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「やっぱり、駄目ですか?」
一人の青年は、ある程度予想していた事態に呆然とする。彼が今前にしているのは、町で一番大きな郵便屋の受付であった。彼に残念な知らせを告げたのは郵便局に勤める壮年のハーピー。彼等の間に置かれた、一通の手紙を巡って問題が起こっているようだ。 ところで、現在の大陸南域の一部にはまだ細かい国が散らばっている地帯があった。そのどれもは異なる思想や文化などから細かく分類されるが、今此処で考えるべきなのは魔物と共存する姿勢を見せる“親魔物派”か、それとも魔物を駆逐せんとする“反魔物派”のどちらかと言う事だろう。手紙の配達などは、本来ならば容易に郵送者と配達人の間で交わされる契約だが、そういった事情により配達人は郵送を断るしかないこともある。 「配達先は、現在反魔物運動が活発化しておりまして……私共『翼乙女郵便』ではお送りすることが出来ないんですよぉ。実は、この前も配達人が一人、送り先で行方不明になりまして……」 小さな国々が連なるこの地帯。誰がこの地に覇を唱えるか競っている今、一番危険なのは国境だ。 争いあっている国同士の国境は常に軍隊による押し引きが続いている。例え現在争っていない両国間でも警戒の中心に置かれるのは国境。同盟を結んでいる国同士でなら通行は楽だが、それ以外の場合の殆んどは難儀する。しかも、この時勢では同盟国同士でも信用のない場合が多く、最近ではどうあっても国境を通過するのは過酷になってきた。 只でさえ一つの国から出入りするのは危険。なのに、魔物が反魔物派の国に出向くなど、そのまま命を捨てに行くようもの。 だが青年はその事情が十分判っていた。判っているからこそ、この国で今の所一番大きな郵便屋に掛け合ったのだ。彼の身なりは農民のそれで、此処に行き着くまで彼方此方の郵便屋を回ったのだろう、土埃と汗に塗れている。 そして、此処がこの国で最後の郵便屋だった。彼は断られたても、必死に頼み込む。 「其処を何とか……っ。どうしても、明日中に届けなければならないんです!」 彼は突き返された水色の封筒をもう一度突き返す。余程大切な用事らしい。だが例え、らしい良心や誇りがあろうとも、この世に何の不満も無いハーピー達が態々死を選ぶ訳がない。それは他の魔物にも言えた事だった。 「明日中……。確かに魔物か魔術師の郵便屋でしか間に合いませんね」 「でしょう!? ですから」 「……生憎ですが、魔術師の方に頼まれてはどうでしょうか? 人間でしたら、反魔物国にも比較的安全に入れますが」 「み、見ての通りです。魔術師に頼めるお金なんてありませんっ」 一般的に、魔力のスキルの無い人々が雑用を魔法使いの魔力に頼る場合、その魔法の難度、用途、魔力の消費量などで料金は決められることが多い。(基準化しなければ、商品として提供するサービスに昇華出来ない。) だが、その多くは魔法使い達の匙加減で任されている。雑用を頼んでからぼったくられることは少なくない。払うのを拒否、あるいは文句を言っただけで、魔法という脅威を掲げて逆に脅しを掛けてくる場合もある。農民の彼にとってそんな安い信用に高いお金が払える訳が無い。少なくとも、彼の心当たりにあった魔術師でも信用に見合った金額よりも数倍値を吊り上げることだろう。 「お願いしますっ。ステベックに居る彼女に、伝えなきゃならないことがあるんです」 「う〜ん……。私共が提携している『魔女の宅急BIN☆』様でも、厳しいでしょうが……一応、掛け合ってみましょう」 郵便は本人の知らぬところで行われる仕事である。前述した魔術師のように、信用を失えば其処から一気に仕事を失う。だからこそ誠実な対応を心掛けるのだが、結果はこの時点でも目に見えていた。 奥に引っ込んでからとぼとぼと戻ってくるハーピー。その目は伏目がちだった。 「……すみません。向こうも手一杯のようで」 申し訳なさそうにそう、丁寧に翼を畳んで頭を下げるハーピー。その言葉を聞いた途端、青年は蒼い顔をして「そんな」と呟いた。 その時、徐に青年に近付く男が居た。 「 縁の深い鳥打ち帽を被り、ほっそりと縦に長い体つきをしている。身長を考えなければ一般人と然程変わらない雰囲気の男だが、その足には禍々しく角張り、赤黒い色合いのグリーブを履いていた。不思議な事に、その具足からは微かにも音が発せられない。 青年は背の高い彼が足音もなく近付いてきたのに驚いたが、受付のハーピーは彼の姿を見てもっと驚いた。 