忍びし想い
私は十六夜夜音(よね)。クノイチ四姉妹の長女。
桜の花の刺繍を施した着物を身にまとう。
私は決して実らない想いをある男性に抱いている。
その人は、とても強く、優しく、勇気にあふれている。
その人の名は鳴神(なるかみ)蒼輝(そうき)。
異世界から私たちの、この世界に現れた。
「蒼輝、これ…報告書」
「ありがとう、夜音」
時刻は夜、蒼輝は渡した報告書に目を通してる。
「では失礼します」
「おやすみ」
私は扉を閉め、自分の部屋に向かう。
数分も経過しないうちに先ほどの部屋から女性の喘ぎ声が聞こえた。
「!?」
私は口を押えた。
扉の向こうでは蒼輝と彼の奥さんの美代さんが夜伽を行なっている。
寝台の揺れる音、美代さんの嬌声、荒い息遣い。
私は堪らなくなり、急いで部屋に戻った。
「(あんな声、聞かされたら……)」
部屋に戻った私は下腹部に指を這わせ、白いふんどしの上からホトをさする。
徐々に湿り気を帯び、くちゅくちゅといやらしい音がすると下着の横から中指を入れ、次に薬指を入れ、自分の秘裂を弄る。
「(んっ、んんっ……んふぅ)」
寝台に座り込んだ私は着物の上からお椀型の自分の胸を揉み始める。
徐々に体が火照り始めた私は蒼輝の様子を想像し、ついにもどかしくなった。
「(この手は蒼輝の手……)」
着物の胸の谷間から右手をすべり込ませ今度は自分の胸を直接、揉みしだく。
ピンっと尖った乳頭をつまみ、転がしながら濡れそぼるホトに入れた指の動きを激しくした。上下に動かし、かき混ぜるように動かすと卑猥な音が立つ。時刻は子の刻、あたりは静まり返っているため卑猥な音がより鮮明に響く。
「(あ……ああっ、蒼輝……)」
ツツ……ッ、と割れ目から愛液が滴り、細い指先で蜜を掬い取り、それを最も敏感な部分に塗り付ける。何度も指で花弁が吐き出す蜜を掬い、塗り付ける。
「(はぁ、はぁ…蒼輝、んっ……貴方が……あっ、欲しいよぉ)」
秘裂をなぞるように指を動かすと。、ふわふわした快感にとらわれる。
頭の中は蒼輝一色に埋め尽くされ、靄がかかる。
靄は次第に広がっていき、理性と思考能力を奪う。
残るのは快感を貪りたい心と自分の淫らな姿を彼に見せたいという欲望。
「(私……こんな夜中に一人エッチして……でも止まらない……)」
開脚した状態から一人で慰めている時と同じように寝台で仰向けになる。
「(こんな、ぐちょぐちょに……)」
それでも私は指を動かすのをやめない。
「はぁっ、はぁっ、はぁ……ダメ、止まらない」
再び蜜を垂らす花弁に向かい、その上の陰核に触れる。
このままイクのは本意ではない…けどそうすることでしか絶頂できない。
本当は蒼輝の手で絶頂に導かれたい…でも無理なものは無理。
すでに彼の心は美代さんのもので、美代さんの心も蒼輝のもの。
では他の男性を好きになればいいと思うのだけど私は彼だけしか愛せない。
私だけじゃない…夜雅も真夜も夜美も私たち四姉妹の心は既に蒼輝だけに向けられている為、他の男に惹かれることはない。心だけじゃない、もし叶うなら我が身も全て彼に捧げたい。けど、それは叶わない…しかし、それでも私たち四姉妹は他の男性を愛せない。
「んっ、んふぅ……んんっ」
蜜壺から溢れ出る蜜が、お尻を伝ってシーツに滴り落ちてシミを作る。
いつしか自然と腰が動いてしまい、まるで蒼輝と正常位で交わっているように腰が自分の腰じゃないほど淫らにくねっている。そろそろ限界が近い。
「イクぅ…イキそうだよぉ」
膣や子宮、私の性快感すべてが快感に弾け、脊髄から脳髄まで貫かれた。
「イクっ!イクっ、イク……くっ、くぅうううん」
身体が弓なりに限界までしなり、身体全体のうち特に腰が震える。
「ぁ……ぅ……そうきぃ……」
絶頂が過ぎ去り、身体をぐったり沈ませながら実らない恋人の名前を呼ぶ。
「蒼輝……私、イっちゃったよ……本当は貴方に気持ちよくしてもらいたいのに……どうして?なんで私が先に貴方を見つけられなかったのだろう」
「あ、ああ……そ、そうだな……」
「えっ」
聞き覚えのある声に驚く。
涙で濡れた瞳をこすり、少し潤む目を向けた。
そこにいたのは黒髪と黒い双眸、この国の王、鳴神蒼輝がいた。
彼はバツの悪そうな顔をしていた。
「えっ!えぇっ!?ど、どうして!?」
「い、いや、その……あの……」
「私が教えたのよ、夜音」
再び聞き覚えのある声に驚く。
彼の後ろには寝巻用の浴衣を着た蒼輝の王妃、美代さんがいる。
突然の出来事に汗が流れ、絶頂の余韻で弛緩した身体が急に強張る。
「い、いつから?」
「え、えと……」
「ほとんど一部始終ね」
「!?」
一部始終…ということは私が部屋に入って、それからすぐ?
