少佐の復活
(バロン『ふぅ……良いなぁ』
少佐は基地の窓から見ていた。エースパイロットのベルリオットが魔物娘を連れ帰ってから色々変わってきた。まず空にハーピィやドラゴンを見かけるようになり、地上ではゴブリンやオーク、アルラウネなども見るようになった。部下から詳しく聞いたところ…残虐な魔物を率いる魔王が人間の勇者とサキュバスにより倒され、そのサキュバスが魔王となり、残虐な魔物を女性の姿に変えて魔物娘を誕生させたようだ。そして魔物娘は人間と結ばれるようになったらしい。この魔王を倒した勇者はサキュバスと結ばれて現在もズッコンバッコンしてるとか……。最初それをベルリオットが仲間から聞いたと言ってたが……よくこの内容を知ったものだ
(バロン『私も魔物娘と…イチャイチャしたいもんだ』
私は既に年は76だ…若い部下の精力には負けてしまうし魔物娘にも迷惑だろう。
(バロン『はは…あと少し若ければ本当の恋人はいるんだろうな』
少佐はつまらない顔をして格納庫へ行く。そしてそこに眠る機体に触った
(バロン『私の今の恋人はコイツかな?』
そうだ。新しく導入した最新鋭のVTOL機だ。あれから何度も反魔物派という組織が現れて小さな戦いになった事もあった。しかし戦いが小規模であり…度々使う戦闘機は急速に減り、ついに自警団のような組織ぐらいで済む程度になった…別の国も軍事国家だったが魔物娘が出てから軍事は棄てて全て魔物娘との平和な愛の生活の道に行って、もはや抑止力の軍事関係は使わないだろう。全てが良い方向へ向かっていく
(バロン『平和になって……悔しいな』
(?『何で平和になって悔しいのよ?』
振り向くとそこにアヌビスがいた。部下のベルリオットの妻のシェイとは違うアヌビスだ。目付きがシェイと比べたら少し穏やかに見えるが…やはり、つり目で美人だ
(バロン『ビックリしたなぁ〜…ワンちゃんだったか……私以外にいないと思ってたが…』
(アヌビス『ワンちゃんと言わないでよ。平和で何がそんなに悔しいのよ?』
少佐は機体を触る。
(バロン『私は元パイロットだったんだ。昔…空を飛び、敵機を撃墜したり敵地の破壊なども全てこなした。言わば空の戦士だったんだ…』
(アヌビス『ふ〜ん……分かった!。貴方は平和になって、その鳥に乗れなくなったから悔しいんでしょ?』
やはりシェイとは言葉使いが違うな。
(バロン『そうだ……使う必要がなくなって結局私の夢を果たせなくなってなぁ……それに部下は君みたいな魔物娘と結ばれて羨ましいのもある。しかし私も年だし……恋人の代わりはコイツしかいないのさ』
(アヌビス『悲しい事いう人ね。まだ大丈夫じゃない!。見た感じ後人間のままなら20年位、インキュバス化すれば若くなるチャンスなのに…』
(バロン『…インキュバス?なんだそれは……。まあいいや………君は何故こんな私以外いない基地に何の用でいるんだ?。』
(アヌビス『私は友達が空の勇者と結婚したから、気になって空の勇者が乗ってた鳥を見ようと来たのよ。退屈な遺跡から出て気楽に見学ね』
(バロン『成る程…多分ベルリオットの事だな。あいつも君みたいなワンちゃんと結ばれて居候のマミーとクイズ出す猫と暮らしたな。やはり噂は広まってたんだな…』
(アヌビス『何故マミーだけ、正式名でちゃんと言えるのよ…まあいいわ。そう…あの噂は凄く羨ましかった。遺跡を壊した鳥(爆撃機)を操る悪人を落として皆を守った勇者。勿論悪人は皆誰かさんにお持ち帰りされたみたいだけど』
(バロン『あいつと私とは正反対だな。私は………ゴーストだし悪人だな』
(アヌビス『ゴースト?』
(バロン『あぁ…私の名はバロンというのだが、タッグネーム……つまり呼び名はGhostというんだ。ゴーストの様にスッと消える存在という意味でな』
(アヌビス『…それよりも貴方もこの鳥(戦闘機)を操れる勇者なんでしょ?。私も飛びたいから乗せてくれる?』