「! もしかして、貴方は……?」 翼をバサバサと動かして驚いた様子を示すハーピーに、青年もこの長身の男を見遣る。 「え? ゆ、有名人、ですか?」 「こんな幸運ないですよ!? 何せこの方は、人間の中で……いや、郵便屋を営むものの中でも 「………」 青年の反応が薄いのも構わず郵便屋のハーピーが年甲斐もなく興奮する一方で、最速と謳われた男の方は黙って青年の手に持たれる封筒を見詰めていた。 「あ、あの?」 「アルダーさんっ。実はこの方が、明日中にステベックに居る彼女に手紙を届けて欲しいと申されているのですけれど、私共の方ではどうにも出来ず……頼めませんか?」 (こくり) ハーピーの頼みに、アルダーは黙って頷く。そして今まで見詰めていた封筒を、遣せと言わんばかりに腕を伸ばす。青年は少し躊躇したものの、一先ず手紙をアルダーという男に渡す。 「だ、大丈夫なんですか。この人で」 「大丈夫ですよっ。この方は私共の他にも多くの郵便屋の助っ人を務めてくださっているのです。信用は折り紙つき、いや、完全保証されたも同然です」 「……はぁ」 イマイチ納得いかない、「我々の業界では」的説明に、形だけ返事をしておきながらも、他に頼める郵便屋の当ても無い青年はこの無口な男に任せるのも良いかと考えた。 「(其処まで言われるなら……。)あの、代金の方は」 「 此処で初めて、男が口を開く。 「……ステベック……は……ついで、だ」 「はぁ」 「それより……相手、住所は……間違っていない、な」 そう言って手紙の裏側を見せる。其処には黒インクで小さく文字が書かれている。 「え? あ、はい……。間違っていません。彼女が引っ越してない……限りは」 「……そう祈ろう」 ついでに請け負うと言っても、相手が見付からなければ送り主に届け戻す責任はある。この場合、アルダーの口調では、この国に戻る当てはないのだろう。すんなりと宛先が見付かれば良い、という願いはよく見えた。 人通りの多い街道に面した位置にあるこの郵便屋から外に出た青年とハーピー、それにアルダー。黄色い土が地面に踏み締められ、アルダーは大きく屈伸して足の筋を解す。 それをみた青年が声を上げる。 「あの、若しかして走って行く気ですか!?」 青年がアルダーの準備運動を見てそう驚く。青年にとって郵便とは、ハーピーがその翼を、魔女が箒に乗ってそうするように、空に飛び立って運ぶものだったのだ。だからこそ早いのだと考えていた。 すると無口な彼の代わりに郵便屋が答える。 「ご安心下さい。大陸の中で陸続きの場所ならば、彼が最速なのに違いはありません。それに実質、空では狙い撃ちにされますから、むしろ安全です」 「でも、人を食う魔物が出たら……」 普遍的に広められた情報を鵜呑みにしている農民の彼に、ハーピーは苦笑いする。 「魔物が人を取って食うことはありませんよ。私共が、送り主や宛先を食べた事がありましたか?」 「貴方達みたいに人間と共存している魔物は別ですが……」 イマイチ不安を拭い切れていない様子の彼に、別段なにか思うこともなさげなアルダー。一人黙々と全身の筋を伸ばした後、彼は青年と郵便屋に振り返る。 「……もう、行って良いか……? 今日中に届ける……郵便があるんだ……」 「え?」 青年が思わず訊き返すが、郵便屋は申し訳なさそうに振舞いながら翼でどうぞと言って見せる。 「ええ、すみません、待って頂いて」 「………」 アルダーは鳥打帽の縁を抓んで下げてみせる。はにかんだのだろう。もう一度屈伸してから、ずいっと長い手足を構える。 「 ズダンッ 彼が強烈に踏み込んだ途端、街道の土が僅かに抉れる。そしてその体を強く前へと引き寄せ。 まるで風の様に軽い足取りで、この長い街道を瞬時に駆け抜ける。あっという間に世界の裏側まで回って来そうな速さ。気付けばその後ろ姿は見えなくなっていた。 そんな人間離れした足を目の当たりにして、青年は呆気に取られる。 「な、なんなんですか、あの足の速さ!? 本当に人間!?」 「あの足の速さならば貴方の心配する“まもの”にも捕まらないでしょう?」 青年の耳には最早、郵便屋ハーピーの言葉など届かぬようだった。 「う〜〜。手紙、手紙」 今、手紙を届けようと山の中を全力疾走している僕は、大陸を股に駆けるごく一般的な郵便屋。強いて違うところをあげるとすれば、足に忌々しい魔具が取り付いているってとこかナ。 そんな訳で、こんな山の中腹にやって来たのだった。 ズザァッ 「………」 郵便屋は孤独な仕事だ。こんな人気のない場所に一人で居ることが圧倒的に多い。