吾輩は猫である――にゃんて言うと思ったか?
「でな」
そう言って、ご主人の友達が人差し指を立てて区切った。
神だにゃの上から聞いていたが、ありきたりにゃ怪談ばにゃしである。
にゃんというか、季節はずれにゃ話だ。
「なんか変だなぁって思って、その猫の名前を呼んでみたんだよ」
オレ個人の意見を言えば、蝋燭の光を浴びてる友達の方が怖いにゃ。
「そしたら、振り返った猫の顔がな」
まったく、人間は随分と下らにゃいことを考えるにゃあ。
ちょうど猫のはにゃしをしてるみたいだし、ちょっと脅かしてみようか。
「にゃ「ぎゃああああああああああぁぁ!?」」
雄叫び。
勿論だが、オレの叫びじゃにゃい。
情けないはにゃし、ご主人の悲鳴である。
バタバタとテーブルからはにゃれて、ご主人は部屋にそにゃえられた電灯のスイッチを押した。
にゃに事か、というよりも、またご主人かよ、みたいにゃ白けた空気が漂っている。
「……やめてやめて、もう無理! 怖いっ!!」
こいつがオレのご主人、スイにゃのぜ。
見ての通り、ヘタレにゃ。かれこれ十年の付き合いだが、にゃおる兆しは見えにゃい。
ガタガタと生まれたての小鹿のように震えるご主人に、ご主人のおさにゃにゃじみが呆れたように声を出す。
「もう、翠は黙ってて! それで、続きは?」
「え゙え゙――? この状況でオチを……?」
友達は、そんにゃ風に躊躇する。
そりゃそうにゃ。
一度ぶった切って白けた雰囲気を盛り上げるほど、クオリティの高い話じゃにゃいのぜ。
とは言え、ここまで聞いたのならオチを聞かにゃいとスッキリしにゃい。
オレもちょっと聞いてみるか。
「えと……、その振り返った猫の顔が、なんとさっきの老婆の顔で……ってオチで……」
やっぱ残念だったにゃ。
どこか冷めた空気のにゃか、話を唯一まともに聞いていたおさにゃにゃじみは、友達の肩をポンと叩いた。
「ごめんね、聞きたがって……」
「だから言ったじゃねえか!?」
「にゃー……」(お前は悪くにゃいぞ、人間)
同情を禁じえにゃい。
というか、オレとしては随分と詰まらにゃい話にゃのぜ。
にゃんと言っても、オレのほうがよっぽど怪談だからにゃ。
お察しの通りだが、オレはネコマタだ。
ちなみにご主人は鈍いから気付いてにゃいし、秘密にしてるからそもそもバラすつもりはにゃいのぜ。
十年前にオレを拾ってくれたご主人には恩義を感じるが、いい加減そのヘタレ性をにゃおしてほしい。
(しかしにゃあ……)
チラリと、ご主人に視線を移す。
「だァ――、もう怪談ヤだ! 怖いっ!!」
(……タマ、マジで付いてんのかにゃあ、ご主人)
いや、ご主人のことは好きにゃよ?
やる時はやるやつにゃし、これで意外と胸も――失敬――度胸もあるにゃ。
でも、自覚がにゃいとは言え、ホラー(オレ)と生活してるヤツの台詞に聞こえにゃいのぜ。
「さて、そろそろお開きにすっか?」
「え!? 帰るの!?」
友達がそう言って立ち上がるのを見て、ご主人は慌てて立ち上がった。
恐らく一人が怖いのにゃろう。
「悪いな翠。俺、明日は仕事が早くてな」
「私も。じゃあね、翠」
「ちょ、待っ!?」
そう言ってご主人が引き止める間もにゃく、二人は入り口から出て行った。
やり場にゃく手を突き出すご主人に、ちょっと笑いそうににゃった。
だって、ご主人、涙目。
「……………」
……仕方にゃいにゃあ、ご主人は。
神だにゃから、ご主人の肩に飛び移る。
「あ……、ネム」
「にゃん♪」
ご主人ににゃみだは似合わにゃいのぜ。
まぁ、オレでも愛でて元気出せよ。
にゃで繰り回されるのはあまり好きじゃにゃいが、ま、まぁ……、今日はサービスにゃのぜ?
「ぺろぺろ」
「………………」
うぅん、怯えるご主人もやっぱご主人の味がするのぜ。
つーか、ご主人?
愛猫が愛情表現してのに無視は酷いんじゃにゃいか?
ごーしゅーじーんー?
「にゃっ、にゃ?」
肉球で頬を押しても、反応がにゃい。
どころか、急に抱きすくめられた。
「にゃっ!?」
ごごごっ、ご主人!?
そそ、そんにゃ唐突にアプローチされても困るんにゃが……!
つ、つーかご主人、力入れすぎにゃのぜ!
そんにゃしっかり抱きしめにゃくても、オレは逃げにゃいぞ!?
「そ……、そばにいてよ、ネム?」
……おや?
一抹の疑問が湧いたが、抱きすくめる腕は相変わらず震えている。
……おやおやおや?
そのままベッドまで連れて行かれ(ちょ、そんにゃ大胆にゃ♪)、抱き枕よろしくご主人がベッドに身を預ける。
震える腕には、しっとりと汗が滲んでいる。
「こ、ここにいてよ?」
……もしや、オレはこのままご主人と付かずはにゃれずの態勢で一晩にゃのか?
にゃにそれ、ステキ……♥
◆
神だにゃの上からご主人を見下ろすと、やはり寝不足のようだった。
まぁ、それでもしっかりと仕事をこにゃすご主人はさすがである。
ちなみに、ご主人の仕事は個人経営の食堂にゃのぜ。
そこそこ好評で、地元民には憩いの場所ににゃっている。
香ばしい炒め物の香りが鼻腔をくすぐり、オレもちょっと腹が減ってきた。
(でも、ご主人まだ仕事してるしにゃあ……)
ま、これでもオレは仕事中のご主人の忙しさは知っているつもりにゃのぜ。
昼ににゃる前だし、勝手に昼飯にさせてもらうとするか。
神だにゃから降りて、秘蔵のカツオ節を置いている物置へ行く。
勿論、ご主人にいらん気を遣わせないように、なるべく静かににゃ。
「まったく、ただの猫の振りも意外と疲れるもんだにゃあ」
誰もいにゃく、気兼ねする必要もにゃい物置で、そんにゃ他愛もにゃい愚痴を呟く。
昨晩はにゃま殺しだったからにゃあ……。
一晩中抱きしめたままて、嬉しくにゃいわけではにゃいが、割と辛かったのぜ
自慰にふけるわけにもいかず、ご主人に襲い掛かるわけにもいかず、にゃかにゃか大変だった。
「ま、ご主人ももう怯えてにゃさそうだったし、たまには悪くにゃいか」
甘える側としても、甘えられると嬉しいのぜ。
ま、それはさておき……えーっと、確かそこにカツオ節を隠してたようにゃ……っと。
って、あ。
ガダーン!
奥の方からカツオ節を引っ張り出す際に、積み重ねてあった箱を崩してしまった。
「やべっ、ご主人に怒られちまう……!」
慌てて、オレは物陰に隠れた。
アレで緩そうに見えて、ご主人は意外と厳しい。
こっそりカツオ節を隠していたことと、騒がしくしてしまったことがバレたら、メシ抜きににゃる!
そして、それは断固御免にゃのぜ!!
一拍置いて、ドタドタと慌ただしくご主人の駆け寄ってくる足音が聞こえてくる。
ガラッ
「……あ、あれ、だ、誰もいない……?」
ごめんご主人、ホントはオレのせい……。
で、でも仕方にゃいよにゃ?
怒られるのが分かってたら、誰だっネムうするよにゃ?
「……ま、まさか、お、お化け……?」
………………………………。
いや、んにゃわけねーだろ!?
え、にゃに? ご主人、もしかして実はまだビビってたにゃ!?
……ん、んー、だとすると、ご主人に悪いことしたにゃあ……。
ビクビクと辺りを確認しにゃがら仕事に戻るご主人に、申し訳にゃく合掌。
「すまんにゃのぜ……ご主人」
◆
喉をにゃでられるのは気持ちいい。
すっかり夜ににゃり、ご主人はオレを膝に置いてTVを見ている。
他愛もないコントも、オレから見れば下らにゃくてあまり面白くにゃい。
ご主人もまだ怯えているのか、おどおどしてあまりTVに集中していにゃかった。
「…………っ」
しかし、分かってはいたがご主人もビビり性だにゃあ。
というか、にゃんで人間はいもしにゃいヤツに怯えるのかにゃあ。
オレにはイマイチ理解できにゃいのぜ。
でも、分かることも勿論ある。
(きっと、オレがネコマタって知ってもご主人はビビるんだろうにゃ……)
にゃにせ、昨晩聞いた怪談は猫のはにゃしだった。
オレはババアじゃにゃいが、人に変身したらご主人はオレをネムって言ってくれるのかにゃあ?
……化物って、言われにゃいかにゃあ?
「…………」
いかんいかん、にゃにを弱気ににゃっているんだオレは。
ご主人がこんにゃに怯えているのに、オレまで盛り下がったらドツボじゃにゃいか。
ご主人の心の安寧を助けるペットとして、オレがご主人を支えるところだぜ、ここは。
ピロリン♪
「あ、お風呂沸いた……」
そう言って、ご主人は立ち上がった。
うむ、風呂にゃらば仕方にゃい。
ご主人が風呂から上がったら、付きっ切りでオレが一緒にいてやるか。
そう思い、ご主人から離れようとするオレの脇を、ご主人の手が掴んだ。
「にゃ?」
「そう言えば、ネムもそろそろ洗わないといけないよね?」
……………………………………。
お、おいご主人?
それはアレだよにゃ?
本当はお化けが怖いから一緒にいてほちぃ的にゃアレだよにゃ?
だって笑顔引き攣ってるぞ?
ちょ、オイオイご主人!? マジでオレも風呂入らにゃいとダメにゃのか!?
「ぎにゃぁぁあああ――――!?」
「ちょっ、暴れちゃだめだよ!?」
いやいやご主人、風呂は、風呂だけは勘弁にゃぜ!
そもそも、オレは意外かもしれにゃいが綺麗好きだからそんにゃ汚れてにゃい!
だから風呂は勘弁にゃ! ぬ、濡れるのは気持ち悪いから嫌にゃぁぁああ!
「た、頼むよネム……、昼間みたいにお化けが出たら、その、ネムも怖いでしょ……?」
いやご主人が怖いんにゃろ!?
とゆーか、昼間のはにゃしを持ち出されたら、オレも抵抗し辛いにゃが!?
あ、ちょっ、マジで風呂は止め――にゃあああああああ!?
