連載小説
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祟り、ヤバい。マジやばい またの名を中編
あれから走ること一刻と半。あたりはすっかり夜闇に包まれており、天は冠に三日月を乗せ、一面に数々の星々が散りばめられている。

「っし。……降ろしますよー」

そして藁葺き屋根の小さなお家についた俺は背中でどう考えても喘いでいるお狐様を降ろした。そして、同時に背負いやすいようにと全身に装備することになった釣り道具の片づけを始める。

「ぅん…あっ…ゃん♪……………えっ?何?もう着いたの?」
「はいはい。着きましたよっと」
「もっとゆっくりでいいって言ったのに〜。……む〜」
「ほら、そんなにむくれてないでお上がり下さいな」
「……はーい」

いきなり降ろされ、お楽しみを邪魔されたことが気に食わないのか童女のように頬を膨らまし、不満げな表情で問いかけてくる間違いなく悪狐なお稲荷様。しかし、煩悩を振り払うため一心不乱に道具を整理している俺は特に相手をすることもなく居間へとぶつくさ文句を言う彼女を通し…ん?
その瞬間、ピタリと俺の手は止まり作業が中断される。
……あれ?『特に相手をすることもなく?』ん?これ機嫌悪くしたんじゃないか?あ、やべ、これ、祟られる?軽口叩いちゃったけど、祟られる?確かお狐様ってヘビガミ様、サルガミ様、イヌガミ様と並んで怒らせるとヤバい祟りを下さる神さまだよね?
思い至ってしまった。たちまち全身にゾワリと鳥肌が立ち、顔が真っ青になる。それと同時に煩悩が跡形もなく散った俺は邪念を排除するべく一心不乱に片づけを再開することにした。
餌箱から今日つかわなかったミミズなどを取り出して自宅裏の畑へ返し、道具箱にある針の水気を切り手拭いで拭いて乾燥させる。………さて、後は竿だけなのだが

相棒濡れてるよ……

どうしても固定する場所がなく、仕方なくお稲荷様の下敷きにならざるを得ないように腰へ差していた竿が妖しい光を湛えながらヌルリとした液体で濡れている。
いつもならば間違いなく興奮するのだろうが、いまは祟りが怖くてそれどころじゃない。
……とりあえず俺は何も考えないことにし、手入れの終わった餌箱に道具箱。後は酒瓶二つに子壺を二つ、魚の詰まった籠を土間の片隅に置いた。
そして、漬物石のように重い腰を引きずり少し離れた納屋へと変な念を放つ竿と一緒に容器から塩を一つまみ取り出し向かうことにする。
なぜ納屋か?そんなことは決まっている。この竿、間違いなく呪われたよなぁ…俺には分かる。普通の竿は、光らない。…これ、使っているとそのうち絶対痛い目に逢う…封印を、鍵かけて封印をせねばなるまい。
お稲荷様は鎮める。釣竿も祓う。両方やらなくちゃならないのが『農民』のつらいところだな。覚悟はいいか? ごめんちょっと待って。
……ヘタレと人は嗤うだろう。だが、考えてほしい。家の中にご機嫌斜めであろうお稲荷様がいる。例として二つ。酔っ払ってお稲荷様に喧嘩を売ったお侍さまは百鬼夜行に引きずり込まれ消息を絶った。禰宜さまは、何をしたのか分からないが稲荷神社での奉納舞、その真っただ中で神隠しに逢った。
さあこれらを繋ぎ合わせてみよう!わっかるっかなー?…せーかいは祟られると本当にやばいってことだよ。鬱だ。
いい加減観念した俺はそんな馬鹿なことを考えて気を紛らわしながら納屋へと向かう。
膝が笑ってても、足を引きずりながらでも、封印だけは…せめて封印だけは完遂しなければ。

納屋へと着いた俺はできる限り奥のほうへと相棒を安置し塩を供える。

「相棒よ、安らかに眠れ」
「そして草葉の陰で見守る親父殿。申し訳ございません…俺、もうあの竿恐くて使えません。……確か南蛮にはひとたび抜くと主の首を落とす妖刀の類があると聞いたことがあります。
俺は釣るのが好きなのであって釣られるのは嫌なんです……親父殿、この竿、何とか押さえていてください……」