(バロン『私は勇者ではないが………整備はしてるし大丈夫か。まあ久々の訓練って事にして乗ってみるかな?。それと…これは鳥じゃなくて戦闘機だぞ』
そしてしばらくしてから機体に乗って起動し、ヘルメットとマスクをアヌビスに着けてあげる。この機体は車みたいに助手席があるタイプの戦闘機で会話がしやすい
(アヌビス『ねえ、このヘルムや、マスクは何の為?。』
(バロン『ヘルメットと言わぬか。まあ頭ぶつけて気絶はイカンからな。サングラスも通信機もついてて便利な物だ。あと酸素を送るマスクは外したら結構息が出来ないぞ。』
そこで格納庫から機体は滑走路に出る。しかしその場でVTOLにして宙に浮いていく
(アヌビス『わ、その場で浮いた!』
(バロン『VTOL状態にしたんだ。このまま、ゆっくり前後左右進む事も出来るぞ。さて、アフターバーナーでも噴かすかな?』
少佐はアフターバーナーを噴かすと一気に激しいスピードがかかった。アヌビスは驚いたが地上を見ている。
(バロン『どうだ?。空を飛んでる気分は』
(アヌビス『凄い良いわ!。魔法なんかより安定してて。地上見えるけど綺麗……』
アヌビスは、うっとりしている。地上は綺麗な緑と水の青色により、宝石のような美しさだ
その時!
無線機から声が途切れ途切れ聞こえてきた!。
(?『…ガガ……我………反ガガ………領……ガ………』
(アヌビス『これは何?。ねえバロン…分かる?』
(バロン『ラジオ番組か何かを受信したかな?。とりあえず周波数を今変える。どれどれ…』
周波数を近くすると…
(?『ガガ…繰り返す……我々は反魔物派だ。今我々はミサイル基地を占領した!。ここにはまだ解体されていないミサイルがある。下手な行動はやめて、速やかに親魔物派と魔物は降伏せよ。さもなければ君ら親魔物派の首都に巨大ミサイルを落とす!』
(アヌビス『えぇ!?。何コイツら……巨大ミサイルって何!?。自信満々で言ってるから凄いものなの!?』
少佐は前回の爆撃機B2強奪事件を思い出す。反魔物派か…
(バロン『何て事だ………反魔物派がとんでもない物を手に入れるとは!。うむ、全て吹っ飛ぶ恐ろしいもんで…非常にまずいな。平和になった矢先にこれは……ミサイル基地は……確か…』
そうだ。平和になってから核ミサイルではないが、敵国などを恐れさせる抑止力の為に作った炸裂式の巨大ミサイルは解体されつつあった。一つあれば首都が軽く破壊出来る威力だ。記憶が正しければ20本中17本は解体されたはずだった。しかし費用がかかった為に延期してたのだが……
(バロン『偶々戦闘機に乗ったお陰で間に合うかもしれんなワンちゃん。これから一回近くの中継基地に着陸して燃料補給したらミサイル基地を破壊に向かうから歯を食いしばれ』
(アヌビス『わ、分かった……』
アフターバーナーを全開にしてミサイル基地の近くにある中継基地に向かう。
(反魔物派『我々が待つ時間は1時間だ。その間に君達の答えを聞こう。我々は人を食らう魔物達は全て排除したいが、我々は寛大でな…降伏して人間界から魔物は全て撤退するかミサイルで親魔物派と共に消滅するか…どちらかを選ぶがよい』
(バロン『違う…部下からは魔王が倒されたから魔物が魔物娘に変わり…人を愛せるようになったと聞いた……こいつら勘違いしてるな。寛大でもなんでもない』
(アヌビス『そうなの…人を食らうのは大昔で一部の奴だけ。反魔物派はそれを知らないのね……今は人を愛する種族なのに』
(バロン『まあ…もしかしたらデマか宗教的な何かで吹き込まれてそう信じてるのかもな。』
なんとか中継基地に素早くつき、ギア(車輪)を出して少々乱暴な感じで滑走路に着陸する。そのまま格納庫付近の燃料を入れる場所にうまく操縦する
(バロン『ワンちゃんは乗っててくれ!』
少佐は燃料補給のトラックを探すが見当たらず、燃料スタンドから直接ノズルを伸ばして燃料を入れる。どうやら基地は無人だったが何かあった時や災害用の為に特殊武器、燃料や食糧は沢山残してあったようだ。その時にアヌビスが降りてきて、ノズルを代わりに持った。
