第三章 雇用継続判定
かつてルーの主だった大悪魔のトリスさんを応接室に通す。茶を出すためにルーが現れると、トリスさんは俺と二人きりで話がしたいと耳打ちした。人払いをするところから、この大悪魔がただの商談で訪れたわけではないのは明らかだった。
「この茶はルーが淹れたのかの? 久しい味じゃ」
「ええ、お茶出しを始め、家事はあらかたルーに頼んでます。お陰様で俺も店のことに専念できてます」
「その様子じゃとルーは上手くやっておるようじゃの。ルーは粗忽者ゆえ、わしも少々心配しておったが、杞憂じゃったの」
ルーが淹れた茶に舌鼓を打ちながら話すトリスさんの口ぶりはまるで旧友の近状を伺うにこやかだ。だが、それならわざわざ当事者たるルーを部屋から外す必要はないだろう。本題は別にある。何か裏がある。俺の第六感が警告を上げていた。街角の小さな薬屋とはいえ、俺も店の主だ。商人の感は持っているつもりだった。それなりに修羅場を潜り抜けた自負だってある。
「ガストンよ、ルーを引き取ってくれたことについて、わしからも礼を言おう」
「いえ、礼には及びませんよ。今じゃこっちが助かってる側ですから」
「そうかそうか、ルーも良い主に拾われたものじゃの。してガストンよ、悪いんじゃがそのルーを返してもらえんかの?」
聞き間違いだろうか。極めて身勝手な言葉が聞こえた気がする。目を細めながらお茶を啜るトリスさんの表情に変化はない。彼女の言葉はまるで時候の挨拶を交わすときのように朗々としていた。
「どうかの? ルーを返してくれぬか?」
カップをソーサーに載せながらトリスさんは続けた。ようやく俺も彼女が何を言っているのか理解できた。この大悪魔は自分が追い出した忠臣を詫び一つ入れず引き戻そうとしているのだ。
「はて? 新婚生活を邪魔をしてもらいたくなかったからルーに暇を出したと伺っています。今戻ってもお二人の生活に水を差してしまうだけでは?」
「その通り。新婚家庭にお邪魔虫はいらんというて追い出したのはわしじゃ。愛しの兄様と二人きりになるためにも、家事はすべてわしがやると意気込んでおったんじゃが、あの屋敷は広うての、わし一人では手が回りきらんのじゃ。最近は兄様にまで迷惑をかけるようになってきての、流石にこのままではいかんと思うて、こうして恥を忍んでやってきたんじゃ」
己の不義を語るトリスさんは依然として鷹揚な笑顔をたたえていた。恥ずかしいと言いながら話す口ぶりは穏やかで、恥じらいを決して感じさせない。自身の汚点をおくびにも出さないその態度がむしろ癇に障った。これで当然の権利のようにルーを返せと言われては、俺も黙ってはいられなかった。
「いくら何でも都合がよすぎやしませんかね。一方的に追い出しておいて、問題があったら謝りもせず戻って来いというのは。流石に身勝手じゃないですか?」
「然り。謗られるのも覚悟の上じゃ。じゃが、ガストンよ――」
俺が上げた言葉を、トリスさんはあっさりと受け止める。妙な肩透かしを感じたところでトリスさんは俺を見据えて言った。
「それはお主が言うべき言葉かの?」
突然の問いかけ。その答えは、射竦めるような瞳によって遮られた。一拍遅れて反駁の言葉が思い浮かんだが、その前に大悪魔が畳みかけてきた。
「ならば問おう。お主はルーの何じゃ? ルーの気持ちの代弁者か? それとも、ルーの一挙手一投足を決める主人とでも申すのか?」
その問いに、俺はルーとの関係を思い出した。家主と居候。善意で家に泊めてはいるものの、明確な雇用関係や主従関係は交わしていない。家事についてならば、俺も家主として口を出せるだろうが、家の外、ことルーとトリスさんの関係については部外者である以上、俺が口を出す余地は存在しなかった。思いついた反論も吐き出す口を塞がれる。
「なればこそ決めるのはルーじゃ。わしを謗るのも罵るのもルーがやることじゃ。お主にとやかく言われる筋合いはないわ」
追い打ちをかけるように大悪魔が喝破する。もはや俺は押し黙ることしかできなかった。
「このことルーに頼むぞ。流石のわしもルーに合わせる顔がないからの。明日また来る故、良い返事を期待しておるぞ」
最後にそう言って、トリスさんは席を立った。商談のために幾度となく訪れたせいだろう、大悪魔は応接室を勝手知ったる風に出ていく。その後姿を俺は何も言えないまま見送った。
その晩の夕食時に、俺はトリスさんの言葉をルーに伝えた。トリスさんがルーを必要としていること。一方でその際に謝罪の言葉はでなかったこと。あくまでもこれはルーが考えることで、俺が口を挟むようなことではないこと。全てをそのままルーに話した。ルーは始め驚いてはいたが、話を進めていく内に口数が少なくなり、最後には目を伏せて何も言わなくなった。
「……というわけだ。それでルー、お前はどうするつもりだ?」
あらましを言い終えて、俺はルーに問いかけた。だが唇をきつく結ぶルーからすぐに答えが出るようには見えなかった。
「トリスさんは明日また来ると言っていたから、決めるのは今の内だ」
最後にそう言って、俺は目の前に並んだスープに手を付けた。いつも旨い旨いと言って食べていたこのスープが今日に限っては酷く不味く感じる。これはルーが味付けを間違えたからではない。ただただ俺が不機嫌なだけだ。昼のトリスさんの姿は未だに俺の神経を逆なでしていた。目の前で煮え切らない態度をとるルーの姿にも加えて腹が立った。だが、それ以上に俺を不愉快にさせるものが存在した。
募る苛立ちにスープを啜る手を止めて顔を上げる。視線の先ではルーが依然と押し黙っていた。
「嫌なら嫌って言えばいい。何なら俺がトリスさんに言ってやる。でもな、それを決めるのはお前なんだ。お前が決めてくれなきゃ話は進まないんだ」
ルーがなぜ答えないのか、ルーがどちらに傾いているのか、俺は手に取るように分かった。俺が放浪の果てにたどり着いたこの国で店を構えた時、一番最初に訪れた客がこの小さな使い魔だった。主人と違って頭が大分足りない代わりに、見た目通りの素直な心を持った彼女と俺は幾度となく茶を交わしあった。ちょっといじれば彼女は大粒の涙を浮かべ、ちょっと脅かせば彼女は悲鳴を上げて飛び上がって、そして、ちょっと褒めれば彼女は見てるこちらすら幸せにさせるほど可愛らしく笑った。幾年もの間、彼女の涙を、彼女の笑顔を、俺はずっと見続けてきた。だから、俺はルーが口を開く前にその答えを理解していた。彼女はいつも二言目にはある人の名を上げるのだ。
「トリスさんの所に戻ります」
ようやく出したルーの答えに、俺は机を叩いた。
