ギャグまもむす日和「西遊記〜旅の終わり〜」
霧の大陸の中でも更に奥地にあるという秘境、天竺を目指して長い旅を続けてきた三蔵法師一行。その旅もついに、終わりの時を迎えた。
孫悟空(カク猿)「お、見えてきた。あれが天竺に入る最後の関所の門か。意外に地味だな」
三蔵法師「そうですね……」
その時、三蔵法師を乗せた馬の玉龍が急に歩みを早めだした。三蔵法師の2番目の弟子、水の妖怪(ウンディーネ)沙悟浄が疑問に思い指摘する。
沙悟浄(ウンディーネ)「おや? お師匠様も玉龍ちゃんもどうしたんですか?」
すると、玉龍が突然走り出した。
三蔵法師「よっしゃ、一番乗りはもらった!」
玉龍(バイコーン)「はい、お師匠様!」
孫悟空(カク猿)&沙悟浄(ウンディーネ)「「しまった!」」
2人はここでようやく気付く。師匠とその馬が抜け駆けしようとしているのだと。
三蔵法師「油断したな馬鹿どもめ。やーいやーい」
沙悟浄(ウンディーネ)「姉弟子殿! こうなったら如意棒で!」
孫悟空(カク猿)「よーし、伸びろ、如意棒!」
孫悟空の持つ、使用者の魔力に反応して長さを変える武器「如意棒」が勢いよく伸びていき、前方を走るバイコーンの玉龍の尻に突き刺さる。
玉龍(バイコーン)「ケツがああ!」
乙女の口から発せられたとは思えない絶叫が辺りに響き渡った。
玉龍(バイコーン)「まったく、何をするんですか。私のお尻を硬い棒でぶっ刺していいのは法師様だけだというのに」
孫悟空(カク猿)「いやあんたらが抜け駆けするから」
三蔵法師「悟空も沙悟浄も、むやみに人を傷つけるものではありませんよ」
孫悟空(カク猿)「だからあんたらが抜け駆けするから」
三蔵法師「とにかくこんな事で争ってはいけません」
孫悟空(カク猿)「抜け駆けしているのはあんたらだってば」
三蔵法師「私達が仲間割れしていては、志半ばでボンレスハムのように縛られて木に吊るされた猪八戒が悲しみますよ。猪八戒が宙吊りにされる直前に発した悲惨な叫びを思い出しなさい」
〜回想シーン〜
猪八戒(オーク)『お願い。みんな離して。私達仲間でしょ? 嫌っ、そんな。やめてくださいお師匠様。どうか中だけは。膣内に出すのだけは……嫌ああああああっ!』
孫悟空(カク猿)&沙悟浄(ウンディーネ)「「…………」」
沙悟浄(ウンディーネ)「それでは皆でいっせいにゴールするとしましょうか」
1時間後、沙悟浄はまだ熱が冷めやらないような表情をしながら言った。その水で出来た身体では、下腹部の辺りに白い濁りのような物が漂っているのが透けて見える。三蔵法師も袈裟を着直しながら答えた。
三蔵法師「無論そのつもりでしたよ。3、2、1で一斉にゴールしましょう」
その時、白い物が溢れ出す自らの股間を拭いていた孫悟空が沙悟浄の方を見て何かに気付いた。
孫悟空(カク猿)「あれ、沙悟浄。その身体……足長っ!」
沙悟浄は水でできた身体を活かしてつま先を異様に長く伸ばしていた。
沙悟浄(ウンディーネ)「そうですよ。私の足は長いんです」
三蔵法師「え? 沙悟浄の足が長い? ……本当だ。沙悟浄の足長っ! これでは一斉にゴールしても沙悟浄の足がまず入ってしまう。ダメダメ認めませんそんな足は。4人一緒にゴールしないと意味がありません」
孫悟空(カク猿)「あんた玉龍と共謀して1番にゴールしようとしたくせに」
三蔵法師「ここまで来てチームワークを乱していては、志半ばで放置プレイを受けた猪八戒が悲しみます。思い出しなさい。彼女が吊るされる前日に言っていた言葉を」
〜回想シーン〜
猪八戒(オーク)『何ひそひそ私を見ながら話しているんですか? やめてくださいよ。不安になるでしょう?』
沙悟浄(ウンディーネ)「それでは足ではなく手から入ればいいんですね」