(バロン『ワンちゃん乗ってろと言ったのに』
(アヌビス『ワンちゃん言わないでよ!。これくらい私も出来るわ!。それより武器とか必要なんじゃないの?』
少佐は気がついた。確かにバルカンの弾はあるが肝心の対地ミサイルなどは積んでいない…。忙しく武器庫に走る少佐はタランチュラミサイルを持っていこうとした……しかし息が上がってしまう。
(バロン『はぁ……はぁ…ひぃ……ゴホッ!ゴホッ!…私もやはり年か…。』
タンクは見当たらず困った。あれがあれば一つで相当燃料が入るのだが……仕方がなくミサイルが打ち上げられた、もしもの為のサイドワインダーミサイル、スパローミサイルも上手く台車に乗せて運ぶ。その途端昔の記憶が甦った…
機体整備士だった頃に、空襲にあってパイロットが僅かしかいなく、浅い知識だけで代わりに戦闘機に乗る事になり、慣れない手付きで敵機撃墜や敵基地を強襲したりした記憶。上層部は驚いて整備士から一気にパイロットになり、エースパイロットとなってついに少佐になった記憶が頭に再生された。
そして機体の翼の裏にミサイルをアヌビスと一緒に取り付けて確認をする。燃料、バルカンの弾を全て満タンにし、ミサイルを搭載。あとは…離陸のみ。少佐は腕時計を見ると残りが30分になっていて、急いで少佐はコクピットに乗ろうとしたらアヌビスも乗ろうとする。
(バロン『ワンちゃんは、スマンがお留守番だ』
(ルミナ『いい加減ワンちゃん言わないでよ!。私はルミナと名があるわ!。私も行く!』
(バロン『しかし……危険だぞ?』
(ルミナ『構わないわ……バロンが気に入ったから、とことん付き合うわ』
ルミナがコクピットに入ってきた。少佐は何故か胸がドキドキして、まさかこの年になって強気な女性が気になるとは…思わなかった。よく見ると美しい髪に自分好みの釣り目に赤い瞳…褐色肌がとても…おっと!。それどころではない
(バロン『ルミナ…もし対空砲火台があったら撃墜される可能性があるかもしれんが本当に大丈夫なんだな?』
(ルミナ『ふぅ…さっき言ったじゃない。バロンが気に入ったと……。とことん付いていくと言ったわよ』
機体を浮かせてミサイル基地へ向かう。
(ルミナ『ねえ、そういえば先程のバロンの夢を実現がという話は何?』
(バロン『……私は昔に戦闘機で沢山敵を倒したんだ。悪人なのは間違いない……だからその逆で皆を戦闘機で守りたい夢を叶えたかったんだ。』
(ルミナ『実現出来るはずよ!。だから諦めないで…ねえバロン、この事件が終わったら何処かに行かない?』
返事をしようとしたら、沢山のハーピィやドラゴンが急いでミサイル基地へ飛んで金属の爪や鎧を着けているのが見えた。最新鋭の戦闘機ではなかったら追い抜かれるくらい速いが、それでも間に合わないだろう。私が何とかせねば……
それから降伏しない親魔物派達に巨大ミサイル発射の準備をする奴らは気がついた
(反魔物派1『7のレーダーに何か一瞬だけ映ったぞ!。これは戦闘機!?』
(反魔物派2『んな馬鹿な……平和ボケした奴らだし、調べたが全基地には誰もいない。もはや戦闘機は使われないはずだ。気のせいだろ』
(反魔物派1『しかし……確かにレーダーに点が………』
(反魔物派2『きっと鎧とか着けた魔物とかそんなのだろ?。気にすんなよ…破壊なんか出来やしないって』
(反魔物派3『そういえば、さっき何か無線から聞こえたぞ?。女の話し声かな?。先程…この事件が終わったら何処かに行かない?とか聞こえたが……』
(反魔物派1『……間違いない……戦闘機か爆撃機だ!!。どうしてその無線の内容を話さなかった!。くそ!!。相手にとって非常事態なのにそんな呑気な話出来るのは、ミサイル基地を破壊出来る機体に乗った奴くらいだ!!』
(反魔物派2『え…?』
