に巻きつき陰核や陰所へと伸びていき刺激していった。
 複数の艶声が聞こえるなかで某は詠唱を開始し、手の印を組み替えていく。
 詠唱と印組みが進むにつれて触手の動きは活発になり、艶声も大きく呂律が回らないような状態となる。
 彼女達はただ絶頂へと昇ることしか考えていないようだ。
 それを確認するとこちらも術式を最終段階まで進めていく。
 乳房を締め付けていたものはさらに伸び口内へと侵入し、陰核や陰所の入口を触っていたものは膣の中を犯していく。
 まだ快楽が足りないのか、自らの手で乳首や陰核を愛撫している娘もいた。
 洪水のように流れ落ちる涎と愛液が土を濡らすほど、娘達は快楽を貪り、そして絶頂を迎える。
 同時にこちらは術式を完成させ満たされた表情で彼女達は光の柱の中、輪廻の川へと旅立っていった。





 「鳥丸殿、その様な壁なぞ作らずに私と一つになりましょう。」

 姫は頭上を旋回しながら、囁くように耳元で甘言を漏らし某に再びとり憑こうとしてくる。

 「姫!貴方に何の未練があるのです!それに貴方はそんな淫らな女性ではなかった!どうしてしまったのです!」

 「・・・。貴方は二つ勘違いをしてますわ。一つは、私にも未練があること。もう一つは、貴方を想い夜一人で慰めてしまうほど淫らな女なのですわよ?」

 くすくすと笑いながら裾を持ち上げ、じっとりと濡れている陰所をみせ指で自らの滴る蜜を掬い取り。
 舌で舐め上げていく。

 「未練・・・。」

 辱めの蜜を舐め光悦の表情を浮かべる姫から目を反らしつつ、ぼそりと呟くと裾を下ろして某の張った結界の前にふわりと彼女は舞い降りてきて・・・。

 「そう・・・、未練。鳥丸殿と添い遂げられなかったという小さな小さな未練。」

 と真っ直ぐとした瞳で訴えてくる。
 その言葉は嘘や偽り、幽霊娘の空絵事だったとしても某を動揺させるのに十分だった。
 手に入れたいと願った女が添い遂げたく現に残ったと言っているのだ。動揺しない男はいないだろう。
 だが・・・、今の某は罪悪感という名の楔が動揺に絡み付き最小限の動揺で理性を保っている。
 あの時後押ししなければこの様な惨事にはならなかったはずだからだ。

 「・・・、某の嫉妬から出たくだらぬ後押しで多くの民が姫が亡くなる結果になってしまった。そのような罪人でも貴女は構わないのですか?」

 絞り出すように罪を告げて姫を見ると、彼女は目尻に涙を浮かべてこちら見ている。

 「多くの民が命を落してしまったことは悔やまれます。しかし、これはお父様が選んだ道。貴方から何か言われたからと言って、あの人が決めたことがぶれることはありません。」

 最初からこうなることだったと、姫は某を慰めてくれ、さらに言葉を続けていく。

 「それに罪人なら私も同じ事。貴方が見合い話に反対してくれたこと、それが嫉妬をしてくれての事。その事が分かった時、民のことより貴方と想いあっていたということが嬉しかった・・・。」

 そして涙を拭うと帯を解き、着物を足元に落し、裸体を晒して某に近づいてくる。
 結界に手をつけ、中に侵入してこようとするが壁は反発して彼女を拒絶し光り輝き、柔肌をの手を傷つけて弾き飛ばした。

 「私に次の生はいらない!ただ貴方と一緒に居たいだけ・・・。私を受け入れて!拒絶しないで!」

 再び結界に手を付け、中へ侵入しようとし反発する力に肌を傷つけられていく。
 その顔は苦痛にゆがみながらも愛する者の所へ辿り着きたいという顔で、某の罪悪感という楔を砕き、姫を受け入れる覚悟をするのに充分だった。
 某は結界を解き、彼女を受け止める。
 姫の身体は実体化こそしているが、存在自体は薄いもので吹けば飛んでいくのではないかと思う程でだった。

 「鳥丸殿?」

 「某も覚悟ができました。共に生きていきましょう。」

 腕の中にいる姫は、また涙で目尻を濡らしそのまま某の唇に自分の唇を重ねてくる。
 浅い、触れているかどうかわからない口付けだが互いに何かを満たしていく。
 そのまま押し倒してしまいそうだったが場所が場所だったので裸の姫を抱き上げて城の中の片付けられた場所へと入っていった。
 着いた場所は姫の部屋、崩壊も少なく姫の亡骸があった場所。
 この部屋に某達は落ち着きまぐわいをはじめる。

 「ん・・・。あぁ・・・、貴方の唾液を感じる・・・。熱い・・・、身体が熱くなっていく・・・。」

 「姫。姫のも甘く、頭が痺れてくるようです・・・。」

 互いに唾液を交換しながら口の中を犯していく。
 ねっとりと絡み合い、ゆっくりとまたは激しく求め合い貪りあう。
 ちゅぷちゅぷと水を交換する音だけが響くが、それは某達を興奮させ更に接吻は激しくなっていった。

