妖艶な学園長、スラン・クラリシア
学園長室とか言うから中は殺風景なものかと思っていたが、なかなかどうしておしゃれな部屋だった。
フリフリの純白のカーテン、ガラス張りのテーブルの上には一輪の花。
クリーム色のソファーと対象的な奥にある黒の社長椅子。
「初めまして、二荒葉くん」
くるり、と社長椅子を回転させてこちらを向く女性。
「私が学園長のスラン・クラリシアです」
「・・・・・・」
やはり学園長だったか、とかあの椅子高級そうだなあとか思ったのは随分あとの話だ。と言うかこの後の行動の恥ずかしさによる後付けと言ってもいい。
まず俺は最初に真面目に息を飲んだ。こんな美人がいたのか、と思わず瞬きを繰り返してしまう。
白く長い髪、紅い瞳にボンキュッボンなナイスボデー
そして
黒い角に長い尻尾。こんなものまで含め俺は驚くよりも先に感動をしてしまった。
美しいと心から思い、もう見たくない、と心の底から思った。
この美しい人を見ていると、自分の汚い所がすべてわかるような気がした。
全てが黒ならどれが黒かはわからなくなる。だがそこに少しでも別の色が混じれば、黒は浮いてしまう。
そうならないように生きてきたつもりだったが、その生き方を全て否定するような人が、そこにいた。
「あら、どうしました?もしかして尻尾を見て怖くなった?」
「いえ、ええっと・・・あまりにも綺麗なんで見惚れてました。いえ、本当に」
学園長の目がスッと細められる。
その鋭い眼光はまるで嘘を見抜くさながらレーダーのようだった。
「ふふふ、素直ですね。いいでしょうそこのソファーにおかけになって?」
「あ、はい。失礼します」
促されるままにソファーに座る。
「・・・うわっ」
なにこれなにこれ柔けええええ!!!え?何?一体どんな材料使ったらこんなに柔らかいソファーが作れんの?
「ふふふ、ワーシープの毛で作られたそはどう?お気に召したかしら」
「わーしーぷ?」
ワーシープ、確かそれは昔あいつに見せてもらった図鑑に書いてあった名前だ。
詳しくは覚えていないが・・・魔物の名前じゃあなかったか?
「ワーシープ、ですか」
「あら、その顔は信じてないわね?本当よ、羊の魔物娘ワーシープの毛から作られたの。卒業生が旦那様と一緒に作ったんですって」
ラブラブで羨ましいわねぇ、と笑う学園長の話をぎこちない笑で受け流し、別の事に頭を使う。
羊の魔物娘と聞いてさっきのミラを思い出した。
・・・いやいや、だからあれはファッションなんだって。そう納得したじゃないか。
「さて、と。入学式までもう時間もないわね。手っ取り早く、手短に話すわ」
腕時計で時間を確認した学園長は、そう言って俺の向かい側に座る。
その顔は真剣な教育者、いやもっと位の高いものの顔をしていた。
「今から話すことにあなたは耐えられるかしら?退学したいなら今のうちよ、この話を聞いたあとではどんなことがあってもあなたを退学させないつもりだから」
「・・・・・」
耐えられるか、か。
思い出すのは家での記憶。・・・ああ、死にたくなってきた。やめよやめよ。
「構いません。退学食らっても帰る家とかありませんから、好都合です」
正確には帰っても居場所がない、だがな。
そんな気持ちをしってか知らずか学園長はふふっと、妖しげに笑う。
「ええ、わかったわ。あなたを入学させた私の目には狂いはなかったみたいね」
そして学園長は、口を開く。
「この学校にはあなた以外人間はいないわ」
「いるのは全部」
「魔物娘よ」
「・・・・・・・・・・・へぇ」
フリフリの純白のカーテン、ガラス張りのテーブルの上には一輪の花。
クリーム色のソファーと対象的な奥にある黒の社長椅子。
「初めまして、二荒葉くん」
くるり、と社長椅子を回転させてこちらを向く女性。
「私が学園長のスラン・クラリシアです」
「・・・・・・」
やはり学園長だったか、とかあの椅子高級そうだなあとか思ったのは随分あとの話だ。と言うかこの後の行動の恥ずかしさによる後付けと言ってもいい。
まず俺は最初に真面目に息を飲んだ。こんな美人がいたのか、と思わず瞬きを繰り返してしまう。
白く長い髪、紅い瞳にボンキュッボンなナイスボデー
そして
黒い角に長い尻尾。こんなものまで含め俺は驚くよりも先に感動をしてしまった。
美しいと心から思い、もう見たくない、と心の底から思った。
この美しい人を見ていると、自分の汚い所がすべてわかるような気がした。
全てが黒ならどれが黒かはわからなくなる。だがそこに少しでも別の色が混じれば、黒は浮いてしまう。
そうならないように生きてきたつもりだったが、その生き方を全て否定するような人が、そこにいた。
「あら、どうしました?もしかして尻尾を見て怖くなった?」
「いえ、ええっと・・・あまりにも綺麗なんで見惚れてました。いえ、本当に」
学園長の目がスッと細められる。
その鋭い眼光はまるで嘘を見抜くさながらレーダーのようだった。
「ふふふ、素直ですね。いいでしょうそこのソファーにおかけになって?」
「あ、はい。失礼します」
促されるままにソファーに座る。
「・・・うわっ」
なにこれなにこれ柔けええええ!!!え?何?一体どんな材料使ったらこんなに柔らかいソファーが作れんの?
「ふふふ、ワーシープの毛で作られたそはどう?お気に召したかしら」
「わーしーぷ?」
ワーシープ、確かそれは昔あいつに見せてもらった図鑑に書いてあった名前だ。
詳しくは覚えていないが・・・魔物の名前じゃあなかったか?
「ワーシープ、ですか」
「あら、その顔は信じてないわね?本当よ、羊の魔物娘ワーシープの毛から作られたの。卒業生が旦那様と一緒に作ったんですって」
ラブラブで羨ましいわねぇ、と笑う学園長の話をぎこちない笑で受け流し、別の事に頭を使う。
羊の魔物娘と聞いてさっきのミラを思い出した。
・・・いやいや、だからあれはファッションなんだって。そう納得したじゃないか。
「さて、と。入学式までもう時間もないわね。手っ取り早く、手短に話すわ」
腕時計で時間を確認した学園長は、そう言って俺の向かい側に座る。
その顔は真剣な教育者、いやもっと位の高いものの顔をしていた。
「今から話すことにあなたは耐えられるかしら?退学したいなら今のうちよ、この話を聞いたあとではどんなことがあってもあなたを退学させないつもりだから」
「・・・・・」
耐えられるか、か。
思い出すのは家での記憶。・・・ああ、死にたくなってきた。やめよやめよ。
「構いません。退学食らっても帰る家とかありませんから、好都合です」
正確には帰っても居場所がない、だがな。
そんな気持ちをしってか知らずか学園長はふふっと、妖しげに笑う。
「ええ、わかったわ。あなたを入学させた私の目には狂いはなかったみたいね」
そして学園長は、口を開く。
「この学校にはあなた以外人間はいないわ」
「いるのは全部」
「魔物娘よ」
「・・・・・・・・・・・へぇ」
13/03/24 02:21更新 / アルバス
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