図鑑世界童話全集「マッチ売りの少女」
これは、ある年のクリスマスイブのお話しです。その年の冬はいつもよりも寒く、分厚い雪が街じゅうを真っ白に覆っていました。そしてそんな中を、みすぼらしい格好をした少女が歩いておりました。
「マッチはいかがですか。マッチを買ってくれませんか」
少女はマッチの入った小さな籠を手に、道行く人達に呼びかけます。
「お願いします。誰かマッチを買ってください。1本でもいいから」
ほとんど泣きそうになりながら大声で叫びますが、皆聞こえないふりをして通り過ぎていくばかりです。履いている靴はぶかぶかで、朝から降り続いている雪が足との隙間に容赦なく入ってきます。そうしているうちに辺りも暗くなり、ますます寒くなってきました。
「お母さん、今日の晩御飯は何？」
「今日はクリスマスイブだから、七面鳥よ」
「わーい、やったー」
少女の近くを小さな子供とその母親が楽しそうに話しながら通り過ぎます。
「いいなあ……」
少女がそう呟いた時、近くを大きな馬車が猛スピードで通りかかりました。
「どけどけ！ 跳ね飛ばすぞ！」
「わあ！」
慌てて逃げようとした少女は、雪の上に転んでしまいました。ぶかぶかだった靴は脱げ、雪に紛れて見えなくなってしまいます。
「どうしよう。靴はあれしか持っていないのに」
少女が手を冷たくしながら雪をかき分けていると、暖かそうなコートを着た子供達が片方の靴を拾って言いました。
「おい、なんか変なもの拾ったぞ」
子供達は靴をボールの代わりに投げて遊び始め、そのままどこかへと走り去ろうとします。
「待って！ その靴返して！」
少女は慌てて呼び止めようとしましたが、聞き入れてもらえませんでした。
それから、少女は冷たい雪の上を裸足で歩かなければなりませんでした。どこかから鳥の焼けるいい匂いが漂ってきます。それを嗅いでいると、少女のお腹がぐうと鳴りました。辺りを見回しても人影はもうありません。
少女は家に帰る事はできませんでした。物心つく前に両親を失った少女は優しいおばあさんの家で育てられていたのですが、そのおばあさんも病気で亡くなると、それまで顔も見た事のなかった親戚のおじさんの家に預けられたのでした。このおじさんはとても怖い人で、少女が銅貨の1枚も稼ぐことができずに帰ってきたとなれば間違いなく殴られます。いや、殴られるだけならまだいいでしょう。おじさんの機嫌が悪い時にはもっと嫌な事までされてしまうのです。
少女は冷たさで足が痛くなってしまい、とうとう塀に寄りかかるようにして座り込んでしまいました。容赦なく降り続ける雪を凌げる物もありません。
「1本だけ。ちょっと指先を温めるだけだから」
誰に言うまでもなく呟くと、少女は籠からマッチを1本取り出し、塀でこすって火を付けました。とても小さな火でしたが、冷え切った少女の手にはとても暖かく感じます。
すると、不思議なものが見えました。目の前に大きなストーブが現れたのです。
「うわあ」
少女は嬉しそうな声を上げながら、足を温めようとストーブの方に伸ばしました。その時、手に持ったマッチの火が消えたかと思うと、同時にストーブも消えてしまいました。
少女が慌てて新しいマッチを取り出して火をつけると、今度は暖かそうなスープと焼けた七面鳥が見えました。しかし、これも少女が手を伸ばすとマッチの火が消え、ごちそうも消えてしまいます。
もう1本火をつけると、今度は大きなクリスマスツリーが見えました。たくさんの温かそうなろうそくの火が灯っています。しかし、やっぱりマッチはすぐに消え、クリスマスツリーのろうそくも空へ浮かぶと、1つの流れ星になって消えていきました。
――いいかい、流れ星が空に消える時はね、亡くなった人の魂が天国へ昇っていく時なんだよ。
少女は優しかったおばあちゃんを思い出しました。
「おばあちゃん、会いたいよ……」