相棒と親父へ祈りの言葉を呟く。何か先ほどより強く桃色の思念を放ち、じりじりと俺に近付いてきている気がする釣竿をなるべく見ないようにして、一息。と見せかけて、一気に納屋の外へ飛び出し、扉に手をかけ、鍵をかける!同時にガタン!と中から音がした。きっと急いでしめたせいで鍬辺りが倒れたんだな。うん、間違いない。はっはっは。勝手に道具が動くわけないよな!はっはっは! …きさまは火筒にいれられた火薬だ!念仏の閉鎖空間の中で分解されるがいい!!

空元気を振り絞り笑いながら矢のように母屋へと走り出す。後ろを見てはならない。そんな直感を胸に。脂汗を額に。坊主とその弟子を呼ぶ算段をしながらただ走る。だがこれはほんの前哨戦。俺の本当の戦いはこれからだ!!



「あ、おかえりー♪遅かったから先にお風呂いただいたよー♪」

覚悟を決めて我が家へと戻った俺を迎えたのは先ほどと同じ真っ赤な衣装を身にまとってはいるが湯気を立て、機嫌よさそうに、こちらへと笑いかけてくるお稲荷様だった。風呂に入ったおかげか道で倒れていた時よりふわふわとした尻尾をゆったりと振りながらのにっこりした笑顔に一瞬見とれてしまう。
…あれ?怒ってない。ってことは祟り回避?勝った?後はお稲荷様帰ってから坊主呼んで御払いしてもらえば完全勝利?やったよ、親父!俺、生き延びられそうだよ!

「…むー。今失礼なこと考えたでしょ?」
「滅相もない」
「…えー?」

また機嫌を損ねてしまったのか頬を膨らませ前傾姿勢をとる御狐様。動きに合わせてチリンとなる鈴の音が童女のような愛らしい印象を、前かがみになったことにより深く谷間をのぞかせる胸元が大人の色気をそれぞれ伝えてくる。
が、今の俺はそれどころじゃなくなった。祟られるかどうかの瀬戸際だ。この緊張感、黄昏時の合戦を思い出す。さぁ再度思考の海へ潜り最良解を探し求めよう。余裕なんて、ない。

「…なーんか勘違いされてる気がする」
「滅相もない。あっしはそんな勘違いなんて……あ、それより御食事の用意を致しますね?」
「…」
「勘違いなんて滅相もない。それより御食事の用意を致しますね?」
「……」
「御食事の用意を致しますね」
「………」
「用意を致しますね」
「…………はぁ。まぁいいや。魚とお塩ってこれでいいんだよね?一緒に食べよっか」

大 勝 利 !

汗が止まらないが、勝った。疑念を拭い去ることはできなかったようだが、無事最良解を探し当てた。あ、塩ですか?えぇ。どうぞ自由にご利用下さいませ。なんなら塩釜を作ってもかまいませんよ?祟られるよりもよっぽど安いですもの。
何かがっくりと肩を落とし、ペタンと耳を伏せながらも、しっかりと魚の入った籠を持って部屋の中へ入ってゆく彼女に対し絶対に口に出さないようにしながら後を追う。



「ところで風呂の火種どうしたんです?」
囲炉裏を挟んで座る俺とお稲荷様。魚を串で刺して塩を振り、円形になるように刺す。そうして薪へと火をつけようとしたとき、ふと疑問に思ったことを口に出した。火打石は持ち歩いているし、そもそもあの時間で風呂を焚かして入る事はできない気がする。

「んー。どうしたのってこうしたの」

徐に人差し指が囲炉裏の中心を刺し
ゴウッ…パチパチ…パチッ……
薪に、火が、つい、た?

