出会いを呼ぶエンゲージリング
階段を降りていたら今までとは違う空気を感じた。
｢はあ。どうやらここが最深部みたいだね」
本当にこのダンジョンはめんどくさかったよ。トラップが多かったし、つぼまじんやミミックがかなりいた。しかも王の墓でもないのにスフィンクスまでいる始末だ。今まで名のある冒険者が挑んで帰って来れなかっただけのことはある。どんなに力があってもミミックとかつぼまじんに引っかかったり、スフィンクスの問いかけに答えられなかったりしたら対処できないだろうね。ボクもかなり難易度に見合っただけの宝はあったけどさ。
「一体このダンジョンの主はどんな魔物かなーっと」
ボクはそんなことを考えながら階段を降りた。
階段をおりた先にいたのは下半身が蛇のきれいな女の人だった。体からはかなり大きな魔力が出ているみたいだね。
「…なんでよりによってエキドナなわけ？」
エキドナ。人間に変化できるほどの魔力を持つラミアの上位種だ。色んな魔物を産むから「魔物の母」って呼ばれている。
「うーん。どうしようか」
ボクはコートの中に隠した武器を探りながらつぶやいた。できればあまり戦闘はやりたくない。いまの実力じゃエキドナを殺さずになんとかするのは難しそうだからね。だから逃げたいんだけど見逃してくれるかどうか不安だし
「くー」
そんなことを考えていると寝息が聞こえてきた。
「…寝てるの？」
近づいてみるとよだれをたらして寝ているのがわかった。
「いくらなんでもマイペースすぎるんじゃない？」
とりあえず警戒はしつつ何かないのか確かめる。すると小さな箱が目に入った。
「中には何が入ってるのかな？『透視』」
魔法で覗いて見ると指輪らしき物が入っている。
「『見えざる手』」
魔力で箱を開けて、指輪がよく見える位置まで飛ばしてきた。
「これってもしかして…」
エキドナの姉さんの左手の薬指を確かめると同じ指輪がしてあった。
「意外とよく考えてるのかな？でも詰めが甘すぎじゃない？」
ここまで来るほどの頭をもつ人がこんなのに引っかかるとは思えない。でもどうしようかなこれ。わかってるのに引っかかる気にはなれないし、かと言ってここにたどりつくことができる人がそこまでいるとは思えない。このエキドナのお姉さんが寝てるのは長い間誰も来てなくて油断してるからだろうしね。理想の人が来ないかもしれないっていうあきらめとも言えるかもしれないけどさ。
「あっ、いいこと思いついちゃった」
ボクはエキドナの姉さんが起きないように気をつけながら準備を進めた。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
適当に調べ物をしてると、ドアがノックされた。
「どうぞ」
オレが声をかけると借りている宿屋の娘さんがいた。
「ノルレ先生。郵便が届いてますよ」
そう言って小さな箱と封筒を渡された。
「どうも。誰から？」
「弟のロキくんからみたいですよ」
娘さんはロキの名前を覚えたみたいだ。まあ何度か手紙とか届いてるから覚えるのも当たり前か。
「あいつからか。いつものように好き勝手してるんだろうな」
オレの言葉に娘さんはクスリと笑った。
「仲いいんですね。ロキくんって一体どんな子なんですか？」
別に仲いいわけじゃないんだけど。
「一言で言うとオレとは正反対のやつかね。オレが魔術ならあいつは武器、オレがインドア派ならあいつはアウトドア派、オレが思考型ならあいつは直感型と言った具合だよ。現にオレが魔物の情報を集めて分析して理論を組み上げる学者で、あいつが魔物と実際に関わっていく冒険者だ。まああいつが持ってくる情報はオレの研究の役に立つし、オレの研究があいつの役に立つこともあるけどな」
娘さんは首を傾げた。
「ノルレ先生の研究対象って珍しい魔物とか特殊な魔物ですよね。そんな魔物に会う機会ってあるんですか？」
