後に引けない戦い
「♪〜♪〜〜〜〜♪」
男が鼻歌を歌いながら林の中を歩く。
「う〜やっぱ散歩に来て正解だったか。」
男はやけに上機嫌で歩いていた。
しかし、幸せな時間はすぐ終わるのがいつものことで、だんだん天気が悪くなり、そのうえ雨まで降り始めた。
「うわぁ、何だよクソッ。」
男がうんざりしながら、そう言うと、来た道を戻ろうとしたとき、
「ん？なんだありゃ？」
少し先に人影が見えて来た。
その人影に近づいてみると、その人物は女だった。
腕を怪我をしているようで肩に手を当てながら移動している。
男は女に、
「おい、あんた。どうしたんだ？腕を怪我しているみたいだが。」
そう尋ねると、女は
「・・・お前には関係ない。」
そうそっけなく返すだけだった。
しかし男はあきらめずに、
「そんなことはない、腕を怪我している上、雨が降ってきたんだ。少しまかなうから部屋に来てくれ。」
そう言った。
「うるさい！別にいいt」グキュルルル〜
女が怒鳴った途端、女の腹から大きな音が聞こえた。
女は真っ赤に顔を染めて恥ずかしがり、男は少し顔を緩め、
「そんな腹の音を出しておきながら一人で帰ると気分がひどくなる。着いてきてくれ。」
そう笑った。
女はその笑った顔を見て、少し考えてから
「・・・分かった。」
女のほうがあきらめて部屋に来ることにしたようだ。
男は満足そうに
「OK、ついてきてくれ。」
といって、部屋に女とともに帰って行った。
「ほらよっと、出来たぞ。」
男が部屋に帰ってすぐに作ったスープを女に渡した。
「・・・・」
しかし女は苦い顔をして、スープを口に運ぼうとはしなかった。
「大丈夫だ、毒なんか入れてないし自分も食うから。」
そういって男は自分の分のスープをさらに入れた。
女はその言葉を聞くと、決心したようにスープを口に運んだ。
「！！！！！！」
一度食べ始めたら止まらず、そのスープをいきよいよく食べる女。
そしてすぐに皿に入れたスープを平らげた。
そのままテーブルに空になった皿とスプーンを置いた。
「食うのが早いな・・・・ん？どうした。」
男があっけに取られていると女が男のスープを見て
「すまないがそれもくれないか？」
と頼んできた。
「ああ。いいぜ。」
男は特にだめな理由がないので自分のスープを渡した。
女はそのスープをもらうとすぐに平らげてしまった。
「よく食うなっと。とりあえず自己紹介しようや。」
女が食べ終えるのを待ってから男がしゃべり始めた。
「別にいいが・・・お前から名乗れ。」
女が男に皿を返しながら話す。
「わかった。俺の名はジェルグ。ここで料理長をしているものだ。あんたは？」
ジェルグと名乗った男が女に尋ねると
「私の名はスアマ。アマゾネスだ。」
スアマと名乗った女の言葉にジェルグが驚いた。
それもそのはず、ここは反魔物領で魔物はよくて殺され、悪くて性欲の捌け口になるだけだからだ。
「私もあのまま空腹で死に掛けていたときにおいしいスープをいただいた身だ。礼を言う。もし、お前が魔物だと気づいて助けたと言うなら・・・」「まて。」
スアマがあきらめたようにしゃべっている途中にジェルグがしゃべった。
「ここは確かに反魔物領だが、別に首がほしかったわけでも、女だからってわけでもない。しかもあんたの首を出しても喜ぶのは領主だけ。いいことがない。だから・・・・」
「だから？」
スアマはジェルグに言葉をさえぎられたことも忘れて、話を聞いていた。
「お前をかくまうことにする。」
「・・・は！？」
ジェルグがいきなりとんでもないことを言ったのでスアマは驚きを隠せなかった。
「いいか、よく聞け。ここの領主は最悪でな。お前の首を出してもメリットはないんだ。しかも助けたやつが魔物だからって殺そうとも思わない。それならここにかくまってやった方がいい。」
ジェルグがそう説明し、約束を守ってくれたらなと付け加えた。
スアマは少し考えて、本当にいいのか？と聞くと
「ああいいさ。あのクズ領主に人生をささげるより、女性の命を守って死ぬほうがましだ。」
はっきりジェルグが言った。
スアマはそれを聞いて少し微笑みながら、
「すまない恩にきる。」
と言った。
それから約一ヶ月経った日
スアマはまだ生きていて、領主にばれずに暮らしていた。
ジェルグがスアマに出した約束をスアマは守り、ジェルグは休みだが、外せない用事があり、外出し、帰ってきたら
「お帰り、用事は終わったのか？休みに出かけるのもいいが、家で休むことも大切だぞ？」
