Murderos Redcap
ある日、少年は母親にお使いを頼まれた。
「行ってきまーす!」
お使いの先は、山を越えた先にある町。
しかしその山は、昔から「入ってはいけない山」と教えられてきた。
そのため、大きく迂回しなければならない。
住んでいる町を出て、山に差し掛かる。
少年は、その山を一瞥した。
特に険しいわけではない。
むしろ、しっかりとした道があり、もっと昔には普通に通行されていたことが伺える。
危険な動物が出るようには見えない。
それに一応、少年は熊避けの鈴も用意してあるのだ。
そして、空模様を見ると、あまり長い時間をかけると雨が降り出しそうである。
家を出る頃には、雨が降るとは想定していなかったので、雨具など持っていない。
「…………近道、しちゃおうかな」
警備する人がいるわけでもない。
本当に危険なら、警備の人間ぐらいはいるはずだ。
少年は、その山に入っていってしまった。
山道は、特に歩きづらいわけでもない。
高い山でもないので、すぐに頂上に着く。
少年は周りに用心していたが、拍子抜けするぐらいであった。
「…あれ? 何だろう、あそこ…」
頂上から目的地の方を向くと、山の中腹あたりに何か開けたところがある。
目的地と同じ方角でもあるので、少年は気になり、そこに向かっていった。
そこには、木々に囲まれた洋館らしき建物があった。
随分使われていないようで、廃墟と化している。
幽霊でも出そうな雰囲気である。
外側から見るだけで充分、そう思って、先を急ごうとした。
しかし。
「…あ、雨が…!」
想像よりずいぶん早く、雨が降り出した。
山の天気は変わりやすいと聞いたことを思い出す。
もしやそのせいで、山に入ってはいけないと言われていたのだろうか。
(ど、どこか雨宿りできるところは…)
まだ麓までは距離がある。
雨宿りできる場所といえば、この廃墟の洋館ぐらいなもの。
正直、薄気味悪いところに入りたくはない。
しかし雷が轟くのを聞くと、少年は止むを得ず洋館の中に入っていった。
中は薄暗い。
あまり長居したい場所ではなさそうだ。
それでも、雨をしのげるならそれでいい。
そう思い、入ってきた扉から外を見ようと振り向いた時だった。
扉の上から、目の前に何かが降り立った。
人影。それも少年と背丈は変わらない程度の少女。
ボロボロの衣服に、真っ赤な帽子。
そして、その手には、血のように真っ赤な鉈。
「…え?」
「…………見ーつけ、た♪」
その少女は、その鉈を少年に向けて振り上げた。
「う…うわあああああ!」
突然のことに、少年はパニックなり、洋館の奥へと一目散に逃げていく。
あんな鉈で切りつけられれば、ただでは済まないだろう。
間違いなく、殺される。少年はそう感じた。
「逃がさないっ…♪」
どうして。
あの子は、どうしていきなり刃物を振り回したのか。
見つけたとは、なんのことか。
ずっとこの廃墟にいたのだろうか。
様々な考えが少年の頭に浮かんだ。
しかし、鉈を振りかざして追う少女の姿を見ると、恐怖が他の全ての思考を奪う。
長い廊下を逃げる。
少女は足が速い。
直線ではいずれ追いつかれる。
少年は廊下を曲がると、手近な部屋に逃げ込んだ。
部屋に入ると、手近にあった棚を扉の前に置いて、侵入を防ぐ。
すぐに、外側から扉を激しく叩く音がした。
少女の怒鳴り声も。
「開けろっ!!」
「や…やだよっ!」
その声に怯え、少年はすぐに逃げ道を探す。
当初は、このまま別の部屋に逃げ込む、そのつもりだった。
しかし。
運悪くそこは、どの部屋にもつながっていない、行き止まりの部屋だった。
(ど、どうしよう…!)
