策謀（アトラク・ナクア）完結編
参道は静かだった。
途中の“赤ん坊”は一発で消え、
ついに、那知ちゃんが“変化”する前まで来た。
彼女の手の温もりが左手から伝わる。
同じくらいの、緊張感も
「大丈夫、一緒に行こう。」
そう言って、一歩。
みちり
ーーーーー始まった。
彼女の手を乱暴に離す。
神社の方向に突き飛ばされる、彼女。
たん、たん
変化する前に。
2発。
心臓に、正確に鉛弾が沈んでいった。
「…どう、し……て」
手を伸ばす彼女に“笑顔”で答える。
「大丈夫。痛みは、一瞬だから」
そうして、朱い血を流しながら、うつぶせに倒れる彼女
銃をしまい、ゴルフケースを置くーーーー
「ぎっ、ぎゃあああああああああ！！！」
神社の方から汚い“男の”叫び声が聞こえる。
ーーー神主がこの世の終わりのような顔で、立っている
「よーやく、おでましか。“クソ神主”。」
「キッ、キサマ…その女が、その化け物が、どれほど貴重かわかって…」
「わかってるから、撃ったんじゃん。」
「なっ…！」
呆れ顔になっている神主に、魔王からもらった資料をくしゃくしゃにして投げる。
「読め。」
魔王から事前に渡された、情報は2つだけ。
1、二年前、警察があるカルト教団を検挙、しかし教祖は逃亡。
2、行方不明事件後、裏オークションで“朱の複眼”がその教祖によって落札されたこと。
「もう、彼女の話を聞く前からわかったけど。
あんた、那知ちゃんの友達を“売ったろ”。」
「ーーーーーーっ」
軽トラにあった縄と毛布についてた毛、
参道にあった“人よけ”の幻術、
…そして“部外者”が神社内に来たときの完璧すぎる“変化”のタイミング。
「大方、あんたの“神”を呼び出すためのお宝を落札するためのおこづかい稼ぎと、器探し、そんで隠れ家探し、…運が良かったなあ〜」
「…彼女に食われた人間をどう売れと？
……精肉工場にでも売るかね？」
「黙れ。下衆野郎。」
苦し紛れの皮肉を殺気で返す。
「あんたのお得意の“幻術”でごまかしたんだろ？変化の途中で彼女を気絶させて、起きたところでトラウマを植え付ける。
他言無用を忠実に守る“器”の完成だ。
そいで友達にも幻術を見せて、軽トラに縛って売春に売った。
…オークションの金は、ヤミ金でも使って落札したんだろ？
東京湾に沈む前に借金返せて良かったなあ〜
…クズが」
言い当てられた神主は明らかに動揺している。
「………クソっ」
「クソクソクソクソクソクソクソクソっ！！！！！！！お前のせいで！！お前のせいですべてやり直しだ！
私の苦労を！努力を！一瞬で不意にしやがってぇ！」
あお向けに倒れている、女の子を指差して豹変する神主
それを見てはぁ、とため息をつく。
「ーーああ、そうだな、死んだなあ、彼女は、“お前にとって都合のいい”、彼女は。」
「また計画は一からやり直しだ！！あの娘から複眼を回収してーー」
「まだ、気づかないのか。」
「…なに？」
「泣いてるぜ、彼女、あお向けで涙を流してる。」
「…ふん、キサマに裏切られて、殺されたのが恨めしくて泣いているのだろう。」
ーーーー鈍いな、この男。
「信用して、「助ける」といった人間が、目の前で自首したんだ。悲しくて泣いてんだろう。」
「だからそれはーーー」
「…まだわかんねぇの？
どうして、“うつぶせ”で倒れた女の子が
“あお向け”になって涙を流してんだよ。」
はっとして逃げようとする神主。
ひゅっ。
“カマキリのような腕”が神主の左腕を、マッチ棒のように、折った。