いつもはお帰りの一言のはずなのに、スアマがやさしい目で話しかけてきた。
「ああ、用事は終わった。後は天に祈るだけだな。」
ジェルグは不思議に思いながら言った。
「そうか・・・そうそう、そろそろ風呂に入ってきたらどうだ？用事で疲れただろう。」
「おう、分かった。ちょっと行ってくる。」
そういってジェルグは共同に使う風呂に行くことにした。
残されたスアマは
「フフッ、やはりジェルグはいいやつだ。もしこの街が堕ちるか、ジェルグが親魔物領に逃げるのならば、絶対に夫にしてやる。」
そういいながら、ジェルグの帰りを待つことにした。
それから二ヶ月ちょっと経ったある日
スアマが音を立てないで鍛錬をしていたとき、ジェルグが飛び込んでくるように帰ってきた。
「お帰り、早かったな？」
スアマがジェルグに聞くとジェルグが嬉しそうに言った。
「スアマ！！聞いてくれ！この街は中立になった！！そして今、魔王軍が来て、スアマのことを話したら喜んで、元の集落に送ってくれるそうだ！！急いで帰る仕度をしてくれ！！」
ジェルグは興奮しているようで、話し声が大きくなっていた。
スアマもその話を聞いて、
「分かった。今すぐ仕度をしよう。」
嬉しそうに言った。
スアマが急いで仕度をし、魔王軍の元に行ったとき、
「忘れているものはないか？」
魔王軍の隊長らしきデュラハンがスアマに聞いた。
スアマは
「一つだけある。少し待ってくれないか？」
と言って、武器を片手にジェルグの元にいき、
「ジェルグよく聞け。今日からお前は私の夫となる。私はお前に永久の幸福を、そしてお前は私に永遠の愛をささげろ。異論はすべて武器を取り、私と戦え！！」
スアマはそう宣言した。
ジェルグは驚いた表情をして少し考えてから、
「ちょっと待っててくれ。」
そういって、部屋に戻ってすぐに出てきた。
ジェルグは
「お前の言い分は分かった。しかし、こちらにも言い分がある。だから武力で相手をしよう。」
そう言い放ち、篭手を装備した手で構える。
スアマは
「分かった。ならばお前を倒して夫にしよう。」
そういってすらりとした、剣を構えた。
「「・・・・・・」」
二人ともしゃべらず武器を構えている。
「・・・いくぞ！！」
先に動いたのはスアマの方だった剣を少ない動作で一気に振り下ろす。
「おっと。」
ジェルグはその攻撃を小さく右によけてかわす。
スアマは少し驚きながらもすぐに剣を放してフックを決めようとした。
しかしジェルグはしゃがみ、その攻撃をかわし、そのままアッパーをみぞおちに入れる。
「グフッ！！！」
さすがのスアマも無防備のみぞおちに重い一撃が決まると、放射線状に吹き飛んでしまう。
「そこだぁ！！！」
すぐにジェルグが交互に拳を打つ。
「とどめだ！」
そして最後のアッパーがスアマの顎に吸い込まれるように決まる。
「ガハッ！！！」
脳をいきよいよく揺さぶられ、スアマは地に伏せた。
パチパチパチパチ
「驚いたな、まさかアマゾネスを倒すことができるなんて。お前昔はどこに所属していたんだ？」
デュラハンが拍手をする。
「俺は料理長だ。ただ師匠の鍛錬のおかげで騎士十人対一人でもできるようになったけどな。」
「どういう師匠だ・・・・」
ジェルグはそう言うとデュラハンは呆れた顔をしながら言った。
「まあ、師匠は騎士千人と戦って無傷でいた人だしな。」
「その師匠の名は？」
「名前は忘れた。呼び名は・・・そうそう神父おにいちゃんだっけな。バフォメットにそう言われていたはずだ。」
「・・・」
「あと・・・魔王軍にも勝っていたな。一人で。」
「・・・ああ、あの神父か。」
デュラハンは思い出したように言った。
「ん、ならそう言う訳でスアマを元の集落に返してやってくれ。」
「ああ分かった。」
そう言いながらデュラハンはスアマを担いだ。
「そうそう。ちょっと伝言頼めるか？」
その背中にジェルグが問いかけた。
「う・・・ん・・・」
「起きたか？スアマ。」
「ああ、ここは？」
「おい、自分が生まれた故郷も思い出せないのか？」
「・・・・・！！長！！」
スアマが飛び起きたのを見て長は笑った。
「話は聞いた、スアマ。ジェルグと言う男に負けたんだろう？」
「あ・・・・」
スアマは自分がジェルグを夫にできなかったたことに気づいたようだった。
その表情を見て長は
「お前さんに伝言があるよく聞け、『たまには遊びに来い。まかないぐらいは出してやる』だとさ。
・・・もしまだその男を夫にしたいときは、もっと強くなってから行きな。アタシも手伝ってやる。」
