連載小説
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十字架なき聖軍
夜の通り雨が、容赦なく私の頬を濡らす。
雨具は用意してあるが、寒さまでを完全に防ぐ事はできない。

ふと、教団の宣教過程を思う。

中立派の村々に下兵を大量投入し、そこで村人と共存していた魔物を殺し、自らの思想を剣でもって押し付けた。
そして聖戦のためと称し、物資と人員を取り上げる。その物資と人員が別の村を襲った。

正義の名の下、思想を押し付ける戦い。それで幸せになった者は少ない。
教団が犯し続けている罪。私にも降りかかる、その咎無き血。

だからこそ、私は。
枢機卿である私は。


「魔物を拒む教団の者よ、貴様らが騙し続けている無垢なる人達を今すぐ解放しろ!さもなくば、我らが手でこの地を親魔物領とする!」


――このような輩と、剣を交えなければならないのだ。






「クッソ、一難去ってまた一難とはこのことかい!」
「ぼやくなオドアケル。と言うかぼやいていいなら私はお前の3倍はぼやくぞ。」
「・・・・へっ、違ぇねえ!」

私を先頭に、街道を駆けて行く私直卒のシス・フレイム聖騎士団。その数200。
その全員が馬に乗り、疾風のごとく野を駆けた。
我が領内でも粒揃いの精鋭たちだ。

「天使様、あんたは城に残ってて良かったんですぜ!」
「いいえ、わたしも見届けます!」

ラキ様・・・・正直貴女には残ってほしかった。
貴女に傷がつくと、立場的な意味と精神的な意味で私が危うい。

「手紙では、夜明けには我が領地の境に差し掛かるようだ!」
「夜明けか・・・。飛ばせば間に合うわな!くはは!」

夜の街道を私達は駆けた・・・・どこまでも。





朝方、国境の川を渡った軍勢と会敵した。
マンツェリー解放軍の御旗。その軍勢、6000は下らない。
小高い丘の上に陣取った我々は、居並ぶ軍勢から指揮官らしき男とその護衛が前に進み出るのを見た。
私も少数の護衛を連れて、丘を注意深く降りる。


「私はマンツェリー解放軍の第7軍軍団長、バーナード=レオボルタだ!」
「教団枢機卿シアンルドール=ウェルステラです。ここから先は我が領内となります。ただちに引き返してもらいたい。」

純白の鎧に灰色のヒゲ面、何よりもこの将たる風格。
親魔派の軍勢であるマンツェリー解放軍の一個軍団を任せるに足る風格だ。

「魔物を拒む教団の者よ、貴様らが騙し続けている無垢なる人達を今すぐ解放しろ!さもなくば、我らが手でこの地を親魔物領とする!」
「ええ、よーーくわかっておりますとも。」

大方『何のことだ』ととぼけるとでも思ったのだろう。バーナードとやらが呆気に取られる。

「我々の教団は、魔物が共存できる存在になった今の時代も聖戦を呼びかけ、無意味な虐殺を繰り返し、教団の思想を人々に押し付け、戦費や寄付と称して貧しい人々から重税を搾り取り私腹を肥やしている。違うか?」
「なッ・・・・!ぎゃ、逆ギレか・・・!?」

まあ、逆ギレである。
たじろいだ相手に、私はまくし立てた。

「じゃあ貴様らは何だッ!!親魔派の思想を持つのは咎めんが、それを我が領地に押し付けるだとッ!!何世紀も反魔物領として存続し、身も心も教団に寄り添っている彼らから、貴様らは教団を取り上げ自らの思想を押し付けようとする!それのどこが貴様らの嫌いな教団と違う!!言ってみろッ!!」
「そ、そうしたのは教団だろう!それに我々の思想は共存だ、貴様らのような排斥ではない!」
「ああ、そうしたのは教団だ。だが共存?我が領民が魔物を心から拒絶しているのに共存ができると??寝言も寝て言えッ!!」
「わ、私は、共存ができると、信じる!」

『信じる』と来たか。私も信じたい。
だが、現時点でその可能性は限りなくゼロである・・・・領主である私が一番よくわかっているさ。貴様らにわかるまい。

「ほう・・・そうなると自らが信じるがため、教団と同じように自分の思想を無理矢理押し付けるのか。このたわけッ!!」
「たわけとは何だこのわからず屋!ええい、全軍に攻撃開始命令を伝達しろ!!相手はたったの200だ!!」

