リンゴの美味しい季節です
「あ……」
そんな声が厨房に響いたのは、ある平日の午後の事だった。店舗の方で退屈そうに椅子に座り、足をブラブラさせていたアリスの少女――リオは、ピョンと跳び下りると、トテトテといった足どりで入口から顔を出した。
「どうしたの? お兄ちゃん」
厨房の中では、清潔感のある白い服にエプロンを着けた長身の青年が、ケーキなどの材料を入れておく棚の一つの前で、僅かに渋い表情をしている。
「材料が切れた」
表情ほどには感情を感じさせない、抑揚のない声で彼は事実だけを答える。その言葉にリオは、意外そうに目を丸くした。
「珍しいね。お兄ちゃん、いつも材料の管理とか完璧なのに」
確かに、しっかり者の兄――リクは、今まで材料を切らした事などなかった。だが、そんな彼が時々、妙なところで抜けている事をリオは知っている。
大概の事を一人でやってのけてしまう男性が時々やらかすオチャメな失敗は、大半の女性にとってはチャームポイントだろう。ご多分に漏れず、それを可愛く思ってしまったリオは、自然と微笑を浮かべていた。
「最近やたらアップルパイが売れてるからな……計算にズレが生じてる」
契約している農家から直接仕入れているリンゴだが、おかげで普段どおりの納入ペースでは間に合わなくなりつつあった。
「しょうがないよ。旬だもん」
店頭にも瑞々しく香りのいいリンゴが並んでいるのを思い出し、リオは苦笑する。
「ならアップルパイなんか食べないで、生で食べればいいんだ」
自分で作った物をなんか≠ニ表現する兄らしさに、リオは更に苦笑を深めた。そのアップルパイなんか≠ェ、どれほど人気か知らないのだ、彼は。
リンゴ本来の香りと酸味を前面に押し出した彼のアップルパイは、甘さが控えられている分、幾つも食べられてしまうのだ。今回のトラブルは、それ故でもある。
「で、どうするの?」
「しょうがないから買いに行って来る」
外したエプロンをぞんざいに丸めて椅子に投げるリクに、何か思いついたらしいリオは、彼の服の裾を引く事で振り向かせた。
「ねえ、だったらアタシが買いに行って来るよ!」
「いい」
即答、だった。
「何でー!」
当然、リオは猛然と抗議する。
「お前が一人で出歩くと、危なっかしい」
「また、そうやって子ども扱いするー」
「子供だろう」
「一つしか違わないよ!」
確かに実年齢ではそうだった。ただ、アリスであるリオは、どう見ても初等教育を受けている最中にしか見えないのだが。精神年齢も外見相応だという意見もあるが、これを言うとリオが本気でキレるので、リクは黙っておいた。面倒事は嫌いなのだ。
「もういいよ!」
そう言ってリオは買い物かごを引っ掴むと、ドスドスと足を踏み鳴らしながら、外へ向かう。
「おい」
「何!」
本人は怒っているつもりなのであろう可愛らしく頬を膨らませた表情で、リオは振り返った。
「お前は強盗にでも行くつもりか」
呆れたように言って、リクは財布を投げ渡した。
「数は十個。品種は、アップルパイに使うと言えば向こうが解る」
途端に機嫌を直したリオは、ぱぁっと表情を輝かせた。
「行って来ま〜す!」
元気に大きく手を振って、リオは出かけて行った。
カランコロン、というドアベルの音が鳴り響いたのは、それから間もなくの事だった。
「いらっしゃいませ」
それまでの無表情や抑揚のない声は何処へやら、リクは涼しげな微笑で愛想よく客を迎え入れる。接客時はそうすべき、という無慈悲なまでの分析から導き出された態度である。相手をもてなす気持ちなどなくとも、完璧に演じれば客は騙される。そもそも商品を売り買いする間だけの事なのだから、騙したところで何も問題はない。相手の目的は、あくまでケーキなのだし。
入って来たのは、茶色い髪を肩にかかる程度に伸ばした女性だった。
「こんにちは、リクさん。また来ちゃったわ」
「いつも、ありがとうございます」
常連の彼女とは幾度となく交わした会話である。
「そういえば、今さっき妹さんとすれ違ったけど……」
「ええ。お遣いを頼みました」
「……大丈夫かしら」
「本人は、大丈夫だと言い張ってましたよ。だから何かあっても本人の問題です。実害もありませんし」
しれっと言うリクに、女性客は困ったような苦笑を浮かべた。
「あらあら、酷いお兄さんね。それとも、信頼しているのかしら?」
「義理は既に果たしていますからね。いちおう警告はしましたが、サービス過剰だったかも知れません」
