H1 さよなら日常、いきなりヒーロー!?
普通…それは、なんの変哲もない人生を送ってきたであろう青年…
俺にとってはとてつもなくぴったりな言葉だった
俺の名前は…
って、いきなり自己紹介から入るところからも、俺の普通さが伺えるだろうが…ここは流して欲しい
俺の名前は秋山 ハヤテ
この街…未来町フューチャータウンに住んでおり、未来技術専門学校というなんともひねりのない学校にかよっている一般人だ
得意なことはパズル、苦手なことは運動という、インドア派の男だが…
一応学校には普通に通っているんだ
そんな俺が…今、普通ではありえない状況に陥っているというわけで…
事の発端は今朝…
仕事人間で滅多に家に帰らない母が珍しく帰ってきて、親父と口喧嘩したことから始まるんだけど…
ちなみに、俺の母の名前はスズネ、親父の名前はアキラ…
この二人…最近事あるごとに喧嘩をしているんだ
昔は仲がこれでも良かったらしいが…今はもう……
なんていうか、離婚寸前って感じだよ…見てるこっちが辛くなるくらいだ
スズネ「……なにか?なにか言いたそうだけど…」
アキラ「…そ、そりゃあ!!スズネもたまにはハヤテの学校の行事に参加してあげたり…そんなことをしてくれって言いたいんだ!!僕は、父親の愛情と同じくらい、母親の愛情も子供に注いで上げないと…ダメだって思ってるんだ」
スズネ「………くっだらない、愛情?愛情なんて必要な歳でもないでしょ?だいたい、何?私が働かないと、この家…持たないわよ?誰のおかげで毎日ごはん食べれると思っているの?この無職で甲斐性なしのヘタレが…」
アキラ「うぐっ……ぼ、僕だって…必死に探してる!!」
スズネ「結果は?結果もないのに、必死なんて言葉を軽く使わないで、惨めだから…じゃあ、私今から仕事だから…今度もどるのは2週間後なので、じゃ」
といいながら、母が家を出ようとした時だ
母が何かを思い出したかのような顔をすると、俺にこういってきたんだ
スズネ「あぁ…ハヤテ、あなたあてに手紙が来てたわよ?机の引き出しの中に入れてるから見ときなさいよね?じゃ…」
バタンという無情な音を立て…閉まる扉…
そして、玄関前で無残に倒れる親父……なんていうか、惨めだ…
その背中からは、憂いのようななにかまで漂っている気までしてきやがる…
ハヤテ「親父……そう、気を落とさなくてもいいんだよ?」
アキラ「ん……?あ、そうだな…いつものことだもんな…じゃあ、父さん晩飯作って置くから、風呂から出たら食べてくれ…ちょっと疲れたから…寝るよ」
ここまではいつもと対して変わらない日常……
そして、俺が風呂を出て飯を食べ終わったあと…
俺の普通の日常は微妙に変な方向へと動き始めてしまったんだ…
ハヤテ「手紙…っていうより、封筒だな…なんだ?」
そう言いながら、机の引き出しの中の封筒を開ける…
すると、中には子供が喜びそうな感じの代物が出てきたんだよ!!
そう…中には紙が三枚と変身ベルト…のようなものが入っていたんだよ
変身ベルトというには、あまりに小さいけど…
まぁ、そんなことはどうでもいい
問題は、中に入っていた紙の方だった
【ヒーロー協会から、秋山ハヤテ様へ…
あなたは、この世界を救うヒーローの素質があると判断されました
よって、明日の朝9時にお伺いさせて頂きます
穢れなき体を持ったあなたならば、きっといいヒーローになれるでしょう
なお、今回は特例のため…ヒーロー条例153条、ヒーローになることを拒否という項目の【拒否】という概念が一切通用しません。
あなたには問答無用でヒーローになってもらいますので、覚悟をお決めください】
ハヤテ「……あ、怪しい……明らかに怪しい…俺がまだ学校に通っているからって、こんな明らかに詐欺だろっていうような封筒に興味が抱かれるわけないだろ…?バカバカしい…だいたい、9時に伺うって…その時間帯は学校に登校してて、俺家にいないし」
俺はそういうと、その封筒を机の上に投げ、ベッドに身を投げ出す
そして、そのまま睡魔に流されて、眠ったのだった…
そして翌日…俺はいつものように学校に向かっていた
すると、後ろの方から男女合わせて二人の、俺を呼ぶ声がする
俺の友達の春風 コナミと夏目 シンタロウ…こいつらとは、小学生の頃からの知り合いだ
背が高く、右手に大事そうにノートパソコンを抱えているほうがシンタロウ
やれば出来るのにやろうとせず、毎日どこでもPCでゲームやらなんやらをやっている困った奴だ
学校にも持って行っているが、先生にばれていないのは奇跡だと思う
そして、この褐色に軽く日焼けした、ショートカットの女がコナミな?
こいつは……ものすごく運動ができる…
水泳部期待のホープなんて、そう呼ばれてるやつだ
しかし、本人はあまりそういったことに興味はないらしく、部活にもあまり積極的に行っているようには見えない
……こいつ、見た目は少し…いや、だいぶ男受けがいいって噂だが…
あいにく、俺はこいつの趣味を知ってしまっているので、恋愛感情なんてこいつに対しては皆無だ…
期待した読者、残念だったな
シンタロウ「……随分と、早い出勤だな…青年」
ハヤテ「そりゃあ、俺だってたまには早く学校行こうかなって思ったりするよ」
シンタロウ「………ふむ、今日は槍が降るか、外をであるきたくないな」
ハヤテ「どういう意味だよそれ!!」
俺はそう言いながら、シンタロウの方を軽く殴りつける…
っと、その時だ
パシャッ…という、軽快な音があたりに響いたんだ
音の犯人はわかっている…
ハヤテ「また、写真とったなコナミ!?」
コナミ「へっへーんっ!!見てみて!!ベストアングル!!僕ってやっぱりすごいよね!!こんな写真が撮れたんだよ!!」
そう言って、コナミが見せてきたデジタル写真の画像は…普通に、俺が手を伸ばしているだけだったが……問題は、撮ったのがこいつだってことだ
コナミ「ふふっ…このあと、ハヤテがシンタロウの肩に手を乗せて、耳元でそっとつぶやくんだ……『今夜は、寝かさねぇぜ……?』って!!で、その後二人はハヤテの家のベッドの上であっつーい夜を……ふひっ…じゅるぅっ…」
ハヤテ「削除削除削除削除!!」
俺は、そんなコナミを薄目でみると、即座にさっきの写真を削除する…
100%ロクなことに使われてない予感はしたからな…
コナミ「あぁぁぁぁぁーーーっ!!ぼ、僕のお宝がぁぁっ!!」
シンタロウ「ハヤテ、ナイスだ」
コナミ「ひどいよ!!ハヤテ!!これはもう…ベッドシーンを今すぐ見せてくれないと許せないね!!」
ハヤテ「こ、こいつ…腐ってやがる…」
っと、こんなふうに……残念な性格をしているんだ
でもまぁ、この二人とたまに喧嘩したりしながら、仲良くなりここまできたんだから、俺はいい友達を持ったと思うな
そして、話題はシンタロウが昨日、変なものが家に届いたって話題になったんだ
シンタロウ「そういえば、昨日…変な封筒が家に届いた、中にベルトが入っていたが…お前たちに見せられないのが残念だ」
コナミ「へぇっ…シンタロウのところにも来たんだ?清い体の持ち主がヒーローの素質があるだのなんだのって封筒…僕のところにも来たよ!!」
ハヤテ「お前たちもなのか!?俺も昨晩……」
と、俺が話を切り出そうとした時だった…
いきなりものすごい勢いで黒い車が脇の道路を走ってきたんだ!!
