連載小説
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後編
一ヶ月後。

私とオルディアの関係は村中が公認する仲となっていた。
いつからどのような経緯で、こうなったのか全く分からない。
きっかけらしいきっかけも見当が付かないからである。
ただ言えるのはオルディアは私が何処へ行くのにも伴侶の様に付き従っていた事くらいである。彼女自身は常に監視と言って付いてきていた。その影響だろう。本日もストックの切れた薬草を見つける為、私はオルディアと一緒に村から非常に離れた森にやってきた。

「やっと見つけたわ、オウガ=レイズ」

女性の声が聞こえ、私は声の方向に視線を移す。
そこには容姿の整った背中まで長い銀髪の女性がいた。彼女はビスチェとロングスカート組み合わせた様なドレスを身に纏い、膝を隠すほど長いブーツを着用している。またその上からはケープの様なものを羽織っている。

「シヴァさん…」

私に声をかけたのは光の教団の幹部の一人。
氷を操る魔導師シヴァ=サクティス。

「何故、教団を抜けたのかしら?」
「教団の…やり方に疑問を抱いたからです」
「疑問?」

アイスブルーの瞳でシヴァさんは私を見つめる。
その瞳は氷の様に鋭く、そして冷たい。

「“彼女達”は本当に悪なのか…」

“彼女達”という思ってもみない声にシヴァさんはピクリッと反応した。

「彼女達の姿形は私達と何も変わりません、ただ“魔物”というだけで“彼女達”はどうして忌み嫌われなければならないのでしょうか?」
「“魔物”は人類の天敵よ?危険な存在よ」
「それは昔の事ではないのでしょうか?今の“彼女達”には心があります」
「オウガ…貴方は魔物に祖国を滅ぼされたはずでしょう?何故“魔物”を庇うのだ?」
「確かに私は祖国を滅ぼされましたが彼女達ではありません」
「ならば致し方ない、アイカ」
「はい」

アイカと呼ばれた女騎士がシヴァさんの隣に来る。

「オウガを魔物の手から解放するのよ、手段は問わない」
「分かりました」

アイカと呼ばれた女騎士は私に向き直る。
刹那、腹部に鈍い痛みが走る。

「うぐっ」

一瞬で間合いを詰めた彼女が私を強打した。
そのまま私の意識は飛び、彼女の肩に、もたれ掛かる格好となった。




「貴様!」
「あら?誰かと思ったら、あの時のドラゴン…」
「オウガをどうするつもりだ!」
「彼には光の教団に戻ってもらうわ」
「無理に決まっている!そいつは…」
「今の会話で充分、理解したわ」

私が次の言葉を投げ掛ける前に氷の魔導師が言った。

「なら…」
「無理ね…彼は必ず教団の一員になる」
「どうやって…」

氷の魔導師は不敵に笑う。
その顔を見た瞬間、私の背筋は冷たくなった。

「(教団に連れて行かせはしない…絶対に護る!)」

戦闘態勢に入った私は両翼を広げると先手を打った。
目標は教団を統率する氷の女魔導師シヴァ=サクティス。

「(護衛の女騎士はオウガを担いでいるから手は出せない)」
「愚かな…」
「(見た所、腕が立つのは女騎士と女魔導師だろう…部隊を率いるリーダーは部隊の要…それを失えば統制を失った部隊の兵士達は逃げる)」

私は手加減無用で氷の魔導師シヴァ=サクティスに攻撃を仕掛けた。

「加減は出来ない…全力で防御するんだな!『ドラゴンクロー』」

私は自分の爪に魔力を集め、シヴァ=サクティスを直接狙った。
これは私達ドラゴン種族の殆どが使う爪に魔力を込める基本の技。
魔力を込める量により、その威力は当然の事ながら増加する。
しかし、私の爪は彼女の周囲に展開された物理魔法障壁に阻まれた。