よく解らない事を言ったリクは、そこで話題を切る。これ以上は他人に言うような事ではないと思った。
「今日は何になさいますか?」
「そうね……ミルクレープと季節のフルーツタルトを貰おうかしら。それから、メロンパン二つ」
かしこまりました、と言ってリクは厚紙で出来た箱を組み立て、二つのケーキをトングで優しく掴んで入れる。メロンパンは小さな紙袋に入れた。何故ケーキ屋にメロンパンが、などという疑問は、もう誰も口にしなくなっていた。それでも答えるなら、売れるから、である。需要と供給という言葉もあるように、需要のあるものを供給するのが商売というものだ。幸い商売敵となるパン屋も、この村にはないのだから問題なはい。
「恋人がね、ここのメロンパンのファンになっちゃったのよ」
「それは、ありがたい事です。よろしければ、今度は恋人さんも一緒にお越し下さい」
「そうね。選ぶ楽しみっていうのもあるものね。でも、口説いちゃ駄目よ?」
「大丈夫ですよ」
悪戯っぽい冗談に真面目に返すリクが可笑しかったのか、クスクス笑いながら女性客は代金を払い、また来るわね、と言って出て行った。
「全く、もう……。お兄ちゃんは、いつまで経ってもアタシを子ども扱いするんだから……」
そんな不平不満をブチブチと零しながらも、リオの表情は明るかった。何せ、この村に越して来てから、初めて一人で買い物に行くのである。ようやくリクに認めてもらえたようで、嬉しさを隠せなかった。
リンゴを売っている青果店への道のりは、頭に入っていた。実際、兄と一緒にだが何度か行った事もあるのだ。機嫌良く歩きながら、ふと小さな悪戯を思いつく。
(近道して、お兄ちゃんを驚かせてやる)
普通より早くお遣いを済ませれば、彼は驚くだろう。そうすれば、もう自分を子ども扱いしたり出来ない筈だ。もしかしたら、昔みたいに頭を撫でて褒めてくれるかも知れない。
想像しただけで顔がニヤけ始めたので、誰かに見られる前にリオは路地へと入りこんだ。
子供の身体でなければ通れない細い路地を抜け、倉庫が幾つか固まっている区画へ入る。と、視界の端に何か赤いものが映った。反射的に、リンゴ、と思ったが、勿論そんな訳はない。曲がり角から覗くそれに無警戒にトテトテと近づいてみると、それはそもそも固体ですらない事が判った。
(……何だろう、これ)
うにょっとしている。
おそるおそる指を近づけ、つついてみる。ぷるん、と震えた。
今度は掌で撫でてみた。弾力があって気持ちいい。
調子に乗って触っていると、何処からか人の声のようなものが聞こえて来た。
「んっ、あ……はぁ……駄目、そんなに……」
女性の声だった。何だか苦しそうである。
誰かが苦しんでいるのなら助けてあげないと、と、兄に認められたという錯覚で調子に乗ったリオは、使命感に燃えて立ち上がった。その瞬間、ガシッと何者かに手首を掴まれる。
「えっ!?」
見れば手首には、先程の赤い何かが巻きついていた。
「な……何これ、何これ!?」
慌てて外そうとしても、赤い何かは柔軟に変形して、一向に手首から外れない。
「駄目よ、そんな乱暴にしちゃ。私、乱暴なのって嫌いなの」
声が聞こえた瞬間、手首の赤い軟体が続く先で、何かが膨れ上がった。というか、曲がり角の向こうに隠れていたものが姿を現した、と言った方が正確か。それは美しい女性の形をしていた。
「うふふ……可愛らしいお嬢さん」
幼女あつかいされたと感じたリオは、柳眉を逆立てる。
「アタシは、これでも十九よ!」
あら、と女性の形をしたものは意外そうに口元に手を当てる。と、次の瞬間、ニヤリと淫靡な笑みを浮かべて来た。
「じゃあ初めから、そのつもり≠セったのね。まあ、そうでなきゃあんな事≠オないか。でも、だったら初めから口で言ってくれればいいのに」
「な、なに言ってるの? あんた、何?」
「私? 私はレッドスライム。見た事ないの?」
頷くリオに、レッドスライムは更に笑みを深くした。
「そう……じゃあ、たくさん見て。そして知って頂戴。貴女の目で、指で、肌で、唇で、舌で、そして……」
彼女の濡れたような瞳が、スカートに隠されたリオの股間へ向けられる。危険だと判断するのが遅すぎた。
突然レッドスライムの身体から伸びた触手――というか触手状に伸びたレッドスライムの身体が、リオの手足を拘束し、身動きを封じる。
「やっ……何!?」