 「あはぁ♪んっ〜♪んんっ!?んーっ!?」

 「おや?気をやってしまったんですね姫。まだ接吻だけですよ?」

 口の横からどちらのものとも分からない涎を垂らしながら惚けた顔がこちらを見つめる。

 「はぁーっはぁーっ。すいません。まさかこんなに殿方との接吻が凄いだなんて・・・。」

 「まだまだこれからですよ。」

 姫を畳の上に寝かせ、覆い被さる様に身体を包みこむと某は片肘で自身を支えもう片方の手を乳房に重ねて揉みしだきながら首筋を舐めていく。

 「あっ、くすぐったい。そんなところを舐めるなんて・・・。」

 声を無視し手に収まるほどの乳房を揉み、首筋を舐めていた舌をどんどん下へと移動させて乳首まで導きねぶる。

 「ひゃぅ!?そ、そんな駄目!」

 「舐めては駄目なのですか・・・。では・・・。」

 舐めては駄目と言われ、某は乳房を揉んでいた手を陰核の方へともっていき軽く摘み。
 ねぶっていた乳首を吸い上げた。

 「!?と、鳥丸殿!詰まんじゃ!吸っちゃ嫌!」

 不意を突く形で強い快楽を与えたためか大粒の雫が目尻からこぼれ、懇願の声を発しながら喘ぐ姫。
 その声を聞きながら強弱をつけ二つの個所を愛撫していく。

 「しゅ、しゅごい・・・。きもちいいけりょ、ちゅおすぎるの!やめ!やめへ!」

 「ちゅぷ。何をやめるんです?」

 口を離し意地悪く聞くと、再び吸い上げてしごく速さと吸い上げる強さを上げる。

 「ひぃっ!?すう・・・、すうのと・・・。」

 「・・・。」

 「すうのとしごくりょ・・・。やめへ!」

 「・・・。」

 それを聞くと最後の一押しの様に乳首を強く吸い上げ、陰核を摘み潰す様に強く締め上げて絶頂へと導いた。

 「ひゅぐ!?ーっ!?」

 声にならない声とプシャーッと潮を噴く音と共に再び姫は絶頂を迎え、白目をむき、目から涙、口から涎、鼻からも汁を垂らして舌はだらしなく零れている。
 その顔を目にして理性の箍は音もなく外れ、袴を押し上げ弾けんばかりの陰茎を解放して姫の陰所へあてがう。

 「ひ、姫。辛抱堪りません。いきますぞ?」

 ひゅーひゅーと息をし、意識の定かでない姫の断りを得ずに陰茎を膣内へと侵入させていく。

 「・・・!?かはぁ!?」

 「き、きつい。しまっ・・・、る・・・。くはぁ!?」

 先を入れた直後、痙攣を起こしていた膣が陰茎を締め上げ某は簡単に達して膣内へ射精してしまう。
 だが膣は射精している陰茎を奥へ奥へと飲み込んでいき、精液を子宮へと押し込めながら膣の最奥、子宮口へと到達した。
 射精は終わったが、きゅんきゅんと締め付けてくる膣と高ぶった気持ちのせいで堅固さは衰えてない。

 「某のが収まらないので続けますがいいですか?」

 「・・・。」

 返事は返ってこないが、姫の膣が某の陰茎を締め付けたままなので、了承したと判断して腰を動かし始める。
 引き抜くと笠の部分が膣肉を削る様に擦れ合い、また侵入させると膣は陰茎を全体で押し広げるように包み込み締め付けて互いに快楽を与えていった。
 愛液の飛び散る水の音、肉のぶつかる音が鳴り、快楽を共有しながら姫とまぐわり続けていく。






 「らめぇ・・・、らめぇ・・・。うごいちゃ・・・、びゅぅうぅって出しながらうごいちゃらめぇ・・・。」

 「駄目と言いながら姫のここは某のものを離さぬ上に抜こうとすれば引き戻してるではありませんか。」

 「ひゃぅ・・・。れも、らめらの・・・。」

 色に狂う様に某は姫を求め、色に染まる様に姫は某を求めてくれた。

 「姫、某はまた・・・。」

 「わ、わらひもまた。またたっひてしまいまふぅ!」

 達してしまうことをお互いに告白して、一気に高みへと導きあう。

 「とりまりゅどのーっ!」

 「飛鳥姫ーっ!」

 どくどくと白濁の精が膣内を染め上げて満たしていき、某と姫の意識は落ちた。




 崩れた壁の隙間から注ぐ日の光が目に当たり、某は目を覚ますが、何やら水の滴る音が下半身の方から聞こえてくる。
 寝ている間に雨でも降ったんだろうかと、眼を開けて音のする方へと視点を移すとそこには某の陰茎を銜え込み舐めたり吸ったりしている姫の姿があった。

 「・・・姫?何をしてるんです?」

 「ほりまふどふぉ、ふぉはほうほざいまふ。ふぃえ、おひまふぃふぇほりまふどふぉにひろひろひてまふぃふぁら。あふぉふぉふぁくふふぃほうふぃふぃふぇまふぃふぁほふぇ、ふぁふふぁめひょうふふぁほ・・・。」