そして、俺たちの目の前でドリフト…そのまま、中から黒い服の人が三人出てきて、俺たちは抵抗するまもなく、変なものをかがされて眠りについてしまった
そして、今現在…俺はあたりが真っ白な部屋の中にあったベッドの上で目を覚ましたというわけだ…
ハヤテ「じ、冗談じゃないぞ…こ、これ…拉致監禁じゃないか!!立派な犯罪だぞ…ど、どうして俺がこんなことに巻き込まれているんだ…?」
そう言いながら、あたりを見てみるが…あるのはベッドと机がひとつ…あとは出口の扉とよくわからない機械……あれはマイクか?ぐらいだった
とりあえず、慌てながら部屋の出口の扉を開けようとするが…案の定、開くはずはなかった
??「目覚めになりましたね?では…ベッドの上にでも腰掛けてください」
ハヤテ「だ、誰なんだ!?いったい、俺をどうするつもり…」
しかし、俺の質問に答える声はない…
なるほど…言うとおりにしないと、あくまで黙秘を続けるんだな…
俺はそう理解すると、ビクビクしながらベッドに移動する…
逆らわない方がいい…下手に逆らってひどい目に会いたくないからな…
そして、俺がベッドに付くと、声が部屋に響く…
??「まずは、あなたのことを確認します…秋山 ハヤテ 19歳 童貞 未来技術専門学校1年、家族は母と父の二人で、祖父母は他界している…間違いないですか?」
ハヤテ「あってるよ…でも、童貞かどうかは別にどうだっていいじゃないか!わざわざ言わないでくれよ恥ずかしい!!」
??「とても、大事なことですので…では、あなたは今…自分が置かれている状況について、わかっていますか?」
ハヤテ「わかるわけないじゃないかよぉっ!!」
そうだ、わかるはずがない…
いきなり拉致監禁されるような、大げさな出来事をやらかしたって記憶もないんだから!!
わかるはずがないんだよ!!
??「………封筒に書いてあったと思いますが…ご覧になりましたか?」
ハヤテ「封筒……?まさか、ヒーロー協会とかなんとか…」
??「そうです、あなたはヒーローになることを義務付けられたのです、嬉しいでしょう?喜びなさい」
このマイク越しの声は、俺に喜べと示唆しているかのような間を空けてきたわけだが……
喜べるわけがないだろう!!何がヒーローだよ!!
やってること悪者じゃねぇかよ!!
ハヤテ「ふざけるな!!意味のわからんことを言いやがって…ここからだせよ!!出してくれよ!!」
??「………そんなあなたに正義の教えをじっくりと教鞭してあげ…」
??「そこまでだ、あんたの話は無駄に長くて、聴いてるとあたまが本当におかしくなっちまう……ここからは、あたしが変わってやるよ…」
??「ちょっ…あなた、自分の管轄はどうしたのです?彼の他にもヒーローとなるべき子羊たちがヒーロー協会を訪れたはずですよ?」
??「あたしを馬鹿にしてもらっちゃ困る…あたしが説得して、いうことを聞かなかった生徒はいない……くくくっ…さぁ、わかったらヒーローになることを決めた奴らにでも、あんたの教えを教えにいきな?」
マイクの向こうでは、被害者の俺を無視して、勝手に話が進んでいっていた
くそぉ…俺の意見なんて、まったく聞いていやしねぇ…
なんて思いながら待っていると、いきなり真っ白な空間に変なものが浮かび上がってきたんだよ!!
そして…その物は次第になにか絵を写し始めて…ん?
これは…なんだか、スクリーンのような物…に見えるな…
詳細はまったくわからないけど、すごい発達した技術ってのはわかる
そして、そのスクリーンにマイクを片手に持ち、片方の手にタバコのようなものを持った女性が写ったんだよ
第一印象を言わせてもらうとすれば……
赤色の髪にぼさっとした雑な服装から、あまり自分の身の回りを清潔に保っていなくても大丈夫な部類の人だっていうのがわかる
椅子に座りながら、足を偉そうに組んでいるところから、けっこう性格も大雑把に見えるが…
俺は、この人物に対して…非常に賢い人物だというイメージを持った
??「あたしが見えるな?秋山ハヤテ…?対面する相手とは直接会って話すのが、あたしの尋問のやり方なんでね…そのスタイルをとらせてもらうよ?」
ハヤテ「タバコは体をこわすので、やめたらどうですか?正義の味方なんでしょう?」
??「無理をして虚勢をはらなくていいよ、足が震えている。怖いんだろ?自分がどうしてこんなことをされたのか…それも尋問ついでに教えてやるよ。それと、これは煙草じゃなくて、ココアシガレットだ、お菓子だよお菓子…仮にも正義のヒーロー様が、子供の見本にならないことをするわけがないだろう?」
………じゃあ、誘拐はどうなんだよ、正義じゃない…
??「じゃあ、誘拐はどうなんだよ?正義じゃない…って思ったかもしれないが、今回は特例なんだ、諦めるんだね」
なっ……!?ど、どうして俺の考えたことが…!?
やばい…これは本質的にやばいぞ…
ここは、いうことを聞いておいたほうがいいかもしれないな…
??「さて、あたいの要求は一つだ、あんたには諦めてヒーローになってもらいたい」
ハヤテ「い、いきなりヒーローになってくれとか…そんなこと言われても困るんですよ!!だいたい、ヒーローっていったって…俺にはそんな特別な力なんてないし…」
??「そんなもの、誰も新米に求めてはいない…今のおまえに求めているのはヒーローになることだ…ヒーローになって、今までの自分の個性もなかった人生をやりたおしたくないか?ん?」
ハヤテ「……お、俺は別に…今のままで……」
??「……ん?聞こえんなぁ…そうだ、貴様にとっておきの情報をくれてやる…ふふっ…」
画面の向こうにいるあの人…わざと俺の話を無視した…だと?