「お前、それでいいのか? 向こうの都合で追い出されて、そうかと思えばまた向こうの都合で戻って来いと言われて。こんなんじゃまたいつ追い出されるか分かったもんじゃないぞ」
「でも、ルーは――」
「使い魔だからか? ご主人様のお世話をするために生まれた造り物の命だからか? でもお前にだって意思はあるんだろう? 嫌なら嫌って言っていいし、やりたいことがあるならやりたいことを言えばいい。本当にトリスさんのお世話をしたいって言うなら何も言わんが、そうじゃないなら言うんだ。さあ本当は何がしたいんだ? それを言ってくれ」
彼女のことだ。あんな仕打ちを受けてもトリスさんのことを嫌ってはいないだろう。今でもかつての主人を慕っているはずだ。だから、彼女が悩む理由は別の所だ。それが何かも俺は分かっている。俺はそれを白日に晒そうとしている。俺はそれを彼女に言わせようとしている。決定的な何かを彼女にやらせようとしている。トリスさんに会ってから己を苛む怒りの大本はこの臆病な己の心だ。つまるところ俺は――。
「ホントは、ここにいたいです。もっとガストンさんのお世話をしたいです。ルーはガストンさんの事が大好きなんです。でもルーはトリス様の使い魔ですから、ルーのご主人様はトリス様ですから、だから――」
――ルーが好きなんだ。言葉一つで簡単に表情を変える素直なルーが好きだった。見た目相応に可愛らしいルーの笑顔が好きだった。ずっと見ていたいと思うほどに、ずっと傍にいて欲しいと思うほどに、ルーのことが好きだった。だから俺からルーを奪おうとするトリスさんを憎み、俺から離れようとするルーに怒り、なによりルーを掴もうとしない弱虫な自分に憤っていた。脳裏に渦巻く怒りの中に、最後の一線をルーに譲った悔悟が混じる。最後の一線が破られた事実が自己嫌悪を引き上げる。血が上りすぎて怒りが鶏冠に達する。平静さを失った俺は思わず叫んだ。
「分かった。俺がお前の主人になる!」
「ふぇっ!? それってどういう――」
俺の言葉にルーは目を白黒させる。ルーが挙げた声を遮って俺は続けた。
「俺もお前のことが好きなんだ! だからお前を俺のものにする!」
そう言い切ると、俺はルーの手をつかんで立ち上がった。ルーは戸惑いの声を上げるが、引っ張り上げた腕に抵抗はない。それを幸いに俺はルーを私室に引っ張り込むと、寝台の上に放り投げた。
「あの、冗談ですよね? いつもみたいに、ルーのことからかってるだけですよね?」
ベッドの上で恐る恐るといった様子でルーは問いかける。俺はルーを押し倒した。
「冗談じゃない! 本気で俺はお前のことが好きなんだ!」
「ひっ! 待ってください。なにがなんだか、心の整理をさせてください」
「俺だって整理できてねえ!」
ルーの問いに俺は怒鳴り散らす。だが、組み伏せたルーは怯え竦んでいた。ここまで来てようやく自分はやりすぎたことを悟った。恐怖に震えるルーの顔が見ていられず、俺は視線を外した。
「悪い。ただ、今日トリスさんに会って俺は分かったんだ。俺はルーが好きなんだ。ルーにずっと笑っていてほしいんだ。でもルーを泣かせるようなトリスさんの態度に腹が立って、ルーが悩んでる姿に腹が立って、なにより、ここでお前が好きだとバシッと言うことができない自分に腹が立って、ずっと軽口叩いている関係から一歩踏み込めない自分に腹が立って、それで……」
「ガストンさん」
気持ちの整理をつけるように、思っていることをぶちまける。ルーへの想いを。トリスさんへの憤りを。なによりルーに言わせるまでその想いを言い出せなかった不甲斐ない自分の怒りを、一切合切ぶちまける。語っているうちに耳が熱を持っていることに気が付いた。つまるところ口から出ている言葉は言い訳だ。怒りをルーに八つ当たりする自己弁護の言葉だ。そんな自分が情けない。情けなくて恥ずかしい。恥ずかしくて腹立たしい。
「言ってる内に恥ずかしくなってきた。俺だけ恥ずかしいのは不公平だ。お前も恥ずかしい目に合わせてやる」
「なんでそうなるんですか!」
怒りに震えながらルーのシャツをめくりあげた。抵抗の元となる起伏がない胸が露になる。今度はルーが顔を赤くした。
「見ないでください。こんなちっちゃなおっぱい、見ても嫌いになるだけですよ」
「大きさなんて関係ない。ルーの胸なら大好きだ」
そう言って俺はルーの胸を掴んだ。もっとも、平坦という言葉そのものルーの乳房に揉みしだける様な膨らみはない。皮膚のすぐ下に埋もれた肋骨が硬い感触を返していた。これで十分だった。彼女の胸を、小さな体躯を掌で包んでいるという事実のほうが、俺を陶酔させた。厚みのないせいだろう、胸の奥から伝わる彼女の鼓動は俺の掌を震わせるほどにはっきりと感じ取れた。
「でもいつも大きいおっぱいが好きだって……」
「俺は胸に惚れたんじゃない。ルーに惚れたんだ。大好きなルーの胸なら、大きくても小さくても、どっちだっていい」
そう言うや、俺はルーの胸を撫で上げた。掌を滑っていくルーの肌は、柔らかく、温かい。その心地よさは撫でる側ですら恍惚とさせた。起伏のないルーの胸を登っていく俺の掌が、唯一の突起を巻き込んだ。それはルーの桜色の乳頭。硬く屹立したそれを俺の指がなぎ倒した時、ルーは声を上げて体を震わせた。跳ね上がる彼女の体を押さえつけて、俺は掌で乳頭を按摩する。
「く……くすぐったいです」
甘い吐息を漏らしながら、ようやくルーが言葉を漏らした。対するこちらも弾力のあるルーの胸の中で唯一硬度を保つ乳頭が掌を転がるたびに、こそばゆい様な快感を覚えていた。俺はさらにルーの胸を揉みしだいた。胸骨の上で薄く堆積する彼女の乳房をこね回し、掌の中で彼女の乳頭を起立させては何度も押し倒していく。そのたびルーは声を上げながら体躯を震わせる。繰り返すうちにその吐息は荒くなり、その声は大きくなり、最後には甘い嬌声に変わった。
「やぁっ……これ以上はだめです……」
艶がかった声を上げてルーは身悶える。俺は構わず愛撫し続けた。ルーが悦楽を高めるように、俺もまた衝動が高まっていくのを感じた。厚みは感じないながらも、俺が力を加えればその度にルーの胸は弾力を持って変形し、柔らかな感触で答えてくる。掌の中を縦横に転がる彼女の硬い頂は、何か痺れるような快感を俺にもたらした。何より、少女のような体躯の彼女を組み伏せ、膨らみのないその胸を把握し、揉みしだいて彼女を身悶えさせることに、背徳的な快感があった。性の悦び知らないような体躯の少女に悦びをもたらす暗い充足。性の悦びを知り身悶える愛しい人の姿をみて覚える明るい充足。相反する快感がないまぜになり、俺は夢中になっていた。かつて俺はルーの平坦な胸に楽しさを覚えることはないだろうと思っていた。だが宣言を撤回する。小さい胸は素晴らしい。辛抱たまらず、俺はルーの胸に顔をうずめた。