「あいつが知り合う魔物はたいてい変だよ。オレがこんな分析してたとか言う話の種くらいにはなると思うけど」
娘さんはクスクス笑った。
「そういうものなんですか。それじゃ私はそろそろ仕事に戻りますね」
娘さんは手を振って部屋を出て行った。
封筒の中には適当に安否を気遣かってるぽい手紙と、なんか色んな問題が書いた紙が入っている。問題は空いた時間に解いておくか。そんなことよりこの小さな箱が気になるな。一体何が入ってるんだ？とりあえずついてる手紙を読んでみようか。なになに、『ダンジョンで見つけたんだけどおもしろそうだから送ってみたよ。兄さんなら何かわかるんじゃない？』。
「かなり怪しいな」
今までロキがおもしろそうって言ってろくな目に合った試しがない。でも気になることは気になる。こういう好奇心を失ったら学者として終わりだと思う。まあ少なくとも死ぬような類のものじゃないだろうしな。オレは覚悟を決めて箱を開けた。
「…指輪？」
くわしく調べようと手を触れた瞬間、指輪が左手の薬指にはまっていた。
「は？！」
外そうとしてもびくともしない。調べてみた所外れない呪文と、探知呪文がかけてある。多分もう１つ対となる指輪でもあるんだろう。
「ちっ。ちゃんと調べとけばよかった」
ロキは直感でなにか感じたから直接触らなかったんだろう。普段危険なことはあまりないから油断してたみたいだな。まあ焦ってもしょうがないから適当に調べてみるか。指輪には瞳に赤い宝石をはめられたヘビが象られている。
「これってもしかしてダンジョン最深部にあったんじゃないか？」
つまりもう１つの指輪はダンジョンの主がつけてるってことだろう。さて鬼が出るか蛇が出るか。せめて研究の役に立てばいいとか考えつつオレは調べ物を続けることにした。
それから何日かたった時、部屋の前にかなり強力な魔力を感じた。薬指にはめられた指輪のヘビの目が赤く輝いている。
｢…来たか｣
今さら焦っても仕方ない。とりあえずどう説明するか考えておくか。そんなことを考えていたらドアがノックされた。オレは覚悟を決めてドアを開けた。
｢だんな様〜！｣
オレの腹にいきなり衝撃が走った。とっさに風呪文を唱えて勢いを殺す。
｢やっと会えましたー。ここまでかなり距離あったんですよー｣
飛びついてきたのは髪が緑、瞳が金のきれいな女の人だ。左手の薬指に目が青い宝石でできているヘビが象られている指輪をつけているからロキがあった魔物で間違いないだろう。人に化けられてダンジョンに住んでそうなそうな魔物と言えば…。
｢エキドナ？｣
｢気付いてくれたんですね〜。さすがだんな様です〜」
エキドナさんがさらに密着してきた。なんか色々当たって困る。
｢あー。喜んでる所悪いけどオレはダンジョン攻略者じゃない｣
オレの言葉にエキドナさんは頬をふくらませた。
｢ぶ〜。そんなウソついてもダメですよ〜。地図もありますし、置き手紙にもフィアボルト領のノルレ＝ヴェーデルシュルグって書いてるじゃないですか〜｣
そこまでやっていたのかロキ。お前は一体何がしたいんだ？
｢なんでわざわざ自分の情報を明かしたりするんだよ。それだったら始めから逃げてないだろ｣
オレの言葉にエキドナさんはハッとした顔をする。普通何かおかしいと思うだろ。
｢で、でも指輪つけてますよね？箱もなくなってましたし｣
｢もしそいつが指輪の仕掛けにひっかかってたんならなんで箱ごと持って来るんだ？なくなってたら気付かれるし、空箱を持って帰ってくる意味がどこにある｣
オレの言葉にエキドナさんは絶句した。
｢じゃあなんで指輪をはめてるんですか〜？｣
｢オレの弟のロキが送ってきた。不用意に箱を開けたら引っかかったってわけだ｣
少しかわいそうだけどオレは事実を伝えた。
｢う、ぐすっ｣
エキドナさんが突然顔をうつむけて肩を震わせた。
｢ど、どうした？｣
いや、いきなり泣かれても困るんだけど。一体どうしたんだ。