抵抗むにゃしく、オレは洗面器のにゃかで洗われていた。
超気持ち悪い。だが、ご主人もまだビクビクと怯えているようにゃので、甘んじて受け入れた。
そもそも、自業自得にゃのだ。
昼間にオレがご主人をおどかさにゃければ、こんにゃ事ににゃらなかったハズにゃのだ。
しっかし、やっぱ匂いが消されるのはにゃれにゃいぜ。
シャンプー、っつったか?
妙にゃ匂いがしてあんまり好きじゃにゃいんだが……。
「ネム、気持ちいい?」
……まぁ、ご主人手ずからの揉み洗いにゃから許すとしよう。
「んにゃっ!」(褒めて遣わす!)
しっかし、ご主人は猫飼い暦十年のハズにゃのに、にゃんで猫は風呂嫌いって分からにゃいのか……。
濡れるのも困るが、ご主人の全裸が一番困る。
常日頃からご主人へ迸る熱い性欲を抑えつけているというに、このご主人、実は誘ってるんじゃにゃいか?
まぁ、安易に勘違いしてご主人を襲ってにゃかれたら困るし、今日も我慢の日にゃんだが……。
体に悪すぎるのぜ……。
「あはは……、ごめんね? 僕が臆病だからって一緒にお風呂まで入ってもらって」
「にゃ、にゃっ!」(いやいや、ご主人を守ることこそオレの使命にゃのぜ? 気にすんにゃ)
ま、言っても伝わらんけどにゃ。
我慢は体に毒かもしれにゃいが、ご主人と一緒にいられるにゃら安いモンにゃぜ。
むにゃしいはにゃしだが、ま、満足にゃ。
「さ、ネム。漱ぐよ」
そう言ってご主人は、泡まみれのオレにシャワーを浴びせる。
まるで雨のような水飛沫に、人間の文明の恐ろしさを覚える。
オレみたいな猫の嫌がらせのようにゃ文明の利器が、一体いくつあるのか聞いてみたい。
ひょっとして人類は、オレら猫族を愛玩動物じゃにゃくて積年の恨みの募った仇として見てるんじゃにゃいか?
そんにゃ下らにゃいことを考えているうちに、泡を濯ぎ落とし終わった。
「にゃふ……」(おぉー、あったけー……)
濡れるのは嫌だが、このにゃま温さは悪くにゃい。
そう思っている内に、ご主人はオレの入っている洗面器を持ったまま、浴槽へ入る。
オレも、浴槽の上でプカプカと揺られる。
「ふにゃー」(あー、極楽極楽)
「僕が言うのもなんだけど、ネムおっさん臭いよ」
洗面器のにゃかでくつろぐオレに、ご主人はけらけらと笑う。
というか、元気が出てにゃによりだがご主人、レディに向かっておっさんは酷くにゃいか?
いや、オレもご主人の前でメスらしく振舞った覚えはにゃいが……。
「にゃあ」(オイご主人)
「ん? どうしたの、ネム?」
「フカァ―――ッ!!」(恋する乙女におっさんとか言うにゃァ―――!!)
頚動脈に甘噛んだ。
ただし、容赦はしにゃい。
「あいっ、ったぁ―――!?」
「もがぐりもがじり」(うまうま)
「ちょっ、ネム!? そんな入念に噛みつかないでよ!?」
というか、洗面器から飛び出した今、ご主人にしがみ付いとかにゃいと湯船に落ちる。
それにアレにゃ。
にゃんかご主人から他のメスの匂いがしたから、しっかり消しとこうとにゃ。
決して、断じて考えにゃしにご主人に飛びついて湯船に落ちるのが怖いとか、決してそんにゃんじゃにゃい。
「痛い痛い痛い! 何で爪まで立てるの!?」
「ふにゃうぅぅ……!!」(こ、っら暴れんにゃご主人!? オレが風呂に落ちたらどうすんだにゃ!?)
「あぁ、もう!? ほら、洗面器寄せるから、ほら! 早く飛び移って!?」
そう言って、ご主人はにゃかば強引にへばり付くオレを剥いで洗面器に入れる。
が、その勢いが強すぎたのか、オレを入れた洗面器は引っくり返ってしまった。
当然、オレの体は浴槽の中に沈みこんだ。
「にゃぼごがぶ……!」
「あ、ちょっ、ネム!?」
あ、ヤバい。口とはにゃと耳から水が入り込んでくるのが分かる。
バタバタと手足が水中で空回りしてるのが分かる。
要するに、死ぬほど苦しい。
「ぶっ……ごぼぼ……!」
口のにゃかから沢山の空気が詰まった泡が飛び出る。
もがいても、もがいても水ばかりでにゃにもにゃい。
必死の思いで暴れると、オレの手を誰かが掴んだ。
それにしがみつくと、力強く引っ張り出され、大して危にゃげもにゃくオレは救出された。
「げほ……、げほ、げっほ……」
両腕で引っ張り出してくれたご主人にしがみ付き、飲んでしまった水を咳き込んで吐き出す。
水が嫌いとかとういう以前に、溺れて死ぬかと思ったのぜ。
「………あ、あの……ね、ネム?」
空気うめー、マジうめー……。
いや、さすがご主人、オレの危険をいち早く察知するとは本当にさすが……――って、ん?
ご主人にしがみ付いている手が、視界に入った。
普段と同じ猫手だが、2回りどころか3回りほど手が大きくにゃっている。
とゆうか、今更だが、オレ、いま全身でご主人に抱きついてにゃいか……?
「その……、だ、大丈夫、って聞くところなんだろうけど……、その、ネム……なんだよね?」
「…………に、にゃー」
声のトーンが、いつもと違う。
全身で感じるご主人の華奢な体は、意外と引き締まっていて硬い。
いや、今はそれどころではにゃいだろ。
これ、もしかして猫化の術が解けてにゃいか………?
恐る恐る、顔を上げてみると、どこか赤いご主人の顔が目の前にあった。
「ネム……って、その……、ネコマタ……だったんだね……?」
照れ笑いのように頬を掻きながら、ご主人は苦笑した。
い、いやいや待て。確かにオレの視点がにゃにか高いようにゃ気はするが、きっと気のせいのはずだ!
「にゃにゃ!? にゃー、にゃう!?」
「あ、あー……、その、む、胸が……当たってるんだけど……」
そう言われて、ご主人のむにゃ板とオレの体に押し潰される双丘にようやく気が付いた。
見下ろして、諦めざるを得にゃくにゃった。
猫化の術は、完全に解けていた。
オレはいま、痴女よろしくに、ご主人に、浴槽で、全裸で抱きついていた。
……抱き心地が良くて、凄く気持ちいい。
「…………」
「あ、あの……ネム? 何か、さっきより力が強くなった気がするんだけど……?」
ぎゅー、っと抱きしめる。
黒髪から、オレを洗ったシャンプーの匂いがする。
チャプチャプとにゃみを立てる湯船の音だけが、浴室のにゃかでやけに大きく聞こえる。
……バレ、ちゃったんだよにゃあ。
「……にゃあ、ご主人?」
「う、うんっ!? な、なに!?」
ご主人の声が上擦る。
が、構わずにオレは続ける。
「見ての通り、その、オレはネコマタにゃけど……、その、怖かったりしにゃいか……?」
「……っえ?」
オレの質問に、ご主人は素っ頓狂にゃ声をあげた。
「……えっと……、そ、それって、ネムが……って、こと?」
「それ以外、誰がいるにゃ」
「いや……、まぁ、いないけど……」
決まり悪そうに、ご主人はオレの腕の中で頬を掻いた。
そんなご主人に対して、にゃい心オレはビクビクしていた。
いま現在、ご主人はにゃによりもお化けに怯えている。
そんにゃご主人の傍に、ずっとオレみたいにゃ化物が一緒にいたのだ。
考えるだけで、おぞましいはにゃしだろう。
「その……、ネムは……」
そこで、ご主人は一つ区切る。
その間が、怖い。
「………ね、ネムは……、その……、ネム……なんだよね?」
「……あ、当たり前にゃ。オレは、ご主人の飼い猫のネムにゃぜ」
ご主人の顔を真正面から見にゃがら、オレは誠実に見えるよう答えた。
ご主人の瞳の光が、ちらちらと揺れている。
怯えか、畏れか、にゃんの色かまでは分からにゃい。
が、きっとオレの目も、ご主人以上に揺れているはずだ。
だって、いまオレ、死ぬほど怖い。
ご主人に、怖いって言われるのが、凄く怖い。
「……………」
「にゃ、にゃんだよご主人……、だ、黙ってると、分からにゃいんだが……」
そう言いつつも、オレはご主人から目を逸らしてしまった。
吸い込まれるようにゃ黒い瞳に、オレの怯えが覗かれそうで怖い。
「……いや、その……、じゃあ、怖くない、かな?」
「じゃあ、って、にゃんぞそれ!」
「あ痛っ!」
思わずチョップ。
「にゃあご主人、オレはこれでも真剣に聞いてるつもりにゃぜ? 正直に答えろよにゃ?」
「やっ、でもネムなんでしょ!? だったら別に怖がることないと思うし……!」
「まぁ、別にオレもご主人を怖がらせるつもりはにゃいが……」
「それよりもネム、女の子なのに『オレ』はちょっとお行儀悪いと思うんだけど」
「いまそんにゃ事はにゃしてる場合じゃにゃいよにゃ……?」
話してる場合だよ、とご主人は人差し指を立てた。
「ネムは僕の家族なんだから、行儀正しくないとダメでしょ?」
プンプン、なんて擬音が響きそうにゃ、ご主人の言葉。
子どものように頬を膨らませて言ったご主人に、少し理解が遅れた。
『僕の家族』ご主人は確かにそう言った。
「い、一緒にいていいのにゃ……?」
「え、も、もしかしてどこか行っちゃうの?」
オレの質問に、怒ったように人差し指を立てていたご主人が目に見えて狼狽する。
どこかに行くつもりは、これでにゃくにゃった。
慌てるご主人の体を押さえつけるように、オレはご主人を改めて抱きしめた。
「ちょっ、ね、ネム!?」
「ご主人……、ちょっとしばらくこうさせてくれにゃ」
行けるわけにゃいだろーが。
オレの家族にゃのに、ご主人を置いてどっかに行けるわけにゃんて……、あるわけにゃいだろーが。
とゆうか、はにゃすもんか。
ご主人は、一生、オレのご主人にゃ。
「むしろ、ご主人こそ勝手にどっか行ったら怒るからにゃ……」
「あー、僕これでも結構ネムを溺愛してたつもりなんだけど、ネムは僕がそんなことするヤツに見えるのー?」
刺のあるご主人の言葉も、耳に心地いい。
いつもとおにゃじ調子でご主人はオレの頭をにゃでて、オレの体を温かく抱きしめてくれた。
不意に、目頭が熱くにゃった。
「ご主人……、ごしゅじぃぃんんん……」
「……っへ? ちょ、ネム? な、何で泣いてるの!? あれ、ごめん、僕ってば言い過ぎた!?」
違う。ご主人はにゃにも言い過ぎてにゃい。
むしろ、ご主人の言葉のおかげでオレは凄く安心した。
ご主人がオレを家族って言ってくれて、凄く胸が疼いた。
それがどうしようもにゃく嬉しくて、涙腺がちょっと緩んでしまったのだ。
「ひぐっ……、ご主人がご主人で良がったにゃあ……って、ぐす……」
「あ、はは……、飼い主冥利に尽きるなぁ……」
頬をうっすらと染めて、ご主人は照れたように頬を掻く。
そして、途端に微妙な面持ちににゃり、続けた。
「それよりも、さ。さっきから胸が、その……、当たって、るんだけど……」
「にゃ?」
そう言えば、よくよく考えてみれば、オレとご主人は互いに裸で抱き合っていた。
チャプチャプとにゃみ立つ浴槽、そして電子時計は既に0時を回っている。
湯船もすっかり冷めてしまったのかぬるい。
そんにゃにゃか、いま現在オレはご主人のむにゃ板に自分の胸を押し付けている。
「……にゃあご主人、オレのこと好きだよにゃ?」
「……え、えぇーっと……」
「好きって言わにゃいと、にゃいちゃうぜ?」
「……さ、さっきから泣いてなかったかなぁ……?」
「とゆーか、ご主人のもさっきからオレの太腿に当たってるにゃよ?」
「そ、それはアレだよ? ほら、男の子って数学の授業中にもいきなり勃っちゃう時ってあるし……」
「にゃあご主人、諦めてスケベしようやぁ――って、あ痛っ!」
ご主人チョップ炸裂。
ヘタレ性にゃご主人相手に、ちょっと急を要しすぎたかもしれにゃい。
まぁ、にゃったらアレだ。押してダメにゃら突き破るまでにゃ。
「む、ムリヤリそうゆうことするのは良くないよ!」
「……ぐすっ」
「……え?」
「ごしゅじん……、オレのこと嫌いにゃのか……?」
そう、オレは猫だ。
にゃみだ目で、上目遣いで、ご主人に媚びることにはにゃれている。
餌の催促が、交尾の催促に変わっただけのはにゃしにゃ。
十年の間、伊達にペットはやってにゃいぜ!
