土。
それは、私が子供の頃から、何より好きなものだ。

どれくらい好きか？
それは、冒険家としてわざわざ魔物の多い場所に出向いてまで、土を触りに行く程だ。

土は偉大だ。
死後人間は土に還ると言うが、もし本当なら早く死にたいね。
この大地と一体化？
最高のラストだ。

例えばこの森の土。
ここの土はふかふかしており、手触りが非常に良い。
また、先程食べた感じからするに養分も豊富で、質感的には魔界の土に近い。

それにしても最高の土だ。
ここで死ねるなら棺桶はいらない。
むしろ邪魔である。

「ナイスソイル…最高だ。本当に最高だ。ここが自殺スポットに選ばれるのはそういう事なのか。たしかにここの土に還るのは魅力的だ。」

「その自殺スポットの評判のせいで、私達が困ってるんですけどねぇ。」

突如話しかけられ、ぎょっ、としつつ横を見た。
そこにいたのは、肩をくすぐる闇色の髪と、陶器の人形を思わせる、綺麗な褐色の肌を持つ女性がいた。
全身から花が生えており、地味だけど可愛らしい、といった外見に反して、やや華美な格好であった。
そうか。ここに住んでる人がいたのか。
まあ、当然だよな。こんな良い土なんだ。

「良い、土ですね。まるで前に行った魔界の土だ。いや、窒素の含有率はこっちの方が少し…」

「お兄さん、土がお好きなんですか？」

それはもちろんだ。
だって、そうでもなきゃトロールやゾンビのような危険性の高い魔物が出るという噂もあるような場所に赴いたりしないだろう。

「大好き、ですよ。しっかし、良いですね。」

「へぇ、ここの土はお気に召しましたか？」

「ええ。凶暴な魔物が出ると聞きますが、ここで死ねるなら本望です。まあ、ここの土が魔界と並ぶ素晴らしい環境だからこそ、魔物も出てくるのでしょう。つまりです。」

「つ、つまり？」

「魔物も土が好き。土が好きな奴に悪い奴はいません。魔物はそんな悪い奴じゃ無い。これが私の答えです。」

そう、土。
魔物も人間も、同じ土の上に成り立つ、同じ土の下に還る、運命共同体だ。
確かに、熊などは人を襲うからと、撃たれる。
しかし、私はそれを仕方ないとは思わない。
土を理解し、土と話せば、熊に襲われる前に逃げられる。
土と向き合い、土を愛すれば、食料は全生物で分けあえる。

「みんなは土を無視します。だから世界は汚されるし、同族以外も、同族も敵になる。私は、最高の土を見つけて…みんなに、土を愛して貰いたいんです。」

「土を愛する、ですか？」

「はい、ところで…貴女、本当にここに住んで長いんですね。」

「ええ？まあ、そうですね。」

「分かりますよ、だって、貴女は土と調和している。そして、花に愛されている。まるで、貴女自身が土壌であるようだ。まあ、それは冗談だけど、そのレベルで調和しているんだ。」

土との調和。
それを言った途端、女性は何故か驚愕の表情を浮かべた。

「どうしました？」

「い、いいえ。……初見で、私達の本質を見抜く人、あまりいないので。」

私達？
そういえば、この土の香り。
前に見つけた…何かの巣穴と、同じ香りだ。

「はあ。じゃあ話は変わりますけど…この辺、トロールは多いんですか？」

「え、え、はい。ま、まあ多いですよ？」

なぜか目を逸らす女性。
危険区域に指定されてる訳だし、不安にでもなったのだろうか。

「やっぱり。この土の香り、やっぱりトロールの体臭が混ざっているんです。前に見つけた、トロールの巣穴に似た香り。そして、貴女が住んで長いと判断した理由の一つもそれです。貴女の体。服ではなく体から、トロールの体臭がするんですよ。」

「そそ、そうなんですね…」

彼女が、まるで追い詰められてでもいるかのような顔をした。
何故だろうか。

「あ、そろそろ日も登ってきましたね……ん？」

「ふぅーっ、はぁーっ、ふーっ、ふーっ、ふぅ」

この辺は土の割に木が少ない。
どうも、土壌が良くなったのは最近らしく…日光が、直接降り注いだ。
日光のせいか、やや頬も赤く見える。
途端に息を荒くする彼女。
まるで、興奮しているみたいに？