「っ!?」
「私の部下達を甘く見ないでもらえる?『フリーズ』」

無詠唱呪文によって放たれた冷気の塊が私の腹部を容赦なく叩く。

「うぐっ、なら…これで!」

私は距離を取ると大きく息を吸い込み、口を開ける。

「『ドラゴンハウル』」

それはまさにドラゴンの咆哮。
私は、それを魔力に変換して放った。

「くぅっ!?」

するとシヴァ=サクティスの周りに展開されていた物理魔法障壁が破れた。
そのまま彼女は私の放った『ドラゴンハウル』をその身に受ける。
威力は“以前”に劣るが、この咆哮は物理・魔法障壁を打ち破る効果がある。
当然の事ながらドラゴン種族は扱える。

「(あの時より威力が増している…!?)」
「耐えたみたいだな」
「(ふふっ、面白い)」

威力を抑えたとはいえ、氷の魔道師にはダメージが見受けられない。
しかし、得るものは非常に大きかった。

「(オウガの為に戦うと力が溢れてくる)」

人間は何か大切なものを護る時に信じられない力を発揮すると聞いた。
その感覚だろうか?私の身体が、心が、不思議な力に後押しされる。

「アイカ」
「はい、シヴァ様」
「他の者達を下がらせなさい」
「まさか“あのお姿”で戦うつもりですか?」
「ええ…“この姿”もいいけど今、あのドラゴンに対抗するには“あの姿”が一番よ」
「ですが“あの姿”はまだ…」
「大丈夫よ、本来の目的は達成した…あとはオウガを支部から本部に連れて帰るだけだから」
「分かりました…でも、あまり無理はなさらないでくださいね?」
「ありがとう、アイカには部隊の配置の準備を任せるわ」
「はい…光の神のご加護があらんことを…」




そういってオウガを肩に担いだアイカは私の傍を離れた。

「(“あの姿”は消耗が激しいから長時間は無理…そもそも私向きではない…“あの姿”は、ただの保険だから)」

私は自分の周囲に展開した障壁を解除する。
その行動にドラゴンは驚き、様子を見る為、身構える。

「『契約により我に従え、氷の精霊よ』」

私の周りに氷の魔力が集まり、やがてそれは大きな渦となり、私を包み込む。
私はそれを掌に収束させ、文字通り、魔力を“身体の内側”に取り込んだ。

「(やっぱり…きついわね)」

内側に取り込んだ氷の魔力が私の全身を駆け巡る。

「シヴァ=サクティス、近接型(アサルトモード)」
「(魔導師が戦士にクラスチェンジ?)」




見れば先程のビスチェとロングスカートを組み合わせた様なドレスではない。
胸を覆う胸当て、腰はスカートの様な防具で太股まで覆われており、膝まで長かったブーツは脛を覆うほどになっている。

「これが私の近接型モード『氷帝の鎧』よ」

彼女の周りには凍てつくような氷の魔力が渦巻いている。
また右手には魔導師が使う杖ではなく、主に前衛が持つ剣が握られていた。

「驚いたかしら?」
「最近の教団は魔導戦士になるのか?」
「魔導戦士?」

問いかけられたシヴァ=サクティスは笑う。

「“魔導戦士”良い響きね…お前達にしては上出来よ」

シヴァは皮肉を込めて言った。

「私に接近戦を挑むか?」
「不本意だけど仕方ないわ」
「いいだろう…受けて立つ」

彼女は強く踏み込むと氷の剣を振るう。
私は近付いてきた彼女の剣を爪で受け取める。
しかし、受け止めた剣身から冷気が流れる。

「っ!?」

いちはやく、それに気付いた私は、その場を離れた。

「良く気付いたわね、この剣の特性に」
「触れたものを徐々に凍らせる氷の魔剣『ミストルディン』」
「正解、理解したかしら?行くわよ」

再び接近戦を挑んで来た。私は剣身に触れないよう斬撃をかわす。
さいわい魔導師と言う事もあって足の運びは遅い…が、それを補う氷の魔剣が厄介である。“触れたものを徐々に凍らせる”は極めて危険だ。
しかし、あの氷の魔剣にも弱点はある。
それは常に熱を帯びている炎の魔剣『レイヴァティン』。
だけど私は持っていない…爪に炎熱魔力を込めて戦うしかない。