「ごしゅじん……、ほんとはオレのこと嫌いにゃから、そう言うのにゃ……?」
「え、ちょっ、そそ、そういうことじゃなくて、節操がないとか、そういう話なわけで……!」
「……そんにゃ言い訳しにゃくてもいいのにゃ。オレは行儀も悪いし、節操にゃしだからにゃあ……」
「い、言い訳じゃないよ! ネムがいい子なの、僕はちゃんと知ってるし!」
「……ごしゅじん、オレのこと、ほんとに嫌いじゃにゃいのか……?」
……言ってて背にゃかがくすぐったくにゃったのぜ。
「嫌いじゃない!! 僕はネムの事、大好きだよ!」
「……ほんとに?」
「本当だよ」
「ほんとのほんとに?」
「本当の本当に」
……ヘタレ性、というのは訂正した方がいいのかもしれにゃい。
思った以上のご主人の言葉の破壊力に、さっきから頬が熱い。
ストレート、レーザービーム、急速200キロである。
「……その、オレもご主人のこと、大好きにゃぜ?」
「……うん、そう言ってもらえて、嬉しいよ」
「――とまぁ、ご主人もオレのことが好きにゃら合意の上だし問題にゃいよにゃ?」
というか、さっきの言葉のせいで余計に歯止めが効かにゃくにゃった。
胸も切にゃいし、下腹部のあそこもジンジンと疼いている。
正直、我慢なんてできるわけがにゃい。
「え、ちょっ、うわ!?」
バシャッ、と水飛沫をあげてご主人を浴槽の壁に押し倒す。
そのまま抵抗させにゃいように、素早くご主人の股間に跨った。
太腿に、お風呂のお湯よりもご主人の熱い逸物が押し付けられ、ますます情欲がそそられる。
「にゃあ、いいよにゃあご主人♥ オレ、このときを十年待ったんだぜ……♥」
「い、いや、その、こういうことするのも、その、吝かじゃないけど、こ、心の準備が……!」
「だいじょーぶだいじょーぶ、オレに任せにゃって……♥」
ご主人の心の準備にゃんか待っていたら、もう十年はかかる。
吝かじゃにゃい、にゃんてご主人は素にゃおじゃねぇにゃあ……♥
挿入のために肉棒を掴むと、ご主人は甘い声を出した。
「うぁ……ぅ……!」
「我慢しろよご主じぃん……、あんまり声出すと、翌日におとにゃりさんから噂されちゃうぜぇ……?」
嫌らしく笑い、ご主人の肉棒の角度を調整し、ゆっくりと腰を降ろす。
準備万端だった秘部に先端が滑り込み、メチャクチャに熱い……っ!
ご主人の熱さが、にゃかに入ってくる……!
「お、いおい……、ご主じぃんん……、にゃんだかんだで、ギンギンじゃにゃいかよぉ……♥」
「だって……、こんな目の前にネムがいたら、その……――ひあぅっ!?」
じれったくご主人の先端を包んでいた腰を一気に降ろすと、ご主人はびくっと体を震わせた。
ちゃぷん、と波紋が立ち、浴室にご主人の嬌声が木霊する。
「あ、あぁぁ……、ね、ネム……、も、もうちょっとゆっくりぃ……!」
「ダメにゃぜぇ……、んっ、もっと、もっと奥をヤってもらわにゃいと、満足できにゃいにゃあ……♥」
「うぁ……、その、奥でぐりぐりするの……、止めぇ……!」
子宮口にご主人の硬い先端に押し付け、円を描くように腰を揺らす。
膣にゃいで感じるご主人の怒張は、しっかりと形大きさまで分かる。
そしてにゃによりも、快感に歪むご主人の顔はにゃによりも嗜虐心をそそる。
「オイオイご主人……、そんにゃ切にゃそうにゃ顔で言っても説得力がにゃいぜぇ……♥」
「そんな顔って言われても……、き、気持ちよすぎてぇ……!」
「にゃふん♥」
「うあっ!?」
不意打ちにずりゅっと腰を引くと、ご主人の顔が一層蕩けたものににゃる。
……いかん、これは癖ににゃりそうだ……♥
「にゃはぁ……、にゃあご主人? ご主人から動いても、別にいいんだぜぇ……♥」
「は、うぅ……、ぼ、僕からぁ……?」
「そぉそぉ……、にゃあご主じぃん……、気持ちいいからよぉ、動いてみにゃよぉ……♥」
恍惚に浸るご主人にそう言うと、ご主人は上の空でうにゃずいた。
そしてゆっくりとオレの腰に手を回し、しっかりと抱きすくめる。
「う、動くよ……?」
遠慮がちにそう言い、ご主人はゆっくりと肉棒を押し込み始める。
ずりゅずりゅと膣壁に擦れて、焦らすような速度が堪らにゃく気持ちいい……。
「ふにゃぁぁあ……♪ 悪く、にゃいんじゃにゃいかぁぁあ……♥」
「うあぅぅ……、ネムの中、熱くて、気持ちいいぃぃぃ……!」
それを言ったら、ご主人のモノもである。
太く大きいご主人の屹立がゆっくりと膣内に沈み込んでいき、やがてにゃんとか全て収まりきった。
オレの体にしがみ付きにゃがら、ご主人は荒い息を吐いている。
「はぁ、あぅぅ……、はっ、ふぅぅぅ……!」
「にゃんだぁご主人……、もしかして、もうギブアップかぁ……?」
「ごめ……っ、こっ、これ以上動いたら、で、ちゃううぅ……!」
射精を必死に堪えるように、ご主人は顔を真っ赤にしてぷるぷると震えていた。
膣内でも肉棒がピクピクと痙攣するようにゃ動きをしているのが、如実に分かる。
口元からは涎を垂らし、瞼をぎゅっと閉じて我慢する表情は、みっともにゃくてかわいい……♥
「そっかそっかぁ……、これ以上動いちゃったら出ちゃうのにゃあ……♥」
「……ひうっ……うぅぅ……、止め、ネムうぅぅぅ……!」
射精をさせるにゃら、もちろん奥だ。
始めにヤったように、ご主人の先端に子宮口をぐりぐりと押し付ける。
円を描くように腰を振り、ご主人の林檎のように熟れた頬を、ベロリとにゃめた。
「我慢すんじゃにゃいぜご主じぃん……、いっぱい、いっぱい出せよにゃあ……♥」
「あうぅぅ……!」
「ほらほらぁ……、もう限界にゃんだろぉ? 孕んでやるからよぉ、ほらほらぁ……♥」
恍惚と、快楽に耐える必死の表情を足して二で割ったようにゃ顔つきのご主人を、ねちっこくいじめる。
おっさん呼ばわりの仕返しである。
「ひ、あ……っう……、出る、出ちゃうぅぅ……!」
びゅくっ、びゅる、びゅるるるるっ!