｢ひっく。だ、だって弟さんがそんなことしたのは私が魅力がなかったり、魔物だからじゃないかって思ったら悲しくなったんです〜｣
ああ。ロキのこと知らないとそういう誤解するのも当然か。
｢そんなことない。あなたはとてもきれいだし、あいつは魔物にそんな偏見を持ってない。親魔物領のベントルージェ領に住んでるくらいだしな｣
ベントルージェ領は別名冒険者の町と呼ばれる親魔物領だ。ちなみにここフィアボルト領も親魔物領で、学者の町って言われてたりする。異名通り本とか資料とかが集まりやすい学者にやさしい町だ。
｢じゃ、じゃあなんで弟さんは私から逃げたんですか〜？｣
｢あいつガキだからわかってて引っかかるのがイヤだったんだろう。けどかと言ってこのまま放っておいたら次にいつ来るのかわからない。だから条件に合うやつに指輪を送って来たんだろう｣
オレの言葉にエキドナさんがきょとんとする。
｢え〜？適当に兄さんに押し付けようとしたってわけじゃないんですか〜？｣
ぐっ。予想はしてたけど実際言われると傷つくな。
｢これを見たらわかる｣
オレはエキドナさんに問題が書いてある紙を見せた。
｢なんですかこれ〜？｣
｢ダンジョンの間取りと各フロアにある問題だ。ミミックやつぼまじんの位置、スフィンクスの問いかけが書いてある｣
ついでにオレは問題を解いた紙を見せた。
｢合ってるかどうか答え合わせしてみるといい｣
エキドナさんはオレが解いた問題と、ロキが書いた解答をしばらく見比べていた。
｢…おお、合ってます〜。しかも私でもわかる解説つきですね〜｣
｢あいつは結論さえ出ればいいって考えだけど、オレはすぐわかってもどうしてそうなるのかも考えるタイプだからさ」
だからあえてどうなるのか筋道も書いておくわけだ。むしろどうしてそうなるのか気にしないと学者なんてやってられないだろ。
｢…｣
エキドナさんはオレをじーっと見つめてきた。
｢な、何だ？｣
オレが聞くと突然エキドナさんの体が光った。目がくらんでいる間に何かが下半身に巻きついてきた。
｢え、えーとエキドナさん？｣
エキドナさんの下半身が蛇に変わり、肌の色が青白く変わっていた。人化を解いたんだろう。
｢ナギニですよだんな様〜｣
そういえばまだ名前聞いてなかったな。
｢いや、だんな様って…。あのダンジョンを攻略したのは弟のロキだぞ｣
｢それでもいいんです〜。私はあなたが好きですから〜｣
ナギニさんは顔を赤くしながら言った。
｢え、でもロキと会ったことないのに決めていいのか？｣
｢弟さんは関係ありません〜。私はあなたの頭のよさと優しさにほれてしまったんです〜。それに条件にも合ってますしね〜｣
巻きついてる下半身がくねくねと動く。
｢条件って頭がいいやつってことか？｣
｢さすがだんな様です〜。よくわかりましたね〜｣
いや、ダンジョンのしかけとか見たら誰でもわかると思うぞ。やっぱりアホの子なんだな。
｢で、でもまだ会ったばかりだろ｣
｢え〜。こんなに大きくして言っても説得力ありませんよ〜｣
ナギニさんが言う通り意思に反してオレの息子は大きくなっている。節操なさすぎるだろオレの体。
｢ダメ、ですか〜｣
ナギニさんは涙目で見てくる。そんな目で見られたら心が痛む。それになんか心が痛い。…仕方ない。このままだとムリヤリ犯されるだけだろうしな。
｢…エキドナからどんな魔物が生まれるのかを生涯の研究にしてみるのも悪くないか｣
オレの言葉にナギニさんは顔を上げた。
｢オレでよければよろしくナギニさん｣
オレはそう宣言してナギニさんにキスをした。
｢…はい！｣
ナギニさんは顔を赤くしながら笑った。指輪はまるでオレたちを祝福するかのように激しく輝いていた。
オレは服を脱がされて巻きつかれた。ナギニさんは何をするつもりなのかって？そんなの次のエキドナを産むための儀式に決まってるだろ。エキドナからどんな魔物が生まれるかはわからないけど、最初に産むのはエキドナって決まってるんだよ。
