表編 獲物の話
「……一体なんだ?」
その男は自分の身に降りかかってきた災難に対して、なんとも言えない声をあげた。
男が伐採のために材木が生えている地点に向かっていく、その道中の出来事であった。道中とはいえ草木が生茂る森林のなかに道など無く、『人間』が歩けそうな草木を掻き分けて進むしかない。当然、足場の悪い箇所で足をとられることもある。不覚にも男は足をとられこそはしたが、だからといって木の枝に宙吊りなるようなことはまず絶対にありえない。
そんなことになるとすれば…
「どこの馬鹿だ。こんな非常識な罠を仕掛けた奴は」
おそらくは狩猟用の罠なのだろう。ただし、『人間』が間違っても罠に掛からないよう目立った目印や配慮などが全く無かったのである。無作為な罠の設置は森で生計を立てる者たちにとって、非常識かつ迷惑な行為にほかならない。
(…ただ、怪我がないのは助かったな)
実際、男はもう何年と森に出入りしている身である。過去にも同じ様な目にあっており(ときに『獲物』の駆除を目的とした罠でひどい怪我を負ったこともあり、身体が資本のこの稼業では大きな痛手だった)、罠に対する心得と警戒心は人一倍持ち合わせていたつもりだ。そんな彼が全く気づけず、きれいに吊り上げられてしまったのだ。ご丁寧に『獲物』が罠に掛かった際、周囲の木々に接触しないように気を遣っていたのだろう。おかげでたいした怪我もしていない。憎たらしい話ではあるがこの罠を設置した『人間』の腕前には感謝した。
「あとは『獲物』が通りそうな場所に仕掛けとけば文句はないけどな」
周囲は男が頻繁に通っていたせいか獣などが通った形跡はなく、餌となりそうな木の実があるわけでもない。こんなところに罠を仕掛けたのは練習のためか、はたまたいたずら目的か…
(もしくは罠の『獲物』が『人間』……だから?)
とっさに感じた嫌な予感を拭うためか、男が腰に差してある解体用の鉈に手を掛けた、刹那―
―ットス
右腕に何かが当たった感触がした。それが最悪の事態のはじまりだと認識したのは、しっかりと握っていたはずの鉈を地面に落とした後のことだ。
(っ!まずいっ!!)
男が自分の右腕を確認すると矢が突き刺さっているではないか。すぐさまその場から抜けだそうと体を大きく揺するが宙吊りの状態ではそれすらままならない。すでに右腕全体の感覚は無く、男の意識も徐々に薄くなりはじめた。せめてこの仕打ちを行った者の姿を目撃すべく、矢の飛んできた方向に目をやると、そこには弓を放り出してその場でしゃがみこんでいる人影が―
「気がついたか?人間」
男は意識を取り戻すなり、不遜な声を浴びせられた。
「あれこれと聞かれる前に先に言っておく。一度しか言わないからよく聞けよ?」
声の主は一度軽く息を吸い、男の返事を待たずに続けた。
「私は誇り高き『エルフ』の一族、名を『シェリル』という。貴様は私に捕獲されここに運び込まれたのだ。」
以上で説明は終わりだ、とばかりに言葉を切られた。男は周囲を見渡し声の主を探そうとするが、腕に刺さった毒矢の影響で意識はいまだぼやけていた。体の感覚もどこか曖昧で身体を起こすのはおろか、首を動かすのもおっくうだった。それでも辺りを確認すると、周囲に壁などは無く枝と葉っぱがドーム状に茂っているだけだ。しばらく観察して男が木の上にいるのだとようやく理解できた。続けて自分の身体を確認すると、男の身体は葉っぱでできた簡素なベッドに横にされており、右腕に刺さっていたはずの矢は外され、その箇所には傷跡も痛みもなかった。
「おい人間!私の話を聞いていなかったのか!?」
不機嫌そうな声のほうへ目をやると、偉そうに足を組んで木の枝に腰かけている『エルフ』がいた。なるほど、確かに教団の方々が言われた通りの特徴がある。
エルフ特有の長く尖った耳、陽の届かない森の奥深くで生活してきたためか絹のように美しく白い肌、不機嫌に眉をひそめていてもわかるほどの端正で綺麗な顔立ち、背丈は自分の首下くらいだろうか………ただ総じて『エルフ』の体型は、草木の生茂る森で生活しやすいよう細身の体型だと言われているが、目の前のエルフは森の中で生活するには不便であろうに、太股や臀部にだらしなく肉が付いている。それ以上に目を惹かれるのは頭大はあろうかという胸部の豊満な膨らみだろう。あまりの質量に服の悲鳴が聞こえてこんばかりで、きちきちになった服により強烈な存在感をだしている。だからといって引っ込むべきところはきちんと引っ込んでおり―
「…どこを見ている、人間」
男の性の視線に気づいたエルフ…もといシェリルはさらに不機嫌な声をあげ、冷えた視線まで投げつけてきた。
「…っ!俺をどうするつもりだ!」
「私の名乗りに応えもせず、開口一番の言葉がそれか。…あまつさえ真っ先に私の身体を見て欲情する始末。やはり『人間』とは下等で野蛮な生き物だな。」
(こいつぅぅ〜!)
確かに男はシェリルを品定めした、が、だからといってここまで辛辣な言葉を受けるいわれはなく、まして拉致されるようなことが許されるはずもない。やはり教団の教えは正しかったのだ。『人間』を見下し、森を自分たちのものだとはばからず、傲慢に振舞う、それこそが『エルフ』の本性なのだと。いつしか、恐怖よりも怒りの感情が大きくなり、ついにはこの傲慢なエルフに文句を言おうと口を開きかけた、そのとき―
「すぅー………ッ!」
一度大きく深呼吸をしたかと思うと、意を決したようにシェリルがいきなり自身の身に着けている物を脱ぎ始めた。
「…!?な、なにしてんだ!」
シェリルは男の声など意に返さずただ淡々と服を脱ぎつづける。どんどん露わになるシェリルの肩、素肌、素足、…一度だけ、ブラ代わりであろう胸に巻かれた布を手にしたときにその動きを止めた、それも束の間。すぐさま脱ぎとり窮屈な布の檻から開放された豊かな乳が大きく揺れ、淫らにその姿をあらわした。残すは恥部を隠す布だけとなったとき、シェリルが自分の豊満な乳房を両腕で隠しながら男を睨みつけてきた。
「い、いったいなんn「黙れ!」
男の声はシェリルの涙交じりの声によって遮られた。顔はもちろんのこと、耳の先まで真っ赤にさせている。
「私は…!私たちエルフは!貴様ら人間が!平気で森に入るのが許せないんだ!」
「っ…ふざけるな!この森は教団が所有している森だぞ!」
シェリルの剣幕に気押されつつも、男は自分たち『人間』の理をぶつけた。男がふだん出入りしている森は、反魔物国家の象徴ともいえる教団が管理している森だ。『人間』にとって危険な獣、魔物に対してもある程度の排除がなされ『人間』の生活のために存在する、そんな森だった。
「下等で!野蛮な!人間が!勝手に決めたことなど!我々エルフには関係ない!!」
(どっちが野蛮なんだ!無茶苦茶だ、けど…)
シェリルは怒声を張りあげたせいで息は荒く、肩で大きく呼吸している、そのたびに、両腕では到底隠しきれない豊かな乳房が艶かしく上下に揺れる。そんな扇情的ともいえる光景を目の前の………『エルフ』が両の瞳に涙を溜めながら作り出しているのだ。そんな情景を前にしては男の理屈など何の意味を成さず、自分に非があると思えてしまう。
「…それでお前が裸になるのに何の意味があるんだ」
「今から貴様を、わ、私が辱める。…そうすれば二度と森に入ろうとは思わないだろうからな!」
「っ!本気で言ってんのか!?」
「…何を期待しているのかは知らんが、貴様ら人間とまぐわうつもりなど毛頭ない。私たち『エルフ』が『人間』に欲情すると本気で思っているのか?」
「なっ…!んん〜!?」
それ以上、男は抗議の声をあげることができなかった。シェリルが男にのしかかりその柔らかい肢体で男の身体を押さえつける、同時に片手で男の鼻をふさぐと無理やり口付けを交わしてきた。激しく口を吸われ、息が続かなくなれば自然と男の口が開く。このときを待ちかまえていたかのようにシェリルの舌が口内に侵入してきた。シェリルの舌は男と同様に嫌がる舌を絡めとり、舐め回し、唾液を吸い、ときに唾液を押しつける。男の意識が朦朧となりかけたとき、ようやくシェリルの長い接吻から開放された。いまだ男の唇とシェリルの唇は一本の透明な糸でつながったままだ。
「ぷっは!無理やり唇を奪われたのに、こ、こちらは正直だな」
男のイチモツはズボン越しにもわかるほどに膨れていた。シェリルがその膨らみを見つけ、その細い手でさすることが造作もないほどに。
「や、やめろ!」
男の静止に構わず両足の間にシェリルは移動し、ズボンを掴み、おろす。勢いよくズボンから飛び出た男の肉棒はすで天に向かって反りたっていた。先端からは次から次へと透明な液体が滲みでてくる。
「〜!」
男は恥ずかしさのあまり、声にならない悲鳴を上げた。次にどんな行為にでるのかと目を瞑って耐えようとする…―が?