戸惑う少年は、部屋に響き渡る打撃音に肩を震わせた。
少女が、扉に鉈を打ち付け、無理やり入ろうとしてきているのだ。
音からするに、かなりの力があるようだ。
このままでは、扉を壊されて侵入されるのは時間の問題だろう。
部屋を見回すと、クローゼットの一団があった。
隠れられそうな場所はそこしかない。
見つかりませんように。
祈るような気持で、少年はいくつも並んだクローゼットの一つに身を隠した。
打撃音。
木製の扉がだんだん砕けていく音。
クローゼットの中で、少年は体育座りになって震えていた。
声が漏れないよう、必死に両手で口を押えている。
―この山に入ってはいけない。
恐らくは、あの少女のこと。
ようやくその意味を理解した少年だが、この状況では手遅れだった。
扉の蝶番が外れる音。
あの扉に、もう侵入を防ぐ能力がなくなったことの知らせだった。
扉が廊下に倒れる音。
少女が扉を外したのだろう。
もう、部屋に入ってくる。
そして棚が蹴倒される音。
少女が部屋に入ってきたという、何よりも絶望的な情報だった。
「…どこに行ったんだろうなあ〜?」
部屋に侵入した少女は、悪戯そうな声色で問いかけながら部屋を歩き回る。
少年に逃げ場がないことを、少女は分かっているようだ。
(お願い、来ないで…来ないで…!)
過呼吸を起こしそうなほど、息が荒くなる。
音を必死に抑えようとするが、全身が震えて満足に口を抑えられない。
「まあ…ここしかないよな〜?」
少女は、クローゼットの一団を見渡す。
そして、少年のいる、一番左端のクローゼットの前に立っていた。
(だ、駄目…! 開けないで…!)
歯がガチガチと鳴りそうになるのを両手で押さえ、必死で祈る。
目と鼻の先で、あの少女が鉈を振るう光景が目に浮かぶ。
「ふふ…♪」
すると、少女の口から嗜虐的な笑い声がこぼれた。
少女はそのクローゼットを開けず、右のクローゼットの方へと歩いていく。
今なら逃げられるかもしれない。
だが、恐怖に竦んだ足は言う事を聞いてくれない。
このまま見つからない、そんな奇跡を祈るしかない。
そう思った矢先だった。
「ここかなあ!?」
声と共に、少し遠くで、木が断ち割られる音が響いた。
先程、ドアが壊されたときの音によく似ている。
「それともここかなあ!?」
更に、もう一つ。
音が先程よりも近い。
木製の板が崩れ落ちる音も続く。
間違いない。
少女は、クローゼットを一つ一つ破壊しているのだ。
(や…やめて…やめて…!)
このままでは自分ごと叩き割られる。
逃げなくてはならないのに、足が動いてくれない。
「ここ? それともここかっ!?」
クローゼットが次々に破壊される音。
あの鉈が、目の前の扉に振り下ろされるのも時間の問題。
そしてついに、すぐ隣から破壊音。
次は、自分のいる、クローゼットの、
「ここでもない…そ・れ・じゃ・あ…♪」
「や…やめて! 待って!」
恐怖のあまり、思わず声を上げた。
いやだ。まだ殺されたくない。
「なあんだ、ここにいたのか♪」
嗜虐的な声。
間違いなく、最初からここに入っているのは気付かれていたのだろう。
扉が開けられ、目の前に真っ赤な帽子と鉈の少女が姿を現す。
少年は恐怖のあまり、涙で顔をぐしゃぐしゃにしている。
「ぅ…ゆ…ゆるじで…ゆるじでくだざい…っ」
「やだね♪ お前にはこの鉈の餌食になってもらわないと…♪」
少女は、ゆっくりと鉈を振り上げていく。
「やっ、やめて! だ…誰か! 誰かぁ! 助けてぇぇ!」
「誰も来やしないさ…♪ 私がどれだけ待たされたと思ってるんだ?」
鉈を振り上げた少女が、クローゼットに一歩踏み込んだ。
「そのせいで…疼いて、疼いて、たまらないのよっ!」
「だっ、だめっ、いや、いやっ、いやああああああああああああああああ!」
そして、少女はその鉈を振り下ろした。