｢もしかして照れてるんですか〜｣
ナギニさんが妖艶な笑みを浮かべながら図星をさしてきた。ああそうだよ。適当な言葉でごまかそうとしたよ。こういうのわざわざ説明するの恥ずかしいだろ。
｢うふふふ〜｣
｢くうう｣
ナギニさんはオレの分身に下半身を巻きつかせた。しめつけの上に筋肉がうごめいている感覚はとても気持ちいい。全身が甘美な感覚に包まれる。オレのあそこからは我慢汁がダラダラと出ている。
｢わあ。もう我慢できなくなりました〜？出すならこの中にしてください〜｣
そう言って人間の部分とヘビの部分の境目にある布をとりはらった。そこには大洪水になっている蜜壺があった。
｢それではいただきます〜｣
ナギニさんの下の口がオレの愚息を飲み込んだ。
｢だ、だんな様が入ってきます〜。私たち１つになれたんですね〜｣
ナギニさんは涙目でほほえんだ。あそこからは血が出ていた。
｢…大丈夫か？｣
痛いだろうことはわかってたけど聞かないわけにはいかなかった。
｢い、痛いです〜。で、でもそれより幸せな気持ちが強いです〜｣
ナギニさんはそう言ってほほえんでくれた。ある程度ムリはしてるんだろうな。まあどっちにしても止められる状況じゃない。…下半身巻きつかれて動けないけどな。
｢う、動きますね〜｣
ナギニさんは痛みがおさまったのか腰を振り出した。挿れただけでもすごかったのに腰の動きまで加わったからたまらなかった。
｢あん。中でピクピク動いてます〜」
ナギニさんはそう言って腰の動きを速めた。おだやかそうに見えるわりにエッチだな。まあエキドナは正確に多少の違いはあってもみんな好色らしいからな。この反応は当然なんだろう。
｢だんな様にも動いてもらいましょうか〜｣
ナギニさんが巻きついた下半身を腰に合わせて動かしだした。
｢くっ｣
｢かわいい顔ですね〜。そんなに気持ちいいんですか〜？｣
ナギニさんが抱きついてきた。胸が当たってものすごく気持ちいい。
｢あん。また、また大きくなってます〜。はぁん｣
ナギニさんは腰と下半身を激しく動かした。歯を食いしばらないと射精してしまいそうだ。
｢うっ｣
｢はあ、で、出そうですか〜？わ、私もイきそうです〜｣
ナギニさんの腰と下半身の動きが大きくなる。膣の収縮や、ヘビの部分のしめつけやうねりも大きくなってきた。
｢ぐっ、で、出そうだ｣
｢だ、出していいですよ〜。一緒にイってあげますから〜｣
とどめをさすようにナギニさんの下半身全体が大きく収縮した。
どく、びゅる、びゅるるるるるる。
｢く、うううう！｣
オレはナギニさんの中に自らの欲望を解き放った。
｢はあああああああああああん！｣
ナギニさんも同時にイったようだ。膣が子宮に精子を送りこもうとするかのようにうごめいた。刺激を受けて俺はさらに注ぎ込んだ。
｢い、いっぱい入ってきます〜。これなら赤ちゃんできますね〜｣
ナギニさんはうれしそうに笑った。
｢そ、そうか。それならよかったよ｣
オレたちはしばらく行為の余韻を味わった。
｢なあ。そろそろ離してくれないか？｣
オレがそう言ってもナギニさんは首を振った。
｢いやです〜。ちゃんと孕んだのかわかりませんし、まだ満足してません〜。だんな様に会うのをずっと楽しみにしてましたもの〜｣
ナギニさんは上目づかいですねたように言ってきた。
｢…わかったよ｣
｢わ〜い｣
喜んでいる姿を見たら何も言えなかった。そこまで悪い気はしなかったけどな。
あれからオレたちは空いた時間に子作りにはげんでいる。まだエキドナの生態や、生まれてくる子供の法則とかはよくわからない。でも１つだけ確かなのはオレが妻と娘たちを心の底から愛しているということだ。この出会いはロキに仕組まれたものなのかもしれない。でもこの気持ちは嘘偽りがない真実だ。それだけはロキに感謝してやってもいいかもしれないな。
