連載小説
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03 自称天才ドワーフによる魔改造
あの集会があって、一週間……その間、俺の身には特になにか起こることもなく……平和な日々を送っていたんだ

いやぁ、この間に…もしかしたらモンスターラグーンのだれかが俺の宿にくるんじゃねぇかって、ビクビクしながら過ごしていたけれども…杞憂だったみたいだなぁ……





今日も一日、のんびりとした日々を過ごすぞ……!!
俺はそう決めながら、顔を洗い……いつものように買い出しをしようとしていた……



デ「さぁて………今日は、食料を調達しないと……あと、風呂の修理に使える道具も………」



???「のわあぁぁぁぁぁぁぁ〜〜〜!!とまるのだぁぁぁぁぁぁっ!!」



ん………!?な、なんだ……?この声……
この宿屋の正面の通りから、なにか砂埃が舞っている……だと…?
なんでだろう?すっごく嫌な予感がするんだが……



???「とまるのだぁぁぁぁっ!!くぅっ…魔力指数を上げすぎたっ!!」


デ「な、なんだっ!?目の前に見える巨大な黒い物は…!?なんて速度だ!?って、待ってくれっ!!このままじゃ俺の宿に……」


??「ぬわあぁぁぁぁぁっ!!これは……非常停止っ!!あの建物に……突っ込むっ!!」


デ「いやあぁぁぁぁぁぁっ!!来るなっ!!来ないでェェェェっ!!」




ドッゴーンッ!!


あ……あぁ……そ、そんな……
俺の……家族代々受け継いできた俺の宿屋が……
宿屋の1階部分に…よくわからん機械が……



???「けほけほっ……うむっ!!非常停止に難有りだな!!だが、安定のスピード……この装置が完成すれば、諸国での移動がもっと楽に行えるように……」


デ「ちょ、ちょっとあんた!!なんてことしてくれるんだ!!」


??「ん……?お主、誰だ?はっ……!?この儂のペドボディに誘われた、哀れな男か…?仕方ないのぉ……ほら、特別にこのほっぺたをぷにぷにしてもいいのだぞ?」

デ「違うっ!!あんた、人の宿屋を壊しておいて…しらばっくれないでくれよ!!」


??「ん……?あぁ、この一世代前の古い建物のことかのぉ?こんな建物、儂の科学力があれば一瞬で蘇らせることもできるわ!!それにな………」


目の前のロリb……ドワーフさんはそう言いながら、こちらを見て……
そして、ものすごいドヤ顔でこう言ってきたんだ


??「科学に犠牲は…付き物じゃろう?


デ「ぐっ……な、なんて……得意げな顔なんだ……怒るを通り越して、少し関心すらしちまうぜ……って、そうじゃない!!弁償してくれ!!この宿屋の修理代を!!」


??「ふっ……お金など、持っておるわけがないじゃろう!!そもそも、そんなものは必要ではないのだ!!儂がちょいっと魔力を使えば、食べ物も住む場所も自由自在なのだからな!!」



こ、こいつぅぅぅっ………なんてやつだ…
間違いない…これは、話が通じないタイプの……
だが、ここで屈しては宿屋店主じゃない!!



そうだ……この宿屋は長年……俺たち家族が歴史を引き継いできた宿なんだ
俺一人だけで、全てを背負っているわけではない……
この宿屋には……今まで経営してきた店主と女将たちの魂が宿っているんだ!



デ「そんなのっ!!通用するかよ!!この宿屋は歴史ある大切なものなんだ!!お金がないからとか…そんな理由で俺は絶対に許したりしないからなぁ!?」


??「直せばいいんじゃろう?この宿を…?儂の手にかかればこの程度…1時間もあれば直してやれるのじゃぞ?この機構の申し子と呼ばれたゾーネ=ランゲに不可能はないのじゃからな!!(ドヤァ)」



こいつ……なんてドヤ顔だ……
いや、宿屋を直してくれるなら……俺は何も言うまい……




デ「宿屋…直してくれるんですね?本当ですよね?」


ゾ「うむ…儂もドワーフじゃからな、建築物等で嘘はつかぬ……まぁ、ちょこっとだけアレンジを加えるだけじゃ……」


なるほど……ちょこっとアレンジか……
まぁ、外装もそろそろ塗り替えたりしようかとも考えていたし、いい機会かもしれないな……

よっしっ!!それじゃあ、お任せするとするかな……



デ「それじゃあ、お願いするよ……えっと、なにか手伝ったほうがいいかな?」

ゾ「いや……そこで見ておるがいい…この儂の、科学力と建築力の融合作品をなっ!!」




ゾーネはそう言うと、壁に四角い長方形の粘土のような物を設置し始めたんだよ!!
そして、なぜか、部屋の間取りをよくわからない機械で測り始めたんだ


なんていうか、すごくいい仕事をしてくれそうな…そんな予感がするぜ…

俺はこのあとの宿屋のビフォーアフターが楽しみで、胸を躍らせたね!!
もしこれで、宿屋のお客さんが増えたら、万々歳だ!!