その手応えを一瞬感じた途端、少年は気を失い、仰向けに倒れ込んだ。
恐怖で失禁し、黄色い水たまりができている。
「あーあ、漏らしてる」
その水たまりを、少女は困った顔で見つめる。
「まったくもう、あたしはベルゼブブじゃないっての」
少女―レッドキャップは何を思ったか、気絶した少年を残して部屋を出ていった。
少年は、全身に冷たい水がぶっかけられる衝撃で目を覚ました。
「ひゃっ!?」
「おっ、起きた起きた」
「!」
驚いて起き上がろうとするが、起き上がれない。
そして響くのは、あのレッドキャップの声。
明らかに、鉈が当たったはずなのに、痛みはない。
だが、全身に力が入らない。
「ヤるときは、ちゃんと起きて見ててもらわないとなあ♪」
「や…やめて…許して…」
「やだね。漏らしたせいで、洗うために、またガマンさせられたんだぞ?」
首だけはまだ、かろうじて動く。
レッドキャップは片手に鉈を、もう片方の手にバケツを持っていた。
レッドキャップはしゃがみこむと、少年の太ももに手を置いた。
「ああ、もうガマンできないっ!」
「だ、だめ…!」
そしてそのまま、少年のズボンをパンツごと一気にずり下ろした。
抵抗しようとするが、手にも足にも力が全く入ってくれない。
「ひぃっ!?」
「おーおー、縮こまっちゃって。じゃ、早速。いただきまーす♪」
思わず目を閉じた少年は、力の入らない腰が浮くような感覚を覚えた。
これは、快楽?
恐る恐る目を開けると、レッドキャップは少年の肉棒にしゃぶりついている。
「じゅぶっ、じゅぼっ、ぐちゅっ、じゅぼっ、じゅぶぶっ♥」
「な、何を…んぅっ♥」
少年は、何が起こっているのか状況が呑み込めない。
そんな中で、レッドキャップに乱暴に肉棒を吸われて思わず喘ぎ声を漏らす。
唇が、肉棒の包皮を強引に剥く。
舌が、露出したカリと裏筋を、擦るかのように激しく舐め回す。
「や…あ、あぁぁ♥」
「じゅぶぶ、じゅぼっ…♥ おー、もういい具合…♪」
レッドキャップが口を離すと、恐怖で縮んでいた肉棒はすっかり固くなっていた。
まだ、状況は一切把握できていない。
レッドキャップは立ち上がると、ボロボロの真っ赤な衣服をまくり上げた。
毛の生えていない秘所が丸見えになる。
「え…っ」
「溜まったモノ、全部あたしに吐き出せっ♪」
そのまま一気に腰を落とし、肉棒をその秘所へと一気にねじ込ませた。
「ひっ、やああああっ♥」
「あっ、あああああああ♥」
熱い、肉壁の感触。
暴力的なまでに強く締め付けてくる。
「さあ、いくぞぉっ♪」
「え、やっ、あぁん♥ あっ♥ ひぃぃっ♥」
レッドキャップはそのまま、激しく上下に腰を振り始めた。
締め付けの強い膣壁が、肉棒を激しく扱いていく。
少年は混乱しながらも、その暴力的な快楽に喘ぎ声が止まらない。
自慰の経験こそあれ、今までこれほどの快楽を味わったことはなかった。
激しい挿入の度に、膣壁が亀頭に噛み付くように吸い付いてくる。
レッドキャップが腰を浮かせるたびに、カリ首を膣壁がゴリュゴリュとえぐる。
あまりにも激しい責めに、異性経験のない少年が耐えられるはずも無かった。
「ま、待ってっ、だめっ、でちゃうっ、イッちゃうからぁっ♥」
「だせぇっ♥ ぜんぶ、だせぇぇっ♥」
少年が絶頂する、その瞬間。
レッドキャップは、更に凄まじい勢いで腰を上下させ始めた。
「うっ、あああああああああああ♥」
少年の肉棒がビクビクと震え、レッドキャップの膣内にドクドクと精液を流し込む。
射精の瞬間に責めを強くされたせいで、敏感な肉棒に容赦ない快楽が撃ち込まれる。
「やぁっ♥ だめっ、イッたばかりなのっ♥ ひぃっ♥ あぅんっ♥」
「お前の啼く声、可愛いなっ♥ もっと啼けっ♥」
快楽に身をよじらせようとする少年を見て、レッドキャップは更に興奮する。