しばらく経ってもとくに何かされるわけでもなく、それどころかシェリルが動いている気配すら無い。
恐る恐る目を開けてみると、シェリルが肉棒を前にして俯いていた。心なしか先程よりもさらに耳を赤くさせている。
「お前…」
「か、勘違いするな、よ?私は森を荒らす、き、貴様ら人間を罰するためにして、いる、んだ」
かすかにつぶやいたいたかと思うと、シェリルは再び顔をあげ、肉棒にゆっくりと手を伸ばし、指先で肉棒に触れる。次第に指先で触れるているだけの動きから、指で肉棒の形をなぞるような動きになった。ときおり動く肉棒に驚きつつも、決して指の動きをやめようとはしない。シェリルの顔をうかがうと、指先のものを見ているまなざしは真剣で、好奇心の塊だった、この様子はまるで―
「男の…これを見るのははじめてなのか?」
「………」
無視による無言ではなく、図星をつかれたための沈黙。男がそう確信できたのは、頭の上から湯気がでるのではないかと錯覚するほど真紅に染まったシェリルの顔面と、耳を見たからだ。
「馬鹿なことはやめて、今すぐ俺を解放しろ。そうしたら教団の方には今回のことは黙っておいてやる」
「………」
返事は無い。悩んでいるのか?うまくいけばこのまま開放されるかもしれない。男が再度、交渉しようと口を開こうとした―
―ッギュゥゥゥ♪
唐突に、少しヒンヤリとしたシェリルの手で男の肉棒は強く握られた。この不意打ちの快感に、男の肉棒がひときわ大きくビクンとはねて―
(ぅっ!…ちょっと漏れた…)
男の普段の性生活に相手はおらず、もっぱら自分で処理してきた。シェリルのぎこちない動きでも、初めて他人からもたらされる快感であるために新鮮で強烈なものだった。また、毒矢のせいで下半身に力が入らず踏ん張りがきかないせいもある。我慢できずに漏れだすのものは仕方がないことだった。
シェリルもすぐにその異変に気づいた。強く握りしめたものが大きく跳ねたのを直に感じ、なにより、はじめてみる肉棒をずっと凝視しつづけていたのだ。肉棒の先端から漏れだした白濁に気づけないほうがおかしい。
「こ、これはなんだ?」
「………」
今度は男が黙る番となった。男としてのプライドか、羞恥心からか、あるいは両方か。少しでも早く時間が過ぎてくれるのを願うのみだった。
シェリルは正解を待っているのか、男の顔を黙って見つめてくる。やがて男からの回答を諦め、その視線を肉棒に戻し、顔を肉棒に息がかかるほどに近づける。スンスンと匂いを嗅ぎ、指先で白濁をすくいあげさらに自分の顔の目の前に運んだ。
「こ、これはお前の…こ、子種だな?」
(…はいそうです、なんて言えるか!)
恥ずかしさ半分、怒り半分の捨て台詞を心中で吐く。今、完全に把握した。シェリルに性経験はない。ただ、性に対する知識はある程度あるのだろう。もしこれが男を騙す演技だとしても、これでは『人間』を辱めることなど到底無理だ。教団の方々は『エルフ』は禁欲的であるとも言われ、その点に関してはわれわれ『人間』も見習うべきだと………待てよ?
(その『エルフ』がなぜこんなことを?)
それも、下等な『人間』を相手にしてだ。『人間』を罰するならこんな淫らな行為でなくともいいはずだ。禁欲を尊ぶはずの『エルフ』の教えにも反している。だが、男に浮かんだ疑問が解けるよりも、先にシェリルが動く―
―ッペロ♪
「っな…!?」
あろうことか、シェリルは指についている白濁汁を舌で舐めとったのだ。『エルフ』にとって下等であるはず『人間』の子種を…。男が呆気にとられているとシェリルが言葉を発する。
「…おい人間。人間の、お、雄の子種とはこんな味なのか?」
「こ、こんな味って言ったって」
娼婦でもない人間が、まして男が自分の白濁汁の味など知るよしもない。ただ、その独特な匂いからすると、とても良い味がするとは思えないが。
「いや、いい…私がた、確かめる」
「ぉ、おい!」
シェリルは舌先を男の先端にあてがい、尿道口をほじくるようにチロチロと動かし子種を探す。それもまどろっこしくなったのか、口を大きく開けて男の亀頭をすっぽりと包み込んだ。
「くぅぅぁ」
「じゅ♪じゅるるぅ♪」
租借されている。男がそう錯覚するほど、熱い口腔内で蠢くシェリルの舌によって、弄られ、ほじくり返され、口を窄め吸われる。シェリルは尿道のなかにはまだ子種が残っているはずだと決め付け、両手で男の肉棒を握り締め、根元から先端に向かい、ぎゅっ〜〜〜と搾る音が聞こえてくるほどに、シェリルが強く強く搾り上げる。1回目の子種絞りで子種が出てこなければ、再び両手を肉棒の根元に戻し2回目の子種搾りを開始する、それでもだめならば3回目、4回目…と幾度となくシェリルは繰り返し続ける。それでも搾り出てこないとなると―
「ここで雄の、こ、子種ができて、溜める、はず、なんだ」
もはや男に話しかけているのか、自分に言い聞かせているのかわからない言葉を発したかと思えば、すぐさまその口と舌で男の肉棒を頬張って、右手は肉棒を搾り上げる動作を続け、空けた左手で男の玉袋を掴み、その手の感触で玉袋を熱くたぎらせながら、子種を肉棒に送り出そうと必死にシェリルが揉みはじめる。
「あぐぅぁ…」
とても耐えられるものではなかった、いや耐えることすらできない脱力状態でのこの子種搾り。シェリルのどこまでも執拗で貪欲な責めに、はやくも男の限界が近づいてきた。
「まって、くれ、もう…「じゅっる♪じゅじゅじゅ♪じゅるるるぅ♪」
射精する。そう繋がるであろう男の声を感じて、シェリルはよりいっそう激しく肉棒を吸いとり、搾りあげ、玉袋を揉みしだく。はやく子種を出せと、一段と激しい責めによってそれを示す。最後の一押しとばかりに玉袋を強く鷲掴みにされた、それが男を限界から押し出した。
「うぐああぁっ!」
「っんん!?んん♪じゅるるうぅ♪じゅるるるるうううじゅううううぅぅ♪」
自制もできずに男の欲情の塊をシェリルの喉奥にぶちまける。男が精を放出している間も、シェリルは子種を搾りだす動作を続けた。射精の快楽を増長させるためではなく、シェリル自身が少しでも多くの子種を、一滴も搾り残さず、飲み干すためだけに。結果として、男の射精が長引いた、それだけのことだった。
男の射精はいまだにつづいてた。いまなお、肉棒は激しい律動が収まらず、シェリルに搾られ吸われつづている。シェリルが吸引をやめない限り、射精は終わらないのかと錯覚する。
射精がようやく収まったと思えたのは、シェリルが念入りな子種搾りを終えて、両手で肉棒を掴み、先端部分を舐めまわされているのを射精後の敏感になった感覚で感じ、見たたからである。
その後、恍惚となりながらも男を襲ったのは強烈な虚脱感と、罪悪感である。
(なんてことだ………)
拉致された身とはいえ、教団が忌み嫌うべき存在とされる異種族の『エルフ』に欲情し、欲望をさらけだしたのである。背徳的な行為に対する自責の念に駆られ、男が信仰する主神に懺悔を捧げる、一方で自分でも信じられない量を出したことに呆れつつ、堕落した自分を戒め―
「…!……っ!おい!人間!しっかりしろ!?」
「っぁ!…な、なんだ?」
必死の呼びかけに意識を正すと、男の両肩をゆすりながら、四つ這いで男の顔を心配そうに覗き込んでいるシェリルがいた。ずっと眺めていたい、そう思えるほど美しく、少し朱に染まっているシェリルの顔に男は見惚れた。
シェリルは男の意識が戻ったのが判ると、胸を撫で下ろしながら話す。
「っい、いや、いくら呼びかけても返事がなかったからな…。し、死んだかのかと…」
「…いや、大丈夫だ。………それより心配してくれるなら、俺を開放してくれないか?」
「っえ?」
「もう森には入らない。それなら、俺を辱める必要はなくなる、だろ?」
「っ………」
「もう『エルフ』が無理して、下等な『人間』相手にこんなことする必要がなくなるんだ。悪くない話だろ?教団にもお前のことは言わない。その代わり、お前もこの森から「人間…」
俺の話を遮りシェリルが目を伏せる。どれほどの間、シェリルの次の言葉を待っただろうか。二人の間の時間が止まっていた、そんな気さえする。ようやくシェリルが、重く、ゆっくりと言葉を吐き出した。顔は伏せたままに。
「…人間、非礼を…いや、すまない。まず私に、名を教えてはくれないか?」
「………アレックだ。姓は無い」
「アレック…それがお前の名…か………」
シェリルはアレック、アレックと何度も繰り返し口にし、租借する。間違えないよう正確に覚えるためか。やがて、上半身を勢いよく起こすと、姿勢を正し、右手を握り締め自身の胸に当てる、そしてアレックの瞳を真っ直ぐ見据え、シェリルは言う。
「アレック、どうかこのたびの非礼を詫びさせてくれ。『エルフ』の名誉と誇りにかけ、私にできる償いならなんでもする!」
「…いや、何もそこまで…ぇ!?」
上半身を起こしたことにより、シェリルの豊かな乳房がその全貌をさらけだし、アレックの目を釘付けにする。
「…どうしっ……ふぁっ!?」
言葉を途中で切ったアレックを不審に思ったシェリルが、アレックの視線の先に気づき、思わず両腕で胸を隠し顔を伏せる。二人の間に沈黙が生まれ気まずい空気が流れる。
(やってしまった………馬鹿か俺は)
ようやく話がまとまりかけた、それがこの様である。男である限り仕方のないこと、とはいえ今、この場でその本性を現すのはあまりにも場違いだった。
(次の台詞は、『やはり人間は下等生物だ!』か?それとも、『万年発情期のケダモノが!恥を知れ!』のたぐいか?どちらにしろ最悪だ…)
後悔がアレックを容赦なく襲う。だが、シェリルの次の言葉は男の予想に反しており、なおかつ想定外のものだった。
「アレック。…お、お前は家庭をもつ身か?」
「…それがなんだt「お前に妻がいるのかを聞いている!」
「い、いきなり大声出すな……………妻は、いない」
「なら恋人は?先妻や許嫁はどうなのだ!?」
「…人の女関係に首をd「いいから話せ!」
「……………いません」
「…そ、そうか」
「………」
「………」
場が再び沈黙する。ただし、先程のような重苦しい雰囲気ではない。むしろどこか居心地はよく、気恥ずかしくて、甘い空気が流れているような…
(…って、シェリルにいったい『何』を期待しているんだ?)