 もごもごと銜え込みながら喋られ、蠢く舌と口内の肉が陰茎を刺激する。

 「銜えられながら話されますと刺激が・・・。それになんと言われているかわかりませんよ。」

 「そふぉれふか?ちゅぼっ・・・。私が起きて鳥丸殿の唇や胸を舐めていましたら。その・・・、大きくなりまして・・・。嬉しくなるのと同じく我慢もできなく・・・。つい・・・。」

 頬を紅くしながら照れくさそうに顔を背けるが、その手はしっかりと陰茎を握り、上下に動かしていた。

 「ひ、姫。そ、そんなに動かされますと・・・。で、でるっ!」

 「えっ?・・・、きゃ!?」

 高まり過ぎてびゅるびゅると飛び出た精は飛鳥姫の髪や顔にかかる。
 姫はその精に少し驚いていたが、顔についたものを指で掬うとそのまま口へいれて光悦の表情を浮かべ・・・。

 「うふ・・・。美味しい・・・。」

 と呟く。
 その妖艶な顔に写生したばかりの陰茎は反応してそそり立ち、某はそのまま姫を押し倒して再びまぐわい始める。
 行為が終わり、京へ帰ったのは、日が真上に昇るころだった。





 「京が・・・。」

 焼け野原となった街並みを目にし、飛鳥姫は悲しみを隠しきれないようだ。

 「姫、これが現実です。しかし、助かった人も大勢います。京は・・・、京は必ず再興しますよ。」

 肩に手を置き、彼女を励ますと某達は野戦病院となっている鳳凰院家の跡地へと向かう。

 「父上、唯今戻りました。」

 師の元に戻るとそこには先客がいた。殿様だ。

 「鳥丸、戻ったか。こちらも殿を発見できたのだが・・・。えらく気力が抜けていてな。飛鳥姫が亡くなったのでは・・・。」

 「それなのですが父上・・・。」

 「良いんだよ鳥丸君、慰めはいらん。飛鳥の身を案じたが逆の結果になってしまった。私は駄目な父親だよ。」

 がっくりと肩を落とし腰掛けの上で項垂れる殿様。だが・・・。

 「何を言っているのですかお父様。御自身で決められ私共にも理解を得たではありませんか!」

 某の横にいた姫が、殿様に近づき、叱咤の言葉をかける。

 「鳥丸、その方は・・・。」

 「あ・・・、飛鳥・・・。飛鳥姫!生きておったのか!?」

 師の顔はやはり表情で、殿様の顔には気力が戻っていくのが目に見えた。

 「父上、申し訳ありません。城で幽霊娘に襲われ、他の魂は浄化したのですが・・・。姫の魂だけは。某には浄化できませんでした。」

 「だろうな・・・。だが、それだけではなかろう?」

 「どういうことだね?」

 「殿、姫様はすでに亡くなっており。現在は幽霊娘という魔物になっております。さらに実体化も完了しており、半受肉をしているところを見ると・・・。交わってますな、それもかなりの回数。」

 師の言葉に某と姫は顔を真っ赤にして俯く。

 「なるほど、まあいいんじゃないか?魔物になったとはいえわしの娘であることに変わりはない。それに二人が重いあっとたんだから、互いがよければ構わんだろ。主には縁談を持ちかけとった訳だしな。」

 殿様は腰掛から立ち上がると、某の方へきてがっちりと手を握りしめ。

 「娘を頼んだぞ。婿殿!」

 と言い。殿様は負傷兵達がいる天幕の方へ向かおうとする。

 「殿!どちらへ?」

 「兵を鼓舞してくる。傷が癒え次第反撃に移るからのう、わしがやらねば示しがつかんじゃろ。」

 「は、はぁ・・・。」

 「それに孫の顔を見れると思うと震えるというものじゃ!」

 人が変わったように生き生きと殿様は兵のいる天幕へと歩いていってしまった。
 その場には某と姫、そして師だけが残っている。

 「鳥丸・・・。」

 「なんでしょうか、父上・・・。」

 師が話しかけてきた。咎めでもあるのだろうかと覚悟をしていると。

 「幽霊娘は繋がりをもった者が果てる時に共に輪廻の川へと還っていくという。姫の魂、繋がりをもった御前が輪廻の川へと導くのだぞ。」

 優しい言葉が某にくる。

 「はい、分かっております。」

 「鳥丸殿・・・。」

 「姫・・・。共に生きていきましょう。」

 某は姫の手をぎゅっと握りしめ、姫もそれに応えてくれた。
12/08/10 23:39更新 / 朱色の羽

■作者メッセージ
初めまして、朱色の羽と申します。

和製ゴースト、ということで書かせていただきました。

つたない文章をここまで読んでいただき、ありがとうございました。

次作あれば、またよろしくお願いします。
感想、意見、誤字脱字の御報告があれば、感想からお願いいたします。

TOP | 感想 | RSS | メール登録

まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33