最後は子供のような捨て台詞を吐いて、バーナードとやらは軍に戻っていった。
私はそれよりも早い手段を用いた。

「なんだ、あの花火は・・・・赤いのが2発・・・・?」

魔法の信号弾だ。遠くからでもよく見えるし、大きな音も鳴る。
赤2発は、「散開攻撃」の合図だ。

「シス・フレイム聖騎士団全軍に伝達、連中を狂犬のように屠殺せよ。理想に狂い現実を省みない馬鹿は死なないと治らんッ!!」

国境の平原に、ときの声が上がった。





200対6000。傍から見れば無謀な数だ。
しかも相手はウェルステラ聖槌軍のような連中ではなく、ちゃんと武装している。
そして親魔派の軍勢だ。武芸に優れた魔物が大勢いるのが特徴で、人間のみの編成より数段強力なのが常である。

しかしこの平原で、地の利があるのは騎馬軍団だ。

シス・フレイム聖騎士団は、他の重装騎士で構成されている騎士団とは違い、全員魔術師だ。
当然、40キロも50キロもある鎧を着込む必要も無い。一般的な聖騎士は重鎧のせいで、歩兵が駆け足でついていけるほど鈍重なのだ。
魔術師は装備の重量が5キロを上回るのは稀であり、そこらの軽騎兵どころか山賊騎兵より機動力は上である。
そして、その機動力を活かした戦いが・・・・

「くそ、射程外からちょこまかと!」
「バーナード将軍!敵の魔法砲火熾烈、防げません!」

敵の射程外から、一方的に魔法砲火を浴びせることである。


シス・フレイム聖騎士団は小隊ごとに散開し、マンツェリー解放軍を包囲しはじめた。
応戦体勢に入ったマンツェリー解放軍は、弓も届かない長距離魔法にその身を晒す事となる。
そして魔法で反撃しようにも、シス・フレイム聖騎士団の機動力はそれらの魔法をことごとく外れ球とした。

「散開しろ!射程距離まで詰めて仕留めるのだッ!!」

マンツェリー解放軍が散開し始める。
シアン卿はそれを見ると、赤色と緑色の信号弾を放った。

『後退攻撃』

執拗に追うマンツェリー解放軍に対し、シス・フレイム聖騎士団は背を見せる。
そして、適正な距離を保ちつつ、魔法砲火を放った。・・・・所謂逃げ撃ちだ。誇り高き聖騎士団の戦い方ではない。
機動力はシス・フレイム聖騎士団の方が上である。いつまでも追いつけず、マンツェリー解放軍は損害を増すばかりだ。

マンツェリー解放軍はいたずらに敵を追いかけ疲弊した。
しかも「追いかける」動作は、足が速い者と遅い者で隊列が分かれるので、各個撃破の様相だ。
魔物が大勢混じる軍勢なら、尚更だった。

「くそ、隊列を立て直せッ!!」

マンツェリー解放軍が進軍を止めると、シス・フレイム聖騎士団は包囲をはじめる。
その包囲を直感的にやばいと思ったバーナードは、遂に決断した。

「全軍後退!敵の攻勢をしのぎつつ出血を強いろ!」

後退するマンツェリー解放軍に合わせ、執拗なシス・フレイム聖騎士団の追撃が始まる。
高速で縦横無尽に駆ける事のできる魔道騎士達は、マンツェリー解放軍の隊列の横、後ろ、あらゆるところに回りこみ、魔法を放った。
シアン卿自らも超遠距離射程の迫撃魔法を使い、魔法の雨を浴びせる。
回り込まれ、後退した意味が無いと判断したバーナード。遂に退却の決断を下した。

「くそッ、覚えてろッ!!」

潰走する中の最後尾で啖呵を切ったつもりのバーナードだが、それは命取りだった。
シアン卿自らが放った狙撃魔弾が、バーナードの身体を貫いたのだ。

指揮官を失って潰走するマンツェリー解放軍。
国境を越えて12キロの地点までシス・フレイム聖騎士団の追撃を受け、その軍容はボロボロだったという。








「で、大変なのは戦後処理だ。」

執務室でポリポリと頭をかく私は、戦後処理に追われている。主に外交関係の。
まったく、死闘を終えて帰ってきて、その次の日が昇る前にこれだからやってられない。
もちろん、我が聖騎士団には休息の時が与えられているが、我々はそうはいかなかった。