お蔭で独り言や走りながら妙な事を考えるようになってしまった。 「何が悲しくて、こんな妄想を……っ」 足を止めてから森の中で盛大な自問自答。何故あんなことが頭を過ぎったのか、自分でもどうにかなりそうだった。 だがこんな所で自己嫌悪に陥っている暇はない。空を見上げる。太陽は傾き、トースト色の夕焼けが俺の頭上に広がっていた。其処で、自分は今仕事中だということを思い出す。 (くそっ。妙なことを考えた所為で足止めを食ってしまった) 「ジ ふと見ると、草むらの影に一人の少女がいた。 ウホッ! いいコカトリス。 俺はもう駄目かもしれない。 自分で自分の脳みそに絶望した瞬間、気付いた。 「!」 しまった。思わずコカトリスと目を合わせてしまっていたのだ。 コカトリスは臆病な魔物だ。人間を見付けたら一目散に逃げ、自分から襲いかかるようなことは決してしない魔物。それなのに、何故こんなにも近付いて来ていたのだろうか。偶然? だとしたら、今この瞬間にでも逃げ出してしまう筈だ。なのに彼女は、慌てた様子ながらも立ち去ろうとはしない。 そう思案を巡らせていると、そのコカトリスは僕の見ている目の前で、郵便カバンを開け始めたのだ……! ジジーッ 「や ら な い か」 草むらからぽてぽてと出てきたコカトリス、白い翼に強靭な二本の足、尻尾はトカゲのように揺らめいている。そんな姿をした見た目、十五そこらの少女は俺の郵便カバンを漁ってから此方を見上げて眉を下げた。俺は一層体が痺れ、手足からピキピキと音を立てて石化していく実感に冷や汗を垂らす。 だがそんな時、鼻を擽る妙な香りが立ち込めて来ることに気付く。その香りは俺の鼻腔を突き上げ、頭に直接作用するもののような気がした。意識が虚ろいで行く。妙に股間が熱くなり、目の前の彼女に情欲の炎を燃やしている自分に気付く。 「くぅ……はぁ、はぁっ」 「っ!? うぅ……そ、そんな目でボクを見ないでよぅ……っ」 俺の様子にたじろいだ様子で、翼を盾にし引き下がるコカトリス。顔を真赤にさせて、体のあらゆる女性の部分を翼で隠す。 俺はどうやら、危機感を抱かせるほどに危ない目をしていたらしい。 「ぬぅ……」 ジリッ 「 暫く注意深く此方を睨みながらじりじりと距離を置くと、情け無い悲鳴を挙げながら一気にぽてぽてぽてと翼と足を振り上げて草むらに消えていった。なんか、微妙な走り方だったな……。 それより、どうしよう。このまま体が動かないとなると、今日中どころか、一生郵便を届けられない。後、股間が静まらない。おかしなことに。 背後から物音が聞こえた。そうだ、郵便が届けられないとかじゃない。今の状態で魔物と出くわしたら、逃げることも出来ない。 郵便屋仲間の魔物達からは「魔物は人を食べないし、殺さない」とは聞いているが、実際魔物に遭ったと思われる人々は姿を消している。同業者を疑うわけではないが、何かあるには違いない。 ガサガサッ 俺は冷や汗が鼻に伝わるのを感じる。石化していても汗をかくものなのだろうか。まぁ、それは置いておいてだ。背後の物音、いや、足音は俺に確実に近付いている。そうと判っていても声も出せない俺は必死にもがいてみるが、勢いから地面に倒れてしまう。 幸い、体は砕け散らなかった。だが地面に耳が近づいたことでより鮮明に足音が聞こえる。そしてやがて、動けない俺の前で見慣れない靴が土を踏み締める。 必死に視線を上げる。そこにはなめし革のズボンが見えた。気配は魔物には思えない。だが、足だけに纏う気配には嫌な感じが見受けられた。 「石化死体か。石化させておいて、無責任な魔物もいたもんや」 渋い男の声が響く。言葉尻を取るようだが、俺は死んでいない。必死に動かない喉を震わせるが、彼はそんな俺の様子に気付く様子もない。 男は、目に付いたらしい、俺の荷物からはみ出ている手紙を手に取る。しゃがみこみ、その顔が近付く。鼻が低く切れ長の目。どうやら東洋人らしい。昔、ジパングから来た旅人から「飛脚」という俺と似たような郵便屋の話を聞いたことがあったのを思い出す。 男が「郵便屋か。気の毒に」と空虚に呟いたのを聞いたが、手紙を翻すと途端に顔色を変えた。 「……そうや、確か参考までに買っておいた“きんのはり”が残っていたっけ」 自分宛の手紙でも見付けたのかと思ったが、彼は手紙を郵便鞄に戻す。俺は希望を見出す。男は立ち上がり、視界の外でなにやらごそごそとし始める。 「生きているかもしれん。おーい、生きてたら返事しろー」 上でそう呼び掛けられる。俺は助けてもらいたい一心で、心の中で叫ぶ。 