アレックは自分の内から沸いた、都合のいい考えを捨てようとした、が、一度意識してしまうと無駄だった。シェリルを『そういう目』でしか見れなくなる。間違いなく、いままで生きてきたなかでシェリルが一番だと。これから先、シェリル以上の存在に出会えることもない。できることなら…願いたくもなる、だがそれは―
(『エルフ』と『人間』は相容れない存在だ。絶対に)
ありえない話だが、仮に、もし二人が『そうなった』としても。種族、寿命、環境、社会…何ひとつとしてその存在を許すものは、決してない。これ以上、二人の間に『おかしなこと』が起こる前にと、アレックは言う。
「もういいだろ。いい加減、俺を「アレック!私は!!」
「シェリル!!」
「…!?」
初めて、アレックがシュリルの名を呼ぶ。困惑するシェリルに構わずアレックは続ける。
「馬鹿なことはやめて、俺を解放するんだ。そのほうがお互いのためだ」
「なっ………!」
「俺の話が聞こえないのか?」
「っ………!」
「シェリル!!」
「………」
・
・
・
「……………『馬鹿なこと?』なんだ、それは?」
「言わせる気か?」
「あぁ、私には何のことか見当もつかないからな」
「…お前っ!」
「それに、私は言ったはずだよな?アレック…」
シェリルがアレックに見せつけるようにゆっくりと立ち上がり、恥部を隠している布の結び目に手をかける、そして―
「お前を辱める、と!」
強く宣言する、と同時に結び目を解き、恥部をあらわにする。ついにシェリルはアレックの前で、生まれたままの姿をさらした。
「おい!」
「光栄に思えよ?アレック。私の処女をお前に捧げるのだからな」
「…っ!シェリル!!」
シェリルはアレックの分身を掴み、毛の生えていない己の秘所にあてがいながら、両膝をつく。亀頭をシェリルの入口にはめると、アレックの胸板に両手を預ける。後は、腰を下ろすのみとなった、その前に、
「アレック……」
「…………」
その名を優しく呼ぶ、が返事はない。それでも、
「返事はいい、ひとつだけ頼まれてくれ………お前とひとつになる、そのときだけは………私を見ていてくれないか?」
「……………それでお前の気が済むのなら、な」
「っ!!ありがとう、アレック……………んぁっ!」
「はぐぅぁ!」
ストンと腰を落とし、ついにシェリルとアレックはひとつになった。
突如としてシェリルに侵入した異物はきつく閉まった肉壁を押し広げ、純潔の膜をただの通過点のように貫通し、最奥を目指して突き進む。瞬時に、肉壁が異物を圧迫し、膣内中のヒダがこの不届きな侵入者を捕らえようと絡み、まとわりつく。その先端には、おりきった子宮自らその口を当てて熱烈なキスで歓迎する。入念に準備されていたかのような結合に、またすぐにでも発射しそうになり、アレックは呻きながらそれを受け入れるしかなかった。
「ぅぐああぁぁぁ!」
隙間から、綺麗な紅が流れる。だが、アレックにそれを気遣う余裕などなく、すぐそこまでやってきている暴発を悶絶しながら耐える。
「ま、まだ動くな、アレック!」
シェリルは両腕をアレックの背中にまわし、アレックの腰ごと股を閉じ、しがみつく。肉棒はさらにきちきちに締まった肉壁で締め付けられ、胸板に押し当てられた、どこまでも潰れるやわらかい乳房の感触と一緒に、アレックの快感と興奮をよりいっそう高める。
「し、刺激、が、っん♪まだ、つよ、っはぁん♪、ぅう♪動くなぁぁ♪」
「んっな?…っぅあ!あああぁぁ」
痛みからでなく、あまりに刺激的な快感に堪えかねての抱擁だったのだ、その事実がアレックの精神をさらに追い詰める。
やがてシェリルはアレックにしがみついたまま、ツルツルの恥丘を擦りつけるように、腰をスリスリとゆっくり前後させはじめる。膣から分泌される愛液をアレックの肉棒に塗りこみながら、少しずつ刺激に慣れようとしていた。結合部からは、シェリルが腰を前後させるたびに、ぬちゃっ、ぬちゃっと粘液質のいやらしい水音が鳴る。
「…んぁ♪…ぁあん♪…はぁん♪ぁん♪っん♪あぁん♪」
シェリルが刺激に慣れてくると、腰をさらに大きく前後にスライドさせ、それに順応すれば腰でリズムを刻むように動き、それでは物足りないとばかりに速く、激しく腰を振りたてた。シェリルがより強い快感を、アレックに与えるために。
アレックの腰の奥くで、くすぐったさが膨張し、射精直前であることを感じて、叫ぶ。
「シェリル!もう、やめ、でr「むちゅる♪」
アレックの唇をシェリルの唇が再び覆う。頬を両手で固定され、目を逸らすこともできない。このままでは…シェリルに種付けをする。その甘美な願望を実現しようと、本能がアレックの腰を思いっきり反らせ、シェリルの最奥に肉棒をねじ込み―
―ドビュュッ♪ドビュュルルルルッウウゥゥゥゥゥ♪
「っああぁぁぁぁ!」
「っんん♪はああああんんんんん♪」
先端から子種をぶちまける。シェリルもそれを感じ、深く腰を落として肉棒を根元から迎い入れる、アレックの子種を一滴もとりこぼますまいと、肉壁を締め付けながら、激しく脈打ち子種をまきちらす先端に子宮口を押し付け、アレックの子種で子宮を満たしていく。
先の射精よりもさらに多くの子種を、アレックの玉袋から留まることなく放出された。子種のいるべき場所はここだとばかりに、アレックの射精は深く、濃く、長くつづいた。
「…っはぁ!っはぁ〜、っはぁ〜、はぁ〜…」
「ア、アレックのぉ♪っぁん♪あ、あちゅいのがぁ♪な、なかにぃ〜♪」
精を放出しきっても元気に脈打つアレックの肉棒を、シェリルは下半身全体で感じながら身を起こす。そして、アレックの子種を受け止めた子宮のあたりを優しくさすろうと―
―ビクン
アレックはシェリルの肉壁が一度、大きく蠢いたのを、繋がったままの肉棒で感じた、直後。
「んはああああああぁぁぁぁ!?」
「シェリル!?…っうぐおおぉぉぉ!?」
アレックはシェリルのなかに生き物がいると思った。そう勘違いするほど、シェリルの肉壁が妖しく蠢き、熱を持ちはじめる。膣内のヒダがより柔らかく、より重厚になって、そのひとつひとつが意思を持つ触手のように、アレックの肉棒に絡みつくと、消化液のように愛液を垂らし、味わい、租借する。シェリルの奥深くのヒダほど、より大きく、より太く変化し、アレックのカリ首を引っ掛ける弁となる。いつしか、肉壁自体が子種を搾りだそうと強く収縮しはじめ、肉棒の先端に子宮口が吸盤のように吸い付いて離さず、先端を子宮に猛烈に吸引された。
「っぅぐぉがあああああぁぁぁぁっ!!!」
「アレックゥ♪アレックゥゥゥ♪♪♪」
尿道に残っている子種はおろか、玉袋の作りかけの子種ですらその場に留まることを許されず、シェリルの膣内によって搾りとられ、子宮に吸われていく。
アレックの血が、体液が、命が精となり、肉棒を通してシェリルに吸われ続けた。その代償はどこまでも苛烈で、なによりも極上な射精だった。いままでにあった、どの射精よりも、長い間、濃い精を、大量に、アレックは放出しつづける―
アレックは曇りのない真っ白な天国を味わい、さまよった。
永遠と続いた極楽浄土から、アレックの意識がゆったりと戻ってくる。
アレックは生涯かけても出せない量を、シェリルの膣内に注ぎ込んだ。長くつづいた射精の勢いは、いまだ尿道に残っているようで、肉棒を焼きゴテのように熱くした。いまだ快楽の余韻が抜けきらない意識のなかでシェリルを探すと、アレックに身体を預け、どこまでも穏やかな寝息をたてて眠る、シェリルがいた。
(相当、無理をしたんだろうな、こいつは…)
アレックは息も絶え絶えにシェリルを気遣う。アレックとひとつになりたい、それだけが、シェリルをここまで突き動かしたのだ。その一途な想いの前に、高潔な『エルフ』の面影はどこにもなく、シェリルを唯一無二の一人の『人間』を愛する『女』に変えたのだ。だからこそ、アレックは誰よりも強くシェリルの幸せを願うために―
(行く、か…ぅぉおおお!!)
シェリルが軽蔑してやまない、下等で、野蛮な『人間』になった、なろうとした。シェリルを起こさないよう、どこまでも優しく横に寝かせる、と、自分の言うことに全く耳を貸さない身体に力をこめ、這いつくばり、立ち上がる。服を直し、ふらつく足で身体を木の外側に寄せる。下を覗き、高さをそこそこに測ると、その身を投げ出す。身体全体で着地し、しばらく痛みと痺れが身体を巡る、が、そんなことなどどうでも良いようにアレックは立ち上がり、その歩を進める。少しでも早く、一歩でも多くこの場を離れるために。
(これでいい…これが、一番、あいつのためだ)
二人が一緒ならば、世界のどこでも、何がおきても、幸せになる、幸せにしてみせる。
二人が一緒ならば…。
『人間』である自分と、『エルフ』であるシェリル。二人が一緒でいられる時間は、一生と一瞬。
片方は愛する者を残し、もう片方は残りの長い時間を生き地獄で過ごす。自分の存在が、シェリルを不幸にするならば…!
(はやく、動け!このっ!…っぅお!!)
悪態をつかれた足が反抗するように、滑らせ、身体が傾く―
―ッシュ
頭上を風が切った。前を見ると樹木に矢が突き刺さっていて………瞬間、アレックは駆けだす。
「アレックウゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!」
アレックは振り返らない。どこまでも『人間』であろうとするために全力で駆ける―
「ここまで、くれば、大丈夫、だ」
アレックは、搾りだすように声を出すと、近くの木に体重を預け、ドカッと腰を下ろす。
「これで、いいんだ、これで」
うわ言のように、アレックが呟き。
「それに、しても、ひどい、目に、あった」
あくまで、どうでも良いことのように語る。
「これで、あいつ、も、懲りた、だろ」
決して、その名を口にせず。
「人間、様を、陥れよう、なんて、馬鹿な、やつだ」
心にも無いことを、わざとらしく言う。
「しばらく、落ち着いたら、帰る、か」
―どこに?
「にしても、ここはどこだ?無茶苦茶に、走ったから、な」
―誰のために?
「あ〜!はやく帰って、横になりてぇ〜」
―本当に望んでいるものはそんなものか?
「………………っ!シェリル!!」
アレックは望んでやまないその名を口にし、来た道を全力で戻りだす。
シェリルを置いて、逃げてきたときよりも速く、急ぐ。
一瞬でも早く会えるように。
「シェリル!!」
シェリルがいるはずの樹上に向かって、アレックが叫ぶ。
返事は無い、返事を待たずにアレックは木に手をかけ、登る。すぐそこにいるはずのシェリルが、無限の先にいるように感じる。それでも、着実に、少しずつ手を伸ばし、木を駆け上がる。そして―
「シェリル!!」
アレックは樹上で、うつ伏せに横たわっているシェリルを目撃する。すぐさま、両腕で抱き起こし、呼びかける。
「シェリル!っおい!シェリル!返事をしろぉ!!」
シェリルの身体は、氷のように冷え切っており、白い肌が不自然にその白さを増していた。顔には、涙の後が深い傷跡のように残っており、アレックは今さらながらに、自身が行ったシェリルに対する仕打ちを痛感した。
(もし、このまま目が覚めなければ…!)