「マンツェリー解放軍は軍団長バーナードが戦死、平原に死体が1400超、怪我人とかも多数っすわい。対してウチの損害は怪我人21のみ。あーあー、相変わらずウチの魔導騎士達は無敵っすなあ。」
「地形が平原だったからね。それにしてもやりすぎた、か。これは後始末が大変だ・・・・外務官、近隣諸国は何と言って来てる?」

外務関係の事務員に尋ねると、忙しく書類をめくっている女性が答えた。

「近隣の枢機卿領からはひとまず祝辞が届いています。挨拶程度です。」
「中央からは何といってきてる?どうせまた嫌味だろうけど。」
「さすがにこの短期間で中央から反応は来ません。報告が向こうに届いたかどうかの時刻です。」
「また中央に呼び出されるかなぁ・・・ああもう嫌だ。オドアケル、お前が代わりに行ってこい。」
「ええー!?嫌っすよオレはー!!」

さすがに疲労してざっくんばらんになった私。
しかも、今回の襲撃でまた厄介事が増えるんだからたまったものじゃない。

「あ、中央から返答が届きました。『よくぞ忌まわしき魔軍を退けた、その戦力を以ってファルローゼンを攻略せよ』です。」
「ああもう私は嫌だ。『再編にはしばらく時間がかかる』と言ってできるだけ期限延ばせ。君達で一ヶ月のラインを死守すること。」
「い、一ヶ月・・・・!?あの気の短い教団中央部を相手に!?」
「聖槌軍は壊滅したばかりだ、傭兵とてすぐに集まるわけではない。シス・フレイム聖騎士団を使えと言われたら、ファルローゼンの地形では赤ん坊くらいの戦闘力に落ちるからダメと言っておいてくれ。(どうせ聞かないだろうけど)
「りょ、了解しました・・・・。」







「・・・・・・。」

屋根裏部屋で、一人ベッドに突っ伏す私。

「おいおい、ファルローゼンからは『やり過ぎだ』か。じゃあどうしろって言うんだ・・・。」

親魔物領ファルローゼンは、今はマンツェリー解放軍の駐屯地となっている。
大損害の上に指揮官を失ってじきに引き揚げるだろうが、立場は違えど同じ親魔派だ。複雑な思いは理解できる。
聖領に積極的な侵攻を行うか、行わないかだけの違い。向こうからすれば仔細な違いなのかも知れない。

「近いうちに聖槌軍を組織しなければならないし、傭兵だとお金がかかるんだよなぁ。何とか向こうから資金を引き出すしか無いか。ああ、溜め池は昔から作っていたのに、愛しの灌漑設備増設計画が・・・・」
「こんばんは。随分荒れているねー。」

いつもの凛としたそれではなく、少女返りした彼女の声。
ラキだ。

「ラキはいいのか?私は親魔派を攻撃したんだぞ?彼らは教団に騙された民に真実を見せようと、我が領内に来た。むしろ真実を隠蔽しようとする私の方がずっと悪党だ。」
「うん、あたしもここに来るまでは、彼らが攻撃されたら彼らに味方すると思っていた。でも・・・・」

ラキが私の机に座り、私の方を向いた。

「変わっていけない人達に、変わることを無理に押し付ける。それって、教団のやっていることと全く変わらないと思った。」
「・・・・そう。残念ながら我が領民が親魔派のもとに行ったら、彼らを受け入れられず殉教テロが頻発する。そんな悲劇だけは避けなければ・・・・。」

その光景が目に浮かぶ。這っても黒豆と言い張る連中が、魔物娘達やその夫、そして各種インフラ設備にテロを仕掛けるさまが。
憎しみが憎しみを呼び、悲しみが悲しみを呼び、共存はますます遠のいていく。私もその憎しみの当事者だ、私自身が一番良く知っている。
そんな光景は誰も望んでいないだろう。親魔派も・・・・・教団ですら。

理想を押し付ける戦い。そこに高尚な考えこそあれ、守るべきものは存在しない。
守るべきものを持たずに戦いに出た時点で、彼らの敗北は決していた・・・・と言えば、自惚れになるだろうか。
どちらかと言えば正義は彼らの方にあった、しかし戦いは正義ではない。勝敗なのだ。