長はそう言うと家の外に出てしまった。
「訓練か・・・そうだな。待ってろよジェルグ。絶対にお前を夫にしてやる！！」
その後長の地獄の訓練を受ける事にしたスアマはまた新たに決意を強くした
一ヶ月の時が過ぎ、修行を終えたスアマはジェルグに会った。
「久しぶりだな、スアマ。」
「人間よ、心して聞け。我が名は誇り高きアマゾネスの戦士スアマ。この時より貴様は私の夫となる。私はお前に永久の幸福を与えよう。そしてお前は私に永久の愛をささげるのだ。異存、異論があるのならば、武器を持って私と戦え！」
スアマが真剣な顔をして言う。
「俺はこの街を離れたくない。この街の料理長だ。だからそちらにはいけない。」
再びスアマとジェルグの戦いが始まった。
「フッ、ゼヤ！！」
やはり最初に動いたのはスアマだった。
最初のころより断然早く、自前の剣を突き出した。
しかしジェルグは軽やかに右によける。
スアマは突き出した剣をそのまま横に薙いだ。
「甘いぜってウォ！！」
ジェルグはスアマの剣が自分に迫っていることに気づき、あわててしゃがむ。
その状態のところに、剣を振り下ろす。
ジェルグは左に回避するも完全に体勢を崩された状態になる。
しかし、スアマの次の行動は意外なものだった。
『武器から手を放したのだった。』
「・・・！？なめているのか！？」
ジェルグはその行動に腹を立てて、右手を打ち出す。
「・・・・」
スアマは左手でつかむ。
「くそっ！！」
ジェルグはすぐさま左手で顔を殴ろうとした。
しかしその拳がスアマにあたることはなかった。
「お〜やってるやってる。」
ロンはスアマとジェルグの戦いを見てつぶやいている。
「・・・ほんとにすごい。」
その横ではロンの妻であるデュラが水を飲んでいる。
「そうか？俺にはお遊び程度にしか見えんが・・・」
「・・・そんな事を言うのは失礼。」
デュラが頬を膨らまして言うと、
「だってさ、ジェルグ。あいつ本気をまったく出しているようには見えないし・・・」
「・・・あれ本気じゃないの？」
「ああ、その証拠にあいつ汗ひとつ掻いてないし、お得意の攻撃も出してない。あれじゃあ騎士三人倒せるかどうか分からん。」
「・・・・じゃあ何で本気を出さないの？」
「決まってるだろ？ジェルグは・・・・・」
ジェルグの左手をすれすれでよけたスアマは『左手をかんでとめた。』
そしてそのまま・・・・
「ふぉっは。」（とった。）
空いた右手で腹にアッパーを入れた。
「グッ、ガハッ。」
ジェルグは吹き飛んで木にあたり、そのまま動かなかった。
「ハァ、ハァ。勝ったぞ。」
そういってスアマはガッツポーズをした。
「ちょっと待った。」
スアマがジェルグを連れて行こうとすると、ロンが話しかけてきた。
「・・・どうした？」
「そいつを連れてくの、やめてくれね？」
「断る。」
「まあそういわず・・・とりあえずあんた勘違いしてるぞ？」
「・・・は？」
驚くスアマに対しロンは説明を始めた。
「まず、ジェルグはお前と居たくないとは言ってない。逆に居たいと思っているんじゃないか？それにお前は『異論があるなら戦えって』って言ったろ？
たぶんジェルグは異存じゃなくて条件があったんじゃないか？それを聞いてから元の集落に行け。もし、ジェルグがお前と居たくないから戦ってたならお前の好きにするがいいさ。」
「・・・」
「まぁ、条件だと思うがなぁ。」
ロンが説明を終え、
「そうだろ？ジェルグ。狸寝入りするんじゃねぇよ。」
「・・・・あ、やっぱばれてた？」
「！？！？！？」
気絶したふりをしていたジェルグに話を振るとジェルグは素直に起き、その姿にスアマは驚いていた。
「ｄｆじゃ；いｒｈがいｙｔｐｙｐ!!」
「「落ち着け。」」
スアマのわけの分からない言葉につっこむ二人。
「どっどうして起き上がれる？！確かに気絶したはずだぞ?!」
少し落ち着きを取り戻した（それでもまだ驚いていたが）スアマが聞くと
「だって腹に力入れてわざと吹き飛んだし、気絶したふりをしていたからな。」ドヤァ
「おお、ウザイウザイ。と言うか早く条件を言ってやれ。」
自慢げに話すジェルグとせかすロンを見てスアマは落ちつきを取り戻したみたいだった。
「で・・・条件は?簡単なやつなら呑もう。」
スアマが尋ねると
「あ〜簡単と言えば簡単だし、難しいって言ってもおかしくないし・・・」
「「さっさと言え。」」
「分かったよ！！・・・条件は一つ、この街に暮らしてもらいたいだけなんだが・・・いいか？」