おわり
｢はあ。どうやらここが最深部みたいだね」
本当にこのダンジョンはめんどくさかったよ。トラップが多かったし、つぼまじんやミミックがかなりいた。しかも王の墓でもないのにスフィンクスまでいる始末だ。今まで名のある冒険者が挑んで帰って来れなかっただけのことはある。どんなに力があってもミミックとかつぼまじんに引っかかったり、スフィンクスの問いかけに答えられなかったりしたら対処できないだろうね。ボクもかなり難易度に見合っただけの宝はあったけどさ。
「一体このダンジョンの主はどんな魔物かなーっと」
ボクはそんなことを考えながら階段を降りた。
階段をおりた先にいたのは下半身が蛇のきれいな女の人だった。体からはかなり大きな魔力が出ているみたいだね。
「…なんでよりによってエキドナなわけ？」
エキドナ。人間に変化できるほどの魔力を持つラミアの上位種だ。色んな魔物を産むから「魔物の母」って呼ばれている。
「うーん。どうしようか」
ボクはコートの中に隠した武器を探りながらつぶやいた。できればあまり戦闘はやりたくない。いまの実力じゃエキドナを殺さずになんとかするのは難しそうだからね。だから逃げたいんだけど見逃してくれるかどうか不安だし
「くー」
そんなことを考えていると寝息が聞こえてきた。
「…寝てるの？」
近づいてみるとよだれをたらして寝ているのがわかった。
「いくらなんでもマイペースすぎるんじゃない？」
とりあえず警戒はしつつ何かないのか確かめる。すると小さな箱が目に入った。
「中には何が入ってるのかな？『透視』」
魔法で覗いて見ると指輪らしき物が入っている。
「『見えざる手』」
魔力で箱を開けて、指輪がよく見える位置まで飛ばしてきた。
「これってもしかして…」
エキドナの姉さんの左手の薬指を確かめると同じ指輪がしてあった。
「意外とよく考えてるのかな？でも詰めが甘すぎじゃない？」
ここまで来るほどの頭をもつ人がこんなのに引っかかるとは思えない。でもどうしようかなこれ。わかってるのに引っかかる気にはなれないし、かと言ってここにたどりつくことができる人がそこまでいるとは思えない。このエキドナのお姉さんが寝てるのは長い間誰も来てなくて油断してるからだろうしね。理想の人が来ないかもしれないっていうあきらめとも言えるかもしれないけどさ。
「あっ、いいこと思いついちゃった」
ボクはエキドナの姉さんが起きないように気をつけながら準備を進めた。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
適当に調べ物をしてると、ドアがノックされた。
「どうぞ」
オレが声をかけると借りている宿屋の娘さんがいた。
「ノルレ先生。郵便が届いてますよ」
そう言って小さな箱と封筒を渡された。
「どうも。誰から？」
「弟のロキくんからみたいですよ」
娘さんはロキの名前を覚えたみたいだ。まあ何度か手紙とか届いてるから覚えるのも当たり前か。
「あいつからか。いつものように好き勝手してるんだろうな」
オレの言葉に娘さんはクスリと笑った。
「仲いいんですね。ロキくんって一体どんな子なんですか？」
別に仲いいわけじゃないんだけど。
「一言で言うとオレとは正反対のやつかね。オレが魔術ならあいつは武器、オレがインドア派ならあいつはアウトドア派、オレが思考型ならあいつは直感型と言った具合だよ。現にオレが魔物の情報を集めて分析して理論を組み上げる学者で、あいつが魔物と実際に関わっていく冒険者だ。まああいつが持ってくる情報はオレの研究の役に立つし、オレの研究があいつの役に立つこともあるけどな」
娘さんは首を傾げた。
「ノルレ先生の研究対象って珍しい魔物とか特殊な魔物ですよね。そんな魔物に会う機会ってあるんですか？」
「あいつが知り合う魔物はたいてい変だよ。オレがこんな分析してたとか言う話の種くらいにはなると思うけど」