そ、それはないわ…だって戸締りは報告書を届ける前からしてた。
驚きと羞恥心で頭が真っ白になった私は顔を真っ赤に染まる。
無意識のうちに尻尾を横に振り、掛布団に潜り込んだ。
「あ、あの……蒼輝と美代さんは、どうして私の部屋にいるのですか?」
なぜか敬語になってしまう。
それはそうだ、一部始終ということは事の次第を全て聞かれたことになる。
当然、私が無意識のうちに彼の…蒼輝の名前を叫んだのも聞かれてる。
仕える主君の奥方様に護衛の私が彼女の旦那様で自慰をしてたなんて…。
これはもう切腹するしかない。二度とこのようなことが起きないよう長女である私が腹を切り、妹たちに示しをつけなくてはならない。私は小太刀を手に取ると逆手に持つ。
「な、なにを!?」
「申し訳ありません、蒼輝様、美代様……私は最低な"忍び"です。仕える主君にあろうことか恋心を抱きました、結ばれない運命だと分かっていたのに……それでも私は諦めきれなかった、蒼輝様……私は貴方を愛してしまった」
「…」
「馬鹿な真似はやめろ」
「お優しいですね、蒼輝様……その優しさ、美代様だけに向けてください」
私は最後、笑顔で微笑んだ。
「さようなら……愛しい我が主、蒼輝様」
「やめ……っ」
パンっ…と乾いた音が部屋に木霊し、同時に小太刀が部屋に転がる。
頬に痛みが走り、私は茫然とし、蒼輝様は小太刀を回収する。
私の頬を叩いたのは涙に顔を濡らした美代様。
「美代様……」
「貴女はそれで満足でしょう!だけど、それは貴女の自己満足よ!残された私はどうするの!いい逃げだけしてあとはさよなら?そんなの許さない!」
「み、美代様」
「彼を愛しているなら、はっきりと言いなさい!好きなら好きって言いなさい!人を愛することのどこがいけないの!」
「で、でも……私は……」
美代様は私を力強く抱きしめた。
「私が気付いていないと思ったの?夜音」
「気づいていらしたのですか?」
「ずっと気づいていたわ…そして毎晩、貴女が一人で慰めていたことも」
「なら尚の事、私は……」
「どうして私に相談してくれなかったの?」
私は溜まりに溜まった想いを美代様に話す。
「それは蒼輝様が美代様の伴侶だから……あの方の奥方は貴女様であって私が恋心を抱いてはいけない、ましてや愛してはならない……だから……だから私は……うぅ、ううぅ」
「つらかった?」
「はい……それと怖かったです、想えば想うほど蒼輝様に対する想いが募って……自分の心なのに抑えきれなかった、苦しくて苦しくて……」
「私もそうだったわ」
「美代様も?」
「私と彼の生い立ちは教えたわよね?」
「はい」
「それと一緒、貴女は何も悪くない」
私を抱きしめる美代様の腕は力強く、優しい。
まるで麗らかな春の陽光のように温かい。
「落ち着いた?」
「はい」
「なら次は」
そういって美代様は私を強引に立たせ、蒼輝様に預ける。
「"今晩"だけ許す、次から私メインでローテーションよ」
それだけを言い残し、美代様は去って行った。
「…」
「…」
再び残る沈黙。
「夜音?」
「少しの間、このまま……」
蒼輝様に抱き締められ、包まれているゆえか彼を欲する気持ちが徐々に高まってきた。しかし、どうしても一歩、踏み出せない。股間に感じる彼のモノ…きっと私が一人エッチしている所を一部始終、見ていたから大きくなっている。蒼輝様は気づかれないよう平静をよそっているけど本能には逆らえない。今、これを鎮めれるのは私……でも。
やはり、一歩、踏み出せずにいる自分がいた。
「夜音」
「はい」
「命を無駄にするなよ」
「えっ」
「命の使い道は人それぞれだ、けど絶対に自ら死を選ぶな…生きていれば、つらいことも悲しいこともあるけど楽しいことや面白いことも沢山ある」