「「・・・・・・・」」
ジェルグが言いにくそうに条件を言うと二人とも口を開いたまま固まった。
「・・・何でだんまりなんだ？」
「ジェルグ・・・そんだけか？」
ジェルグが沈黙に耐え切れずにしゃべるとロンは呆れたまま言った。
「・・・長に確認を取ってくる。」
スアマはそう言うと、すぐに集落に帰って行った。
「・・・・・・」
スアマが行ってしまった後、ジェルグは黙り、ロンは、
「とりあえず・・・くたばれや。」
いきよいよく鳩尾に右ストレートを決めて、ジェルグを引きずって皆のところに行った。
『全身フードをまとい、ジェルグにお祝いのバックドロップを決めるため待っている皆の所へ。』
「長・・・・報告に参りました。」
「ああ。スアマよ、結果はどうだった。」
スアマは集落に帰ってきてすぐに長の家に行って、長に結果を報告した。
スアマがジェルグの出した条件についての相談を話したところで長がいきなり立ち上がりだした。
「お、長？」
「貴様と言うやつは〜・・・・」
スアマがいきなり立ち上がった長に声をかけると、長は声を振るわせながら拳を構え、
「何でアタシに許可をもらいにくるんだ！！この馬鹿者！！」
スアマの体めがけてラッシュを決めた。
「な、長？！いきなりグベシッ」
「夫にほれたのだろう？！なぜ戻ってくる必要がある！？そのまま行けばいいだろう！！分かったか？分かったならさっさと行け！！お前の夫の元へ！！」
を決め終えた長はそのまま部屋に戻ってしまった。
わけの分からないスアマに男が近づいてきた。
「スアマ、長はああは言っているけど、照れ隠しなんだよ？たぶんうれしいんじゃないかな？たまには婿さんとともに帰ってきてくれよ？さ、行きな。」
「父上・・・」
「早く行かないとまた殴られるよ？」
「はっはい！！」
そう言って長の家から飛び出すスアマ。
「お〜ま〜え〜（怒）」
「うわっいきなりでるなよ長。びっくりするじゃないか。」
「娘に何を言ったのかなぁ？」
「・・・三十六系逃げるにしかず！！」
「逃がすか！！」
そして、長とスアマの父のリアル鬼ごっこは翌朝まで続いた。
「ジェルグ！！・・・・どうした？」
スアマが急いで街に戻ってきて見たのは
『血まみれで横たわっているジェルグの姿だった。』
「気にすんな。結婚するやつの通過儀礼だ。」
「・・・？」
ロンが言ってもスアマは納得できなかった。
「う・・・・・スアマ？どうだった？」
「お前は大丈夫なのか？」
「大丈夫大丈夫。生きてるから。」
「・・・まあいいお前の条件は呑もう。その代わり・・・・」
スアマがなぜかニッコリと笑っていた。
「あの・・・スアマさん？なんかすごくいやな予感しかしない。」
「で、その代わり？」
滝汗をかくジェルグの代わりにロンが尋ねた。
「婚礼の宴は絶対にやるぞ。」
スアマは笑顔で言い切った。
「「「・・・・・・・」」」
一気に沈黙が起こる。
結局、スアマとジェルグの婚礼の宴は行われ、ジェルグは干物みたいになった。
その後・・・・
「そういえばお前ら互いに自己紹介してないな。」
ロンが言うとジェルグは
「確かに、スアマのこととかあまり教えてもらってないな。」
「ならフルネームで自己紹介しろ今すぐ。」
二人ともロンの言うことに疑問を抱かず、自己紹介を始めた。
「俺の名はジェルグ・スタートリー。今は料理長だ。」
「私の名はスアマ・バトラティック・ハルカラ。刀の集落の長の娘で、今はジェルグの妻だ。」
二人が自己紹介を終えたところで二人が驚いたような顔をした。
「おまえ・・・集落の長の娘なのか？」
「そうだがそれがどうした？」
「いや・・・・なんでもない。」
「やったなジェルグ！集落の長の娘が嫁だなんてすばらしいじゃないか！！」
スアマが長の娘だと知ったジェルグは硬直し、ロンはジェルグを茶化した。
「じゃ、お邪魔そうだし退散するわ。」
ロンはそう言いながら事務室に逃げた。
「・・・別に長の娘だからって威張れるほど偉くはないがな。」
「そうなのか？」
ジェルグが尋ねるとスアマはうなずいて。
「もし威張ったら長に半殺しになる。」
「そうか・・・」
ジェルグは自分の師匠の事を思い出した。
「まあ・・・・そんな事はどうでもいい。大切なのは今、ジェルグを夫にできた事だ。」
「・・・・・」
「だから・・・・・」
『お前を婿にした事を後悔させるなよ。』
そう言ってスアマは特上の笑顔を見せた。
男が鼻歌を歌いながら林の中を歩く。