奴は耳に手を当てて、俺に耳を澄ます。 「へんじがない、ただのしかばねのようだ」 (おいー!?) 返事が出来るなら、とっくにしている。俺はこの男の言葉に慌てるが、その心境にすら体は反応しない。 もしこのまま魔物に襲われないとしても、何時まで石化しているのだろう。ふとそんなことを考え、想像も出来ない程の長い時間このままだと思うと、ぞっとした。 だが幸運はまだ残っていたようで、男の手には陽光に煌く“きんのはり”が握られているのが僅かに見えた。彼がその先を俺に宛がい、ぼんやりとした口調でこんなことを呟く。 「この石像、高く売れないかな……?」 助かると思った途端、こんな不吉なことを言い出されるとは、泣きたい気分だ。 「まぁ、流石に石のまま森に放置されるのは辛かろう。待っていろ、今楽にしてやる」 やったっ、そう思った瞬間。 ドブシュッ 腕に突き刺された針は、確かに俺を覆う石を貫通して体に届いた。だが、針は針だ、刺されれば痛い。思わず悲鳴を挙げたくなる程に。 「 ぱりんっ、と脆い音を立てて剥がれ飛ぶ石。俺はやっと石の呪縛から解放された。石化していた人間が生きていたと判るや否や、東洋人は頭を掻いた。 「……なんや、ホンマに生きてたんか」 なんだか随分と気に触る言い方だな。俺は取り敢えず礼を言うが、東洋人の方は俺に興味がなさそうにそっぽを向いた。俺は刺された腕から血が出ているのに気付く。少し文句を言ってやろうと口を開く。 「……もっと、丁寧に……」 「? 乱雑に扱って痛いからこそ“きんのはり”やないか。刺された痛みで筋肉が麻痺から復帰し、瞬間的な隆起によって石化を内側からぶち破る」 理屈は知らない。兎も角俺は郵便カバンを手に、構える。 「……助かった」 もう一度礼を言うと、東洋人は不意に何かを見付けたようにこう言った。 「どういたしまして。ところで、ずっとこっちを見詰めているあのコカトリスは知り合い?」 思わず彼が指差す方向に首を回しそうになった。此方を見詰めているということは、このまま向けばまた目が合うことになる。石化は兎も角、もう一度あの痛みで解放されるのは御免被る。 「……知らない……多分」 「そうか。まぁ、君に用事があるんやろうけど。……あ、そうや」 何かを閃いた様子の彼はごそごそと懐を漁ると、無骨なゴーグルを俺に手渡す。 「これ、試作品なんやけど。視線による石化を防ぐゴーグル。これをつけていれば、あのコカトリスと面と向かって話せるんやないかな?」 「……いや、別に……」 別に話すことなどない。只、もしかしたら、誰かに手紙を出したいのかもしれない。誰かに想いを届けたいというのなら、俺は拒めない。 「……俺に、何の用……?」 まずは視線も合わせずに精一杯声を挙げてみる。背後の茂みがガサガサと騒ぐ。 まさか何処かに行ってしまったのか。案の定、目の前の東洋人は首を捻る。 「あれ? どっか行ってもうた。何か用があったんじゃなかったんかなぁ?」 「………」 俺は振り向いて確かめる。茂みの傍にはコカトリスのものらしい白い羽が落ちている。 立ち去ったのなら大した用はない筈。俺は一度受け取ったゴーグルを彼に返そうとするが、東洋人は逆に迷惑そうな顔をした。 「あー……。良かったら、持っていてくれないかな?」 「え……」 「何、ほんのお礼やよ。知り合いが、いつも郵便を届けてもらっているんや。“駿足のアルダー”さんに」 「……?」 俺の名前を知っていることには驚いたが、そこは妙な縁だと思っただけであった。 「じゃあ、俺は行くから」 そう言って山の中を鼬のように去っていく。魔物に出会わなかったことは幸運だったが、あの男こそ何故こんな所に居るのだろうと後姿を眺めて不思議に思う。この場所は俺だけが知る、獣道だというのに。 やがて背後の茂みが微かに揺れたのを感じた。 さっきのコカトリスが戻ってきたのだろうか。周囲にさっきと同じような甘美な香りが立ち込める。俺は渡されたゴーグルを装着し、振り返る。 「きゃうぅっ!?」 急に振り返った俺に驚いて翼をばたつかせながら飛び上がる。そしてさっきと同じようにぽてぽてと走り去ろうとしはじめた。 しかし、その程度の速さならば断然俺の方が早い。三歩も進まない内に彼女の腕を捕まえた。細くて柔らかい腕を掴むと、彼女は「きゃふっ」と悲鳴を上げた。そういえば、コカトリスはハーピーの中でも小型の種族だと聞いたことがある。みれば、彼女の頭の高さは俺の腰ぐらいしかない。いや、俺の背が無闇に高い所為かも知れんが。 やがて頭にひらめく赤い羽根がやがて動きを止める。