少佐は基地の窓から見ていた。エースパイロットのベルリオットが魔物娘を連れ帰ってから色々変わってきた。まず空にハーピィやドラゴンを見かけるようになり、地上ではゴブリンやオーク、アルラウネなども見るようになった。部下から詳しく聞いたところ…残虐な魔物を率いる魔王が人間の勇者とサキュバスにより倒され、そのサキュバスが魔王となり、残虐な魔物を女性の姿に変えて魔物娘を誕生させたようだ。そして魔物娘は人間と結ばれるようになったらしい。この魔王を倒した勇者はサキュバスと結ばれて現在もズッコンバッコンしてるとか……。最初それをベルリオットが仲間から聞いたと言ってたが……よくこの内容を知ったものだ
(バロン『私も魔物娘と…イチャイチャしたいもんだ』
私は既に年は76だ…若い部下の精力には負けてしまうし魔物娘にも迷惑だろう。
(バロン『はは…あと少し若ければ本当の恋人はいるんだろうな』
少佐はつまらない顔をして格納庫へ行く。そしてそこに眠る機体に触った
(バロン『私の今の恋人はコイツかな?』
そうだ。新しく導入した最新鋭のVTOL機だ。あれから何度も反魔物派という組織が現れて小さな戦いになった事もあった。しかし戦いが小規模であり…度々使う戦闘機は急速に減り、ついに自警団のような組織ぐらいで済む程度になった…別の国も軍事国家だったが魔物娘が出てから軍事は棄てて全て魔物娘との平和な愛の生活の道に行って、もはや抑止力の軍事関係は使わないだろう。全てが良い方向へ向かっていく
(バロン『平和になって……悔しいな』
(?『何で平和になって悔しいのよ?』
振り向くとそこにアヌビスがいた。部下のベルリオットの妻のシェイとは違うアヌビスだ。目付きがシェイと比べたら少し穏やかに見えるが…やはり、つり目で美人だ
(バロン『ビックリしたなぁ〜…ワンちゃんだったか……私以外にいないと思ってたが…』
(アヌビス『ワンちゃんと言わないでよ。平和で何がそんなに悔しいのよ?』
少佐は機体を触る。
(バロン『私は元パイロットだったんだ。昔…空を飛び、敵機を撃墜したり敵地の破壊なども全てこなした。言わば空の戦士だったんだ…』
(アヌビス『ふ〜ん……分かった!。貴方は平和になって、その鳥に乗れなくなったから悔しいんでしょ?』
やはりシェイとは言葉使いが違うな。
(バロン『そうだ……使う必要がなくなって結局私の夢を果たせなくなってなぁ……それに部下は君みたいな魔物娘と結ばれて羨ましいのもある。しかし私も年だし……恋人の代わりはコイツしかいないのさ』
(アヌビス『悲しい事いう人ね。まだ大丈夫じゃない!。見た感じ後人間のままなら20年位、インキュバス化すれば若くなるチャンスなのに…』
(バロン『…インキュバス?なんだそれは……。まあいいや………君は何故こんな私以外いない基地に何の用でいるんだ?。』
(アヌビス『私は友達が空の勇者と結婚したから、気になって空の勇者が乗ってた鳥を見ようと来たのよ。退屈な遺跡から出て気楽に見学ね』
(バロン『成る程…多分ベルリオットの事だな。あいつも君みたいなワンちゃんと結ばれて居候のマミーとクイズ出す猫と暮らしたな。やはり噂は広まってたんだな…』
(アヌビス『何故マミーだけ、正式名でちゃんと言えるのよ…まあいいわ。そう…あの噂は凄く羨ましかった。遺跡を壊した鳥(爆撃機)を操る悪人を落として皆を守った勇者。勿論悪人は皆誰かさんにお持ち帰りされたみたいだけど』
(バロン『あいつと私とは正反対だな。私は………ゴーストだし悪人だな』
(アヌビス『ゴースト?』
(バロン『あぁ…私の名はバロンというのだが、タッグネーム……つまり呼び名はGhostというんだ。ゴーストの様にスッと消える存在という意味でな』
(アヌビス『…それよりも貴方もこの鳥(戦闘機)を操れる勇者なんでしょ?。私も飛びたいから乗せてくれる?』
(バロン『私は勇者ではないが………整備はしてるし大丈夫か。まあ久々の訓練って事にして乗ってみるかな?。それと…これは鳥じゃなくて戦闘機だぞ』
