鰻女郎の抱擁
「気持ちいですか?気持ちいい?」
光沢のあるぬるぬるしたものが、そう聞いてくる。ぼんやりと、伊兵衛はそれまでのことを思い出していた。
「奈伎(なぎ)さんっていい匂いするな」
少年はそう口にしながらうっとりした。ぶらぶらと見知らぬ土地へきて宿もなく野宿を考えていたところ、この地に住む鰻女郎の奈伎の好意で宿を借りることが出来たのだ。鰻女郎と言うのは大きな池や沼、川などの水辺を住処とする人魚らしい。
奈伎も一族の特性に違わずぬるりと光沢のある粘液を全身にまとっており、不思議な色香を持っていた。また、献身的な性格で見ず知らずの旅人の世話を焼いてくれたのだ。
「伊兵衛様、入りますよ」
少年が名を呼んだのを知ってか知らずか、奈伎がするりと入ってきた。瓜実顔に暗い藍色の髪の毛を後ろにまとめたたおやかな女性だ。美しいと断言できる容姿だが、その静かなたたずまいと優しげな風貌のほうが印象に残る。
「お着替えを置いておきますね。私は先に寝ていますが、何かご用事があれば起こしてくださいね。」
伊兵衛は奈伎が話しているのも忘れ、彼女を眺めていた。いつの間にか奈伎も会話を終え、じっと見つめていた。女を感じるような瞳に落ち着きがなくなってくる。目じりの泣き黒子がやけに目に焼き付いていた。
「あの、奈伎さん」
「お休みなさい」
その長い体を器用にくねらせて部屋から出て行った。息をつくと、ひそかに隠していた着物を取り出した。その女物の着物に顔をうずめる。表の記事からはわからないが、粘液がまとわりついている。
「昨日まで着ていたんだ……」
彼女の艶めかしい肢体を想像しながら粘液をこすりつけ、やがて股間にこすりつけようとして。
(奈伎さん、笑っていたな……)
思いとどまった。あまりにも恩知らずすぎる。見ず知らずの自分の世話を焼いた女性の着物を持ち出した挙句、それを自慰の道具にするなど。伊兵衛はそもそも女の着物を盗むような性質ではない。自然と罪悪感が湧いてきた。
「返そう。今なら寝ているかもしれない」
正面から謝る勇気を持てないところに気の弱さが出ていた。ひそかに奈伎の部屋の前まで忍び足で歩き、耳をそば立てる。静かな呼吸音が聞こえる。ほっと安心すると、衾を開け箪笥を探す。
ヌルリ。
瞬間。
ヌルヌルした太く長く太いものが巻き付いてきた。
「うわぁ、なんだこれ!」
引きはがそうとするが、ぬめってうまくつかめない。逆にそれは粘液を体にこすりつけながら益々密着してくる。慌てて離れようと身体をねじれば余計に滑り、着物が脱げてますます絡みついてくる。
「ああ、伊兵衛様。とうとう来てくださったのですね」
「な、奈伎さん?」
後ろから絡みついてきたのは、奈伎だった。目を白黒させる伊兵衛をよそにその白魚のような手で股間を撫でてくる。
「お、起きてたんですか?」
「当然です。着物だけでは我慢できなくなったから私のところに来たのではありませんか?」
気付かれていた。そのうえで自分が奈伎の寝室も来るのを待っていたのだと伊兵衛は悟った。奈伎の思惑に驚く伊兵衛。
「い、いや着物を返そうと思って……その」
「いいのです。着物ではなく私を押し倒してくださればいいのにとやきもきしていましたが、それも今日で終わりです」
奈伎は顔を紅潮させて言った。そして尾に力を強めていく。
「まって、奈伎さん」
「待ちません」
巻き付いた尻尾に引っ張られおもわず奈伎の柔らかな体に圧し掛かってしまう。あんっという奈伎の艶声と粘液に覆われた奈伎の柔らかな肢体に股間を固くする。
奈伎はにっこりと笑うと、さらに締め付けを強くする。体を掴もうとしたときにはぬるぬるしてつかめなかったのが、今は粘液が少なく抵抗むなしく彼女のぬめる胴で体をがっちりと拘束する。
「ううっ…むぐぅ、んん」
奈伎はしっかりと抱きしめると、伊兵衛の顔に自分の豊かな胸を押し付ける。いよいよ我慢できなくなって声を上げるが、胸にふさがれてくぐもった声にしかならない。
「ふふ♥」
再び彼女の体がぬめりだし全身を締め上げられるたびに粘液がぬちゅっといやらしい音を立てる。そして、
「うぁあああっ」
彼女の尻尾に精液が勢いよく降りかかった。粘液と精液で淫らな掛け橋が彼の股間と奈伎の胴にできる。荒い呼吸の後、伊兵衛の貌に羞恥の色が浮かぶ。
「はぁ、はぁあああ」