ゾ「よし……こんなところじゃろうな……さて、それではこの儂特製のこの機械の凄さを…見せてやらんとなぁ……ふっふっふ……」



ゾーネはそういうと、意味ありげに宿屋から離れたんだ
俺も、ゾーネの後を追って、少し宿屋から離れる……


ゾ「よし…それでは、この儂が作ったこの遠隔操縦機、『りもこん』の初期動作の確認を含めて……作業に入るっ!!」


デ「っ…(ごくっ)」


何が始まるんだ……?
俺の中でざわざわとした感情がざわめく……
きっと、すごいことが起こるに違いない


ゾ「発破ァッ!!


ポチッという音と共に、なにやら宿屋の壁や柱につけていた粘土のような物がオレンジ色に発熱し始めたんだよ!!


そして………



ドッゴーンッ!!


なんということでしょう!!俺の年期の入った宿屋が、綺麗さっぱり木の板に早変わり!!これで、この場所に新しい建物を建てることができるようになったよ!!やったねデメさんっ!!


って、ふざけんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!

何、人の宿屋を爆破してくれてるんだよ!!長いあいだ培われていた俺たちの宿屋の歴史も何もかも、めちゃくちゃだよ!!



ゾ「うむ、完璧じゃな…!!」


デ「あ、あわわわっ……ぞ、ゾーネ……なんてことを……」


ゾ「安心せい、ここから本格的に作ってやるのじゃ…さっきの爆破は、いわば儂の試作品の実験も兼ねた解体作業のようなものじゃ!!」



ゾーネはそういうと、またもや俺の宿屋に向かっていく……
本当にまともな宿屋が戻ってくるのか……とても心配だよ…


それから、一時間ぐらい…たった後だろうか…
俺の宿屋があった場所には、元の宿屋が寸分たがわずにそこにあったんだよ
早い……早すぎる……さすがはドワーフだ……


でもな……ちょこーっとだけ、突っ込みたい部分もあるんだ
まず、俺の宿屋の上についている、二つの砲門……あれ、何?

次に、なんか、地下室できているんだけど…そこに『ゾーネの研究室』って書いてあるんだけど……これ、なに?

最後に、なんか……風呂が大きくなってるんだけど……なんで?


そんな疑問を、俺はゾーネにぶつけていく…


デ「な、なぁ……屋根についているあれって……何?」

ゾ「ん?ほほぅ、あれに気が付くとは……あれは儂の最高傑作!!ゾーネキャノンじゃっ!!あのフォルム、心が揺さぶられるじゃろう?」


デ「いやいやっ!!宿屋だからねっ!?あんな物騒なものつけてたら、お客さん離れるかも知れないじゃないか!!」


ゾ「いや……大丈夫じゃ……逆に、興味本位で増えるかもしれぬではないか!子供受けもきっといいに違いないのじゃ!!儂が保証しよう!!」



そ、そこまで言うなら……信じるけどさ?


デ「次に……あのさ、地下室…作ってくれてたよね…それは助かるから感謝したいんだけども……あそこに、ゾーネの研究室って書いてあって……」


ゾ「そのとおりじゃ…しばらく、厄介になろうと思うてなぁ…」


デ「無理だよっ!!こっちはいつもお客さんを相手にしているわけだし、大体、ゾーネが厄介になる理由がわからないんだもんよ!!」


ゾ「大丈夫じゃ…この部屋はちゃんと、室内で起動させる装置により、外からは見えないようになっているのだ、つまり…何も心配することは…ないと」


デ「そういう問題じゃ……」


ゾ「えぇいっ!!儂だってなぁっ!!偉大な発明品である、メカメカサイクローム4号がこの宿屋に突っ込んで、大破することがなければ、厄介になどならぬわ!!修理ぐらいはさせて欲しいのじゃっ!!」



