俺の名は『アズル･ネイビス』
フリーの探検家さ！
･･･とは言っても無断で遺跡荒らしとかしてるわけじゃないぞ。
無人の遺跡を調査して、ギルドに報告するのが俺の仕事だ。
たまに魔物娘に出くわすこともあって、うまくちょろまかすのにいつも苦労させられるがな。

今日は最近発見されたという砂漠地帯の遺跡にいる。
砂に埋もれていた古代の地下遺跡だ。
長年地下に埋もれていた遺跡･･･
うーん、ロマンがあるね！たまんないぜ！


俺は手に持つ松明で先を照らしながら進んでいく。
床は崩れかけ、隙間から砂が入り込んでいる、まさに廃墟。
一寸先も見えぬ闇と静寂が恐ろしさを演出している。


「こんな状況は慣れっこだがな」


今まで数多くの遺跡を踏破した俺にとっては、もはや日常と変わらない。
長期間遺跡に居続けたこともある。
街の賑やかさが恋しくなることもあるが、苦労したあとに飲む一口･･･
そのひと時のために俺は今日も頑張っている。


「随分荒れているな。魔物がいるような形跡もない･･･」


砂の中に長年埋まっていたためか、魔物すらいる形跡が見られない。
魔物が住み着くには絶好の場所だろうに。
･･･いや、最近の魔物は男を求めるからむしろ不適なのか？
どちらにせよ、今はそこが問題ではない。
自然によるものがほとんどだが、人の手によって荒らされた跡がある･･･
まるで武器か何かで傷つけた跡だ。
大昔に戦争か何かがあったのかもしれないな。
歴史を感じさせられるぜ。俺はこういうのが大好きで探検家やってんだよ。


「･･･む？」


しばらく進んでいると、何やら違和感を覚えた。
人が入ったことのない遺跡なのに、手入れがされている部分があるのだ。
砂が掃けられ、まるで誰かが通るためのように。


「前言撤回だな。何かいるぞこりゃ」



ｶｻ･･･



「･･････っ」


言ってるそばから物音かよ。
勘弁してくれ。俺の冒険はまだここで終わりたくないんだ。
第一、俺は勇者でもなんでもないんだ。
そんなテンプレは御免だぜ。


ｶｻ･･･　　　　　ｶｻ･･･


物音が徐々に大きくなっていく。
だがここで歩みを止めるわけにはいかない。
引き返す？何を言うんだ。
俺は探検家。前に進むしかないんだ。
俺は物音に気をかけつつも、全力で前に走っていった･･･






・・・・・






「はぁ、はぁ･･･振り切ったか･･･？」


ある程度走っていると物音は聞こえなくなっていた。
帰り道に出会さないことを祈るだけだ。


「ここは･･･最奥か？」


俺は遺跡の一番奥と思われる場所へたどり着いていた。
少々小さな部屋ではあるが、どうやら王室のようである。
だがおかしい。
誰もいない王室のはずなのに、手入れがされているのだ。
玉座も綺麗に整えられている。
今まで塵や砂だらけだった場所とは違い、そんなものは一つも見られない。
その代わり、何やら黒い塊が部屋の隅に置いてある。
何やら異様な気を発しているようだ。


「もしや、ここに居る何かが、整備している･･･？」






「･･････誰？」


後ろから声が聞こえ、俺は即座に振り向き身構える。
松明をかざすと少し眩しがって顔を手で隠したが･･･
どうやらひとりの少女のようだった。
しかし、手足には金色の装飾を付け、褐色肌がよく見えるその姿は、人間ではなかった。
ちらっと見える胸の下には白いスカラベの紋様。
頭には黄金の触覚、背中には昆虫の羽のようなものも付いている。
彼女は魔物。
誰もいなくなった遺跡に住み着く魔物、ケプリ。
視覚から入ってくる情報を元に、俺の頭はそう判断した。


「･･････やはり魔物がいたか」

「･･････人間･･･？」

「･･････？」

「･･･貴方は･･･誰ですか？」


･･･何か妙だ。
普通ならば真っ先に、お構いなしに襲ってくるはず。
しかもケプリは大群をなすと聞いている。
だが、彼女はひとりで、それも飛びかかることなく、驚いた様子で俺のことを見つめていた。
もしや話が通じるのか？と思い、返答する。