「とまぁ魔力使って狐火を…あ、こっちじゃ妖力って言うんだっけ?」
「」
「あれ?驚かせちゃったかな?」

えっなにそれ。超常現象を目撃し、口を開けて絶句する俺を見ながらクスクスと笑う悪戯狐さま。妖力がどうだとか、言っていた気がするが全く頭に入ってこない。
えっ?祟りでじわじわ苦しむか炎で焼かれる苦しみか選べってこと?」

「……なるほど。あんた、さっきから何か誤魔化してると思ったら、そんなこと考えてたのね」

どうやら、余りの出来事に動揺したせいで口に出てしまったらしい。この汗が炎の熱気によるものか、それとも目の前で呆れ顔をしているお狐様に、ん?呆れ顔?

「…道理で。安心してよ。殺すつもりも祟るつもりもないからさ」
「なんですと?」
「いや、いくら私だって拾ってくれたヒトを呪うほど恩知らずじゃないって……はぁ」

どうやら俺は助かったらしい。またしてもがっくりと肩を落とし大きく落ち込む彼女を見て悟り、実感した。
助かった、と。
まだ見ぬ神さま仏さま。ありがとう。父よ、愚息は助かりました。後は納屋を押さえていてください。
生き延びたことへの喜びを、感謝と願望の言葉を祈る。

「…いいわ。ついでだし他の誤解も解きましょ。何か質問ある?」
「じゃあなんで勘違いしてるって気づいたんです?」

突然涙目ながらも頭をあげ、問いかけてくる。勢いよく動いたためか大きく揺れた胸を凝視しないように注意しながら俺は正直に尋ねることにした。さっきも俺の偽装は完璧だったはずだ。なぜばれているのかさっぱり分からない。

「はいはい、それね。それは私達の特徴ね。」
「私達は貴方達が食べる食料のほかにも精っていうものを食べるのよ。それでわかったの」
「何のことです?」

ごくりと生唾を飲み、チラチラと魚を見るお稲荷様におざなりな解答をされた。やはり動けるようになったといってもおなかは依然すいているようだ。
しかし、俺にはどういうことか、さっぱりわからん。何言ってんだこいつという目をする。
祟り回避が確定した今、おびえる必要はない。おぉ、生きるとは、なんと素晴らしきことだろうか。

「あー。説明するの面倒くさいわね…んー。ちょうど焼けたみたいだし。食べながらでいっか」

そういうと稲荷様らしきナニカは手前にある串焼きの魚をひょいと取り、口にした。耳をぴょこぴょこと動かし、はふはふと顔をほころばせ齧り付く姿が実に愛らしい。どのぐらい振りなのだろうか?食べながらと言う割には食べることのみに集中して1本、2本と平らげてゆく。本当は俺も食べたほうがいいのだろうが、思わず見とれてしまっていた。
そして、最後の一本。その姿を確認、焼けた魚と目が合った瞬間、俺は正気へと返る。
彼?は大きな漢だった。針を掛けられあわやこれまでという中でさえ諦めを知らず、口から血を流しながらも悠然と、ただそこにあることが使命。我が身の代わりに戦友たちに手は出させぬとこちらが引くことを決めるまで粘り続けた真の勇士。
あぁ黄昏で戦った猛将がぐちゃりと肉を散らし、骨をも砕かれ飲み込まれてゆく。…太平の世を見ずに巨星、墜ちた、か。来世にてまた逢い見えようぞ、我が強敵よ。

「ぷっはー。食材ありがとうね〜♪やっぱり焼きたてはおいし〜わ〜♪……え?なんで泣いてるの?」

言われて初めて気づいた。俺は泣いていたのか。武士の最期に涙を流すとは何たる不覚。
激動の世においては仕方のないことだろうに…涙を拭いて、前へと進もう。

「気にしないでください。ただの感傷ですので」
「えっと……何か…ごめん」
「いいえ、おかげで目が覚めました。貴女に感謝を」

申し訳なさそうに耳を伏せ、しゅんとする喜怒哀楽の激しいお狐様に感謝の意を捧ぐ。
そして散った者に言葉にせず語らう事にする。

強敵よ。早咲きの桜よ。春を待たず散った英霊よ。仲間のために散った貴様の屍を踏み越え俺は先へと進むだろう。されど貴様の事は決して忘れぬ。信念、覚悟、確かに引き継いだ。……俺もいずれは散るだろう。だが、その時は俺も意思をまた後継へと引き継がせよう。そうすることにより貴様ら先人達の想いもまた、歩み続ける。幾世かかろうとも、やがて我らの道が万人の望む天下太平の世へとたどり着くまで。今はただ休まれるがよい。我が強敵よ。