「う〜やっぱ散歩に来て正解だったか。」
男はやけに上機嫌で歩いていた。
しかし、幸せな時間はすぐ終わるのがいつものことで、だんだん天気が悪くなり、そのうえ雨まで降り始めた。
「うわぁ、何だよクソッ。」
男がうんざりしながら、そう言うと、来た道を戻ろうとしたとき、
「ん？なんだありゃ？」
少し先に人影が見えて来た。
その人影に近づいてみると、その人物は女だった。
腕を怪我をしているようで肩に手を当てながら移動している。
男は女に、
「おい、あんた。どうしたんだ？腕を怪我しているみたいだが。」
そう尋ねると、女は
「・・・お前には関係ない。」
そうそっけなく返すだけだった。
しかし男はあきらめずに、
「そんなことはない、腕を怪我している上、雨が降ってきたんだ。少しまかなうから部屋に来てくれ。」
そう言った。
「うるさい！別にいいt」グキュルルル〜
女が怒鳴った途端、女の腹から大きな音が聞こえた。
女は真っ赤に顔を染めて恥ずかしがり、男は少し顔を緩め、
「そんな腹の音を出しておきながら一人で帰ると気分がひどくなる。着いてきてくれ。」
そう笑った。
女はその笑った顔を見て、少し考えてから
「・・・分かった。」
女のほうがあきらめて部屋に来ることにしたようだ。
男は満足そうに
「OK、ついてきてくれ。」
といって、部屋に女とともに帰って行った。
「ほらよっと、出来たぞ。」
男が部屋に帰ってすぐに作ったスープを女に渡した。
「・・・・」
しかし女は苦い顔をして、スープを口に運ぼうとはしなかった。
「大丈夫だ、毒なんか入れてないし自分も食うから。」
そういって男は自分の分のスープをさらに入れた。
女はその言葉を聞くと、決心したようにスープを口に運んだ。
「！！！！！！」
一度食べ始めたら止まらず、そのスープをいきよいよく食べる女。
そしてすぐに皿に入れたスープを平らげた。
そのままテーブルに空になった皿とスプーンを置いた。
「食うのが早いな・・・・ん？どうした。」
男があっけに取られていると女が男のスープを見て
「すまないがそれもくれないか？」
と頼んできた。
「ああ。いいぜ。」
男は特にだめな理由がないので自分のスープを渡した。
女はそのスープをもらうとすぐに平らげてしまった。
「よく食うなっと。とりあえず自己紹介しようや。」
女が食べ終えるのを待ってから男がしゃべり始めた。
「別にいいが・・・お前から名乗れ。」
女が男に皿を返しながら話す。
「わかった。俺の名はジェルグ。ここで料理長をしているものだ。あんたは？」
ジェルグと名乗った男が女に尋ねると
「私の名はスアマ。アマゾネスだ。」
スアマと名乗った女の言葉にジェルグが驚いた。
それもそのはず、ここは反魔物領で魔物はよくて殺され、悪くて性欲の捌け口になるだけだからだ。
「私もあのまま空腹で死に掛けていたときにおいしいスープをいただいた身だ。礼を言う。もし、お前が魔物だと気づいて助けたと言うなら・・・」「まて。」
スアマがあきらめたようにしゃべっている途中にジェルグがしゃべった。
「ここは確かに反魔物領だが、別に首がほしかったわけでも、女だからってわけでもない。しかもあんたの首を出しても喜ぶのは領主だけ。いいことがない。だから・・・・」
「だから？」
スアマはジェルグに言葉をさえぎられたことも忘れて、話を聞いていた。
「お前をかくまうことにする。」
「・・・は！？」
ジェルグがいきなりとんでもないことを言ったのでスアマは驚きを隠せなかった。
「いいか、よく聞け。ここの領主は最悪でな。お前の首を出してもメリットはないんだ。しかも助けたやつが魔物だからって殺そうとも思わない。それならここにかくまってやった方がいい。」
ジェルグがそう説明し、約束を守ってくれたらなと付け加えた。
スアマは少し考えて、本当にいいのか？と聞くと
「ああいいさ。あのクズ領主に人生をささげるより、女性の命を守って死ぬほうがましだ。」
はっきりジェルグが言った。
スアマはそれを聞いて少し微笑みながら、
「すまない恩にきる。」
と言った。
それから約一ヶ月経った日
スアマはまだ生きていて、領主にばれずに暮らしていた。
ジェルグがスアマに出した約束をスアマは守り、ジェルグは休みだが、外せない用事があり、外出し、帰ってきたら
「お帰り、用事は終わったのか？休みに出かけるのもいいが、家で休むことも大切だぞ？」
いつもはお帰りの一言のはずなのに、スアマがやさしい目で話しかけてきた。