娘さんはクスクス笑った。
「そういうものなんですか。それじゃ私はそろそろ仕事に戻りますね」
娘さんは手を振って部屋を出て行った。
封筒の中には適当に安否を気遣かってるぽい手紙と、なんか色んな問題が書いた紙が入っている。問題は空いた時間に解いておくか。そんなことよりこの小さな箱が気になるな。一体何が入ってるんだ？とりあえずついてる手紙を読んでみようか。なになに、『ダンジョンで見つけたんだけどおもしろそうだから送ってみたよ。兄さんなら何かわかるんじゃない？』。
「かなり怪しいな」
今までロキがおもしろそうって言ってろくな目に合った試しがない。でも気になることは気になる。こういう好奇心を失ったら学者として終わりだと思う。まあ少なくとも死ぬような類のものじゃないだろうしな。オレは覚悟を決めて箱を開けた。
「…指輪？」
くわしく調べようと手を触れた瞬間、指輪が左手の薬指にはまっていた。
「は？！」
外そうとしてもびくともしない。調べてみた所外れない呪文と、探知呪文がかけてある。多分もう１つ対となる指輪でもあるんだろう。
「ちっ。ちゃんと調べとけばよかった」
ロキは直感でなにか感じたから直接触らなかったんだろう。普段危険なことはあまりないから油断してたみたいだな。まあ焦ってもしょうがないから適当に調べてみるか。指輪には瞳に赤い宝石をはめられたヘビが象られている。
「これってもしかしてダンジョン最深部にあったんじゃないか？」
つまりもう１つの指輪はダンジョンの主がつけてるってことだろう。さて鬼が出るか蛇が出るか。せめて研究の役に立てばいいとか考えつつオレは調べ物を続けることにした。
それから何日かたった時、部屋の前にかなり強力な魔力を感じた。薬指にはめられた指輪のヘビの目が赤く輝いている。
｢…来たか｣
今さら焦っても仕方ない。とりあえずどう説明するか考えておくか。そんなことを考えていたらドアがノックされた。オレは覚悟を決めてドアを開けた。
｢だんな様〜！｣
オレの腹にいきなり衝撃が走った。とっさに風呪文を唱えて勢いを殺す。
｢やっと会えましたー。ここまでかなり距離あったんですよー｣
飛びついてきたのは髪が緑、瞳が金のきれいな女の人だ。左手の薬指に目が青い宝石でできているヘビが象られている指輪をつけているからロキがあった魔物で間違いないだろう。人に化けられてダンジョンに住んでそうなそうな魔物と言えば…。
｢エキドナ？｣
｢気付いてくれたんですね〜。さすがだんな様です〜」
エキドナさんがさらに密着してきた。なんか色々当たって困る。
｢あー。喜んでる所悪いけどオレはダンジョン攻略者じゃない｣
オレの言葉にエキドナさんは頬をふくらませた。
｢ぶ〜。そんなウソついてもダメですよ〜。地図もありますし、置き手紙にもフィアボルト領のノルレ＝ヴェーデルシュルグって書いてるじゃないですか〜｣
そこまでやっていたのかロキ。お前は一体何がしたいんだ？
｢なんでわざわざ自分の情報を明かしたりするんだよ。それだったら始めから逃げてないだろ｣
オレの言葉にエキドナさんはハッとした顔をする。普通何かおかしいと思うだろ。
｢で、でも指輪つけてますよね？箱もなくなってましたし｣
｢もしそいつが指輪の仕掛けにひっかかってたんならなんで箱ごと持って来るんだ？なくなってたら気付かれるし、空箱を持って帰ってくる意味がどこにある｣
オレの言葉にエキドナさんは絶句した。
｢じゃあなんで指輪をはめてるんですか〜？｣
｢オレの弟のロキが送ってきた。不用意に箱を開けたら引っかかったってわけだ｣
少しかわいそうだけどオレは事実を伝えた。
｢う、ぐすっ｣
エキドナさんが突然顔をうつむけて肩を震わせた。
｢ど、どうした？｣
いや、いきなり泣かれても困るんだけど。一体どうしたんだ。
｢ひっく。だ、だって弟さんがそんなことしたのは私が魅力がなかったり、魔物だからじゃないかって思ったら悲しくなったんです〜｣