もがくリオに構わず、レッドスライムは彼女の眼前まで近づいて来た。そのまま両手で、壊れ物でも扱うようにリオの頬を優しく撫でる。
「ふふ……近くで見ると、ほんと可愛い。食べちゃいたいくらい」
食べちゃうつもりなんでしょう、とツッコめるような知識は、アリスであるリオにはなかった。そのまま相手の手は頬から首へと落ち、さわさわと身体中をまさぐる。
「んっ……」
胸を触られ、ピクン、とリオの身体が震えた。
「あら敏感。ナリは子供でも女なのね。流石アリス」
体を密着させたレッドスライムはリオの首筋に顔をうずめ、つ、と舌先で舐め上げる。
「ふぁ……っ」
逃れようと身体をよじる彼女に構わず、服の裾から片手を差し入れ、膨らみの少ない胸を優しく揉みほぐした。
「ぅ……あ、んっ……」
「まだブラもしてないのね。ずっと、このままなのかしら?」
ゆっくりと焦らすようにシャツを捲り上げ、露になった胸に微笑ましげに目を細めた。
「綺麗な色……」
桜色の突起に顔を近づけ、優しく口づけてから、舌でなぞる。
「ひぁ……ん、ぁあっ!」
最後に唇で挟んで軽く引っ張ってやると、リオは身体を仰け反らせた。
「ほんとに敏感ね……もしかして経験豊富なのかしら?」
クスクス笑いながら、レッドスライムは片手で胸を揉み、反対の手でリオの背中を撫でる。次第に汗ばみ熱くなって来る身体を直に楽しみ、相手の顔を覗きこんだ。
「なかなか気丈ね」
蕩けそうになる表情を必死で引き締めながら、赤い顔で睨んで来るリオを愛おしむように、レッドスライムは顔を近づける。何をされるか察したリオは、慌てて顔を背けた。
「やっ、駄目……キスは――」
「捧げたい人がいるのね。でも、ごめんなさい。私は大好きなの、キス」
慈愛に満ちた無慈悲な言葉と共に、艶やかで弾力のある唇が押し当てられた。
「ん……くっ……」
小さな唇を温かな感触に包まれながらも、悔しげに目に涙を溜めたリオは強く口を閉じる。ここまでだ。これ以上は……。
そんな必死の抵抗を可愛らしく思いながら、レッドスライムはリオの唇を挟み、吸い、舐めて味わった。ゆっくりと下の方へと手を伸ばし、唇以外の場所へ意識を向けられなくなった彼女の内腿を、中指の先で触れるか触れないかの距離感でなぞり上げた。
「ぅあっ!?」
思わず声が洩れ、口を開けてしまった。その機を逃さず、レッドスライムの舌が差し入れられる。
「んっ、んぅー!?」
ぬるりとした感触に嫌悪感を感じたのは一瞬だった。次の瞬間には、既に相手の舌に自分の舌が絡め取られており、後はもう舌同士が擦れ合う感触の気持ちよさに溺れていくだけだった。
「んっ、んふ……はぅ、ん……あ、んぷ……んん……」
チュ、チュク……チュル、チュプ……クチュクチュ。
差し入れられた舌を伝ってレッドスライムの唾液がリオの口内に流れこみ、絡み合う舌の動きで混ぜ合わせられる。最早どちらのものかも判らなくなった透明な液体が、合わせられた唇の隙間から、とろり、と流れ落ちて行った。
「んふ……」
目元に唾液とは別の透明な液体が滲むリオの様子に嗜虐心を刺激され、レッドスライムは微笑む。乱暴なのが嫌いというのは、乱暴をされる≠フが嫌いという意味である。
リオの唇を強く吸って、自分のものと相手のものが混ざり合った唾液を飲みこむ。ついでに絡め取った小さな舌を唇で銜え、自分の口内で舐めまわした。柔らかくて弾力があり、唾液は甘い。再び唾液をたっぷりと乗せた舌を差し入れ、小さな口の中を満足いくまで蹂躙した。
唇を離すと、互いの唇と舌先から唾液が糸を引く。紛れもなく自分達が混ざり合っていたという証に、レッドスライムの興奮は最高潮に達した。脱力しきったリオの身体を横たえると、彼女のスカートを捲り上げ、ぐっしょりと濡れたパンツを脱がせる。女陰から溢れた愛液で、こちらも糸を引いた。
「うふふ……準備万端ね。ほんとは、こっちも優しく舐めてあげたかったんだけど」
そう言ってレッドスライムはリオの脚を広げ、間に自分が入りこむ。指先で一度そこを撫で上げ、掬った液体を口へ運んだ。
チュ……チュル、と、わざと音を出して舐め取り、美味し、と呟く。
「……やめて、もう……や……」
「大丈夫よ。酷い事なんてしないわ。気持ちよくしてあげる」
力なく呻きながら泣いているリオを慰めるように頬を撫で、ゆっくり彼女の上に身体を倒していった。チュッ、と小さく口づけると、自分の女陰を彼女のそれにくっつける。
「ひ……っ」