呟きながらもう1本マッチに火を付けます。すると、今度はそのおばあちゃんが現れました。少女に優しく微笑んで手を振っています。しかし、マッチの火が消えると、おばあちゃんの姿もすうっと溶けてなくなるように空へと消えていきました。
「待って！ 俺も連れて行って！」
少女は慌てて何本ものマッチを取り出すと、まとめて火を付けました。すると、今度は暖かい紅茶の入ったティーポットと、サンドイッチやお菓子の載ったティースタンドが見えました。少女はそれを寂しそうな目で見つめます。
（おいしそう。でも、あれもすぐに消えちゃうんだろうな……）
そして、やっぱりすぐにマッチの火は消えてしまいます。しかし、その時不思議な事が起こりました。そのティーポットとティースタンドだけは、さっきまで少女が見ていた物のように消えなかったのです。
「……え？」
少女は慌てて目をこすり、キョロキョロと辺りを見回しました。絵の具を乱暴にぶちまけたような色とりどりの木々が生えた森の中に、少女よりも大きいんじゃないかと思えるような赤や紫や黄緑と言った色とりどりのキノコが生えています。さっきまで確かに雪が降り積もる街の中にいたはずなのに、その様子はすっかり様変わりしていました。冷たい雪に覆われていた足元もふかふかの草に変わっています。
そしてそんな中で、燕尾服を着てシルクハットをかぶった凛々しい紳士が広いテーブルの上にティーセットを広げ、優雅にお茶を飲んでいました。
紳士は少女の姿に気付くと、目に楽しそうな笑みを浮かべて話しかけてきました。
「おや、随分とかわいいお客さんだね。どんな用事でここに来たのかな」
その言葉にはっとした少女は答えます。
「お願いします。マッチを買ってくれませんか」
「マッチ、ねぇ」
紳士は意味ありげに目くばせすると、少女に答えました。
「解った。貰おうか。ちょうどランプに火をつけるのにマッチが欲しかったところなんだ。ただ、お金の持ち合わせがなくてね。代わりにこのお茶とお菓子をお代替わりにしてもいいかな」
そう言うと紳士はテーブルの上に載ったたくさんのお菓子と温かい湯気を上げているティーポットを示しました。
「いいんですか？」
「ああ。ちょうど一緒にお茶をする相手も欲しかったんだ」
それから少女は紳士と一緒に思う存分お茶会を楽しみました。紅茶はとても暖かく、ティースタンドに乗せられたお茶菓子のジャムを挟んだサンドイッチやスコーン、パイやケーキはどれもとても甘く、さっきまで冷え切って弱っていた少女の身体もすっかり元気になっていきます。そんな少女の様子を、シルクハットの紳士は嬉しそうににこにこと眺めていました。
「さあ。もう腹ごしらえも済んだだろう。マッチを貰おうか」
「はい」
少女は顔を赤くしながら自分の短いスカートの裾をそっとつまみ、それをゆっくりと持ち上げます。その下に見えるお股には下着は無く、女の子には付いているはずのないマッチ棒がひくひくと頭を持ち上げていました。
実はこのマッチ売りの少女は、本当は少女ではなく少年でした。しかし彼を引き取る事になったおじさんは少年が女の子のように可愛らしい顔をしているのを見ると、少女の格好をさせて街の中で身体を売らせていたのです。手に持っているマッチの入った籠はもしお巡りさんに見つかってしまったときに、本物のマッチを売っているだけだと言い訳するために持たされていた物でした。
「ほう。これは実によく燃えそうなマッチ棒だ」
シルクハットの紳士は優雅な手つきで少年のマッチ棒をこすります。その動きは彼が今までに相手をしたどのお客よりも巧みなものでした。
「うっ、そんな。あっ、でるっ！」
たちまち少年のマッチ棒に火が付き、真っ白でねっとりとした炎が勢いよく上がりました。シルクハットの紳士はいつの間にか空いた方の手に持っていたティーカップで飛び出してきた精液を受け止めます。カップの中の紅茶がミルクティーになり、シルクハットの紳士は嬉しそうに、しかし上品さを忘れない動きで口を付けました。
