蛇嫁の嫉妬 〜エキドナ〜
とある日曜日。
「これで、チェックメイトだ。
悪いな、レアード」
前進する白のルーク。
黒のキングは、逃げ場を無くす。
「ああっ…
急に強くなったなぁ、ジェイク」
前は、余裕で勝てたのに…
「この前、お客のヴァンパイアとチェスをしてね。
それが強いのなんの。
でもって、ちょっとだけご教授願った訳だよ」
「リトリアさんは不機嫌だった と」
「オチを言うなよ」
「「ハハハッ」」
二人して笑いあう。
「入るぞ、ジェイク」
カランカラン…
扉の鈴を鳴らし、男が部屋に入ってくる。
男は、友人のエーカーだった。
そのエーカーの手には、何やら袋が握られている。
「レアードも一緒か、手間が省けた。
珍しく、嫁さん居ないな、ジェイク」
「お、エーカー。チェスはどうだ？
リトリアは、こいつの家でアップルパイの作り方を教わってるよ。
それで、俺たちはチェスをして待ってる」
「良いねぇ、お前ら。
相変わらず、色恋沙汰には無縁な彫金師だ、俺は。
なんでお前らみたいにモテないのかねぇ…
それはさておき、良い物を持ってきた」
ため息をついた後、ニヤリと笑い、テーブルの上に、エーカーは袋の中身を広げ始める。
「お、なになに…？」
ジェイクが机の上に身を乗り出す。
「ホルスタウロスの牛乳とチーズだ。
品薄なのが、幸運にも手に入った。
俺も食べたことは無いんだが、とにかく美味いらしい。
で、せっかくなんで、お前らにも分けてやろうって訳だよ。
まあ、一本と一切れずつしかないんだけどな。
ほれ、飲め、食え」
牛乳瓶とチーズを渡される。
牛乳瓶には、デフォルメされたホルスタウロスのラベル。
「なあ、エーカー。
嫁がラミアだって事、分かってるよな…？」
「勿論。
飲んでみたいのに、飲めなかったんだろ？
乳製品好きだもんな、お前」
「…よく分かってるじゃないか」
「いぇーい」「うぃーす」
ハイタッチを交わす二人。
「バレたら大目玉だなぁ…
まあ、俺には関係ないけどね。リーシャは優しいから」
「嫁自慢も大概にしろ。
せっかくの精力剤も、相手が居ない俺はだな…
お、美味い、美味い」
チーズを口にしつつ、エーカー。
まあ、お前にもそのうちいい人が現れるさ。
「これは…
今までに食べたどのチーズよりも…美味い。
うん、ダントツだ…
これは、リトリアに隠れて食べる価値は有る。
断言できるね」
チーズを口にしつつ、ジェイク。
「いただきます。
…これは、美味しいな。
今度売ってたら、リーシャと一緒に食べよう」
チーズを口に運ぶ。
濃厚な旨みと、仄かな甘味。
しかし、クドくはなく、寧ろ、後味はあっさりしている。
癖は、無い。
「それじゃ、牛乳を飲もうぜ」
全員がチーズを食べ終えた後。
牛乳瓶を手に取るエーカー。
「「そうしようか」」
エーカーの提案に、二つ返事。
俺も、牛乳瓶を手に取る。
「それじゃ、乾杯」
「「乾杯」」
各々、牛乳を飲み始める。
口の中に、牛乳の甘みを何倍にもしたような、そんな味が広がる。
美味しいけど、ちょっと甘みがくどいかなぁ…
カランカラン…
扉の鈴が鳴る音。
「ジェイクー、アップルパイ出来たわよー！」
「レアードさん、アップルパイですよ…」
最初に、アップルパイの乗った皿を持ったリトリアさんが、そして、リーシャが、家の中へと入ってきた。
「「「「「……………」」」」」
沈黙が、部屋を支配する。
俺とジェイク、エーカーはまだ牛乳を飲んでいる最中。
一瞬硬直するが、飲み干し…
牛乳瓶を持ったまま、硬直。
そして、リーシャとリトリアさんは、俺達の手に持たれた、牛乳瓶、それのラベルを注視していた。
「ジェイク…何を、飲んでいるのかしら？」
ホルスタウロスの牛乳を飲んでいた事に気づいたリトリアさんが、
怒り心頭といった表情でジェイクを問い正す。
「牛乳…です」
戦々恐々と言った顔で、ジェイクが呟く。
蛇に睨まれた蛙とは、この事か…
「いいえ、それはホルスタウルスの『母乳』よ。
こっちに来なさい、ジェイク」
二階の寝室へと連行されていくジェイク。
…ご愁傷様。
「…お開きか。
御邪魔しました」
牛乳瓶を回収し、家を去っていくエーカー。
お前のせいでジェイクが…
いや、乗ったあいつも悪いんだけど…
「レアードさん…家に、帰りましょう…
