連載小説
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人の幸せを願える人間は自分の幸せをも願う資格を持つ、前編
波成昌也と速水巴の二人が付き合う、結構前のこと。
これはその二人の恋を後押しした、一哉……立花一哉の話。







その日はなんてことはない日のことだ。
そのなんてことはない、とある日のこと、テレビでそれが出た。
魔物娘という、異世界の種族だ。
とんでもない話だが長々しくそれについての説明やら証拠やらのやつがヤバイのなんのだ。
もう、疑う余地のないそれだ。
見たときに俺はこれでもかと心が踊ったね。
既にオタク業界で確立されて長い時間のある魔物娘。
または人外娘やらモンスター娘と言う分類の存在、他にも機械娘やらがあるが長いから割愛だ。
ああ、本来の意味で割愛だ、割愛と言うのは話したくて話したくてたまんないけど話すと止まらねえから省くって意味だ。
俺はオタクだ、この溢れんばかりの思いを語り合いたいが割愛させてもらう、割愛したくねえ、魔物娘だけで丸一日潰せるのによ。
それどころか寝ずの飲まず食わずの三日語れる自信がある。
それ以上は普通に死んで止まる。
だからこの溢れんばかりの思いと愛は割愛する。
え?話進めろ?うるせえ!これくらいしないと愛に対して失礼だろうが!
お前そんなことよりって自分の嫁キャラを蔑ろにされるようなこと言われて止まれんのかよ!
おっと、これ以上は不味い、止めておこう。
まあ、そんなこんなだ、まだそこらを歩いているようなことはないがいつか普通になるのが来るんだろう。
それにこれと同盟結んだのが日本が最初で今だ日本だけと……
わかってんじゃねえか、オタク国家なだけあるぜ、海外は宗教が面倒臭そうだからな。
まあ、そんなことだな、つい友人と語り合いたくなっちまったぜ。

「ああ……魔物娘可愛い娘、多いよなぁ。隼人は気になってる娘とかいねえの?」
「……それを俺に聞くか?」
「すまん……ノーマルじゃないお前にそれは……」
「ノーマルだわ!」

ははっ、そんなのは嘘以外のものはねえな。
昌也も知ってることだろうが、お前にはあいつがいる。
あいつがいる限り腐女子からのあの目からは逃れられねえ!

「男の娘属性が何言っても……負けず劣らずのオタクの分際で」
「オタクは肯定してやるがアイツは関係ねえだろ。昌也は何も言わねえのにお前ばっかりそれじゃねぇか。糞野郎が、ようしやろうぜ、昌也が来る前に終わらそうぜ」

結果としては俺の勝ちだ、嘗めんな。
オタク、イコール、貧弱。
その方程式は俺には通じねえ!後面が悪いとか根暗だとかも通じねえ。

「まあ、俺らが仲良くなるは当分先だろうがな」
「夢がないこと言うな、コブラツイストすんぞ」
「流石に俺に拘束技は通じねえぞ」
「糞、そうだった!」

あんまりにもあんまりな事実を言うんじゃねえや。
そう言うのは夢があるべきだ。

「おはよう二人とも」

そうしてると昌也がやって来た。

「お、昌也、今日のテレビ見たか!?」
「一哉のことだから魔物娘とかの話でしょ?」
「わかってるねえ!お前わかってる!」
「オタクじゃなかったのにオタク知識詰め込んだのどこのどいつだよ……」

かなり切れ味のある突っ込みだ、俺には効いた……!
だが止まる気はねえ、俺の欲望はオタクの偏見を消し、全ての人間にオタクにすることだ。
そうすれば仲間が増える、そして下層にいるオタクが幸せになる。
一石二鳥だ。

「「またバカなこと考えてるな」」
「うるせえ、頭をハゲにする方法教えるぞ」
「「「止めろ!」」」

そばにいて聞いてた約数名の男子共まで突っ込みを!?
中に女子が紛れ込んでいるだと!?
そして一名目を輝かせているだと!?
ハゲ専か!!??

「何でお前らまで突っ込む!?」
「それは俺らは漢だからだろ。魔物娘の話だぜ、そんなのし始めたのに無視はできねえ。そこでふざけたのが出たからな一応」
「つかオタク関係なしにあの美女と美少女に心が踊るに決まってんだろ。気にしてないと思われてたとか、むしろ喧嘩売ってんのか」
「お、おう。女子が紛れ込んでいたがな……今がっつり無視してるし真意は聞けねえが……」

その後はその男子共も含めての議論(下ネタ)が繰り広げられることとなった。
はっきり言いたいが、お前らあれ普通の女じゃないぜ?











さて、問題が生まれた。
それはだ、隼人のやつが言ってた、直ぐにお近づきにはなれねえと言う話だったが……たったの数ヵ月で来た、来ちゃった。

『今日からお世話になります』

この通りだ、ビックリでどうしようもない。
ただ、この後の男たちの反応が……

『うおおおおおお!』

お前らはギャグ漫画やらのモブか。

『キャアアアアア!』

お前らは少女漫画の友人ポジか。
まさかの女子である、理解不能な感情を隠せない。
仲良すぎたろこのクラス、お前ら大好きだ。
さて、それから落ち着くまでは質問攻めと言うかをこれでもかと食らっている魔物娘たちの姿は素晴らしく綺麗で、他の男子共が鼻の下を伸ばしてる。
ただ近づけないだと!?女子の猛ガードがあるだと!?
だがしかし!俺の作ったクラブ活動がある!
それがある限り可能性は諦めねえ!
そこに入ってきてくれる女子が現れることを俺は待つ!そしてオタクに染め上げて人間の女子をそれを使って価値観崩壊させてやるぜ、ぐへへへ。
まあ、流石にむさ苦しいところには来ないだろうから諦めておくか。