そ、そんなことをしたら、俺の反感を買うだけなんだぞ!?
俺をわけがわからないヒーローとやらにしたいなら、俺の反感を買わないほうがいいと思うのに…
ハヤテ「俺にとってのとっておきの…情報?」
??「そうだ、そうだな…まずは、貴様の買ったエロ本の題名でも晒すとするか?貴様が若かった時にやらかした大きなミスを暴露するのでもいい…あれは確か、母親の大切な書類の裏にラブレターを書いて、それを…」
ハヤテ「うわあぁぁぁっっ!!ちょ…す、ストップ!!待ってくれよ!!」
??「貴様が他人におしえたくない性癖でもいいんだぞ?きひひっ…」
こ、こいつは悪魔だ…
ヒーロー?否っ!!こいつは悪魔だ!!
こんなに俺の秘密を知っているなんて…
俺のプライバシーはどうなっているんだよ!?
それに……人の秘密をこんなにも赤裸々にかたることができるなんて…
くそぅっ……お前ら人間じゃねぇ!!悪魔だ!!
??「きっひっひ…(ポリッ)あたしはいいんだぜぇ?この秘密をつい『うっかり』他人に話してしまっても…それがもしかしたら、お前のあの仕事人間の母親の耳に入っちまうかもしれないが…仕方ねぇなぁ…うん」
ハヤテ「そ、それだけは…それだけはっ!!お願いします!!」
??「な・ら…何をするのかわかるな?きひひっ…さぁ、自分の口で言ってみな…」
ハヤテ「わかったよ…ヒーローに……なるよ……」
俺は勝てなかった…
そう、自分の母親がどれだけ怖いのかを子供の頃に嫌というほど味わっている俺は彼女の脅しにもにた勧誘に勝てなかったんだ
俺はこの瞬間、大切なものを失った気がした
そして、あのあと…俺は青い制服に身を包んだ人二人に連れられて、廊下を移動していたんだ
あの声の話によると、俺が最後のヒーロー候補らしく、俺が仲間になると決まったら全員で大ホールと呼ばれる部屋に集まることになっていたらしい
??「いやぁ、しかし…所長にもこまったもんだよなぁ…急にこんなにヒーロー見習いを増やすんだから…まぁ、その見習いたちを一人前にしながら、後もバックサポートしてやるのが俺たちの仕事だしな」
??「そういうことだ…新入り…名前は?」
ハヤテ「……秋山……ハヤテっす…」
??「そうか!!オレっちは東 カスタム、ヒーロー装備改造担当だ。タムにいと読んでくれてもいいぜ?絶対にカスにいとは呼ばないでくれな?」
??「俺は西 シュウレン、戦闘訓練の教官をしている身だが…まぁ、訓練といっても飾りに近いものだ、きにしなくてもいい」
二人はそんなことを言いながら、俺をどこかに連れて行こうとしている
でも、俺はこのふたりとは仲良くできる…そんな気がしたんだ
しかし…ヒーロー協会といっても、社員…のようなものはそんなにいないんだな…これは意外だ
ハヤテ「ここ、そんなに社員さんいないんですね?」
カスタム「んっ?あぁー…だって、社員は6人であとはヒーローだしね」
シュウレン「元々は、所長が自己満足のために作った組織だったからな…友人間で話のネタにと思ったこの組織が、これほどまで大きくなるとはあの時は思っていなかったな」
まさか……この組織、思ったより大きくないのかもしれないぞ…?
なんて思っていた俺は、ようやく一つの大部屋の前についた
このむこうに、他の人たちやヒーローたちが…
そして、扉が開けられると、俺はなかにいる人の多さに驚いたんだ
ざっと見ても100人は超えているぞ…!?
何が小さい組織だ…十分大きいじゃないか!!
俺がなかに入ると、真ん中にあった表彰台の上に男性が上がったんだ
あの男性が……ここのリーダーなんだろうか?
なんとなく、ひょろっとした研究者風の人だな…って印象を受けたね
??「ここに集まってくれたヒーローそして、今日からヒーローとして一緒に闘ってくれる戦友たちよ!!歓迎しよう…私がここのリーダーであり、所長の我流院 サダマサだ、所長と呼んでくれ」
やっぱりか…あの人がここのリーダー格の人なんだな…
そして、俺をこんな非現実的なことに巻き込んだ張本人…
そう思うと、複雑な気分になったが…ここで変に暴れて彼女に秘密を暴露されてはたまったものではない…
俺は結局、彼の話を聞くことにしたのだった
所長「今回、我々は今までにないほどの驚異にさらされているということが判明したのだ!!諸君らは、魔物娘のことは同然知っているな?」
魔物娘…今では、俺たちと当たり前のように日常に溶け込んでいる人間とはまったく違う…彼女たちのことかな?それがいったい…
所長「私は彼女たちのことを否定するつもりはまったくない…むしろ、喜ばしいことだとは思う!!しかし……彼女たちの中に困った連中がいてな…その連中が最近、強引に男性を伴侶にするという事件が多発しているのだ」
…………そ、そんな娘たちいるのか…?
いや…いてもおかしくないかも、魔物娘だし…
前に朝のテレビでぽろり映像が流れたとき、魔物娘だったら当たり前でしょうという言葉で片付けられるくらいだからな
と、そのときだった…
コナミ「ハヤテ!!よかったぁ…無事だったんだね」
ハヤテ「コナミ!?それにシンタロウも!!お前らも…もしかして…」
シンタロウ「あぁ…ヒーローになるハメになった」
コナミ「いやぁ、やっぱり二人も欲しかったんだね?『男たちの響宴』全巻!!あれ…僕たちの間ではプレミア物なんだよ!!初回限定特典版をくれるって聞いたから、女性でも男の気分を味わえる…『オーガニズムディルド』もセットだし…最高だよぉ!!」
…………こ、コナミ…まさか、物か?物で釣られたのか!?
シンタロウ……お前はそんなんじゃないよな…?
シンタロウ「なんだ?」
ハヤテ「あっ…いや…まさか、お前もコナミと同じ…」
シンタロウ「絶対違う…俺は、脅されたんだ…秘密をばらすと」
ハヤテ「お前もか……」
シンタロウと俺は、互いの置かれている境遇が同じだとわかると、無言で握手を交わしたのだった…
っと、こんなことをしている間ではないな…所長の話も聞いておかないと
所長「その集団は『過激派』と呼ばれており…人間女性を強制的に魔物化…男も積極的に襲うという……恐ろしい集団なのだ!!この集団を自由にさせておけば、いずれ…いや、近いうちにこの国は魔物娘だらけになってしまう!!そうなってしまうと、世界のバランスまでもがおかしくなるのだ!!」
お、おいおい……何かの悪い冗談だと言ってくれ…
世界のバランスまでおかしく…だって?
お、俺が思っていたよりもさらに大きな問題じゃないか!!