修理って言ったって……な、何日かかるんだ?
そりゃあ、1日2日だったら、別に構いやしないけど…


デ「何日、いるつもりなんだい?」


ゾ「3年じゃ」


デ「帰ってくれ」



流石に、俺でも三年は無理だよ!!
無情と思うかもしれないが……ここは心を鬼にしないと……



ゾ「ぬわあぁぁぁぁっ!!嫌じゃあぁぁぁぁっ!!ここに居たいのじゃあぁぁっ!!」


デ「駄々こねないでくれ!!悪いけど……!!」


ゾ「こんな、小さな子供を見捨てて……お主、それでも人間の男か!?この悪魔っ!!教団の回し者っ!!頭くるくるぱーっ!!」



デ「小さな子供って……絶対に子供って年じゃないだろあんた!!」


ゾ「体は31、心は常に12歳っ!!をじゃな……」



デ「それ、何を言っても31歳ですからねっ!!いい大人なんだから、駄々こねないでくださいよ!!」



だが、いくら俺が訴えても、ゾーネは駄々をこね続けてきたんだ
外でやっているからか、他の人の目が……痛い……
ぐぅっ……これ以上、他の人たちからの評価を悪い方に向けてしまうと、宿屋に来てくれる人数がさらに減ってしまう……


ついには、俺のほうが折れてしまったのだった……


デ「わ、わかりました……宿の手伝い、してくれるなら、しばらくその部屋を使ってもいいですよ…」


ゾ「おぉっ!!感謝するぞっ!!店主っ!!えっと…名前は…」


デ「デメトリオです……最後になんですが……お風呂、凄まじく拡張されてませんか?前の時に比べて、3倍ぐらいは浴室が広いのですが……」



まさか、この風呂の拡張にも、何かしら意味があるのか…?
いや、しかし……これだけ拡張するんだったら、男性用と女性用の風呂ぐらい分けてくれると、宿屋店主としても助かるんだけども……

これじゃあ、混浴スタイルじゃないかっ!!
もし、このお風呂でお客様たちがなにかやらかしてしまったら……責任は俺に来るんじゃ……



ゾ「気づいたかのぅ…それこそが、儂が今回一番時間をかけて、技術を駆使した大浴場……色々な種族が体を洗える憩いの場じゃ!この風呂で長旅の疲れを癒し、綺麗な体で気持ちよく旦那と愛を深める……今の世の中の夫婦がもとめているのはこれじゃっ!!」



デ「えぇーー…本当にござるかぁ〜〜?」



たかが温泉で、そんなことが…?いやぁ、流石に信じられないぜ…
だが、これほどゾーネが力説できるってことは、凄い自信があるのかも知れない……
そうだなぁ……一日だけ、チラシでも書いて店前に貼っておいてみるか?



さて、そんな出来事があって時刻は早くも昼1時……
俺はとある出費について、頭を悩ませていた…

なんと、ゾーネ……宿屋の改装の時に部屋の家具を全て、解体して資材にしてやがったんだよ!!
宿屋として、経営していくためには、最低でもベッドと机を一式揃えて置かなくてはいけない……


そのためには、売上から財政を切り崩して行く必要がある……
ぐぅっ……痛い出費だよなぁ……



というわけで、俺は今、フェルス興国3番街……
にぎやかバザーを訪れていたんだ

いやぁ、相変わらず……人も魔物娘も多いなぁ……
さてと、家具は……



俺が家具を求め、バザー内を放浪していると……聞き覚えのある声が俺を呼び止めたんだ



??「おっ?おーいっ!!デメトリオじゃないか!!」

デ「スカニ…?珍しいじゃないか、この時期にここで売りしてるの…」


ス「相変わらず、独りか?」


デ「失礼だな……そういうスカニはどうなんだよ?」


ス「いると思う?あたいはなぁ……自分が認めた相手と出会えてないだけだよ。さぁってっ!!なにか買っていくんだろ?デメトリオにだったら、安く売ってやってもいいぜ?今なら、ハーピーに大人気のこのグッズもつけるぜ?ほらほらっ!!見て行ってくれ?」


そう言いながら、目の前の商品を並べていくのが……
種族はゴブリンで、自称天才の商人……スカニ・ニーク

本来、群れで行動するらしいゴブリンにしては珍しく、単独で色々な国を渡り歩いているみたいで、たまに珍しい食べ物やらを仕入れてきていて、見ていても面白いところがあるんだよな