尻尾は俺の足の間に差し込まれ、コカトリスは顔を俯かせた。 「あぅ……。アルダーさんがボクの初めての人なんだ……。ポッ」 俺は彼女の呟きを聞き取れず首を傾げる。するとこのコカトリスは何を思ったのか、自身のお尻を俺の股間に 「!? なっ」 俺は突然のことに、思わず彼女を押し離す。彼女は白い羽をバタバタと羽撃かせてつんのめり、驚いた顔を此方に向けるのだった。 「あれ? なんでぇ……っ???」 そんな、納得行かない顔をされてもだな。 混乱している様子のコカトリスの顔を、今の内にまじまじと見詰めておく。確かに、さっき目を合わした娘だ。 取り敢えず、逃げられてしまう前に急いで用件を尋ねるのだが。 「貴様……っ!! 見ていたな……!!」 なんか何時もより低い声が出た。すると目の前のコカトリスの表情がどんどん青ざめていき…… 「きゃうわぁぁぁんっ!!?」 ガランガランッ ドテッ 「痛いっ」 必死で逃げようと翼を大きく振りながら走ろうとするが、足が縺れて転んでしまったのだった。翼を大振りにしていた所為で受身も取れず、そのまま顔面を斜面に埋める。 「……大、丈夫……か……?」 怖がらせるつもりはなかった。只、調子よく低い声が出ただけなのだ。だがそう声を掛けた瞬間ゴーグル越しに飛び込んできたのは、彼女の突き出された尻と、振られる尻尾だった。特にお尻の方は小振りで可愛い。白い羽毛に覆われているといえど、思わず目を背けた。どうしてもこの、無防備な女性のお尻を見ているというのは、背徳感を生むものだった。 暫くすると斜面の土から顔を抜き出し、コカトリスの少女は泣き喚きながら這いずり回る。 「いやぁぁ!? かもされるぅぅ……っ!?」 どうやってだ。 俺は一先ずこのコカトリス 「ひうぅぅ、もうダメだぁぁ……っ!? おかぁさぁんっ、おとぉさぁんっ……先にかもされる娘を許してぇ……っ」 いや、だからどうやってだ。 兎にも角にも落ち着かせるのが一番だ。俺は激しく取り乱す彼女になんとか語りかけてみようとする。 「うわぁぁんっ。命だけはぁぁ」 「 「! やっぱりかもすんだぁっ!? うわぁぁんっ! ゴメンね!? おとぉさん、おかぁさんっ!!」 一体、俺がどうやって君をかもすんだ、と言ったつもりだったが、彼女の悲鳴で都合よく音が掻き消されてしまったらしい。ていうか、かもすって何よ。 相変わらず大音量で泣き叫んで逃げようとするコカトリス。尻尾を握られているお蔭で前に進めていないことにも気付かず、地面を這いずって逃げようとする。俺はつくづくうんざりしてきて、肩に掛けてあった郵便カバンを振りかぶり。 バスンッ 「痛いっ」 一先ず落ち着いたようすの彼女と向き合う俺。いつの間にか辺りは夜中になってしまっていた。 焚き火を囲み、向かい合わせに座る。俺はコカトリスの魔力で石化しないようにゴーグルを常時装着していた。 干し肉を歯でしがむ。眉を下げ、居心地悪そうにしているこのコカトリスに改めて話を切り出す。 「……俺に……何の用件……?」 「(ビクッ)ひぅ……っ」 声を掛けただけでこんなに驚かれては話し掛けづらい。後ろから肩をぽんと叩かれただけで心臓が止まるんじゃないのかこの娘は。だが彼女、コカトリスは太股の間をもじもじとしながら、上目遣いに俺の様子を頻繁に伺ってくるのだった。 「……あ、ああああのぉ」 「………」 「きゃうぅ……や、やっぱり怖い……っ!?」 急に体を曲げて涙ぐむ彼女。ふむ、どうやら沈黙していても怯えられるらしい。 思わず心中で悪態を吐いてしまうが、諦めずに話し掛けてみる。 「……怯えなくて……いいから……。何もしない……マジでぇ」 最後なぜか若者口調になってしまったが、俺の言葉に耳を傾けられるほど冷静にはなってくれていたようだ。彼女は体を向けて、眉毛を垂らす。 「うぅ……あ、あの! しゅ、“駿足のアルダー”さんだよねげふんげふんっ!?」 タイミング悪く風向きが変わり、焚き火の煙が彼女の目鼻喉を刺激したようだ。激しく咳き込みはしたが、話の殆んどは語ってくれたので“気さくに”こう返す。 「……ああ」 「……な、ななななんかっ、怒ってます……っ???」 翼で体に壁を作る彼女。別に怒ってなどいないぞ、失礼な。折角気さくに返事をしたと言うのに。好感度アップはすれど、変なイメージは持たない筈だぞ。 だが取り敢えず会話の突破口は開かれた訳だ。このチャンスを逃すまいと、続けて話を聞き出す。 「……それで?」 「あう……そ、それで……? あ、あの、その。偶々見掛けたから、お話出来ないかなー……なんて思って。