依頼編
俺の名はコレック。
この町で探偵事務所を開いている。
「暇ですね〜」
新聞を読む俺の横で、ソファでごろごろしながら助手のスフインクス、ソノミ君がだるそうにしている。
「行儀が悪いぞ。君も新聞くらい読んだらどうだ。」
「嫌です。こう暇だとな〜んにもする気が起きませ〜ん。」
やれやれ、怠け者な助手だ・・・
「そういうな。
いったん事件が起きたらすぐに忙しくなるさ。」
とは言ったものの、こうも暇だと逆に疲れてしまうな。
何か依頼は無いものか・・・
ピンポ〜ン
「なんでしょう?新聞勧誘ですかね?」
「探偵事務所に勧誘に来るとは考えにくい。
おそらく客だろう。
ソノミ君、コーヒーの準備を頼む。」
ガチャリ
「すいません。ここは探偵事務所でよろいしいですね?」
入ってきた人物を俺はそれとなく観察する。
フードで顔を覆っていて、顔ははっきりしない・・・しかし声は澄んでいる・・・女性のようだ・・・
「ああ、そうだ。
俺の名はコレック、あんたは?」
「私は・・・」
「は〜い、コーヒーです。
ってあれ?
もしかしてヴェラ?」
「あっ、ソノミ!
久しぶり〜!」
なんだ、ソノミ君の知り合いか?
イェーイと笑いながら二人でハイタッチ。
ずいぶん仲がよさそうだ。
「ソノミ君、その人は・・・?」
「先生、紹介します。彼女は私の幼馴染の・・・」
「ヴェラと言います。」
そう言って彼女はフードを取った。
目と黒髪以外を包帯で覆った顔が現れる。
なるほど、彼女はマミーか・・・
「それでどうしたの?あなたは確か遠くのヘデュ遺跡の管理者補佐を勤めているんじゃなかった?」
とたんにヴェラさんの顔から笑顔が消えた。
「そうだった!ねぇ、お願い!ソノミとコレックさんの力を貸して欲しいの?」
・・・・どういうことだ?
「ふむ・・・とりあえず話を聞かせてくれないか?」
「どこからはなしましょうか・・・」
そう言ってヴェラさんはコーヒーを一口飲んでから口を開いた。
「私はさっきのソノミの話の通り、ヘデュ遺跡の管理者補佐を勤めています。
少し前に私たちの長であるファラオ様がヘデュ遺跡に視察がてら旅行に来られました。
これはこの上なく名誉なことですので、管理者であるカーラお姉さまを始めとした私たちはそのもてなしのためにパレードなどを行い大いに喜んでいただきました。
そしてファラオ様から黄金の像を送られたのですが・・・」
「それがどうかしたのか?」
「はい、その像を盗もうとする不届き者が現れたのです。」
「不届き者?」
「はい、一週間前にこんな予告状が・・・」
そういって彼女は一枚の紙を俺達に見せた。
『○月◇日、黄金の像を頂きに参上します。
怪盗エレメント』
「・・・この怪盗エレメントという人物は?」
「私たちの住む地方では有名な泥棒です。
狡猾な知恵を持ち狙った獲物は逃がさないと評判です。
もし像を盗まれたりしたら私達はファラオ様に合わせる顔がありません・・・
警備を強化したりしてますがどうも不安で・・・
そんな時、ソノミがこの町で腕のいい探偵の助手をしている話を思い出して、協力を頼みにお姉さまに内緒でここまで来たんです!
お願いです、私達に力を貸してください!」
彼女はそう言って袋を出し俺達の前に出すと、頭を下げた。
中を見ると地図と銀貨が入っていた。
報酬のつもりかもしれないが、その額は多くない。
はっきり、いって割りに合わない依頼だ。
俺が受けるか否かを考えていると、
「やりましょう!先生!」
ソノミ君が力強く俺の肩を叩いた。
「いや、しかしだな・・・」
「何、迷ってるんですか!
あれが見えないんですか!」
ソノミ君が指差す物はテーブルの上の水滴・・・
あれは・・・ヴェラさんの涙?
そういえば、さっきの話でヴェラさんは上司に内緒でここに来たと言っていたな。
ならば、この金も彼女自身で工面したものだろう。
彼女はそこまで思いつめているのか・・・
ソノミ君はいち早くそれに気づいたわけだ。
こういうところは鋭いな・・・
・・・よし!