三蔵法師「それならまあ」
三蔵法師が答えると、すかさず沙悟浄はつま先を元の長さに戻し、余った分の水を使って今度は腕を長く伸ばし始めた。
三蔵法師&孫悟空(カク猿)&玉龍(バイコーン)「「「やっぱダメー!」」」
三蔵法師「沙悟浄腕長っ! 結局やろうとしている事同じじゃないですか。ダメです。認めませんよ卑怯者」
三蔵法師「そこまでして仲間を出し抜こうなんて、天竺を目前にした幸せの絶頂からいきなり雌奴隷に堕とされた猪八戒が聞いたら悲しみますよ。思い出しなさい。彼女が吊るされる3日前に言った言葉を」
〜回想シーン〜
猪八戒(オーク)『皆さんさっきから私の方を見ながら食べるとか食べないとか、どの辺がおいしいとかひそひそ言っていますけど、さすがに冗談……ですよね? お師匠様は一角獣の玉龍ちゃんと結婚しているわけですし(汗)』
玉龍(バイコーン)「じゃあどうしましょう? かっこ悪いけどお尻から入りましょうか、」
孫悟空(カク猿)「まあ確かにそれなら……って、ちょっと待て。あんた下半身が馬だからお尻から入ったらあんただけ先にゴールしちゃうでしょうが」
玉龍(バイコーン)「ちっ、ばれたか」
沙悟浄(ウンディーネ)「というかそう言っている姉弟子殿も何尻尾おっ立ててんですか!」
三蔵法師「まったく、呆れましたよ貴女達には。自分の事しか考えない者は最低です。昨夜吊るされた猪八戒が悲しみますよ。彼女が吊るされる10日前に言っていた事を思い出しなさい」
〜回想シーン〜
猪八戒(オーク)『お師匠様め。私には八戒という名前を付けて食べる物すら制限させておきながら(※大元の元ネタの西遊記では猪八戒という名前は彼が仏教で忌避される8つの食べ物を口にせず戒律を守った事から三蔵法師に付けられた名前とされています)、自分は夫のいない私達3人の弟子の前で見せつけるようにいつも玉龍ちゃんとイチャイチャと。こんな理不尽な扱い……イイかも///』
三蔵法師「こうなったら頭からゴールするしかありませんね」
孫悟空(カク猿)「なるほど。それなら平等っすね」
三蔵法師「では」
そう言って三蔵法師が頭に載せた冠に触れると、冠が異様に細長く変形した。
孫悟空(カク猿)&沙悟浄(ウンディーネ)&玉龍(バイコーン)「「「伸びたー!」」」
孫悟空(カク猿)「何ですか法師。ひきょうものー」
三蔵法師「黙りなさい。これが私の完全態です」
玉龍(バイコーン)「完全態って何ですか。こんなのずっと貴方の妻をしてきた私も知りませんでしたよ」
三蔵法師「悔しかったらこういうの貴女達も買えばいいでしょう」
孫悟空(カク猿)「どこに売っているんですかそんな物」
沙悟浄(ウンディーネ)「とにかくそんな冠は認められません。反則です」
三蔵法師「馬鹿者! 仲間というのは認め合う事から始まるのですよ。思い出しなさい。天竺を目前にして信頼していた者達に裏切られ、無理やり純潔を散らされるという凌辱を受けた猪八戒が最初に言っていた言葉を」
〜回想シーン〜
孫悟空(カク猿)『オッス、オラ悟空。特技はテーブルクロス引きと疲れた主婦の代わりに朝食を作ってあげる事。趣味はドラゴンオーブを7つ集める事だ。よろしくな』
三蔵法師「あ、間違えた」
猪八戒(オーク)『私、猪悟能って言いまーす。特技は即落ちでーす。なーんちゃって』
孫悟空(カク猿)「しかし法師、そもそも4人同時にゴールするというのが無理があるんじゃないか?」
三蔵法師「ふむ、それもそうですか」
玉龍(バイコーン)「それじゃあいっその事後腐れなく競走する事にしましょうか」
三蔵法師「ではこの辺りからよーいドンでスタートしますか」
沙悟浄(ウンディーネ)「恨みっこ無しですよ」