神主の悲鳴が上がる。本日2回目。
しかしすぐに笑顔で呪文を唱え、那知ちゃんに右腕を伸ばす。
「は、はは、はははははは！！！バカが！器はもう完成した！
わが神！ アトラク・ナクアの降臨だ！！！！」
………………………………………………なにも起こらない。
当の本人は腕をしまってオロオロしている。
「わ、ﾜﾀｼﾊｶﾐｻﾏﾀﾞｿﾞｰ」
「空気読まなくてもｲｲﾝﾀﾞﾖー」
呆れたようにゴルフケースに座り込む。
「……“魔物娘”に既存の儀式が効くわけねーだろ。」
「なにぃ！？」
那知ちゃんを手で制してゴルフケースを開ける。
「もう、いいや」
中から、円筒状の鉄の塊が出てくる。
m134。
ガトリング・ガンである。
＊お好きな処刑用bgmでお楽しみください。
回転駆動の音が早く、大きくなる。
射撃・可能。
「え、え、」
「ちょっと待って待って待って待って、井口さん私たちは話し合えるだからそれしまってダメダメダメダメダメダメだってええええええええええええええ」
「うるせえ」
満面の笑みで照準を神主に向ける。
「いたいけな少女を騙し、売り、異形に変えた………
本来なら死ぬところだがーーーーーーーー
大丈夫。死にゃあしない。ただ、ほんのすこし、
人間を、やめるだけだ。」
カチッ
その銃弾は嵐のように降り注ぐ。
オレンジ色の豪雨が横に降っているような、無数の流れ星が地面に降っているような、そんな幻想的な風景。
雨は、星は、氷のように建物を削り取っていく。
みるみるうちに「神社」という建物の機能を失っていくのにも関わらず、光の雨は容赦なく降り注ぐ。
それを呆然と見ている女子高校生
300発をうち尽くしたあと、残ったのは、
テクノブレイク寸前のインキュバスと、
木の破片と、瓦だけだった。
途中の“赤ん坊”は一発で消え、
ついに、那知ちゃんが“変化”する前まで来た。
彼女の手の温もりが左手から伝わる。
同じくらいの、緊張感も
「大丈夫、一緒に行こう。」
そう言って、一歩。
みちり
ーーーーー始まった。
彼女の手を乱暴に離す。
神社の方向に突き飛ばされる、彼女。
たん、たん
変化する前に。
2発。
心臓に、正確に鉛弾が沈んでいった。
「…どう、し……て」
手を伸ばす彼女に“笑顔”で答える。
「大丈夫。痛みは、一瞬だから」
そうして、朱い血を流しながら、うつぶせに倒れる彼女
銃をしまい、ゴルフケースを置くーーーー
「ぎっ、ぎゃあああああああああ！！！」
神社の方から汚い“男の”叫び声が聞こえる。
ーーー神主がこの世の終わりのような顔で、立っている
「よーやく、おでましか。“クソ神主”。」
「キッ、キサマ…その女が、その化け物が、どれほど貴重かわかって…」
「わかってるから、撃ったんじゃん。」
「なっ…！」
呆れ顔になっている神主に、魔王からもらった資料をくしゃくしゃにして投げる。
「読め。」
魔王から事前に渡された、情報は2つだけ。
1、二年前、警察があるカルト教団を検挙、しかし教祖は逃亡。
2、行方不明事件後、裏オークションで“朱の複眼”がその教祖によって落札されたこと。
「もう、彼女の話を聞く前からわかったけど。
あんた、那知ちゃんの友達を“売ったろ”。」
「ーーーーーーっ」
軽トラにあった縄と毛布についてた毛、
参道にあった“人よけ”の幻術、
…そして“部外者”が神社内に来たときの完璧すぎる“変化”のタイミング。
「大方、あんたの“神”を呼び出すためのお宝を落札するためのおこづかい稼ぎと、器探し、そんで隠れ家探し、…運が良かったなあ〜」