「どうしました。まるで発情期の魔物みたいな息ですよ？」

「ふふ、ところで、トロールの体臭の効果って…知ってますか？」

「何を言って…ばふっ⁉」

突然、彼女に抱きしめられた。
咄嗟のことで反応できず、思い切り息を吸い込んでしまう…が。

（な、股間が…熱い⁉）

「ふふ…私がトロールだって、気がつかなかったんですか？」

思わず勃起してしまった事。そして、彼女がトロールだ、と言った事。
どちらが理由かは、混乱した頭では分からなかったが…
私は、思い切り、その強烈な抱擁から逃れようとした。

「ダメですよ。魔物の体からは…逃れられません。」

「むぐぅ！？」

体は非常に柔らかく、思い切り抱きしめられても痛くなく、むしろ気持ちが良いくらいであったが…
その力は本当に強く、どれだけもがいても力が強くなるだけで、その分より沢山の香りを吸い込むことになった。

「ふふ〜。ん、ぢゅうううっ」

「むじゅ⁉ん、ぶじゅうっ、んんっ！」

そして、一通り香りを吸い込ませた後に待っていたのは…
貪るような、暴力的なまでに激しい接吻であった。
口の中に、彼女の舌が押し込まれる。
彼女の唾液が、流し込まれる。
口の中で、彼女を味わってない部分が無い程に、じっくりと、ねっとりと口づけをされる。

「ん…ふぅ！」

「ぷはぁっ…はあ、はあ、突然…何を、はぁ、するのですか」

そして、彼女はそっと口を離した。
彼女の唇と私の唇が、間に粘度の高い糸を引いていた。
そして、口づけの余韻に浸る間も無く。
彼女は、わたしをねじ伏せると…ズボンを、縦に引き裂いた。
数日森に篭っていたためにろくに洗ってないペニスが露わになると、彼女はそれを一頻り嗅いだ後…舌を伸ばした。
最初は首。次に耳、腕、胸元、腹、そして太ももの裏側に舌を這わせた後、そのままペニスに舌を這わせようとした。

「こ、こうしたら…もっと、きもちいいですからぁ…」

「だめ、おい⁉わたし、むりだから、そんなのされたら、もう、だめだからあ…！」

「そうですね、あなたとてもかわいいです！やっちゃいますねぇ〜。」

そして、私の最後の願いも聞き入れずに…
そのまま、ペニスを激しくしゃぶり始めた。
舌が、全体を蹂躙した後、鈴口と裏筋を中心に、ちろり、ちろりと細かく動かし始めた。
おそらく理性が失われているからこその、魔性の本能に身を任せた動き。
それに、長年禁欲を続けた私が耐えられる筈もなく。

「う、うあっ…！」

「ぶっ⁉ふ、ぶごっ、ふごう…んくっ」

そして、限界を迎え…思い切り精を放った。
それを彼女は口で受け止めた後、舌の上で軽く弄び…そのまま、飲み込んだ。
味わった事のない感覚に、腰が弾けたように震える。
彼女はそれを見て、ますます満足そうに…しかし、貪欲に、快楽を求めようとした。
つまり、それは…私と、交尾を求めているという事で。

「や、これ、したいです、さいごまでしたいです！」

「わたし、らめらから！それ、されたら、むり、ひぅん⁉」

そして、その快楽に危険すら感じてた私の意思とは裏腹に。
彼女は、勢いよく腰を下ろした。

「ふうっ、あひゃあ…いいれす、とんじゃいました、いれられて、はじめてなのにとんじゃいましたぁ…」

「ひ、あひぃ、んふ、ああああ…」

入れた途端に、両者…絶頂を迎えた。
頭が、ストロボのように真っ白になる。
最早、あたまがうまくうごいてくれない。
きもちよすぎて、なにもかんがえられない。

最早、私は彼女という土壌に…根を張ることしか考えていなかった。

「ひ、ひうっ、ああ、いくっ、でるぅ、あぅっ、おほっ」

「とばされまふ、わらひに、あなたのたね、まいて！おくに、まいてぇ！」

そして、最早正気の交わりではなくなった中。
私は、三度絶頂を迎えた。

■作者メッセージ
森ガールと正気失っての錯乱セックス。
良いですよね。
あとパクリ疑惑立ってるみたいなので、修正するべき場所を教えて下さい。
もしかしたら大手の作者さんと被る部分があったかも知れないので。
お願いします。