「そんな、だめです……」
ルーが戸惑いながら俺の頭を押し返そうとする。だが、その手に力は入っていない。いわゆる形だけの抵抗だろう。それを幸いに俺はルーの薄い胸に頬をこすりつけた。厚みは無いが、だからこそ早鐘を打つ彼女の鼓動が明確に伝わってくる。滑らかな彼女の肌も熱を帯びていた。目を開ければ、平らな彼女の胸で、桜色をした突起がピンとそそり立っていた。人間の本能だろうか、それを視認した時、俺は口を開けて吸い付いていた。
「止めて……ください……ガストンさん。そんなに吸っても、おっぱい出ないですよぅ」
さらなる刺激に体を大きく震わせながら、ルーは言う。その言葉通り、ルーの乳首を吸い上げる俺の口の中には、乳の類は入ってこない。それでも何かが口腔を満たす充足感を俺は感じていた。それは彼女の汗か。魔物の魔力か。はたまた赤子が母の乳房を誰に教わらずとも吸うような、本能がもたらす充足か。いずれにせよ心を満たす何かは存在し、ルーの抵抗を無視して俺は彼女の胸を吸い続けた。
「んっ! 止めて下さいガストンさん……。……それ以上したら……もう……ルーは……ルーは!」
甘い声を上げながらルーの体が跳ねた。衝動がいよいよ上り詰めてきたのだろう。俺は口に含んだ彼女の乳首に軽く歯を立てた。未だ彼女の胸を揉みしだく右手も小さな取っ掛かりを指先で弾いて攻め立てる。更なる刺激にルーは身をよじる。快感から身を引くような彼女の動きに、俺は空いた左手で肩を押さえつけた。逃げることが叶わなくなったルーは苦悶の嬌声を上げる。だがそれは次第に憚ることのないよがり声に変わった。
「だめ! だめです! これ以上されたら……来ちゃいます! 来ちゃいます! ああああっ!」
最後に絶叫して、ルーは体を大きく震わせた。組み伏す俺の下で二度三度と体を痙攣させる。やがて荒い吐息とともに彼女は脱力した。
「イったのか?」
埋めていた頭を持ち上げて、俺は問いかける。ルーは答えることもせず、顔を赤くして目をそらした。ふと視線を落とすと、彼女のキュロットがぐっしょりと濡れていた。これが答えだろう。俺は彼女のキュロットに手をかけた。
「脱がすぞ」
「……」
俺の問いに、またしてもルーは答えない。だが俺が手に力を込めてキュロットを下着ごと脱がしても彼女は抵抗しなかった。
眼下に曝される彼女の秘所は美しかった。なだらかな曲線を描く下腹部。絹の様な肌に覆われた恥丘。そして、そこに刻まれた秘裂はぴったりと閉じて、何人にも侵されぬ聖域であることを示していた。太腿に手をかけて、ルーの足を押し広げる。ルーは羞恥の呻き声をあげるが、俺にされるがまま足を開いた。未だに秘裂は閉じているが、かすかな隙間からは蜜があふれ、赤く熱を帯びた肌を艶やかに濡らしている。これならもう前戯は不要だろう。かく言う俺も限界だった。俺もズボンを脱いで己自身を曝した。
「挿れるぞ」
答えを聞く前に俺は張り詰めた己自身を濡れそぼったルーの秘裂に押し当てる。そのまま突き込もうとしたところで、ルーが声を上げた。
「ま……待ってください!」
いよいよというところでルーが声を上げた。思わぬ反応に俺も腰を引く。見ればルーは目に涙を浮かべて俺を見上げていた。
「嫌か?」
「違うんです。嫌じゃないです。ただ、こういうのには順序があると思いましてですね……あの……」
拒絶されたと思ったがそうではないらしい。だが、不安げに見上げる彼女の表情には何か思うところがあるようだ。後に続く言葉を待っていると、顔を赤くしたルーは消え入りそうな声でつぶやいた。
「キスをしてください」
その絞り出すような声と、まっすぐ見上げる眼差しに、俺はようやく彼女の不安の源を悟った。俺は急ぎすぎていたのだ。改めて俺はルーの顔のわきに手をついた。戸惑った風に見上げる彼女に顔を寄せて言った。
「ルー、俺はお前のことが好きだ。大好きだ。ずっと傍にいてほしいと思っている。お前はどう思っている?」
改めて吐き出す告白の言葉。今度は照れで誤魔化すこともせず、真っ直ぐ想いを投げかける。ルーは俺の言葉にまずは目を見開いて、次に目を閉じた。一度、二度、息を整えるように深呼吸してから、改めて目を開ける。この間を使って出した彼女の答え、それは――
「はい、ルーもガストンさんのことが大好きです」
――俺と同じものだった。俺は彼女に口付けした。
一度目は唇を押し付けるようなキス。柔らかな彼女に唇に自身の唇を重ね合わせて、その柔らかさと温かさを味わう。ひとしきり堪能したら顔を放し、小さく笑いあってから二度目のキス。小鳥が餌を啄む様に、彼女の艶やかな唇に吸い付いて、囀りの様な音を立てる。最後は深く互いの口を交わす大人のキス。彼女の頬に手を添えて、その唇を貪っていく。対するルーも小さな口を開いて、俺の唇を受け入れた。幼げな見た目とは裏腹に、甘い吐息を漏らしながら舌を交わすルーはまさしく魔物だった。舌先を突き出して、更に俺を求めてくる。俺は貪るように突き出された舌に吸い付いた。それは男としての矜持を見せるためか。はたまた年端もいかない姿の彼女に魅惑されているのか。いずれにせよ、吸い付いた彼女の舌先は甘く、彼女の柔らかな唇は心地よい。吐息すら吹き込まんと大きく口を交わすと、頭の芯が霞んでいくような陶酔感を感じた。だが、柔らかく溶けていくような自分の思考に反比例するように、下半身の俺自身は硬度を増して自己主張していた。たまらず俺は顔を放す。ルーは俺の意図を悟ったのか、足を開いて己の秘部を曝した。
「今度こそ挿れるぞ、いいな」
「はい、挿れて下さい。ルーをガストンさんの物にしてください」
ルー自身の手によって開かれた秘裂の奥は、溢れ出す蜜によって淫靡に輝き、俺のことを待ち受けていた。俺はそこに俺自身をあてがうと、腰を突きこんだ。
「あああああ!」
ルーが絶叫し、結合部からは純潔の証が溢れ出した。遂に侵入した彼女の膣内は小柄な体躯通りにきつくて狭い。とめどなく溢れる蜜がなければ貫くことも叶わない程窮屈だった。しかしながら、その内壁は柔らかく、奥へ奥へと誘う様に蠢いて俺自身を撫で上げる。ともすればたちまち果ててしまいそうな刺激に耐えながらも、俺は更に自身を突き込んでいく。やがて柔らかな内壁を掻き分けていた先端が何かを突いた。悲鳴に似たルーの嬌声が一段跳ね上がり、俺を包む内壁が激しく収縮する。俺がまた溢れ出しそうな衝動を堪えていると、ルーが息も絶え絶えといった様子でつぶやいた。
「奥に……届いてます」
「辛いか? 少し休むか?」