「ふにゃ、にゃうぅぅぅううん♪ ご主人の、入ってくるぅぅ……♪」
ご主人の逸物よりも熱い、ご主人の子種が、ドクドクと中に注がれる。
子宮口にかけられ、膣内を流れ、溢れ出た精子が湯船に浮かぶ。
「ふ、あぁぁぁ……」
射精後の脱力か、ご主人はぐったりと全身の力が抜けたかのようにオレにもたれかかる。
快楽に浸る恍惚に蕩けた表情に、思わず舌にゃめずりしてしまう。
「にゃふ、にゃふふふ……、ご主人、ご主人、ご主人んん〜♥」
「ふ、あぁぁ……ね、ネム、まだ、敏感だからぁぁ……!」
ジャブジャブと湯船ににゃみ立つほど、オレはもたれかかるご主人に腰を振り始める。
逃げようと身を引きかけたご主人の体を、精一杯の力で抱きしめ、足を背にゃかに回してホールドする。
しっかりと捕まえられ、ご主人にはそんにゃオレを引き剥がすだけの余力にゃんてにゃかった。
ご主人に全体重を預け、貪るようににゃんどもにゃんども秘部をご主人に押しつける。
ぐちゅぐちゅと、愛液と精液が接合部から漏れでて、うっすらと白い。
「一人だけイクにゃんて狡いぜご主人んん……、オレも、オレもご主人でイカせろよにゃあ……♥」
「うっ、あっ、あうぅぁぁあ……!」
あられもにゃい嬌声と、湯船の水音だけが浴室に響く。
こうして、オレとご主人の夜は更けていった。
◆
「ご主じーん、ロコモコ丼一丁にゃあ」
あの後、ネコマタであることを隠す必要のにゃくにゃったオレは、ご主人に頼んだ。
ご主人の仕事を手伝わせて欲しい、と。
個人経営で、いつも一人で働いていたご主人を、昔から支えたいと思っていたのだ。
そりゃ、ご主人みたいに料理にゃんて器用にゃことはできにゃいが、接客くらいにゃら出来る。
だが……、
「ネムちゃんネムちゃん、追加注文、いいですか?」
「……もしかして、またアレかにゃ?」
人語が喋れる、というのは意外と大変である。
面白がって、オレをからかおうとする客が絶えにゃくにゃったのだ。
「お願いですよ! チップ弾みますから……!」
「……うにゃあ、噛みそうにゃ、にゃがいのは勘弁にゃぜ?」
「おっけーです! では、バナナ七つを泣く泣く並べ奈良のナナフシ難なく嘶きナナホシテントウ何なりと」
「にゃがっ!? うぇっと……、ばにゃにゃにゃにゃつをにゃくにゃくにゃらべにゃらのにゃにゃふしにゃんにゃくいにゃにゃきにゃにゃほしてんとうにゃんにゃりと?」
自分でもにゃにを言っているか分からにゃいが、人間はオレがこれを言うのが嬉しいらしい。
余りにもご主人の客からそれを頼まれるため、ご主人が復唱要求を有料にしたくらいだ。
ぶっちゃけ、飲食店と関係にゃくにゃいか? これ。
「あぁ……、ありがとうございます。これで今週も頑張れそうです」
「にゃっははは、こんにゃんで頑張れるにゃらオレもご主人に頑張ってもらおうかにゃあ」
チラリとキッチンを振り向くと、ご主人はいそいそとフライパンを取り出していた。
わざとらしかった。
「あ、ゆっくりでいいですよ。何なら、ネムさんがソーセージを食べる余裕があるくらいゆっくりでも」
それに気付いた客も、嫌らしく笑ってわざとらしくそう言った。
その言葉に、キッチンからガシャンとにゃにかを落としたようにゃ音が聞こえた。
客と目が合い、思わずにんまりとお互いに笑ってしまう。
「んじゃ、オレも昼飯休憩させてもらうとすっかにゃあ……♪」
「どーぞどーぞ。私もまだ朝刊を読んでいなかったのでごゆっくりどうぞ……♪」
お言葉に甘えて、そう告げて客の机にお冷を置く。
それに合わせて客も鞄の中からヘッドフォンを取り出し、如何にもにゃにも聞こえない風に装着する。
そして朝刊を広げて、いってらっしゃいと小さく手を振る。
尻尾を振ってそれに応えて、オレもキッチンに戻っていった。
「ご主じーん、お客さん、ゆっくりでいいって言ってたぜ」
「うううう、うんっ! きっ、聞こえてたよ!?」
中華にゃべやら、フライパンやらにまみれてご主人は尻餅をついていた。
おまけに、耳まで満遍にゃく赤い。
さっきの客の台詞に、よっぽど度肝を抜かれたらしい。
「にゃっはははは、ご主人は相変わらず初心だにゃあ♪」
そんにゃご主人の股の間に腰を降ろし、オレは着ていた割烹着をはだけた。
着物はいい。脱ぎやすいから。
「ま、この前は散々っぱらオレが搾ったわけにゃし? 今日はオレがご奉仕してにゃるぜ?」
上半身をおもむろに露わにしたオレに、ご主人の愚息が勃ちあがる。
にゃにをされるか想像がついたのか、ご主人はブンブンと手を振って逃げようとする。
「い、いやいやネム!? ま、まだ営業時間だしさすがにそれはマズいと……!!」
「お得意さんが一人だけにゃぜぇ? それに、その客からもソーセージ食ってこいって言われたしにゃあ……♥」
「そ、ソーセージ!? だ、だったら冷蔵庫に魚肉ソーセージ余ってたからそっちで……!!」
往生際悪く逃げようとするご主人に、オレは見せびらかすように舌にゃめずりした。
そんにゃオレを見て、ご主人の顔が赤い顔のまま徐々に青ざめる。
「できれば、特濃ミルクもセットでオーダーしたいんだがにゃあ……♥」
不意打ちに、チャックを降ろすと、隆起したご主人の逸物が零れた。
早くも官能の香りを漂わせるそれに、換気扇のスイッチも押す。
ご主人の背後には壁があり、そんにゃご主人に迫るように、オレは自分の胸を反らす。
「確かよぉご主人? 前の時に随分とオレの胸がどうだって言ってにゃかったかぁ……?」
「む、胸がどうとは言ってな……ひぅ……っ!」
外気に晒された屹立を、自慢の艶のある毛に包まれた手で掴むと、ご主人のオクターヴが跳ね上がった。
肉球にご主人の肉棒が沈み込み、その硬さが伝わる。
「にゃあご主人、オレのおっぱい、でかいと思うにゃ?」
「え……っ?」
「いや、自分で見てもよく分かんにゃくてにゃあ……、ご主人はどう思うよ?」
そう言って、ご主人の目の前で揺らしてみせる。
ちにゃみに、もちろんだがノーブラだ。
「え、えぇーっと……、その、い、一般的には普通の部類かと……」
「一般とかそーゆーんじゃにゃくて、オレが聞いてんのはご主人の意見にゃ!」
「え、いや、む、胸とかそうゆう特定の部位に拘ったことがないけど……、その、いいと思うよ……?」
(大きいかどうかを聞いたつもりにゃんだが……)
ホルスタウロスのようにゃ、セックスアピールが胸のヤツには負ける。
だが、まにゃ板とは言わせにゃいと自負できるほどにはある。
個人的には、中途半端にゃサイズである。
そんにゃ胸を見下ろして、ついでにご主人の愚息も見下ろす。
まぁ、挟めそうにゃほどには大きいから、問題はにゃいはずだ。
「ん、しょっと……」
「うゎぅ……、や、やわこい……!」
おもむろに屈んで、ご主人の怒張を胸で挟み込むと、ご主人の体がぴくりと跳ねた。
「……ペロ」
「んっ……っくぅ……!」
谷間から飛び出た亀頭をにゃめると、ご主人の体がまたもぴくりと跳ねる。
青臭い香りと、男性特有の味に、気分が高揚する。
両手で胸を挟むように持ち、ご主人の陰茎に胸を形が変わるほど力強く押しつける。
そして、その谷間から顔を覗かせる亀頭を、大きく開いた口で咥えこむと、ご主人の体が大きく跳ねた。
「あ、あ、ひうぅ……!」
「んんっ、んぢぅ、ぢゅるるっ、ぇる、にちゃ……♥」
ご主人の体がピクピクと小刻みに震えるが、胸も舌も動きは止めにゃい。
舌先を尿道口に押し込むように動かすと、目に見えてびくりとご主人が震えた。
「ひゃあぅぅ……、そ、そこダメだよぅぅ……!」
「じゅぽっ……、オイオイご主じぃん……、そんにゃことオレに言っていいのかぁ……れろぉ……♥」
「や、ん……っ! そんな、先っちょばっかぁぁ……!」
まるでおんにゃのようにゃ嬌声をあげるご主人の顔は、子どものように無垢だった。
瞼を固く閉じて、唇もぎゅっと結んで、耳まで真っ赤にゃ顔は、にゃんど見てもいじめたくなる。
胸も上下に動かして扱き、まだまだ経験不足のご主人には確かにかにゃりの快感だろう。
だが、緩めにゃい。かわいいから。
「にゃふふふ……、ご主人ご主人、先走り汁が出てるぜぇ、ぇる、ぴちゃぴちゃ……♥」
「ふぇぅ……っ! ネムの舌……、なんかザリザリしてるんだけどぉ……!」
「猫の舌ってのは得てしてこうゆうモンにゃぜぇ……♥ こう、毛づくろいの時に毛を絡め取るためによぉ……♥」
そう言って、竿をにゃぞるようににゃめ上げる。
舌に生えた突起がぞりぞりと引っ掛かり、ご主人はブルブルと快感に打ち震える。
「そ、それもダメぇ……っ!
「ダメダメ言ってにゃいでよぉ……、少しは楽しまにゃいと終わっちまうぜご主じぃん……れろぉ……♥」
「ふあぅぅ……!」
もう一度ご主人の肉棒に浮かび上がった筋をにゃめ上げると、堪えるようにゃ甘い嬌声がご主人の口から漏れた。
ひくひくと引き攣るように動く肉棒から、射精が近いことが分かる。
オレは、その肉棒をむしゃぶりつくように頬ばった。
「んぐっ、んんんっ、んむんっ♥」
「あうあぁぁ……先っちょ、喉に当たってるぅぅぅ……!」
「ぢゅ、ぢゅる、ぇる、れる、ぢゅぢゅぅぅぅ……!」
肉棒に下を巻きつけて、口をすぼめて吸い込むと、ご主人の腰がガクガクと震えた。
それがスイッチににゃったのか、口いっぱいに『特濃ミルク』が流れ込んだ。
びゅくっ、びゅっ、びゅるるるっ!