世界を守ってくれって言われたって…俺には無理だぞ!?
所長「世界のバランスを守るために…他の人間が過激派の魔物娘に襲われた時に、彼女たちを追い払うのが我々ヒーローの仕事なのだ…詳しくは実際に任務が発表された時にいう…心しておいてくれ。さて、では……長い話ばかりではつまらないだろう?君たちに、食事を用意した!!好きに食べてくれて構わない!!」
所長がそういうと、二人の女性が大きな食事がのったテーブルを押してきたんだ…
その中の一人に見覚えがある……
あの悪魔だ!!悪魔が食事を運んでいるぞ!
これはきっと…毒に違いない…
なんて、冗談に聞こえるかもしれない予想をしてしまったが…その予想をしたのは俺だけではなかったみたいなんだ
俺たちと同じように集められた連中の数人が、とても顔色を悪くしているのがその証拠だ…
きっと、俺の表情もすっごくゆがんでいるんだろうなぁ…
??「さぁ、お前たちの食事だ…何人か、毒が入ってるんじゃないかって思ったかもしれんが……きひひっ…入ってはいないぞ…?多分だが」
??「そんなにおどしつけるものではありませんよ?愛です、愛をもって接して上げないと…ダメでしょう?うふふっ」
あ、あの声にも覚えがあるぞ……
確か、俺がここに初めに来た時に、話しかけてきた尋問官の一人…
カスタム「おっと、ここでおっそろしい女性教師の登場だ…なぁ?ハヤテ」
ハヤテ「うわぁっ!?カスにぃっ!?いつの間に後ろに…」
カスタム「タムにぃだっての!!わざとだな?お前わざとだろ!!」
コナミ「きゃぁぁぁっ!!来た・・来たよっ!!僕の求めていた男同士のシーン!!背が高いイケメンにハヤテが後ろから抱きつかれる……最高のシチュ!カメラ!!カメラはどこ!?あったっ!!はぁ…はぁ…じゅるっ…いいわぁ…僕、今最高に萌え萌えしてるよぉ…ふふふふふっ…」
パシャッ!!
シンタロウ「ほう……借りるぞ?」
コナミ「だめ!!これは…消させない!!僕の今晩のおかずなんだぁ!!」
シンタロウ「そうか…残念だ(´・ω・`)」
コナミ「そんな顔したってダメだよ!!僕のおかずは渡さない!!」
……あいつら、元気だなぁ…
俺も、コナミの写真はどうにかしたいが…カスタムさんとの話を中断するのはカスタムさんに悪いし…
カスタム「彼女たちの事…知ってるか?片方は『脅迫女帝』片方は『愛恐神』と呼ばれてる…こわいぜ?」
ハヤテ「詳しくは知らないですけど…脅迫女帝さんは知ってます」
カスタム「しかたねぇな、ここはオレっちがバッチリ、説明してやるよ!!」
そういうと、カスタムさんはどこから取り出したのかわからないけど、ホワイトボードをもって説明を始めたんだよ!!
すかさず、俺がその場にそっと座り込み、後ろにコナミとシンタロウがつづいた…
カスタム「まず、『拷問女帝』こと、斎藤 サザナミ このヒーロー協会では主に、各地の情報をみんなに伝えるやくめを持ってる。彼女の趣味は……相手の弱みを握る行為で、本来…人権問題で罰せられるはずなんだが…と、とにかく!!彼女には逆らわない方がいい!!俺の知ってる限り、小学生の頃にはハッカーまがいのことをしていたから、彼女は天才だ……敵にだけは絶対にしたらダメだぜ?」
コナミ「へぇー…そんな人には僕、見えなかったけどなぁ…いい人って印象の方が強かったよ?」
ハヤテ「そりゃあ、お前はあの人の怖さを知らないから……いや、知らない方がいいさ、なぁ?」
シンタロウ「うむ、異議なし」
カスタム「……性格はガサツで、女らしさは欠片もない…性格鬼畜と三拍子そろっている困った先生になると思うが、よろしくしてやって……」
サザナミ「……だぁれがガサツだってぇ〜?あたいのような超絶優しい先生の説明が、あんまりじゃないか?女らしさがないってんなら、胸触らせてやろうかぁ?キヒヒヒッ…」
カスタム「いや、お前…胸あまり無…」
サザナミ「おっとぉ…危ない危ない、大切な書類をうっかり落としてしまうところだった……こんなところで落としてしまったら、カスタム先生の先生としての威厳が…なぁ?」
サザナミさんはそう言いながら、茶封筒にハサミを当てて、ジャキジャキ取り出し口を切っている…
い、言っていることとやっている事が矛盾している…?こんなの、普通じゃ考えられない…
カスタム「お、おまっ…もしかしてそれ…」
サザナミ「ん…?カスタムが生前晒した無様な写真だが?ちょうどいいくらいに男同士の裸体が……」
コナミ「僕にください!!早く!バンッ バンッ」
ハヤテ「コナミ、食いつくなって!!男同士だったら見境なしかよ…」
俺はそう言いながら、シンタロウと一緒にコナミを抑える
と、その時…サザナミの持っていた封筒から写真が一枚チラっと見えたんだ
だが、あまりに一瞬だったため、動体視力がそこまでいいわけじゃない俺と、元々目があまりよくないシンタロウには見えなかっただろうな…
だが……コナミはどうやら、その写真を見ることができたみたいなんだ
その写真を見たとたん、コナミの口からタラタラとよだれが垂れ、コナミの力がさっきまでとは比べ物にならないぐらいに…
お、男二人なのに…ふ、振り切られる…!?これはやばいな…
コナミ「ふしゅーーっ…はぁ、はぁ…じゅるるっ…」
ハヤテ「な、なんて熱気なんだ…!?」
シンタロウ「説明しよう…コナミは、自分が大好きな腐向け作品の中でも、神クラスの作品をみると、全身の新陳代謝が良くなり、通常の10倍の能力を出せるのだ!!」
ハヤテ「説明なんてしている場合か!!」
なんて、俺たちがそんなことをしていると、コナミの危機感を感じ取ったのか、カスタムさんがついに折れたのだった…
その姿を見て、サザナミさんがニヤリといやらしい笑みを浮かべる…
よ、弱みを握られるって…こ、怖いな……
サザナミ「さぁって…茶番はここまでにしてだ…今から、全員にヒーロー適正試験を受けてもらい、チーム分けをするわけだが…その前に、ビデオを見てもらうのがルールなんだ…みんな、あたいについてきな?」
そういうと、サザナミさんは大ホールを出て、カツカツ先へ進んで行ってしまったのだった
俺たちも慌てて後を追いかける…
まったく……俺の日常は…どこに行ってしまったのか…
適応なんてしてやらないからな!!ヒーローになんて…誰がなるか!!