クチュ、という異様な感触に、リオの身体が震えた。互いの女陰から溢れた愛液が、先程の唾液のように混ざり合っていた。
レッドスライムはゆっくりと女陰を擦り合わせ、しかし少しずつ動きは速くなっていく。にゅるにゅるという感触に続いて、互いのクリトリスが擦れ合った瞬間、全身に電撃が走った。
「ん、あああああ!」
背を仰け反らせるリオに構わず、レッドスライムは愛液が泡立つ程に一心不乱に腰を振り続ける。
「ひ……やぁ、ああ、んぁ、あああ!」
「んっ、まだまだよ……んふ、ん……もっと、これから」
そう言ってレッドスライムは、女陰を密着させた状態で擦るのをやめる。終わったのかと弱々しく彼女を見返すリオに、とびっきりの笑顔を浮かべて見せた。
「覚悟してね、お嬢さん」
サディスティックな笑みに恐怖を覚えながら、それでも逃れようとしたリオの下腹部で、
ブツン、と。
絶望が啼いた。
「ぐ――ぁ、っ――!!」
痛み、などというレベルではなかった。脳まで衝撃が突き抜けた。同時に感じるのは、自分の身体の中の異物感。
おそるおそる見下ろしたリオの目に映ったのは、レッドスライムの股間から生えた棒だか筒だかが、自分の股間からお腹の中に入っている状況だった。
(奪われた……)
ボロボロと涙を零しながら呆然としているリオに顔を近づけ、レッドスライムは、その涙を舐め取る。
「その絶望も、すぐに快楽に変わるわ」
ゆっくりゆっくり腰を前後させ始めると、それに合わせてリオの口から小さく声が洩れ始めた。ヌチュッ、ヌチュッという音に興奮を高めながら、レッドスライムは激しく腰を打ちつける。
「んっ、あ、あっ……ぁん、ぅぁ」
「うふ……、んっ、あは……小さくて可愛い。狭いけど、私ならちょうどいい大きさに出来るから、はんっ、激しくても痛くないのよ……」
リオの膣口がほぐれていくのに合わせ、少しずつ挿入した部分を太くすると、膣壁と擦れる快感が上がったのか、彼女は、ひあっ、と身体を跳ねさせた。
「やだ……、反応かわいい」
気に入ったのか、レッドスライムは身体を密着させ、手だけではなく全身でリオの身体を愛撫する。敏感になっている彼女は、ビクビクと身体を震わせながら、何度もイってしまう。
「ふぁ……あ、ぁあ!」
「いいわぁ……。私もイキたくなっちゃった」
レッドスライムはリオの身体を抱きしめ、唇を奪う。
「んっ、んぅー!?」
苦しげに呻く相手に構わず舌を絡めながら、腰の動きを速めた。
「んっ、あはぁ……いい、いいわ……。イっちゃう……私イっちゃうぅー!」
大きく背中を仰け反らせ、レッドスライムは大きく体を震わせた。そのまま、くたり、とリオの上に身体を横たわらせ、ふと気づく。
「あら? お嬢さん……ねえ、ちょっと!? ……気絶しちゃってるわ」
目を閉じてピクリともしない少女の様子に、ニヤリ、と笑みを浮かべた。
「折角だから、もうちょっと楽しませてもらうわね。大丈夫よー、汗もお汁も全部綺麗にしてあげるから。濡れた服だってカラカラに乾かしてあげるしね」
再びレッドスライムはリオの身体を味わい始めた。
時刻は既に夕方。辺りは夕日で赤く染まっている。
時間的に暇なので、リクは椅子に腰かけ文庫本を広げていた。
カラン、と何処か弱々しいドアベルの音に顔を上げると、入口の所にリンゴの入った籠を抱えたリオの姿があった。
「ただいま……」
「お帰り。遅かったな」
「うん……ごめんね。何かアタシ、途中で倒れたみたいで……通りすがりのレッドスライムさんが介抱してくれて、青果店まで連れてってくれたの」
「……そうか」
フラフラした足取りでリクに近づいたリオは籠を渡し、財布を彼のエプロンのポケットに入れる。
「ねえ、お兄ちゃん……」
「ん?」
「……お遣いって、凄く疲れるんだね」
そのままリオは、壁に手をつきながら、ゆっくりと奥へと入って行った。彼女の中には、『お遣いというものは、何故か無性に疲れる』という、謎の記憶だけが残されたのだろう。
「……」
やれやれ、とリクは溜息をつきながら、妹の背中を見送る。だから言ったのだ。一人で出歩くのは危ない、と。
ここはリリィ村。
あちこちから迫害や忌避の目を逃れて来た、女性の同性愛者≠ホかりが集まって出来た村なのだ。そして、誰も彼もがカップルな訳でもない。合意の上でなら、行きずりの恋も一夜限りの行為も、ありなのだ。
そして女性の同性愛者ばかりだからこそ、リクは、この村に住む事にしたのだが、それはまた別の話である。