私の頭を優しくなぜる蒼輝様の手。
「おやすみ」
ふっと離れる蒼輝様。瞬間、股間に当たる気配もなくなった。あの後、どうするのだろうか?美代様と夜伽を始めるのだろうか?ここまで美代様が、おぜん立てしてくれたのに私はまた寂しい夜を迎えるのか?あと一歩、あと一歩なのに、その一歩がどうしても進まない。
「(いやっ……そんなの、いやに決まっている)」
駆け出した私は最後の一歩を踏み出した。
すでに答えは決まっている。
蒼輝の大きな背中、その背後から両腕を回す。
ボリューム感たっぷりある、お椀型の胸を押し付ける。
「行かないでください!」
「えっ……うおっ」
蒼輝様を強引に、ぐるりと回転させた。
「蒼輝様、いえ…蒼輝、私は貴方が好きです、愛しています……貴方のお心が美代さんに向けられていても構いません!私、十六夜夜音は鳴神蒼輝を一生愛し、お仕えいたします」
蒼輝の衣服を引っ張った私は彼の唇を奪う。
舌を入れ、ディープキスのように互いの舌と舌を絡み合わせる。
そのまま蒼輝を床に組み敷き、本能に従って彼の口を貪る。
「んっ、んんっ……あふっ」
しばらく蒼輝の口内を蹂躙した私は彼の唇から自分の唇を離す。
唇の間から唾液の糸が引き、私はそれをなめとる。
覆いかぶさるような体勢のため、大きくなった彼の下腹部が当たっている。
ススっと彼の下腹部に移動した私は勃起した彼の陰茎を外風にあてる。
「(こ、これが蒼輝の?凄い、大きくて逞しくて、いい香り)」
生唾を飲み込んだ私は蒼輝が止めるのも関わらず自分の口に頬張る。
片手でしごき、玉袋をマッサージし、上下に顔をスライドさせる。
亀頭を舐め、陰茎を喉の奥まで頬張るといった順番で陰茎に刺激を与える。
「んっ、んんっ……ずちゅっ、ぬちゅっ……ぐちゅぶちゅ」
「はっ、はっ……くっ、やばい……(気持ち良すぎる、これ)」
私は上目遣いになり、陰茎に刺激を与え続ける。
その影響かさらに私の口内で蒼輝の陰茎が大きくなった。
すでに口内は彼の我慢汁と私の唾液とかが混ざり合っている。
「(あ、分かる……もう我慢できないんだよね?いいよ、出して)」
私はラストスパートをかけ、蒼輝の陰茎を強く刺激する。
「うぁ……出るっ」
「んぶっ」
ドクドクと尿道から溢れ出る彼の精液。
私はそれを一滴も零さず、すべて飲み干した。
勢いの止まった蒼輝の陰茎を口から離す。
「美味しい」
「本人を目の前にして言うなよ……」
彼は少し照れている。
「あー、やっちまった……美代に何言われるか」
「美代さんからは承諾済みよ」
「いや、それでもだな……」
「優しいね、蒼輝……でも……」
私は彼の前で開脚し、ひくひくとした割れ目を見せる。
先の自慰で、びしょびしょに濡れ、いつでも大丈夫な状態になっている。
「ここに貴方が欲しい」
「ば、ばかっ!」
「蒼輝が欲しいの」
「しかしだな」
「他の誰でもない"貴方が欲しい"の」
自分でも信じられないくらい大胆な言葉を口にした。
その言葉を聞き、蒼輝は腹を決めたように動いた。
「分かった」
「来て」
私は寝台の上に仰向けになる。
この熱気で身体は汗ばみ、長い髪はシャワーを浴びた後のようになった。
本来、先の出来事の後、べたべたになった着物を洗い、シャワーを浴びて寝る予定だったのに今、夢なら覚めてほしくない状態になっている。
ここまで来たら引き返すことはできない、いえ引き返す事はしない。私は蒼輝を主君としてではなく一人の男性として愛し続ける、これからもずっと。
「行くぞ」
「うん……来て」
膝立になった蒼輝は私の太腿に手を優しく添え、陰茎を挿入した。
徐々に沈む彼の身体、ずっと今日まで夢に想い、それがようやく実る。
