暑い…頭がフラフラする…目の焦点が合わない…

蒲生誠一郎は課せられた給湯器の販売ノルマを捌くため、気温34℃のアスファルトとコンクリートで作られた地獄の中を彷徨っていた。
彼に課せられたそのノルマはあまりにも苛烈、彼の職場はいわゆるブラック企業として業績からも目を付けられていた。

同期のあいつは退職代行を使って辞めた、後輩は突然行方をくらまして内容証明で退職届が届いた、僕はいつまでもここにいる…辞められない…

ああ…このまま死ぬのか…ああ…暑い…意識が遠のく…

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目が覚めた。
ソファーの上に寝転んでいる、冷房が効いてて涼しい、ここは…

「まーさん、目ぇ覚ましましたよー！」
程なくして、頭から耳が生えた女性と着ぐるみのようなものを着た女性がペットボトル入りのスポーツドリンクと麦茶を持って入ってきた。
ふたりが魔物であるとすぐに分かった、その丸い耳はまるで…

「…タヌキ？」
「ぴんぽーん、よく分かりましたね。
私は刑部狸の周防眞沙、このシティファイナンスの代表をやっています。
彼女は私の部下の雄勝晴香、狸の着ぐるみを着たボグルボー。」
ふさふさの大きな尻尾を左右にゆっくり揺らしながら、香奈は恭しく名刺を差し出した。
麦茶を飲む手を止めて名刺を受け取。
聞けば、長いことこの街に店を出している闇金だという、面倒で億劫な手続きを嫌がって金融業の登録をしていないだけで、違法な利息や取り立てなどは行っていないという。

改めて2人を見る。
どちらも大層な美人、全体的に丸みを帯びてどこも柔らかそうな眞沙とスレンダーでメリハリのあるスタイルの晴香。
目を引くのはその巨乳、眞沙の圧巻たるそれは語るまでもないが、晴香のそれも巨乳の範疇に間違いなく入るほどである。

「ねぇ、あなたの売ってる給湯器買うからさ…



私の部下にならない？」



そこからはあっという間であった。
誠一郎の勤める会社に眞沙と晴香が押し掛け、乱雑に札束の入った紙袋を３つ差し出し、誠一郎の身柄を寄越すよう迫った。
更に、売れ残った大量の給湯器の在庫を全て現金で買い取ると豪語した。
上司も社長も最初こそ強硬な態度を取っていたが、大きな紙袋に溢れんばかりの札束に目が眩み、あっさりと誠一郎を切り捨てた。

「あの、僕みたいな出来損ないの営業マンにあんな大金…なんか怖くなってきました。」
帰り道に立ち寄ったカフェ、眞沙が電話で少し席を離れたタイミングで晴香に聞く。
この交渉で誠一郎の移籍金として1億円強、給湯器代として840万を支払っている。

「一応犯罪だからね、みんなビビって人が寄ってこない。
新しい人材が1億円ちょいなんて、とんでもないバーゲンプライスだよ。」
自分の価値が高いのか、或いは現金の価値が低いのか、いずれにせよ誠一郎にとってはあまりにも未知の世界すぎた。


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翌朝8時半過ぎ、駅の改札を抜けてから走って数分、誠一郎は恐る恐るドアノブに手を掛けていた。

「やばい、初日からこんな遅刻して出社とか…」
前の日、9時半頃に店に来るよう眞沙と晴香から指示されていた。

「おはようございます、遅くなりました。」
沈黙、人の気配が無い。
エアコンとサーキュレーターの作動音だけが事務所に響く。
事務所の真ん中に据えられたソファー、タオルケットがゆっくりもぞもぞと蠢いた。

「まだ8時半だってぇ…早いぃ……眠いよぉ…」
くちゃくちゃの髪と寝ぼけ眼の眞沙がタオルケットから首をもたげる。
昨日までなら始業2時間以上前に出社し、会社の掃除やメールの返信、朝礼という名の前日の失敗の吊るし上げが行われるのが当たり前。
始業1時間前に出社しようものなら遅いと言われ、容赦なく罵声に鉄拳制裁が浴びせられていただろう。

「…こっちに来て。」
ソファーの近くに寄ると、いきなり体を掴まれてタオルケットの中に引き摺り込まれた。

「9時半まで寝るから抱き枕になって、冷房で冷えちゃったからあったかい。」
柔らかい身体に抱き締められ包まれる、Tシャツにジャージのラフな姿。
昨日もブラウスとサマーニットを押し上げ主張していた豊満な巨乳に顔が埋められる。

「おっぱい吸う？」
流石に首を横に振った。
新しい職場での初仕事がそれは洒落にならない。

「えーもったいない。
今はノーブラだから好きな時に吸っていいよ、流石にミルクは出ないけど。
じゃ、おやすみ。」
柔らかくて僅かにひんやりしている、耳に入るのはエアコンとサーキュレーターの作動音と眞沙の寝息。
幸せな拘束状態で夢と現を行ったり来たりと揺蕩っていた。

「おっはよーございま…ちょっとなにやってんの！」
少し時間が経ってから、特大のカップから溢れかろうじて崩壊を免れるほどのホイップクリームが乗ったタピオカミルクティーを片手に、晴香が事務所に入ってきた。
大きな口を開けてホイップクリームを頬張り、カップを置いてからタオルケットを引き剥がした。

「んぁ…まだ9時前だよ…どしたの？」
不満げな寝惚け声をあげながら、体をくねらせる眞沙。

「まーさんだけずるいですよ！」
晴香が無理矢理ソファに乗り込み、誠一郎に抱き付く。
左肩に襲い掛かるむにゅうっ…と柔らかい感触。
眞沙と比べると小さいが、晴香の胸はそれでも十分大きい部類に入る。