「…彼女に食われた人間をどう売れと？
……精肉工場にでも売るかね？」
「黙れ。下衆野郎。」
苦し紛れの皮肉を殺気で返す。
「あんたのお得意の“幻術”でごまかしたんだろ？変化の途中で彼女を気絶させて、起きたところでトラウマを植え付ける。
他言無用を忠実に守る“器”の完成だ。
そいで友達にも幻術を見せて、軽トラに縛って売春に売った。
…オークションの金は、ヤミ金でも使って落札したんだろ？
東京湾に沈む前に借金返せて良かったなあ〜
…クズが」
言い当てられた神主は明らかに動揺している。
「………クソっ」
「クソクソクソクソクソクソクソクソっ！！！！！！！お前のせいで！！お前のせいですべてやり直しだ！
私の苦労を！努力を！一瞬で不意にしやがってぇ！」
あお向けに倒れている、女の子を指差して豹変する神主
それを見てはぁ、とため息をつく。
「ーーああ、そうだな、死んだなあ、彼女は、“お前にとって都合のいい”、彼女は。」
「また計画は一からやり直しだ！！あの娘から複眼を回収してーー」
「まだ、気づかないのか。」
「…なに？」
「泣いてるぜ、彼女、あお向けで涙を流してる。」
「…ふん、キサマに裏切られて、殺されたのが恨めしくて泣いているのだろう。」
ーーーー鈍いな、この男。
「信用して、「助ける」といった人間が、目の前で自首したんだ。悲しくて泣いてんだろう。」
「だからそれはーーー」
「…まだわかんねぇの？
どうして、“うつぶせ”で倒れた女の子が
“あお向け”になって涙を流してんだよ。」
はっとして逃げようとする神主。
ひゅっ。
“カマキリのような腕”が神主の左腕を、マッチ棒のように、折った。
神主の悲鳴が上がる。本日2回目。
しかしすぐに笑顔で呪文を唱え、那知ちゃんに右腕を伸ばす。
「は、はは、はははははは！！！バカが！器はもう完成した！
わが神！ アトラク・ナクアの降臨だ！！！！」
………………………………………………なにも起こらない。
当の本人は腕をしまってオロオロしている。
「わ、ﾜﾀｼﾊｶﾐｻﾏﾀﾞｿﾞｰ」
「空気読まなくてもｲｲﾝﾀﾞﾖー」
呆れたようにゴルフケースに座り込む。
「……“魔物娘”に既存の儀式が効くわけねーだろ。」
「なにぃ！？」
那知ちゃんを手で制してゴルフケースを開ける。
「もう、いいや」
中から、円筒状の鉄の塊が出てくる。
m134。
ガトリング・ガンである。
＊お好きな処刑用bgmでお楽しみください。
回転駆動の音が早く、大きくなる。
射撃・可能。
「え、え、」
「ちょっと待って待って待って待って、井口さん私たちは話し合えるだからそれしまってダメダメダメダメダメダメだってええええええええええええええ」
「うるせえ」
満面の笑みで照準を神主に向ける。
「いたいけな少女を騙し、売り、異形に変えた………
本来なら死ぬところだがーーーーーーーー
大丈夫。死にゃあしない。ただ、ほんのすこし、
人間を、やめるだけだ。」
カチッ
その銃弾は嵐のように降り注ぐ。
オレンジ色の豪雨が横に降っているような、無数の流れ星が地面に降っているような、そんな幻想的な風景。
雨は、星は、氷のように建物を削り取っていく。
みるみるうちに「神社」という建物の機能を失っていくのにも関わらず、光の雨は容赦なく降り注ぐ。
それを呆然と見ている女子高校生
300発をうち尽くしたあと、残ったのは、
テクノブレイク寸前のインキュバスと、
木の破片と、瓦だけだった。
20/07/08 22:55更新 / ぐだぐだ
戻る
次へ