「あくっ」
何かを突き破られた感覚にシーツを掴んで耐える。
挿入された膣内から流れる赤い鮮血。
他の殿方とこのような行いはしていないから当然、処女。
私の純潔は今、蒼輝に捧げた。
「い、痛かったか?」
「ううん、違うの……うれしいの、貴方と一つになれたことが」
こんなにも愛する人と一緒になれるのがうれしいなんて思わなかった。
痛みだって好きな人なら平気、全く痛くない。むしろ誇らしく思える。
「動くぞ」
「うん」
蒼輝はゆっくり腰を動かし始め、次第に深く打ち付ける。その度、お椀型の胸が激しく上下に揺さぶられ、繋がってる部分からはいやらしい水音が響き、とどめなく愛液が流れ出る。
「あっ……ああっ、はぁっ」
突かれる度、奥の子宮にコツコツと当たる感覚。
次第に私自身、彼をもっと感じたいと思い、自ら腰を動かし始めた。
いやらしく淫らにくねり、腰を動かすが、そろそろ互いに限界が近い。
「あっ!ああっ、はぁっ……いいぃ、いいのぉ!」
「(また締め付けが強く……や、やば)」
「気持ち……んっ、良すぎて……あっ、何も……考えられない……よぉ」
「夜音、まて……締め付けるな、これじゃ中に出してしまう」
蒼輝の言葉を聞いた途端、子宮が悦んだ。
中だし宣言に子宮が悦び、更に強く陰茎を締め付ける。
「ぐぁっ!ち、ちょっと待て!本当に中に」
「中に出して……貴方の子種、いっぱい私の中に欲しい!」
次の瞬間、子宮に蒼輝の熱い精液が注がれた。
ドクドクと脈打つ火傷しそうなほど熱い彼の子種が子宮を打ち付ける。
「ひぁああああっ……!射精、すごいいいいいっ……!」
お腹の辺りがキュンキュンし、全身はビクッビクッと震え、繋がった下半身の下腹部はそれ以上に痙攣を起こしている。
「はぁっ……はぁっ……」
両手を絡み合わせたまま私たちは一息つく。
蒼輝の子種を一滴も、こぼさないよう膣内を器用に閉じ、横になる。
「蒼輝……私、貴方を愛してよかった」
「そ、そうか?」
「私、これからもずっと貴方を……貴方だけを愛し続けます」
そういうと私は布団にもぐりこんだ。
「行って」
「えっ?」
「美代さんの所に行って、きっと一人で寂しいと思うから」
それ以上、私は何も言わなかった。
「おやすみなさい、蒼輝」
「あ、ああ……おやすみ」
翌日の話だけど、あの後、部屋に戻った蒼輝は美代さんと一晩中夜伽をした。
私はというと妹たちに全てを打ち明けた。途端、夜雅・真夜・夜美の三人も美代さんの所へ行き、蒼輝を愛していると各々が伝えた。その告白を受けた美代さんは一度、微笑み「一晩だけ」と言い、私たち四姉妹は週に一度だけ、蒼輝の夜伽相手に選ばれた。また特別な日には蒼輝を含めた六人で夜伽を行なうことになった。これは美代さんの提案だった。
桜の花の刺繍を施した着物を身にまとう。
私は決して実らない想いをある男性に抱いている。
その人は、とても強く、優しく、勇気にあふれている。
その人の名は鳴神(なるかみ)蒼輝(そうき)。
異世界から私たちの、この世界に現れた。
「蒼輝、これ…報告書」
「ありがとう、夜音」
時刻は夜、蒼輝は渡した報告書に目を通してる。
「では失礼します」
「おやすみ」
私は扉を閉め、自分の部屋に向かう。
数分も経過しないうちに先ほどの部屋から女性の喘ぎ声が聞こえた。
「!?」
私は口を押えた。
扉の向こうでは蒼輝と彼の奥さんの美代さんが夜伽を行なっている。
寝台の揺れる音、美代さんの嬌声、荒い息遣い。
私は堪らなくなり、急いで部屋に戻った。
「(あんな声、聞かされたら……)」
部屋に戻った私は下腹部に指を這わせ、白いふんどしの上からホトをさする。