「お、俺はアズル、探検家だ･･･この遺跡を調査しに来た。君は･･･？」

「私は、この遺跡に住んでいる･･･一匹のメスです」


おおう、何とも言えぬ返答が返って来た。
なんかこう、くるものがあるんだが。誰か共感できるやつはいないのかっ！？
･･･まあ今はそうじゃなくて。


「えーと、あの。俺は君の名前が知りたいんだが･･･」

「名前は、ありません」

「･･･名前がない？」

「はい」

「親とかいないのか？仲間とかもいるだろ？ここに住んでるのか？」

「親も、仲間もいません･･･私がここに住んでいるのは、主様を待つためです」

「主様？」

「私は物心つく前から、ここにおりました。主様のために働いていたのです。
　ですがある日、いなくなってしまいました。どこか、遠くに行かれてしまったのでしょう。
　私はきっと帰ってくると、信じてお待ちしておりました。
　その最中、いつの間にか私はこのような姿になっていたのです」


おそらく彼女は、旧魔物時代からここにいるのだろう。
その主とやらと一緒にここで生活していた。
そして、魔王の代替わりの影響で魔物になった。
だが、それなら仲間もいたはずだ。
ひとりでここにいたとは考えにくい。


「仲間はどうしたんだ？いたんだろう？」

「仲間はこの姿になるやいなや、ここを出て行ってしまいました。
　きっともっと住み心地の良い所へと行ったのでしょう。
　ここはこの姿では住みづらいですから」

「君は･･･出て行かなかったのか？」

「私が出て行ってしまったら、主様を出迎える人がいなくなってしまいます。
　そうなれば主様は寂しい思いをなされるでしょう。
　私は主様がいつ帰ってきても良いようにと、この遺跡を綺麗にし続けているのです。
　主様は･･･いつかきっと、帰ってきますから･･･」


もしかすると･･･
その主はここで起きた戦争にいたんじゃないだろうか。
もしそうじゃないとしても、何年も前の話。
きっとその主は、もう･･･
その現実を、目の前にいる健気な彼女に伝えるのは、あまりにも辛すぎるだろ･･･


「･･･その主のこと、大好きなんだな」

「･･･実は、よく分からないのです」

「えっ？」

「主様に対する、使命感のようなものはあります。ですが、好意を持っていたかどうか、定かではないのです」

「でも普通は待てないぜ。それこそ他の仲間と同じようにここを出てくだろ」

「･･･私は、ただ誰かを待っていたかっただけかもしれません」

「･･･誰か？」

「主様が守りたかったここを守る。そうすれば、きっと誰かが来てくれる。
　そんな気がしていたのでしょう。そして、それは今も･･･
　たとえ、それが主様でなかったとしても。
　たとえ、二度と主様が帰ってこないと分かっても。
　･･･私は、ここにいる意味が、欲しかっただけなんだと」

「･･･どうして、そこまでして、ここに･･･この遺跡にこだわるんだ」

「･･･どうしてでしょうね」ﾆｺ


彼女は、もう分かっているんだ。
もう二度と、主はここへ戻ってこないと。
でも彼女はここを離れるつもりはない。
自分でも分からないほどに。
たとえ、ひとりでも。これからずっとひとりだとしても。
彼女はここに居続けるのだろう。
そんなの･･･
そんなの悲しすぎるじゃないか･･･っ！


「･･････っ」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

「泣いて、おられるのですか？」

「っ！これは･･･！」ｺﾞｼｺﾞｼ

「優しいのですね･･･」

「えっ･･･」

「私は、涙を流してくださる貴方に、会えただけで･･･充分です･･･」

「･･･っ！！」




俺はその言葉を聞いて、決心した。




「･･･俺が、ここにいる」

「え･･･？」

「もう、ひとりぼっちになんかさせねぇ！
　もう君みたいに健気で優しい奴にひとりでいて欲しくねぇ！！
　もう、君に･･･そんな思いを･･･させたくねぇ･･･っ！！」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

「わ、私は･･･」

「俺じゃ駄目か！？
　俺じゃ、迷惑か･･･？
　俺じゃ･･･」


ｷﾞｭ


その瞬間、俺は優しく彼女に抱きしめられた。
装飾具の冷たさと、彼女の肌の暖かさが、俺に伝わってきた。


「駄目なわけ、ないじゃないですか･･･」ﾎﾟﾛ､ﾎﾟﾛ


俺と彼女は静かに、互いを確かめ合うように。
泣きながら、抱きしめ続けていた･･･





・・・・・





「落ち着いたか･･･？」

「はい･･･」


あの後ずっと抱きしめ合ってた俺たちは、ベットに座りながら話していた。
こんなとこにベットがあることには驚いたが、彼女が用意していたのだろう。


「それで、本当に良いのですか･･･？」

「ああ、俺はここにいる。君を放ってはおけない」

「そうですか･･･嬉しいです･･･♥」


ここには地下に湧水があるようだし、食料も持ち込んである。
ここから街もそう遠くはないし、大丈夫だろう。
ギルドへの報告は･･･後で手紙でも書いておこう。
街に行ったついでに報告してもいいし、そこまで問題じゃない。
何より、彼女に外の世界も見せたいしな。