「ああ、用事は終わった。後は天に祈るだけだな。」
ジェルグは不思議に思いながら言った。
「そうか・・・そうそう、そろそろ風呂に入ってきたらどうだ？用事で疲れただろう。」
「おう、分かった。ちょっと行ってくる。」
そういってジェルグは共同に使う風呂に行くことにした。
残されたスアマは
「フフッ、やはりジェルグはいいやつだ。もしこの街が堕ちるか、ジェルグが親魔物領に逃げるのならば、絶対に夫にしてやる。」
そういいながら、ジェルグの帰りを待つことにした。
それから二ヶ月ちょっと経ったある日
スアマが音を立てないで鍛錬をしていたとき、ジェルグが飛び込んでくるように帰ってきた。
「お帰り、早かったな？」
スアマがジェルグに聞くとジェルグが嬉しそうに言った。
「スアマ！！聞いてくれ！この街は中立になった！！そして今、魔王軍が来て、スアマのことを話したら喜んで、元の集落に送ってくれるそうだ！！急いで帰る仕度をしてくれ！！」
ジェルグは興奮しているようで、話し声が大きくなっていた。
スアマもその話を聞いて、
「分かった。今すぐ仕度をしよう。」
嬉しそうに言った。
スアマが急いで仕度をし、魔王軍の元に行ったとき、
「忘れているものはないか？」
魔王軍の隊長らしきデュラハンがスアマに聞いた。
スアマは
「一つだけある。少し待ってくれないか？」
と言って、武器を片手にジェルグの元にいき、
「ジェルグよく聞け。今日からお前は私の夫となる。私はお前に永久の幸福を、そしてお前は私に永遠の愛をささげろ。異論はすべて武器を取り、私と戦え！！」
スアマはそう宣言した。
ジェルグは驚いた表情をして少し考えてから、
「ちょっと待っててくれ。」
そういって、部屋に戻ってすぐに出てきた。
ジェルグは
「お前の言い分は分かった。しかし、こちらにも言い分がある。だから武力で相手をしよう。」
そう言い放ち、篭手を装備した手で構える。
スアマは
「分かった。ならばお前を倒して夫にしよう。」
そういってすらりとした、剣を構えた。
「「・・・・・・」」
二人ともしゃべらず武器を構えている。
「・・・いくぞ！！」
先に動いたのはスアマの方だった剣を少ない動作で一気に振り下ろす。
「おっと。」
ジェルグはその攻撃を小さく右によけてかわす。
スアマは少し驚きながらもすぐに剣を放してフックを決めようとした。
しかしジェルグはしゃがみ、その攻撃をかわし、そのままアッパーをみぞおちに入れる。
「グフッ！！！」
さすがのスアマも無防備のみぞおちに重い一撃が決まると、放射線状に吹き飛んでしまう。
「そこだぁ！！！」
すぐにジェルグが交互に拳を打つ。
「とどめだ！」
そして最後のアッパーがスアマの顎に吸い込まれるように決まる。
「ガハッ！！！」
脳をいきよいよく揺さぶられ、スアマは地に伏せた。
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「驚いたな、まさかアマゾネスを倒すことができるなんて。お前昔はどこに所属していたんだ？」
デュラハンが拍手をする。
「俺は料理長だ。ただ師匠の鍛錬のおかげで騎士十人対一人でもできるようになったけどな。」
「どういう師匠だ・・・・」
ジェルグはそう言うとデュラハンは呆れた顔をしながら言った。
「まあ、師匠は騎士千人と戦って無傷でいた人だしな。」
「その師匠の名は？」
「名前は忘れた。呼び名は・・・そうそう神父おにいちゃんだっけな。バフォメットにそう言われていたはずだ。」
「・・・」
「あと・・・魔王軍にも勝っていたな。一人で。」
「・・・ああ、あの神父か。」
デュラハンは思い出したように言った。
「ん、ならそう言う訳でスアマを元の集落に返してやってくれ。」
「ああ分かった。」
そう言いながらデュラハンはスアマを担いだ。
「そうそう。ちょっと伝言頼めるか？」
その背中にジェルグが問いかけた。
「う・・・ん・・・」
「起きたか？スアマ。」
「ああ、ここは？」
「おい、自分が生まれた故郷も思い出せないのか？」
「・・・・・！！長！！」
スアマが飛び起きたのを見て長は笑った。
「話は聞いた、スアマ。ジェルグと言う男に負けたんだろう？」
「あ・・・・」
スアマは自分がジェルグを夫にできなかったたことに気づいたようだった。
その表情を見て長は
「お前さんに伝言があるよく聞け、『たまには遊びに来い。まかないぐらいは出してやる』だとさ。
・・・もしまだその男を夫にしたいときは、もっと強くなってから行きな。アタシも手伝ってやる。」