昨日もかにゃり搾ったというに、衰えることのにゃい量である。
口の中には収まりきらにゃいほどに、ドクドクと注がれる精液を、ごくりと嚥下する。
「にゃふぅぅ……♥ いやはや、ご馳走さまだぜ、ご主人……♥」
「ひゃうぅぅ……」
恍惚とした表情でだらしにゃく口を開けるご主人に笑いかけると、ご主人も力にゃく微笑んだ。
そのかわいらしい笑顔に、下腹部がきゅぅっと疼く。
「んじゃあ……、次はご主人のためにオレが白桃のタルトでもご馳走してやるかにゃあ……♥」
割烹着の裾を手で払うと、愛液の滴る秘部にご主人の目が行き、とろんと目が蕩けたような色ににゃった。
口端から滴る精液をにゃめとり、オレはへたり込むご主人の目の前で立ち上がる。
そして、逆向きの肩車のように、ご主人の肩に足をかけると、ご主人は息苦しそうにもがき始めた。
「ん、んぐぅぅ……」
「にゃあ、ご主じぃん……味わって食ってくれよにゃあ……♥」
逃がさないように太腿でご主人の頭をしっかりと挟み込み、止めとばかりに疼く股間を押しつける。
その局部に、恐る恐ると舌が滑り込む。
「ふにゃぁあ……♥ にゃふぅぅん……♥」
………………………………
………………
………
客の元にロコモコ丼が届いたのが、時計の針が2時を回った時ににゃったのはにゃいしょのはにゃしである。
そう言って、ご主人の友達が人差し指を立てて区切った。
神だにゃの上から聞いていたが、ありきたりにゃ怪談ばにゃしである。
にゃんというか、季節はずれにゃ話だ。
「なんか変だなぁって思って、その猫の名前を呼んでみたんだよ」
オレ個人の意見を言えば、蝋燭の光を浴びてる友達の方が怖いにゃ。
「そしたら、振り返った猫の顔がな」
まったく、人間は随分と下らにゃいことを考えるにゃあ。
ちょうど猫のはにゃしをしてるみたいだし、ちょっと脅かしてみようか。
「にゃ「ぎゃああああああああああぁぁ!?」」
雄叫び。
勿論だが、オレの叫びじゃにゃい。
情けないはにゃし、ご主人の悲鳴である。
バタバタとテーブルからはにゃれて、ご主人は部屋にそにゃえられた電灯のスイッチを押した。
にゃに事か、というよりも、またご主人かよ、みたいにゃ白けた空気が漂っている。
「……やめてやめて、もう無理! 怖いっ!!」
こいつがオレのご主人、スイにゃのぜ。
見ての通り、ヘタレにゃ。かれこれ十年の付き合いだが、にゃおる兆しは見えにゃい。
ガタガタと生まれたての小鹿のように震えるご主人に、ご主人のおさにゃにゃじみが呆れたように声を出す。
「もう、翠は黙ってて! それで、続きは?」
「え゙え゙――? この状況でオチを……?」
友達は、そんにゃ風に躊躇する。
そりゃそうにゃ。
一度ぶった切って白けた雰囲気を盛り上げるほど、クオリティの高い話じゃにゃいのぜ。
とは言え、ここまで聞いたのならオチを聞かにゃいとスッキリしにゃい。
オレもちょっと聞いてみるか。
「えと……、その振り返った猫の顔が、なんとさっきの老婆の顔で……ってオチで……」
やっぱ残念だったにゃ。
どこか冷めた空気のにゃか、話を唯一まともに聞いていたおさにゃにゃじみは、友達の肩をポンと叩いた。
「ごめんね、聞きたがって……」
「だから言ったじゃねえか!?」
「にゃー……」(お前は悪くにゃいぞ、人間)
同情を禁じえにゃい。
というか、オレとしては随分と詰まらにゃい話にゃのぜ。
にゃんと言っても、オレのほうがよっぽど怪談だからにゃ。
お察しの通りだが、オレはネコマタだ。
ちなみにご主人は鈍いから気付いてにゃいし、秘密にしてるからそもそもバラすつもりはにゃいのぜ。
十年前にオレを拾ってくれたご主人には恩義を感じるが、いい加減そのヘタレ性をにゃおしてほしい。
(しかしにゃあ……)
チラリと、ご主人に視線を移す。
「だァ――、もう怪談ヤだ! 怖いっ!!」
(……タマ、マジで付いてんのかにゃあ、ご主人)
いや、ご主人のことは好きにゃよ?
やる時はやるやつにゃし、これで意外と胸も――失敬――度胸もあるにゃ。
でも、自覚がにゃいとは言え、ホラー(オレ)と生活してるヤツの台詞に聞こえにゃいのぜ。
「さて、そろそろお開きにすっか?」
「え!? 帰るの!?」
友達がそう言って立ち上がるのを見て、ご主人は慌てて立ち上がった。
恐らく一人が怖いのにゃろう。
「悪いな翠。俺、明日は仕事が早くてな」
「私も。じゃあね、翠」
「ちょ、待っ!?」
そう言ってご主人が引き止める間もにゃく、二人は入り口から出て行った。
やり場にゃく手を突き出すご主人に、ちょっと笑いそうににゃった。
だって、ご主人、涙目。
「……………」
……仕方にゃいにゃあ、ご主人は。
神だにゃから、ご主人の肩に飛び移る。
「あ……、ネム」
「にゃん♪」
ご主人ににゃみだは似合わにゃいのぜ。
まぁ、オレでも愛でて元気出せよ。
にゃで繰り回されるのはあまり好きじゃにゃいが、ま、まぁ……、今日はサービスにゃのぜ?
「ぺろぺろ」
「………………」
うぅん、怯えるご主人もやっぱご主人の味がするのぜ。
つーか、ご主人?
愛猫が愛情表現してのに無視は酷いんじゃにゃいか?
ごーしゅーじーんー?
「にゃっ、にゃ?」
肉球で頬を押しても、反応がにゃい。
どころか、急に抱きすくめられた。
「にゃっ!?」
ごごごっ、ご主人!?
そそ、そんにゃ唐突にアプローチされても困るんにゃが……!
つ、つーかご主人、力入れすぎにゃのぜ!
そんにゃしっかり抱きしめにゃくても、オレは逃げにゃいぞ!?
「そ……、そばにいてよ、ネム?」
……おや?
一抹の疑問が湧いたが、抱きすくめる腕は相変わらず震えている。
……おやおやおや?
そのままベッドまで連れて行かれ(ちょ、そんにゃ大胆にゃ♪)、抱き枕よろしくご主人がベッドに身を預ける。
震える腕には、しっとりと汗が滲んでいる。
「こ、ここにいてよ?」
……もしや、オレはこのままご主人と付かずはにゃれずの態勢で一晩にゃのか?
にゃにそれ、ステキ……♥
◆
神だにゃの上からご主人を見下ろすと、やはり寝不足のようだった。
まぁ、それでもしっかりと仕事をこにゃすご主人はさすがである。
ちなみに、ご主人の仕事は個人経営の食堂にゃのぜ。
そこそこ好評で、地元民には憩いの場所ににゃっている。
香ばしい炒め物の香りが鼻腔をくすぐり、オレもちょっと腹が減ってきた。
(でも、ご主人まだ仕事してるしにゃあ……)
ま、これでもオレは仕事中のご主人の忙しさは知っているつもりにゃのぜ。
昼ににゃる前だし、勝手に昼飯にさせてもらうとするか。
神だにゃから降りて、秘蔵のカツオ節を置いている物置へ行く。
勿論、ご主人にいらん気を遣わせないように、なるべく静かににゃ。
「まったく、ただの猫の振りも意外と疲れるもんだにゃあ」
誰もいにゃく、気兼ねする必要もにゃい物置で、そんにゃ他愛もにゃい愚痴を呟く。
昨晩はにゃま殺しだったからにゃあ……。
一晩中抱きしめたままて、嬉しくにゃいわけではにゃいが、割と辛かったのぜ
自慰にふけるわけにもいかず、ご主人に襲い掛かるわけにもいかず、にゃかにゃか大変だった。
「ま、ご主人ももう怯えてにゃさそうだったし、たまには悪くにゃいか」
甘える側としても、甘えられると嬉しいのぜ。
ま、それはさておき……えーっと、確かそこにカツオ節を隠してたようにゃ……っと。
って、あ。
ガダーン!
奥の方からカツオ節を引っ張り出す際に、積み重ねてあった箱を崩してしまった。
「やべっ、ご主人に怒られちまう……!」
慌てて、オレは物陰に隠れた。
アレで緩そうに見えて、ご主人は意外と厳しい。
こっそりカツオ節を隠していたことと、騒がしくしてしまったことがバレたら、メシ抜きににゃる!
そして、それは断固御免にゃのぜ!!
一拍置いて、ドタドタと慌ただしくご主人の駆け寄ってくる足音が聞こえてくる。
ガラッ
「……あ、あれ、だ、誰もいない……?」
ごめんご主人、ホントはオレのせい……。
で、でも仕方にゃいよにゃ?
怒られるのが分かってたら、誰だっネムうするよにゃ?
「……ま、まさか、お、お化け……?」
………………………………。
いや、んにゃわけねーだろ!?
え、にゃに? ご主人、もしかして実はまだビビってたにゃ!?
……ん、んー、だとすると、ご主人に悪いことしたにゃあ……。
ビクビクと辺りを確認しにゃがら仕事に戻るご主人に、申し訳にゃく合掌。
「すまんにゃのぜ……ご主人」
◆
喉をにゃでられるのは気持ちいい。
すっかり夜ににゃり、ご主人はオレを膝に置いてTVを見ている。
他愛もないコントも、オレから見れば下らにゃくてあまり面白くにゃい。
ご主人もまだ怯えているのか、おどおどしてあまりTVに集中していにゃかった。
「…………っ」
しかし、分かってはいたがご主人もビビり性だにゃあ。
というか、にゃんで人間はいもしにゃいヤツに怯えるのかにゃあ。
オレにはイマイチ理解できにゃいのぜ。
でも、分かることも勿論ある。
(きっと、オレがネコマタって知ってもご主人はビビるんだろうにゃ……)
にゃにせ、昨晩聞いた怪談は猫のはにゃしだった。
オレはババアじゃにゃいが、人に変身したらご主人はオレをネムって言ってくれるのかにゃあ?
……化物って、言われにゃいかにゃあ?
「…………」
いかんいかん、にゃにを弱気ににゃっているんだオレは。
ご主人がこんにゃに怯えているのに、オレまで盛り下がったらドツボじゃにゃいか。
ご主人の心の安寧を助けるペットとして、オレがご主人を支えるところだぜ、ここは。
ピロリン♪
「あ、お風呂沸いた……」
そう言って、ご主人は立ち上がった。
うむ、風呂にゃらば仕方にゃい。
ご主人が風呂から上がったら、付きっ切りでオレが一緒にいてやるか。
そう思い、ご主人から離れようとするオレの脇を、ご主人の手が掴んだ。
「にゃ?」
「そう言えば、ネムもそろそろ洗わないといけないよね?」
……………………………………。
お、おいご主人?
それはアレだよにゃ?
本当はお化けが怖いから一緒にいてほちぃ的にゃアレだよにゃ?
だって笑顔引き攣ってるぞ?
ちょ、オイオイご主人!? マジでオレも風呂入らにゃいとダメにゃのか!?
「ぎにゃぁぁあああ――――!?」
「ちょっ、暴れちゃだめだよ!?」
いやいやご主人、風呂は、風呂だけは勘弁にゃぜ!
そもそも、オレは意外かもしれにゃいが綺麗好きだからそんにゃ汚れてにゃい!
だから風呂は勘弁にゃ! ぬ、濡れるのは気持ち悪いから嫌にゃぁぁああ!
「た、頼むよネム……、昼間みたいにお化けが出たら、その、ネムも怖いでしょ……?」
いやご主人が怖いんにゃろ!?
とゆーか、昼間のはにゃしを持ち出されたら、オレも抵抗し辛いにゃが!?
あ、ちょっ、マジで風呂は止め――にゃあああああああ!?