2人寝転がるのでも狭いソファーに3人も乗ってサンドイッチ状態で小競り合い、当然ながらバランスを崩して3人同時に墜落。
ぐぅ…と誠一郎と眞沙の腹の虫が同時に可愛らしい咆哮を上げた。

「向かいのコンビニでメロンパンとピーナッツバターのコッペパン、紙パックのレモンティー買ってきて。
お釣りはいらないから誠一郎君も好きな朝ごはん買ってね。」
そう言って差し出されたのは一万円札。
やはり何もかもこれまでとは全然違う世界、事務所を出てすぐに全身を締め上げる暑気に、改めて自分が現実の世界にいる事を思い知らされた。


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買い物を終えた誠一郎、メロンパンとピーナッツバターのコッペパン、紙パック入りのレモンティー、鮭とツナマヨのおにぎりと茹で卵が入った袋を持って事務所のドアを開けた。

「ただいま戻りま…うわああぁ！」
動画を見ながらタピオカミルクティーを飲む晴香と、シャワー上がりのパンツ一丁でほこほこ湯気を上げる眞沙。

「お、おかえりー♪」
鼻歌混じりに袋の中からコッペパンをひったくり、封を開けてかぶり付く。
上半身は一糸纏わぬまま、一挙手一投足に弾力のある巨乳がぷるんぷるんと追随し、濃い桃色の乳首が動き回る。

「なに目逸らしてんのさ。」
対抗心むき出しの晴香もブラウスのボタンを外し、ブラジャーを外して胸を曝け出す。
蕩けるように柔らかい美乳が誠一郎の前に迫る。

「さっきおっぱい吸う？て聞いたら断られちゃったんだよね。」
眞沙のクレームと半目になって睨み付ける晴香、タイミング良く腹の虫が咆哮を上げてくれた。

「あ、お腹空いてたからなんだ。
ミルク出たら吸ってくれるかな？」
笑い合うふたりに完全に取り残された誠一郎、乾いた笑いを浮かべるほかなかった。


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所用で事務所を出る眞沙の代わりに晴香から一通り業務の説明を受けた誠一郎。
前の職場とは比べ物にならないほど仕事の量が少なく、17時の定時で帰れるどころか勝手に早上がりしても許されると聞いて驚いていた。

「福利厚生…せいぜいまーさんがお昼ご馳走してくれるぐらいかな、食べたいものあれば早めに言っときなよ。
あとは人が来てなければ2人とも好きな時にバッチコイ、遅くまでここでHすれば残業代出すから。」
「後者は追々考えます。」
やはりふたりとも魔物、理解が追い付かない、カルチャーショック。

「あとは給料だね。
基本給がこんなもんで残業代はこんな感じ、一年目だから基本給はだいぶ安いけど出来高払いもあるから。」
提示された給料は基本給ですら年間の給与額と勘違いするほどの額だが、事務の仕事なのに出来高払いという言葉に疑問を抱いた。
そこで晴香が見せた表には 手コキ、足コキ、乳首責め、乳揉み1回1万円、パイズリ、乳吸い、フェラ1回2万円、中出し・イかせ1回5万円と書かれてあった。

「これってどういう…」
「こういう事。」
晴香が誠一郎の両手を掴み、自分の胸に押し付けた。

「ん…大きくて温かくて、ごつごつした男の人の手…初めて♡」
眞沙のそれには及ばないものの、確実に巨乳の範疇。
布越しでも分かる、手のひらがどこまで沈み込むような柔らかさ。
両手を放し、幸せそうに目を細め揉まれる晴香の表情、尚更揉み続けたくなる。

暫く揉み続けると、真ん中がぷっくりと膨らんできた。
そこを指の腹でゆっくりと擦ると、甘い声を上げながらぴくっと身体を震わせる晴香。

「そこ…もっと…お願い…」
乳首を優しくこりこり、くにくにと摘み、爪で先端をかりかりと擦る。
快楽に思考の全てを支配された晴香、涎を垂らしてだらしなく蕩け切った表情を浮かべながら、短い喘ぎ声を上げる事しかできない。

しばらくの間、衣擦れの音と晴香の喘ぎ声だけが事務所に響く。
それもある時急激な収束点に到達する。

「あっ…あっ…いく…いっ……ん"ん"ん"！」
上半身を大きく退け反らせ、数回大きく痙攣させる…

「気持ち良かった…じゃあ、乳揉みと乳首責め、イかせた分の合計7万円、出来高に追加しとくね。
パッと思いついたところは一通り出したけど、他にお願いしたいプレイがあるなら相談して。」
何が何だか今ひとつ飲み込み切れないが、一旦考えは後回しにして当てがわれた次の仕事に取り掛かる事にした。

■作者メッセージ
ご一読ありがとうございます。
いよいよやりたかった種族に手を出しました。
当初の案だと元ネタのキャラの色が濃すぎたので、2人組にしたり苗字を変えたりとまあまあ大幅に手を加えました。


話が変わりますが、9月末に義務分の有給を消化して船で釣りに行ったところ、釣った太刀魚に小指を咬まれて大怪我しました。
ワイヤーも食いちぎりぶった切る歯があるとはいえ、まさか2針も縫うは思いませんでした。
しかも公立病院で担当したドクターが中高の後輩でまぁめちゃくちゃ笑われましたよ。
咬まれてから1週間弱、今もケジメ付けた本職みたいな風体になってます。

皆様もちょっとした油断から思わぬ大怪我に繋がることがあります、お気をつけてください。