「満足いただけましたか?つい愛らしい姿に強く抱きしめてしまいました」
「でも私は、奈伎はまだまだしてほしいところがあるんです」
そして手を下の方にもっていき、「開いた」。
女性器は月明かりに照らされてテラテラと輝き、少年の大きくなった男性器を今か今かと待ちかまえていた。伊兵衛は夢遊病のようにそろそろと再び大きくした股間のモノを近づけ、そして一気に挿入した。
「んあっ」
何度も何度も腰を叩きつける。粘液で逸物と膣内で絡み合い、そのたびに音が響く。
「ああ、なんとたくましいのでしょう…」
「それでは、私も「挿れ」させていただきますね」
「え…?」
伊兵衛が何かを言う前に奈伎は白魚の様に熱く長いぬるぬるとした指が、尻の孔に深々と潜り込んだ。
「うわあああああああああ」
その快感と痛みに伊兵衛は叫び声をあげる。ズブズブと根本まで飲み込まれる指。奈伎はその指で中を混ぜるようにかき回す。
「ふふ、肛門にいたずらされるのは初めてですよね。気持ちいいですか?」
その異物感に伊兵衛の尻の筋肉に力が入るが、同時に膣内の肉棒も固さと太さが増していく。自然と腰が激しくなり、叩き付けるスピードも速くなっていく。
「も、もう…だめっいっいきそう…」
「ああ、出してください、全部、私の中で!」
叫んだ瞬間、鰻女郎の中に厚く勢いよく止めどもなく吐き出された。
そしてこの夜。何度も、何度も鰻女郎の中で少年は射精を繰り返した。
夜が明けて、二人はこれまでと変わらない日常を始めたように見えた。
しかし、伊兵衛の貌は何を我慢しているのか呼吸が荒く顔が真っ赤になっている。
「伊兵衛様、お箸が止まっていますよ」
奈伎はニコニコと話しかけるが、知って知らずが胸元を強調するようにしている。
「奈伎さぁん……もう我慢できないよう……」
奈技の料理を食べてからと言うもの、口にするのは彼女の料理だけだ。そして彼女の料理を食べると性欲を持て余して仕方がないのだ。
「フフ、ダメです。ちゃんとごはんを食べてね。そしたら……?ね」
「うん……」
やることは変わらない。彼女の料理を食べ、彼女と体を重ね、そして愛し合っていくのだろう。
明日も、明後日も、ずっと。
光沢のあるぬるぬるしたものが、そう聞いてくる。ぼんやりと、伊兵衛はそれまでのことを思い出していた。
「奈伎(なぎ)さんっていい匂いするな」
少年はそう口にしながらうっとりした。ぶらぶらと見知らぬ土地へきて宿もなく野宿を考えていたところ、この地に住む鰻女郎の奈伎の好意で宿を借りることが出来たのだ。鰻女郎と言うのは大きな池や沼、川などの水辺を住処とする人魚らしい。
奈伎も一族の特性に違わずぬるりと光沢のある粘液を全身にまとっており、不思議な色香を持っていた。また、献身的な性格で見ず知らずの旅人の世話を焼いてくれたのだ。
「伊兵衛様、入りますよ」
少年が名を呼んだのを知ってか知らずか、奈伎がするりと入ってきた。瓜実顔に暗い藍色の髪の毛を後ろにまとめたたおやかな女性だ。美しいと断言できる容姿だが、その静かなたたずまいと優しげな風貌のほうが印象に残る。
「お着替えを置いておきますね。私は先に寝ていますが、何かご用事があれば起こしてくださいね。」
伊兵衛は奈伎が話しているのも忘れ、彼女を眺めていた。いつの間にか奈伎も会話を終え、じっと見つめていた。女を感じるような瞳に落ち着きがなくなってくる。目じりの泣き黒子がやけに目に焼き付いていた。
「あの、奈伎さん」
「お休みなさい」
その長い体を器用にくねらせて部屋から出て行った。息をつくと、ひそかに隠していた着物を取り出した。その女物の着物に顔をうずめる。表の記事からはわからないが、粘液がまとわりついている。
「昨日まで着ていたんだ……」
彼女の艶めかしい肢体を想像しながら粘液をこすりつけ、やがて股間にこすりつけようとして。
(奈伎さん、笑っていたな……)
思いとどまった。あまりにも恩知らずすぎる。見ず知らずの自分の世話を焼いた女性の着物を持ち出した挙句、それを自慰の道具にするなど。伊兵衛はそもそも女の着物を盗むような性質ではない。自然と罪悪感が湧いてきた。
「返そう。今なら寝ているかもしれない」
正面から謝る勇気を持てないところに気の弱さが出ていた。ひそかに奈伎の部屋の前まで忍び足で歩き、耳をそば立てる。静かな呼吸音が聞こえる。ほっと安心すると、衾を開け箪笥を探す。