ああ。ロキのこと知らないとそういう誤解するのも当然か。
｢そんなことない。あなたはとてもきれいだし、あいつは魔物にそんな偏見を持ってない。親魔物領のベントルージェ領に住んでるくらいだしな｣
ベントルージェ領は別名冒険者の町と呼ばれる親魔物領だ。ちなみにここフィアボルト領も親魔物領で、学者の町って言われてたりする。異名通り本とか資料とかが集まりやすい学者にやさしい町だ。
｢じゃ、じゃあなんで弟さんは私から逃げたんですか〜？｣
｢あいつガキだからわかってて引っかかるのがイヤだったんだろう。けどかと言ってこのまま放っておいたら次にいつ来るのかわからない。だから条件に合うやつに指輪を送って来たんだろう｣
オレの言葉にエキドナさんがきょとんとする。
｢え〜？適当に兄さんに押し付けようとしたってわけじゃないんですか〜？｣
ぐっ。予想はしてたけど実際言われると傷つくな。
｢これを見たらわかる｣
オレはエキドナさんに問題が書いてある紙を見せた。
｢なんですかこれ〜？｣
｢ダンジョンの間取りと各フロアにある問題だ。ミミックやつぼまじんの位置、スフィンクスの問いかけが書いてある｣
ついでにオレは問題を解いた紙を見せた。
｢合ってるかどうか答え合わせしてみるといい｣
エキドナさんはオレが解いた問題と、ロキが書いた解答をしばらく見比べていた。
｢…おお、合ってます〜。しかも私でもわかる解説つきですね〜｣
｢あいつは結論さえ出ればいいって考えだけど、オレはすぐわかってもどうしてそうなるのかも考えるタイプだからさ」
だからあえてどうなるのか筋道も書いておくわけだ。むしろどうしてそうなるのか気にしないと学者なんてやってられないだろ。
｢…｣
エキドナさんはオレをじーっと見つめてきた。
｢な、何だ？｣
オレが聞くと突然エキドナさんの体が光った。目がくらんでいる間に何かが下半身に巻きついてきた。
｢え、えーとエキドナさん？｣
エキドナさんの下半身が蛇に変わり、肌の色が青白く変わっていた。人化を解いたんだろう。
｢ナギニですよだんな様〜｣
そういえばまだ名前聞いてなかったな。
｢いや、だんな様って…。あのダンジョンを攻略したのは弟のロキだぞ｣
｢それでもいいんです〜。私はあなたが好きですから〜｣
ナギニさんは顔を赤くしながら言った。
｢え、でもロキと会ったことないのに決めていいのか？｣
｢弟さんは関係ありません〜。私はあなたの頭のよさと優しさにほれてしまったんです〜。それに条件にも合ってますしね〜｣
巻きついてる下半身がくねくねと動く。
｢条件って頭がいいやつってことか？｣
｢さすがだんな様です〜。よくわかりましたね〜｣
いや、ダンジョンのしかけとか見たら誰でもわかると思うぞ。やっぱりアホの子なんだな。
｢で、でもまだ会ったばかりだろ｣
｢え〜。こんなに大きくして言っても説得力ありませんよ〜｣
ナギニさんが言う通り意思に反してオレの息子は大きくなっている。節操なさすぎるだろオレの体。
｢ダメ、ですか〜｣
ナギニさんは涙目で見てくる。そんな目で見られたら心が痛む。それになんか心が痛い。…仕方ない。このままだとムリヤリ犯されるだけだろうしな。
｢…エキドナからどんな魔物が生まれるのかを生涯の研究にしてみるのも悪くないか｣
オレの言葉にナギニさんは顔を上げた。
｢オレでよければよろしくナギニさん｣
オレはそう宣言してナギニさんにキスをした。
｢…はい！｣
ナギニさんは顔を赤くしながら笑った。指輪はまるでオレたちを祝福するかのように激しく輝いていた。
オレは服を脱がされて巻きつかれた。ナギニさんは何をするつもりなのかって？そんなの次のエキドナを産むための儀式に決まってるだろ。エキドナからどんな魔物が生まれるかはわからないけど、最初に産むのはエキドナって決まってるんだよ。