「わかった。この依頼受けよう。」
「先生!」
「あ、ありがとうございます!
遺跡の場所は地図に書いてあります。」
ヴェラさんは泣きながら何度も俺に頭を下げる。
「そんなに、頭を下げないでくれ。
それにしてもすまないな、ソノミ君。
もう少しで金でしか動かない最低の人間になるところだった。
ありがとう。」
「いいんですよ、気づけば・・・」
偉そうな態度だが・・・まあ、よしとしよう。
ふと、ヴェラさんの方に視線をむけると、
「お、おいおい!?
なんで、包帯をほどいてるんだ?」
「や、やっぱりお金が少ないんですね!
ではこの体で不足分は払います!」
「いいから!そんな方法で支払わなくてもいいから!
ソノミ君、彼女を抑えるぞ!」
「はい、先生!
駄目だよヴェラ〜、先生としていいのは私だけなんだから!」
「余計なことは言わんでいい!!」
その後、彼女を何とか抑えて、一旦遺跡に帰ってもらった。
そして一週間後・・・
俺とソノミ君は地図に書いてあったヘデュ遺跡の門の前に立っていた。
「なぁ、ソノミ君・・・」
「なんです?」
「俺は遺跡と聞いて、石作りの古めかしい建物を想像してたのだが・・・」
目の前にあるのは大きな町。
「これのどこが遺跡なんだ?」
「あれ、しらなかったんですか?
この町はヘデュ遺跡の城下町、遺跡からの魔力によって砂漠の厳しい環境から守られているんです。
ヘデュ遺跡は遺跡というよりこの町の役所といった感じですね。」
旅行用パンフを見ながらソノミ君が答える。
・・・時代と共に遺跡の在りようも変化するのか・・・
にしても暑いな。
早く遺跡に行くとしよう。
遺跡の前ではすでにヴェラさんが待っていた。
「お待ちしてました!
さあ、中へどうぞ。」
「早速ですが、像をお見せしますね。」
そういわれて俺達は展示室らしい大きな扉の前に案内された。
扉には大きな錠前がおりている。
「その錠は前からあったのか?」
「いえ、実はここはもともと鍵がついていなくて、あの予告状を受けた後、急遽付けたものです。」
言いながら、彼女は大きな鍵を取り出し、錠を開けた。
「あれがお話した像です。」
部屋の中央には鉄で出来た大きな台座があり、その上に立派なマミーの金の像があった。
「思ってたより大きいな・・・」
ざっとみて50センチはあるだろうか。
「すっご〜い。
ねえ、もっと近くで見てもいい?」
そう言いながら、台座に近づくソノミ君。
・・・いやな予感しかしない・・・
「あうっ!」
案の定転び、
ゴチン
台座に頭をぶつけ、その衝撃で台座が激しく揺れ像が・・・
「あっ、あっ、落ちる!!」
「ストーーーップ!!!」
俺は咄嗟に飛び出して台座を押さえた。
同時にヴェラさんが像を抑えて何とか事なきを得た。
「はぁ、はぁ・・・何やってるんだ!
像を守るために来た俺達が像を傷つけてどうする!!」
「ううっ、すいませ〜ん・・・」
「も、もうそのくらいにしてあげてください。
鉄の板を張り合わせただけの軽い台座を使っていた私達にも責任はあります。」
「しかしな・・・」
「そうです、気分転換にお茶を入れましょう!
それを飲んで気分を落ち着けてください。」
展示室を後にした俺達は客間に通された。
「今、お茶をいれて来ますね。」
「ねえねえヴェラ、お菓子とか無い?」
「ソノミは相変わらず厚かましいね・・・」
ソノミ君とヴェラさんはやいやい言いながら奥に行ってしまった。
残された俺は特にすることも無く、しばらく部屋を見渡していたが、ふと後ろに気配を感じた。
気配だけではなく、敵意も感じる・・・
「俺に何か用か?」
俺が正面を向いたままで話すと気配がビクッと震える。
「ほぅ、盗人の分際で私の気配に気づくとはな。」
「これでも何度か修羅場を潜ってるんでね。」
「ふん、悪運は強いようだがそれもここまでだ!」
直後、ヒュッと音がした。
その瞬間前に飛び出し、素早く振り返って気配の主を確かめた。
ピンとたった黒い耳・・・ふさふさの尻尾・・・杖を握った肉球・・・
アヌビスか・・・おそらくこの人は・・・
「あんたはカーラさんか?」
俺の言葉に相手は目を丸くする。
「!?