「うーん。今まで飲んだ紅茶の中でいちばんおいしいよ」
シルクハットの紳士はじっくりと口の中で転がすようにしながら、エッチなミルクティーをじっくりと味わっていきます。その間にも少年のマッチ棒を握った手はそれをこするのを忘れません。マッチ棒はあっという間にさっきまでの硬さを取り戻しました。
「おいしいミルクティーを飲んでいたら、僕の身体も熱くなってきちゃったよ」
そう言うと、シルクハットの紳士は自分のズボンを脱ぎ始めました。この紳士は自分のマッチ棒を俺のとこすり合わせるつもりだろうか。それとも俺の尻に自分のマッチ棒をねじ込んでくるつもりだろうか。そんなことを考えてしまいます。しかし、シルクハットの紳士がズボンを一気に下ろすとそこにはマッチ棒は無く、お股とズボンの間にネットリとした糸を引いていました。
「女の人……？」
驚く少年をシルクハットの紳士――いや、男装の麗人は柔らかい草の上に押し倒して馬乗りになっていきます。
「そうさ。僕のお腹のランプが、君のマッチ棒で火をつけてほしくてさっきから待っているんだよ」
そう言うと、シルクハットの麗人はぬるぬるとしたよだれをたくさん垂らしているおマンコに少年のマッチ棒を当て、一気に腰を下ろしました。
「んっ」
「あああああっ！」
マッチ棒が温かい感触に締め付けられ、少年は思わず大きな声を上げました。彼は男性だけでなく女性の客にマッチ棒を売ったことも1度や2度ではありませんでしたが、今までのどの相手とも比べ物にならない心地よさです。
「あっ。すごっ。かたい」
シルクハットの麗人も気持ち良さそうにうっとりとした表情で勢いよく腰を上下させていきます。あまりの気持ちよさに何も考えられなくなっていた少年でしたが、甘く痺れるような感覚がぞくぞくと腰の辺りに湧き上がってくると、彼は慌てて叫びました。
「抜いてください。出ま……ああっ！」
「あっ。ドクドク言ってる」
少年は警告しようとしましたが、あまりの気持ちよさに途中でマッチが燃え上がってしまいました。シルクハットの麗人のお腹の中で、ビクビクと勢いよくマッチ棒が震えます。
しばらくしてシルクハットの麗人が腰を持ち上げると、すっかり燃えさしになったマッチ棒が抜け落ち、紅茶に注いだのと同じかそれ以上に濃ゆいミルクが大量に流れ落ちてきました。シルクハットの麗人はそれを嬉しそうに見下ろしましたが、少年は真っ青な顔で謝りました。
「ごめんなさい！」
今まで女性の客を取った時、少年がうっかり相手のおマンコの中に射精してしまうと、相手の女性客からこっぴどく殴られ、それがおじさんにばれるとおじさんからも「面倒ごとを起こしやがって！」と言って更に殴られていたのでした。
しかし、シルクハットの麗人はそんな今までの女性客とは違い、真っ青な顔で震えている少年を優しく抱きしめて言いました。
「どうして君が謝る必要があるんだい。僕が今いちばん飲みたかったものをお腹いっぱいに飲ませてくれたのに」
そして彼女はテーブルの上のティーポットとティーカップを手に取って紅茶を注いだかと思うと、その紅茶を口に含み、少年に口移しで飲ませました。少年が思わずその紅茶を飲み込むと、彼の身体がかっと熱くなり、燃えさしになっていたお股のマッチ棒が再び硬くなってきます。
「それに、むしろもっと中に出してくれないと困るんだよ。僕の子宮（ランプ）はなかなか火が付きにくくてね。新しい命の火が灯るまで、君のマッチを何度もこすってもらわないと」
そう言ってマッチ棒を見下ろすシルクハットの麗人の目は、少年が今までに相手をしたどのお客よりも欲に塗れた目をしていました。しかし、その目を見た少年の心には、怖いと思う気持ちは全くわいてきませんでした。
「そうだ。君に丁度いい椅子があったんだ」