そんな声が厨房に響いたのは、ある平日の午後の事だった。店舗の方で退屈そうに椅子に座り、足をブラブラさせていたアリスの少女――リオは、ピョンと跳び下りると、トテトテといった足どりで入口から顔を出した。
「どうしたの? お兄ちゃん」
厨房の中では、清潔感のある白い服にエプロンを着けた長身の青年が、ケーキなどの材料を入れておく棚の一つの前で、僅かに渋い表情をしている。
「材料が切れた」
表情ほどには感情を感じさせない、抑揚のない声で彼は事実だけを答える。その言葉にリオは、意外そうに目を丸くした。
「珍しいね。お兄ちゃん、いつも材料の管理とか完璧なのに」
確かに、しっかり者の兄――リクは、今まで材料を切らした事などなかった。だが、そんな彼が時々、妙なところで抜けている事をリオは知っている。
大概の事を一人でやってのけてしまう男性が時々やらかすオチャメな失敗は、大半の女性にとってはチャームポイントだろう。ご多分に漏れず、それを可愛く思ってしまったリオは、自然と微笑を浮かべていた。
「最近やたらアップルパイが売れてるからな……計算にズレが生じてる」
契約している農家から直接仕入れているリンゴだが、おかげで普段どおりの納入ペースでは間に合わなくなりつつあった。
「しょうがないよ。旬だもん」
店頭にも瑞々しく香りのいいリンゴが並んでいるのを思い出し、リオは苦笑する。
「ならアップルパイなんか食べないで、生で食べればいいんだ」
自分で作った物をなんか≠ニ表現する兄らしさに、リオは更に苦笑を深めた。そのアップルパイなんか≠ェ、どれほど人気か知らないのだ、彼は。
リンゴ本来の香りと酸味を前面に押し出した彼のアップルパイは、甘さが控えられている分、幾つも食べられてしまうのだ。今回のトラブルは、それ故でもある。
「で、どうするの?」
「しょうがないから買いに行って来る」
外したエプロンをぞんざいに丸めて椅子に投げるリクに、何か思いついたらしいリオは、彼の服の裾を引く事で振り向かせた。
「ねえ、だったらアタシが買いに行って来るよ!」
「いい」
即答、だった。
「何でー!」
当然、リオは猛然と抗議する。
「お前が一人で出歩くと、危なっかしい」
「また、そうやって子ども扱いするー」
「子供だろう」
「一つしか違わないよ!」
確かに実年齢ではそうだった。ただ、アリスであるリオは、どう見ても初等教育を受けている最中にしか見えないのだが。精神年齢も外見相応だという意見もあるが、これを言うとリオが本気でキレるので、リクは黙っておいた。面倒事は嫌いなのだ。
「もういいよ!」
そう言ってリオは買い物かごを引っ掴むと、ドスドスと足を踏み鳴らしながら、外へ向かう。
「おい」
「何!」
本人は怒っているつもりなのであろう可愛らしく頬を膨らませた表情で、リオは振り返った。
「お前は強盗にでも行くつもりか」
呆れたように言って、リクは財布を投げ渡した。
「数は十個。品種は、アップルパイに使うと言えば向こうが解る」
途端に機嫌を直したリオは、ぱぁっと表情を輝かせた。
「行って来ま〜す!」
元気に大きく手を振って、リオは出かけて行った。
カランコロン、というドアベルの音が鳴り響いたのは、それから間もなくの事だった。
「いらっしゃいませ」
それまでの無表情や抑揚のない声は何処へやら、リクは涼しげな微笑で愛想よく客を迎え入れる。接客時はそうすべき、という無慈悲なまでの分析から導き出された態度である。相手をもてなす気持ちなどなくとも、完璧に演じれば客は騙される。そもそも商品を売り買いする間だけの事なのだから、騙したところで何も問題はない。相手の目的は、あくまでケーキなのだし。
入って来たのは、茶色い髪を肩にかかる程度に伸ばした女性だった。
「こんにちは、リクさん。また来ちゃったわ」
「いつも、ありがとうございます」
常連の彼女とは幾度となく交わした会話である。
「そういえば、今さっき妹さんとすれ違ったけど……」
「ええ。お遣いを頼みました」
「……大丈夫かしら」
「本人は、大丈夫だと言い張ってましたよ。だから何かあっても本人の問題です。実害もありませんし」
しれっと言うリクに、女性客は困ったような苦笑を浮かべた。
「あらあら、酷いお兄さんね。それとも、信頼しているのかしら?」
「義理は既に果たしていますからね。いちおう警告はしましたが、サービス過剰だったかも知れません」