最悪な未来を否定するために、アレックは声を張る。
「シェリル!シェ……ッ!ぅっ!かふぉっ!っげほ、がほぉ、げふぉ!!」
喉が張り裂ける、激痛がアレックを襲った。アレックの無茶に身体から、赤い血の警告をその口から出される。それでも、アレックは呼ぶ、呼ばずにはいられない。目を閉じて激痛に耐え、左手で喉を支えてアレックは再び声にする、愛する者の名を。
「ジェリィ…ル…!ジェ…!……っ!」
名を呼ぶことすらかなわないのか…。自分の不甲斐なさに怒り、呆れ、悲しむ。静寂な森が、自分がいかに無力で孤独であること冷たく知らせる。残酷な現実が迫るのを、アレックスが感じ―
―ピトッ
冷たい感触が頬に触れる。だが、アレックがいま、一番欲している感触だった。アレックは目を開けて、瞳にその名を映し、呼ぶ。
「シェリル!!」
「…ア、アレック?…ほ、ほんとうに、アレックなの、…か?」
シェリルがその存在を確かめるように、アレックの顔を見て、指先でなぞり確かめる、夢や幻ではなく、現実であることを。
「シェリル!俺だ、アレックだ!さっきは、す、まなかっ…!っぐぼぉ」
「ア、アレック!?ひ、ひどい声じゃないか!…っま、まってろ!」
シェリルの白くて華奢な手が、アレックの喉元に当てられる。それだけでアレックの胸の内が熱くなるのを実感した。しばらくして、シェリルの手が淡く、宝石のような緑色に輝きはじめると、アレックの喉から痛みが引いていく。
「んぁっ、っありがとう、シェリル。だいぶ楽になっt「アレック!!」
シェリルにがっしりと抱きつかれる。アレックもさらに力強い抱擁でそれに応える。
「ぅたし、わたしを置いて、いくな!馬鹿ぁ!!」
「ごめん、シェリル」
「ひ、ひとり、で!っだけ、どれだけ!ふぁう、不安だったと!」
「わかってる」
「よ、よくも!っわ、わたしを!っなか、泣かせてくれたな!」
「あぁ、最低な奴だ」
「っぜぃ、絶対、ゆっ、許さない、からな!」
「当然だ」
「いっ、一生、許さない、からな!」
「覚悟してる」
「…っんぅ!アレックゥ!アレックウゥゥ!」
「ごめん、シェリル。本当にごめん」
シェリルは泣きじゃくりながら、何度も愛しい名を呼び、アレックも愛しい者をしっかりと抱きしめながら許しを乞うた。お互いの存在を確かに感じながら―
アレックスはシェリルの嗚咽がおさまるのを待って、シェリルの瞳を逸らさずに見つめ、宣言する。
「シェリル。俺とずっと一緒にいてくれないか?俺がシェリルを絶対に幸せにする。二度とシェリルを泣かせたりはしない」
「…その言葉に、嘘偽りは無いな?アレック」
「…俺が生きている限り、で、シェリルが良ければ」
「………ならば、その誓いを私に示してもらおうか」
「………」
「………」
―ンッ
〜・〜・〜 Epilogue 〜・〜・〜
ある強力な淫魔によって魔界へと堕ちた教国があった。その教国がかつて管理していた森に存在する集落に、アレックとシェリルは放浪の末、腰を落ち着けることができた。その集落は、シェリルと同じエルフを主とした森で生きる者達の集落だった。そこに集った理由は様々だが、森を愛し、森の中で生きることを選んだ、そんな共通の目的でできた集落だった。
ただし、シェリルが驚いたことは、かつて自分が住んでいた他種族に対してどこまでも排他的であった故郷と違い、エルフ以外の魔物を妻として迎えた夫も集落で暮しており、また、別の森に住む他の魔物とも親交があった。さらには、エルフにとって異世界のはずの森の外にある街とも、街に住むエルフを通じて交流や交易が盛んに行われていたことだった。おかげで、アレックは森の中で生活しながらも、人間の集落で暮してきたときのように生活することができた。そんなアレックのある朝の出来事―
「じゅ♥じゅるろ♥じゅじゅるるる♥じゅぽ♥」
ワーシープの毛で作られたベッドの上で、アレックは己の股間から鳴響く卑猥な音と、どこかくすぐったくてムズムズとした気持ちのよさで目が覚める。まだ少し寝ぼけている視界で、両足に跨って朝の口腔奉仕をしているシェリルを見る。シェリルがそれに気づき、アレックに朝の挨拶をする、肉棒への奉仕はしたまま。
「ふぉふぁほう♥ふぁへっふぅ♥」
「おはよう、シェリル。それとひとついいか?シェリル」
「ふぁい?」
「挨拶がしたいのか、咥えたいのか、はっきりさせてくれないか?」
「…っ♥じゅる♥じゅるるるううぅぅぅ♥」
「っおい!シェリ「じゅろ♥じゅるるぅ♥じゅぼ♥じゅるぅぅ♥」
朝の奉仕が選ばれた。かなり早い段階で。
アレックのインキュバス化した長大で剛直な朝立ちの肉棒を両手で掴み、苦もなくシェリルは喉奥まで咥えて奉仕を続ける。アレックが起きるかなり前から奉仕をしていたのか、肉棒だけでなく股間の周りまでシェリルの唾液でべとべとになっており、アレックの限界もすぐに訪れた。
「…ぅっ!シェリル!っもう、っだすぞ!」
「っんん♥じゅぼ♥っじゅぽ♥じゅぽ♥じゅぽぉ♥」
アレックの自白に、シェリルが激しい口唇ピストンで返す。
アレックは両手でシェリルの頭を掴み、シェリルの喉奥に己の肉棒を深く突きいれ、朝一の作りたての特濃の子種をシェリルにぶちまけた。
「うぐおおぉぉぉ!」
「っんん♥じゅるぅ♥ごぐぅ♥ごぎゅ♥ごぎゅん♥ごぐぅじゅ♥」
アレックは大量の子種が一勢に放出した、が、シェリルは胃袋へ直接子種を流し込むように肉棒を飲み込みつづけ、アレックの射精をより促すように玉袋を優しくさする。
1分以上は続いている長い射精で、徐々に子種の勢いが弱くなると、シェリルは飲み込むことをやめ、浅く、亀頭を口で覆う。子種を口の中に頬張りはじめ、舌で亀頭ごと舐めてすくいだす。丁寧に舐めとり柔らかい唇を亀頭から、ちゅぽぉん、と離して、身体を起こす。
アレックに見せつけるように、よく味わい、舐めまわし、租借し、濃くて大きな塊になっている子種をプチプチと気持ち良さそうに噛み、飲み込む。やがて、空っぽになった口内を見せるように口を開け、舌をだし、指を唇に当てて言う。
「ご馳走様♥アレック♥美味しかったぞ♥」
「っあぁー……それはなにより、だ」
「やはり、アレックが起きてて出す子種のほうが、味も、量も、鮮度も違うな♥」
「……もしかして、今、俺がだしたのは…」
「ん?…あぁ、すまない、アレック。味見だけのつもりだったが、アレックの寝顔を見てたら我慢できなかったからな♥2回ほど先に飲ませてもらったぞ♥」
「そ、そうか…」
「っもちろん♥寝てる間に頂戴した子種も美味しかったぞ♥」
「お、おう」
「ぅうん♥」
(ほんとうにこれが、あの『エルフ』だったのが信じられないな)
教団の連中が言っていた『エルフ』の面影はすでになく、一匹の雌となりさがったシェリルと毎日、昼夜を問わずに犯し、犯され、交わり続けてきた。
当初、アレックはいつかやって来るであろうその時を恐れていたが、シェリルが魔物となった他のエルフから『「やりまくって夫がインキュバスにすれば寿命は延びるわよぉ〜ん♪ついでにあそこも大きくなr「ありがとう!ちょっとアレックで犯ってくるぅ!!」「頑張ってねぇ〜ん♪」』なんてやりとりが、あったとかなかったとか…。
最初は魔物化したシェリルに為すすべもなく犯られる日々だったが、インキュバス化したことで体力・精力が増大し、一転、アレックがベッドの上で毎度のようにシェリルを泣かせることとなった。
(シェリルを泣かさない、と約束はしたが…、エロい事で泣かれることまでは知らん)
「おい!アレック!聞いているのか!アレック!?」
「っんぁ…!?すまん。少し考え事をしてた…」
「全く、私を前にして無視するとは見下げた夫だな」
「本当に、申し訳、なかった、と、思って、おります、シェリル殿」
「喧嘩を売られていると思っていいよな?………まぁいい。それより、私を見て何か思うことはないのか?」
先程から、ずっと顔と耳を真っ赤にし、瞳を潤ませて睨みつけるシェリルがいた。
シェリルは裸になっているようで、前面の首から太股までを桃色のエプロンで隠しているだけだった。側面には、ひらひらとしたフリルが可愛らしくついている。恥ずかしさに耐え、アレックの次の言葉を期待して待つ。時折、真っ赤になったシェリルの耳がピコピコと動く。
正直、かなり可愛いのでずっと見ていたい、と思ったが、アレックは言う。
「なんのことやら?」
「ふざけるなぁっ!」
「わかってるよ、シェリル。でもなぁ…」
「っひゃ!待て!アレック!っそこは!」
アレックはシェリルに構わず、エプロンの下側をぺろりとめくる、と。
「『裸エプロン』のつもりなら…下着はだめだよな?なぁ〜?シェリル?」
「ぅるっ!ぅうるさい!これでも、頑張ったんだぞぉ!」
「はいはい」
「馬鹿にするな!見てろ!今日は!今日こそは!私がアレックを滅茶苦茶にしてやるからな!!」
そう宣言すると、シェリルはアレックの上に跨り、下着をずらして挿入しようとする。その前に、
「シェリル」「アレック」
二人が同時に、互いの名を呼ぶ。一拍あけて、二人は同時に噴き出す。
しばらく、ともに笑って、それが止まると、アレックはシェリルを見つめて、シェリルもアレックを見つめ返す。
「愛してる、シェリル」
「私もだ、アレック」
今日も、今日とて、樹上の家からは一組の夫婦の、男女の、雄と雌の交わりの艶声が漏れる。この日々が、少しでも長く、いつまでも、永遠に続くのを願って。
その男は自分の身に降りかかってきた災難に対して、なんとも言えない声をあげた。
男が伐採のために材木が生えている地点に向かっていく、その道中の出来事であった。道中とはいえ草木が生茂る森林のなかに道など無く、『人間』が歩けそうな草木を掻き分けて進むしかない。当然、足場の悪い箇所で足をとられることもある。不覚にも男は足をとられこそはしたが、だからといって木の枝に宙吊りなるようなことはまず絶対にありえない。
そんなことになるとすれば…
「どこの馬鹿だ。こんな非常識な罠を仕掛けた奴は」
おそらくは狩猟用の罠なのだろう。ただし、『人間』が間違っても罠に掛からないよう目立った目印や配慮などが全く無かったのである。無作為な罠の設置は森で生計を立てる者たちにとって、非常識かつ迷惑な行為にほかならない。
(…ただ、怪我がないのは助かったな)
実際、男はもう何年と森に出入りしている身である。過去にも同じ様な目にあっており(ときに『獲物』の駆除を目的とした罠でひどい怪我を負ったこともあり、身体が資本のこの稼業では大きな痛手だった)、罠に対する心得と警戒心は人一倍持ち合わせていたつもりだ。そんな彼が全く気づけず、きれいに吊り上げられてしまったのだ。ご丁寧に『獲物』が罠に掛かった際、周囲の木々に接触しないように気を遣っていたのだろう。おかげでたいした怪我もしていない。憎たらしい話ではあるがこの罠を設置した『人間』の腕前には感謝した。
「あとは『獲物』が通りそうな場所に仕掛けとけば文句はないけどな」
周囲は男が頻繁に通っていたせいか獣などが通った形跡はなく、餌となりそうな木の実があるわけでもない。こんなところに罠を仕掛けたのは練習のためか、はたまたいたずら目的か…
(もしくは罠の『獲物』が『人間』……だから?)