長はそう言うと家の外に出てしまった。
「訓練か・・・そうだな。待ってろよジェルグ。絶対にお前を夫にしてやる！！」
その後長の地獄の訓練を受ける事にしたスアマはまた新たに決意を強くした
一ヶ月の時が過ぎ、修行を終えたスアマはジェルグに会った。
「久しぶりだな、スアマ。」
「人間よ、心して聞け。我が名は誇り高きアマゾネスの戦士スアマ。この時より貴様は私の夫となる。私はお前に永久の幸福を与えよう。そしてお前は私に永久の愛をささげるのだ。異存、異論があるのならば、武器を持って私と戦え！」
スアマが真剣な顔をして言う。
「俺はこの街を離れたくない。この街の料理長だ。だからそちらにはいけない。」
再びスアマとジェルグの戦いが始まった。
「フッ、ゼヤ！！」
やはり最初に動いたのはスアマだった。
最初のころより断然早く、自前の剣を突き出した。
しかしジェルグは軽やかに右によける。
スアマは突き出した剣をそのまま横に薙いだ。
「甘いぜってウォ！！」
ジェルグはスアマの剣が自分に迫っていることに気づき、あわててしゃがむ。
その状態のところに、剣を振り下ろす。
ジェルグは左に回避するも完全に体勢を崩された状態になる。
しかし、スアマの次の行動は意外なものだった。
『武器から手を放したのだった。』
「・・・！？なめているのか！？」
ジェルグはその行動に腹を立てて、右手を打ち出す。
「・・・・」
スアマは左手でつかむ。
「くそっ！！」
ジェルグはすぐさま左手で顔を殴ろうとした。
しかしその拳がスアマにあたることはなかった。
「お〜やってるやってる。」
ロンはスアマとジェルグの戦いを見てつぶやいている。
「・・・ほんとにすごい。」
その横ではロンの妻であるデュラが水を飲んでいる。
「そうか？俺にはお遊び程度にしか見えんが・・・」
「・・・そんな事を言うのは失礼。」
デュラが頬を膨らまして言うと、
「だってさ、ジェルグ。あいつ本気をまったく出しているようには見えないし・・・」
「・・・あれ本気じゃないの？」
「ああ、その証拠にあいつ汗ひとつ掻いてないし、お得意の攻撃も出してない。あれじゃあ騎士三人倒せるかどうか分からん。」
「・・・・じゃあ何で本気を出さないの？」
「決まってるだろ？ジェルグは・・・・・」
ジェルグの左手をすれすれでよけたスアマは『左手をかんでとめた。』
そしてそのまま・・・・
「ふぉっは。」（とった。）
空いた右手で腹にアッパーを入れた。
「グッ、ガハッ。」
ジェルグは吹き飛んで木にあたり、そのまま動かなかった。
「ハァ、ハァ。勝ったぞ。」
そういってスアマはガッツポーズをした。
「ちょっと待った。」
スアマがジェルグを連れて行こうとすると、ロンが話しかけてきた。
「・・・どうした？」
「そいつを連れてくの、やめてくれね？」
「断る。」
「まあそういわず・・・とりあえずあんた勘違いしてるぞ？」
「・・・は？」
驚くスアマに対しロンは説明を始めた。
「まず、ジェルグはお前と居たくないとは言ってない。逆に居たいと思っているんじゃないか？それにお前は『異論があるなら戦えって』って言ったろ？
たぶんジェルグは異存じゃなくて条件があったんじゃないか？それを聞いてから元の集落に行け。もし、ジェルグがお前と居たくないから戦ってたならお前の好きにするがいいさ。」
「・・・」
「まぁ、条件だと思うがなぁ。」
ロンが説明を終え、
「そうだろ？ジェルグ。狸寝入りするんじゃねぇよ。」
「・・・・あ、やっぱばれてた？」
「！？！？！？」
気絶したふりをしていたジェルグに話を振るとジェルグは素直に起き、その姿にスアマは驚いていた。
「ｄｆじゃ；いｒｈがいｙｔｐｙｐ!!」
「「落ち着け。」」
スアマのわけの分からない言葉につっこむ二人。
「どっどうして起き上がれる？！確かに気絶したはずだぞ?!」
少し落ち着きを取り戻した（それでもまだ驚いていたが）スアマが聞くと
「だって腹に力入れてわざと吹き飛んだし、気絶したふりをしていたからな。」ドヤァ
「おお、ウザイウザイ。と言うか早く条件を言ってやれ。」
自慢げに話すジェルグとせかすロンを見てスアマは落ちつきを取り戻したみたいだった。
「で・・・条件は?簡単なやつなら呑もう。」
スアマが尋ねると
「あ〜簡単と言えば簡単だし、難しいって言ってもおかしくないし・・・」
「「さっさと言え。」」
「分かったよ！！・・・条件は一つ、この街に暮らしてもらいたいだけなんだが・・・いいか？」