よく解らない事を言ったリクは、そこで話題を切る。これ以上は他人に言うような事ではないと思った。
「今日は何になさいますか?」
「そうね……ミルクレープと季節のフルーツタルトを貰おうかしら。それから、メロンパン二つ」
かしこまりました、と言ってリクは厚紙で出来た箱を組み立て、二つのケーキをトングで優しく掴んで入れる。メロンパンは小さな紙袋に入れた。何故ケーキ屋にメロンパンが、などという疑問は、もう誰も口にしなくなっていた。それでも答えるなら、売れるから、である。需要と供給という言葉もあるように、需要のあるものを供給するのが商売というものだ。幸い商売敵となるパン屋も、この村にはないのだから問題なはい。
「恋人がね、ここのメロンパンのファンになっちゃったのよ」
「それは、ありがたい事です。よろしければ、今度は恋人さんも一緒にお越し下さい」
「そうね。選ぶ楽しみっていうのもあるものね。でも、口説いちゃ駄目よ?」
「大丈夫ですよ」
悪戯っぽい冗談に真面目に返すリクが可笑しかったのか、クスクス笑いながら女性客は代金を払い、また来るわね、と言って出て行った。
「全く、もう……。お兄ちゃんは、いつまで経ってもアタシを子ども扱いするんだから……」
そんな不平不満をブチブチと零しながらも、リオの表情は明るかった。何せ、この村に越して来てから、初めて一人で買い物に行くのである。ようやくリクに認めてもらえたようで、嬉しさを隠せなかった。
リンゴを売っている青果店への道のりは、頭に入っていた。実際、兄と一緒にだが何度か行った事もあるのだ。機嫌良く歩きながら、ふと小さな悪戯を思いつく。
(近道して、お兄ちゃんを驚かせてやる)
普通より早くお遣いを済ませれば、彼は驚くだろう。そうすれば、もう自分を子ども扱いしたり出来ない筈だ。もしかしたら、昔みたいに頭を撫でて褒めてくれるかも知れない。
想像しただけで顔がニヤけ始めたので、誰かに見られる前にリオは路地へと入りこんだ。
子供の身体でなければ通れない細い路地を抜け、倉庫が幾つか固まっている区画へ入る。と、視界の端に何か赤いものが映った。反射的に、リンゴ、と思ったが、勿論そんな訳はない。曲がり角から覗くそれに無警戒にトテトテと近づいてみると、それはそもそも固体ですらない事が判った。
(……何だろう、これ)
うにょっとしている。
おそるおそる指を近づけ、つついてみる。ぷるん、と震えた。
今度は掌で撫でてみた。弾力があって気持ちいい。
調子に乗って触っていると、何処からか人の声のようなものが聞こえて来た。
「んっ、あ……はぁ……駄目、そんなに……」
女性の声だった。何だか苦しそうである。
誰かが苦しんでいるのなら助けてあげないと、と、兄に認められたという錯覚で調子に乗ったリオは、使命感に燃えて立ち上がった。その瞬間、ガシッと何者かに手首を掴まれる。
「えっ!?」
見れば手首には、先程の赤い何かが巻きついていた。
「な……何これ、何これ!?」
慌てて外そうとしても、赤い何かは柔軟に変形して、一向に手首から外れない。
「駄目よ、そんな乱暴にしちゃ。私、乱暴なのって嫌いなの」
声が聞こえた瞬間、手首の赤い軟体が続く先で、何かが膨れ上がった。というか、曲がり角の向こうに隠れていたものが姿を現した、と言った方が正確か。それは美しい女性の形をしていた。
「うふふ……可愛らしいお嬢さん」
幼女あつかいされたと感じたリオは、柳眉を逆立てる。
「アタシは、これでも十九よ!」
あら、と女性の形をしたものは意外そうに口元に手を当てる。と、次の瞬間、ニヤリと淫靡な笑みを浮かべて来た。
「じゃあ初めから、そのつもり≠セったのね。まあ、そうでなきゃあんな事≠オないか。でも、だったら初めから口で言ってくれればいいのに」
「な、なに言ってるの? あんた、何?」
「私? 私はレッドスライム。見た事ないの?」
頷くリオに、レッドスライムは更に笑みを深くした。
「そう……じゃあ、たくさん見て。そして知って頂戴。貴女の目で、指で、肌で、唇で、舌で、そして……」
彼女の濡れたような瞳が、スカートに隠されたリオの股間へ向けられる。危険だと判断するのが遅すぎた。
突然レッドスライムの身体から伸びた触手――というか触手状に伸びたレッドスライムの身体が、リオの手足を拘束し、身動きを封じる。
「やっ……何!?」
もがくリオに構わず、レッドスライムは彼女の眼前まで近づいて来た。そのまま両手で、壊れ物でも扱うようにリオの頬を優しく撫でる。