三蔵法師「無論です。でももし私が1位になれなければ、1位の奴を足腰立たなくなるまで犯してやる」
孫悟空(カク猿)「恨みっこ有りかよ」
玉龍(バイコーン)「それで、よーいドンと言うのは誰がやるんです?」
三蔵法師「もちろん私です……なんですかその疑いの目は。失敬な。もうズルなんてしませんよ。位置に付いてー……おりゃあっ!」
孫悟空(カク猿)&沙悟浄(ウンディーネ)&玉龍(バイコーン)「「「『おりゃあっ!』でスタートしやがった」」」
まさかの展開に3人が呆然としている隙に、三蔵法師は一気に距離を離そうとしていく。
孫悟空(カク猿)「待て! なんだよ『おりゃあっ!』て。よーいドンと1文字も被ってないぞ」
三蔵法師「うるさーい! 1番乗りになれば何でもいいんだよ」
沙悟浄(ウンディーネ)「姉弟子殿! 如意棒を!」
孫悟空(カク猿)「よーし、伸びろ、如意棒!……あっ、ちょっと届かない。こうなったら尖れ、如意棒!」
三蔵法師「ケツがああ!」
ここまで綺麗に同じリアクションとは、さすがは長年連れ添ってきただけの事はある。悟空と沙悟浄は心の中で呟いた。
三蔵法師「まったく貴女達は。いい加減にしなさいよ。他人の痛みを考えなさい。私は玉龍と違ってそっちはまだ処女だというのに。とにかく悟空は如意棒を離れた所に置きなさい……置きましたね。それでは仕切り直しにしますよ。位置に付いてー……よドン!」
孫悟空(カク猿)&沙悟浄(ウンディーネ)&玉龍(バイコーン)「「「よドン!?」」」
なんと三蔵法師はさっきの今でまたもやフライングを敢行した。懲りない男である。
孫悟空(カク猿)「待て! 『よドン』って何だ」
三蔵法師「省略したんじゃボケ!」
孫悟空(カク猿)「ちくしょう。馬鹿正直に如意棒を手放さなければ。こうなったら気合と実力だ」
しかし、相手は魔物娘。最初は大きく離されていた距離も、関所の門前まで迫る頃にはどんどん縮められていく。
三蔵法師「ゲゲ! 馬の玉龍はともかく他の妖怪共もこんなに足が速いなんて」
沙悟浄(ウンディーネ)「私が一番よ!」
そう叫ぶや沙悟浄はさっきのように水で腕を長く伸ばしてく。
三蔵法師「卑怯だぞ!」
孫悟空(カク猿)&玉龍(バイコーン)「「負けるかー!」」
なんと孫悟空と玉龍も妖術で腕を長く伸ばして対抗する。
三蔵法師「あんたらもできるのかよ!」
玉龍(バイコーン)「ダメもとでやってみたらなんかできました!」
三蔵法師「ちくしょう! 1番は私だ!」
なぜか三蔵法師の腕まで長く伸びていく。
孫悟空(カク猿)「インキュバスとはいえ魔物娘じゃないのにあんたができたらおかしいだろー!」
三蔵法師&孫悟空(カク猿)&沙悟浄(ウンディーネ)&玉龍(バイコーン)「「「「うおおおお! 負けるかああああ!」」」」
腕をビロンビロンに伸ばした4人が一斉に叫んだその時、彼らの後方に大きく土煙を上げるもう1つの影が現れた。
猪八戒(オーク)「お師匠……いえ、ご主人様! 皆様! 勝手に拘束を引きちぎって逃げ出してきた悪い子の豚めに、昨夜のようにお仕置きしてくださあああい!」
なんとボンレスハムのように縛られ、木に吊るされた猪八戒が自力で脱出して追いかけてきたのである。また昨夜のように鬼畜輪姦されたいというドMな執念だけを頼りに。
三蔵法師&孫悟空(カク猿)&沙悟浄(ウンディーネ)&玉龍(バイコーン)「「「「…………」」」」
そして、その叫びを聞いた4人の足がぴたりと止まった。
玉龍(バイコーン)「とりあえず、この後どうするかはあの娘にお仕置きしてから考えるのはどうでしょう」
三蔵法師&孫悟空(カク猿)&沙悟浄(ウンディーネ)「「「賛成」」」
こうして、ゴールを目前にして最大のチーム崩壊の危機を迎えた三蔵法師一行は、猪八戒の健気な献身により再び心を1つにしたのだった。