「さて、これから何をしようか･･･」

「･･･では、私に考えがございます♥」

「へえ、何かなっ･･･！？」ｶﾞﾊﾞｯ


突然、彼女に押し倒された。
腕は金色の手に押さえつけられ、体の上に跨られてしまい、身動きが取れない。


「ど、どうしたんだ･･･！？」

「もう、我慢ができません･･･♥私は、貴方が欲しい･･･♥」


忘れていた。
彼女は魔物だ。
今まで襲われてないことが不思議なくらいだ。
最初は警戒してたけど、今はもう･･･
俺は彼女のことが･･･


「無礼は承知しております･･･ですが、もう私は自分を抑えられそうにありませんっ♥」

「･･･いいよ。俺も君と･･･オウロとしたい」

「オウロ･･･？」

「君の名前、無いと呼ぶとき困るしさ。
　ある国の言葉で、金色って意味なんだけど･･･
　君の羽とか手足とか、綺麗だし。
　でもやっぱ安直すぎるよな･･･
　他の名前を･･･」

「いえ！これが良いです！･･･オウロ･･･私の名前･･･♥」

「そうか、嬉しいよ。喜んでもらえて」

「はい♥私、こんなに胸がドキドキしております･･･♥」


ﾑﾆｭｩ


胸の装飾部分を外し、俺の手がオウロの胸に押し付けられた。
装飾であまりよく見えなかったが、意外とでかいな･･･
そして柔らかい。そして徐々に俺の顔が熱くなっていくのが分かる。


「ああ、すごくドキドキしてるね」

「もっと、よく触ってください･･･♥」

「おう･･･」

「んっ♥･･･はぁん♥」


俺の指が柔らかい褐色の丘に沈む。
手に吸いつくような肌触りは、ずっと触っていても飽きないものだ。
とても暖かく、心地よい。


「アズル様のここも、我慢できないようですよ･･･？♥」


そう言うとオウロは俺のズボンをパンツごと器用に降ろし、俺のナニが外に出る。
オウロの胸を触っていたこともあり、調子はギンギンである。


「これが、アズル様の･･･♥」ｺﾞｸﾘ

「あ、あまり見ないでくれ。恥ずかしい･･･」

「ああ、アズル様･･････私の、私だけの主様･･･♥」

「俺が主で、いいのか？」

「もう、他には考えられません･･･貴方は、私の新しい主様です♥」


そう言いながらもオウロは俺のナニを上下にさする。
ひんやりした昆虫の手が何とも言えぬ感覚だ･･･！
慣れない感覚に限界が近い！


「くぅ･･･やべ、出そう･･･！」

「っ！お待ちください！」


オウロの手が止まる。
これは生殺しだ･･･！早く出させてくれ！


「オウロ、頼む･･･！」

「初めては、こちらに･･･♥」


オウロのビキニパンツが外れ、秘所が露わになる。
自分の指でそこを広げ、いやらしく俺に見えるようにしてくる。
まるでそこから甘い香りが発せられているようだ。
俺の頭はオウロのメスの匂いと快楽で埋め尽くされそうだ･･･！
わずかに残った理性でオウロに話しかける。


「ちょ、ちょっと待て、心の準備が」

「もう止まれません･･･っ！入れちゃいますっ♥」


ﾌﾞﾁｯ、ｽﾞﾌﾞﾝｯ♥


「うおおおおおおおおおおおおお！！？」
「はああああああああああああん♪♪♪」


し、締まるっ！
オウロの中で、俺のナニが締め付けられる！
今膜を突き破ったような感覚があったが、初めてだったのか！？


「お、オウロ･･･大丈夫か･･･？」

「気持ひ良ぃ･･･こんなの、はじめへぇ･･･♥」


うっとりした顔で涎を垂らしている。
痛くはなさそうで安心した。
だが、こっちはあまりもちそうにない･･･！


「うぐぅ･･･！」

「う、動いちゃいまひゅ、動いちゃいまふからね主さまぁ！♥」

「あぁああっ･･･！！」

「はぁあっ♥あるじひゃまぁ♥おくのほう、こつんってしてますぅ！♥」ｼﾞｭﾌﾟｯｼﾞｭﾌﾟｯ♥


こちらの意思など関係なしに上下に動き、俺のナニを刺激する。
どうやら子宮を叩いてるようで、リズムよく俺の先端が扉に打ち付けられる。
やばい･･･！げ、限界だ･･･！


「どうれひゅか♥主ひゃまも気持ち良ひれすかぁ♥」ｽﾞﾌﾟﾝｽﾞﾌﾟﾝ♥

「ああ･･･！最高だぜ･･･！だが、出るっ！」

「ぁあ、主さまの大きくなってぇ･･･♥」ｽﾞﾌﾟｩ♥


ﾄﾞﾌﾟﾄﾞﾌﾟﾄﾞﾌﾟｩ!