それでちょっと近付いてみたら、目っ、目が合っちゃって。お、お仕事、邪魔するつもりじゃなかったんだけど……石になっちゃったから、近付いて……。“きんのはり”がないかと思って、カバン、漁ったの。あ、もしかしたらやられるかもなんて思っちゃって、実はちょっと怖かったんだけど……。石化してるから“やらないか”と思って」 そうたどたどしく捲くし立てる少女。俺は話を聞いて一先ず頷く。兎に角、ウホッとは関係のない“やらないか”だったようだ。 「その! 謝ろうと、思って。でも、傍に寄ったら大変だし……その、アルダーさんに、彼女とか居るのかなって、思ったし……居たら、悪いかなって――」 「? ……彼女……募集中」 何故そんなことを気に掛けられたのか判らないが、一応彼女など居ないことを告げる。 あれ? なんだかおかしな言い回しになったぞ。……まぁいいか。 すると彼女は初めて俺に、泣き顔と困り顔以外の表情を見せてくれたのだった。 「……良かった」 「? 何、が……?」 「……へ? あっ、いや、そのぉ……えへへ」 笑って誤魔化すコカトリス。どうやら俺にも慣れてきてくれたようだ。 「ボ、ボクっ! ペトロシカって、言うの……。み、見ての通り、コカトリスだけど……」 「……俺は……アルダー=エセーニン……。……郵便屋、さん」 「(自分でさん付けするんだ?)うん、知ってるよ。知り合いの子達が何時もアルダーさんの影だけ見ているから。この山、よく通るでしょ?」 俺は頷く。この山はステベックに続く近道なのだ。走っている途中魔物の横を通り過ぎることはよくある。彼女達にとって、俺は影としてしか把握されていないらしい。 「で、でも驚いたよ……! アルダーさんが足を止めているところなんて、初めて見た……! 仲間に自慢できるよっ」 この山の魔物達にとって俺は何かの珍獣扱いらしい。そこらへんは引っ掛からないわけでもなかったが。俺は干し肉を飲み込んでから尋ねてみる。 「? ……影だけ」 「あ、ボクはいつも山の入り口で見ているから、アルダーさんの顔は判ってたよ?」 「……そうなのか」 いつも。そういえばいつも山に入るとき、誰かの視線を感じていた。それに身体が少し痺れる気もしていたのだが、どうやら全て彼女の仕業だったらしい。 「……何か、面白いか?」 「へ? ああ、アルダーさんが凄まじい勢いで町から飛び出してくるの?」 それを聞きなおすと、ペトロシカは羽を大きく広げて立ち上がり、興奮した様子で語るの。 「すっごく面白いよ! なんで人間なのにあんなに足が早いのかって、いつも不思議に思っているもんっ」 「そ、そうか……」 といわれても、足が速くなっているのはこの足に取り付いた魔具の所為なんだが。そう思っているとペトロシカも俺の足に気付いたらしい。 「ところでそれって、足が速くなる靴か何か?」 こくりと俺が頷くと、ペトロシカはもの欲しそうな瞳で俺の足を見詰め始める。さっきまで俺に怯えていたと言うのに、この歪な悪魔の臓器ともいえる靴からは一時も目を逸らさない。 「へぇ……。ね、ねぇ? それがあれば、ボクでもアルダーさんみたいに足が速くなるかな?」 突然そう尋ねられてしまい、戸惑ってしまった。何せ此れは…… 「 頷く。ペトロシカは眉を下げ、視線を泳がして残念そうに振舞う。 「そっか。呪いなんだね。まぁ、仕方ないか」 そうだ。昔、悪の魔術師に攫われて無理矢理取り付けられてしまったものなのだ。まぁ、その話は今はいいだろう。お蔭で今郵便屋として生きていられるのだから。 「むぅ。ボクも足が速くなりたいなぁ」 ポツリとそんなことを言ったペトロシカ。俺が首を傾げると、ペトロシカは自分からこう語り始める。 「実はボク、コカトリスなんだけど、走りが遅くって。いっつも男の人と出会うと、先ず間違いなく捕まっちゃうんだよね」 「? 捕まる……追われてる?」 「ああ、ボク等、未婚……ていうか、処女のコカトリスは、いつも男の人を誘うフェロモンを出しててさ。それを嗅いだ男の人は無性にかもし……じゃなくて、交尾したくなるんだよ」 その話を聞いて、石化した途端俺の理性が飛びそうになった説明は付いた。しかし、良く襲われているのなら処女ではないのではないか。ペトロシカは俺の考えていたことが判ったらしく、自ら答えるのだった。 「それがボク、襲われそうになると、つい相手を睨んじゃって。う、奪われる前に石化させちゃうの。普通、皆は怖くて目を瞑っているか、バックでされるらしいんだけど……」 目を瞑るのは、相手を石化させないという配慮だろう。