思わず熱くなった目頭を押さえて静かに閉じ、開く。あぁ、霧が晴れた気がする。先ほどまでの祟りがどうだ。呪いが何だ。実にちっぽけなことで悩んでいた気がする。それほどまでに清々しい。
……ありがとうございます御稲荷様。貴女様の御蔭でまた一つ確かに道を照らす石灯篭に灯を燈すことができました。確かに、御返し頂きましたぞ。

「ありがとうございました。これでまた歩みだせます」
「?どういたしまして?」

目を丸くし軽く首を傾ける御稲荷様が返答した。
…しかし、なぜだろう。さっきの話はかみ合っているようでずれている気しかしない

「ところで話を戻しますが、なぜ勘違いをなされていると?」
「あぁ、そうだったわね。精っていうのはあなた達、人間が元から持っているものなのよ」
「で、私達は普通の貴方達の食べ物も食べるけど、精っていうのも食べるの」

ガタリ、思わず立ち上がり逃げる用意をする。まずい。俺、食われる!
ニコニコと語らう御稲荷様が不気味に見えてきた気さえする。こいつ、目が輝いてやがる!

「あ!精は勝手に回復するから安心してよ!」

慌てて引きとめるお稲荷様、本当に今、先ほどの魚たちのように食われるかと思った。バクバクと鳴る心臓を落ち着かせ、また座る。
すると何を考えたのか今度はお稲荷様が立ち上がり、俺の隣へと座った。近い。甘い香りが鼻をくすぐり、火に照らされた肌が紅潮しているようにも見え、艶やかでさえある。

「じゃ、話の続きね。私達は精を食べるんだけど、その精にも人毎に味とかが違ったりするの。まぁ、分かり難ければ精を欲望って置き換えてもいいかな?で、そんな精をたくさん食べた私達はしだいに力を増し、尻尾も増えてゆきやがては九尾、貴方達の言う神、もしくは大妖怪へと至る」
「あのー。それはそれで興味深い話なのですが、ずれています」
「んふふふふふー。それはわかってるわよー♪」

じりじりと少しずつ、少しずつこちらに寄ってくるお稲荷さま。蕩けた目と先ほどよりもさらに紅く見える肌にナニか身の危険を感じる。

「要は、私は精をたべる、さっきの欲望に置き換えるっていうのは欲の種類や大きさで味と量も変わるってことね♪」
「おぅ……。つまり、いろんな意味で、筒抜けだった、と……」
「アハハ。そんなとこね。まぁおいしかったからいいけどさ」

鈴と一緒にコロコロと笑う。しかし、さっきから近い。体温が感じられるほどに近い。もうほとんどくっついてる距離だ。まずい。収まれ心臓。

「ねぇ、さっきの泣いてた時の味も量も濃厚なのにすっきりしてておいしかったけど、おぶってくれた時とか今みたいな時のあなたの欲望って癖になるほど甘いの。もっと、頂戴?」

お稲荷様が、俺にしなだれかかり、頬を細くしなやかな指で撫でながら耳元で囁く。
撫でられた部分や吐息の触れた部分からかぁっと熱くなってゆく。それを見た彼女が可愛いんだからと笑い、腕を抱き、尻尾を腰に巻きつけ肩に顔を置いた。体温が跳ねあがるのがわかる。
どうしてこうなった?どうしてこうなった!?どうしてこうなった!
思考が纏まらない。寡男のこの身には刺激が強すぎる!