｢もしかして照れてるんですか〜｣
ナギニさんが妖艶な笑みを浮かべながら図星をさしてきた。ああそうだよ。適当な言葉でごまかそうとしたよ。こういうのわざわざ説明するの恥ずかしいだろ。
｢うふふふ〜｣
｢くうう｣
ナギニさんはオレの分身に下半身を巻きつかせた。しめつけの上に筋肉がうごめいている感覚はとても気持ちいい。全身が甘美な感覚に包まれる。オレのあそこからは我慢汁がダラダラと出ている。
｢わあ。もう我慢できなくなりました〜？出すならこの中にしてください〜｣
そう言って人間の部分とヘビの部分の境目にある布をとりはらった。そこには大洪水になっている蜜壺があった。
｢それではいただきます〜｣
ナギニさんの下の口がオレの愚息を飲み込んだ。
｢だ、だんな様が入ってきます〜。私たち１つになれたんですね〜｣
ナギニさんは涙目でほほえんだ。あそこからは血が出ていた。
｢…大丈夫か？｣
痛いだろうことはわかってたけど聞かないわけにはいかなかった。
｢い、痛いです〜。で、でもそれより幸せな気持ちが強いです〜｣
ナギニさんはそう言ってほほえんでくれた。ある程度ムリはしてるんだろうな。まあどっちにしても止められる状況じゃない。…下半身巻きつかれて動けないけどな。
｢う、動きますね〜｣
ナギニさんは痛みがおさまったのか腰を振り出した。挿れただけでもすごかったのに腰の動きまで加わったからたまらなかった。
｢あん。中でピクピク動いてます〜」
ナギニさんはそう言って腰の動きを速めた。おだやかそうに見えるわりにエッチだな。まあエキドナは正確に多少の違いはあってもみんな好色らしいからな。この反応は当然なんだろう。
｢だんな様にも動いてもらいましょうか〜｣
ナギニさんが巻きついた下半身を腰に合わせて動かしだした。
｢くっ｣
｢かわいい顔ですね〜。そんなに気持ちいいんですか〜？｣
ナギニさんが抱きついてきた。胸が当たってものすごく気持ちいい。
｢あん。また、また大きくなってます〜。はぁん｣
ナギニさんは腰と下半身を激しく動かした。歯を食いしばらないと射精してしまいそうだ。
｢うっ｣
｢はあ、で、出そうですか〜？わ、私もイきそうです〜｣
ナギニさんの腰と下半身の動きが大きくなる。膣の収縮や、ヘビの部分のしめつけやうねりも大きくなってきた。
｢ぐっ、で、出そうだ｣
｢だ、出していいですよ〜。一緒にイってあげますから〜｣
とどめをさすようにナギニさんの下半身全体が大きく収縮した。
どく、びゅる、びゅるるるるるる。
｢く、うううう！｣
オレはナギニさんの中に自らの欲望を解き放った。
｢はあああああああああああん！｣
ナギニさんも同時にイったようだ。膣が子宮に精子を送りこもうとするかのようにうごめいた。刺激を受けて俺はさらに注ぎ込んだ。
｢い、いっぱい入ってきます〜。これなら赤ちゃんできますね〜｣
ナギニさんはうれしそうに笑った。
｢そ、そうか。それならよかったよ｣
オレたちはしばらく行為の余韻を味わった。
｢なあ。そろそろ離してくれないか？｣
オレがそう言ってもナギニさんは首を振った。
｢いやです〜。ちゃんと孕んだのかわかりませんし、まだ満足してません〜。だんな様に会うのをずっと楽しみにしてましたもの〜｣
ナギニさんは上目づかいですねたように言ってきた。
｢…わかったよ｣
｢わ〜い｣
喜んでいる姿を見たら何も言えなかった。そこまで悪い気はしなかったけどな。
あれからオレたちは空いた時間に子作りにはげんでいる。まだエキドナの生態や、生まれてくる子供の法則とかはよくわからない。でも１つだけ確かなのはオレが妻と娘たちを心の底から愛しているということだ。この出会いはロキに仕組まれたものなのかもしれない。でもこの気持ちは嘘偽りがない真実だ。それだけはロキに感謝してやってもいいかもしれないな。
おわり
10/03/17 23:42更新 / グリンデルバルド