「仕掛ける」

だが突如、私の足元に魔法陣が現れた。

「これは!?」
「間に合った様ね…アイカ」
「はい、稼働時間内に展開できました」
「ありがとう」

すると徐々にシヴァの姿が魔導師に戻っていく。
当然、服装はビスチェとロングスカートを組み合わせた姿となり、膝まで覆うブーツを履き、手には剣では無く杖が握られていた。

「やっぱり、この姿が落ち着くわね」
「どう言う事だ?」
「私は“ただの足止めに過ぎなかった”って事…お蔭で時間が稼げたわ」

周りを見ればいつ配備されたのか分からない魔導師が複数。

「“あの姿”では、その術が出来ないから手伝って貰ったのよ…悪いわね」
「くっ…この…」
「『凍てつく氷の嵐よ かの者の動きを封じよ』」

すると展開された魔法陣から次々と“氷の鎖”が出現する。
それは徐々に私の四肢や尻尾を捕縛し、身動きをとれなくする。
雁字搦めにされた私が唯一動かす事が出来る場所は顔のみだった。

「くっ」
「無駄な事…ドラゴンの腕力でも、その鎖は絶対に破れないわ」

私は何度も氷の鎖を引き千切る事を試みるが全く動かない。

「『凍える吹雪よ 氷の魔弾となり かの者を討て』」

シヴァは掌に氷の魔力を収束し始め、詠唱を開始した。

「威力は抑えてあるわ、だから…おやすみなさい」

次の瞬間、巨大な氷の魔弾が放たれた。
魔弾は一直線に私の許へ、そして…。

「がっ」

動きを封じられている私は直撃を受けた。

「(オウ……ガ……)」

遠のく意識の中、どんな時でも私の身体を第一に考えてくれたオウガの優しい笑顔を思い浮かべた。

「(必ず……助け……る……から……)」

そのまま私の意識はシャットダウンした。









「(はっ!?)」

私は目を覚ました。
どれくらい気を失っていたのか分からない。
ただ嗅覚から伝わる愛しい人の香りだけが分かった。

「(オウガの寝室?)」

それだけが、すぐに分かった。
何故そう思ったのか…答えは単純だ、私が彼を“愛した”から。
それが現魔王の影響で今の姿となった私の本質的なもの。

「(それよりも…)」

気になるのは一体誰が私をここまで運んで来てくれたのかである。
先の戦闘で私とオウガ、教団の気配以外は全く感じられなかった。
そもそも私が、あの場所で戦闘を行なっていたこと事態、誰も知らない。
その時、寝室のドアが開いた。

「気が付いたようね」

入って来たのはパン屋を経営する夫妻。
サキュバスの妻レナと、その夫エルドだった。
二人はパン屋の服装をしているがレナだけは違う。
彼女はサキュバス達が好んで着る露出度が非常に高い恰好をしている。

「パンを持って来たわ」
「俺達のパンは魔法のパンだから元気になるぞ」
「変なものが入っているんじゃないか?例えば強精剤とか…」
「失礼ね!ちゃーんと病人に必要な栄養が詰まっているわよ」
「それは済まなかった…ありがたく頂こう」

私はレナからパンを受け取る。
芳ばしいパンの甘い香りが私の嗅覚をくすぐる。

「焼き立てだから美味しいわよ」
「代金は?」
「前にも言ったでしょ?いらないわ」
「村の皆に美味しく食べてもらって皆が笑顔になれば、それが俺たち魔法のパン屋の代金さ」
「そうだったな」