最奥まで俺を受け入れて荒い息をするルーに声をかける。実のところその内容は自分に向けて言っている部分が多かった。きつく締め付ける彼女の内部は腰が抜けそうなほどに気持ち良い。腰を動かせば三擦り半とて保たないだろう。ともすれば一突きで男の尊厳やら矜持やらを吐き出しながら果ててしまいそうだった。俺の問いかけに彼女は息を整えてから答えた。
「大丈夫です。このまま続けてください」
「本当か? 無理しなくてもいいんだぞ」
未だに汗が浮かぶルーの頬を撫でる。ルーは俺の掌に手を添えて答えた。
「びっくりしただけですから大丈夫です。今はその、暖かくて、お腹の中にガストンさんを感じて、嬉しいんです。だから、動いて大丈夫です。動いてルーにもっとガストンさんを感じさせてください」
しっかりと俺を見つめながら、ルーは言った。ここまで言われてしまったら腹を括るしかない。幸いこの二三言の会話で下半身から沸き立つ衝動は気休め程度だが収まっていた。後は俺が根性を出すだけだ。俺はルーの頭を撫でてから答えた。
「分かった」
同時に俺は腰を押し込んだ。そのまま最奥を突き上げるとルーは体を震わせながら嬌声を上げる。彼女の声に合わせて激しく収縮する内壁に衝動が思わず溢れそうになる。俺は歯を食いしばって堪えながらさらに腰を動かした。神経は下半身からの情動の抑制に手いっぱいとなり上体を支える腕の力が抜ける。俺はそのままルーを抱え込む形で体を落とした。ルーは覆いかぶさる俺を拒むどころが、背中に手を回して受け入れる。
「ガストンさん! ガストンさん!」
甘い息とともに呼ぶ彼女の声が俺の耳朶を打つ。その悦びに満ちた声が愛おしかった。だから俺は彼女を抱え込んで腰を振る。彼女は俺の胸にしがみついて、更なる悦楽の声を上げた。
陰茎、カリ首、亀頭全てに吸い付いて撫で上げる彼女の内壁の刺激はそれだけで理性を失いそうになる程気持ちいい。小さな彼女の体を抱え込み、がむしゃらに腰を振って蹂躙する事にも征服欲をそそる暗い衝動があった。だが、それ以上に俺は彼女が愛おしかった。腰を一突きするたびに俺の名を呼ぶ彼女の声が愛しかった。腰を一突きするたびに俺にしがみつく彼女の熱さが愛しかった。彼女を慮る余裕もなく、ただただ自己勝手に腰を振る情けない俺を、それでも受け入れてくれる彼女が愛しかった。そして、そんな愛しい彼女が俺の動きに合わせて悦びの声を上げていることが嬉しかった。快楽に削られて、それでも残った理性の残滓が、独り善がりになるまいと保ち続けていた彼女への想いが、その彼女の悦ぶ声によって打ち砕かれる。理性の箍がついに外れて、下半身から沸き起こる衝動が俺の体を乗っ取った。
俺は彼女の腰を把持すると、深く突き込んだ。俺自身の先端が何かに当たるがそれでも構わず奥へ突き込んでいく。最奥を蹂躙される刺激に、彼女は俺の腕をつかんで耐えようとする。漏らしていた甘い吐息も歯をかみしめた苦悶の吐息に変わった。それでも彼女は俺の腕を握る手に力を込めるだけで拒もうとしない。その彼女の健気さが俺の衝動を更に熱くする。滾りきった欲求に身を任せ、俺は突き動かす腰の動きに力を加えた。荒々しく前後する俺自身を、彼女の最奥は口を固く閉じて押し留める。それでも一突きすればその口は緩み、二突きすればその口は微かに開いた。確かな手応えに俺の雄の本能が昂ぶり、更に腰を打ち付ける。三突き四突きと突き込まれるたびに、彼女の最奥で口の綻びはどんどん大きくなっていった。更に奥へ、もっと奥へ。滾る欲求に身を任せ、俺はがむしゃらに腰を打ち付ける。執念の果てに、俺は遂にその奥を貫いた。
「――!!」
ルーが背中を弓なりに反らして声にならない絶叫を上げた。突き上げられた腰の上で彼女の下腹部が男の欲望の形に隆起していた。俺が侵入を果たした場所は、彼女にとって、女性にとって最も神聖な場所。想い人との愛を宿して育む場所。本来ならば最愛の赤子を収める子宮だった。赤子の代わりに俺の先端を抱く彼女の子宮壁の感触は、これまで感じたことのないほどの快感だった。至上の快楽が限界寸前の俺に更なる衝撃を加える。だが情動を溢れさせた最後の一滴は心の奥深くから噴き出た実感だった。俺は遂に彼女の最も大切な場所に達したのだ。それは女性の全てを手に入れたという征服感。女性に全てを受け入れられたという充足感。限界まで加熱された情動が爆発し、焔となって俺の意識を焼いていく。奔流が下半身から解き放たれ、思考を焼いた男の欲望を、雌に自らの子を植え付けようとする雄の本能を、神聖不可侵であるその場所に注ぎ込む。音を立てて噴出し、濁流となって尿道を進む自身の子種が、焼け残った俺の思考を白に塗りつぶす。満願成就の快感に俺は意識も感覚も何もかもを失って射精し続けた。
「……ガストンさんのが……いっぱい」
俺がようやく意識を取り戻したころ、俺の下でルーが息も絶え絶えに呟いた。その声で俺は彼女に倒れ込んでいることに気が付いた。慌てて体を離す。一緒に彼女の奥の奥、子宮にすら達していた俺自身も引き抜いた。抜き出す瞬間、敏感になっていた俺自身を子宮口が舐め上げて思わず声が漏れた。ルーも甘い喘ぎ声を上げたあと、呆けたように続けた。
「抜いちゃやぁです……せーしがあふれちゃいます」
「いや、それよりも大丈夫か?」
まるで不満だとばかりにつぶやく彼女の言葉が俺には信じられなかった。ルーの下腹部は子を宿したと見間違わんばかりに膨らんでいる。だらしなく開いた彼女の秘部から溢れ出す白濁液が、その内容物が赤子ではなく男の欲望であることを示していた。これだけの量を吐き出した自分自身に薄ら寒さを覚えるが、それ以上にこれだけの量を注ぎ込まれたルーの体が心配だった。俺の不安とは裏腹に、ルーは幸せそうに微笑んだ。
「大丈夫です。魔物は男の人を受け入れるようにできているんです。だから痛くも苦しくともないです。むしろあったかくて、体の奥がポカポカして、すっごく幸せです」
そう言いながらルーは膨らんだ下腹部を撫で始めた。愛おしそうに見下ろす彼女の眼差しには、確かに苦痛の色は見えなかった。
「えへへ、ガストンさんの物にされちゃいました」
そう言うと、彼女は顔を上げて笑った。その屈託のない笑顔に、俺も思わず笑みがこぼれた。
「これで俺はルーのご主人様ということだな」
「はい。ガストンさんのご命令ならなんでもします。掃除に洗濯、えっちなこともなんだって」
「じゃあ命令だ。ルー、ずっと側にいて欲しい。使い魔じゃなく、伴侶としてずっと傍にいてほしい」
「それ、さっき言いましたよ」
「ならもう一度だ。ルー、好きだ。傍いて欲しい」
互いに笑いあって、改めて想いを伝える。ルーはしばし笑った後、俺を見つめて言った。
「はい。不束者ですが、よろしくお願いします」