「「・・・・・・・」」
ジェルグが言いにくそうに条件を言うと二人とも口を開いたまま固まった。
「・・・何でだんまりなんだ？」
「ジェルグ・・・そんだけか？」
ジェルグが沈黙に耐え切れずにしゃべるとロンは呆れたまま言った。
「・・・長に確認を取ってくる。」
スアマはそう言うと、すぐに集落に帰って行った。
「・・・・・・」
スアマが行ってしまった後、ジェルグは黙り、ロンは、
「とりあえず・・・くたばれや。」
いきよいよく鳩尾に右ストレートを決めて、ジェルグを引きずって皆のところに行った。
『全身フードをまとい、ジェルグにお祝いのバックドロップを決めるため待っている皆の所へ。』
「長・・・・報告に参りました。」
「ああ。スアマよ、結果はどうだった。」
スアマは集落に帰ってきてすぐに長の家に行って、長に結果を報告した。
スアマがジェルグの出した条件についての相談を話したところで長がいきなり立ち上がりだした。
「お、長？」
「貴様と言うやつは〜・・・・」
スアマがいきなり立ち上がった長に声をかけると、長は声を振るわせながら拳を構え、
「何でアタシに許可をもらいにくるんだ！！この馬鹿者！！」
スアマの体めがけてラッシュを決めた。
「な、長？！いきなりグベシッ」
「夫にほれたのだろう？！なぜ戻ってくる必要がある！？そのまま行けばいいだろう！！分かったか？分かったならさっさと行け！！お前の夫の元へ！！」
を決め終えた長はそのまま部屋に戻ってしまった。
わけの分からないスアマに男が近づいてきた。
「スアマ、長はああは言っているけど、照れ隠しなんだよ？たぶんうれしいんじゃないかな？たまには婿さんとともに帰ってきてくれよ？さ、行きな。」
「父上・・・」
「早く行かないとまた殴られるよ？」
「はっはい！！」
そう言って長の家から飛び出すスアマ。
「お〜ま〜え〜（怒）」
「うわっいきなりでるなよ長。びっくりするじゃないか。」
「娘に何を言ったのかなぁ？」
「・・・三十六系逃げるにしかず！！」
「逃がすか！！」
そして、長とスアマの父のリアル鬼ごっこは翌朝まで続いた。
「ジェルグ！！・・・・どうした？」
スアマが急いで街に戻ってきて見たのは
『血まみれで横たわっているジェルグの姿だった。』
「気にすんな。結婚するやつの通過儀礼だ。」
「・・・？」
ロンが言ってもスアマは納得できなかった。
「う・・・・・スアマ？どうだった？」
「お前は大丈夫なのか？」
「大丈夫大丈夫。生きてるから。」
「・・・まあいいお前の条件は呑もう。その代わり・・・・」
スアマがなぜかニッコリと笑っていた。
「あの・・・スアマさん？なんかすごくいやな予感しかしない。」
「で、その代わり？」
滝汗をかくジェルグの代わりにロンが尋ねた。
「婚礼の宴は絶対にやるぞ。」
スアマは笑顔で言い切った。
「「「・・・・・・・」」」
一気に沈黙が起こる。
結局、スアマとジェルグの婚礼の宴は行われ、ジェルグは干物みたいになった。
その後・・・・
「そういえばお前ら互いに自己紹介してないな。」
ロンが言うとジェルグは
「確かに、スアマのこととかあまり教えてもらってないな。」
「ならフルネームで自己紹介しろ今すぐ。」
二人ともロンの言うことに疑問を抱かず、自己紹介を始めた。
「俺の名はジェルグ・スタートリー。今は料理長だ。」
「私の名はスアマ・バトラティック・ハルカラ。刀の集落の長の娘で、今はジェルグの妻だ。」
二人が自己紹介を終えたところで二人が驚いたような顔をした。
「おまえ・・・集落の長の娘なのか？」
「そうだがそれがどうした？」
「いや・・・・なんでもない。」
「やったなジェルグ！集落の長の娘が嫁だなんてすばらしいじゃないか！！」
スアマが長の娘だと知ったジェルグは硬直し、ロンはジェルグを茶化した。
「じゃ、お邪魔そうだし退散するわ。」
ロンはそう言いながら事務室に逃げた。
「・・・別に長の娘だからって威張れるほど偉くはないがな。」
「そうなのか？」
ジェルグが尋ねるとスアマはうなずいて。
「もし威張ったら長に半殺しになる。」
「そうか・・・」
ジェルグは自分の師匠の事を思い出した。
「まあ・・・・そんな事はどうでもいい。大切なのは今、ジェルグを夫にできた事だ。」
「・・・・・」
「だから・・・・・」
『お前を婿にした事を後悔させるなよ。』
そう言ってスアマは特上の笑顔を見せた。
11/12/25 22:07更新 / パンプキン