なぜか、気さくに話しかけやすい魔物娘の一人で、大人ぶるところがあるが、やはり種族柄か、子供っぽいところもあるんだよな

しかし、最近やたらとハーピーに人気のある商品を勧めてくるのは……
ちょっと困るんだよなぁ……個人的には宿屋経営に役に立つものの方が、うれしいんだけど……



デ「それじゃあ……家具、あるかい?寝具と机なんだけどさ」


ス「んっ?あるけど、なんで?あっ!!もしかして、さっきの黒煙……デメトリオの宿屋からなのか!?うはっ♪見てぇ……」


デ「そうだけど……見に来たりしないでくれよ?あれは……そう、なんでもなかったんだよ……うん」


ス「そんなこと言わずにさぁ…見せてくれよ?いいだろー?わかったっ!!家具、譲ってやるからさぁーー!!」



なっ…!?家具…無料っ!?
こ、これは……このチャンス…乗るべきじゃないのか……?
別に、屋根に変な砲台が付いている意外は前と何も変わらないわけだし……



デ「わかった、じゃあ…家具を無料でくれるのなら、来てもいいけど…」


ス「よっしっ!!いやぁ…楽しみだなぁ、どうなってるんだろ…」


スカニはそう言うと、自分の店から家具を袋に詰め込むと……それを肩に担いだんだ
おっと、言いたいことはわかるぜ……
寝具や机、椅子を袋の中に詰めるのは不可能だろJKって言いたいんだろう?

だが、そうはいかないんだなぁ、これが
この世の中には、魔法って奴があってそれのチカラで、どんな大きさでも20個までは物が入れておけるようになってるんだよ!!

まぁ、人間の中には魔法ってやつを嫌って、そんな便利な物を使わないって人もいるみたいだけどさ?


ちなみに、俺の愛用している赤色のポーチもそんな不思議空間になっていて、ポーチに入る大きさのものなら、どんなものでも5個まで入れておけるんだ

この技術は、つぼまじんって種族の魔物が持つ、特殊な空間を擬似的に再現できないかって研究されて、できたものみたいだよ
まぁ、くわしいことは、俺にはわからないんだけどな


そうこうしているうちに、宿屋まで帰ってきた俺たちだが……
俺の宿屋につくと、スカニが物凄く目をキラキラさせながら、俺にこう聞いてきたんだ


ス「デメトリオ!!あれっ!!あのかっこいいやつっ!!あれ何!?あたいの知的好奇心が刺激されるんだけど…!!」


デ「えっ……き、気づいた?あれ…訳があって、新築された際に取り付けられたんだ…」


ス「撃てるの?」


いや、撃たさねぇよっ!?
こんな街中で、あんなもの撃ったらモラル的にも社会的にも、俺…抹殺されちまうよ!!


ゾ「お主のそのキラキラした目……さては、お主も儂と同じ、夢を追うものじゃな!?あのゾーネキャノンが気になるのじゃろう!!」



うわっ!!ま、まためんどくさい奴が……
頼むから、これいじょう話をややこしくしないでくれよ……?


ス「あんた……誰?どうしてデメトリオの宿屋から……?」


ゾ「わけあって、しばらく住ませてもらうことになったのじゃ。あの屋根の上にあるものは、儂の作ったものでな…?」


ス「っ!?あ、あれを作ったのかっ!?すげぇ、あんたすげえよ!!あんなかっこいい物が作れるなんて……」


ゾ「そうじゃろうっ!!にふふっ……お主、見る目があるようだな…特別に、儂が作り方を1からレクチャーしてやってもよいのだが……お主、儂の弟子になるか?」


ス「なるなるっ!!もう、この宿屋の一回のひと部屋に永住して、そこで商品売りながらでも、技術……教えてもらいたいっ!!だって、あたい……一度でいいから、自分専用のロボットとか…作ってみたかったしっ!!」


デ「なに勝手に話を進めてるんだっ!!そんな勝手なことされたら……」


ス「売上の80%を宿屋にあげるからさぁ…頼むよデメトリオっ!!」




なっ!?う、う、売上の80%っ!?


デ「わかった……許可しよう」


売上の80%ももらえたら、きっと俺の宿屋の貯蓄も少しは潤うはず……
意思が弱い?ふっ……宿屋が乗っ取られるわけじゃないなら、少しぐらいのプライドなんか、簡単に捨ててやるさ


ス「やったっ!!じゃあ…あんたのこと、これからあたい…師匠って呼ばせてもらうからっ!!」


ゾ「うむっ!!大人になっても小さい者同士、偉大な発明を作り上げようではないか!!」


こうして、俺の宿屋が前よりも…確実に賑やかになったのだった……
さてと………張り紙でも貼りに行くかなぁ……




<一方その頃…>



サ「はぁっ…はぁっ……」


デメさんの宿屋から黒煙が上がってるって聞いて、急いで飛んで帰ってるけど……どうして今日に限って風が逆風なの?


