第2回『ハンプティエッグ専用修復材《ひび割れハートの鎮魂歌》』
酷い。
これは酷い。
なんて酷い番組なのだろうか。
「アンタ、なかなか良かったぜ。あの調子なら、素材はネットに満ちた。」
「……んじゃないですよ。どう考えてもおかしいですって。」
「それがうちのウリだからな。まあ、通販なのに儲けの殆どはネット配信版の特別編だし。」
特別編?
特別編……って?
「特別編だよ。見てねぇのか?『風流』の会員限定で配信すんだよ。独身の魔物の会員集めて、種族専用商品ごとにそいつらを斡旋してやんのさ。購入者の元にランダムで行くけど……んまあ、大抵その場で配達員が帰る前に盛り始めるからな。」
「わかりましたよ、どんな奴か。だから帰ります。」
「あ、そう言うと思って非殺傷のスタン結界張ってるぜ」
「仕事します」
なんてもの張ってやがる。
アレ、死にはしないけど死ぬほど痛いんやぞ。
「さあ、MAD素材を執行する」
「それ、カッコよくないですよ。」
なんで自分からMAD素材になりに行くんだ。
そして、なんか知らんがさっきからそこそこ注文が来てるのもなんなんだ。
カマイタチ。
ちょっとは思い出してください、自分の役割を……
深夜。
なんか静かになったお茶の間で、若干拗ねながらも……
バフォメットは、『風流』を起動させていた。
そう、表向きの理由は……アイツがしっかり仕事してるか。
全てはそれを見るためである。
ちなみに先ほどの魔女たちはみんなどっか行った。
……サバト内には一応カマイタチもいたのだが、彼女らはネタで『じゅんばんまもるくん』購入した独身の男を勧誘しに行っているので、今はいない。
たしかに防犯ブザー風の外見は映えるかもしれないが、常に鳴り続けるのはどうなのだろうか。
……まあ、アレの使い方はもう一つある。
カマイタチが襲うジャストタイミングになると通知されるので、それを活かして回避すれば良いのだ……まあ、その程度で回避できる程彼奴らは甘くないが。
「くふふ、くふふふふふふ……」
……そして、バフォメットの真意。
それは……『見た人をロリコンにする催眠MAD』を作るために、素材がいるのである。
そう、全ては我がサバトのために。
「キリキリ働いて貰うぞ、すばるよ……」
「今回のゲストは、ハンプティエッグの皆さんです。」
「全員独身、との事ですが……ハンプティエッグで独身、と言うのは思いの外珍しいかもしれませんね。」
「そーなんです。だからぁ、早くパソコンの前のおにぃちゃんとー、エッチして結婚してエッチしてエッチしたいんですー。
「……テンションがおかしくなって参りましたが、続けましょう。」
「はい、今回紹介するのは……こちら。『ハンプティエッグ専用修復材《ひび割れハートの鎮魂歌》』です!」
「ギザギザ……」
「はい、ハンプティエッグの皆さんは、殻の修復などでお困りになったことはありませんか?」
「ありますよー。だから早くエッチしてセックスしてセックスして交尾して修復で困らないくらいのエネルギーが欲しいんですー。」
「そんな時にこちら、ということですね?」
「そうなんです。こちらはホルスミルク由来の天然成分で作られていますので、ハンプティエッグの殻をいつでも修復できちゃいます。」
「でも、あの殻って使います?」
「私はあんま使わないですねー。でもエッチして閉じ込めてエッチしてセックスして交尾して夜伽して営んで子作りして妊娠したいですー。」
「……なるほど。ハードプレイでも安心、という事ですね?」
「ハードプレイできるのはうれしいですねー。私、生まれたら絶対初めては乱暴にされるか乱暴にするかが良いっておもってたんですー。」
「そういえば、あなたヤケに語彙豊富ですよね。」
「はい、そして今ならなんと。『淫紋修正液・地アラクネ』が付きまして……8000円の3回払い!」
「淫紋って使う機会そんなありますかね?……というか、アレ修正する事あります?」
「はい、そしてさらに!今から三十分以内にお申し込みの方には、更に『上の方がうねる前立腺バイブ・地アラクネ』が付いてきます!」
「また地アラクネですか。」
「地アラクネって前もあったよねー。『救命胴衣になるリバーシブル白スク・地アラクネ』。あれまだウチにあるよー。」
「はい、お電話ー?」
「「「お待ちしていまーす♪」」」
「ぶはっ……ふくくくっ……ぷくくくくっ、あひゅ、あはははははははっ!」
結果。
それを見ていたバフォ様は笑いすぎて死にかけた。
ちなみに、今回の商品は何故か飛ぶように売れた。
19/04/06 14:58更新 / 魔物兄貴♂×3‼
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