とっさに感じた嫌な予感を拭うためか、男が腰に差してある解体用の鉈に手を掛けた、刹那―
―ットス
右腕に何かが当たった感触がした。それが最悪の事態のはじまりだと認識したのは、しっかりと握っていたはずの鉈を地面に落とした後のことだ。
(っ!まずいっ!!)
男が自分の右腕を確認すると矢が突き刺さっているではないか。すぐさまその場から抜けだそうと体を大きく揺するが宙吊りの状態ではそれすらままならない。すでに右腕全体の感覚は無く、男の意識も徐々に薄くなりはじめた。せめてこの仕打ちを行った者の姿を目撃すべく、矢の飛んできた方向に目をやると、そこには弓を放り出してその場でしゃがみこんでいる人影が―
「気がついたか?人間」
男は意識を取り戻すなり、不遜な声を浴びせられた。
「あれこれと聞かれる前に先に言っておく。一度しか言わないからよく聞けよ?」
声の主は一度軽く息を吸い、男の返事を待たずに続けた。
「私は誇り高き『エルフ』の一族、名を『シェリル』という。貴様は私に捕獲されここに運び込まれたのだ。」
以上で説明は終わりだ、とばかりに言葉を切られた。男は周囲を見渡し声の主を探そうとするが、腕に刺さった毒矢の影響で意識はいまだぼやけていた。体の感覚もどこか曖昧で身体を起こすのはおろか、首を動かすのもおっくうだった。それでも辺りを確認すると、周囲に壁などは無く枝と葉っぱがドーム状に茂っているだけだ。しばらく観察して男が木の上にいるのだとようやく理解できた。続けて自分の身体を確認すると、男の身体は葉っぱでできた簡素なベッドに横にされており、右腕に刺さっていたはずの矢は外され、その箇所には傷跡も痛みもなかった。
「おい人間!私の話を聞いていなかったのか!?」
不機嫌そうな声のほうへ目をやると、偉そうに足を組んで木の枝に腰かけている『エルフ』がいた。なるほど、確かに教団の方々が言われた通りの特徴がある。
エルフ特有の長く尖った耳、陽の届かない森の奥深くで生活してきたためか絹のように美しく白い肌、不機嫌に眉をひそめていてもわかるほどの端正で綺麗な顔立ち、背丈は自分の首下くらいだろうか………ただ総じて『エルフ』の体型は、草木の生茂る森で生活しやすいよう細身の体型だと言われているが、目の前のエルフは森の中で生活するには不便であろうに、太股や臀部にだらしなく肉が付いている。それ以上に目を惹かれるのは頭大はあろうかという胸部の豊満な膨らみだろう。あまりの質量に服の悲鳴が聞こえてこんばかりで、きちきちになった服により強烈な存在感をだしている。だからといって引っ込むべきところはきちんと引っ込んでおり―
「…どこを見ている、人間」
男の性の視線に気づいたエルフ…もといシェリルはさらに不機嫌な声をあげ、冷えた視線まで投げつけてきた。
「…っ!俺をどうするつもりだ!」
「私の名乗りに応えもせず、開口一番の言葉がそれか。…あまつさえ真っ先に私の身体を見て欲情する始末。やはり『人間』とは下等で野蛮な生き物だな。」
(こいつぅぅ〜!)
確かに男はシェリルを品定めした、が、だからといってここまで辛辣な言葉を受けるいわれはなく、まして拉致されるようなことが許されるはずもない。やはり教団の教えは正しかったのだ。『人間』を見下し、森を自分たちのものだとはばからず、傲慢に振舞う、それこそが『エルフ』の本性なのだと。いつしか、恐怖よりも怒りの感情が大きくなり、ついにはこの傲慢なエルフに文句を言おうと口を開きかけた、そのとき―
「すぅー………ッ!」
一度大きく深呼吸をしたかと思うと、意を決したようにシェリルがいきなり自身の身に着けている物を脱ぎ始めた。
「…!?な、なにしてんだ!」
シェリルは男の声など意に返さずただ淡々と服を脱ぎつづける。どんどん露わになるシェリルの肩、素肌、素足、…一度だけ、ブラ代わりであろう胸に巻かれた布を手にしたときにその動きを止めた、それも束の間。すぐさま脱ぎとり窮屈な布の檻から開放された豊かな乳が大きく揺れ、淫らにその姿をあらわした。残すは恥部を隠す布だけとなったとき、シェリルが自分の豊満な乳房を両腕で隠しながら男を睨みつけてきた。
「い、いったいなんn「黙れ!」
男の声はシェリルの涙交じりの声によって遮られた。顔はもちろんのこと、耳の先まで真っ赤にさせている。
「私は…!私たちエルフは!貴様ら人間が!平気で森に入るのが許せないんだ!」
「っ…ふざけるな!この森は教団が所有している森だぞ!」
シェリルの剣幕に気押されつつも、男は自分たち『人間』の理をぶつけた。男がふだん出入りしている森は、反魔物国家の象徴ともいえる教団が管理している森だ。『人間』にとって危険な獣、魔物に対してもある程度の排除がなされ『人間』の生活のために存在する、そんな森だった。
「下等で!野蛮な!人間が!勝手に決めたことなど!我々エルフには関係ない!!」
(どっちが野蛮なんだ!無茶苦茶だ、けど…)
シェリルは怒声を張りあげたせいで息は荒く、肩で大きく呼吸している、そのたびに、両腕では到底隠しきれない豊かな乳房が艶かしく上下に揺れる。そんな扇情的ともいえる光景を目の前の………『エルフ』が両の瞳に涙を溜めながら作り出しているのだ。そんな情景を前にしては男の理屈など何の意味を成さず、自分に非があると思えてしまう。
「…それでお前が裸になるのに何の意味があるんだ」
「今から貴様を、わ、私が辱める。…そうすれば二度と森に入ろうとは思わないだろうからな!」
「っ!本気で言ってんのか!?」
「…何を期待しているのかは知らんが、貴様ら人間とまぐわうつもりなど毛頭ない。私たち『エルフ』が『人間』に欲情すると本気で思っているのか?」
「なっ…!んん〜!?」
それ以上、男は抗議の声をあげることができなかった。シェリルが男にのしかかりその柔らかい肢体で男の身体を押さえつける、同時に片手で男の鼻をふさぐと無理やり口付けを交わしてきた。激しく口を吸われ、息が続かなくなれば自然と男の口が開く。このときを待ちかまえていたかのようにシェリルの舌が口内に侵入してきた。シェリルの舌は男と同様に嫌がる舌を絡めとり、舐め回し、唾液を吸い、ときに唾液を押しつける。男の意識が朦朧となりかけたとき、ようやくシェリルの長い接吻から開放された。いまだ男の唇とシェリルの唇は一本の透明な糸でつながったままだ。
「ぷっは!無理やり唇を奪われたのに、こ、こちらは正直だな」
男のイチモツはズボン越しにもわかるほどに膨れていた。シェリルがその膨らみを見つけ、その細い手でさすることが造作もないほどに。
「や、やめろ!」
男の静止に構わず両足の間にシェリルは移動し、ズボンを掴み、おろす。勢いよくズボンから飛び出た男の肉棒はすで天に向かって反りたっていた。先端からは次から次へと透明な液体が滲みでてくる。
「〜!」
男は恥ずかしさのあまり、声にならない悲鳴を上げた。次にどんな行為にでるのかと目を瞑って耐えようとする…―が?