関所の役人「何やってんだあいつら」
孫悟空(カク猿)「お、見えてきた。あれが天竺に入る最後の関所の門か。意外に地味だな」
三蔵法師「そうですね……」
その時、三蔵法師を乗せた馬の玉龍が急に歩みを早めだした。三蔵法師の2番目の弟子、水の妖怪(ウンディーネ)沙悟浄が疑問に思い指摘する。
沙悟浄(ウンディーネ)「おや? お師匠様も玉龍ちゃんもどうしたんですか?」
すると、玉龍が突然走り出した。
三蔵法師「よっしゃ、一番乗りはもらった!」
玉龍(バイコーン)「はい、お師匠様!」
孫悟空(カク猿)&沙悟浄(ウンディーネ)「「しまった!」」
2人はここでようやく気付く。師匠とその馬が抜け駆けしようとしているのだと。
三蔵法師「油断したな馬鹿どもめ。やーいやーい」
沙悟浄(ウンディーネ)「姉弟子殿! こうなったら如意棒で!」
孫悟空(カク猿)「よーし、伸びろ、如意棒!」
孫悟空の持つ、使用者の魔力に反応して長さを変える武器「如意棒」が勢いよく伸びていき、前方を走るバイコーンの玉龍の尻に突き刺さる。
玉龍(バイコーン)「ケツがああ!」
乙女の口から発せられたとは思えない絶叫が辺りに響き渡った。
玉龍(バイコーン)「まったく、何をするんですか。私のお尻を硬い棒でぶっ刺していいのは法師様だけだというのに」
孫悟空(カク猿)「いやあんたらが抜け駆けするから」
三蔵法師「悟空も沙悟浄も、むやみに人を傷つけるものではありませんよ」
孫悟空(カク猿)「だからあんたらが抜け駆けするから」
三蔵法師「とにかくこんな事で争ってはいけません」
孫悟空(カク猿)「抜け駆けしているのはあんたらだってば」
三蔵法師「私達が仲間割れしていては、志半ばでボンレスハムのように縛られて木に吊るされた猪八戒が悲しみますよ。猪八戒が宙吊りにされる直前に発した悲惨な叫びを思い出しなさい」
〜回想シーン〜
猪八戒(オーク)『お願い。みんな離して。私達仲間でしょ? 嫌っ、そんな。やめてくださいお師匠様。どうか中だけは。膣内に出すのだけは……嫌ああああああっ!』
孫悟空(カク猿)&沙悟浄(ウンディーネ)「「…………」」
沙悟浄(ウンディーネ)「それでは皆でいっせいにゴールするとしましょうか」
1時間後、沙悟浄はまだ熱が冷めやらないような表情をしながら言った。その水で出来た身体では、下腹部の辺りに白い濁りのような物が漂っているのが透けて見える。三蔵法師も袈裟を着直しながら答えた。
三蔵法師「無論そのつもりでしたよ。3、2、1で一斉にゴールしましょう」
その時、白い物が溢れ出す自らの股間を拭いていた孫悟空が沙悟浄の方を見て何かに気付いた。
孫悟空(カク猿)「あれ、沙悟浄。その身体……足長っ!」
沙悟浄は水でできた身体を活かしてつま先を異様に長く伸ばしていた。
沙悟浄(ウンディーネ)「そうですよ。私の足は長いんです」
三蔵法師「え? 沙悟浄の足が長い? ……本当だ。沙悟浄の足長っ! これでは一斉にゴールしても沙悟浄の足がまず入ってしまう。ダメダメ認めませんそんな足は。4人一緒にゴールしないと意味がありません」
孫悟空(カク猿)「あんた玉龍と共謀して1番にゴールしようとしたくせに」
三蔵法師「ここまで来てチームワークを乱していては、志半ばで放置プレイを受けた猪八戒が悲しみます。思い出しなさい。彼女が吊るされる前日に言っていた言葉を」
〜回想シーン〜
猪八戒(オーク)『何ひそひそ私を見ながら話しているんですか? やめてくださいよ。不安になるでしょう?』
沙悟浄(ウンディーネ)「それでは足ではなく手から入ればいいんですね」
三蔵法師「それならまあ」
三蔵法師が答えると、すかさず沙悟浄はつま先を元の長さに戻し、余った分の水を使って今度は腕を長く伸ばし始めた。