そう言ってシルクハットの麗人はテーブルのそばに置かれた椅子のひとつを示しました。その椅子は大きなキノコの形をして――というより椅子のような大きさをしたキノコでした。
短いスカートだけでパンツを穿いていなかった少年がその上に座ると、ひんやりとして柔らかい感触がお尻の肌に直に触れます。シルクハットの麗人はそんな少年の上に向かい合う形で座るようにして、再びおマンコで少年のマッチ棒を飲み込んでいきました。
「ふふっ。2回も出したのにまだまだ元気だね」
そう言うとシルクハットの麗人は少年にぎゅっと抱き着き、腰を上下させていきます。燕尾服の上からでは見た目では解りにくかったのですが、服越しに感じる胸や腕の感触は確かに女の人のそれでした。
「こうしてみると、本当に、あっ、ちっちゃくて、かわいい。まるで女の子を犯して、いるみたい。それなのにこんな、凶悪なマッチ棒で、僕のナカをえぐってっ、んっ、僕を孕ませようとしてくれているなんて」
密着した相手のすっかり興奮した息遣いに、少年もますますドキドキしてきます。
その時、彼が座っているキノコの椅子に大きな変化が起こりました。お尻の所に何か冷たくて硬い物が当たっているのです。
「そのキノコは、んっ、僕が魔法で作った、特別製でね。僕の意思で好きな所に、小さな、キノコを生やせるんだ」
シルクハットの麗人の意図を察して、少年の顔が青ざめました。
「えっ。ちょっと。何をする気ですか。ちょっと待っ――ああっ！」
しかし、少年の上で腰を振る彼女の勢いは止まりません。その勢いで少年のお尻は小さなキノコに押し付けられ、そのままキノコがお尻の穴に入っていきます。今までに何度も男性客やおじさんの相手をさせられてきた少年のお尻は、本人の意思とは関係なくそれをあっさりと飲み込んでしまいました。シルクハットの麗人は少年の上で更に勢いよく腰を振り、少年のお尻はその勢いのままに小さくて硬いキノコにえぐられていきます。
「あっ。もっと硬くなってきた」
「ひぎっ。出る。出るうっ！」
調教された少年の身体は、今までよりもあっさりとマッチ棒を燃え上がらせてしまいました。シルクハットの麗人は少年を抱きしめた姿勢のまま、腰を密着させてお腹の中の感触を楽しむようにゆっくりと目を閉じます。
「すごい。さっきよりも、濃ゆい。多い。僕もイッちゃうっ！」
シルクハットの麗人も絶頂に達し、少年を抱きしめる腕の力を強め、気持ち良さそうに身体を震わせました。
次の日の寒い朝の事。家から出てきたお母さんが、塀のそばに黒いマッチ棒の燃えさしがたくさん落ちているのを見つけました。彼女はそれを見て不思議そうな顔をしながらも、特に気に留める事もなくゴミ箱に放り込み、子供達にクリスマスの美味しいごちそうを食べさせようと家の中に戻っていきます。
昨夜みすぼらしいマッチ売りの少女がそのマッチの火の向こうにどれだけ綺麗な物を見たのかという事、そして不思議なシルクハットの麗人と一緒に淫らで気持ちいい「なんでもない日」をお祝いしに行ったという事は、街の誰も知る事はありませんでした。
・編者あとがき
ジパングでは「遊郭」と呼ばれる娼館が数多く存在し、魔物娘が「遊女」と呼ばれる娼婦として働いていますが、中には反対に人間の男性が「陰間」と呼ばれる男娼として働く「陰間茶屋」と呼ばれる男娼館も存在しているそうです。
「遊女」が親密になった男性客に身請けされる事が多いのと同様に、「陰間」も魔物娘に身請けされる者も数多く存在しますが、中には男性客や「金剛」と呼ばれる男性の付き人と親密になり、アルプとなって身請けされていく者も少なくないそうです。
この「陰間茶屋」では「陰間」が客の相手をする時に線香に火をつけ、それが燃え尽きるまでの間相手をするというシステムを取っており、その話がこの童話に影響を与えたとも言われています。
ちなみに、この話を読んで自分も大人になったらジパングの「陰間茶屋」に行ってみたいと思ったえろい子のみなさん。実際の「陰間茶屋」の料金はとても高く、少なくともマッチ1本分なんて安い物ではないそうですよ。