しばらく経ってもとくに何かされるわけでもなく、それどころかシェリルが動いている気配すら無い。
恐る恐る目を開けてみると、シェリルが肉棒を前にして俯いていた。心なしか先程よりもさらに耳を赤くさせている。
「お前…」
「か、勘違いするな、よ?私は森を荒らす、き、貴様ら人間を罰するためにして、いる、んだ」
かすかにつぶやいたいたかと思うと、シェリルは再び顔をあげ、肉棒にゆっくりと手を伸ばし、指先で肉棒に触れる。次第に指先で触れるているだけの動きから、指で肉棒の形をなぞるような動きになった。ときおり動く肉棒に驚きつつも、決して指の動きをやめようとはしない。シェリルの顔をうかがうと、指先のものを見ているまなざしは真剣で、好奇心の塊だった、この様子はまるで―
「男の…これを見るのははじめてなのか?」
「………」
無視による無言ではなく、図星をつかれたための沈黙。男がそう確信できたのは、頭の上から湯気がでるのではないかと錯覚するほど真紅に染まったシェリルの顔面と、耳を見たからだ。
「馬鹿なことはやめて、今すぐ俺を解放しろ。そうしたら教団の方には今回のことは黙っておいてやる」
「………」
返事は無い。悩んでいるのか?うまくいけばこのまま開放されるかもしれない。男が再度、交渉しようと口を開こうとした―
―ッギュゥゥゥ♪
唐突に、少しヒンヤリとしたシェリルの手で男の肉棒は強く握られた。この不意打ちの快感に、男の肉棒がひときわ大きくビクンとはねて―
(ぅっ!…ちょっと漏れた…)
男の普段の性生活に相手はおらず、もっぱら自分で処理してきた。シェリルのぎこちない動きでも、初めて他人からもたらされる快感であるために新鮮で強烈なものだった。また、毒矢のせいで下半身に力が入らず踏ん張りがきかないせいもある。我慢できずに漏れだすのものは仕方がないことだった。
シェリルもすぐにその異変に気づいた。強く握りしめたものが大きく跳ねたのを直に感じ、なにより、はじめてみる肉棒をずっと凝視しつづけていたのだ。肉棒の先端から漏れだした白濁に気づけないほうがおかしい。
「こ、これはなんだ?」
「………」
今度は男が黙る番となった。男としてのプライドか、羞恥心からか、あるいは両方か。少しでも早く時間が過ぎてくれるのを願うのみだった。
シェリルは正解を待っているのか、男の顔を黙って見つめてくる。やがて男からの回答を諦め、その視線を肉棒に戻し、顔を肉棒に息がかかるほどに近づける。スンスンと匂いを嗅ぎ、指先で白濁をすくいあげさらに自分の顔の目の前に運んだ。
「こ、これはお前の…こ、子種だな?」
(…はいそうです、なんて言えるか!)
恥ずかしさ半分、怒り半分の捨て台詞を心中で吐く。今、完全に把握した。シェリルに性経験はない。ただ、性に対する知識はある程度あるのだろう。もしこれが男を騙す演技だとしても、これでは『人間』を辱めることなど到底無理だ。教団の方々は『エルフ』は禁欲的であるとも言われ、その点に関してはわれわれ『人間』も見習うべきだと………待てよ?
(その『エルフ』がなぜこんなことを?)
それも、下等な『人間』を相手にしてだ。『人間』を罰するならこんな淫らな行為でなくともいいはずだ。禁欲を尊ぶはずの『エルフ』の教えにも反している。だが、男に浮かんだ疑問が解けるよりも、先にシェリルが動く―
―ッペロ♪
「っな…!?」
あろうことか、シェリルは指についている白濁汁を舌で舐めとったのだ。『エルフ』にとって下等であるはず『人間』の子種を…。男が呆気にとられているとシェリルが言葉を発する。
「…おい人間。人間の、お、雄の子種とはこんな味なのか?」
「こ、こんな味って言ったって」
娼婦でもない人間が、まして男が自分の白濁汁の味など知るよしもない。ただ、その独特な匂いからすると、とても良い味がするとは思えないが。
「いや、いい…私がた、確かめる」
「ぉ、おい!」
シェリルは舌先を男の先端にあてがい、尿道口をほじくるようにチロチロと動かし子種を探す。それもまどろっこしくなったのか、口を大きく開けて男の亀頭をすっぽりと包み込んだ。
「くぅぅぁ」
「じゅ♪じゅるるぅ♪」
租借されている。男がそう錯覚するほど、熱い口腔内で蠢くシェリルの舌によって、弄られ、ほじくり返され、口を窄め吸われる。シェリルは尿道のなかにはまだ子種が残っているはずだと決め付け、両手で男の肉棒を握り締め、根元から先端に向かい、ぎゅっ〜〜〜と搾る音が聞こえてくるほどに、シェリルが強く強く搾り上げる。1回目の子種絞りで子種が出てこなければ、再び両手を肉棒の根元に戻し2回目の子種搾りを開始する、それでもだめならば3回目、4回目…と幾度となくシェリルは繰り返し続ける。それでも搾り出てこないとなると―
「ここで雄の、こ、子種ができて、溜める、はず、なんだ」
もはや男に話しかけているのか、自分に言い聞かせているのかわからない言葉を発したかと思えば、すぐさまその口と舌で男の肉棒を頬張って、右手は肉棒を搾り上げる動作を続け、空けた左手で男の玉袋を掴み、その手の感触で玉袋を熱くたぎらせながら、子種を肉棒に送り出そうと必死にシェリルが揉みはじめる。
「あぐぅぁ…」
とても耐えられるものではなかった、いや耐えることすらできない脱力状態でのこの子種搾り。シェリルのどこまでも執拗で貪欲な責めに、はやくも男の限界が近づいてきた。
「まって、くれ、もう…「じゅっる♪じゅじゅじゅ♪じゅるるるぅ♪」
射精する。そう繋がるであろう男の声を感じて、シェリルはよりいっそう激しく肉棒を吸いとり、搾りあげ、玉袋を揉みしだく。はやく子種を出せと、一段と激しい責めによってそれを示す。最後の一押しとばかりに玉袋を強く鷲掴みにされた、それが男を限界から押し出した。
「うぐああぁっ!」
「っんん!?んん♪じゅるるうぅ♪じゅるるるるうううじゅううううぅぅ♪」
自制もできずに男の欲情の塊をシェリルの喉奥にぶちまける。男が精を放出している間も、シェリルは子種を搾りだす動作を続けた。射精の快楽を増長させるためではなく、シェリル自身が少しでも多くの子種を、一滴も搾り残さず、飲み干すためだけに。結果として、男の射精が長引いた、それだけのことだった。
男の射精はいまだにつづいてた。いまなお、肉棒は激しい律動が収まらず、シェリルに搾られ吸われつづている。シェリルが吸引をやめない限り、射精は終わらないのかと錯覚する。
射精がようやく収まったと思えたのは、シェリルが念入りな子種搾りを終えて、両手で肉棒を掴み、先端部分を舐めまわされているのを射精後の敏感になった感覚で感じ、見たたからである。
その後、恍惚となりながらも男を襲ったのは強烈な虚脱感と、罪悪感である。
(なんてことだ………)
拉致された身とはいえ、教団が忌み嫌うべき存在とされる異種族の『エルフ』に欲情し、欲望をさらけだしたのである。背徳的な行為に対する自責の念に駆られ、男が信仰する主神に懺悔を捧げる、一方で自分でも信じられない量を出したことに呆れつつ、堕落した自分を戒め―
「…!……っ!おい!人間!しっかりしろ!?」
「っぁ!…な、なんだ?」
必死の呼びかけに意識を正すと、男の両肩をゆすりながら、四つ這いで男の顔を心配そうに覗き込んでいるシェリルがいた。ずっと眺めていたい、そう思えるほど美しく、少し朱に染まっているシェリルの顔に男は見惚れた。
シェリルは男の意識が戻ったのが判ると、胸を撫で下ろしながら話す。
「っい、いや、いくら呼びかけても返事がなかったからな…。し、死んだかのかと…」
「…いや、大丈夫だ。………それより心配してくれるなら、俺を開放してくれないか?」
「っえ?」
「もう森には入らない。それなら、俺を辱める必要はなくなる、だろ?」
「っ………」
「もう『エルフ』が無理して、下等な『人間』相手にこんなことする必要がなくなるんだ。悪くない話だろ?教団にもお前のことは言わない。その代わり、お前もこの森から「人間…」
俺の話を遮りシェリルが目を伏せる。どれほどの間、シェリルの次の言葉を待っただろうか。二人の間の時間が止まっていた、そんな気さえする。ようやくシェリルが、重く、ゆっくりと言葉を吐き出した。顔は伏せたままに。
「…人間、非礼を…いや、すまない。まず私に、名を教えてはくれないか?」
「………アレックだ。姓は無い」
「アレック…それがお前の名…か………」
シェリルはアレック、アレックと何度も繰り返し口にし、租借する。間違えないよう正確に覚えるためか。やがて、上半身を勢いよく起こすと、姿勢を正し、右手を握り締め自身の胸に当てる、そしてアレックの瞳を真っ直ぐ見据え、シェリルは言う。
「アレック、どうかこのたびの非礼を詫びさせてくれ。『エルフ』の名誉と誇りにかけ、私にできる償いならなんでもする!」
「…いや、何もそこまで…ぇ!?」
上半身を起こしたことにより、シェリルの豊かな乳房がその全貌をさらけだし、アレックの目を釘付けにする。
「…どうしっ……ふぁっ!?」
言葉を途中で切ったアレックを不審に思ったシェリルが、アレックの視線の先に気づき、思わず両腕で胸を隠し顔を伏せる。二人の間に沈黙が生まれ気まずい空気が流れる。
(やってしまった………馬鹿か俺は)
ようやく話がまとまりかけた、それがこの様である。男である限り仕方のないこと、とはいえ今、この場でその本性を現すのはあまりにも場違いだった。
(次の台詞は、『やはり人間は下等生物だ!』か?それとも、『万年発情期のケダモノが!恥を知れ!』のたぐいか?どちらにしろ最悪だ…)
後悔がアレックを容赦なく襲う。だが、シェリルの次の言葉は男の予想に反しており、なおかつ想定外のものだった。
「アレック。…お、お前は家庭をもつ身か?」
「…それがなんだt「お前に妻がいるのかを聞いている!」
「い、いきなり大声出すな……………妻は、いない」
「なら恋人は?先妻や許嫁はどうなのだ!?」
「…人の女関係に首をd「いいから話せ!」
「……………いません」
「…そ、そうか」
「………」
「………」
場が再び沈黙する。ただし、先程のような重苦しい雰囲気ではない。むしろどこか居心地はよく、気恥ずかしくて、甘い空気が流れているような…
(…って、シェリルにいったい『何』を期待しているんだ?)