「いずれ我が領地の民も、教団の戒めより解かれ、魔物との共存を受け入れられる時が来ればいいだろうな。・・・いや、そうするのが私たちの役目だ。例えどんな手を使っても。」
「ふふふ、あたしも協力する。シアン。」
「だといいな、私も親魔派との戦はごめんだ。ところでラキ、何しに来たんだ?秘密外交なら終わったが。」
「そう、終わったんだ。ちょうど良かった。」

とすん。

「・・・・・え?」

そのまま、私がいるベッドにダイブしたラキ。
これは、まさか・・・・。

「ええと、堕天するよ?と言うか何故?」
「んー、シアンが頑張ったから、ごほうびかな。あとこの前のツケ。」
「いりませんご褒美は。だいたいそういうストレス発散の仕方はしてないです。してたらとっくの昔に娼婦取ってます。」
「そう、じゃあそういう発散の仕方、教えてあげる。」

そう言いながら、既に寝巻きの私を脱がし始める。

「これからもずっと、シアンのココのお世話はあたしがしてあげる、ね♪」
「お心遣いありがたいけど一人でできるから!」
「だーめ、あたしも気分なの。それとも、あたしとするの、嫌?」
「気分って、天使がそれって、相当やばいんじゃあ・・・・」
「いいから、嫌か嫌じゃないか答えて。」

ラキの両手に、私の両頬が挟まれる。
まいったな、これは。

「ラキとするのは嫌じゃない。でも、それでラキが堕天するのは嫌です。」
「じゃあ、しないと堕天しちゃう。」
「わがまま言わない。」

ラキの頭をそっと撫でると、ラキが惚けた表情を浮かべる。

「あたしがここに来たのは、主に聖槌軍の内部諜報が目的。シアンが味方とわかった今、あたしがここにいる意味はないの。・・・・でも、あたしはここにいる。」
「・・・・参ったね。そういうことか。」
「うん。あたし、シアンと離れちゃったら、シアンが恋しすぎて堕天しちゃうかも。」

天使は快楽を求め過ぎたり、主人の意志に背いて堕天するのが一般的だ。
私と離れた場合、心の隙間を埋めるべく堕天するまで快楽を貪ってしまうかもしれない。ある意味、最強の脅しである。

「わかりました、ラキ。それならこのシアンルドール、貴女のものになりましょう。」
「・・・・・ホントに?」
「私がここで嘘をつく必要があるかい?ラキにとって私が必要なら、喜んで私を差し上げます。・・・・私も好きです、ラキ。」
「うれしいッ!!」

ラキが私に抱きつく。これから守るものが1つ増えそうだ。

「ラキ、絶頂は1回まで。それならほとんど影響は無い・・・だったよね?」
「うん。エンジェルによって違うけど、あたしなら連続でイかない限り問題ないと思うよ。」
「うんその、私も野獣にならないよう努力します。」

これは、性交中どちらかに火が点いた時に鎮める手段を考えなくては。
そう考え、私も苦笑いした。

「ねえシアン、今回はあたしに任せて?」
「・・・・今回も、でしょう。前回だってラキに任せっぱなしだったよね。」
「うん。シアンを気持ちよくしてあげたいから・・・」

赤くなって俯いてしまったラキ。確か、エンジェルは概ね献身的な者が多いと聞く。
そして、前回から学んだことは、ラキは闇雲に愛撫してもあまり感じてくれない。
その代わり、愛しいと限界まで感じると、途端に達しやすくなってしまうようだ。
・・・・その時、1回だけラキが達した後、歯止めをかけるのは私の役目だ。

「・・・じゃあ、お願いします。」
「うんっ♪」

手際よく、ラキが私の寝巻きを剥いでいく。
ラキは私の息子を露出させると、舌で一舐めしてきた。

「・・・・口でするつもり?」
「シアンはこういうの、嫌い?」
「されるのは初めてなので好みはわからないけど、噛んだりしないでね。」

「れろぉ・・・れるれるれる・・・・」

ラキが口を開けて亀頭に近づき、舌の先端を使って亀頭の前側をなぞるように愛撫している。
あまり触れない裏筋からの強い刺激と、唾液を丹念に塗りつける動作で、息子はどんどん膨らんでいく。

「あむっ・・・・あむぅ・・・・」

そうかと思うと、亀頭を口に含み、唇を閉じながら吐き出す動作をする。
唇の内側の口腔粘膜がまとわりつき、私は少しずつ高められていく。
手が空いているのでラキの頭をなでなでしてあげると、ラキも頬を赤くした。