お話が有りますから…ね…？」
後ろから、リーシャの声。
いつもの、優しい微笑みを浮かべて…
眼が、笑っていない。
…怒っている。
あのリーシャが、怒っている。
…嘘だろ？
ただならぬ物を彼女から感じた俺は、ただ、黙って、彼女に従い。
家に帰った。
「ホルスタウロスの『母乳』は、美味しかったですか…？」
ベッドの上で、俺を膝枕のように、俺の頭を下半身に乗せ、彼女は尋ねる。
その声には、ただならぬ嫉妬の響き。
ああ、やっぱり怒っている。
なんであんな事を…
「牛乳は、美味しかった…」
頭を撫でる手が、今は怖い。
『母乳じゃなくて牛乳として飲んだ』
とは言いたいが言えない。怖い。
「そう、ですか…
レアードさん。
ホルスタウロスの『母乳』なんかより、私のおっぱいが飲みたいですよね…？
きっと、私の方が美味しいですよ…？」
有無を言わさぬ微笑み。
「…はい」
当然、彼女の言葉を肯定するしかなかった。
…母乳出ないのに。
おっぱい吸ってるけど、いまだに出ないのに。
「そうですよね、私のが飲みたいですよね…
ふふ…いい子です、レアードさん…」
そう言って、彼女は胸元をはだけさせ、大きく、張りのある、青がかった美しい乳房を露出させる。
「レアードさんが頑張って吸えば、きっと出ますから…ね？」
「うん…」
恐る恐る、桜色の乳首を口に含む。
「あっ…
たっぷり吸ってくださいね、レアードさん…
あんっ…」
言われたとおりに、乳首を吸い上げると、甘い声を上げる彼女。
口に含んだ乳首は、既に固く、尖っていた。
彼女は俺に巻きついて動きを封じ、
尻尾の先で、股間のテントをゆっくりと擦ってくる。
「今日は、おっぱいが出るまで、吸ってくれますよね…？」
いつもどおりの優しい口調で、責めるように、彼女が言う。
「…うん」
いつ母乳が出るとも分からないのに、頷いてしまう。
彼女に逆らえないこの状況。逆らえないという事自体に、なぜか興奮を覚えてしまいながら、彼女への奉仕を続ける。
「ん、あぁっ… あんっ… 甘噛みするなんて…」
乳首を、舌の上で転がし、突付き、舐め回し、甘噛み。
乳首を愛撫するたびに、彼女は身体を震わせる。
そして、それに対するお返しのように、彼女は尻尾の先でカリをなぞり、亀頭を撫で、ホルスタウロスの牛乳の作用でいつもより固く張り詰めた肉棒を、服越しに責め立てる。
下半身にこみ上げる、熱い快感。
それが高まり、吐き出される寸前。
責めが、止む。
「え…」
生殺しの快感。
後もう少しで絶頂へと向かえるのに、一撫でなのに…
彼女は、それをしてくれない。
初めて彼女に射精を寸止めされ、
呆気に取られた俺は、乳首から口を離し、彼女を見上げる。
「レアードさん、どうしたんですか…？
おっぱいが出るまで吸ってくれるんですよね…？」
そう言って微笑み、俺を見つめる彼女。
しかし、その目はじっとりと据わっている。
「ああ…うん…」
リーシャの視線にぞくぞくとした物を感じながらも、『イかせて』とも言えず、再び、彼女の乳首に吸いつく。
そして、彼女も再び、張り詰めた肉棒を、撫で回し始める。
俺がイキそうになるたびに、彼女は愛撫を止め、
寸止めに気を取られた俺が乳首を吸う事をおざなりにすると、
脚と上半身に巻きついた尾が、きゅっと俺を絞め上げて、催促してくる。
下半身に力を入れて、無理矢理自力で射精に近づこうとしても、
彼女はそれを見透かし、俺が力を入れることによって、逆に自分で自分を焦らす形になるようにして、
俺を決してイかせてくれない。
彼女の支配下に置かれた俺に出来ることは、彼女の満足を待つ事だけ。
ただ、それだけだった。
…どれだけ経ったんだろうか。
彼女は数えきれないほど絶頂に達しているというのに…
未だに、俺は一度もイかせて貰えていない。
いてもたっても居られなくなり、彼女の乳首から口を離す。
「イかせて…」
縋るような声で、彼女に懇願する。
即座に身体を絞め上げられるが、もう、そんな事より、イきたい。
イきたいんだ。
「おっぱいが出るまで吸ってくれると言いましたよね…？
ふふふっ…だいぶ張ってきましたから…
そろそろ、出るかも知れませんよ…？」
微笑みを崩さず、容赦なく、彼女は俺を絞め上げる。