なぜお前が私の名を?」
「俺は探偵のコレック。
この遺跡の管理者補佐のヴェラさんからの依頼でやってきたんだ。
彼女から管理者の名がカーラということは聞いている。
あんたはアヌビスの様だから、種族的に管理者だろうと考えて名前を推測したんだ。」
「お姉様、いったい何を!」
ナイスなタイミングでさっきの二人が戻ってきた。
「ヴェラ、この男のいうことは本当か?」
「はい、そうです。
怪盗から像を守るために私が独断で依頼しました。」
「・・・・・・信用できんな。
この男、探偵などと言ってお前を騙したんじゃないのか?
おい、コレックとやら。
探偵は謎を解くのが仕事のはずだな。
私が今から問題を出す。
それに答えられたら、少しはお前を信用してやろう。
もし答えられなかったら、即呪いをかけて砂漠の真ん中に放り出してやる!」
「お姉様!」
「いいんだ、ヴェラさん。
よし、受けてたとう。」
ここまで、コケにされたら俺も黙ってるわけにはいかないしな・・・
「ふふん、では問題だ。
一匹のラージマウスが10mの柱をよじ登っている。
このラージマウスは1分で2m登り、次の1分で1mずり落ち、また次の1分で2m登ることを繰り返している。
さてこのラージマウスが10mの柱を登りきるのに何分掛かるか?」
「な〜んだ、簡単ですね先生。
そのラージマウスは結果的に2分で1m登るんですよね。
なら、10m登るのに掛かる時間は2×10=20で20分です。
う〜ん、私って頭いい!」
ソノミ君・・・見事に間違ってるな・・・
「違うぞ、ソノミ君。
答えは・・・・・・・・」
事件編に続く
この町で探偵事務所を開いている。
「暇ですね〜」
新聞を読む俺の横で、ソファでごろごろしながら助手のスフインクス、ソノミ君がだるそうにしている。
「行儀が悪いぞ。君も新聞くらい読んだらどうだ。」
「嫌です。こう暇だとな〜んにもする気が起きませ〜ん。」
やれやれ、怠け者な助手だ・・・
「そういうな。
いったん事件が起きたらすぐに忙しくなるさ。」
とは言ったものの、こうも暇だと逆に疲れてしまうな。
何か依頼は無いものか・・・
ピンポ〜ン
「なんでしょう?新聞勧誘ですかね?」
「探偵事務所に勧誘に来るとは考えにくい。
おそらく客だろう。
ソノミ君、コーヒーの準備を頼む。」
ガチャリ
「すいません。ここは探偵事務所でよろいしいですね?」
入ってきた人物を俺はそれとなく観察する。
フードで顔を覆っていて、顔ははっきりしない・・・しかし声は澄んでいる・・・女性のようだ・・・
「ああ、そうだ。
俺の名はコレック、あんたは?」
「私は・・・」
「は〜い、コーヒーです。
ってあれ?
もしかしてヴェラ?」
「あっ、ソノミ!
久しぶり〜!」
なんだ、ソノミ君の知り合いか?
イェーイと笑いながら二人でハイタッチ。
ずいぶん仲がよさそうだ。
「ソノミ君、その人は・・・?」
「先生、紹介します。彼女は私の幼馴染の・・・」
「ヴェラと言います。」
そう言って彼女はフードを取った。
目と黒髪以外を包帯で覆った顔が現れる。
なるほど、彼女はマミーか・・・
「それでどうしたの?あなたは確か遠くのヘデュ遺跡の管理者補佐を勤めているんじゃなかった?」
とたんにヴェラさんの顔から笑顔が消えた。
「そうだった!ねぇ、お願い!ソノミとコレックさんの力を貸して欲しいの?」
・・・・どういうことだ?
