本屋「真実の眼」へようこそ
物語というものは時を経る事で美化されて行く。この物語はお客さんも知ってるかな? 例えば・・・そう、『赤ずきんちゃん』だ。皆子供の頃に一度は親に読んでもらった事がある物語だね。狼さんに食べられちゃった赤ずきんちゃんを猟師さんが助けてめでたしめでたし、ってあれ。でもね。ボクは思っちゃうわけさ。『本当はどうだったのかな』『本当にこんなお話だったのかな?』ってね。物語は時としてその真実に迫れば迫るほどに醜悪で見るに耐えない悪性を帯びた物になる事があるでしょう? ほら、実際は悪い事をした筈がいつの間にか良い事をしてたって事にされてたり、逆に本当は正しい事をしたのに、いつの間にか悪い事をしてた事にされてたりって話現実にはよくある事だよね? なら物語もそうかもしれない。実は正義と悪が入れ替わってるかも、なんて思い始めたら物語の真実を知りたくなるでしょう? ボクは知りたい。それが事実を元にした物語ならなおさらだよ。そんなボクだからこそリャナンシーの奥さんを持ったからこんな変な力を手に入れたんだろうね。ボクは物語の本当の姿を書く力を手に入れたんだ。あ、勿論創作だとそんな力意味無いから、事実を元にした物語しか書けないんだけどね。でもそうして書いたものを皆に見せると皆真っ青な顔になって『夢が壊れた』とか『何てもの書くんだ』って怒っちゃってね。今やボクの本は誰も読んじゃくれない。だから道行く暇そうなそこの君達。一つボクの書き出した物語の真実を読んで行かないかい? ああ、乗り気になってくれたみたいだね。どうぞどうぞ、そんな所に立ってないでその辺に腰掛けてゆっくり読んで行ってよ。 でも、読むのは君の自己責任。夢が壊れたとかこんなのありかよ、とかの苦情はボクは一切受付けないよ? だってそれが真実なんだからさ。 |
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