連載小説
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スマートに ゴースト
ーーー普通の大学生Hくん(20歳)
最近、悪夢を見る。
それだけじゃない。
窓が割れたり、夜中に金縛りが起きたり、ラップ音が聞こえたりーーーこないだは転んで腕を折ってしまった。
でも、 でも一番怖いのが

「あ゛ あ゛ 」







「ミツ ケタ」

ーーーー来た。
大学からの帰り道を全力で走り抜ける。
昼間なのに、どうして、どうして、目から出る涙が視界をぼやけさせる。
肺がいたい。足の感覚がなくなる。心臓がはちきれそうなほど動く。それでも走るのをやめない。
ふと、後ろを振り向く。

いない?


「あ゛ ニガ サ ナ イ」

ーーー身体を蛇のように電柱に巻き付け、長い黒髪が僕の顔に触れる。長い手足をしゅるしゅると伸ばして、
ヒトじゃない動きで、ヒトではない声で、その焼けて溶けたような顔を近づける。

「ーーーーーーーーーーーッ!!!!!!」

声にならない叫びをあげながら、自分のアパートの二階の部屋に飛び込む。
折れた片腕のせいでドアをあけることもままならない。
ようやくドアを開け、すぐに閉めてドアに寄りかかる。
上がった息を止めるように手で口を必死に押さえた。


かさ

あの女の音だ。

かさかさかさかさかさ

来るな来るな来るなくるなくるなくるなくるな

か さ

その音は、ちょうど、僕の、後ろで、止まった。

ドン!

「ひいッ!!」ドアに響く打撃。思わず飛び退く。

ドン! ドン!

ドアの金具が緩まる。

ドン! ドン!

もう開きそうだ。

ドン! ドッカァ!!

激しい破壊音と共に、ドアが吹き飛ぶ。
そこには、猫背で、とんでもなくデカイ、醜悪な顔をした女が、いた。
「ひいいいっ!!」
夢だ これは夢だ。 そうでなきゃ僕は死ぬ
なんで僕がこんな目に、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ死にたくない。誰か助けー

パキィン!

突然、女の顔が後ろにのけぞる。
女の額にヒビが入っているのが見える。
数秒後に届く乾いた音で、ようやくそれが銃声であることを理解した。
後ろを振り替えると、窓ガラスの向こうのビルからおどけた感じの優しげな男の人が、笑顔で手をふっていた。
ーーースナイパーライフルを持って。

「…ありがとう。」 助かった。 その人にお辞儀をしたが、その人は一生懸命、なにかを伝えるように僕の後ろを指差している。

「へ?」
恐る恐る後ろを向いた。


そこには長い黒髪の、巨乳で美人のお姉さんがたっていた。
「ようやく、見つけた。私の、お婿さん♥️」

ギャーーーーーーーーアヒン

アパートに男の声が響き渡る。

「お幸せに。」
両手で合掌しながら、新しいカップルの成立を祝う井口であった。
20/06/23 14:14更新 / ぐだぐだ
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■作者メッセージ
また懲りずにホラーです。
エロが足らずにすみません。これ一応ギャグなんですけど…

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