ヴァンパイア、ラスト・グラウンドフォールと運命の人。一日目(if)
「はい、ここが僕の家だよ」
公園で会った少年。二荒葉に連れられて来たのは公園近くの家だった。
なんだ、しっかり場所は特定されていたのか。まあ、私だから当然だ。うん。
さっきは初めての移動魔法だったし不安だっただけだ。落ち着いて考えればなんと言うことはない。
しっかりと目当ての場所に着くことができた安心感から私は何時もの高慢な態度を取り戻しつつあった。
「おーーい!お祖父ちゃーーん!お客さーん!」
玄関から大声で少年は祖父を呼ぶ。
「…………っ」
やっと会える。そう思うと身体が中から熱くなってくる。
………緊張、しているのか。
恐らくそうだろう。まあ、あの二荒実に会うのだ。緊張しない訳がない。
だが、いつまで経っても祖父、二荒実は出てこない。
「あれ〜?今日は一日ゴロゴロしてるって言ってたはずだけど……」
どうやら今は留守をしているようだ。
なんだか肩透かしを食らった気分になり、少しばかり機嫌が悪くなった。
おい、と少年に言おうとした時
「−−−−−−−っ!」
少年の顔に何かがぶち当たった。
その衝撃で少年はひっくり返る。
投げられたのは………銀色の細長い物体。
これは見たことがある。確か、稲荷の珠鳴(たまな)が持っていた習字というのをするために使う
「……文鎮……」
文鎮いうのはそこそこの重量がある。人に当てたら無傷では済まないだろう。
「……ねぇ、私ね今丁度習字をしていたのよ。
ねぇ、あんたのやかましい声で折角の私の集中が途切れてしまったの。
ねぇ、解った?理解した?自分がいきなり文鎮をぶち当てられた理由。あんたの足りない頭でもわかるわよね……?」
玄関の奥、横にスライドするタイプのドア(確か襖といったか)から出てきた女。
「………っ!」
全身が泡立つ。鳥肌が立つ。本能が怖いと、緊急時だと判断する。
「……あら?どちら様?お祖父様のお客さん……にしては小さ過ぎるわねぇ……」
「……私は」
怖いが言わねばならない。ここにきた理由は二荒実に会うことだ。この二人には関わりたく無い。
「私は……その、以前二荒実さんにお世話に「嘘ね」
遮られる。
ニコニコと薄気味悪い笑みを浮かべながら、女は嘘だ、と私の言い分を拒否してきた。
「ねぇ、本当にお世話になったのならあなたの親は何処かしら?まさかこんな小さい子供に全てを任せるような馬鹿な親はいないでしょう。
それとも、親に内緒できたのなら一体どんなお世話になったのかしら?」
「………………」
怖い。この女は本当に怖い。
的確に此方の痛いところを突いてくる。慣れた手つきで亀裂を抉ってくる。
どうする………?ここはいっそ逃げて日を改めてコッソリと会いにくるか………?
はっきり言えばここに倒れている少年は私にとってなんでも無いような人間だ。
少し、足を後ろに下げる
と
「ねぇ、まだ話は終わってないわよ」
「え」
気がついたら目の前に女が
え、手に持ってるのはそれは刃物に分類されるそれを首筋に当てて
「逃げんなんて……嘘と認めたような物よ?賢い妖女」
ダメだこれは本気で殺されるああまだ運命の人とかにもあってないのにあれ二荒実は違うのかいやあれは運命の人というよりも恋というよりも憧れに近いから違うかああそう言えばお父様にもお母様にも内緒で来たんだっけこんなことになるならちゃんと家の勉強をしておくんだった言葉遣いとか人付き合いとかお洒落とか淑女の嗜みとかそんなこといろいろでもここで多分死ぬんだから意味ないのかなああああああああああああああああああああああああああああああ嫌だ嫌だ死にたく無い死にたく無い死にたく無い死にたく無い死にたく無いこれが走馬灯とか信じないから信じないから死にたく無い死ぬなんて信じないからだからだから誰でもいいから助k「待って、お姉ちゃん」
「………っえ、」
図らずも、助けてくれたのはさっきまで気絶していた少年。
しかし、今はしっかりと立ち私と女の間に立ち塞がるようにしている。
その姿は昔の二荒実に似ていた。
「何してんのよ、おい」
そして、すぐに女に吹っ飛ばされる。
思いっきり横腹を狙われていた。あれはもう、肋骨あたりを折る覚悟で蹴っている。
「っごほっ、………って、おねえちゃ」
「言葉遣い!!」
女はもう私なんか眼中にないようだ。今は少年を蹴ることに集中している。
………あの少年は私を守ってくれた。
自分の危険を顧みずに。
よくみれば少年は蹴られながらも上手くある程度の衝撃は流している。あんなのいつも、日常的にやられていないと身に付かない。
情けないな、私は。
助けてくれた恩人を見て、私は一歩も動けない。
完全に恐怖に支配されている。
それでも少年、二荒ええっと、確か………ああ、葉と言った。
覚えておこう。二度と忘れないこの名前。
「二荒、葉」
私を守ってくれた人。単純だと言わば言え。
私は命を救ってくれたあの少年に一目惚れしてしまった。
こんな最悪な場面が私と運命の人とのファーストコンタクトだった。
因みに、この日二荒実とは出会うことはできなかった。
一体、どこに行ったのだろうか、