そしてしばらくしてから機体に乗って起動し、ヘルメットとマスクをアヌビスに着けてあげる。この機体は車みたいに助手席があるタイプの戦闘機で会話がしやすい
(アヌビス『ねえ、このヘルムや、マスクは何の為?。』
(バロン『ヘルメットと言わぬか。まあ頭ぶつけて気絶はイカンからな。サングラスも通信機もついてて便利な物だ。あと酸素を送るマスクは外したら結構息が出来ないぞ。』
そこで格納庫から機体は滑走路に出る。しかしその場でVTOLにして宙に浮いていく
(アヌビス『わ、その場で浮いた!』
(バロン『VTOL状態にしたんだ。このまま、ゆっくり前後左右進む事も出来るぞ。さて、アフターバーナーでも噴かすかな?』
少佐はアフターバーナーを噴かすと一気に激しいスピードがかかった。アヌビスは驚いたが地上を見ている。
(バロン『どうだ?。空を飛んでる気分は』
(アヌビス『凄い良いわ!。魔法なんかより安定してて。地上見えるけど綺麗……』
アヌビスは、うっとりしている。地上は綺麗な緑と水の青色により、宝石のような美しさだ
その時!
無線機から声が途切れ途切れ聞こえてきた!。
(?『…ガガ……我………反ガガ………領……ガ………』
(アヌビス『これは何?。ねえバロン…分かる?』
(バロン『ラジオ番組か何かを受信したかな?。とりあえず周波数を今変える。どれどれ…』
周波数を近くすると…
(?『ガガ…繰り返す……我々は反魔物派だ。今我々はミサイル基地を占領した!。ここにはまだ解体されていないミサイルがある。下手な行動はやめて、速やかに親魔物派と魔物は降伏せよ。さもなければ君ら親魔物派の首都に巨大ミサイルを落とす!』
(アヌビス『えぇ!?。何コイツら……巨大ミサイルって何!?。自信満々で言ってるから凄いものなの!?』
少佐は前回の爆撃機B2強奪事件を思い出す。反魔物派か…
(バロン『何て事だ………反魔物派がとんでもない物を手に入れるとは!。うむ、全て吹っ飛ぶ恐ろしいもんで…非常にまずいな。平和になった矢先にこれは……ミサイル基地は……確か…』
そうだ。平和になってから核ミサイルではないが、敵国などを恐れさせる抑止力の為に作った炸裂式の巨大ミサイルは解体されつつあった。一つあれば首都が軽く破壊出来る威力だ。記憶が正しければ20本中17本は解体されたはずだった。しかし費用がかかった為に延期してたのだが……
(バロン『偶々戦闘機に乗ったお陰で間に合うかもしれんなワンちゃん。これから一回近くの中継基地に着陸して燃料補給したらミサイル基地を破壊に向かうから歯を食いしばれ』
(アヌビス『わ、分かった……』
アフターバーナーを全開にしてミサイル基地の近くにある中継基地に向かう。
(反魔物派『我々が待つ時間は1時間だ。その間に君達の答えを聞こう。我々は人を食らう魔物達は全て排除したいが、我々は寛大でな…降伏して人間界から魔物は全て撤退するかミサイルで親魔物派と共に消滅するか…どちらかを選ぶがよい』
(バロン『違う…部下からは魔王が倒されたから魔物が魔物娘に変わり…人を愛せるようになったと聞いた……こいつら勘違いしてるな。寛大でもなんでもない』
(アヌビス『そうなの…人を食らうのは大昔で一部の奴だけ。反魔物派はそれを知らないのね……今は人を愛する種族なのに』
(バロン『まあ…もしかしたらデマか宗教的な何かで吹き込まれてそう信じてるのかもな。』
なんとか中継基地に素早くつき、ギア(車輪)を出して少々乱暴な感じで滑走路に着陸する。そのまま格納庫付近の燃料を入れる場所にうまく操縦する
(バロン『ワンちゃんは乗っててくれ!』
少佐は燃料補給のトラックを探すが見当たらず、燃料スタンドから直接ノズルを伸ばして燃料を入れる。どうやら基地は無人だったが何かあった時や災害用の為に特殊武器、燃料や食糧は沢山残してあったようだ。その時にアヌビスが降りてきて、ノズルを代わりに持った。