少年は相変わらず身体に力が入らず、抵抗できずに快楽が脳髄に叩き込まれていく。
失禁するほどに感じていた恐怖は、いつの間にか全て快楽に置き換わっていた。
「だめぇっ♥ またイクぅっ♥」
「なんどでもイケっ♥ あたしはずっと待ってきたんだっ、この時をっ♥」
「やっ♥ でるっ♥ あ、あぁ、あっ ♥ああああああああ♥」
次の射精の時も、レッドキャップはその激しい腰使いを止めなかった。
それどころか、子宮内に精液がぶちまけられる快楽で、更に動きを激しくする。
「ひぃぃっ♥ もうでないですっ、やめてぇ♥」
「嫌ならっ、なんでこんなにギンギンなんだよっ、おまえのチンポはぁっ♥」
「ああっ♥ だめぇ♥ おかしくなるぅぅっ♥」
「おかしくなれっ♥ 十回や二十回でっ、許すと思うなよっ♥」
「そんなぁっ、あっ♥ ひぃっ♥ ああああっ♥」
・
・
・
一時間後。
一滴残らず精液を搾り取られた少年は、気を失ってしまった。
腰だけが、快楽の余韻でヒクヒクと痙攣している。
レッドキャップの下腹部は、大量の精液で少し膨らんでいた。
よく見れば、帽子や鉈の赤色がかなり薄まっている。
「気持ちよかった…よっ♥」
レッドキャップは、満足げに下腹部を撫でる。
表情も、心なしか穏やかだ。
「またしようなっ…♥ 明日も、明後日も、その次も、ずっと、ずっと…♥」
レッドキャップは繋がったまま、少年の顔に顔を寄せる。
「愛してるよ、ダーリン♥」
そして気を失っている少年に、熱い口付けをするのだった。
・
・
・
少年は「近道」をすることはできた。
…但し、人生の。
「行ってきまーす!」
お使いの先は、山を越えた先にある町。
しかしその山は、昔から「入ってはいけない山」と教えられてきた。
そのため、大きく迂回しなければならない。
住んでいる町を出て、山に差し掛かる。
少年は、その山を一瞥した。
特に険しいわけではない。
むしろ、しっかりとした道があり、もっと昔には普通に通行されていたことが伺える。
危険な動物が出るようには見えない。
それに一応、少年は熊避けの鈴も用意してあるのだ。
そして、空模様を見ると、あまり長い時間をかけると雨が降り出しそうである。
家を出る頃には、雨が降るとは想定していなかったので、雨具など持っていない。
「…………近道、しちゃおうかな」
警備する人がいるわけでもない。
本当に危険なら、警備の人間ぐらいはいるはずだ。
少年は、その山に入っていってしまった。
山道は、特に歩きづらいわけでもない。
高い山でもないので、すぐに頂上に着く。
少年は周りに用心していたが、拍子抜けするぐらいであった。
「…あれ? 何だろう、あそこ…」
頂上から目的地の方を向くと、山の中腹あたりに何か開けたところがある。
目的地と同じ方角でもあるので、少年は気になり、そこに向かっていった。
そこには、木々に囲まれた洋館らしき建物があった。
随分使われていないようで、廃墟と化している。
幽霊でも出そうな雰囲気である。
外側から見るだけで充分、そう思って、先を急ごうとした。
しかし。
「…あ、雨が…!」
想像よりずいぶん早く、雨が降り出した。
山の天気は変わりやすいと聞いたことを思い出す。
もしやそのせいで、山に入ってはいけないと言われていたのだろうか。
(ど、どこか雨宿りできるところは…)
まだ麓までは距離がある。
雨宿りできる場所といえば、この廃墟の洋館ぐらいなもの。
正直、薄気味悪いところに入りたくはない。
しかし雷が轟くのを聞くと、少年は止むを得ず洋館の中に入っていった。
中は薄暗い。
あまり長居したい場所ではなさそうだ。
それでも、雨をしのげるならそれでいい。
そう思い、入ってきた扉から外を見ようと振り向いた時だった。
扉の上から、目の前に何かが降り立った。
人影。それも少年と背丈は変わらない程度の少女。