彼女の答えを聞いて、俺は改めて口づけした。
「この茶はルーが淹れたのかの? 久しい味じゃ」
「ええ、お茶出しを始め、家事はあらかたルーに頼んでます。お陰様で俺も店のことに専念できてます」
「その様子じゃとルーは上手くやっておるようじゃの。ルーは粗忽者ゆえ、わしも少々心配しておったが、杞憂じゃったの」
ルーが淹れた茶に舌鼓を打ちながら話すトリスさんの口ぶりはまるで旧友の近状を伺うにこやかだ。だが、それならわざわざ当事者たるルーを部屋から外す必要はないだろう。本題は別にある。何か裏がある。俺の第六感が警告を上げていた。街角の小さな薬屋とはいえ、俺も店の主だ。商人の感は持っているつもりだった。それなりに修羅場を潜り抜けた自負だってある。
「ガストンよ、ルーを引き取ってくれたことについて、わしからも礼を言おう」
「いえ、礼には及びませんよ。今じゃこっちが助かってる側ですから」
「そうかそうか、ルーも良い主に拾われたものじゃの。してガストンよ、悪いんじゃがそのルーを返してもらえんかの?」
聞き間違いだろうか。極めて身勝手な言葉が聞こえた気がする。目を細めながらお茶を啜るトリスさんの表情に変化はない。彼女の言葉はまるで時候の挨拶を交わすときのように朗々としていた。
「どうかの? ルーを返してくれぬか?」
カップをソーサーに載せながらトリスさんは続けた。ようやく俺も彼女が何を言っているのか理解できた。この大悪魔は自分が追い出した忠臣を詫び一つ入れず引き戻そうとしているのだ。
「はて? 新婚生活を邪魔をしてもらいたくなかったからルーに暇を出したと伺っています。今戻ってもお二人の生活に水を差してしまうだけでは?」
「その通り。新婚家庭にお邪魔虫はいらんというて追い出したのはわしじゃ。愛しの兄様と二人きりになるためにも、家事はすべてわしがやると意気込んでおったんじゃが、あの屋敷は広うての、わし一人では手が回りきらんのじゃ。最近は兄様にまで迷惑をかけるようになってきての、流石にこのままではいかんと思うて、こうして恥を忍んでやってきたんじゃ」
己の不義を語るトリスさんは依然として鷹揚な笑顔をたたえていた。恥ずかしいと言いながら話す口ぶりは穏やかで、恥じらいを決して感じさせない。自身の汚点をおくびにも出さないその態度がむしろ癇に障った。これで当然の権利のようにルーを返せと言われては、俺も黙ってはいられなかった。
「いくら何でも都合がよすぎやしませんかね。一方的に追い出しておいて、問題があったら謝りもせず戻って来いというのは。流石に身勝手じゃないですか?」
「然り。謗られるのも覚悟の上じゃ。じゃが、ガストンよ――」
俺が上げた言葉を、トリスさんはあっさりと受け止める。妙な肩透かしを感じたところでトリスさんは俺を見据えて言った。
「それはお主が言うべき言葉かの?」
突然の問いかけ。その答えは、射竦めるような瞳によって遮られた。一拍遅れて反駁の言葉が思い浮かんだが、その前に大悪魔が畳みかけてきた。
「ならば問おう。お主はルーの何じゃ? ルーの気持ちの代弁者か? それとも、ルーの一挙手一投足を決める主人とでも申すのか?」
その問いに、俺はルーとの関係を思い出した。家主と居候。善意で家に泊めてはいるものの、明確な雇用関係や主従関係は交わしていない。家事についてならば、俺も家主として口を出せるだろうが、家の外、ことルーとトリスさんの関係については部外者である以上、俺が口を出す余地は存在しなかった。思いついた反論も吐き出す口を塞がれる。
「なればこそ決めるのはルーじゃ。わしを謗るのも罵るのもルーがやることじゃ。お主にとやかく言われる筋合いはないわ」
追い打ちをかけるように大悪魔が喝破する。もはや俺は押し黙ることしかできなかった。
「このことルーに頼むぞ。流石のわしもルーに合わせる顔がないからの。明日また来る故、良い返事を期待しておるぞ」
最後にそう言って、トリスさんは席を立った。商談のために幾度となく訪れたせいだろう、大悪魔は応接室を勝手知ったる風に出ていく。その後姿を俺は何も言えないまま見送った。
その晩の夕食時に、俺はトリスさんの言葉をルーに伝えた。トリスさんがルーを必要としていること。一方でその際に謝罪の言葉はでなかったこと。あくまでもこれはルーが考えることで、俺が口を挟むようなことではないこと。全てをそのままルーに話した。ルーは始め驚いてはいたが、話を進めていく内に口数が少なくなり、最後には目を伏せて何も言わなくなった。
「……というわけだ。それでルー、お前はどうするつもりだ?」
あらましを言い終えて、俺はルーに問いかけた。だが唇をきつく結ぶルーからすぐに答えが出るようには見えなかった。
「トリスさんは明日また来ると言っていたから、決めるのは今の内だ」
最後にそう言って、俺は目の前に並んだスープに手を付けた。いつも旨い旨いと言って食べていたこのスープが今日に限っては酷く不味く感じる。これはルーが味付けを間違えたからではない。ただただ俺が不機嫌なだけだ。昼のトリスさんの姿は未だに俺の神経を逆なでしていた。目の前で煮え切らない態度をとるルーの姿にも加えて腹が立った。だが、それ以上に俺を不愉快にさせるものが存在した。
募る苛立ちにスープを啜る手を止めて顔を上げる。視線の先ではルーが依然と押し黙っていた。
「嫌なら嫌って言えばいい。何なら俺がトリスさんに言ってやる。でもな、それを決めるのはお前なんだ。お前が決めてくれなきゃ話は進まないんだ」
ルーがなぜ答えないのか、ルーがどちらに傾いているのか、俺は手に取るように分かった。俺が放浪の果てにたどり着いたこの国で店を構えた時、一番最初に訪れた客がこの小さな使い魔だった。主人と違って頭が大分足りない代わりに、見た目通りの素直な心を持った彼女と俺は幾度となく茶を交わしあった。ちょっといじれば彼女は大粒の涙を浮かべ、ちょっと脅かせば彼女は悲鳴を上げて飛び上がって、そして、ちょっと褒めれば彼女は見てるこちらすら幸せにさせるほど可愛らしく笑った。幾年もの間、彼女の涙を、彼女の笑顔を、俺はずっと見続けてきた。だから、俺はルーが口を開く前にその答えを理解していた。彼女はいつも二言目にはある人の名を上げるのだ。
「トリスさんの所に戻ります」
ようやく出したルーの答えに、俺は机を叩いた。
「お前、それでいいのか? 向こうの都合で追い出されて、そうかと思えばまた向こうの都合で戻って来いと言われて。こんなんじゃまたいつ追い出されるか分かったもんじゃないぞ」
「でも、ルーは――」