私はパンを口にする。

「美味いな」
「真心を込めて作ったからね」

私はパンを食べる。

「けどびっくりしたわよ」
「なにがだ?」
「森の中で貴女が倒れていた時よ」

そこで私は重大な事に気付いた。

「オウガ!」
「ち、ちょっと…どうしたのよ」
「オウガを…オウガを助けないと!」
「その身体では無理よ」
「無理なものか!こうしている間にもあいつは!」

再びドアが開く。そこには一ヵ月前に、この村を訪れた二人の男女。
一人は少し長めの茶髪に紫水晶の様な瞳をした整った容姿の青年。
彼は黒い上衣と袴を着用し、左右の腰には二振りのカタナがある。
もう一人は琥珀色の瞳に腰まで長い黒髪の美しい容姿をした若娘。
彼女は全身を覆う着物姿で、よく見ると若娘の頭頂には尖った二つの獣耳があり、その背後には数本の尻尾が見える。

「気が付いたみたいだな」
「みたいじゃなくて気が付いたのよ」
「お前達は確か、あの時の…」
「俺は風神(かざかみ)輝(ひかる)」
「私は妻の美由姫(みゆき)」
「私はオルディアだ」

その後ろからケンタウロスのスメラギが現れた。

「スメラギ」
「目が覚めた?」
「オウガはどうした?」
「彼は教団に捕まっているわ」

私は居てもたってもいられなくなった。

「彼を助けるのか?」
「当たり前だ!あいつは…あいつは」

私は不安と焦りでいっぱいになっている。
私の中で、こんなにもオウガの存在が大きくなっていた。
監視と言う名目だったが本当は、あいつの傍を離れたくなかった。

「では聞こう、貴女にとって“オウガ=レイズ”は一体何?」
「こんな時に!」
「こんな時だからこそだ」

スメラギは凛として私と向き合う。

「今一度問う、貴女にとって彼はどんな存在?」
「決まっている!私の大切な…失いたくない人だ!」
「ふふっ、良い答えだ…その思いが貴女を強くする」

スメラギは今度、ヒカルとミユキに向き直る。

「聞いた通りだ」
「いいだろう」
「人を愛する事を知った彼女の為に、そのオウガさんを救出するわ」

瞬間、爆発的な魔力と霊力が渦巻く。
次の瞬間、私の目の前には先程の二人の内、一人が居た。
しかし、その姿は先程と違う…全くの別人である。
光り輝く銀髪に陰陽対極図の様な紋章を瞳に宿し、背中には蒼い翼があり、服装も黒い上衣と袴から白くなっていた。その姿は天空を翔ける騎士。

―支部に向かうだけで、その姿になる必要があるのか?―

その時、頭に古風な女性の声が響く。
私は最初、それが幻聴だと思った。

「支部と言っても光の教団が複数居るからな」

いや、幻聴ではない。
その声の主と確実に彼は対話をしている。

―そうよ、油断は禁物だわ―

再び頭に声が響く。
この声の主は先程の稲荷の娘の声だ。

―行くのね?―

次に響いたのは落ち着いた女の声。

「正確には支部だ、本部なんか言ったらあっという間に鎮圧される」

―なんでもいいわ、私は教団が嫌いだもの…勝手に私の封印を解いて結局、私の力を制御できずに取り込まれて暴走した揚句、負けた―

「そう言うな」

―でも、現魔王様には感謝してる…あの方の御蔭で今の私がある―

あの戦いの後、ティナミス=レナフェルは力の大半を失った。
その力の大半が初代魔王の力であり、それ失うと言う事は彼女自身も消えゆく運命にあった。彼女は元々、初代魔王の片割れであった。その為、彼女には現魔王の力が全く流れていなかった。それを見かねた現魔王がティナミスに魔力を送り、再び魔剣として生まれ変わらす事に成功した。さいわい女性の姿だった彼女は現魔王の魔力の拒絶を受けず、すんなり受け入れる事が出来た。

以前は人の姿になって戦闘を行なう事が出来たが現在は完全な武器として生きている。勿論、人の姿になる事は出来る。そして、今の“彼女達”のように対話や日々の生活等を送る事は可能だが交合する事は出来ない。だが、それを決めるのは本人の意思であった。人間の姿となり、共に暮らすか武器として常に主の傍で共に戦うかをティナミスは、その時、現魔王に問われた。