アレックは自分の内から沸いた、都合のいい考えを捨てようとした、が、一度意識してしまうと無駄だった。シェリルを『そういう目』でしか見れなくなる。間違いなく、いままで生きてきたなかでシェリルが一番だと。これから先、シェリル以上の存在に出会えることもない。できることなら…願いたくもなる、だがそれは―
(『エルフ』と『人間』は相容れない存在だ。絶対に)
ありえない話だが、仮に、もし二人が『そうなった』としても。種族、寿命、環境、社会…何ひとつとしてその存在を許すものは、決してない。これ以上、二人の間に『おかしなこと』が起こる前にと、アレックは言う。
「もういいだろ。いい加減、俺を「アレック!私は!!」
「シェリル!!」
「…!?」
初めて、アレックがシュリルの名を呼ぶ。困惑するシェリルに構わずアレックは続ける。
「馬鹿なことはやめて、俺を解放するんだ。そのほうがお互いのためだ」
「なっ………!」
「俺の話が聞こえないのか?」
「っ………!」
「シェリル!!」
「………」
・
・
・
「……………『馬鹿なこと?』なんだ、それは?」
「言わせる気か?」
「あぁ、私には何のことか見当もつかないからな」
「…お前っ!」
「それに、私は言ったはずだよな?アレック…」
シェリルがアレックに見せつけるようにゆっくりと立ち上がり、恥部を隠している布の結び目に手をかける、そして―
「お前を辱める、と!」
強く宣言する、と同時に結び目を解き、恥部をあらわにする。ついにシェリルはアレックの前で、生まれたままの姿をさらした。
「おい!」
「光栄に思えよ?アレック。私の処女をお前に捧げるのだからな」
「…っ!シェリル!!」
シェリルはアレックの分身を掴み、毛の生えていない己の秘所にあてがいながら、両膝をつく。亀頭をシェリルの入口にはめると、アレックの胸板に両手を預ける。後は、腰を下ろすのみとなった、その前に、
「アレック……」
「…………」
その名を優しく呼ぶ、が返事はない。それでも、
「返事はいい、ひとつだけ頼まれてくれ………お前とひとつになる、そのときだけは………私を見ていてくれないか?」
「……………それでお前の気が済むのなら、な」
「っ!!ありがとう、アレック……………んぁっ!」
「はぐぅぁ!」
ストンと腰を落とし、ついにシェリルとアレックはひとつになった。
突如としてシェリルに侵入した異物はきつく閉まった肉壁を押し広げ、純潔の膜をただの通過点のように貫通し、最奥を目指して突き進む。瞬時に、肉壁が異物を圧迫し、膣内中のヒダがこの不届きな侵入者を捕らえようと絡み、まとわりつく。その先端には、おりきった子宮自らその口を当てて熱烈なキスで歓迎する。入念に準備されていたかのような結合に、またすぐにでも発射しそうになり、アレックは呻きながらそれを受け入れるしかなかった。
「ぅぐああぁぁぁ!」
隙間から、綺麗な紅が流れる。だが、アレックにそれを気遣う余裕などなく、すぐそこまでやってきている暴発を悶絶しながら耐える。
「ま、まだ動くな、アレック!」
シェリルは両腕をアレックの背中にまわし、アレックの腰ごと股を閉じ、しがみつく。肉棒はさらにきちきちに締まった肉壁で締め付けられ、胸板に押し当てられた、どこまでも潰れるやわらかい乳房の感触と一緒に、アレックの快感と興奮をよりいっそう高める。
「し、刺激、が、っん♪まだ、つよ、っはぁん♪、ぅう♪動くなぁぁ♪」
「んっな?…っぅあ!あああぁぁ」
痛みからでなく、あまりに刺激的な快感に堪えかねての抱擁だったのだ、その事実がアレックの精神をさらに追い詰める。
やがてシェリルはアレックにしがみついたまま、ツルツルの恥丘を擦りつけるように、腰をスリスリとゆっくり前後させはじめる。膣から分泌される愛液をアレックの肉棒に塗りこみながら、少しずつ刺激に慣れようとしていた。結合部からは、シェリルが腰を前後させるたびに、ぬちゃっ、ぬちゃっと粘液質のいやらしい水音が鳴る。
「…んぁ♪…ぁあん♪…はぁん♪ぁん♪っん♪あぁん♪」
シェリルが刺激に慣れてくると、腰をさらに大きく前後にスライドさせ、それに順応すれば腰でリズムを刻むように動き、それでは物足りないとばかりに速く、激しく腰を振りたてた。シェリルがより強い快感を、アレックに与えるために。
アレックの腰の奥くで、くすぐったさが膨張し、射精直前であることを感じて、叫ぶ。
「シェリル!もう、やめ、でr「むちゅる♪」
アレックの唇をシェリルの唇が再び覆う。頬を両手で固定され、目を逸らすこともできない。このままでは…シェリルに種付けをする。その甘美な願望を実現しようと、本能がアレックの腰を思いっきり反らせ、シェリルの最奥に肉棒をねじ込み―
―ドビュュッ♪ドビュュルルルルッウウゥゥゥゥゥ♪
「っああぁぁぁぁ!」
「っんん♪はああああんんんんん♪」
先端から子種をぶちまける。シェリルもそれを感じ、深く腰を落として肉棒を根元から迎い入れる、アレックの子種を一滴もとりこぼますまいと、肉壁を締め付けながら、激しく脈打ち子種をまきちらす先端に子宮口を押し付け、アレックの子種で子宮を満たしていく。
先の射精よりもさらに多くの子種を、アレックの玉袋から留まることなく放出された。子種のいるべき場所はここだとばかりに、アレックの射精は深く、濃く、長くつづいた。
「…っはぁ!っはぁ〜、っはぁ〜、はぁ〜…」
「ア、アレックのぉ♪っぁん♪あ、あちゅいのがぁ♪な、なかにぃ〜♪」
精を放出しきっても元気に脈打つアレックの肉棒を、シェリルは下半身全体で感じながら身を起こす。そして、アレックの子種を受け止めた子宮のあたりを優しくさすろうと―
―ビクン
アレックはシェリルの肉壁が一度、大きく蠢いたのを、繋がったままの肉棒で感じた、直後。
「んはああああああぁぁぁぁ!?」
「シェリル!?…っうぐおおぉぉぉ!?」
アレックはシェリルのなかに生き物がいると思った。そう勘違いするほど、シェリルの肉壁が妖しく蠢き、熱を持ちはじめる。膣内のヒダがより柔らかく、より重厚になって、そのひとつひとつが意思を持つ触手のように、アレックの肉棒に絡みつくと、消化液のように愛液を垂らし、味わい、租借する。シェリルの奥深くのヒダほど、より大きく、より太く変化し、アレックのカリ首を引っ掛ける弁となる。いつしか、肉壁自体が子種を搾りだそうと強く収縮しはじめ、肉棒の先端に子宮口が吸盤のように吸い付いて離さず、先端を子宮に猛烈に吸引された。
「っぅぐぉがあああああぁぁぁぁっ!!!」
「アレックゥ♪アレックゥゥゥ♪♪♪」
尿道に残っている子種はおろか、玉袋の作りかけの子種ですらその場に留まることを許されず、シェリルの膣内によって搾りとられ、子宮に吸われていく。
アレックの血が、体液が、命が精となり、肉棒を通してシェリルに吸われ続けた。その代償はどこまでも苛烈で、なによりも極上な射精だった。いままでにあった、どの射精よりも、長い間、濃い精を、大量に、アレックは放出しつづける―
アレックは曇りのない真っ白な天国を味わい、さまよった。
永遠と続いた極楽浄土から、アレックの意識がゆったりと戻ってくる。
アレックは生涯かけても出せない量を、シェリルの膣内に注ぎ込んだ。長くつづいた射精の勢いは、いまだ尿道に残っているようで、肉棒を焼きゴテのように熱くした。いまだ快楽の余韻が抜けきらない意識のなかでシェリルを探すと、アレックに身体を預け、どこまでも穏やかな寝息をたてて眠る、シェリルがいた。
(相当、無理をしたんだろうな、こいつは…)
アレックは息も絶え絶えにシェリルを気遣う。アレックとひとつになりたい、それだけが、シェリルをここまで突き動かしたのだ。その一途な想いの前に、高潔な『エルフ』の面影はどこにもなく、シェリルを唯一無二の一人の『人間』を愛する『女』に変えたのだ。だからこそ、アレックは誰よりも強くシェリルの幸せを願うために―
(行く、か…ぅぉおおお!!)
シェリルが軽蔑してやまない、下等で、野蛮な『人間』になった、なろうとした。シェリルを起こさないよう、どこまでも優しく横に寝かせる、と、自分の言うことに全く耳を貸さない身体に力をこめ、這いつくばり、立ち上がる。服を直し、ふらつく足で身体を木の外側に寄せる。下を覗き、高さをそこそこに測ると、その身を投げ出す。身体全体で着地し、しばらく痛みと痺れが身体を巡る、が、そんなことなどどうでも良いようにアレックは立ち上がり、その歩を進める。少しでも早く、一歩でも多くこの場を離れるために。
(これでいい…これが、一番、あいつのためだ)
二人が一緒ならば、世界のどこでも、何がおきても、幸せになる、幸せにしてみせる。
二人が一緒ならば…。
『人間』である自分と、『エルフ』であるシェリル。二人が一緒でいられる時間は、一生と一瞬。
片方は愛する者を残し、もう片方は残りの長い時間を生き地獄で過ごす。自分の存在が、シェリルを不幸にするならば…!
(はやく、動け!このっ!…っぅお!!)
悪態をつかれた足が反抗するように、滑らせ、身体が傾く―
―ッシュ
頭上を風が切った。前を見ると樹木に矢が突き刺さっていて………瞬間、アレックは駆けだす。
「アレックウゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!」
アレックは振り返らない。どこまでも『人間』であろうとするために全力で駆ける―
「ここまで、くれば、大丈夫、だ」
アレックは、搾りだすように声を出すと、近くの木に体重を預け、ドカッと腰を下ろす。
「これで、いいんだ、これで」
うわ言のように、アレックが呟き。
「それに、しても、ひどい、目に、あった」
あくまで、どうでも良いことのように語る。
「これで、あいつ、も、懲りた、だろ」
決して、その名を口にせず。
「人間、様を、陥れよう、なんて、馬鹿な、やつだ」
心にも無いことを、わざとらしく言う。
「しばらく、落ち着いたら、帰る、か」
―どこに?
「にしても、ここはどこだ?無茶苦茶に、走ったから、な」
―誰のために?
「あ〜!はやく帰って、横になりてぇ〜」
―本当に望んでいるものはそんなものか?
「………………っ!シェリル!!」
アレックは望んでやまないその名を口にし、来た道を全力で戻りだす。
シェリルを置いて、逃げてきたときよりも速く、急ぐ。
一瞬でも早く会えるように。
「シェリル!!」
シェリルがいるはずの樹上に向かって、アレックが叫ぶ。
返事は無い、返事を待たずにアレックは木に手をかけ、登る。すぐそこにいるはずのシェリルが、無限の先にいるように感じる。それでも、着実に、少しずつ手を伸ばし、木を駆け上がる。そして―
「シェリル!!」
アレックは樹上で、うつ伏せに横たわっているシェリルを目撃する。すぐさま、両腕で抱き起こし、呼びかける。
「シェリル!っおい!シェリル!返事をしろぉ!!」
シェリルの身体は、氷のように冷え切っており、白い肌が不自然にその白さを増していた。顔には、涙の後が深い傷跡のように残っており、アレックは今さらながらに、自身が行ったシェリルに対する仕打ちを痛感した。
(もし、このまま目が覚めなければ…!)