(バロン『ワンちゃん乗ってろと言ったのに』
(アヌビス『ワンちゃん言わないでよ!。これくらい私も出来るわ!。それより武器とか必要なんじゃないの?』
少佐は気がついた。確かにバルカンの弾はあるが肝心の対地ミサイルなどは積んでいない…。忙しく武器庫に走る少佐はタランチュラミサイルを持っていこうとした……しかし息が上がってしまう。
(バロン『はぁ……はぁ…ひぃ……ゴホッ!ゴホッ!…私もやはり年か…。』
タンクは見当たらず困った。あれがあれば一つで相当燃料が入るのだが……仕方がなくミサイルが打ち上げられた、もしもの為のサイドワインダーミサイル、スパローミサイルも上手く台車に乗せて運ぶ。その途端昔の記憶が甦った…
機体整備士だった頃に、空襲にあってパイロットが僅かしかいなく、浅い知識だけで代わりに戦闘機に乗る事になり、慣れない手付きで敵機撃墜や敵基地を強襲したりした記憶。上層部は驚いて整備士から一気にパイロットになり、エースパイロットとなってついに少佐になった記憶が頭に再生された。
そして機体の翼の裏にミサイルをアヌビスと一緒に取り付けて確認をする。燃料、バルカンの弾を全て満タンにし、ミサイルを搭載。あとは…離陸のみ。少佐は腕時計を見ると残りが30分になっていて、急いで少佐はコクピットに乗ろうとしたらアヌビスも乗ろうとする。
(バロン『ワンちゃんは、スマンがお留守番だ』
(ルミナ『いい加減ワンちゃん言わないでよ!。私はルミナと名があるわ!。私も行く!』
(バロン『しかし……危険だぞ?』
(ルミナ『構わないわ……バロンが気に入ったから、とことん付き合うわ』
ルミナがコクピットに入ってきた。少佐は何故か胸がドキドキして、まさかこの年になって強気な女性が気になるとは…思わなかった。よく見ると美しい髪に自分好みの釣り目に赤い瞳…褐色肌がとても…おっと!。それどころではない
(バロン『ルミナ…もし対空砲火台があったら撃墜される可能性があるかもしれんが本当に大丈夫なんだな?』
(ルミナ『ふぅ…さっき言ったじゃない。バロンが気に入ったと……。とことん付いていくと言ったわよ』
機体を浮かせてミサイル基地へ向かう。
(ルミナ『ねえ、そういえば先程のバロンの夢を実現がという話は何?』
(バロン『……私は昔に戦闘機で沢山敵を倒したんだ。悪人なのは間違いない……だからその逆で皆を戦闘機で守りたい夢を叶えたかったんだ。』
(ルミナ『実現出来るはずよ!。だから諦めないで…ねえバロン、この事件が終わったら何処かに行かない?』
返事をしようとしたら、沢山のハーピィやドラゴンが急いでミサイル基地へ飛んで金属の爪や鎧を着けているのが見えた。最新鋭の戦闘機ではなかったら追い抜かれるくらい速いが、それでも間に合わないだろう。私が何とかせねば……
それから降伏しない親魔物派達に巨大ミサイル発射の準備をする奴らは気がついた
(反魔物派1『7のレーダーに何か一瞬だけ映ったぞ!。これは戦闘機!?』
(反魔物派2『んな馬鹿な……平和ボケした奴らだし、調べたが全基地には誰もいない。もはや戦闘機は使われないはずだ。気のせいだろ』
(反魔物派1『しかし……確かにレーダーに点が………』
(反魔物派2『きっと鎧とか着けた魔物とかそんなのだろ?。気にすんなよ…破壊なんか出来やしないって』
(反魔物派3『そういえば、さっき何か無線から聞こえたぞ?。女の話し声かな?。先程…この事件が終わったら何処かに行かない?とか聞こえたが……』
(反魔物派1『……間違いない……戦闘機か爆撃機だ!!。どうしてその無線の内容を話さなかった!。くそ!!。相手にとって非常事態なのにそんな呑気な話出来るのは、ミサイル基地を破壊出来る機体に乗った奴くらいだ!!』
(反魔物派2『え…?』
12/02/21 08:46更新 / サイジョー
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