公園で会った少年。二荒葉に連れられて来たのは公園近くの家だった。
なんだ、しっかり場所は特定されていたのか。まあ、私だから当然だ。うん。
さっきは初めての移動魔法だったし不安だっただけだ。落ち着いて考えればなんと言うことはない。
しっかりと目当ての場所に着くことができた安心感から私は何時もの高慢な態度を取り戻しつつあった。
「おーーい!お祖父ちゃーーん!お客さーん!」
玄関から大声で少年は祖父を呼ぶ。
「…………っ」
やっと会える。そう思うと身体が中から熱くなってくる。
………緊張、しているのか。
恐らくそうだろう。まあ、あの二荒実に会うのだ。緊張しない訳がない。
だが、いつまで経っても祖父、二荒実は出てこない。
「あれ〜?今日は一日ゴロゴロしてるって言ってたはずだけど……」
どうやら今は留守をしているようだ。
なんだか肩透かしを食らった気分になり、少しばかり機嫌が悪くなった。
おい、と少年に言おうとした時
「−−−−−−−っ!」
少年の顔に何かがぶち当たった。
その衝撃で少年はひっくり返る。
投げられたのは………銀色の細長い物体。
これは見たことがある。確か、稲荷の珠鳴(たまな)が持っていた習字というのをするために使う
「……文鎮……」
文鎮いうのはそこそこの重量がある。人に当てたら無傷では済まないだろう。
「……ねぇ、私ね今丁度習字をしていたのよ。
ねぇ、あんたのやかましい声で折角の私の集中が途切れてしまったの。
ねぇ、解った?理解した?自分がいきなり文鎮をぶち当てられた理由。あんたの足りない頭でもわかるわよね……?」
玄関の奥、横にスライドするタイプのドア(確か襖といったか)から出てきた女。
「………っ!」
全身が泡立つ。鳥肌が立つ。本能が怖いと、緊急時だと判断する。
「……あら?どちら様?お祖父様のお客さん……にしては小さ過ぎるわねぇ……」
「……私は」
怖いが言わねばならない。ここにきた理由は二荒実に会うことだ。この二人には関わりたく無い。
「私は……その、以前二荒実さんにお世話に「嘘ね」
遮られる。
ニコニコと薄気味悪い笑みを浮かべながら、女は嘘だ、と私の言い分を拒否してきた。
「ねぇ、本当にお世話になったのならあなたの親は何処かしら?まさかこんな小さい子供に全てを任せるような馬鹿な親はいないでしょう。
それとも、親に内緒できたのなら一体どんなお世話になったのかしら?」
「………………」
怖い。この女は本当に怖い。
的確に此方の痛いところを突いてくる。慣れた手つきで亀裂を抉ってくる。
どうする………?ここはいっそ逃げて日を改めてコッソリと会いにくるか………?
はっきり言えばここに倒れている少年は私にとってなんでも無いような人間だ。
少し、足を後ろに下げる
と
「ねぇ、まだ話は終わってないわよ」
「え」
気がついたら目の前に女が
え、手に持ってるのはそれは刃物に分類されるそれを首筋に当てて
「逃げんなんて……嘘と認めたような物よ?賢い妖女」
ダメだこれは本気で殺されるああまだ運命の人とかにもあってないのにあれ二荒実は違うのかいやあれは運命の人というよりも恋というよりも憧れに近いから違うかああそう言えばお父様にもお母様にも内緒で来たんだっけこんなことになるならちゃんと家の勉強をしておくんだった言葉遣いとか人付き合いとかお洒落とか淑女の嗜みとかそんなこといろいろでもここで多分死ぬんだから意味ないのかなああああああああああああああああああああああああああああああ嫌だ嫌だ死にたく無い死にたく無い死にたく無い死にたく無い死にたく無いこれが走馬灯とか信じないから信じないから死にたく無い死ぬなんて信じないからだからだから誰でもいいから助k「待って、お姉ちゃん」
「………っえ、」
図らずも、助けてくれたのはさっきまで気絶していた少年。
しかし、今はしっかりと立ち私と女の間に立ち塞がるようにしている。
その姿は昔の二荒実に似ていた。
「何してんのよ、おい」
そして、すぐに女に吹っ飛ばされる。
思いっきり横腹を狙われていた。あれはもう、肋骨あたりを折る覚悟で蹴っている。
「っごほっ、………って、おねえちゃ」
「言葉遣い!!」
女はもう私なんか眼中にないようだ。今は少年を蹴ることに集中している。
………あの少年は私を守ってくれた。
自分の危険を顧みずに。
よくみれば少年は蹴られながらも上手くある程度の衝撃は流している。あんなのいつも、日常的にやられていないと身に付かない。
情けないな、私は。
助けてくれた恩人を見て、私は一歩も動けない。
完全に恐怖に支配されている。
それでも少年、二荒ええっと、確か………ああ、葉と言った。
覚えておこう。二度と忘れないこの名前。
「二荒、葉」
私を守ってくれた人。単純だと言わば言え。
私は命を救ってくれたあの少年に一目惚れしてしまった。
こんな最悪な場面が私と運命の人とのファーストコンタクトだった。
因みに、この日二荒実とは出会うことはできなかった。
一体、どこに行ったのだろうか、
13/05/14 09:46更新 / アルバス
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