一週間、学校に馴染んだ(早すぎるぜ……)魔物娘たちはクラブや部活のもうアタックを食らってるな。
おい、ちょっと待て、クラブは部活動になってないから、欲しいから滅茶苦茶いいところやらで勧誘はわかる。
だが野球にサッカーやらの部活の汗くさ男共、マネージャーやらで勧誘すんな。
見分ける目があるからわかるぞ、クラブは部活動にするために血走ってるが、お前ら下心で血走ってる。
はっきり言ってキモい、おい、やめろバカ、何が理由で来たのかわかんない魔物娘たちに変な恐怖植えかねないことすんな。
おい、おい、おい!

「クラブも部活動もいいかげんせいやぁ!!」

結果としては全てのクラブと部活動が静かになった。
嘗めんな、オタクだからとなめやがって、そんなんだからプロレス技で負ける。
柔道部とかも寝技KOされる。

「ええと、魔物娘達さん?こんな奴等の強引さ無視して自分でちゃんと選べよ?意思持ってくれよ?あ、俺はオタ研……まあ、漫画やらのやつだ。日本のエンターテイメントに興味あるならどうぞ〜」

意思は尊重しなくちゃ行けねーだろ!
意思有って入ってきてくれるから抜けねえし、楽しめるんだ。
ちゃっかり勧誘はしたが、強要は一切やるつもりはねえ。
だって面白くねえじゃん。














さて、その結果としてどうなったかと言うと。

「私は魔物娘……ってことになるのかな。種族はキューピット。名前はシュメルって言うの。興味はゲームかな?宜しくね」
「どうもどうも〜!あたしは〜ティターニアのミシュレンよ〜。ヨロシクね。私が興味あるのはおもちゃの数々!色々教えてくれると嬉しいわ〜」
「私は……見ればわかるかしら。白蛇の花輪伽凛。私の興味は小説だったりかしら。ライト……ノベル?といった、娯楽として子供も楽しめる文学に興味があるわ。私のいたところは少なかったし、面白いのも少なかったから良いのがあれば教えて欲しいわね」

まさかの三人揃って入ってきてしまったでござる。
……良いことだ!しかもそれぞれうちの奴等の趣味にあってるぜ。
おもちゃ……となれば、古いのも最近作られているものも、ある程度知り尽くしてるマニア、それどころか作る木宮透が適任か。
アイツは意味のわからんものも、普通に嵌まりそうなのも考えやがるからな。
応募に出して商品化させるに至ったド変態だ。
読み物系統となれば言うまでもなく部屋の隅で苦笑してる佐崎魅夜だな。
女みてえな名前だが男だぞ、ここ大事だ、前に泣かれかけた、保護欲掻き立てるショタ泣きだった。
俺は大抵のものに手を出す変態だ。どれも対応できる。だが中でも好きなのはゲーム、しかもゲームとなれば腐るほどのジャンルに手を出してる、親もゲームが好きだから家に一杯あるしな。
態々、クラブでやるに至って用意までしてくれるくらいだ、まあ、金持ちなのもあるんだが、投資家スゲー。
よし、ちょうどよく割り振りが効くな……それどころか、六人になるのか……五人で部活動になれる……部長としちゃヒャッハーだ!














さてはてさてはて、いやぁいいねぇ〜。
むさ苦しい……訳でもないか、一人ショタだし、おいこっち睨むな、ニュータイプか。
それはともかくいいことだ、それになんか仲良くなってないか?
お、おっおっおっ……恋が芽生えるんですかあ!?良いことだ!!
まあ、実際はわからんがな、そうなったら全力を持って祝ってやる。
人を呪わば穴二つ、俺の穴も掘るつもりはない。
人の幸せをバカにするやつは自分の幸せもバカにするんだよ!
さて、そんなことよりも……

「興味あるゲームはなんぞ?」
「私はシューティングかな」
「矢を打つから?」
「それなら教えてくれたFPS?だったかじゃない?」
「確かに……弓ではないが、矢を打つのもあるからな。まあ、いいや。シューティングな。なら俺のおすすめはこれだ」

そう言ってケータイを使って検索して出したゲーム。
内容としては少しばかし薄く、短いものだ。
そう言ったものであまり人気はなく、好んでやっている人間を満たすことはできない。
でも内容が薄いだけで悪いわけではない、逆に言えば素人、初めてやる人には入りやすい、入門向けだ。

「ってわけなんだが、どうだ?携帯機ゲームだから明日には用意できると思うぜ」
「確かに初めてやるなら……それでいいかな」
「おっし、はまったなら、据え置き……家のテレビ……わかるか?わかるかそうか。でやるゲームもあるからな。貸す……つーかやるくらいでもいいが、それもやってみてくれ」
「……」
「どうした?」
「それなら私あなたの家に言ってもいいかな?」

少しばかし固まる俺ことオタク代表。
固まらざる終えない、この固まってる時間はコラテラル・ダメージ、致し方ない犠牲だ……
違う違う違う、俺?俺の家?我が世に春が来た?

「フッ……そんな都合のいい幻聴が」
「遊びに行ってもいい?」
「良いよぉ!」

来ることになりました。
春は来ないが!春のようなものは来て!
15/11/27 17:31更新 / 幸せのためのキセキ
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■作者メッセージ
夢を見た、かけたパーツを修復してこんな話。

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