などと思いながら、ヒーローになってしまう道をのんびりと進むことになっているんだけどな
H1 END
俺にとってはとてつもなくぴったりな言葉だった
俺の名前は…
って、いきなり自己紹介から入るところからも、俺の普通さが伺えるだろうが…ここは流して欲しい
俺の名前は秋山 ハヤテ
この街…未来町フューチャータウンに住んでおり、未来技術専門学校というなんともひねりのない学校にかよっている一般人だ
得意なことはパズル、苦手なことは運動という、インドア派の男だが…
一応学校には普通に通っているんだ
そんな俺が…今、普通ではありえない状況に陥っているというわけで…
事の発端は今朝…
仕事人間で滅多に家に帰らない母が珍しく帰ってきて、親父と口喧嘩したことから始まるんだけど…
ちなみに、俺の母の名前はスズネ、親父の名前はアキラ…
この二人…最近事あるごとに喧嘩をしているんだ
昔は仲がこれでも良かったらしいが…今はもう……
なんていうか、離婚寸前って感じだよ…見てるこっちが辛くなるくらいだ
スズネ「……なにか?なにか言いたそうだけど…」
アキラ「…そ、そりゃあ!!スズネもたまにはハヤテの学校の行事に参加してあげたり…そんなことをしてくれって言いたいんだ!!僕は、父親の愛情と同じくらい、母親の愛情も子供に注いで上げないと…ダメだって思ってるんだ」
スズネ「………くっだらない、愛情?愛情なんて必要な歳でもないでしょ?だいたい、何?私が働かないと、この家…持たないわよ?誰のおかげで毎日ごはん食べれると思っているの?この無職で甲斐性なしのヘタレが…」
アキラ「うぐっ……ぼ、僕だって…必死に探してる!!」
スズネ「結果は?結果もないのに、必死なんて言葉を軽く使わないで、惨めだから…じゃあ、私今から仕事だから…今度もどるのは2週間後なので、じゃ」
といいながら、母が家を出ようとした時だ
母が何かを思い出したかのような顔をすると、俺にこういってきたんだ
スズネ「あぁ…ハヤテ、あなたあてに手紙が来てたわよ?机の引き出しの中に入れてるから見ときなさいよね?じゃ…」
バタンという無情な音を立て…閉まる扉…
そして、玄関前で無残に倒れる親父……なんていうか、惨めだ…
その背中からは、憂いのようななにかまで漂っている気までしてきやがる…
ハヤテ「親父……そう、気を落とさなくてもいいんだよ?」
アキラ「ん……?あ、そうだな…いつものことだもんな…じゃあ、父さん晩飯作って置くから、風呂から出たら食べてくれ…ちょっと疲れたから…寝るよ」
ここまではいつもと対して変わらない日常……
そして、俺が風呂を出て飯を食べ終わったあと…
俺の普通の日常は微妙に変な方向へと動き始めてしまったんだ…
ハヤテ「手紙…っていうより、封筒だな…なんだ?」
そう言いながら、机の引き出しの中の封筒を開ける…
すると、中には子供が喜びそうな感じの代物が出てきたんだよ!!
そう…中には紙が三枚と変身ベルト…のようなものが入っていたんだよ
変身ベルトというには、あまりに小さいけど…
まぁ、そんなことはどうでもいい
問題は、中に入っていた紙の方だった
【ヒーロー協会から、秋山ハヤテ様へ…
あなたは、この世界を救うヒーローの素質があると判断されました
よって、明日の朝9時にお伺いさせて頂きます
穢れなき体を持ったあなたならば、きっといいヒーローになれるでしょう
なお、今回は特例のため…ヒーロー条例153条、ヒーローになることを拒否という項目の【拒否】という概念が一切通用しません。
あなたには問答無用でヒーローになってもらいますので、覚悟をお決めください】
ハヤテ「……あ、怪しい……明らかに怪しい…俺がまだ学校に通っているからって、こんな明らかに詐欺だろっていうような封筒に興味が抱かれるわけないだろ…?バカバカしい…だいたい、9時に伺うって…その時間帯は学校に登校してて、俺家にいないし」
俺はそういうと、その封筒を机の上に投げ、ベッドに身を投げ出す
そして、そのまま睡魔に流されて、眠ったのだった…
そして翌日…俺はいつものように学校に向かっていた
すると、後ろの方から男女合わせて二人の、俺を呼ぶ声がする
俺の友達の春風 コナミと夏目 シンタロウ…こいつらとは、小学生の頃からの知り合いだ
背が高く、右手に大事そうにノートパソコンを抱えているほうがシンタロウ
やれば出来るのにやろうとせず、毎日どこでもPCでゲームやらなんやらをやっている困った奴だ
学校にも持って行っているが、先生にばれていないのは奇跡だと思う
そして、この褐色に軽く日焼けした、ショートカットの女がコナミな?
こいつは……ものすごく運動ができる…
水泳部期待のホープなんて、そう呼ばれてるやつだ
しかし、本人はあまりそういったことに興味はないらしく、部活にもあまり積極的に行っているようには見えない
……こいつ、見た目は少し…いや、だいぶ男受けがいいって噂だが…
あいにく、俺はこいつの趣味を知ってしまっているので、恋愛感情なんてこいつに対しては皆無だ…
期待した読者、残念だったな
シンタロウ「……随分と、早い出勤だな…青年」
ハヤテ「そりゃあ、俺だってたまには早く学校行こうかなって思ったりするよ」
シンタロウ「………ふむ、今日は槍が降るか、外をであるきたくないな」
ハヤテ「どういう意味だよそれ!!」
俺はそう言いながら、シンタロウの方を軽く殴りつける…
っと、その時だ
パシャッ…という、軽快な音があたりに響いたんだ
音の犯人はわかっている…
ハヤテ「また、写真とったなコナミ!?」
コナミ「へっへーんっ!!見てみて!!ベストアングル!!僕ってやっぱりすごいよね!!こんな写真が撮れたんだよ!!」
そう言って、コナミが見せてきたデジタル写真の画像は…普通に、俺が手を伸ばしているだけだったが……問題は、撮ったのがこいつだってことだ
コナミ「ふふっ…このあと、ハヤテがシンタロウの肩に手を乗せて、耳元でそっとつぶやくんだ……『今夜は、寝かさねぇぜ……?』って!!で、その後二人はハヤテの家のベッドの上であっつーい夜を……ふひっ…じゅるぅっ…」
ハヤテ「削除削除削除削除!!」
俺は、そんなコナミを薄目でみると、即座にさっきの写真を削除する…
100%ロクなことに使われてない予感はしたからな…
コナミ「あぁぁぁぁぁーーーっ!!ぼ、僕のお宝がぁぁっ!!」
シンタロウ「ハヤテ、ナイスだ」
コナミ「ひどいよ!!ハヤテ!!これはもう…ベッドシーンを今すぐ見せてくれないと許せないね!!」
ハヤテ「こ、こいつ…腐ってやがる…」
っと、こんなふうに……残念な性格をしているんだ
でもまぁ、この二人とたまに喧嘩したりしながら、仲良くなりここまできたんだから、俺はいい友達を持ったと思うな
そして、話題はシンタロウが昨日、変なものが家に届いたって話題になったんだ
シンタロウ「そういえば、昨日…変な封筒が家に届いた、中にベルトが入っていたが…お前たちに見せられないのが残念だ」
コナミ「へぇっ…シンタロウのところにも来たんだ?清い体の持ち主がヒーローの素質があるだのなんだのって封筒…僕のところにも来たよ!!」
ハヤテ「お前たちもなのか!?俺も昨晩……」
と、俺が話を切り出そうとした時だった…
いきなりものすごい勢いで黒い車が脇の道路を走ってきたんだ!!