「ふむ・・・とりあえず話を聞かせてくれないか?」
「どこからはなしましょうか・・・」
そう言ってヴェラさんはコーヒーを一口飲んでから口を開いた。
「私はさっきのソノミの話の通り、ヘデュ遺跡の管理者補佐を勤めています。
少し前に私たちの長であるファラオ様がヘデュ遺跡に視察がてら旅行に来られました。
これはこの上なく名誉なことですので、管理者であるカーラお姉さまを始めとした私たちはそのもてなしのためにパレードなどを行い大いに喜んでいただきました。
そしてファラオ様から黄金の像を送られたのですが・・・」
「それがどうかしたのか?」
「はい、その像を盗もうとする不届き者が現れたのです。」
「不届き者?」
「はい、一週間前にこんな予告状が・・・」
そういって彼女は一枚の紙を俺達に見せた。
『○月◇日、黄金の像を頂きに参上します。
怪盗エレメント』
「・・・この怪盗エレメントという人物は?」
「私たちの住む地方では有名な泥棒です。
狡猾な知恵を持ち狙った獲物は逃がさないと評判です。
もし像を盗まれたりしたら私達はファラオ様に合わせる顔がありません・・・
警備を強化したりしてますがどうも不安で・・・
そんな時、ソノミがこの町で腕のいい探偵の助手をしている話を思い出して、協力を頼みにお姉さまに内緒でここまで来たんです!
お願いです、私達に力を貸してください!」
彼女はそう言って袋を出し俺達の前に出すと、頭を下げた。
中を見ると地図と銀貨が入っていた。
報酬のつもりかもしれないが、その額は多くない。
はっきり、いって割りに合わない依頼だ。
俺が受けるか否かを考えていると、
「やりましょう!先生!」
ソノミ君が力強く俺の肩を叩いた。
「いや、しかしだな・・・」
「何、迷ってるんですか!
あれが見えないんですか!」
ソノミ君が指差す物はテーブルの上の水滴・・・
あれは・・・ヴェラさんの涙?
そういえば、さっきの話でヴェラさんは上司に内緒でここに来たと言っていたな。
ならば、この金も彼女自身で工面したものだろう。
彼女はそこまで思いつめているのか・・・
ソノミ君はいち早くそれに気づいたわけだ。
こういうところは鋭いな・・・
・・・よし!
「わかった。この依頼受けよう。」
「先生!」
「あ、ありがとうございます!
遺跡の場所は地図に書いてあります。」
ヴェラさんは泣きながら何度も俺に頭を下げる。
「そんなに、頭を下げないでくれ。
それにしてもすまないな、ソノミ君。
もう少しで金でしか動かない最低の人間になるところだった。
ありがとう。」
「いいんですよ、気づけば・・・」
偉そうな態度だが・・・まあ、よしとしよう。
ふと、ヴェラさんの方に視線をむけると、
「お、おいおい!?
なんで、包帯をほどいてるんだ?」
「や、やっぱりお金が少ないんですね!
ではこの体で不足分は払います!」
「いいから!そんな方法で支払わなくてもいいから!
ソノミ君、彼女を抑えるぞ!」
「はい、先生!
駄目だよヴェラ〜、先生としていいのは私だけなんだから!」
「余計なことは言わんでいい!!」
その後、彼女を何とか抑えて、一旦遺跡に帰ってもらった。
そして一週間後・・・
俺とソノミ君は地図に書いてあったヘデュ遺跡の門の前に立っていた。
「なぁ、ソノミ君・・・」
「なんです?」
「俺は遺跡と聞いて、石作りの古めかしい建物を想像してたのだが・・・」
目の前にあるのは大きな町。
「これのどこが遺跡なんだ?」
「あれ、しらなかったんですか?
この町はヘデュ遺跡の城下町、遺跡からの魔力によって砂漠の厳しい環境から守られているんです。
ヘデュ遺跡は遺跡というよりこの町の役所といった感じですね。」
旅行用パンフを見ながらソノミ君が答える。
・・・時代と共に遺跡の在りようも変化するのか・・・
にしても暑いな。
早く遺跡に行くとしよう。
遺跡の前ではすでにヴェラさんが待っていた。
「お待ちしてました!