徐々に湿り気を帯び、くちゅくちゅといやらしい音がすると下着の横から中指を入れ、次に薬指を入れ、自分の秘裂を弄る。
「(んっ、んんっ……んふぅ)」
寝台に座り込んだ私は着物の上からお椀型の自分の胸を揉み始める。
徐々に体が火照り始めた私は蒼輝の様子を想像し、ついにもどかしくなった。
「(この手は蒼輝の手……)」
着物の胸の谷間から右手をすべり込ませ今度は自分の胸を直接、揉みしだく。
ピンっと尖った乳頭をつまみ、転がしながら濡れそぼるホトに入れた指の動きを激しくした。上下に動かし、かき混ぜるように動かすと卑猥な音が立つ。時刻は子の刻、あたりは静まり返っているため卑猥な音がより鮮明に響く。
「(あ……ああっ、蒼輝……)」
ツツ……ッ、と割れ目から愛液が滴り、細い指先で蜜を掬い取り、それを最も敏感な部分に塗り付ける。何度も指で花弁が吐き出す蜜を掬い、塗り付ける。
「(はぁ、はぁ…蒼輝、んっ……貴方が……あっ、欲しいよぉ)」
秘裂をなぞるように指を動かすと。、ふわふわした快感にとらわれる。
頭の中は蒼輝一色に埋め尽くされ、靄がかかる。
靄は次第に広がっていき、理性と思考能力を奪う。
残るのは快感を貪りたい心と自分の淫らな姿を彼に見せたいという欲望。
「(私……こんな夜中に一人エッチして……でも止まらない……)」
開脚した状態から一人で慰めている時と同じように寝台で仰向けになる。
「(こんな、ぐちょぐちょに……)」
それでも私は指を動かすのをやめない。
「はぁっ、はぁっ、はぁ……ダメ、止まらない」
再び蜜を垂らす花弁に向かい、その上の陰核に触れる。
このままイクのは本意ではない…けどそうすることでしか絶頂できない。
本当は蒼輝の手で絶頂に導かれたい…でも無理なものは無理。
すでに彼の心は美代さんのもので、美代さんの心も蒼輝のもの。
では他の男性を好きになればいいと思うのだけど私は彼だけしか愛せない。
私だけじゃない…夜雅も真夜も夜美も私たち四姉妹の心は既に蒼輝だけに向けられている為、他の男に惹かれることはない。心だけじゃない、もし叶うなら我が身も全て彼に捧げたい。けど、それは叶わない…しかし、それでも私たち四姉妹は他の男性を愛せない。
「んっ、んふぅ……んんっ」
蜜壺から溢れ出る蜜が、お尻を伝ってシーツに滴り落ちてシミを作る。
いつしか自然と腰が動いてしまい、まるで蒼輝と正常位で交わっているように腰が自分の腰じゃないほど淫らにくねっている。そろそろ限界が近い。
「イクぅ…イキそうだよぉ」
膣や子宮、私の性快感すべてが快感に弾け、脊髄から脳髄まで貫かれた。
「イクっ!イクっ、イク……くっ、くぅうううん」
身体が弓なりに限界までしなり、身体全体のうち特に腰が震える。
「ぁ……ぅ……そうきぃ……」
絶頂が過ぎ去り、身体をぐったり沈ませながら実らない恋人の名前を呼ぶ。
「蒼輝……私、イっちゃったよ……本当は貴方に気持ちよくしてもらいたいのに……どうして?なんで私が先に貴方を見つけられなかったのだろう」
「あ、ああ……そ、そうだな……」
「えっ」
聞き覚えのある声に驚く。
涙で濡れた瞳をこすり、少し潤む目を向けた。
そこにいたのは黒髪と黒い双眸、この国の王、鳴神蒼輝がいた。
彼はバツの悪そうな顔をしていた。
「えっ!えぇっ!?ど、どうして!?」
「い、いや、その……あの……」
「私が教えたのよ、夜音」
再び聞き覚えのある声に驚く。
彼の後ろには寝巻用の浴衣を着た蒼輝の王妃、美代さんがいる。
突然の出来事に汗が流れ、絶頂の余韻で弛緩した身体が急に強張る。
「い、いつから?」
「え、えと……」
「ほとんど一部始終ね」
「!?」
一部始終…ということは私が部屋に入って、それからすぐ?