「ふふ……近くで見ると、ほんと可愛い。食べちゃいたいくらい」
食べちゃうつもりなんでしょう、とツッコめるような知識は、アリスであるリオにはなかった。そのまま相手の手は頬から首へと落ち、さわさわと身体中をまさぐる。
「んっ……」
胸を触られ、ピクン、とリオの身体が震えた。
「あら敏感。ナリは子供でも女なのね。流石アリス」
体を密着させたレッドスライムはリオの首筋に顔をうずめ、つ、と舌先で舐め上げる。
「ふぁ……っ」
逃れようと身体をよじる彼女に構わず、服の裾から片手を差し入れ、膨らみの少ない胸を優しく揉みほぐした。
「ぅ……あ、んっ……」
「まだブラもしてないのね。ずっと、このままなのかしら?」
ゆっくりと焦らすようにシャツを捲り上げ、露になった胸に微笑ましげに目を細めた。
「綺麗な色……」
桜色の突起に顔を近づけ、優しく口づけてから、舌でなぞる。
「ひぁ……ん、ぁあっ!」
最後に唇で挟んで軽く引っ張ってやると、リオは身体を仰け反らせた。
「ほんとに敏感ね……もしかして経験豊富なのかしら?」
クスクス笑いながら、レッドスライムは片手で胸を揉み、反対の手でリオの背中を撫でる。次第に汗ばみ熱くなって来る身体を直に楽しみ、相手の顔を覗きこんだ。
「なかなか気丈ね」
蕩けそうになる表情を必死で引き締めながら、赤い顔で睨んで来るリオを愛おしむように、レッドスライムは顔を近づける。何をされるか察したリオは、慌てて顔を背けた。
「やっ、駄目……キスは――」
「捧げたい人がいるのね。でも、ごめんなさい。私は大好きなの、キス」
慈愛に満ちた無慈悲な言葉と共に、艶やかで弾力のある唇が押し当てられた。
「ん……くっ……」
小さな唇を温かな感触に包まれながらも、悔しげに目に涙を溜めたリオは強く口を閉じる。ここまでだ。これ以上は……。
そんな必死の抵抗を可愛らしく思いながら、レッドスライムはリオの唇を挟み、吸い、舐めて味わった。ゆっくりと下の方へと手を伸ばし、唇以外の場所へ意識を向けられなくなった彼女の内腿を、中指の先で触れるか触れないかの距離感でなぞり上げた。
「ぅあっ!?」
思わず声が洩れ、口を開けてしまった。その機を逃さず、レッドスライムの舌が差し入れられる。
「んっ、んぅー!?」
ぬるりとした感触に嫌悪感を感じたのは一瞬だった。次の瞬間には、既に相手の舌に自分の舌が絡め取られており、後はもう舌同士が擦れ合う感触の気持ちよさに溺れていくだけだった。
「んっ、んふ……はぅ、ん……あ、んぷ……んん……」
チュ、チュク……チュル、チュプ……クチュクチュ。
差し入れられた舌を伝ってレッドスライムの唾液がリオの口内に流れこみ、絡み合う舌の動きで混ぜ合わせられる。最早どちらのものかも判らなくなった透明な液体が、合わせられた唇の隙間から、とろり、と流れ落ちて行った。
「んふ……」
目元に唾液とは別の透明な液体が滲むリオの様子に嗜虐心を刺激され、レッドスライムは微笑む。乱暴なのが嫌いというのは、乱暴をされる≠フが嫌いという意味である。
リオの唇を強く吸って、自分のものと相手のものが混ざり合った唾液を飲みこむ。ついでに絡め取った小さな舌を唇で銜え、自分の口内で舐めまわした。柔らかくて弾力があり、唾液は甘い。再び唾液をたっぷりと乗せた舌を差し入れ、小さな口の中を満足いくまで蹂躙した。
唇を離すと、互いの唇と舌先から唾液が糸を引く。紛れもなく自分達が混ざり合っていたという証に、レッドスライムの興奮は最高潮に達した。脱力しきったリオの身体を横たえると、彼女のスカートを捲り上げ、ぐっしょりと濡れたパンツを脱がせる。女陰から溢れた愛液で、こちらも糸を引いた。
「うふふ……準備万端ね。ほんとは、こっちも優しく舐めてあげたかったんだけど」
そう言ってレッドスライムはリオの脚を広げ、間に自分が入りこむ。指先で一度そこを撫で上げ、掬った液体を口へ運んだ。
チュ……チュル、と、わざと音を出して舐め取り、美味し、と呟く。
「……やめて、もう……や……」
「大丈夫よ。酷い事なんてしないわ。気持ちよくしてあげる」
力なく呻きながら泣いているリオを慰めるように頬を撫で、ゆっくり彼女の上に身体を倒していった。チュッ、と小さく口づけると、自分の女陰を彼女のそれにくっつける。
「ひ……っ」
クチュ、という異様な感触に、リオの身体が震えた。互いの女陰から溢れた愛液が、先程の唾液のように混ざり合っていた。