フェロモンによって夫を見つけ出す性質なだけあって、逃げ出すのはより強いオスを選別する為のものなのだろう。臆病という性格は、その性質を上手く活用するための本能だったらしい。 ていうか、理性を失った相手に目を瞑ってされるがままって、考えたらもの凄く……アレだな。アウトだな。ちょっと鼻頭を押さえる。ペトロシカはじっと俺を上目遣いで見詰めた後、頬を染めた。 「……もしかして今、エッチなこと考えた?」 「………」 なんでそんなに俺の思考が読めるんだ。俺は、人間同士ですら意思の疎通が難しいとか言われるのに。なんで出会ったばかりのこの娘と意思の疎通が出来るのか不思議だ。俺はそれに少し嬉しくもあり、不気味にも思った。 するとペトロシカはまた俺の思考を読んでか、少し言い辛そうにしながら口を開く。 「処女コカトリスの中で、男の人に襲われても受け入れないのはボクだけだよ」 「……?」 俺が目線で「何故?」と聞いてみる。するとそれを察してか知らずか、自然にこんな返答がくるのだった。 「だって 頬を染め、そっと上目遣い。翼を胸元に寄せて隠してはいるが、胸元や鎖骨の隆起を俺に見せつけるように体を傾けさせていた。目元には多少の怯えが見えるが、同時に獣染みた強欲さが垣間見えている。 「ボ、ボクが一目惚れしたその人の為に、処女はとってあるんだっ。だから、他の男の人がいくらボクのこと好きだって言ってきても、あげないつもり」 操を立てているということか。だがそうも言いながら、何処かトロンとした瞳で俺に擦り寄ってくるペトロシカ。コカトリスのフェロモンが濃くなったのを感じて身じろぐが、どういうわけか先程の様に理性は保たれたままだった。 「さっきボク、足が速くなりたいって言ったよね。でも、もういいや」 「……な、何故……?」 ペトロシカが俺を見上げて口の端を持ち上げる。 「ボクの処女は 次の瞬間、がばっと翼で覆い被せられる。予兆こそあれ、臆病な筈のコカトリスがこんな大胆な行動に移るとは誰が予測出来ただろうか。 俺は不覚にも、彼女の小さな薄紅に唇を奪われてしまう。暖かい熱が口を蹂躙する。それを契機に、彼女の翼は俺の首に回される。彼女は顔を近付けて、耳元にこう囁く。 「いつもあの町から出てくるアルダーさんのこと、見てたんだよ? すっごく足が速くて、素敵だった。なんどもなんども山の入り口に立って、アルダーさんの走りを一瞬でも見られたら、ボクは凄く幸せな気分になったんだよ……っ?」 凄く真剣で、甘えるような瞳を近付けられる。本来ならばなんて幸運なことだろうと思うのだろうが、やっていることが少しストーカーの域ではないだろうか? だがそう思ったことすら見抜かれているらしく、こう続けるのだ。 「あ〜、酷いなぁ。ボク、真剣にアルダーさんのこと好きなのに。……」 小悪魔な笑顔を垣間見せるペトロシカ。だが、何かに耐えられなくなったのか、終いには目に光るものが溜まっていくのだった。 「……ボ、ボクだって、遠くからアルダーさんを見詰めているだけなんて陰湿なことしたくなかったよっ。でも、でも……ボク、足が遅いから、アルダーさんに追いつけないし……こばっ、拒まれたくなかったから……ひぐっ」 ペトロシカは素直に俺から体を離す。目に涙を一杯溜めて、気不味そうに俺から離れた。どうやら、彼女にとって自分から相手にアタックするのは、天地をひっくり返す程の勇気が問われる行為だったらしい。 掛ける言葉も見付からず、静かに乱れた服を調える。すると彼女は、今度はこんなことを言い始めたのだった。 「ゴメンね。ボクのやってることって、独りよがりだよね。自分から襲っておいて、最後まで遣り通す勇気もないや……」 悔し涙か、それとも……。兎も角泣きながら許しを請うペトロシカに、俺は言う。 「……ごめん……応え、られない」 彼女はこの返答すらも読み取っていたのかもしれない。涙を翼で拭いて首をふるふると振った。 「ううん。ボクが勝手に暴走しただけだから、謝らなくていいよ。それにアルダーさんは、やっぱり人間の女の人の方がいいんでしょ?」 「……それは……違う……」 「え?」 いや、だからといって絶対魔物が良いという変態でもない。只、自分にとって人生のパートナーとなるべき人は、無口で表現が下手な俺だけれども、一番に俺を理解してくれる人を望んでいる。それならば、人間だろうと魔物だろうと、問わない。だけど、前述したとおり、俺は言葉が上手くないから、その辺りの部分を誤解されてしまっているかもしれない。 ただし、例え俺に恋人が出来ようとも、俺は郵便屋だ。