「マッチはいかがですか。マッチを買ってくれませんか」
少女はマッチの入った小さな籠を手に、道行く人達に呼びかけます。
「お願いします。誰かマッチを買ってください。1本でもいいから」
ほとんど泣きそうになりながら大声で叫びますが、皆聞こえないふりをして通り過ぎていくばかりです。履いている靴はぶかぶかで、朝から降り続いている雪が足との隙間に容赦なく入ってきます。そうしているうちに辺りも暗くなり、ますます寒くなってきました。
「お母さん、今日の晩御飯は何？」
「今日はクリスマスイブだから、七面鳥よ」
「わーい、やったー」
少女の近くを小さな子供とその母親が楽しそうに話しながら通り過ぎます。
「いいなあ……」
少女がそう呟いた時、近くを大きな馬車が猛スピードで通りかかりました。
「どけどけ！ 跳ね飛ばすぞ！」
「わあ！」
慌てて逃げようとした少女は、雪の上に転んでしまいました。ぶかぶかだった靴は脱げ、雪に紛れて見えなくなってしまいます。
「どうしよう。靴はあれしか持っていないのに」
少女が手を冷たくしながら雪をかき分けていると、暖かそうなコートを着た子供達が片方の靴を拾って言いました。
「おい、なんか変なもの拾ったぞ」
子供達は靴をボールの代わりに投げて遊び始め、そのままどこかへと走り去ろうとします。
「待って！ その靴返して！」
少女は慌てて呼び止めようとしましたが、聞き入れてもらえませんでした。
それから、少女は冷たい雪の上を裸足で歩かなければなりませんでした。どこかから鳥の焼けるいい匂いが漂ってきます。それを嗅いでいると、少女のお腹がぐうと鳴りました。辺りを見回しても人影はもうありません。
少女は家に帰る事はできませんでした。物心つく前に両親を失った少女は優しいおばあさんの家で育てられていたのですが、そのおばあさんも病気で亡くなると、それまで顔も見た事のなかった親戚のおじさんの家に預けられたのでした。このおじさんはとても怖い人で、少女が銅貨の1枚も稼ぐことができずに帰ってきたとなれば間違いなく殴られます。いや、殴られるだけならまだいいでしょう。おじさんの機嫌が悪い時にはもっと嫌な事までされてしまうのです。
少女は冷たさで足が痛くなってしまい、とうとう塀に寄りかかるようにして座り込んでしまいました。容赦なく降り続ける雪を凌げる物もありません。
「1本だけ。ちょっと指先を温めるだけだから」
誰に言うまでもなく呟くと、少女は籠からマッチを1本取り出し、塀でこすって火を付けました。とても小さな火でしたが、冷え切った少女の手にはとても暖かく感じます。
すると、不思議なものが見えました。目の前に大きなストーブが現れたのです。
「うわあ」
少女は嬉しそうな声を上げながら、足を温めようとストーブの方に伸ばしました。その時、手に持ったマッチの火が消えたかと思うと、同時にストーブも消えてしまいました。
少女が慌てて新しいマッチを取り出して火をつけると、今度は暖かそうなスープと焼けた七面鳥が見えました。しかし、これも少女が手を伸ばすとマッチの火が消え、ごちそうも消えてしまいます。
もう1本火をつけると、今度は大きなクリスマスツリーが見えました。たくさんの温かそうなろうそくの火が灯っています。しかし、やっぱりマッチはすぐに消え、クリスマスツリーのろうそくも空へ浮かぶと、1つの流れ星になって消えていきました。
――いいかい、流れ星が空に消える時はね、亡くなった人の魂が天国へ昇っていく時なんだよ。
少女は優しかったおばあちゃんを思い出しました。
「おばあちゃん、会いたいよ……」
呟きながらもう1本マッチに火を付けます。すると、今度はそのおばあちゃんが現れました。少女に優しく微笑んで手を振っています。しかし、マッチの火が消えると、おばあちゃんの姿もすうっと溶けてなくなるように空へと消えていきました。