イかせてもらえない。それなのに、何故かぞくぞくしてしまいながら、彼女の乳首を吸う。
吸い上げて、吸い上げて…ただひたすらに、彼女の乳首を吸い上げる。
愛しい妻の機嫌を直すために、精一杯。
「ふぁ…あぁん…
出ちゃいそうです、出ちゃいそうです…！
ぁぁぁあああぁぁぁぁぁぁぁ…！」
絶頂に達した彼女は、身体を大きく弓なりに反らせ、俺の身体を絞めつけ、
その胸に、強く俺の頭を押し付ける。
そして、口の中に、彼女の母乳が流れこんでくる。
彼女の母乳は、とても柔らかく、蕩けるように甘く。
舌を、優しく包みこみ、優しい香りが広がる。
ホルスタウロスの牛乳とは比べものにならないぐらいに、美味しい。
…もっと、飲みたい。
射精する事は既に意識の外。
意識は、この至福の味に埋め尽くされていた俺は、
無我夢中で彼女の乳首に吸いつく。
「ぁ…
私のおっぱい、美味しいですか…？」
『美味しい』の言葉の代わりに、喉を鳴らし、母乳を飲む。
「ふふ…愛情たっぷりですから…
赤ちゃんみたいで可愛いですよ、レアードさん…」
満足気にそう言う彼女の声は、いつもどおりの優しげな声だった。
「あら…？」
不意に、下半身にこみ上げる感覚。
彼女に寸止めされていたはずなのに、
彼女は肉棒を刺激していないのに、迸る精液。
「イっちゃうぐらい美味しかったんですね…
嬉しいです、レアードさん…」
感極まった様で彼女が言うまで、
それが、彼女の母乳を飲むことによって引き起こされたと気づかなかった。
「気が済むまで、いっぱい吸ってくださいね、レアードさん…
ふふふ…やっぱり可愛いです…
愛していますよ…」
すっかり機嫌を良くした彼女。
いつの間にか、赤子にするように、俺を抱いてくれている。
あれだけ焦らされた事は、もうどうでも良くなっていて。
いつものように、彼女は俺を優しく抱いて、安心させてくれる。
いつものように、俺は彼女に身体を預ける。
安らぎの中で飲む母乳の味は、幸せその物だった。
「これで、チェックメイトだ。
悪いな、レアード」
前進する白のルーク。
黒のキングは、逃げ場を無くす。
「ああっ…
急に強くなったなぁ、ジェイク」
前は、余裕で勝てたのに…
「この前、お客のヴァンパイアとチェスをしてね。
それが強いのなんの。
でもって、ちょっとだけご教授願った訳だよ」
「リトリアさんは不機嫌だった と」
「オチを言うなよ」
「「ハハハッ」」
二人して笑いあう。
「入るぞ、ジェイク」
カランカラン…
扉の鈴を鳴らし、男が部屋に入ってくる。
男は、友人のエーカーだった。
そのエーカーの手には、何やら袋が握られている。
「レアードも一緒か、手間が省けた。
珍しく、嫁さん居ないな、ジェイク」
「お、エーカー。チェスはどうだ？
リトリアは、こいつの家でアップルパイの作り方を教わってるよ。
それで、俺たちはチェスをして待ってる」
「良いねぇ、お前ら。
相変わらず、色恋沙汰には無縁な彫金師だ、俺は。
なんでお前らみたいにモテないのかねぇ…
それはさておき、良い物を持ってきた」
ため息をついた後、ニヤリと笑い、テーブルの上に、エーカーは袋の中身を広げ始める。
「お、なになに…？」
ジェイクが机の上に身を乗り出す。
「ホルスタウロスの牛乳とチーズだ。
品薄なのが、幸運にも手に入った。
俺も食べたことは無いんだが、とにかく美味いらしい。
で、せっかくなんで、お前らにも分けてやろうって訳だよ。
まあ、一本と一切れずつしかないんだけどな。
ほれ、飲め、食え」
牛乳瓶とチーズを渡される。
牛乳瓶には、デフォルメされたホルスタウロスのラベル。
「なあ、エーカー。
嫁がラミアだって事、分かってるよな…？」
「勿論。
飲んでみたいのに、飲めなかったんだろ？
乳製品好きだもんな、お前」
「…よく分かってるじゃないか」
「いぇーい」「うぃーす」
ハイタッチを交わす二人。
「バレたら大目玉だなぁ…
まあ、俺には関係ないけどね。リーシャは優しいから」
「嫁自慢も大概にしろ。
せっかくの精力剤も、相手が居ない俺はだな…
お、美味い、美味い」
チーズを口にしつつ、エーカー。
まあ、お前にもそのうちいい人が現れるさ。
「これは…
今までに食べたどのチーズよりも…美味い。
うん、ダントツだ…
これは、リトリアに隠れて食べる価値は有る。