「んふふふふ〜♪お母さんの言うとおりだ〜♪暖かい♪」
「おっ、お稲荷様お戯れを!」
「そんなことを言いながらも逃げないね。ちゃんと精が漏れてるぞ〜♪」

あばばばば。ばれてーらばれてーら、いろいろ全てきっと多分ばれてーら。あ、また桃の香り?って落ち着け俺、流されるなって!誤魔化せって!思考の海よ、俺に英知をををををを………

偶然拾ったお稲荷様?に懐かれ、ふんわりとした尻尾が衣服越しに肌をくすぐる。1次判定。判定結果により2次判定で使うダイスが変わる。2D10を行い6以上の場合判定失敗。…判定失敗。動揺している間に腕に抱きつかれ母性の塊がPCの腕をやさしく包み込んだ。先ほどから本能と理性が壮絶な攻防戦を行っている。SAN値から1D100引かれる。

思考の海は、あてにならないようだ。なんだ1でー100って?何のことだ産地って?混乱する俺をよそにお狐様が俺の言葉を正す。

「…ん?あれ?お稲荷様?そういえばまだ自己紹介してなかったっけ? 私はあんな陰険むっつりすけべじゃなくて妖狐よ。妖孤のチェフェイって言うの。今後ともよろしく〜」
「あ。これはご丁寧にどうも。俺は農民の正作と申します。こちらこそよろしく」
「んふふふふ〜ちゃんとよろしくって言ったくれた〜♪」

なん……だと……!?完全に予想外で頭が真っ白になる。衝撃的な事実の前に辛うじて正常な意識に戻った意識の片隅でなんとか返事を返し、同時に俺は村の年寄りたちがよく話す言い伝えを思い出していた。

妖狐に手を出してはならぬ
妖狐が生まれてより幾千年
いくたびも人は妖狐を手篭めにしようと試みて来た
が そのたびに狐の群れが精に狂い
地を埋めつくす大波となって
押し寄せて来た
国を滅ぼし 街をのみ込み
欲望が自らの身を滅ぼすまで
妖狐は精を求めた
やがて妖狐の尻尾を源にして
魔力が大地に根を張り
広大な土地が魔界に没したのじゃ
妖狐に手を出してはならん。

まずい。これは、相当にまずい。いや、まて、手を出そうとするからいけないのだ。
ここは穏便に、何事もなかったのかのように振る舞い、御帰り願わねば!
……あれ?手遅れじゃね?

にこにこと俺の腕を抱きしめ俺の肩に赤らめ顔を乗せる妖狐。ぴょこぴょこと動く耳が頬をくすぐり、こそばゆい。だがまだだ、まだ散るわけにはいかん!強敵と先人の信念を絶やすわけにはいかぬ!

「ねぇ?」
「何でしょう?」

先ほどから果実の匂いを漂わせ、目は潤み、息が少し荒くなってきた妖狐が首を直して話しかけてきた。

「おんぶのお礼に私があなたの欲望全部、全部満たしてあげる。だからさ、あなたも私のこと満たして?ちゃんとたいせつにしてね?私だけの旦那様♪ん…」
「」

またも絶句した俺に対し再度抱きつくお狐様。餅のように柔らかい双球、服でも隠しきれないほどに尖った物を俺に擦りつけてくる。

「……ん、ちゅ…っはぁ♪お布団で一緒に欲望満たそ?ドロドロに溶けあっていっぱい幸せになろ?ねぇ、お願い…さっきからいろんなところが切ないの…」

ごめんなさい。さっきの誓い無理そうです。頬に口づけされてそんなこと言われたら俺、そろそろ我慢の限界です。

「いいんですね?」
「初めてはお布団の上がいいけど、あなたが幸せにしてくれるならいつだって♪ぁ…ゃん♪」

膝の下に手を入れ、持ち上げる。肉付きのよい体に反して軽い。耳を動かしながら上目づかいで「私の事、全部愛して?」と囁くチェフェイに理性が切れ襲いかかる前に寝室へ向かうことにした。
12/01/14 18:14更新 / ごーれむさん
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■作者メッセージ
すまぬ…すまぬ…前後編と謳っておきながらこの体たらく。気づいたら長くなり申した。
そして妖孤の魅力を100%引き出すことが出来ぬ…口惜しや……


あ。あの竿、ただ呪われてるだけです。別に九十九神化しません。
一尾の呪いなので持ってると何となく妖狐さんに好かれやすくなったり、
目的もなく歩くと足が妖狐さんのもとへ向いてしまうぐらいの弱い呪いです。
その竿くれ。

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