「待って！ 俺も連れて行って！」
少女は慌てて何本ものマッチを取り出すと、まとめて火を付けました。すると、今度は暖かい紅茶の入ったティーポットと、サンドイッチやお菓子の載ったティースタンドが見えました。少女はそれを寂しそうな目で見つめます。
（おいしそう。でも、あれもすぐに消えちゃうんだろうな……）
そして、やっぱりすぐにマッチの火は消えてしまいます。しかし、その時不思議な事が起こりました。そのティーポットとティースタンドだけは、さっきまで少女が見ていた物のように消えなかったのです。
「……え？」
少女は慌てて目をこすり、キョロキョロと辺りを見回しました。絵の具を乱暴にぶちまけたような色とりどりの木々が生えた森の中に、少女よりも大きいんじゃないかと思えるような赤や紫や黄緑と言った色とりどりのキノコが生えています。さっきまで確かに雪が降り積もる街の中にいたはずなのに、その様子はすっかり様変わりしていました。冷たい雪に覆われていた足元もふかふかの草に変わっています。
そしてそんな中で、燕尾服を着てシルクハットをかぶった凛々しい紳士が広いテーブルの上にティーセットを広げ、優雅にお茶を飲んでいました。
紳士は少女の姿に気付くと、目に楽しそうな笑みを浮かべて話しかけてきました。
「おや、随分とかわいいお客さんだね。どんな用事でここに来たのかな」
その言葉にはっとした少女は答えます。
「お願いします。マッチを買ってくれませんか」
「マッチ、ねぇ」
紳士は意味ありげに目くばせすると、少女に答えました。
「解った。貰おうか。ちょうどランプに火をつけるのにマッチが欲しかったところなんだ。ただ、お金の持ち合わせがなくてね。代わりにこのお茶とお菓子をお代替わりにしてもいいかな」
そう言うと紳士はテーブルの上に載ったたくさんのお菓子と温かい湯気を上げているティーポットを示しました。
「いいんですか？」
「ああ。ちょうど一緒にお茶をする相手も欲しかったんだ」
それから少女は紳士と一緒に思う存分お茶会を楽しみました。紅茶はとても暖かく、ティースタンドに乗せられたお茶菓子のジャムを挟んだサンドイッチやスコーン、パイやケーキはどれもとても甘く、さっきまで冷え切って弱っていた少女の身体もすっかり元気になっていきます。そんな少女の様子を、シルクハットの紳士は嬉しそうににこにこと眺めていました。
「さあ。もう腹ごしらえも済んだだろう。マッチを貰おうか」
「はい」
少女は顔を赤くしながら自分の短いスカートの裾をそっとつまみ、それをゆっくりと持ち上げます。その下に見えるお股には下着は無く、女の子には付いているはずのないマッチ棒がひくひくと頭を持ち上げていました。
実はこのマッチ売りの少女は、本当は少女ではなく少年でした。しかし彼を引き取る事になったおじさんは少年が女の子のように可愛らしい顔をしているのを見ると、少女の格好をさせて街の中で身体を売らせていたのです。手に持っているマッチの入った籠はもしお巡りさんに見つかってしまったときに、本物のマッチを売っているだけだと言い訳するために持たされていた物でした。
「ほう。これは実によく燃えそうなマッチ棒だ」
シルクハットの紳士は優雅な手つきで少年のマッチ棒をこすります。その動きは彼が今までに相手をしたどのお客よりも巧みなものでした。
「うっ、そんな。あっ、でるっ！」
たちまち少年のマッチ棒に火が付き、真っ白でねっとりとした炎が勢いよく上がりました。シルクハットの紳士はいつの間にか空いた方の手に持っていたティーカップで飛び出してきた精液を受け止めます。カップの中の紅茶がミルクティーになり、シルクハットの紳士は嬉しそうに、しかし上品さを忘れない動きで口を付けました。
「うーん。今まで飲んだ紅茶の中でいちばんおいしいよ」