あたしはデメさんの無事を確かめたい一心で、ひたすらに隣の街からフェルス興国に飛んで帰っていた
デメさんが無事でありますように……今、あたしが願えるのはそれだけ……


その思いでフェルス興国に戻ると、あたしは早速、知り合いのリザードマンに、街の異常がなかったかを訪ねた


サ「ねぇっ!!デメさんの宿屋から黒煙が上がっているって聞いて、飛んで帰ってきたんだけれど……デメさん、無事なのっ!?」


リ「あぁ、無事だよ?宿屋の外装が変わってたから、なにか改装中に燃えただけなんじゃないかな?」


サ「ほっ……よかったぁ……」


リ「サリィも、次の発情期の時期までには、デメトリオと結婚できたらいいなっ!!もう、街の全員が応援してるんだからさっ!!臆病にならずにアタックしてみることだよ」



なんて言ってはくれるけど……
あたしはなんというか……デメさんはさ、あたしのことただの仲がいい友達って思ってるような…そんな感じでさ?

魔物的には、襲って既成事実を作って即結婚ってのがセオリーなんだけど…
あたし、デメさんを襲って、脅す形で結婚したくないんだ


それに、今の関係を…ギスギスしたものにしたくないあたしがいる……


サ「あ、あははっ!!本当に、そう思うよー!!デメさん、あたしのアプローチに気づかないからさ!え、えっと……それじゃあそろそろ……」


そう言って、その場所を立ち去り…自分の家に帰ろうとした時だった……
街角で、この国では見たことのない服装の男性二人組が、怪しい動きをしながら裏通りに入っていくのが見えたんだ



サ「怪しいな……少し、尾行してみようかな…」




尾行を始めて数分……二人組が話しているのが聞こえるところまで近づくと、聞き耳をたててみる……



??「いやぁ、魔力抹消装置の完成も、間近って感じですね……この装置を使えば、魔物の魔力を奪い取って、無力化できるとか……」


??「成功すれば……な…、まぁ、わざわざ帝国から離れたここ、フェルス興国まできて、素材を揃えたんだ、成功して欲しいものだな」


??「さて、そろそろお迎えのメガロス艇が着く頃ですね……」



………魔力を無効化…?それって、ヤバイんじゃ……?
も、もしかして……教団の人たちっ!?
女王様にこのこと、伝えないと……


あたしがそう思い、そっとその場を後にしようとした時だった……



??「おっとっ!!誰っすか?あんた……はっ!?もしかして、聞かれたっすっ!?聞かれたとあっちゃあ、ただで返すわけにはいかないっす……」


サ「なっ!!?何をっ!?」


??「おとなしく……してるっすよっ!!」


目の前の男はそう言うと、私に素早く組み付き…口元に布を押し付けてきた
抵抗するも、次第に意識がふらつき始める……



サ「デメ……さん……たす…け…」



??「どうした?この魔物娘は……?」

??「話を聞かれたっす……とりあえず、眠らせておいたっす……」


??「どうしますか?彼女……」


??「うーむ…そうだな……っ!?誰か来るっ!!このタイミングで鉢合わせすると、色々まずい……メガロス艇に乗せるんだ」

??「えぇっ!?い、いいんっすかっ!?本国に連れて帰っても……」


??「仕方あるまい……」






今……物語は急展開を迎えようとしていたのだった……
16/02/23 19:30更新 / デメトリオン mk-D
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■作者メッセージ
どうも!!こんばんは…


さてさて、物語は三話でいきなりの急展開……
ここから、宿屋がだんだんと関係ないモノになるのですが…

あ、温かい目で見てやってくれると……助かります


さてさて……実は、この話にはゾーネのドヤ顔の挿絵が入る予定……
だったのですがっ!!
作者が、自分の画力の無さに心を砕き、もうなくてもいいんじゃね?
と思い立ったことにより、挿絵が入っていないなんて小話が……

えっ?どうでもいい?そうですか……


とにかくっ!!これからものんびりと進めていくので、もしよければ見てやってください!!

今回も見て下さり、ありがとうございました!!

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