最悪な未来を否定するために、アレックは声を張る。
「シェリル!シェ……ッ!ぅっ!かふぉっ!っげほ、がほぉ、げふぉ!!」
喉が張り裂ける、激痛がアレックを襲った。アレックの無茶に身体から、赤い血の警告をその口から出される。それでも、アレックは呼ぶ、呼ばずにはいられない。目を閉じて激痛に耐え、左手で喉を支えてアレックは再び声にする、愛する者の名を。
「ジェリィ…ル…!ジェ…!……っ!」
名を呼ぶことすらかなわないのか…。自分の不甲斐なさに怒り、呆れ、悲しむ。静寂な森が、自分がいかに無力で孤独であること冷たく知らせる。残酷な現実が迫るのを、アレックスが感じ―
―ピトッ
冷たい感触が頬に触れる。だが、アレックがいま、一番欲している感触だった。アレックは目を開けて、瞳にその名を映し、呼ぶ。
「シェリル!!」
「…ア、アレック?…ほ、ほんとうに、アレックなの、…か?」
シェリルがその存在を確かめるように、アレックの顔を見て、指先でなぞり確かめる、夢や幻ではなく、現実であることを。
「シェリル!俺だ、アレックだ!さっきは、す、まなかっ…!っぐぼぉ」
「ア、アレック!?ひ、ひどい声じゃないか!…っま、まってろ!」
シェリルの白くて華奢な手が、アレックの喉元に当てられる。それだけでアレックの胸の内が熱くなるのを実感した。しばらくして、シェリルの手が淡く、宝石のような緑色に輝きはじめると、アレックの喉から痛みが引いていく。
「んぁっ、っありがとう、シェリル。だいぶ楽になっt「アレック!!」
シェリルにがっしりと抱きつかれる。アレックもさらに力強い抱擁でそれに応える。
「ぅたし、わたしを置いて、いくな!馬鹿ぁ!!」
「ごめん、シェリル」
「ひ、ひとり、で!っだけ、どれだけ!ふぁう、不安だったと!」
「わかってる」
「よ、よくも!っわ、わたしを!っなか、泣かせてくれたな!」
「あぁ、最低な奴だ」
「っぜぃ、絶対、ゆっ、許さない、からな!」
「当然だ」
「いっ、一生、許さない、からな!」
「覚悟してる」
「…っんぅ!アレックゥ!アレックウゥゥ!」
「ごめん、シェリル。本当にごめん」
シェリルは泣きじゃくりながら、何度も愛しい名を呼び、アレックも愛しい者をしっかりと抱きしめながら許しを乞うた。お互いの存在を確かに感じながら―
アレックスはシェリルの嗚咽がおさまるのを待って、シェリルの瞳を逸らさずに見つめ、宣言する。
「シェリル。俺とずっと一緒にいてくれないか?俺がシェリルを絶対に幸せにする。二度とシェリルを泣かせたりはしない」
「…その言葉に、嘘偽りは無いな?アレック」
「…俺が生きている限り、で、シェリルが良ければ」
「………ならば、その誓いを私に示してもらおうか」
「………」
「………」
―ンッ
〜・〜・〜 Epilogue 〜・〜・〜
ある強力な淫魔によって魔界へと堕ちた教国があった。その教国がかつて管理していた森に存在する集落に、アレックとシェリルは放浪の末、腰を落ち着けることができた。その集落は、シェリルと同じエルフを主とした森で生きる者達の集落だった。そこに集った理由は様々だが、森を愛し、森の中で生きることを選んだ、そんな共通の目的でできた集落だった。
ただし、シェリルが驚いたことは、かつて自分が住んでいた他種族に対してどこまでも排他的であった故郷と違い、エルフ以外の魔物を妻として迎えた夫も集落で暮しており、また、別の森に住む他の魔物とも親交があった。さらには、エルフにとって異世界のはずの森の外にある街とも、街に住むエルフを通じて交流や交易が盛んに行われていたことだった。おかげで、アレックは森の中で生活しながらも、人間の集落で暮してきたときのように生活することができた。そんなアレックのある朝の出来事―
「じゅ♥じゅるろ♥じゅじゅるるる♥じゅぽ♥」
ワーシープの毛で作られたベッドの上で、アレックは己の股間から鳴響く卑猥な音と、どこかくすぐったくてムズムズとした気持ちのよさで目が覚める。まだ少し寝ぼけている視界で、両足に跨って朝の口腔奉仕をしているシェリルを見る。シェリルがそれに気づき、アレックに朝の挨拶をする、肉棒への奉仕はしたまま。
「ふぉふぁほう♥ふぁへっふぅ♥」
「おはよう、シェリル。それとひとついいか?シェリル」
「ふぁい?」
「挨拶がしたいのか、咥えたいのか、はっきりさせてくれないか?」
「…っ♥じゅる♥じゅるるるううぅぅぅ♥」
「っおい!シェリ「じゅろ♥じゅるるぅ♥じゅぼ♥じゅるぅぅ♥」
朝の奉仕が選ばれた。かなり早い段階で。
アレックのインキュバス化した長大で剛直な朝立ちの肉棒を両手で掴み、苦もなくシェリルは喉奥まで咥えて奉仕を続ける。アレックが起きるかなり前から奉仕をしていたのか、肉棒だけでなく股間の周りまでシェリルの唾液でべとべとになっており、アレックの限界もすぐに訪れた。
「…ぅっ!シェリル!っもう、っだすぞ!」
「っんん♥じゅぼ♥っじゅぽ♥じゅぽ♥じゅぽぉ♥」
アレックの自白に、シェリルが激しい口唇ピストンで返す。
アレックは両手でシェリルの頭を掴み、シェリルの喉奥に己の肉棒を深く突きいれ、朝一の作りたての特濃の子種をシェリルにぶちまけた。
「うぐおおぉぉぉ!」
「っんん♥じゅるぅ♥ごぐぅ♥ごぎゅ♥ごぎゅん♥ごぐぅじゅ♥」
アレックは大量の子種が一勢に放出した、が、シェリルは胃袋へ直接子種を流し込むように肉棒を飲み込みつづけ、アレックの射精をより促すように玉袋を優しくさする。
1分以上は続いている長い射精で、徐々に子種の勢いが弱くなると、シェリルは飲み込むことをやめ、浅く、亀頭を口で覆う。子種を口の中に頬張りはじめ、舌で亀頭ごと舐めてすくいだす。丁寧に舐めとり柔らかい唇を亀頭から、ちゅぽぉん、と離して、身体を起こす。
アレックに見せつけるように、よく味わい、舐めまわし、租借し、濃くて大きな塊になっている子種をプチプチと気持ち良さそうに噛み、飲み込む。やがて、空っぽになった口内を見せるように口を開け、舌をだし、指を唇に当てて言う。
「ご馳走様♥アレック♥美味しかったぞ♥」
「っあぁー……それはなにより、だ」
「やはり、アレックが起きてて出す子種のほうが、味も、量も、鮮度も違うな♥」
「……もしかして、今、俺がだしたのは…」
「ん?…あぁ、すまない、アレック。味見だけのつもりだったが、アレックの寝顔を見てたら我慢できなかったからな♥2回ほど先に飲ませてもらったぞ♥」
「そ、そうか…」
「っもちろん♥寝てる間に頂戴した子種も美味しかったぞ♥」
「お、おう」
「ぅうん♥」
(ほんとうにこれが、あの『エルフ』だったのが信じられないな)
教団の連中が言っていた『エルフ』の面影はすでになく、一匹の雌となりさがったシェリルと毎日、昼夜を問わずに犯し、犯され、交わり続けてきた。
当初、アレックはいつかやって来るであろうその時を恐れていたが、シェリルが魔物となった他のエルフから『「やりまくって夫がインキュバスにすれば寿命は延びるわよぉ〜ん♪ついでにあそこも大きくなr「ありがとう!ちょっとアレックで犯ってくるぅ!!」「頑張ってねぇ〜ん♪」』なんてやりとりが、あったとかなかったとか…。
最初は魔物化したシェリルに為すすべもなく犯られる日々だったが、インキュバス化したことで体力・精力が増大し、一転、アレックがベッドの上で毎度のようにシェリルを泣かせることとなった。
(シェリルを泣かさない、と約束はしたが…、エロい事で泣かれることまでは知らん)
「おい!アレック!聞いているのか!アレック!?」
「っんぁ…!?すまん。少し考え事をしてた…」
「全く、私を前にして無視するとは見下げた夫だな」
「本当に、申し訳、なかった、と、思って、おります、シェリル殿」
「喧嘩を売られていると思っていいよな?………まぁいい。それより、私を見て何か思うことはないのか?」
先程から、ずっと顔と耳を真っ赤にし、瞳を潤ませて睨みつけるシェリルがいた。
シェリルは裸になっているようで、前面の首から太股までを桃色のエプロンで隠しているだけだった。側面には、ひらひらとしたフリルが可愛らしくついている。恥ずかしさに耐え、アレックの次の言葉を期待して待つ。時折、真っ赤になったシェリルの耳がピコピコと動く。
正直、かなり可愛いのでずっと見ていたい、と思ったが、アレックは言う。
「なんのことやら?」
「ふざけるなぁっ!」
「わかってるよ、シェリル。でもなぁ…」
「っひゃ!待て!アレック!っそこは!」
アレックはシェリルに構わず、エプロンの下側をぺろりとめくる、と。
「『裸エプロン』のつもりなら…下着はだめだよな?なぁ〜?シェリル?」
「ぅるっ!ぅうるさい!これでも、頑張ったんだぞぉ!」
「はいはい」
「馬鹿にするな!見てろ!今日は!今日こそは!私がアレックを滅茶苦茶にしてやるからな!!」
そう宣言すると、シェリルはアレックの上に跨り、下着をずらして挿入しようとする。その前に、
「シェリル」「アレック」
二人が同時に、互いの名を呼ぶ。一拍あけて、二人は同時に噴き出す。
しばらく、ともに笑って、それが止まると、アレックはシェリルを見つめて、シェリルもアレックを見つめ返す。
「愛してる、シェリル」
「私もだ、アレック」
今日も、今日とて、樹上の家からは一組の夫婦の、男女の、雄と雌の交わりの艶声が漏れる。この日々が、少しでも長く、いつまでも、永遠に続くのを願って。
14/01/02 19:57更新 / 眠猫
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