そして、俺たちの目の前でドリフト…そのまま、中から黒い服の人が三人出てきて、俺たちは抵抗するまもなく、変なものをかがされて眠りについてしまった
そして、今現在…俺はあたりが真っ白な部屋の中にあったベッドの上で目を覚ましたというわけだ…
ハヤテ「じ、冗談じゃないぞ…こ、これ…拉致監禁じゃないか!!立派な犯罪だぞ…ど、どうして俺がこんなことに巻き込まれているんだ…?」
そう言いながら、あたりを見てみるが…あるのはベッドと机がひとつ…あとは出口の扉とよくわからない機械……あれはマイクか?ぐらいだった
とりあえず、慌てながら部屋の出口の扉を開けようとするが…案の定、開くはずはなかった
??「目覚めになりましたね?では…ベッドの上にでも腰掛けてください」
ハヤテ「だ、誰なんだ!?いったい、俺をどうするつもり…」
しかし、俺の質問に答える声はない…
なるほど…言うとおりにしないと、あくまで黙秘を続けるんだな…
俺はそう理解すると、ビクビクしながらベッドに移動する…
逆らわない方がいい…下手に逆らってひどい目に会いたくないからな…
そして、俺がベッドに付くと、声が部屋に響く…
??「まずは、あなたのことを確認します…秋山 ハヤテ 19歳 童貞 未来技術専門学校1年、家族は母と父の二人で、祖父母は他界している…間違いないですか?」
ハヤテ「あってるよ…でも、童貞かどうかは別にどうだっていいじゃないか!わざわざ言わないでくれよ恥ずかしい!!」
??「とても、大事なことですので…では、あなたは今…自分が置かれている状況について、わかっていますか?」
ハヤテ「わかるわけないじゃないかよぉっ!!」
そうだ、わかるはずがない…
いきなり拉致監禁されるような、大げさな出来事をやらかしたって記憶もないんだから!!
わかるはずがないんだよ!!
??「………封筒に書いてあったと思いますが…ご覧になりましたか?」
ハヤテ「封筒……?まさか、ヒーロー協会とかなんとか…」
??「そうです、あなたはヒーローになることを義務付けられたのです、嬉しいでしょう?喜びなさい」
このマイク越しの声は、俺に喜べと示唆しているかのような間を空けてきたわけだが……
喜べるわけがないだろう!!何がヒーローだよ!!
やってること悪者じゃねぇかよ!!
ハヤテ「ふざけるな!!意味のわからんことを言いやがって…ここからだせよ!!出してくれよ!!」
??「………そんなあなたに正義の教えをじっくりと教鞭してあげ…」
??「そこまでだ、あんたの話は無駄に長くて、聴いてるとあたまが本当におかしくなっちまう……ここからは、あたしが変わってやるよ…」
??「ちょっ…あなた、自分の管轄はどうしたのです?彼の他にもヒーローとなるべき子羊たちがヒーロー協会を訪れたはずですよ?」
??「あたしを馬鹿にしてもらっちゃ困る…あたしが説得して、いうことを聞かなかった生徒はいない……くくくっ…さぁ、わかったらヒーローになることを決めた奴らにでも、あんたの教えを教えにいきな?」
マイクの向こうでは、被害者の俺を無視して、勝手に話が進んでいっていた
くそぉ…俺の意見なんて、まったく聞いていやしねぇ…
なんて思いながら待っていると、いきなり真っ白な空間に変なものが浮かび上がってきたんだよ!!
そして…その物は次第になにか絵を写し始めて…ん?
これは…なんだか、スクリーンのような物…に見えるな…
詳細はまったくわからないけど、すごい発達した技術ってのはわかる
そして、そのスクリーンにマイクを片手に持ち、片方の手にタバコのようなものを持った女性が写ったんだよ
第一印象を言わせてもらうとすれば……
赤色の髪にぼさっとした雑な服装から、あまり自分の身の回りを清潔に保っていなくても大丈夫な部類の人だっていうのがわかる
椅子に座りながら、足を偉そうに組んでいるところから、けっこう性格も大雑把に見えるが…
俺は、この人物に対して…非常に賢い人物だというイメージを持った
??「あたしが見えるな?秋山ハヤテ…?対面する相手とは直接会って話すのが、あたしの尋問のやり方なんでね…そのスタイルをとらせてもらうよ?」
ハヤテ「タバコは体をこわすので、やめたらどうですか?正義の味方なんでしょう?」
??「無理をして虚勢をはらなくていいよ、足が震えている。怖いんだろ?自分がどうしてこんなことをされたのか…それも尋問ついでに教えてやるよ。それと、これは煙草じゃなくて、ココアシガレットだ、お菓子だよお菓子…仮にも正義のヒーロー様が、子供の見本にならないことをするわけがないだろう?」
………じゃあ、誘拐はどうなんだよ、正義じゃない…
??「じゃあ、誘拐はどうなんだよ?正義じゃない…って思ったかもしれないが、今回は特例なんだ、諦めるんだね」
なっ……!?ど、どうして俺の考えたことが…!?
やばい…これは本質的にやばいぞ…
ここは、いうことを聞いておいたほうがいいかもしれないな…
??「さて、あたいの要求は一つだ、あんたには諦めてヒーローになってもらいたい」
ハヤテ「い、いきなりヒーローになってくれとか…そんなこと言われても困るんですよ!!だいたい、ヒーローっていったって…俺にはそんな特別な力なんてないし…」
??「そんなもの、誰も新米に求めてはいない…今のおまえに求めているのはヒーローになることだ…ヒーローになって、今までの自分の個性もなかった人生をやりたおしたくないか?ん?」
ハヤテ「……お、俺は別に…今のままで……」
??「……ん?聞こえんなぁ…そうだ、貴様にとっておきの情報をくれてやる…ふふっ…」
画面の向こうにいるあの人…わざと俺の話を無視した…だと?
そ、そんなことをしたら、俺の反感を買うだけなんだぞ!?