抵抗むにゃしく、オレは洗面器のにゃかで洗われていた。
超気持ち悪い。だが、ご主人もまだビクビクと怯えているようにゃので、甘んじて受け入れた。
そもそも、自業自得にゃのだ。
昼間にオレがご主人をおどかさにゃければ、こんにゃ事ににゃらなかったハズにゃのだ。
しっかし、やっぱ匂いが消されるのはにゃれにゃいぜ。
シャンプー、っつったか?
妙にゃ匂いがしてあんまり好きじゃにゃいんだが……。
「ネム、気持ちいい?」
……まぁ、ご主人手ずからの揉み洗いにゃから許すとしよう。
「んにゃっ!」(褒めて遣わす!)
しっかし、ご主人は猫飼い暦十年のハズにゃのに、にゃんで猫は風呂嫌いって分からにゃいのか……。
濡れるのも困るが、ご主人の全裸が一番困る。
常日頃からご主人へ迸る熱い性欲を抑えつけているというに、このご主人、実は誘ってるんじゃにゃいか?
まぁ、安易に勘違いしてご主人を襲ってにゃかれたら困るし、今日も我慢の日にゃんだが……。
体に悪すぎるのぜ……。
「あはは……、ごめんね? 僕が臆病だからって一緒にお風呂まで入ってもらって」
「にゃ、にゃっ!」(いやいや、ご主人を守ることこそオレの使命にゃのぜ? 気にすんにゃ)
ま、言っても伝わらんけどにゃ。
我慢は体に毒かもしれにゃいが、ご主人と一緒にいられるにゃら安いモンにゃぜ。
むにゃしいはにゃしだが、ま、満足にゃ。
「さ、ネム。漱ぐよ」
そう言ってご主人は、泡まみれのオレにシャワーを浴びせる。
まるで雨のような水飛沫に、人間の文明の恐ろしさを覚える。
オレみたいな猫の嫌がらせのようにゃ文明の利器が、一体いくつあるのか聞いてみたい。
ひょっとして人類は、オレら猫族を愛玩動物じゃにゃくて積年の恨みの募った仇として見てるんじゃにゃいか?
そんにゃ下らにゃいことを考えているうちに、泡を濯ぎ落とし終わった。
「にゃふ……」(おぉー、あったけー……)
濡れるのは嫌だが、このにゃま温さは悪くにゃい。
そう思っている内に、ご主人はオレの入っている洗面器を持ったまま、浴槽へ入る。
オレも、浴槽の上でプカプカと揺られる。
「ふにゃー」(あー、極楽極楽)
「僕が言うのもなんだけど、ネムおっさん臭いよ」
洗面器のにゃかでくつろぐオレに、ご主人はけらけらと笑う。
というか、元気が出てにゃによりだがご主人、レディに向かっておっさんは酷くにゃいか?
いや、オレもご主人の前でメスらしく振舞った覚えはにゃいが……。
「にゃあ」(オイご主人)
「ん? どうしたの、ネム?」
「フカァ―――ッ!!」(恋する乙女におっさんとか言うにゃァ―――!!)
頚動脈に甘噛んだ。
ただし、容赦はしにゃい。
「あいっ、ったぁ―――!?」
「もがぐりもがじり」(うまうま)
「ちょっ、ネム!? そんな入念に噛みつかないでよ!?」
というか、洗面器から飛び出した今、ご主人にしがみ付いとかにゃいと湯船に落ちる。
それにアレにゃ。
にゃんかご主人から他のメスの匂いがしたから、しっかり消しとこうとにゃ。
決して、断じて考えにゃしにご主人に飛びついて湯船に落ちるのが怖いとか、決してそんにゃんじゃにゃい。
「痛い痛い痛い! 何で爪まで立てるの!?」
「ふにゃうぅぅ……!!」(こ、っら暴れんにゃご主人!? オレが風呂に落ちたらどうすんだにゃ!?)
「あぁ、もう!? ほら、洗面器寄せるから、ほら! 早く飛び移って!?」
そう言って、ご主人はにゃかば強引にへばり付くオレを剥いで洗面器に入れる。
が、その勢いが強すぎたのか、オレを入れた洗面器は引っくり返ってしまった。
当然、オレの体は浴槽の中に沈みこんだ。
「にゃぼごがぶ……!」
「あ、ちょっ、ネム!?」
あ、ヤバい。口とはにゃと耳から水が入り込んでくるのが分かる。
バタバタと手足が水中で空回りしてるのが分かる。
要するに、死ぬほど苦しい。
「ぶっ……ごぼぼ……!」
口のにゃかから沢山の空気が詰まった泡が飛び出る。
もがいても、もがいても水ばかりでにゃにもにゃい。
必死の思いで暴れると、オレの手を誰かが掴んだ。
それにしがみつくと、力強く引っ張り出され、大して危にゃげもにゃくオレは救出された。
「げほ……、げほ、げっほ……」
両腕で引っ張り出してくれたご主人にしがみ付き、飲んでしまった水を咳き込んで吐き出す。
水が嫌いとかとういう以前に、溺れて死ぬかと思ったのぜ。
「………あ、あの……ね、ネム?」
空気うめー、マジうめー……。
いや、さすがご主人、オレの危険をいち早く察知するとは本当にさすが……――って、ん?
ご主人にしがみ付いている手が、視界に入った。
普段と同じ猫手だが、2回りどころか3回りほど手が大きくにゃっている。
とゆうか、今更だが、オレ、いま全身でご主人に抱きついてにゃいか……?
「その……、だ、大丈夫、って聞くところなんだろうけど……、その、ネム……なんだよね?」
「…………に、にゃー」
声のトーンが、いつもと違う。
全身で感じるご主人の華奢な体は、意外と引き締まっていて硬い。
いや、今はそれどころではにゃいだろ。
これ、もしかして猫化の術が解けてにゃいか………?
恐る恐る、顔を上げてみると、どこか赤いご主人の顔が目の前にあった。
「ネム……って、その……、ネコマタ……だったんだね……?」
照れ笑いのように頬を掻きながら、ご主人は苦笑した。
い、いやいや待て。確かにオレの視点がにゃにか高いようにゃ気はするが、きっと気のせいのはずだ!
「にゃにゃ!? にゃー、にゃう!?」
「あ、あー……、その、む、胸が……当たってるんだけど……」
そう言われて、ご主人のむにゃ板とオレの体に押し潰される双丘にようやく気が付いた。
見下ろして、諦めざるを得にゃくにゃった。
猫化の術は、完全に解けていた。
オレはいま、痴女よろしくに、ご主人に、浴槽で、全裸で抱きついていた。
……抱き心地が良くて、凄く気持ちいい。
「…………」
「あ、あの……ネム? 何か、さっきより力が強くなった気がするんだけど……?」
ぎゅー、っと抱きしめる。
黒髪から、オレを洗ったシャンプーの匂いがする。
チャプチャプとにゃみを立てる湯船の音だけが、浴室のにゃかでやけに大きく聞こえる。
……バレ、ちゃったんだよにゃあ。
「……にゃあ、ご主人?」
「う、うんっ!? な、なに!?」
ご主人の声が上擦る。
が、構わずにオレは続ける。
「見ての通り、その、オレはネコマタにゃけど……、その、怖かったりしにゃいか……?」
「……っえ?」
オレの質問に、ご主人は素っ頓狂にゃ声をあげた。
「……えっと……、そ、それって、ネムが……って、こと?」
「それ以外、誰がいるにゃ」
「いや……、まぁ、いないけど……」
決まり悪そうに、ご主人はオレの腕の中で頬を掻いた。
そんなご主人に対して、にゃい心オレはビクビクしていた。
いま現在、ご主人はにゃによりもお化けに怯えている。
そんにゃご主人の傍に、ずっとオレみたいにゃ化物が一緒にいたのだ。
考えるだけで、おぞましいはにゃしだろう。
「その……、ネムは……」
そこで、ご主人は一つ区切る。
その間が、怖い。
「………ね、ネムは……、その……、ネム……なんだよね?」
「……あ、当たり前にゃ。オレは、ご主人の飼い猫のネムにゃぜ」
ご主人の顔を真正面から見にゃがら、オレは誠実に見えるよう答えた。
ご主人の瞳の光が、ちらちらと揺れている。
怯えか、畏れか、にゃんの色かまでは分からにゃい。
が、きっとオレの目も、ご主人以上に揺れているはずだ。
だって、いまオレ、死ぬほど怖い。
ご主人に、怖いって言われるのが、凄く怖い。
「……………」
「にゃ、にゃんだよご主人……、だ、黙ってると、分からにゃいんだが……」
そう言いつつも、オレはご主人から目を逸らしてしまった。
吸い込まれるようにゃ黒い瞳に、オレの怯えが覗かれそうで怖い。
「……いや、その……、じゃあ、怖くない、かな?」
「じゃあ、って、にゃんぞそれ!」
「あ痛っ!」
思わずチョップ。
「にゃあご主人、オレはこれでも真剣に聞いてるつもりにゃぜ? 正直に答えろよにゃ?」
「やっ、でもネムなんでしょ!? だったら別に怖がることないと思うし……!」
「まぁ、別にオレもご主人を怖がらせるつもりはにゃいが……」
「それよりもネム、女の子なのに『オレ』はちょっとお行儀悪いと思うんだけど」
「いまそんにゃ事はにゃしてる場合じゃにゃいよにゃ……?」
話してる場合だよ、とご主人は人差し指を立てた。
「ネムは僕の家族なんだから、行儀正しくないとダメでしょ?」
プンプン、なんて擬音が響きそうにゃ、ご主人の言葉。
子どものように頬を膨らませて言ったご主人に、少し理解が遅れた。
『僕の家族』ご主人は確かにそう言った。
「い、一緒にいていいのにゃ……?」
「え、も、もしかしてどこか行っちゃうの?」
オレの質問に、怒ったように人差し指を立てていたご主人が目に見えて狼狽する。
どこかに行くつもりは、これでにゃくにゃった。
慌てるご主人の体を押さえつけるように、オレはご主人を改めて抱きしめた。
「ちょっ、ね、ネム!?」
「ご主人……、ちょっとしばらくこうさせてくれにゃ」
行けるわけにゃいだろーが。
オレの家族にゃのに、ご主人を置いてどっかに行けるわけにゃんて……、あるわけにゃいだろーが。
とゆうか、はにゃすもんか。
ご主人は、一生、オレのご主人にゃ。
「むしろ、ご主人こそ勝手にどっか行ったら怒るからにゃ……」
「あー、僕これでも結構ネムを溺愛してたつもりなんだけど、ネムは僕がそんなことするヤツに見えるのー?」
刺のあるご主人の言葉も、耳に心地いい。
いつもとおにゃじ調子でご主人はオレの頭をにゃでて、オレの体を温かく抱きしめてくれた。
不意に、目頭が熱くにゃった。
「ご主人……、ごしゅじぃぃんんん……」
「……っへ? ちょ、ネム? な、何で泣いてるの!? あれ、ごめん、僕ってば言い過ぎた!?」
違う。ご主人はにゃにも言い過ぎてにゃい。
むしろ、ご主人の言葉のおかげでオレは凄く安心した。
ご主人がオレを家族って言ってくれて、凄く胸が疼いた。
それがどうしようもにゃく嬉しくて、涙腺がちょっと緩んでしまったのだ。
「ひぐっ……、ご主人がご主人で良がったにゃあ……って、ぐす……」
「あ、はは……、飼い主冥利に尽きるなぁ……」
頬をうっすらと染めて、ご主人は照れたように頬を掻く。
そして、途端に微妙な面持ちににゃり、続けた。
「それよりも、さ。さっきから胸が、その……、当たって、るんだけど……」
「にゃ?」
そう言えば、よくよく考えてみれば、オレとご主人は互いに裸で抱き合っていた。
チャプチャプとにゃみ立つ浴槽、そして電子時計は既に0時を回っている。
湯船もすっかり冷めてしまったのかぬるい。
そんにゃにゃか、いま現在オレはご主人のむにゃ板に自分の胸を押し付けている。
「……にゃあご主人、オレのこと好きだよにゃ?」
「……え、えぇーっと……」
「好きって言わにゃいと、にゃいちゃうぜ?」
「……さ、さっきから泣いてなかったかなぁ……?」
「とゆーか、ご主人のもさっきからオレの太腿に当たってるにゃよ?」
「そ、それはアレだよ? ほら、男の子って数学の授業中にもいきなり勃っちゃう時ってあるし……」
「にゃあご主人、諦めてスケベしようやぁ――って、あ痛っ!」
ご主人チョップ炸裂。
ヘタレ性にゃご主人相手に、ちょっと急を要しすぎたかもしれにゃい。
まぁ、にゃったらアレだ。押してダメにゃら突き破るまでにゃ。
「む、ムリヤリそうゆうことするのは良くないよ!」
「……ぐすっ」
「……え?」
「ごしゅじん……、オレのこと嫌いにゃのか……?」
そう、オレは猫だ。
にゃみだ目で、上目遣いで、ご主人に媚びることにはにゃれている。
餌の催促が、交尾の催促に変わっただけのはにゃしにゃ。
十年の間、伊達にペットはやってにゃいぜ!