シルクハットの紳士はじっくりと口の中で転がすようにしながら、エッチなミルクティーをじっくりと味わっていきます。その間にも少年のマッチ棒を握った手はそれをこするのを忘れません。マッチ棒はあっという間にさっきまでの硬さを取り戻しました。
「おいしいミルクティーを飲んでいたら、僕の身体も熱くなってきちゃったよ」
そう言うと、シルクハットの紳士は自分のズボンを脱ぎ始めました。この紳士は自分のマッチ棒を俺のとこすり合わせるつもりだろうか。それとも俺の尻に自分のマッチ棒をねじ込んでくるつもりだろうか。そんなことを考えてしまいます。しかし、シルクハットの紳士がズボンを一気に下ろすとそこにはマッチ棒は無く、お股とズボンの間にネットリとした糸を引いていました。
「女の人……？」
驚く少年をシルクハットの紳士――いや、男装の麗人は柔らかい草の上に押し倒して馬乗りになっていきます。
「そうさ。僕のお腹のランプが、君のマッチ棒で火をつけてほしくてさっきから待っているんだよ」
そう言うと、シルクハットの麗人はぬるぬるとしたよだれをたくさん垂らしているおマンコに少年のマッチ棒を当て、一気に腰を下ろしました。
「んっ」
「あああああっ！」
マッチ棒が温かい感触に締め付けられ、少年は思わず大きな声を上げました。彼は男性だけでなく女性の客にマッチ棒を売ったことも1度や2度ではありませんでしたが、今までのどの相手とも比べ物にならない心地よさです。
「あっ。すごっ。かたい」
シルクハットの麗人も気持ち良さそうにうっとりとした表情で勢いよく腰を上下させていきます。あまりの気持ちよさに何も考えられなくなっていた少年でしたが、甘く痺れるような感覚がぞくぞくと腰の辺りに湧き上がってくると、彼は慌てて叫びました。
「抜いてください。出ま……ああっ！」
「あっ。ドクドク言ってる」
少年は警告しようとしましたが、あまりの気持ちよさに途中でマッチが燃え上がってしまいました。シルクハットの麗人のお腹の中で、ビクビクと勢いよくマッチ棒が震えます。
しばらくしてシルクハットの麗人が腰を持ち上げると、すっかり燃えさしになったマッチ棒が抜け落ち、紅茶に注いだのと同じかそれ以上に濃ゆいミルクが大量に流れ落ちてきました。シルクハットの麗人はそれを嬉しそうに見下ろしましたが、少年は真っ青な顔で謝りました。
「ごめんなさい！」
今まで女性の客を取った時、少年がうっかり相手のおマンコの中に射精してしまうと、相手の女性客からこっぴどく殴られ、それがおじさんにばれるとおじさんからも「面倒ごとを起こしやがって！」と言って更に殴られていたのでした。
しかし、シルクハットの麗人はそんな今までの女性客とは違い、真っ青な顔で震えている少年を優しく抱きしめて言いました。
「どうして君が謝る必要があるんだい。僕が今いちばん飲みたかったものをお腹いっぱいに飲ませてくれたのに」
そして彼女はテーブルの上のティーポットとティーカップを手に取って紅茶を注いだかと思うと、その紅茶を口に含み、少年に口移しで飲ませました。少年が思わずその紅茶を飲み込むと、彼の身体がかっと熱くなり、燃えさしになっていたお股のマッチ棒が再び硬くなってきます。
「それに、むしろもっと中に出してくれないと困るんだよ。僕の子宮（ランプ）はなかなか火が付きにくくてね。新しい命の火が灯るまで、君のマッチを何度もこすってもらわないと」
そう言ってマッチ棒を見下ろすシルクハットの麗人の目は、少年が今までに相手をしたどのお客よりも欲に塗れた目をしていました。しかし、その目を見た少年の心には、怖いと思う気持ちは全くわいてきませんでした。
「そうだ。君に丁度いい椅子があったんだ」
そう言ってシルクハットの麗人はテーブルのそばに置かれた椅子のひとつを示しました。その椅子は大きなキノコの形をして――というより椅子のような大きさをしたキノコでした。