ボロボロの衣服に、真っ赤な帽子。
そして、その手には、血のように真っ赤な鉈。
「…え?」
「…………見ーつけ、た♪」
その少女は、その鉈を少年に向けて振り上げた。
「う…うわあああああ!」
突然のことに、少年はパニックなり、洋館の奥へと一目散に逃げていく。
あんな鉈で切りつけられれば、ただでは済まないだろう。
間違いなく、殺される。少年はそう感じた。
「逃がさないっ…♪」
どうして。
あの子は、どうしていきなり刃物を振り回したのか。
見つけたとは、なんのことか。
ずっとこの廃墟にいたのだろうか。
様々な考えが少年の頭に浮かんだ。
しかし、鉈を振りかざして追う少女の姿を見ると、恐怖が他の全ての思考を奪う。
長い廊下を逃げる。
少女は足が速い。
直線ではいずれ追いつかれる。
少年は廊下を曲がると、手近な部屋に逃げ込んだ。
部屋に入ると、手近にあった棚を扉の前に置いて、侵入を防ぐ。
すぐに、外側から扉を激しく叩く音がした。
少女の怒鳴り声も。
「開けろっ!!」
「や…やだよっ!」
その声に怯え、少年はすぐに逃げ道を探す。
当初は、このまま別の部屋に逃げ込む、そのつもりだった。
しかし。
運悪くそこは、どの部屋にもつながっていない、行き止まりの部屋だった。
(ど、どうしよう…!)
戸惑う少年は、部屋に響き渡る打撃音に肩を震わせた。
少女が、扉に鉈を打ち付け、無理やり入ろうとしてきているのだ。
音からするに、かなりの力があるようだ。
このままでは、扉を壊されて侵入されるのは時間の問題だろう。
部屋を見回すと、クローゼットの一団があった。
隠れられそうな場所はそこしかない。
見つかりませんように。
祈るような気持で、少年はいくつも並んだクローゼットの一つに身を隠した。
打撃音。
木製の扉がだんだん砕けていく音。
クローゼットの中で、少年は体育座りになって震えていた。
声が漏れないよう、必死に両手で口を押えている。
―この山に入ってはいけない。
恐らくは、あの少女のこと。
ようやくその意味を理解した少年だが、この状況では手遅れだった。
扉の蝶番が外れる音。
あの扉に、もう侵入を防ぐ能力がなくなったことの知らせだった。
扉が廊下に倒れる音。
少女が扉を外したのだろう。
もう、部屋に入ってくる。
そして棚が蹴倒される音。
少女が部屋に入ってきたという、何よりも絶望的な情報だった。
「…どこに行ったんだろうなあ〜?」
部屋に侵入した少女は、悪戯そうな声色で問いかけながら部屋を歩き回る。
少年に逃げ場がないことを、少女は分かっているようだ。
(お願い、来ないで…来ないで…!)
過呼吸を起こしそうなほど、息が荒くなる。
音を必死に抑えようとするが、全身が震えて満足に口を抑えられない。
「まあ…ここしかないよな〜?」
少女は、クローゼットの一団を見渡す。
そして、少年のいる、一番左端のクローゼットの前に立っていた。
(だ、駄目…! 開けないで…!)
歯がガチガチと鳴りそうになるのを両手で押さえ、必死で祈る。
目と鼻の先で、あの少女が鉈を振るう光景が目に浮かぶ。
「ふふ…♪」
すると、少女の口から嗜虐的な笑い声がこぼれた。
少女はそのクローゼットを開けず、右のクローゼットの方へと歩いていく。
今なら逃げられるかもしれない。
だが、恐怖に竦んだ足は言う事を聞いてくれない。
このまま見つからない、そんな奇跡を祈るしかない。
そう思った矢先だった。
「ここかなあ!?」
声と共に、少し遠くで、木が断ち割られる音が響いた。
先程、ドアが壊されたときの音によく似ている。
「それともここかなあ!?」
更に、もう一つ。
音が先程よりも近い。
木製の板が崩れ落ちる音も続く。
間違いない。
少女は、クローゼットを一つ一つ破壊しているのだ。
(や…やめて…やめて…!)