さあ、中へどうぞ。」
「早速ですが、像をお見せしますね。」
そういわれて俺達は展示室らしい大きな扉の前に案内された。
扉には大きな錠前がおりている。
「その錠は前からあったのか?」
「いえ、実はここはもともと鍵がついていなくて、あの予告状を受けた後、急遽付けたものです。」
言いながら、彼女は大きな鍵を取り出し、錠を開けた。
「あれがお話した像です。」
部屋の中央には鉄で出来た大きな台座があり、その上に立派なマミーの金の像があった。
「思ってたより大きいな・・・」
ざっとみて50センチはあるだろうか。
「すっご〜い。
ねえ、もっと近くで見てもいい?」
そう言いながら、台座に近づくソノミ君。
・・・いやな予感しかしない・・・
「あうっ!」
案の定転び、
ゴチン
台座に頭をぶつけ、その衝撃で台座が激しく揺れ像が・・・
「あっ、あっ、落ちる!!」
「ストーーーップ!!!」
俺は咄嗟に飛び出して台座を押さえた。
同時にヴェラさんが像を抑えて何とか事なきを得た。
「はぁ、はぁ・・・何やってるんだ!
像を守るために来た俺達が像を傷つけてどうする!!」
「ううっ、すいませ〜ん・・・」
「も、もうそのくらいにしてあげてください。
鉄の板を張り合わせただけの軽い台座を使っていた私達にも責任はあります。」
「しかしな・・・」
「そうです、気分転換にお茶を入れましょう!
それを飲んで気分を落ち着けてください。」
展示室を後にした俺達は客間に通された。
「今、お茶をいれて来ますね。」
「ねえねえヴェラ、お菓子とか無い?」
「ソノミは相変わらず厚かましいね・・・」
ソノミ君とヴェラさんはやいやい言いながら奥に行ってしまった。
残された俺は特にすることも無く、しばらく部屋を見渡していたが、ふと後ろに気配を感じた。
気配だけではなく、敵意も感じる・・・
「俺に何か用か?」
俺が正面を向いたままで話すと気配がビクッと震える。
「ほぅ、盗人の分際で私の気配に気づくとはな。」
「これでも何度か修羅場を潜ってるんでね。」
「ふん、悪運は強いようだがそれもここまでだ!」
直後、ヒュッと音がした。
その瞬間前に飛び出し、素早く振り返って気配の主を確かめた。
ピンとたった黒い耳・・・ふさふさの尻尾・・・杖を握った肉球・・・
アヌビスか・・・おそらくこの人は・・・
「あんたはカーラさんか?」
俺の言葉に相手は目を丸くする。
「!?
なぜお前が私の名を?」
「俺は探偵のコレック。
この遺跡の管理者補佐のヴェラさんからの依頼でやってきたんだ。
彼女から管理者の名がカーラということは聞いている。
あんたはアヌビスの様だから、種族的に管理者だろうと考えて名前を推測したんだ。」
「お姉様、いったい何を!」
ナイスなタイミングでさっきの二人が戻ってきた。
「ヴェラ、この男のいうことは本当か?」
「はい、そうです。
怪盗から像を守るために私が独断で依頼しました。」
「・・・・・・信用できんな。
この男、探偵などと言ってお前を騙したんじゃないのか?
おい、コレックとやら。
探偵は謎を解くのが仕事のはずだな。
私が今から問題を出す。
それに答えられたら、少しはお前を信用してやろう。
もし答えられなかったら、即呪いをかけて砂漠の真ん中に放り出してやる!」
「お姉様!」
「いいんだ、ヴェラさん。
よし、受けてたとう。」
ここまで、コケにされたら俺も黙ってるわけにはいかないしな・・・
「ふふん、では問題だ。
一匹のラージマウスが10mの柱をよじ登っている。
このラージマウスは1分で2m登り、次の1分で1mずり落ち、また次の1分で2m登ることを繰り返している。
さてこのラージマウスが10mの柱を登りきるのに何分掛かるか?」
「な〜んだ、簡単ですね先生。
そのラージマウスは結果的に2分で1m登るんですよね。
なら、10m登るのに掛かる時間は2×10=20で20分です。
う〜ん、私って頭いい!」
ソノミ君・・・見事に間違ってるな・・・
「違うぞ、ソノミ君。
答えは・・・・・・・・」
事件編に続く
11/01/31 23:46更新 / ビッグ・リッグス
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