俺をわけがわからないヒーローとやらにしたいなら、俺の反感を買わないほうがいいと思うのに…
ハヤテ「俺にとってのとっておきの…情報?」
??「そうだ、そうだな…まずは、貴様の買ったエロ本の題名でも晒すとするか?貴様が若かった時にやらかした大きなミスを暴露するのでもいい…あれは確か、母親の大切な書類の裏にラブレターを書いて、それを…」
ハヤテ「うわあぁぁぁっっ!!ちょ…す、ストップ!!待ってくれよ!!」
??「貴様が他人におしえたくない性癖でもいいんだぞ?きひひっ…」
こ、こいつは悪魔だ…
ヒーロー?否っ!!こいつは悪魔だ!!
こんなに俺の秘密を知っているなんて…
俺のプライバシーはどうなっているんだよ!?
それに……人の秘密をこんなにも赤裸々にかたることができるなんて…
くそぅっ……お前ら人間じゃねぇ!!悪魔だ!!
??「きっひっひ…(ポリッ)あたしはいいんだぜぇ?この秘密をつい『うっかり』他人に話してしまっても…それがもしかしたら、お前のあの仕事人間の母親の耳に入っちまうかもしれないが…仕方ねぇなぁ…うん」
ハヤテ「そ、それだけは…それだけはっ!!お願いします!!」
??「な・ら…何をするのかわかるな?きひひっ…さぁ、自分の口で言ってみな…」
ハヤテ「わかったよ…ヒーローに……なるよ……」
俺は勝てなかった…
そう、自分の母親がどれだけ怖いのかを子供の頃に嫌というほど味わっている俺は彼女の脅しにもにた勧誘に勝てなかったんだ
俺はこの瞬間、大切なものを失った気がした
そして、あのあと…俺は青い制服に身を包んだ人二人に連れられて、廊下を移動していたんだ
あの声の話によると、俺が最後のヒーロー候補らしく、俺が仲間になると決まったら全員で大ホールと呼ばれる部屋に集まることになっていたらしい
??「いやぁ、しかし…所長にもこまったもんだよなぁ…急にこんなにヒーロー見習いを増やすんだから…まぁ、その見習いたちを一人前にしながら、後もバックサポートしてやるのが俺たちの仕事だしな」
??「そういうことだ…新入り…名前は?」
ハヤテ「……秋山……ハヤテっす…」
??「そうか!!オレっちは東 カスタム、ヒーロー装備改造担当だ。タムにいと読んでくれてもいいぜ?絶対にカスにいとは呼ばないでくれな?」
??「俺は西 シュウレン、戦闘訓練の教官をしている身だが…まぁ、訓練といっても飾りに近いものだ、きにしなくてもいい」
二人はそんなことを言いながら、俺をどこかに連れて行こうとしている
でも、俺はこのふたりとは仲良くできる…そんな気がしたんだ
しかし…ヒーロー協会といっても、社員…のようなものはそんなにいないんだな…これは意外だ
ハヤテ「ここ、そんなに社員さんいないんですね?」
カスタム「んっ?あぁー…だって、社員は6人であとはヒーローだしね」
シュウレン「元々は、所長が自己満足のために作った組織だったからな…友人間で話のネタにと思ったこの組織が、これほどまで大きくなるとはあの時は思っていなかったな」
まさか……この組織、思ったより大きくないのかもしれないぞ…?
なんて思っていた俺は、ようやく一つの大部屋の前についた
このむこうに、他の人たちやヒーローたちが…
そして、扉が開けられると、俺はなかにいる人の多さに驚いたんだ
ざっと見ても100人は超えているぞ…!?
何が小さい組織だ…十分大きいじゃないか!!
俺がなかに入ると、真ん中にあった表彰台の上に男性が上がったんだ
あの男性が……ここのリーダーなんだろうか?
なんとなく、ひょろっとした研究者風の人だな…って印象を受けたね
??「ここに集まってくれたヒーローそして、今日からヒーローとして一緒に闘ってくれる戦友たちよ!!歓迎しよう…私がここのリーダーであり、所長の我流院 サダマサだ、所長と呼んでくれ」
やっぱりか…あの人がここのリーダー格の人なんだな…
そして、俺をこんな非現実的なことに巻き込んだ張本人…
そう思うと、複雑な気分になったが…ここで変に暴れて彼女に秘密を暴露されてはたまったものではない…
俺は結局、彼の話を聞くことにしたのだった
所長「今回、我々は今までにないほどの驚異にさらされているということが判明したのだ!!諸君らは、魔物娘のことは同然知っているな?」
魔物娘…今では、俺たちと当たり前のように日常に溶け込んでいる人間とはまったく違う…彼女たちのことかな?それがいったい…
所長「私は彼女たちのことを否定するつもりはまったくない…むしろ、喜ばしいことだとは思う!!しかし……彼女たちの中に困った連中がいてな…その連中が最近、強引に男性を伴侶にするという事件が多発しているのだ」
…………そ、そんな娘たちいるのか…?
いや…いてもおかしくないかも、魔物娘だし…
前に朝のテレビでぽろり映像が流れたとき、魔物娘だったら当たり前でしょうという言葉で片付けられるくらいだからな
と、そのときだった…
コナミ「ハヤテ!!よかったぁ…無事だったんだね」
ハヤテ「コナミ!?それにシンタロウも!!お前らも…もしかして…」
シンタロウ「あぁ…ヒーローになるハメになった」
コナミ「いやぁ、やっぱり二人も欲しかったんだね?『男たちの響宴』全巻!!あれ…僕たちの間ではプレミア物なんだよ!!初回限定特典版をくれるって聞いたから、女性でも男の気分を味わえる…『オーガニズムディルド』もセットだし…最高だよぉ!!」
…………こ、コナミ…まさか、物か?物で釣られたのか!?
シンタロウ……お前はそんなんじゃないよな…?
シンタロウ「なんだ?」
ハヤテ「あっ…いや…まさか、お前もコナミと同じ…」
シンタロウ「絶対違う…俺は、脅されたんだ…秘密をばらすと」
ハヤテ「お前もか……」
シンタロウと俺は、互いの置かれている境遇が同じだとわかると、無言で握手を交わしたのだった…
っと、こんなことをしている間ではないな…所長の話も聞いておかないと
所長「その集団は『過激派』と呼ばれており…人間女性を強制的に魔物化…男も積極的に襲うという……恐ろしい集団なのだ!!この集団を自由にさせておけば、いずれ…いや、近いうちにこの国は魔物娘だらけになってしまう!!そうなってしまうと、世界のバランスまでもがおかしくなるのだ!!」
お、おいおい……何かの悪い冗談だと言ってくれ…
世界のバランスまでおかしく…だって?
お、俺が思っていたよりもさらに大きな問題じゃないか!!
世界を守ってくれって言われたって…俺には無理だぞ!?