ヌルリ。
瞬間。
ヌルヌルした太く長く太いものが巻き付いてきた。
「うわぁ、なんだこれ!」
引きはがそうとするが、ぬめってうまくつかめない。逆にそれは粘液を体にこすりつけながら益々密着してくる。慌てて離れようと身体をねじれば余計に滑り、着物が脱げてますます絡みついてくる。
「ああ、伊兵衛様。とうとう来てくださったのですね」
「な、奈伎さん?」
後ろから絡みついてきたのは、奈伎だった。目を白黒させる伊兵衛をよそにその白魚のような手で股間を撫でてくる。
「お、起きてたんですか?」
「当然です。着物だけでは我慢できなくなったから私のところに来たのではありませんか?」
気付かれていた。そのうえで自分が奈伎の寝室も来るのを待っていたのだと伊兵衛は悟った。奈伎の思惑に驚く伊兵衛。
「い、いや着物を返そうと思って……その」
「いいのです。着物ではなく私を押し倒してくださればいいのにとやきもきしていましたが、それも今日で終わりです」
奈伎は顔を紅潮させて言った。そして尾に力を強めていく。
「まって、奈伎さん」
「待ちません」
巻き付いた尻尾に引っ張られおもわず奈伎の柔らかな体に圧し掛かってしまう。あんっという奈伎の艶声と粘液に覆われた奈伎の柔らかな肢体に股間を固くする。
奈伎はにっこりと笑うと、さらに締め付けを強くする。体を掴もうとしたときにはぬるぬるしてつかめなかったのが、今は粘液が少なく抵抗むなしく彼女のぬめる胴で体をがっちりと拘束する。
「ううっ…むぐぅ、んん」
奈伎はしっかりと抱きしめると、伊兵衛の顔に自分の豊かな胸を押し付ける。いよいよ我慢できなくなって声を上げるが、胸にふさがれてくぐもった声にしかならない。
「ふふ♥」
再び彼女の体がぬめりだし全身を締め上げられるたびに粘液がぬちゅっといやらしい音を立てる。そして、
「うぁあああっ」
彼女の尻尾に精液が勢いよく降りかかった。粘液と精液で淫らな掛け橋が彼の股間と奈伎の胴にできる。荒い呼吸の後、伊兵衛の貌に羞恥の色が浮かぶ。
「はぁ、はぁあああ」
「満足いただけましたか?つい愛らしい姿に強く抱きしめてしまいました」
「でも私は、奈伎はまだまだしてほしいところがあるんです」
そして手を下の方にもっていき、「開いた」。
女性器は月明かりに照らされてテラテラと輝き、少年の大きくなった男性器を今か今かと待ちかまえていた。伊兵衛は夢遊病のようにそろそろと再び大きくした股間のモノを近づけ、そして一気に挿入した。
「んあっ」
何度も何度も腰を叩きつける。粘液で逸物と膣内で絡み合い、そのたびに音が響く。
「ああ、なんとたくましいのでしょう…」
「それでは、私も「挿れ」させていただきますね」
「え…?」
伊兵衛が何かを言う前に奈伎は白魚の様に熱く長いぬるぬるとした指が、尻の孔に深々と潜り込んだ。
「うわあああああああああ」
その快感と痛みに伊兵衛は叫び声をあげる。ズブズブと根本まで飲み込まれる指。奈伎はその指で中を混ぜるようにかき回す。
「ふふ、肛門にいたずらされるのは初めてですよね。気持ちいいですか?」
その異物感に伊兵衛の尻の筋肉に力が入るが、同時に膣内の肉棒も固さと太さが増していく。自然と腰が激しくなり、叩き付けるスピードも速くなっていく。
「も、もう…だめっいっいきそう…」
「ああ、出してください、全部、私の中で!」
叫んだ瞬間、鰻女郎の中に厚く勢いよく止めどもなく吐き出された。
そしてこの夜。何度も、何度も鰻女郎の中で少年は射精を繰り返した。
夜が明けて、二人はこれまでと変わらない日常を始めたように見えた。
しかし、伊兵衛の貌は何を我慢しているのか呼吸が荒く顔が真っ赤になっている。
「伊兵衛様、お箸が止まっていますよ」
奈伎はニコニコと話しかけるが、知って知らずが胸元を強調するようにしている。
「奈伎さぁん……もう我慢できないよう……」
奈技の料理を食べてからと言うもの、口にするのは彼女の料理だけだ。そして彼女の料理を食べると性欲を持て余して仕方がないのだ。
「フフ、ダメです。ちゃんとごはんを食べてね。そしたら……?ね」
「うん……」
やることは変わらない。彼女の料理を食べ、彼女と体を重ね、そして愛し合っていくのだろう。
明日も、明後日も、ずっと。
16/06/26 20:31更新 / カイント