そ、それはないわ…だって戸締りは報告書を届ける前からしてた。
驚きと羞恥心で頭が真っ白になった私は顔を真っ赤に染まる。
無意識のうちに尻尾を横に振り、掛布団に潜り込んだ。
「あ、あの……蒼輝と美代さんは、どうして私の部屋にいるのですか?」
なぜか敬語になってしまう。
それはそうだ、一部始終ということは事の次第を全て聞かれたことになる。
当然、私が無意識のうちに彼の…蒼輝の名前を叫んだのも聞かれてる。
仕える主君の奥方様に護衛の私が彼女の旦那様で自慰をしてたなんて…。
これはもう切腹するしかない。二度とこのようなことが起きないよう長女である私が腹を切り、妹たちに示しをつけなくてはならない。私は小太刀を手に取ると逆手に持つ。
「な、なにを!?」
「申し訳ありません、蒼輝様、美代様……私は最低な"忍び"です。仕える主君にあろうことか恋心を抱きました、結ばれない運命だと分かっていたのに……それでも私は諦めきれなかった、蒼輝様……私は貴方を愛してしまった」
「…」
「馬鹿な真似はやめろ」
「お優しいですね、蒼輝様……その優しさ、美代様だけに向けてください」
私は最後、笑顔で微笑んだ。
「さようなら……愛しい我が主、蒼輝様」
「やめ……っ」
パンっ…と乾いた音が部屋に木霊し、同時に小太刀が部屋に転がる。
頬に痛みが走り、私は茫然とし、蒼輝様は小太刀を回収する。
私の頬を叩いたのは涙に顔を濡らした美代様。
「美代様……」
「貴女はそれで満足でしょう!だけど、それは貴女の自己満足よ!残された私はどうするの!いい逃げだけしてあとはさよなら?そんなの許さない!」
「み、美代様」
「彼を愛しているなら、はっきりと言いなさい!好きなら好きって言いなさい!人を愛することのどこがいけないの!」
「で、でも……私は……」
美代様は私を力強く抱きしめた。
「私が気付いていないと思ったの?夜音」
「気づいていらしたのですか?」
「ずっと気づいていたわ…そして毎晩、貴女が一人で慰めていたことも」
「なら尚の事、私は……」
「どうして私に相談してくれなかったの?」
私は溜まりに溜まった想いを美代様に話す。
「それは蒼輝様が美代様の伴侶だから……あの方の奥方は貴女様であって私が恋心を抱いてはいけない、ましてや愛してはならない……だから……だから私は……うぅ、ううぅ」
「つらかった?」
「はい……それと怖かったです、想えば想うほど蒼輝様に対する想いが募って……自分の心なのに抑えきれなかった、苦しくて苦しくて……」
「私もそうだったわ」
「美代様も?」
「私と彼の生い立ちは教えたわよね?」
「はい」
「それと一緒、貴女は何も悪くない」
私を抱きしめる美代様の腕は力強く、優しい。
まるで麗らかな春の陽光のように温かい。
「落ち着いた?」
「はい」
「なら次は」
そういって美代様は私を強引に立たせ、蒼輝様に預ける。
「"今晩"だけ許す、次から私メインでローテーションよ」
それだけを言い残し、美代様は去って行った。
「…」
「…」
再び残る沈黙。
「夜音?」
「少しの間、このまま……」
蒼輝様に抱き締められ、包まれているゆえか彼を欲する気持ちが徐々に高まってきた。しかし、どうしても一歩、踏み出せない。股間に感じる彼のモノ…きっと私が一人エッチしている所を一部始終、見ていたから大きくなっている。蒼輝様は気づかれないよう平静をよそっているけど本能には逆らえない。今、これを鎮めれるのは私……でも。