「シアン、気持ちいい?」
「聞くまでもなく気持ちいいよ。」
「じゃあ、続けるね。」

ラキは息子に右手を沿え、竿をリズミカルにしごき始める。
そして、先ほどの動作で亀頭の愛撫を始めた。

しゅっ・・・しゅっ・・・しゅっ・・・
「れる・・・れろぉ・・・」

もしかしたら、これでスパートかける気じゃないだろうか。
と思った瞬間、ラキは息子をくわえ込んだ。

「じゅる・・・じゅむむ・・・・」

そのままラキは激しく息子に吸い付き、射精を促してくる。
膣より強い吸い付きを受け、以前とは違った快感だ。

「んー♪」
「ら、ラキ、それやばい・・・・!」

ラキは吸い付きながら舌を蠢かせ、息子の下の部分を愛撫しはじめた。
そこは、男の弱点でもある。

「・・・・!出そう。持ってあと30秒!」
「ん〜♪」

そう言うと、ラキはより深くまで息子を飲み込んだ。つまり、このまま射精しろということか。
私もさっきから喘ぎ声を噛み殺しているが、そろそろ漏れそうだ。
そして、限界はすぐに訪れた。

「・・・・ッ!!」

どぷっ・・・びゅるっ・・・・

射精の瞬間、ラキは喉を閉じ、代わりに私を犯すように激しく舌を躍らせた。
射精中で敏感になっている息子に、それは快感と言うか痛い。

ぴゅるっ・・・ぶびゅるっ・・・・

私は歯を食いしばり、声を噛み殺す。
ラキはどことなく幸せそうな表情を浮かべていた。

ラキがゆっくりと顔を離し、ラキの薄赤色の唇から、絞られてシワが戻り始めた私の息子が吐き出される。
ラキの唾液と私の精液でぬめって光るそれは、とても淫猥だった。

ラキが口の中で精液を回し、やがてそれを飲み込む。
言い知れぬ興奮が私の中に灯る光景だ。

「ごちそうさま、シアン。」
「何も飲んでくれなくても。不味かったよね?」
「そうかな?薄しょっぱくて、塩の足りない生卵の白身みたい。おいしいよ?」

そう言われると照れる。が・・・・

「ラキは感じてなくてもいいのか?」
「うん。あたしエンジェルだから、あたしが感じるよりもシアンを気持ちよくしてあげる方が、あたしも幸せなの。」

淫魔の魔力に侵されたエンジェルは快楽を求めるという。
が、通常のエンジェルは相手に感じてもらうことに、幸福感を感じるようだ。

「シアン、寝て?」
「・・・・こう?」

ラキに寝るよう指示された私は、そのまま仰向けになる。
また騎乗位で来るかと思ったが・・・・

「よいしょ・・・っと。」

ラキは私の上に座ると、太股で私の息子を挟んできた。

「えーと、これは・・・・」
「えへへ、素股って言うんだよ。ほら、こういう風にぎゅーって。」

膣圧よりもずっと強い圧迫。
無論痛みは感じないが、圧迫感はひしひしと伝わってきた。

「ほら、こうすれば動かす事もできるし。」

左右の太股が、練り上げるような動作で私の息子をしごき始める。
膣口からは愛液が出て来ているらしい。みるみる私の息子が膨らんでいく。

「これは、このままもう1回出せということ?さすがに3回目はきついけど。」
「じゃあ、出そうになったらフィニッシュに移るから、言ってね。」

そう言ったラキの薄赤色の唇からよだれが落ち、私の息子にかかった。
そのままラキは右手の中指を膣口とは反対方向に滑り込ませて愛撫を始め、親指で亀頭の先を撫で始める。

「・・・・ッ!ながく、は、もちそうに、ないかも。」
「ふふ、その声、可愛い♪」

なんか男として釈然としないものがあるが、ラキが心底幸せそうな顔をしているので良しとしよう。
しかし、1回出したとは言えこのままでは長くは持たない。なんせ5方向から断続的に愛撫されているのだから。
1分持たない思った私。それよりは登りつめるのは遅かったが、やはりその時は来た。

「ラキ、そろそろ。持たない。」
「はぁい♪」

ラキは私の息子を解放した・・・かと思いきや、素早く騎乗位で挿入してきた。
ラキの膣内はトロトロになっており、前回以上にスムーズに奥まで飲み込まれる。
そして、熱い。