「ごしゅじん……、ほんとはオレのこと嫌いにゃから、そう言うのにゃ……?」
「え、ちょっ、そそ、そういうことじゃなくて、節操がないとか、そういう話なわけで……!」
「……そんにゃ言い訳しにゃくてもいいのにゃ。オレは行儀も悪いし、節操にゃしだからにゃあ……」
「い、言い訳じゃないよ! ネムがいい子なの、僕はちゃんと知ってるし!」
「……ごしゅじん、オレのこと、ほんとに嫌いじゃにゃいのか……?」
……言ってて背にゃかがくすぐったくにゃったのぜ。
「嫌いじゃない!! 僕はネムの事、大好きだよ!」
「……ほんとに?」
「本当だよ」
「ほんとのほんとに?」
「本当の本当に」
……ヘタレ性、というのは訂正した方がいいのかもしれにゃい。
思った以上のご主人の言葉の破壊力に、さっきから頬が熱い。
ストレート、レーザービーム、急速200キロである。
「……その、オレもご主人のこと、大好きにゃぜ?」
「……うん、そう言ってもらえて、嬉しいよ」
「――とまぁ、ご主人もオレのことが好きにゃら合意の上だし問題にゃいよにゃ?」
というか、さっきの言葉のせいで余計に歯止めが効かにゃくにゃった。
胸も切にゃいし、下腹部のあそこもジンジンと疼いている。
正直、我慢なんてできるわけがにゃい。
「え、ちょっ、うわ!?」
バシャッ、と水飛沫をあげてご主人を浴槽の壁に押し倒す。
そのまま抵抗させにゃいように、素早くご主人の股間に跨った。
太腿に、お風呂のお湯よりもご主人の熱い逸物が押し付けられ、ますます情欲がそそられる。
「にゃあ、いいよにゃあご主人♥ オレ、このときを十年待ったんだぜ……♥」
「い、いや、その、こういうことするのも、その、吝かじゃないけど、こ、心の準備が……!」
「だいじょーぶだいじょーぶ、オレに任せにゃって……♥」
ご主人の心の準備にゃんか待っていたら、もう十年はかかる。
吝かじゃにゃい、にゃんてご主人は素にゃおじゃねぇにゃあ……♥
挿入のために肉棒を掴むと、ご主人は甘い声を出した。
「うぁ……ぅ……!」
「我慢しろよご主じぃん……、あんまり声出すと、翌日におとにゃりさんから噂されちゃうぜぇ……?」
嫌らしく笑い、ご主人の肉棒の角度を調整し、ゆっくりと腰を降ろす。
準備万端だった秘部に先端が滑り込み、メチャクチャに熱い……っ!
ご主人の熱さが、にゃかに入ってくる……!
「お、いおい……、ご主じぃんん……、にゃんだかんだで、ギンギンじゃにゃいかよぉ……♥」
「だって……、こんな目の前にネムがいたら、その……――ひあぅっ!?」
じれったくご主人の先端を包んでいた腰を一気に降ろすと、ご主人はびくっと体を震わせた。
ちゃぷん、と波紋が立ち、浴室にご主人の嬌声が木霊する。
「あ、あぁぁ……、ね、ネム……、も、もうちょっとゆっくりぃ……!」
「ダメにゃぜぇ……、んっ、もっと、もっと奥をヤってもらわにゃいと、満足できにゃいにゃあ……♥」
「うぁ……、その、奥でぐりぐりするの……、止めぇ……!」
子宮口にご主人の硬い先端に押し付け、円を描くように腰を揺らす。
膣にゃいで感じるご主人の怒張は、しっかりと形大きさまで分かる。
そしてにゃによりも、快感に歪むご主人の顔はにゃによりも嗜虐心をそそる。
「オイオイご主人……、そんにゃ切にゃそうにゃ顔で言っても説得力がにゃいぜぇ……♥」
「そんな顔って言われても……、き、気持ちよすぎてぇ……!」
「にゃふん♥」
「うあっ!?」
不意打ちにずりゅっと腰を引くと、ご主人の顔が一層蕩けたものににゃる。
……いかん、これは癖ににゃりそうだ……♥
「にゃはぁ……、にゃあご主人? ご主人から動いても、別にいいんだぜぇ……♥」
「は、うぅ……、ぼ、僕からぁ……?」
「そぉそぉ……、にゃあご主じぃん……、気持ちいいからよぉ、動いてみにゃよぉ……♥」
恍惚に浸るご主人にそう言うと、ご主人は上の空でうにゃずいた。
そしてゆっくりとオレの腰に手を回し、しっかりと抱きすくめる。
「う、動くよ……?」
遠慮がちにそう言い、ご主人はゆっくりと肉棒を押し込み始める。
ずりゅずりゅと膣壁に擦れて、焦らすような速度が堪らにゃく気持ちいい……。
「ふにゃぁぁあ……♪ 悪く、にゃいんじゃにゃいかぁぁあ……♥」
「うあぅぅ……、ネムの中、熱くて、気持ちいいぃぃぃ……!」
それを言ったら、ご主人のモノもである。
太く大きいご主人の屹立がゆっくりと膣内に沈み込んでいき、やがてにゃんとか全て収まりきった。
オレの体にしがみ付きにゃがら、ご主人は荒い息を吐いている。
「はぁ、あぅぅ……、はっ、ふぅぅぅ……!」
「にゃんだぁご主人……、もしかして、もうギブアップかぁ……?」
「ごめ……っ、こっ、これ以上動いたら、で、ちゃううぅ……!」
射精を必死に堪えるように、ご主人は顔を真っ赤にしてぷるぷると震えていた。
膣内でも肉棒がピクピクと痙攣するようにゃ動きをしているのが、如実に分かる。
口元からは涎を垂らし、瞼をぎゅっと閉じて我慢する表情は、みっともにゃくてかわいい……♥
「そっかそっかぁ……、これ以上動いちゃったら出ちゃうのにゃあ……♥」
「……ひうっ……うぅぅ……、止め、ネムうぅぅぅ……!」
射精をさせるにゃら、もちろん奥だ。
始めにヤったように、ご主人の先端に子宮口をぐりぐりと押し付ける。
円を描くように腰を振り、ご主人の林檎のように熟れた頬を、ベロリとにゃめた。
「我慢すんじゃにゃいぜご主じぃん……、いっぱい、いっぱい出せよにゃあ……♥」
「あうぅぅ……!」
「ほらほらぁ……、もう限界にゃんだろぉ? 孕んでやるからよぉ、ほらほらぁ……♥」
恍惚と、快楽に耐える必死の表情を足して二で割ったようにゃ顔つきのご主人を、ねちっこくいじめる。
おっさん呼ばわりの仕返しである。
「ひ、あ……っう……、出る、出ちゃうぅぅ……!」
びゅくっ、びゅる、びゅるるるるっ!