「使い魔だからか? ご主人様のお世話をするために生まれた造り物の命だからか? でもお前にだって意思はあるんだろう? 嫌なら嫌って言っていいし、やりたいことがあるならやりたいことを言えばいい。本当にトリスさんのお世話をしたいって言うなら何も言わんが、そうじゃないなら言うんだ。さあ本当は何がしたいんだ? それを言ってくれ」
彼女のことだ。あんな仕打ちを受けてもトリスさんのことを嫌ってはいないだろう。今でもかつての主人を慕っているはずだ。だから、彼女が悩む理由は別の所だ。それが何かも俺は分かっている。俺はそれを白日に晒そうとしている。俺はそれを彼女に言わせようとしている。決定的な何かを彼女にやらせようとしている。トリスさんに会ってから己を苛む怒りの大本はこの臆病な己の心だ。つまるところ俺は――。
「ホントは、ここにいたいです。もっとガストンさんのお世話をしたいです。ルーはガストンさんの事が大好きなんです。でもルーはトリス様の使い魔ですから、ルーのご主人様はトリス様ですから、だから――」
――ルーが好きなんだ。言葉一つで簡単に表情を変える素直なルーが好きだった。見た目相応に可愛らしいルーの笑顔が好きだった。ずっと見ていたいと思うほどに、ずっと傍にいて欲しいと思うほどに、ルーのことが好きだった。だから俺からルーを奪おうとするトリスさんを憎み、俺から離れようとするルーに怒り、なによりルーを掴もうとしない弱虫な自分に憤っていた。脳裏に渦巻く怒りの中に、最後の一線をルーに譲った悔悟が混じる。最後の一線が破られた事実が自己嫌悪を引き上げる。血が上りすぎて怒りが鶏冠に達する。平静さを失った俺は思わず叫んだ。
「分かった。俺がお前の主人になる!」
「ふぇっ!? それってどういう――」
俺の言葉にルーは目を白黒させる。ルーが挙げた声を遮って俺は続けた。
「俺もお前のことが好きなんだ! だからお前を俺のものにする!」
そう言い切ると、俺はルーの手をつかんで立ち上がった。ルーは戸惑いの声を上げるが、引っ張り上げた腕に抵抗はない。それを幸いに俺はルーを私室に引っ張り込むと、寝台の上に放り投げた。
「あの、冗談ですよね? いつもみたいに、ルーのことからかってるだけですよね?」
ベッドの上で恐る恐るといった様子でルーは問いかける。俺はルーを押し倒した。
「冗談じゃない! 本気で俺はお前のことが好きなんだ!」
「ひっ! 待ってください。なにがなんだか、心の整理をさせてください」
「俺だって整理できてねえ!」
ルーの問いに俺は怒鳴り散らす。だが、組み伏せたルーは怯え竦んでいた。ここまで来てようやく自分はやりすぎたことを悟った。恐怖に震えるルーの顔が見ていられず、俺は視線を外した。
「悪い。ただ、今日トリスさんに会って俺は分かったんだ。俺はルーが好きなんだ。ルーにずっと笑っていてほしいんだ。でもルーを泣かせるようなトリスさんの態度に腹が立って、ルーが悩んでる姿に腹が立って、なにより、ここでお前が好きだとバシッと言うことができない自分に腹が立って、ずっと軽口叩いている関係から一歩踏み込めない自分に腹が立って、それで……」
「ガストンさん」
気持ちの整理をつけるように、思っていることをぶちまける。ルーへの想いを。トリスさんへの憤りを。なによりルーに言わせるまでその想いを言い出せなかった不甲斐ない自分の怒りを、一切合切ぶちまける。語っているうちに耳が熱を持っていることに気が付いた。つまるところ口から出ている言葉は言い訳だ。怒りをルーに八つ当たりする自己弁護の言葉だ。そんな自分が情けない。情けなくて恥ずかしい。恥ずかしくて腹立たしい。
「言ってる内に恥ずかしくなってきた。俺だけ恥ずかしいのは不公平だ。お前も恥ずかしい目に合わせてやる」
「なんでそうなるんですか!」
怒りに震えながらルーのシャツをめくりあげた。抵抗の元となる起伏がない胸が露になる。今度はルーが顔を赤くした。
「見ないでください。こんなちっちゃなおっぱい、見ても嫌いになるだけですよ」
「大きさなんて関係ない。ルーの胸なら大好きだ」
そう言って俺はルーの胸を掴んだ。もっとも、平坦という言葉そのものルーの乳房に揉みしだける様な膨らみはない。皮膚のすぐ下に埋もれた肋骨が硬い感触を返していた。これで十分だった。彼女の胸を、小さな体躯を掌で包んでいるという事実のほうが、俺を陶酔させた。厚みのないせいだろう、胸の奥から伝わる彼女の鼓動は俺の掌を震わせるほどにはっきりと感じ取れた。
「でもいつも大きいおっぱいが好きだって……」
「俺は胸に惚れたんじゃない。ルーに惚れたんだ。大好きなルーの胸なら、大きくても小さくても、どっちだっていい」
そう言うや、俺はルーの胸を撫で上げた。掌を滑っていくルーの肌は、柔らかく、温かい。その心地よさは撫でる側ですら恍惚とさせた。起伏のないルーの胸を登っていく俺の掌が、唯一の突起を巻き込んだ。それはルーの桜色の乳頭。硬く屹立したそれを俺の指がなぎ倒した時、ルーは声を上げて体を震わせた。跳ね上がる彼女の体を押さえつけて、俺は掌で乳頭を按摩する。
「く……くすぐったいです」
甘い吐息を漏らしながら、ようやくルーが言葉を漏らした。対するこちらも弾力のあるルーの胸の中で唯一硬度を保つ乳頭が掌を転がるたびに、こそばゆい様な快感を覚えていた。俺はさらにルーの胸を揉みしだいた。胸骨の上で薄く堆積する彼女の乳房をこね回し、掌の中で彼女の乳頭を起立させては何度も押し倒していく。そのたびルーは声を上げながら体躯を震わせる。繰り返すうちにその吐息は荒くなり、その声は大きくなり、最後には甘い嬌声に変わった。
「やぁっ……これ以上はだめです……」
艶がかった声を上げてルーは身悶える。俺は構わず愛撫し続けた。ルーが悦楽を高めるように、俺もまた衝動が高まっていくのを感じた。厚みは感じないながらも、俺が力を加えればその度にルーの胸は弾力を持って変形し、柔らかな感触で答えてくる。掌の中を縦横に転がる彼女の硬い頂は、何か痺れるような快感を俺にもたらした。何より、少女のような体躯の彼女を組み伏せ、膨らみのないその胸を把握し、揉みしだいて彼女を身悶えさせることに、背徳的な快感があった。性の悦び知らないような体躯の少女に悦びをもたらす暗い充足。性の悦びを知り身悶える愛しい人の姿をみて覚える明るい充足。相反する快感がないまぜになり、俺は夢中になっていた。かつて俺はルーの平坦な胸に楽しさを覚えることはないだろうと思っていた。だが宣言を撤回する。小さい胸は素晴らしい。辛抱たまらず、俺はルーの胸に顔をうずめた。
「そんな、だめです……」