短いスカートだけでパンツを穿いていなかった少年がその上に座ると、ひんやりとして柔らかい感触がお尻の肌に直に触れます。シルクハットの麗人はそんな少年の上に向かい合う形で座るようにして、再びおマンコで少年のマッチ棒を飲み込んでいきました。
「ふふっ。2回も出したのにまだまだ元気だね」
そう言うとシルクハットの麗人は少年にぎゅっと抱き着き、腰を上下させていきます。燕尾服の上からでは見た目では解りにくかったのですが、服越しに感じる胸や腕の感触は確かに女の人のそれでした。
「こうしてみると、本当に、あっ、ちっちゃくて、かわいい。まるで女の子を犯して、いるみたい。それなのにこんな、凶悪なマッチ棒で、僕のナカをえぐってっ、んっ、僕を孕ませようとしてくれているなんて」
密着した相手のすっかり興奮した息遣いに、少年もますますドキドキしてきます。
その時、彼が座っているキノコの椅子に大きな変化が起こりました。お尻の所に何か冷たくて硬い物が当たっているのです。
「そのキノコは、んっ、僕が魔法で作った、特別製でね。僕の意思で好きな所に、小さな、キノコを生やせるんだ」
シルクハットの麗人の意図を察して、少年の顔が青ざめました。
「えっ。ちょっと。何をする気ですか。ちょっと待っ――ああっ！」
しかし、少年の上で腰を振る彼女の勢いは止まりません。その勢いで少年のお尻は小さなキノコに押し付けられ、そのままキノコがお尻の穴に入っていきます。今までに何度も男性客やおじさんの相手をさせられてきた少年のお尻は、本人の意思とは関係なくそれをあっさりと飲み込んでしまいました。シルクハットの麗人は少年の上で更に勢いよく腰を振り、少年のお尻はその勢いのままに小さくて硬いキノコにえぐられていきます。
「あっ。もっと硬くなってきた」
「ひぎっ。出る。出るうっ！」
調教された少年の身体は、今までよりもあっさりとマッチ棒を燃え上がらせてしまいました。シルクハットの麗人は少年を抱きしめた姿勢のまま、腰を密着させてお腹の中の感触を楽しむようにゆっくりと目を閉じます。
「すごい。さっきよりも、濃ゆい。多い。僕もイッちゃうっ！」
シルクハットの麗人も絶頂に達し、少年を抱きしめる腕の力を強め、気持ち良さそうに身体を震わせました。
次の日の寒い朝の事。家から出てきたお母さんが、塀のそばに黒いマッチ棒の燃えさしがたくさん落ちているのを見つけました。彼女はそれを見て不思議そうな顔をしながらも、特に気に留める事もなくゴミ箱に放り込み、子供達にクリスマスの美味しいごちそうを食べさせようと家の中に戻っていきます。
昨夜みすぼらしいマッチ売りの少女がそのマッチの火の向こうにどれだけ綺麗な物を見たのかという事、そして不思議なシルクハットの麗人と一緒に淫らで気持ちいい「なんでもない日」をお祝いしに行ったという事は、街の誰も知る事はありませんでした。
・編者あとがき
ジパングでは「遊郭」と呼ばれる娼館が数多く存在し、魔物娘が「遊女」と呼ばれる娼婦として働いていますが、中には反対に人間の男性が「陰間」と呼ばれる男娼として働く「陰間茶屋」と呼ばれる男娼館も存在しているそうです。
「遊女」が親密になった男性客に身請けされる事が多いのと同様に、「陰間」も魔物娘に身請けされる者も数多く存在しますが、中には男性客や「金剛」と呼ばれる男性の付き人と親密になり、アルプとなって身請けされていく者も少なくないそうです。
この「陰間茶屋」では「陰間」が客の相手をする時に線香に火をつけ、それが燃え尽きるまでの間相手をするというシステムを取っており、その話がこの童話に影響を与えたとも言われています。
ちなみに、この話を読んで自分も大人になったらジパングの「陰間茶屋」に行ってみたいと思ったえろい子のみなさん。実際の「陰間茶屋」の料金はとても高く、少なくともマッチ1本分なんて安い物ではないそうですよ。
18/06/09 15:04更新 / bean