「はうん、来たぁ。もう出してもいいよ〜」
「いや、ここは耐え・・・はうっ!!」

びゅるっ・・・ぷりゅっ・・・・

暴発のように、私はラキの一番奥で果ててしまった。
ラキはというと、幸せそうな吐息を吐きながらお腹のあたりを撫で回している。

びるっ・・・ぶびゅるっ・・・・

「・・・・ッ!!」
「あぅん、心も身体も満たされて・・・・♪」

ぴゅるっ・・・ぴゅっ・・・・

私の射精が止まっても、ラキは中々膣内から息子を解放しなかった。
申し訳なさからやはり私もラキを感じさせてあげた方が、と私が言ったが、ラキはそれよりもこの幸せな時を味わうことの方がずっと嬉しいとのことだった。
・・・天使は確かに禁欲的である。快楽を求めすぎると堕天するという性質は伊達じゃない。

私の息子がげんなりしてきた頃、やっと私の息子はラキから吐き出された。
割れ目から引き抜かれ、私の股間に横たわった息子に、ラキの膣口からうすら白くなった透明な液がソースのように垂れる。
とても淫猥な光景である。

「どうだった?シアン。」
「満たされた。まあ、ラキ以外と経験が無いから比較はできないけど。」
「もうっ!」

布で色々な液体を拭いて綺麗にした後、ラキを送ってから私は眠りに付いた。
久しぶりに心地よく眠れる気がする。ラキと相思相愛になれたからか。
明日も頑張ろう、私。
11/05/19 20:41更新 / 見習い教団魔導士
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■作者メッセージ
【用語・組織・その他紹介】

シス・フレイム聖騎士団

各枢機卿領、その他教団委任領では大抵『聖騎士団』と呼ばれる精鋭騎馬軍団を抱えている。
その多くが重武装の騎士で構成され、機動力は落ちるものの白兵戦に持ち込めば3倍の軍勢を蹴散らす事が可能。
40、50キロの鎧を着込んだ武装が一般的だが、各領でその陣容の差異が大きく、それぞれ個性的な聖騎士団を持つ。

シアン卿直率の聖騎士団が、シス・フレイム聖騎士団である。
全員が魔術師で構成されており、身につけるものは5キロを下回る身軽さ。このため、他の聖騎士と比べ機動力は非常に高い。
平地での散開機動戦法を得意とし、相手の射程外から容赦なく魔法攻撃を仕掛ける。この際、地面と平行に飛ぶ弾道と迫撃軌道で飛ぶ弾道を織り交ぜて立体的に攻撃してくるため、対抗魔法が使える術師が多くないと攻撃を無効化できない。
この他、シス・フレイム聖騎士団員は全員が狙撃魔弾を習得している。馬が使えない鬱蒼としたフィールドでは、全員が迷彩結界などを駆使しながら狙撃手のように敵を撃破していく。
騎士にあるまじき戦いぶりと酷評されているが、シアン卿曰く「勝てれば何でもいい」らしい。

なお、シス・フレイム聖騎士団は創設されたのが数年前で、人員も200名しかいない。
ウェルステラ枢機卿領にかつてあったシス・マーテル聖騎士団は家督騒動の際にシアン卿とその弟を暗殺しようとした為、シアン卿に最後まで敵対し粛清されている。


<<閑休話題>>

ラキの性癖

ラキは純正なエンジェルであるため、図鑑に載っているような『淫魔の魔力を受けたエンジェル』とは違う。
彼女の神は性交に関して比較的おおらかで、性交自体に人並み以上の抵抗は無い。しかし、その性癖はエンジェルだけあってかなり特殊である。

まず、人間や魔物は性交中の快楽が1つの多幸感を感じる基準だが、ラキは『相手との繋がり』『相手が感じてくれること』に強い多幸感を感じる。
一方で堕天に対する無意識な防衛本能があるのか、自分が快楽を感じることにあまり多幸感を感じない。
そのため性交中でも常にリードを取ろうとし、相手への奉仕を第一とする。
相手が絶頂した時、自分も絶頂したかのような幸福感を得るらしい。(無論、自分が本当に絶頂するわけではなく、あくまで感覚の問題である)

性技は豊富で床上手。それもそれ、かつて政略に引っかかって慰み物にされた経緯があり、シアンは気にしていないがラキは密かにそれを気にしている。
禁断の恋仲である2人が結ばれるのはいつの日になるか・・・・。

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