「あひゃぁああぁああぁあああぁぁ♥♥♥」


ああ、もう果てちまった･･･
オウロの奥にありったけの子種を注ぎ込む。
オウロの中は俺の精液を一滴残らず吸い出そうと今なお締め付けてくる。
彼女は蕩けた顔をして、こちらの様子を伺っている。


「何だか、一生分出した気がするよ･･･」

「･･･ふふふ♥」


そう伝えると怪しげな笑みを浮かべ、手の後ろに何か持っている。
それは、先程部屋で見た大きな黒い塊だった。


「そ、それは･･･」

「失礼いたします♥」

ｽﾞﾌﾞﾌﾞﾌﾞﾌﾞ･･･


俺の身体に黒い塊が沈んでいく。
すると射精の気だるさが吹き飛び、俺のナニは再びギンギンモードに！
力が滾る･･･みなぎってくる！？


「これは一体･･･！？」

「私が長年貯めておりました魔力球です･･･♥
　これで、まだできますよね？♥」

「あ、あああ･･･」

「まだまだ、たぁーっぷりございますから･･･お願いいたしますね･･･♥」ﾆﾔｧ


その色っぽく甘く堕ちた笑顔を見た瞬間から、俺の理性と意識は弾けていた･･･




「末永く、よろしくお願いいたします。私の主･･･私の王様･･･♥」





・・・・・





あれから一週間ヤり続けていた俺の体はすっかりインキュバスになっていた。
肌の色が彼女と同じ褐色になったことと精力が尋常じゃなくなったこと以外は特に変化はなかった。
そして二人の生活も始まった。
俺は遺跡の整備や調査を彼女と二人で行い、夜には彼女と交わる。
そんな日々が続いていた。

彼女を遺跡の外に連れ出したこともあった。
初めて見た空の青さに、彼女は涙を流していた。
俺の心は晴れやかだったが、彼女の瞳は雨模様だった。

街に行けば、初めて見る品々に目を輝かせていた。
そんな彼女を見るのが、俺は楽しくて仕方がなかった。
ギルドに報告すると、皆俺たちのことを祝ってくれた。
女性店員に愛想よくしていたら、その日の夜はこってり絞られたこともあった。

戯れに、給仕服(メイド服)を着せてみたこともあった。
その姿での「お帰りなさいませ、主様♪」という台詞と満面の笑みは破壊力抜群で。
鼻血を出して倒れたことは、今では笑い話だ。
今でも、お願いするとたまに着てくれる。

月日が経つと、子宝にも恵まれた。
それも、ひとりではなくたくさんに。
まるで、遺跡の王国が復活したようだった。
噂を聞いた砂漠の魔物も集まるようになり、とても仲良くなった。

そして、いつの間にかに。
辺りは明緑魔界になっていた。
大したことをしたつもりはないが。
それでも彼女との愛の結晶だと思うと。
何だか、嬉しかった。

そんな日々がいつまでも。いつまでも･･･





・・・・・





「ねぇ、主様」

「何だい？オウロ」

「私、この遺跡に居続けた理由が、分かった気がします･･･」

「気になるな、言ってみてよ」

「ふふふっ、内緒です♪」

「えー！？そりゃないぜ！教えてくれよぉ！」






(私はきっと、貴方という旦那様に出会うために、ここに居たんですね･･･♥)



―終―

■作者メッセージ

ここまでお読みいただき、誠にありがとうございます。
いかがでしたでしょうか？

きっとケプリハーレムが多く展開されることを予想し、先んじて純愛モノです。
変化球で申し訳御座いません･･･
ハーレムを期待された方、お許し下さい！
新種の魔物はもっと構想を練ってから書くのですが･･･
実は今日自分の誕生日ということもあり、衝動的に書いちゃいました。

ケプリさん、可愛いですよね。
献身的なケプリさんはきっと丁寧語。

何気にエロありを初めて書きました。
時間がなかったので、かなり軽いものになってしまいましたが･･･
何とか今日中に仕上げたかったんです！お許し下さい！

ちなみにオウロが前の主に対して好意を持っていなかった理由としては、
虫の時だったのでよく分からなかったことと、主が女性だったからです。
図鑑世界のファラオは女性ですから。まあ元男の可能性もありますが。

一度後日談として、ぬっぷりねっとりしたものを書きたいなぁとは思います。
メイド服着せた時の様子とか。髪型とかぴったりなんですもの。