所長「世界のバランスを守るために…他の人間が過激派の魔物娘に襲われた時に、彼女たちを追い払うのが我々ヒーローの仕事なのだ…詳しくは実際に任務が発表された時にいう…心しておいてくれ。さて、では……長い話ばかりではつまらないだろう?君たちに、食事を用意した!!好きに食べてくれて構わない!!」
所長がそういうと、二人の女性が大きな食事がのったテーブルを押してきたんだ…
その中の一人に見覚えがある……
あの悪魔だ!!悪魔が食事を運んでいるぞ!
これはきっと…毒に違いない…
なんて、冗談に聞こえるかもしれない予想をしてしまったが…その予想をしたのは俺だけではなかったみたいなんだ
俺たちと同じように集められた連中の数人が、とても顔色を悪くしているのがその証拠だ…
きっと、俺の表情もすっごくゆがんでいるんだろうなぁ…
??「さぁ、お前たちの食事だ…何人か、毒が入ってるんじゃないかって思ったかもしれんが……きひひっ…入ってはいないぞ…?多分だが」
??「そんなにおどしつけるものではありませんよ?愛です、愛をもって接して上げないと…ダメでしょう?うふふっ」
あ、あの声にも覚えがあるぞ……
確か、俺がここに初めに来た時に、話しかけてきた尋問官の一人…
カスタム「おっと、ここでおっそろしい女性教師の登場だ…なぁ?ハヤテ」
ハヤテ「うわぁっ!?カスにぃっ!?いつの間に後ろに…」
カスタム「タムにぃだっての!!わざとだな?お前わざとだろ!!」
コナミ「きゃぁぁぁっ!!来た・・来たよっ!!僕の求めていた男同士のシーン!!背が高いイケメンにハヤテが後ろから抱きつかれる……最高のシチュ!カメラ!!カメラはどこ!?あったっ!!はぁ…はぁ…じゅるっ…いいわぁ…僕、今最高に萌え萌えしてるよぉ…ふふふふふっ…」
パシャッ!!
シンタロウ「ほう……借りるぞ?」
コナミ「だめ!!これは…消させない!!僕の今晩のおかずなんだぁ!!」
シンタロウ「そうか…残念だ(´・ω・`)」
コナミ「そんな顔したってダメだよ!!僕のおかずは渡さない!!」
……あいつら、元気だなぁ…
俺も、コナミの写真はどうにかしたいが…カスタムさんとの話を中断するのはカスタムさんに悪いし…
カスタム「彼女たちの事…知ってるか?片方は『脅迫女帝』片方は『愛恐神』と呼ばれてる…こわいぜ?」
ハヤテ「詳しくは知らないですけど…脅迫女帝さんは知ってます」
カスタム「しかたねぇな、ここはオレっちがバッチリ、説明してやるよ!!」
そういうと、カスタムさんはどこから取り出したのかわからないけど、ホワイトボードをもって説明を始めたんだよ!!
すかさず、俺がその場にそっと座り込み、後ろにコナミとシンタロウがつづいた…
カスタム「まず、『拷問女帝』こと、斎藤 サザナミ このヒーロー協会では主に、各地の情報をみんなに伝えるやくめを持ってる。彼女の趣味は……相手の弱みを握る行為で、本来…人権問題で罰せられるはずなんだが…と、とにかく!!彼女には逆らわない方がいい!!俺の知ってる限り、小学生の頃にはハッカーまがいのことをしていたから、彼女は天才だ……敵にだけは絶対にしたらダメだぜ?」
コナミ「へぇー…そんな人には僕、見えなかったけどなぁ…いい人って印象の方が強かったよ?」
ハヤテ「そりゃあ、お前はあの人の怖さを知らないから……いや、知らない方がいいさ、なぁ?」
シンタロウ「うむ、異議なし」
カスタム「……性格はガサツで、女らしさは欠片もない…性格鬼畜と三拍子そろっている困った先生になると思うが、よろしくしてやって……」
サザナミ「……だぁれがガサツだってぇ〜?あたいのような超絶優しい先生の説明が、あんまりじゃないか?女らしさがないってんなら、胸触らせてやろうかぁ?キヒヒヒッ…」
カスタム「いや、お前…胸あまり無…」
サザナミ「おっとぉ…危ない危ない、大切な書類をうっかり落としてしまうところだった……こんなところで落としてしまったら、カスタム先生の先生としての威厳が…なぁ?」
サザナミさんはそう言いながら、茶封筒にハサミを当てて、ジャキジャキ取り出し口を切っている…
い、言っていることとやっている事が矛盾している…?こんなの、普通じゃ考えられない…
カスタム「お、おまっ…もしかしてそれ…」
サザナミ「ん…?カスタムが生前晒した無様な写真だが?ちょうどいいくらいに男同士の裸体が……」
コナミ「僕にください!!早く!バンッ バンッ」
ハヤテ「コナミ、食いつくなって!!男同士だったら見境なしかよ…」
俺はそう言いながら、シンタロウと一緒にコナミを抑える
と、その時…サザナミの持っていた封筒から写真が一枚チラっと見えたんだ
だが、あまりに一瞬だったため、動体視力がそこまでいいわけじゃない俺と、元々目があまりよくないシンタロウには見えなかっただろうな…
だが……コナミはどうやら、その写真を見ることができたみたいなんだ
その写真を見たとたん、コナミの口からタラタラとよだれが垂れ、コナミの力がさっきまでとは比べ物にならないぐらいに…
お、男二人なのに…ふ、振り切られる…!?これはやばいな…
コナミ「ふしゅーーっ…はぁ、はぁ…じゅるるっ…」
ハヤテ「な、なんて熱気なんだ…!?」
シンタロウ「説明しよう…コナミは、自分が大好きな腐向け作品の中でも、神クラスの作品をみると、全身の新陳代謝が良くなり、通常の10倍の能力を出せるのだ!!」
ハヤテ「説明なんてしている場合か!!」
なんて、俺たちがそんなことをしていると、コナミの危機感を感じ取ったのか、カスタムさんがついに折れたのだった…
その姿を見て、サザナミさんがニヤリといやらしい笑みを浮かべる…
よ、弱みを握られるって…こ、怖いな……
サザナミ「さぁって…茶番はここまでにしてだ…今から、全員にヒーロー適正試験を受けてもらい、チーム分けをするわけだが…その前に、ビデオを見てもらうのがルールなんだ…みんな、あたいについてきな?」
そういうと、サザナミさんは大ホールを出て、カツカツ先へ進んで行ってしまったのだった
俺たちも慌てて後を追いかける…
まったく……俺の日常は…どこに行ってしまったのか…
適応なんてしてやらないからな!!ヒーローになんて…誰がなるか!!
などと思いながら、ヒーローになってしまう道をのんびりと進むことになっているんだけどな
H1 END
14/10/02 21:02更新 / デメトリオン mk-D
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