―「私達の同族に転生し、お主の想い人との子を成し、幸せに暮らすか…或いは武器として新たに生まれ変わり、その者や家族を支えていくか…お主はどちらの道を選ぶ?」―

現魔王としては同族が増える事は大変望ましい事であった。
しかし、彼女は武器として生まれ変わる事を選んだ。




「それじゃ、行くか…『美由姫』『雪桜』『夜桜』」

―うむ―
―行きましょう―
―そうね―

「吉報を待っててくれ」

次の瞬間、青年は居なくなっていた。

「一人で行ったのか?」
「そのようだ」
「自殺行為じゃないか?」
「問題無い、彼は戦いに行くのではない…救出に行くのだ」




数時間が経過した。
魔法のパン屋夫妻は配達を終えた為、店に帰った。
現在、この病院に居るのはスメラギとオルディアだけである。

「いくらなんでも遅すぎじゃないか?」
「支部に一人で向かったのだ」

その時、ドアのノックする音がし、ドアが開く。
現れたのは眼鏡をかけた白衣に身を包む端整な顔立ちをした…。

「オウガ!」
「ただいま」




私は反射的にオウガの胸に飛び込む。
瞳に溜まった涙を見せない為だ。

「うわっ」
「それじゃ、私はこれで失礼するよ」

スメラギは静かに病室から退室した。
今、この部屋には私とオウガの二人だけ。

「よかった……お前が戻ってきてくれて嬉しいぞ」
「心配かけたね」
「凄く心配したんだぞ!馬鹿野郎!」

私は罵声を浴びせる。
だけどオウガは私の頭を優しく撫ぜてくれる。

「痛いよ、オルディア」
「痛くしているんだ!もう、お前が何処にもいかないように!」

私の腕力があればオウガの骨を折る事くらい簡単にできる。

「オルディア…泣いているの?」

私は自分の気持ちに素直になる。

「お前があいつらに連れていかれた時、凄く怖かった…お前が居なくなるんじゃないかって…それを考えただけで胸が張り裂けそうだったんだ」
「オルディア…」
「だから、はっきり言う…オウガ、私はお前が好きだ…愛してる」
「私なんかでいいの?」
「お前じゃなきゃダメなんだ」
「オルディア…ありがとう、私も君を愛してる」

私達は、その場で抱き合ったまま唇を重ねた。
ファーストキスは少し、しょっぱい涙の味だった。

「落ち着いた?」
「大丈夫だ」

私はオウガの肩に頭を乗せた。

「オウガ」
「なに?」
「どうやって教団の連中から?」
「ああ、それはね…」

私はオウガから事のあらましを聞いた。
あの後、支部に連れていかれたオウガは魔力の檻に閉じ込められた。
その檻は内部からも外部からも一切、干渉を受け付けない特別製で、唯一、その檻を開錠できるのは同じ魔力の元素で作られた『鍵』のみ。
途方に暮れていた時に“彼”が颯爽とやって来た。それがカザカミヒカル。
彼はオウガから事情を聞くと、その『鍵』を手に入れる為、支部の中枢に真正面から向かい『鍵』を奪取。それを使って檻を開けた後、彼が支部の教団達を全員引き付けてオウガを先に逃がした。何人かオウガを追跡して来たが幹部の殆どが彼を追っていた為、どうにかオウガは振り切って逃げてきた。

「なら奴はどうなった?」
「分からない…主力の殆どがヒカルさんを追っていたから…」
「そうか…でも、奴なら大丈夫だろう」
「どうしてそう思う?」
「女…いや、ドラゴンの勘だ」
「なにそれ」
「ふふっ、でも私はオウガが帰ってきてくれただけで満足だ」
「ありがとう」

再び私達はキスをした。









その後、光の教団の追手を振り切った風神輝。

「はぁ、完全に光の教団の敵だな…俺」

―今に始まった事ではない―
―そうよ、これからも多くの人を助けるんでしょ?―
―私達も力を貸すわよ―

「心強い限りだ」
12/09/25 22:50更新 / 蒼穹の翼
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