このままでは自分ごと叩き割られる。
逃げなくてはならないのに、足が動いてくれない。
「ここ? それともここかっ!?」
クローゼットが次々に破壊される音。
あの鉈が、目の前の扉に振り下ろされるのも時間の問題。
そしてついに、すぐ隣から破壊音。
次は、自分のいる、クローゼットの、
「ここでもない…そ・れ・じゃ・あ…♪」
「や…やめて! 待って!」
恐怖のあまり、思わず声を上げた。
いやだ。まだ殺されたくない。
「なあんだ、ここにいたのか♪」
嗜虐的な声。
間違いなく、最初からここに入っているのは気付かれていたのだろう。
扉が開けられ、目の前に真っ赤な帽子と鉈の少女が姿を現す。
少年は恐怖のあまり、涙で顔をぐしゃぐしゃにしている。
「ぅ…ゆ…ゆるじで…ゆるじでくだざい…っ」
「やだね♪ お前にはこの鉈の餌食になってもらわないと…♪」
少女は、ゆっくりと鉈を振り上げていく。
「やっ、やめて! だ…誰か! 誰かぁ! 助けてぇぇ!」
「誰も来やしないさ…♪ 私がどれだけ待たされたと思ってるんだ?」
鉈を振り上げた少女が、クローゼットに一歩踏み込んだ。
「そのせいで…疼いて、疼いて、たまらないのよっ!」
「だっ、だめっ、いや、いやっ、いやああああああああああああああああ!」
そして、少女はその鉈を振り下ろした。
その手応えを一瞬感じた途端、少年は気を失い、仰向けに倒れ込んだ。
恐怖で失禁し、黄色い水たまりができている。
「あーあ、漏らしてる」
その水たまりを、少女は困った顔で見つめる。
「まったくもう、あたしはベルゼブブじゃないっての」
少女―レッドキャップは何を思ったか、気絶した少年を残して部屋を出ていった。
少年は、全身に冷たい水がぶっかけられる衝撃で目を覚ました。
「ひゃっ!?」
「おっ、起きた起きた」
「!」
驚いて起き上がろうとするが、起き上がれない。
そして響くのは、あのレッドキャップの声。
明らかに、鉈が当たったはずなのに、痛みはない。
だが、全身に力が入らない。
「ヤるときは、ちゃんと起きて見ててもらわないとなあ♪」
「や…やめて…許して…」
「やだね。漏らしたせいで、洗うために、またガマンさせられたんだぞ?」
首だけはまだ、かろうじて動く。
レッドキャップは片手に鉈を、もう片方の手にバケツを持っていた。
レッドキャップはしゃがみこむと、少年の太ももに手を置いた。
「ああ、もうガマンできないっ!」
「だ、だめ…!」
そしてそのまま、少年のズボンをパンツごと一気にずり下ろした。
抵抗しようとするが、手にも足にも力が全く入ってくれない。
「ひぃっ!?」
「おーおー、縮こまっちゃって。じゃ、早速。いただきまーす♪」
思わず目を閉じた少年は、力の入らない腰が浮くような感覚を覚えた。
これは、快楽?