やはり、一歩、踏み出せずにいる自分がいた。
「夜音」
「はい」
「命を無駄にするなよ」
「えっ」
「命の使い道は人それぞれだ、けど絶対に自ら死を選ぶな…生きていれば、つらいことも悲しいこともあるけど楽しいことや面白いことも沢山ある」
私の頭を優しくなぜる蒼輝様の手。
「おやすみ」
ふっと離れる蒼輝様。瞬間、股間に当たる気配もなくなった。あの後、どうするのだろうか?美代様と夜伽を始めるのだろうか?ここまで美代様が、おぜん立てしてくれたのに私はまた寂しい夜を迎えるのか?あと一歩、あと一歩なのに、その一歩がどうしても進まない。
「(いやっ……そんなの、いやに決まっている)」
駆け出した私は最後の一歩を踏み出した。
すでに答えは決まっている。
蒼輝の大きな背中、その背後から両腕を回す。
ボリューム感たっぷりある、お椀型の胸を押し付ける。
「行かないでください!」
「えっ……うおっ」
蒼輝様を強引に、ぐるりと回転させた。
「蒼輝様、いえ…蒼輝、私は貴方が好きです、愛しています……貴方のお心が美代さんに向けられていても構いません!私、十六夜夜音は鳴神蒼輝を一生愛し、お仕えいたします」
蒼輝の衣服を引っ張った私は彼の唇を奪う。
舌を入れ、ディープキスのように互いの舌と舌を絡み合わせる。
そのまま蒼輝を床に組み敷き、本能に従って彼の口を貪る。
「んっ、んんっ……あふっ」
しばらく蒼輝の口内を蹂躙した私は彼の唇から自分の唇を離す。
唇の間から唾液の糸が引き、私はそれをなめとる。
覆いかぶさるような体勢のため、大きくなった彼の下腹部が当たっている。
ススっと彼の下腹部に移動した私は勃起した彼の陰茎を外風にあてる。
「(こ、これが蒼輝の?凄い、大きくて逞しくて、いい香り)」
生唾を飲み込んだ私は蒼輝が止めるのも関わらず自分の口に頬張る。
片手でしごき、玉袋をマッサージし、上下に顔をスライドさせる。
亀頭を舐め、陰茎を喉の奥まで頬張るといった順番で陰茎に刺激を与える。
「んっ、んんっ……ずちゅっ、ぬちゅっ……ぐちゅぶちゅ」
「はっ、はっ……くっ、やばい……(気持ち良すぎる、これ)」
私は上目遣いになり、陰茎に刺激を与え続ける。
その影響かさらに私の口内で蒼輝の陰茎が大きくなった。
すでに口内は彼の我慢汁と私の唾液とかが混ざり合っている。
「(あ、分かる……もう我慢できないんだよね?いいよ、出して)」
私はラストスパートをかけ、蒼輝の陰茎を強く刺激する。
「うぁ……出るっ」
「んぶっ」
ドクドクと尿道から溢れ出る彼の精液。
私はそれを一滴も零さず、すべて飲み干した。
勢いの止まった蒼輝の陰茎を口から離す。
「美味しい」
「本人を目の前にして言うなよ……」
彼は少し照れている。
「あー、やっちまった……美代に何言われるか」
「美代さんからは承諾済みよ」
「いや、それでもだな……」
「優しいね、蒼輝……でも……」
私は彼の前で開脚し、ひくひくとした割れ目を見せる。
先の自慰で、びしょびしょに濡れ、いつでも大丈夫な状態になっている。
「ここに貴方が欲しい」
「ば、ばかっ!」
「蒼輝が欲しいの」
「しかしだな」
「他の誰でもない"貴方が欲しい"の」
自分でも信じられないくらい大胆な言葉を口にした。
その言葉を聞き、蒼輝は腹を決めたように動いた。
「分かった」
「来て」
私は寝台の上に仰向けになる。