三蔵法師&孫悟空(カク猿)&玉龍(バイコーン)「「「やっぱダメー!」」」
三蔵法師「沙悟浄腕長っ! 結局やろうとしている事同じじゃないですか。ダメです。認めませんよ卑怯者」
三蔵法師「そこまでして仲間を出し抜こうなんて、天竺を目前にした幸せの絶頂からいきなり雌奴隷に堕とされた猪八戒が聞いたら悲しみますよ。思い出しなさい。彼女が吊るされる3日前に言った言葉を」
〜回想シーン〜
猪八戒(オーク)『皆さんさっきから私の方を見ながら食べるとか食べないとか、どの辺がおいしいとかひそひそ言っていますけど、さすがに冗談……ですよね? お師匠様は一角獣の玉龍ちゃんと結婚しているわけですし(汗)』
玉龍(バイコーン)「じゃあどうしましょう? かっこ悪いけどお尻から入りましょうか、」
孫悟空(カク猿)「まあ確かにそれなら……って、ちょっと待て。あんた下半身が馬だからお尻から入ったらあんただけ先にゴールしちゃうでしょうが」
玉龍(バイコーン)「ちっ、ばれたか」
沙悟浄(ウンディーネ)「というかそう言っている姉弟子殿も何尻尾おっ立ててんですか!」
三蔵法師「まったく、呆れましたよ貴女達には。自分の事しか考えない者は最低です。昨夜吊るされた猪八戒が悲しみますよ。彼女が吊るされる10日前に言っていた事を思い出しなさい」
〜回想シーン〜
猪八戒(オーク)『お師匠様め。私には八戒という名前を付けて食べる物すら制限させておきながら(※大元の元ネタの西遊記では猪八戒という名前は彼が仏教で忌避される8つの食べ物を口にせず戒律を守った事から三蔵法師に付けられた名前とされています)、自分は夫のいない私達3人の弟子の前で見せつけるようにいつも玉龍ちゃんとイチャイチャと。こんな理不尽な扱い……イイかも///』
三蔵法師「こうなったら頭からゴールするしかありませんね」
孫悟空(カク猿)「なるほど。それなら平等っすね」
三蔵法師「では」
そう言って三蔵法師が頭に載せた冠に触れると、冠が異様に細長く変形した。
孫悟空(カク猿)&沙悟浄(ウンディーネ)&玉龍(バイコーン)「「「伸びたー!」」」
孫悟空(カク猿)「何ですか法師。ひきょうものー」
三蔵法師「黙りなさい。これが私の完全態です」
玉龍(バイコーン)「完全態って何ですか。こんなのずっと貴方の妻をしてきた私も知りませんでしたよ」
三蔵法師「悔しかったらこういうの貴女達も買えばいいでしょう」
孫悟空(カク猿)「どこに売っているんですかそんな物」
沙悟浄(ウンディーネ)「とにかくそんな冠は認められません。反則です」
三蔵法師「馬鹿者! 仲間というのは認め合う事から始まるのですよ。思い出しなさい。天竺を目前にして信頼していた者達に裏切られ、無理やり純潔を散らされるという凌辱を受けた猪八戒が最初に言っていた言葉を」
〜回想シーン〜
孫悟空(カク猿)『オッス、オラ悟空。特技はテーブルクロス引きと疲れた主婦の代わりに朝食を作ってあげる事。趣味はドラゴンオーブを7つ集める事だ。よろしくな』
三蔵法師「あ、間違えた」
猪八戒(オーク)『私、猪悟能って言いまーす。特技は即落ちでーす。なーんちゃって』
孫悟空(カク猿)「しかし法師、そもそも4人同時にゴールするというのが無理があるんじゃないか?」
三蔵法師「ふむ、それもそうですか」
玉龍(バイコーン)「それじゃあいっその事後腐れなく競走する事にしましょうか」
三蔵法師「ではこの辺りからよーいドンでスタートしますか」
沙悟浄(ウンディーネ)「恨みっこ無しですよ」
三蔵法師「無論です。でももし私が1位になれなければ、1位の奴を足腰立たなくなるまで犯してやる」
孫悟空(カク猿)「恨みっこ有りかよ」