ルーが戸惑いながら俺の頭を押し返そうとする。だが、その手に力は入っていない。いわゆる形だけの抵抗だろう。それを幸いに俺はルーの薄い胸に頬をこすりつけた。厚みは無いが、だからこそ早鐘を打つ彼女の鼓動が明確に伝わってくる。滑らかな彼女の肌も熱を帯びていた。目を開ければ、平らな彼女の胸で、桜色をした突起がピンとそそり立っていた。人間の本能だろうか、それを視認した時、俺は口を開けて吸い付いていた。
「止めて……ください……ガストンさん。そんなに吸っても、おっぱい出ないですよぅ」
さらなる刺激に体を大きく震わせながら、ルーは言う。その言葉通り、ルーの乳首を吸い上げる俺の口の中には、乳の類は入ってこない。それでも何かが口腔を満たす充足感を俺は感じていた。それは彼女の汗か。魔物の魔力か。はたまた赤子が母の乳房を誰に教わらずとも吸うような、本能がもたらす充足か。いずれにせよ心を満たす何かは存在し、ルーの抵抗を無視して俺は彼女の胸を吸い続けた。
「んっ! 止めて下さいガストンさん……。……それ以上したら……もう……ルーは……ルーは!」
甘い声を上げながらルーの体が跳ねた。衝動がいよいよ上り詰めてきたのだろう。俺は口に含んだ彼女の乳首に軽く歯を立てた。未だ彼女の胸を揉みしだく右手も小さな取っ掛かりを指先で弾いて攻め立てる。更なる刺激にルーは身をよじる。快感から身を引くような彼女の動きに、俺は空いた左手で肩を押さえつけた。逃げることが叶わなくなったルーは苦悶の嬌声を上げる。だがそれは次第に憚ることのないよがり声に変わった。
「だめ! だめです! これ以上されたら……来ちゃいます! 来ちゃいます! ああああっ!」
最後に絶叫して、ルーは体を大きく震わせた。組み伏す俺の下で二度三度と体を痙攣させる。やがて荒い吐息とともに彼女は脱力した。
「イったのか?」
埋めていた頭を持ち上げて、俺は問いかける。ルーは答えることもせず、顔を赤くして目をそらした。ふと視線を落とすと、彼女のキュロットがぐっしょりと濡れていた。これが答えだろう。俺は彼女のキュロットに手をかけた。
「脱がすぞ」
「……」
俺の問いに、またしてもルーは答えない。だが俺が手に力を込めてキュロットを下着ごと脱がしても彼女は抵抗しなかった。
眼下に曝される彼女の秘所は美しかった。なだらかな曲線を描く下腹部。絹の様な肌に覆われた恥丘。そして、そこに刻まれた秘裂はぴったりと閉じて、何人にも侵されぬ聖域であることを示していた。太腿に手をかけて、ルーの足を押し広げる。ルーは羞恥の呻き声をあげるが、俺にされるがまま足を開いた。未だに秘裂は閉じているが、かすかな隙間からは蜜があふれ、赤く熱を帯びた肌を艶やかに濡らしている。これならもう前戯は不要だろう。かく言う俺も限界だった。俺もズボンを脱いで己自身を曝した。
「挿れるぞ」
答えを聞く前に俺は張り詰めた己自身を濡れそぼったルーの秘裂に押し当てる。そのまま突き込もうとしたところで、ルーが声を上げた。
「ま……待ってください!」
いよいよというところでルーが声を上げた。思わぬ反応に俺も腰を引く。見ればルーは目に涙を浮かべて俺を見上げていた。
「嫌か?」
「違うんです。嫌じゃないです。ただ、こういうのには順序があると思いましてですね……あの……」
拒絶されたと思ったがそうではないらしい。だが、不安げに見上げる彼女の表情には何か思うところがあるようだ。後に続く言葉を待っていると、顔を赤くしたルーは消え入りそうな声でつぶやいた。
「キスをしてください」
その絞り出すような声と、まっすぐ見上げる眼差しに、俺はようやく彼女の不安の源を悟った。俺は急ぎすぎていたのだ。改めて俺はルーの顔のわきに手をついた。戸惑った風に見上げる彼女に顔を寄せて言った。
「ルー、俺はお前のことが好きだ。大好きだ。ずっと傍にいてほしいと思っている。お前はどう思っている?」
改めて吐き出す告白の言葉。今度は照れで誤魔化すこともせず、真っ直ぐ想いを投げかける。ルーは俺の言葉にまずは目を見開いて、次に目を閉じた。一度、二度、息を整えるように深呼吸してから、改めて目を開ける。この間を使って出した彼女の答え、それは――
「はい、ルーもガストンさんのことが大好きです」
――俺と同じものだった。俺は彼女に口付けした。
一度目は唇を押し付けるようなキス。柔らかな彼女に唇に自身の唇を重ね合わせて、その柔らかさと温かさを味わう。ひとしきり堪能したら顔を放し、小さく笑いあってから二度目のキス。小鳥が餌を啄む様に、彼女の艶やかな唇に吸い付いて、囀りの様な音を立てる。最後は深く互いの口を交わす大人のキス。彼女の頬に手を添えて、その唇を貪っていく。対するルーも小さな口を開いて、俺の唇を受け入れた。幼げな見た目とは裏腹に、甘い吐息を漏らしながら舌を交わすルーはまさしく魔物だった。舌先を突き出して、更に俺を求めてくる。俺は貪るように突き出された舌に吸い付いた。それは男としての矜持を見せるためか。はたまた年端もいかない姿の彼女に魅惑されているのか。いずれにせよ、吸い付いた彼女の舌先は甘く、彼女の柔らかな唇は心地よい。吐息すら吹き込まんと大きく口を交わすと、頭の芯が霞んでいくような陶酔感を感じた。だが、柔らかく溶けていくような自分の思考に反比例するように、下半身の俺自身は硬度を増して自己主張していた。たまらず俺は顔を放す。ルーは俺の意図を悟ったのか、足を開いて己の秘部を曝した。
「今度こそ挿れるぞ、いいな」
「はい、挿れて下さい。ルーをガストンさんの物にしてください」
ルー自身の手によって開かれた秘裂の奥は、溢れ出す蜜によって淫靡に輝き、俺のことを待ち受けていた。俺はそこに俺自身をあてがうと、腰を突きこんだ。
「あああああ!」
ルーが絶叫し、結合部からは純潔の証が溢れ出した。遂に侵入した彼女の膣内は小柄な体躯通りにきつくて狭い。とめどなく溢れる蜜がなければ貫くことも叶わない程窮屈だった。しかしながら、その内壁は柔らかく、奥へ奥へと誘う様に蠢いて俺自身を撫で上げる。ともすればたちまち果ててしまいそうな刺激に耐えながらも、俺は更に自身を突き込んでいく。やがて柔らかな内壁を掻き分けていた先端が何かを突いた。悲鳴に似たルーの嬌声が一段跳ね上がり、俺を包む内壁が激しく収縮する。俺がまた溢れ出しそうな衝動を堪えていると、ルーが息も絶え絶えといった様子でつぶやいた。
「奥に……届いてます」
「辛いか? 少し休むか?」
最奥まで俺を受け入れて荒い息をするルーに声をかける。実のところその内容は自分に向けて言っている部分が多かった。きつく締め付ける彼女の内部は腰が抜けそうなほどに気持ち良い。腰を動かせば三擦り半とて保たないだろう。ともすれば一突きで男の尊厳やら矜持やらを吐き出しながら果ててしまいそうだった。俺の問いかけに彼女は息を整えてから答えた。