この熱気で身体は汗ばみ、長い髪はシャワーを浴びた後のようになった。
本来、先の出来事の後、べたべたになった着物を洗い、シャワーを浴びて寝る予定だったのに今、夢なら覚めてほしくない状態になっている。
ここまで来たら引き返すことはできない、いえ引き返す事はしない。私は蒼輝を主君としてではなく一人の男性として愛し続ける、これからもずっと。
「行くぞ」
「うん……来て」
膝立になった蒼輝は私の太腿に手を優しく添え、陰茎を挿入した。
徐々に沈む彼の身体、ずっと今日まで夢に想い、それがようやく実る。
「あくっ」
何かを突き破られた感覚にシーツを掴んで耐える。
挿入された膣内から流れる赤い鮮血。
他の殿方とこのような行いはしていないから当然、処女。
私の純潔は今、蒼輝に捧げた。
「い、痛かったか?」
「ううん、違うの……うれしいの、貴方と一つになれたことが」
こんなにも愛する人と一緒になれるのがうれしいなんて思わなかった。
痛みだって好きな人なら平気、全く痛くない。むしろ誇らしく思える。
「動くぞ」
「うん」
蒼輝はゆっくり腰を動かし始め、次第に深く打ち付ける。その度、お椀型の胸が激しく上下に揺さぶられ、繋がってる部分からはいやらしい水音が響き、とどめなく愛液が流れ出る。
「あっ……ああっ、はぁっ」
突かれる度、奥の子宮にコツコツと当たる感覚。
次第に私自身、彼をもっと感じたいと思い、自ら腰を動かし始めた。
いやらしく淫らにくねり、腰を動かすが、そろそろ互いに限界が近い。
「あっ!ああっ、はぁっ……いいぃ、いいのぉ!」
「(また締め付けが強く……や、やば)」
「気持ち……んっ、良すぎて……あっ、何も……考えられない……よぉ」
「夜音、まて……締め付けるな、これじゃ中に出してしまう」
蒼輝の言葉を聞いた途端、子宮が悦んだ。
中だし宣言に子宮が悦び、更に強く陰茎を締め付ける。
「ぐぁっ!ち、ちょっと待て!本当に中に」
「中に出して……貴方の子種、いっぱい私の中に欲しい!」
次の瞬間、子宮に蒼輝の熱い精液が注がれた。
ドクドクと脈打つ火傷しそうなほど熱い彼の子種が子宮を打ち付ける。
「ひぁああああっ……!射精、すごいいいいいっ……!」
お腹の辺りがキュンキュンし、全身はビクッビクッと震え、繋がった下半身の下腹部はそれ以上に痙攣を起こしている。
「はぁっ……はぁっ……」
両手を絡み合わせたまま私たちは一息つく。
蒼輝の子種を一滴も、こぼさないよう膣内を器用に閉じ、横になる。
「蒼輝……私、貴方を愛してよかった」
「そ、そうか?」
「私、これからもずっと貴方を……貴方だけを愛し続けます」
そういうと私は布団にもぐりこんだ。
「行って」
「えっ?」
「美代さんの所に行って、きっと一人で寂しいと思うから」
それ以上、私は何も言わなかった。
「おやすみなさい、蒼輝」
「あ、ああ……おやすみ」
翌日の話だけど、あの後、部屋に戻った蒼輝は美代さんと一晩中夜伽をした。
私はというと妹たちに全てを打ち明けた。途端、夜雅・真夜・夜美の三人も美代さんの所へ行き、蒼輝を愛していると各々が伝えた。その告白を受けた美代さんは一度、微笑み「一晩だけ」と言い、私たち四姉妹は週に一度だけ、蒼輝の夜伽相手に選ばれた。また特別な日には蒼輝を含めた六人で夜伽を行なうことになった。これは美代さんの提案だった。
14/07/25 18:16更新 / 蒼穹の翼