玉龍(バイコーン)「それで、よーいドンと言うのは誰がやるんです?」
三蔵法師「もちろん私です……なんですかその疑いの目は。失敬な。もうズルなんてしませんよ。位置に付いてー……おりゃあっ!」
孫悟空(カク猿)&沙悟浄(ウンディーネ)&玉龍(バイコーン)「「「『おりゃあっ!』でスタートしやがった」」」
まさかの展開に3人が呆然としている隙に、三蔵法師は一気に距離を離そうとしていく。
孫悟空(カク猿)「待て! なんだよ『おりゃあっ!』て。よーいドンと1文字も被ってないぞ」
三蔵法師「うるさーい! 1番乗りになれば何でもいいんだよ」
沙悟浄(ウンディーネ)「姉弟子殿! 如意棒を!」
孫悟空(カク猿)「よーし、伸びろ、如意棒!……あっ、ちょっと届かない。こうなったら尖れ、如意棒!」
三蔵法師「ケツがああ!」
ここまで綺麗に同じリアクションとは、さすがは長年連れ添ってきただけの事はある。悟空と沙悟浄は心の中で呟いた。
三蔵法師「まったく貴女達は。いい加減にしなさいよ。他人の痛みを考えなさい。私は玉龍と違ってそっちはまだ処女だというのに。とにかく悟空は如意棒を離れた所に置きなさい……置きましたね。それでは仕切り直しにしますよ。位置に付いてー……よドン!」
孫悟空(カク猿)&沙悟浄(ウンディーネ)&玉龍(バイコーン)「「「よドン!?」」」
なんと三蔵法師はさっきの今でまたもやフライングを敢行した。懲りない男である。
孫悟空(カク猿)「待て! 『よドン』って何だ」
三蔵法師「省略したんじゃボケ!」
孫悟空(カク猿)「ちくしょう。馬鹿正直に如意棒を手放さなければ。こうなったら気合と実力だ」
しかし、相手は魔物娘。最初は大きく離されていた距離も、関所の門前まで迫る頃にはどんどん縮められていく。
三蔵法師「ゲゲ! 馬の玉龍はともかく他の妖怪共もこんなに足が速いなんて」
沙悟浄(ウンディーネ)「私が一番よ!」
そう叫ぶや沙悟浄はさっきのように水で腕を長く伸ばしてく。
三蔵法師「卑怯だぞ!」
孫悟空(カク猿)&玉龍(バイコーン)「「負けるかー!」」
なんと孫悟空と玉龍も妖術で腕を長く伸ばして対抗する。
三蔵法師「あんたらもできるのかよ!」
玉龍(バイコーン)「ダメもとでやってみたらなんかできました!」
三蔵法師「ちくしょう! 1番は私だ!」
なぜか三蔵法師の腕まで長く伸びていく。
孫悟空(カク猿)「インキュバスとはいえ魔物娘じゃないのにあんたができたらおかしいだろー!」
三蔵法師&孫悟空(カク猿)&沙悟浄(ウンディーネ)&玉龍(バイコーン)「「「「うおおおお! 負けるかああああ!」」」」
腕をビロンビロンに伸ばした4人が一斉に叫んだその時、彼らの後方に大きく土煙を上げるもう1つの影が現れた。
猪八戒(オーク)「お師匠……いえ、ご主人様! 皆様! 勝手に拘束を引きちぎって逃げ出してきた悪い子の豚めに、昨夜のようにお仕置きしてくださあああい!」
なんとボンレスハムのように縛られ、木に吊るされた猪八戒が自力で脱出して追いかけてきたのである。また昨夜のように鬼畜輪姦されたいというドMな執念だけを頼りに。
三蔵法師&孫悟空(カク猿)&沙悟浄(ウンディーネ)&玉龍(バイコーン)「「「「…………」」」」
そして、その叫びを聞いた4人の足がぴたりと止まった。
玉龍(バイコーン)「とりあえず、この後どうするかはあの娘にお仕置きしてから考えるのはどうでしょう」
三蔵法師&孫悟空(カク猿)&沙悟浄(ウンディーネ)「「「賛成」」」
こうして、ゴールを目前にして最大のチーム崩壊の危機を迎えた三蔵法師一行は、猪八戒の健気な献身により再び心を1つにしたのだった。
関所の役人「何やってんだあいつら」
19/03/08 22:38更新 / bean