「大丈夫です。このまま続けてください」
「本当か? 無理しなくてもいいんだぞ」
未だに汗が浮かぶルーの頬を撫でる。ルーは俺の掌に手を添えて答えた。
「びっくりしただけですから大丈夫です。今はその、暖かくて、お腹の中にガストンさんを感じて、嬉しいんです。だから、動いて大丈夫です。動いてルーにもっとガストンさんを感じさせてください」
しっかりと俺を見つめながら、ルーは言った。ここまで言われてしまったら腹を括るしかない。幸いこの二三言の会話で下半身から沸き立つ衝動は気休め程度だが収まっていた。後は俺が根性を出すだけだ。俺はルーの頭を撫でてから答えた。
「分かった」
同時に俺は腰を押し込んだ。そのまま最奥を突き上げるとルーは体を震わせながら嬌声を上げる。彼女の声に合わせて激しく収縮する内壁に衝動が思わず溢れそうになる。俺は歯を食いしばって堪えながらさらに腰を動かした。神経は下半身からの情動の抑制に手いっぱいとなり上体を支える腕の力が抜ける。俺はそのままルーを抱え込む形で体を落とした。ルーは覆いかぶさる俺を拒むどころが、背中に手を回して受け入れる。
「ガストンさん! ガストンさん!」
甘い息とともに呼ぶ彼女の声が俺の耳朶を打つ。その悦びに満ちた声が愛おしかった。だから俺は彼女を抱え込んで腰を振る。彼女は俺の胸にしがみついて、更なる悦楽の声を上げた。
陰茎、カリ首、亀頭全てに吸い付いて撫で上げる彼女の内壁の刺激はそれだけで理性を失いそうになる程気持ちいい。小さな彼女の体を抱え込み、がむしゃらに腰を振って蹂躙する事にも征服欲をそそる暗い衝動があった。だが、それ以上に俺は彼女が愛おしかった。腰を一突きするたびに俺の名を呼ぶ彼女の声が愛しかった。腰を一突きするたびに俺にしがみつく彼女の熱さが愛しかった。彼女を慮る余裕もなく、ただただ自己勝手に腰を振る情けない俺を、それでも受け入れてくれる彼女が愛しかった。そして、そんな愛しい彼女が俺の動きに合わせて悦びの声を上げていることが嬉しかった。快楽に削られて、それでも残った理性の残滓が、独り善がりになるまいと保ち続けていた彼女への想いが、その彼女の悦ぶ声によって打ち砕かれる。理性の箍がついに外れて、下半身から沸き起こる衝動が俺の体を乗っ取った。
俺は彼女の腰を把持すると、深く突き込んだ。俺自身の先端が何かに当たるがそれでも構わず奥へ突き込んでいく。最奥を蹂躙される刺激に、彼女は俺の腕をつかんで耐えようとする。漏らしていた甘い吐息も歯をかみしめた苦悶の吐息に変わった。それでも彼女は俺の腕を握る手に力を込めるだけで拒もうとしない。その彼女の健気さが俺の衝動を更に熱くする。滾りきった欲求に身を任せ、俺は突き動かす腰の動きに力を加えた。荒々しく前後する俺自身を、彼女の最奥は口を固く閉じて押し留める。それでも一突きすればその口は緩み、二突きすればその口は微かに開いた。確かな手応えに俺の雄の本能が昂ぶり、更に腰を打ち付ける。三突き四突きと突き込まれるたびに、彼女の最奥で口の綻びはどんどん大きくなっていった。更に奥へ、もっと奥へ。滾る欲求に身を任せ、俺はがむしゃらに腰を打ち付ける。執念の果てに、俺は遂にその奥を貫いた。
「――!!」
ルーが背中を弓なりに反らして声にならない絶叫を上げた。突き上げられた腰の上で彼女の下腹部が男の欲望の形に隆起していた。俺が侵入を果たした場所は、彼女にとって、女性にとって最も神聖な場所。想い人との愛を宿して育む場所。本来ならば最愛の赤子を収める子宮だった。赤子の代わりに俺の先端を抱く彼女の子宮壁の感触は、これまで感じたことのないほどの快感だった。至上の快楽が限界寸前の俺に更なる衝撃を加える。だが情動を溢れさせた最後の一滴は心の奥深くから噴き出た実感だった。俺は遂に彼女の最も大切な場所に達したのだ。それは女性の全てを手に入れたという征服感。女性に全てを受け入れられたという充足感。限界まで加熱された情動が爆発し、焔となって俺の意識を焼いていく。奔流が下半身から解き放たれ、思考を焼いた男の欲望を、雌に自らの子を植え付けようとする雄の本能を、神聖不可侵であるその場所に注ぎ込む。音を立てて噴出し、濁流となって尿道を進む自身の子種が、焼け残った俺の思考を白に塗りつぶす。満願成就の快感に俺は意識も感覚も何もかもを失って射精し続けた。
「……ガストンさんのが……いっぱい」
俺がようやく意識を取り戻したころ、俺の下でルーが息も絶え絶えに呟いた。その声で俺は彼女に倒れ込んでいることに気が付いた。慌てて体を離す。一緒に彼女の奥の奥、子宮にすら達していた俺自身も引き抜いた。抜き出す瞬間、敏感になっていた俺自身を子宮口が舐め上げて思わず声が漏れた。ルーも甘い喘ぎ声を上げたあと、呆けたように続けた。
「抜いちゃやぁです……せーしがあふれちゃいます」
「いや、それよりも大丈夫か?」
まるで不満だとばかりにつぶやく彼女の言葉が俺には信じられなかった。ルーの下腹部は子を宿したと見間違わんばかりに膨らんでいる。だらしなく開いた彼女の秘部から溢れ出す白濁液が、その内容物が赤子ではなく男の欲望であることを示していた。これだけの量を吐き出した自分自身に薄ら寒さを覚えるが、それ以上にこれだけの量を注ぎ込まれたルーの体が心配だった。俺の不安とは裏腹に、ルーは幸せそうに微笑んだ。
「大丈夫です。魔物は男の人を受け入れるようにできているんです。だから痛くも苦しくともないです。むしろあったかくて、体の奥がポカポカして、すっごく幸せです」
そう言いながらルーは膨らんだ下腹部を撫で始めた。愛おしそうに見下ろす彼女の眼差しには、確かに苦痛の色は見えなかった。
「えへへ、ガストンさんの物にされちゃいました」
そう言うと、彼女は顔を上げて笑った。その屈託のない笑顔に、俺も思わず笑みがこぼれた。
「これで俺はルーのご主人様ということだな」
「はい。ガストンさんのご命令ならなんでもします。掃除に洗濯、えっちなこともなんだって」
「じゃあ命令だ。ルー、ずっと側にいて欲しい。使い魔じゃなく、伴侶としてずっと傍にいてほしい」
「それ、さっき言いましたよ」
「ならもう一度だ。ルー、好きだ。傍いて欲しい」
互いに笑いあって、改めて想いを伝える。ルーはしばし笑った後、俺を見つめて言った。
「はい。不束者ですが、よろしくお願いします」
彼女の答えを聞いて、俺は改めて口づけした。
18/03/24 20:47更新 / ハチ丸
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