恐る恐る目を開けると、レッドキャップは少年の肉棒にしゃぶりついている。
「じゅぶっ、じゅぼっ、ぐちゅっ、じゅぼっ、じゅぶぶっ♥」
「な、何を…んぅっ♥」
少年は、何が起こっているのか状況が呑み込めない。
そんな中で、レッドキャップに乱暴に肉棒を吸われて思わず喘ぎ声を漏らす。
唇が、肉棒の包皮を強引に剥く。
舌が、露出したカリと裏筋を、擦るかのように激しく舐め回す。
「や…あ、あぁぁ♥」
「じゅぶぶ、じゅぼっ…♥ おー、もういい具合…♪」
レッドキャップが口を離すと、恐怖で縮んでいた肉棒はすっかり固くなっていた。
まだ、状況は一切把握できていない。
レッドキャップは立ち上がると、ボロボロの真っ赤な衣服をまくり上げた。
毛の生えていない秘所が丸見えになる。
「え…っ」
「溜まったモノ、全部あたしに吐き出せっ♪」
そのまま一気に腰を落とし、肉棒をその秘所へと一気にねじ込ませた。
「ひっ、やああああっ♥」
「あっ、あああああああ♥」
熱い、肉壁の感触。
暴力的なまでに強く締め付けてくる。
「さあ、いくぞぉっ♪」
「え、やっ、あぁん♥ あっ♥ ひぃぃっ♥」
レッドキャップはそのまま、激しく上下に腰を振り始めた。
締め付けの強い膣壁が、肉棒を激しく扱いていく。
少年は混乱しながらも、その暴力的な快楽に喘ぎ声が止まらない。
自慰の経験こそあれ、今までこれほどの快楽を味わったことはなかった。
激しい挿入の度に、膣壁が亀頭に噛み付くように吸い付いてくる。
レッドキャップが腰を浮かせるたびに、カリ首を膣壁がゴリュゴリュとえぐる。
あまりにも激しい責めに、異性経験のない少年が耐えられるはずも無かった。
「ま、待ってっ、だめっ、でちゃうっ、イッちゃうからぁっ♥」
「だせぇっ♥ ぜんぶ、だせぇぇっ♥」
少年が絶頂する、その瞬間。
レッドキャップは、更に凄まじい勢いで腰を上下させ始めた。
「うっ、あああああああああああ♥」
少年の肉棒がビクビクと震え、レッドキャップの膣内にドクドクと精液を流し込む。
射精の瞬間に責めを強くされたせいで、敏感な肉棒に容赦ない快楽が撃ち込まれる。
「やぁっ♥ だめっ、イッたばかりなのっ♥ ひぃっ♥ あぅんっ♥」
「お前の啼く声、可愛いなっ♥ もっと啼けっ♥」
快楽に身をよじらせようとする少年を見て、レッドキャップは更に興奮する。
少年は相変わらず身体に力が入らず、抵抗できずに快楽が脳髄に叩き込まれていく。
失禁するほどに感じていた恐怖は、いつの間にか全て快楽に置き換わっていた。
「だめぇっ♥ またイクぅっ♥」
「なんどでもイケっ♥ あたしはずっと待ってきたんだっ、この時をっ♥」
「やっ♥ でるっ♥ あ、あぁ、あっ ♥ああああああああ♥」
次の射精の時も、レッドキャップはその激しい腰使いを止めなかった。
それどころか、子宮内に精液がぶちまけられる快楽で、更に動きを激しくする。
「ひぃぃっ♥ もうでないですっ、やめてぇ♥」
「嫌ならっ、なんでこんなにギンギンなんだよっ、おまえのチンポはぁっ♥」
「ああっ♥ だめぇ♥ おかしくなるぅぅっ♥」
「おかしくなれっ♥ 十回や二十回でっ、許すと思うなよっ♥」
「そんなぁっ、あっ♥ ひぃっ♥ ああああっ♥」
・
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一時間後。
一滴残らず精液を搾り取られた少年は、気を失ってしまった。
腰だけが、快楽の余韻でヒクヒクと痙攣している。
レッドキャップの下腹部は、大量の精液で少し膨らんでいた。
よく見れば、帽子や鉈の赤色がかなり薄まっている。
「気持ちよかった…よっ♥」
レッドキャップは、満足げに下腹部を撫でる。
表情も、心なしか穏やかだ。
「またしようなっ…♥ 明日も、明後日も、その次も、ずっと、ずっと…♥」
レッドキャップは繋がったまま、少年の顔に顔を寄せる。
「愛してるよ、ダーリン♥」
そして気を失っている少年に、熱い口付けをするのだった。
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少年は「近道」をすることはできた。
…但し、人生の。
16/09/26 01:06更新 / 第四アルカ騎士団