レッドスライムはゆっくりと女陰を擦り合わせ、しかし少しずつ動きは速くなっていく。にゅるにゅるという感触に続いて、互いのクリトリスが擦れ合った瞬間、全身に電撃が走った。
「ん、あああああ!」
背を仰け反らせるリオに構わず、レッドスライムは愛液が泡立つ程に一心不乱に腰を振り続ける。
「ひ……やぁ、ああ、んぁ、あああ!」
「んっ、まだまだよ……んふ、ん……もっと、これから」
そう言ってレッドスライムは、女陰を密着させた状態で擦るのをやめる。終わったのかと弱々しく彼女を見返すリオに、とびっきりの笑顔を浮かべて見せた。
「覚悟してね、お嬢さん」
サディスティックな笑みに恐怖を覚えながら、それでも逃れようとしたリオの下腹部で、
ブツン、と。
絶望が啼いた。
「ぐ――ぁ、っ――!!」
痛み、などというレベルではなかった。脳まで衝撃が突き抜けた。同時に感じるのは、自分の身体の中の異物感。
おそるおそる見下ろしたリオの目に映ったのは、レッドスライムの股間から生えた棒だか筒だかが、自分の股間からお腹の中に入っている状況だった。
(奪われた……)
ボロボロと涙を零しながら呆然としているリオに顔を近づけ、レッドスライムは、その涙を舐め取る。
「その絶望も、すぐに快楽に変わるわ」
ゆっくりゆっくり腰を前後させ始めると、それに合わせてリオの口から小さく声が洩れ始めた。ヌチュッ、ヌチュッという音に興奮を高めながら、レッドスライムは激しく腰を打ちつける。
「んっ、あ、あっ……ぁん、ぅぁ」
「うふ……、んっ、あは……小さくて可愛い。狭いけど、私ならちょうどいい大きさに出来るから、はんっ、激しくても痛くないのよ……」
リオの膣口がほぐれていくのに合わせ、少しずつ挿入した部分を太くすると、膣壁と擦れる快感が上がったのか、彼女は、ひあっ、と身体を跳ねさせた。
「やだ……、反応かわいい」
気に入ったのか、レッドスライムは身体を密着させ、手だけではなく全身でリオの身体を愛撫する。敏感になっている彼女は、ビクビクと身体を震わせながら、何度もイってしまう。
「ふぁ……あ、ぁあ!」
「いいわぁ……。私もイキたくなっちゃった」
レッドスライムはリオの身体を抱きしめ、唇を奪う。
「んっ、んぅー!?」
苦しげに呻く相手に構わず舌を絡めながら、腰の動きを速めた。
「んっ、あはぁ……いい、いいわ……。イっちゃう……私イっちゃうぅー!」
大きく背中を仰け反らせ、レッドスライムは大きく体を震わせた。そのまま、くたり、とリオの上に身体を横たわらせ、ふと気づく。
「あら? お嬢さん……ねえ、ちょっと!? ……気絶しちゃってるわ」
目を閉じてピクリともしない少女の様子に、ニヤリ、と笑みを浮かべた。
「折角だから、もうちょっと楽しませてもらうわね。大丈夫よー、汗もお汁も全部綺麗にしてあげるから。濡れた服だってカラカラに乾かしてあげるしね」
再びレッドスライムはリオの身体を味わい始めた。
時刻は既に夕方。辺りは夕日で赤く染まっている。
時間的に暇なので、リクは椅子に腰かけ文庫本を広げていた。
カラン、と何処か弱々しいドアベルの音に顔を上げると、入口の所にリンゴの入った籠を抱えたリオの姿があった。
「ただいま……」
「お帰り。遅かったな」
「うん……ごめんね。何かアタシ、途中で倒れたみたいで……通りすがりのレッドスライムさんが介抱してくれて、青果店まで連れてってくれたの」
「……そうか」
フラフラした足取りでリクに近づいたリオは籠を渡し、財布を彼のエプロンのポケットに入れる。
「ねえ、お兄ちゃん……」
「ん?」
「……お遣いって、凄く疲れるんだね」
そのままリオは、壁に手をつきながら、ゆっくりと奥へと入って行った。彼女の中には、『お遣いというものは、何故か無性に疲れる』という、謎の記憶だけが残されたのだろう。
「……」
やれやれ、とリクは溜息をつきながら、妹の背中を見送る。だから言ったのだ。一人で出歩くのは危ない、と。
ここはリリィ村。
あちこちから迫害や忌避の目を逃れて来た、女性の同性愛者≠ホかりが集まって出来た村なのだ。そして、誰も彼もがカップルな訳でもない。合意の上でなら、行きずりの恋も一夜限りの行為も、ありなのだ。
そして女性の同性愛者ばかりだからこそ、リクは、この村に住む事にしたのだが、それはまた別の話である。
10/11/18 19:28更新 / azure