「ふにゃ、にゃうぅぅぅううん♪ ご主人の、入ってくるぅぅ……♪」
ご主人の逸物よりも熱い、ご主人の子種が、ドクドクと中に注がれる。
子宮口にかけられ、膣内を流れ、溢れ出た精子が湯船に浮かぶ。
「ふ、あぁぁぁ……」
射精後の脱力か、ご主人はぐったりと全身の力が抜けたかのようにオレにもたれかかる。
快楽に浸る恍惚に蕩けた表情に、思わず舌にゃめずりしてしまう。
「にゃふ、にゃふふふ……、ご主人、ご主人、ご主人んん〜♥」
「ふ、あぁぁ……ね、ネム、まだ、敏感だからぁぁ……!」
ジャブジャブと湯船ににゃみ立つほど、オレはもたれかかるご主人に腰を振り始める。
逃げようと身を引きかけたご主人の体を、精一杯の力で抱きしめ、足を背にゃかに回してホールドする。
しっかりと捕まえられ、ご主人にはそんにゃオレを引き剥がすだけの余力にゃんてにゃかった。
ご主人に全体重を預け、貪るようににゃんどもにゃんども秘部をご主人に押しつける。
ぐちゅぐちゅと、愛液と精液が接合部から漏れでて、うっすらと白い。
「一人だけイクにゃんて狡いぜご主人んん……、オレも、オレもご主人でイカせろよにゃあ……♥」
「うっ、あっ、あうぅぁぁあ……!」
あられもにゃい嬌声と、湯船の水音だけが浴室に響く。
こうして、オレとご主人の夜は更けていった。
◆
「ご主じーん、ロコモコ丼一丁にゃあ」
あの後、ネコマタであることを隠す必要のにゃくにゃったオレは、ご主人に頼んだ。
ご主人の仕事を手伝わせて欲しい、と。
個人経営で、いつも一人で働いていたご主人を、昔から支えたいと思っていたのだ。
そりゃ、ご主人みたいに料理にゃんて器用にゃことはできにゃいが、接客くらいにゃら出来る。
だが……、
「ネムちゃんネムちゃん、追加注文、いいですか?」
「……もしかして、またアレかにゃ?」
人語が喋れる、というのは意外と大変である。
面白がって、オレをからかおうとする客が絶えにゃくにゃったのだ。
「お願いですよ! チップ弾みますから……!」
「……うにゃあ、噛みそうにゃ、にゃがいのは勘弁にゃぜ?」
「おっけーです! では、バナナ七つを泣く泣く並べ奈良のナナフシ難なく嘶きナナホシテントウ何なりと」
「にゃがっ!? うぇっと……、ばにゃにゃにゃにゃつをにゃくにゃくにゃらべにゃらのにゃにゃふしにゃんにゃくいにゃにゃきにゃにゃほしてんとうにゃんにゃりと?」
自分でもにゃにを言っているか分からにゃいが、人間はオレがこれを言うのが嬉しいらしい。
余りにもご主人の客からそれを頼まれるため、ご主人が復唱要求を有料にしたくらいだ。
ぶっちゃけ、飲食店と関係にゃくにゃいか? これ。
「あぁ……、ありがとうございます。これで今週も頑張れそうです」
「にゃっははは、こんにゃんで頑張れるにゃらオレもご主人に頑張ってもらおうかにゃあ」
チラリとキッチンを振り向くと、ご主人はいそいそとフライパンを取り出していた。
わざとらしかった。
「あ、ゆっくりでいいですよ。何なら、ネムさんがソーセージを食べる余裕があるくらいゆっくりでも」
それに気付いた客も、嫌らしく笑ってわざとらしくそう言った。
その言葉に、キッチンからガシャンとにゃにかを落としたようにゃ音が聞こえた。
客と目が合い、思わずにんまりとお互いに笑ってしまう。
「んじゃ、オレも昼飯休憩させてもらうとすっかにゃあ……♪」
「どーぞどーぞ。私もまだ朝刊を読んでいなかったのでごゆっくりどうぞ……♪」
お言葉に甘えて、そう告げて客の机にお冷を置く。
それに合わせて客も鞄の中からヘッドフォンを取り出し、如何にもにゃにも聞こえない風に装着する。
そして朝刊を広げて、いってらっしゃいと小さく手を振る。
尻尾を振ってそれに応えて、オレもキッチンに戻っていった。
「ご主じーん、お客さん、ゆっくりでいいって言ってたぜ」
「うううう、うんっ! きっ、聞こえてたよ!?」
中華にゃべやら、フライパンやらにまみれてご主人は尻餅をついていた。
おまけに、耳まで満遍にゃく赤い。
さっきの客の台詞に、よっぽど度肝を抜かれたらしい。
「にゃっはははは、ご主人は相変わらず初心だにゃあ♪」
そんにゃご主人の股の間に腰を降ろし、オレは着ていた割烹着をはだけた。
着物はいい。脱ぎやすいから。
「ま、この前は散々っぱらオレが搾ったわけにゃし? 今日はオレがご奉仕してにゃるぜ?」
上半身をおもむろに露わにしたオレに、ご主人の愚息が勃ちあがる。
にゃにをされるか想像がついたのか、ご主人はブンブンと手を振って逃げようとする。
「い、いやいやネム!? ま、まだ営業時間だしさすがにそれはマズいと……!!」
「お得意さんが一人だけにゃぜぇ? それに、その客からもソーセージ食ってこいって言われたしにゃあ……♥」
「そ、ソーセージ!? だ、だったら冷蔵庫に魚肉ソーセージ余ってたからそっちで……!!」
往生際悪く逃げようとするご主人に、オレは見せびらかすように舌にゃめずりした。
そんにゃオレを見て、ご主人の顔が赤い顔のまま徐々に青ざめる。
「できれば、特濃ミルクもセットでオーダーしたいんだがにゃあ……♥」
不意打ちに、チャックを降ろすと、隆起したご主人の逸物が零れた。
早くも官能の香りを漂わせるそれに、換気扇のスイッチも押す。
ご主人の背後には壁があり、そんにゃご主人に迫るように、オレは自分の胸を反らす。
「確かよぉご主人? 前の時に随分とオレの胸がどうだって言ってにゃかったかぁ……?」
「む、胸がどうとは言ってな……ひぅ……っ!」
外気に晒された屹立を、自慢の艶のある毛に包まれた手で掴むと、ご主人のオクターヴが跳ね上がった。
肉球にご主人の肉棒が沈み込み、その硬さが伝わる。
「にゃあご主人、オレのおっぱい、でかいと思うにゃ?」
「え……っ?」
「いや、自分で見てもよく分かんにゃくてにゃあ……、ご主人はどう思うよ?」
そう言って、ご主人の目の前で揺らしてみせる。
ちにゃみに、もちろんだがノーブラだ。
「え、えぇーっと……、その、い、一般的には普通の部類かと……」
「一般とかそーゆーんじゃにゃくて、オレが聞いてんのはご主人の意見にゃ!」
「え、いや、む、胸とかそうゆう特定の部位に拘ったことがないけど……、その、いいと思うよ……?」
(大きいかどうかを聞いたつもりにゃんだが……)
ホルスタウロスのようにゃ、セックスアピールが胸のヤツには負ける。
だが、まにゃ板とは言わせにゃいと自負できるほどにはある。
個人的には、中途半端にゃサイズである。
そんにゃ胸を見下ろして、ついでにご主人の愚息も見下ろす。
まぁ、挟めそうにゃほどには大きいから、問題はにゃいはずだ。
「ん、しょっと……」
「うゎぅ……、や、やわこい……!」
おもむろに屈んで、ご主人の怒張を胸で挟み込むと、ご主人の体がぴくりと跳ねた。
「……ペロ」
「んっ……っくぅ……!」
谷間から飛び出た亀頭をにゃめると、ご主人の体がまたもぴくりと跳ねる。
青臭い香りと、男性特有の味に、気分が高揚する。
両手で胸を挟むように持ち、ご主人の陰茎に胸を形が変わるほど力強く押しつける。
そして、その谷間から顔を覗かせる亀頭を、大きく開いた口で咥えこむと、ご主人の体が大きく跳ねた。
「あ、あ、ひうぅ……!」
「んんっ、んぢぅ、ぢゅるるっ、ぇる、にちゃ……♥」
ご主人の体がピクピクと小刻みに震えるが、胸も舌も動きは止めにゃい。
舌先を尿道口に押し込むように動かすと、目に見えてびくりとご主人が震えた。
「ひゃあぅぅ……、そ、そこダメだよぅぅ……!」
「じゅぽっ……、オイオイご主じぃん……、そんにゃことオレに言っていいのかぁ……れろぉ……♥」
「や、ん……っ! そんな、先っちょばっかぁぁ……!」
まるでおんにゃのようにゃ嬌声をあげるご主人の顔は、子どものように無垢だった。
瞼を固く閉じて、唇もぎゅっと結んで、耳まで真っ赤にゃ顔は、にゃんど見てもいじめたくなる。
胸も上下に動かして扱き、まだまだ経験不足のご主人には確かにかにゃりの快感だろう。
だが、緩めにゃい。かわいいから。
「にゃふふふ……、ご主人ご主人、先走り汁が出てるぜぇ、ぇる、ぴちゃぴちゃ……♥」
「ふぇぅ……っ! ネムの舌……、なんかザリザリしてるんだけどぉ……!」
「猫の舌ってのは得てしてこうゆうモンにゃぜぇ……♥ こう、毛づくろいの時に毛を絡め取るためによぉ……♥」
そう言って、竿をにゃぞるようににゃめ上げる。
舌に生えた突起がぞりぞりと引っ掛かり、ご主人はブルブルと快感に打ち震える。
「そ、それもダメぇ……っ!
「ダメダメ言ってにゃいでよぉ……、少しは楽しまにゃいと終わっちまうぜご主じぃん……れろぉ……♥」
「ふあぅぅ……!」
もう一度ご主人の肉棒に浮かび上がった筋をにゃめ上げると、堪えるようにゃ甘い嬌声がご主人の口から漏れた。
ひくひくと引き攣るように動く肉棒から、射精が近いことが分かる。
オレは、その肉棒をむしゃぶりつくように頬ばった。
「んぐっ、んんんっ、んむんっ♥」
「あうあぁぁ……先っちょ、喉に当たってるぅぅぅ……!」
「ぢゅ、ぢゅる、ぇる、れる、ぢゅぢゅぅぅぅ……!」
肉棒に下を巻きつけて、口をすぼめて吸い込むと、ご主人の腰がガクガクと震えた。
それがスイッチににゃったのか、口いっぱいに『特濃ミルク』が流れ込んだ。
びゅくっ、びゅっ、びゅるるるっ!
昨日もかにゃり搾ったというに、衰えることのにゃい量である。
口の中には収まりきらにゃいほどに、ドクドクと注がれる精液を、ごくりと嚥下する。
「にゃふぅぅ……♥ いやはや、ご馳走さまだぜ、ご主人……♥」
「ひゃうぅぅ……」
恍惚とした表情でだらしにゃく口を開けるご主人に笑いかけると、ご主人も力にゃく微笑んだ。
そのかわいらしい笑顔に、下腹部がきゅぅっと疼く。
「んじゃあ……、次はご主人のためにオレが白桃のタルトでもご馳走してやるかにゃあ……♥」
割烹着の裾を手で払うと、愛液の滴る秘部にご主人の目が行き、とろんと目が蕩けたような色ににゃった。
口端から滴る精液をにゃめとり、オレはへたり込むご主人の目の前で立ち上がる。
そして、逆向きの肩車のように、ご主人の肩に足をかけると、ご主人は息苦しそうにもがき始めた。
「ん、んぐぅぅ……」
「にゃあ、ご主じぃん……味わって食ってくれよにゃあ……♥」
逃がさないように太腿でご主人の頭をしっかりと挟み込み、止めとばかりに疼く股間を押しつける。
その局部に、恐る恐ると舌が滑り込む。
「ふにゃぁあ……♥ にゃふぅぅん……♥」
………………………………
………………
………
客の元にロコモコ丼が届いたのが、時計の針が2時を回った時ににゃったのはにゃいしょのはにゃしである。
13/02/11 16:43更新 / みかん右大臣