しかもその中でも他の仲間が行けないような所、危険な所専門の、だ。家庭を持ってもそこに帰ってくる暇はないだろうし、下手をすればどこの土で骨になっているか知れない身だ。 そんな俺が、無責任に君みたいな可愛い娘を貰うわけにはいかない。そう言いたかったが、口が絡まってしまい、妙な発音になってしまう。 結局ペトロシカは俺の想いに気付くことはなく、意気消沈して項垂れるのだった。 「ねぇ、アルダーさんは、なんで郵便屋さんなんか始めようと思ったの?」 俺は過去を回顧してみる。子供の頃から言葉に拙い俺が見付けた、思いを伝える手段こそが手紙だったことを思い返す。 「……言葉は、むずかしい」 「うん」 「でも……文字は、伝わる」 「……うん」 「だから、届ける仕事……誇りに……思っている」 「……うん?」 思いを伝える手段として郵便というものを知ってから、それに携わる仕事をしたいと思ったのが切っ掛けだ。特に、足の速さが活かせる配達員に成ろうと決めたのだ。 「な、なるほどねぇ。よく判ったよ。(なんとなくだけど。)……でも、大変じゃない?」 彼女は俺の話に一々頷いてくれて、最後にそう気遣ってくれる。俺の郵便カバン 「お手紙が一杯。これ全部ステベックの?」 「……いや……そういうわけ、では……」 彼女の持っている手紙はステベックに届けるものではない。ある事情があって、ずっと持ち運んでいる郵便物なのだ。 そこでふと、何か大切なことを忘れている気がしてきた。自分の足元に目線を落としてみると、郵便カバンから毀れたらしい一通の手紙が落ちている。なんだか、見覚えのある便箋だ。水色が鮮やかで、紙も新しい。 そして、町を出る前のやり取りを急に思い出す 『……もう、行って良いか……? “今日中に”届ける……郵便があるんだ……』 「っ ! ! ! ! ! ! ! ! ! ?」 ――体中に電流が走った。 突然立ち上がった俺に驚いたようすのペトロシカ。だがぶっちゃけ俺の方が驚いている。そういえば、今日中に届けなければならない郵便があったのだ。 空を見上げる。今は夜。約束は日付が変わるまで。 俺は郵便カバンを肩に袈裟掛ける。そのあわただしいようすを見て、ペトロシカが何かを察したのか、申し訳なさそうな顔をした。 「も、若しかして、急ぎのお仕事があったのっ? ゴメンッ。ボクが無理に引き止めた所為で……」 「いや……」 彼女は悪くない。完全に忘れていた俺が悪いのだ。どうやら出る直前に“明日まで”の郵便を預かったのが勘違いの原因らしい。 非常に不味い。此れだけ夜が更ければ、俺の足でももう先方が寝てしまっている頃に着くことになるだろう。いや、それは直線距離での話。間に合うなんていうのは余程ましな話だ。関所で手続きがもたつけば更に遅くなるし、最悪、関所が閉まっていた場合なんて考えたくもない。 俺は慌てて出立の準備をし始める。火を消して、野宿の為の魔物除けテントを片付け、干し肉を仕舞い込む。 そんな時、ペトロシカが急に声を上げた。 「そうだっ」 ペトロシカがその鶏冠の様な赤い羽根をピンと立て、俺を凛と見上げる。 「確か、目的地はステベックだったよね? 実は、ボク達魔物にしか知らない近道があるんだけど。そこだったらもうステベックには直ぐだよっ」 それを聞いて思わず手が止まり、希望が湧き上がる。が、直ぐに脇が冷え込むのを感じた。 「……そういえば……なんで、(俺がステベックに行くと)判る?」 「え? だってボク、アルダーさんの目を見ればなんでも判るから……」 それ、凄く怖い気がするんですけど。だが直ぐに「冗談だよ」と言って笑ってくれる。 「言ったでしょ。ここはステベックへの近道だって。何も、アルダーさんだけの道じゃないんだから」 「……そうか……」 「うんっ。直ぐに案内するよ! アルダーさんが届け遅れるなんて大変!」 まるで俺の手伝いを果たすのが喜びのように翼を羽撃かせるペトロシカ。だがその足取りは目に見えて遅い。俺は、本当に大丈夫なのか、と半信半疑ながらも、黙って彼女の後を付いていくのだった。 |
【メモ-人物】
“アルダー=エセーニン”-1 郵便屋の19歳。身長193cmの細型。 人と話すのが不得意。その為、口に出さなくても想いを伝えられる手紙に関わる仕事を始めた。 口下手だが、頭の中では饒舌。 昔、悪の魔術師に捕まり、足に魔導具を装着させられて以来俊足になった訳だが、その件に関して今後特に触れられることはない。 大陸を股にかけるその足の速さは最早素早さチートと呼ぶに相応しい。 09/12/25 23:56 Vutur |