断言できるね」
チーズを口にしつつ、ジェイク。
「いただきます。
…これは、美味しいな。
今度売ってたら、リーシャと一緒に食べよう」
チーズを口に運ぶ。
濃厚な旨みと、仄かな甘味。
しかし、クドくはなく、寧ろ、後味はあっさりしている。
癖は、無い。
「それじゃ、牛乳を飲もうぜ」
全員がチーズを食べ終えた後。
牛乳瓶を手に取るエーカー。
「「そうしようか」」
エーカーの提案に、二つ返事。
俺も、牛乳瓶を手に取る。
「それじゃ、乾杯」
「「乾杯」」
各々、牛乳を飲み始める。
口の中に、牛乳の甘みを何倍にもしたような、そんな味が広がる。
美味しいけど、ちょっと甘みがくどいかなぁ…
カランカラン…
扉の鈴が鳴る音。
「ジェイクー、アップルパイ出来たわよー！」
「レアードさん、アップルパイですよ…」
最初に、アップルパイの乗った皿を持ったリトリアさんが、そして、リーシャが、家の中へと入ってきた。
「「「「「……………」」」」」
沈黙が、部屋を支配する。
俺とジェイク、エーカーはまだ牛乳を飲んでいる最中。
一瞬硬直するが、飲み干し…
牛乳瓶を持ったまま、硬直。
そして、リーシャとリトリアさんは、俺達の手に持たれた、牛乳瓶、それのラベルを注視していた。
「ジェイク…何を、飲んでいるのかしら？」
ホルスタウロスの牛乳を飲んでいた事に気づいたリトリアさんが、
怒り心頭といった表情でジェイクを問い正す。
「牛乳…です」
戦々恐々と言った顔で、ジェイクが呟く。
蛇に睨まれた蛙とは、この事か…
「いいえ、それはホルスタウルスの『母乳』よ。
こっちに来なさい、ジェイク」
二階の寝室へと連行されていくジェイク。
…ご愁傷様。
「…お開きか。
御邪魔しました」
牛乳瓶を回収し、家を去っていくエーカー。
お前のせいでジェイクが…
いや、乗ったあいつも悪いんだけど…
「レアードさん…家に、帰りましょう…
お話が有りますから…ね…？」
後ろから、リーシャの声。
いつもの、優しい微笑みを浮かべて…
眼が、笑っていない。
…怒っている。
あのリーシャが、怒っている。
…嘘だろ？
ただならぬ物を彼女から感じた俺は、ただ、黙って、彼女に従い。
家に帰った。
「ホルスタウロスの『母乳』は、美味しかったですか…？」
ベッドの上で、俺を膝枕のように、俺の頭を下半身に乗せ、彼女は尋ねる。
その声には、ただならぬ嫉妬の響き。
ああ、やっぱり怒っている。
なんであんな事を…
「牛乳は、美味しかった…」
頭を撫でる手が、今は怖い。
『母乳じゃなくて牛乳として飲んだ』
とは言いたいが言えない。怖い。
「そう、ですか…
レアードさん。
ホルスタウロスの『母乳』なんかより、私のおっぱいが飲みたいですよね…？
きっと、私の方が美味しいですよ…？」
有無を言わさぬ微笑み。
「…はい」
当然、彼女の言葉を肯定するしかなかった。
…母乳出ないのに。
おっぱい吸ってるけど、いまだに出ないのに。
「そうですよね、私のが飲みたいですよね…
ふふ…いい子です、レアードさん…」
そう言って、彼女は胸元をはだけさせ、大きく、張りのある、青がかった美しい乳房を露出させる。
「レアードさんが頑張って吸えば、きっと出ますから…ね？」
「うん…」
恐る恐る、桜色の乳首を口に含む。
「あっ…
たっぷり吸ってくださいね、レアードさん…
あんっ…」
言われたとおりに、乳首を吸い上げると、甘い声を上げる彼女。
口に含んだ乳首は、既に固く、尖っていた。
彼女は俺に巻きついて動きを封じ、
尻尾の先で、股間のテントをゆっくりと擦ってくる。
「今日は、おっぱいが出るまで、吸ってくれますよね…？」
いつもどおりの優しい口調で、責めるように、彼女が言う。
「…うん」
いつ母乳が出るとも分からないのに、頷いてしまう。
彼女に逆らえないこの状況。逆らえないという事自体に、なぜか興奮を覚えてしまいながら、彼女への奉仕を続ける。
「ん、あぁっ… あんっ… 甘噛みするなんて…」
乳首を、舌の上で転がし、突付き、舐め回し、甘噛み。
乳首を愛撫するたびに、彼女は身体を震わせる。
そして、それに対するお返しのように、彼女は尻尾の先でカリをなぞり、亀頭を撫で、ホルスタウロスの牛乳の作用でいつもより固く張り詰めた肉棒を、服越しに責め立てる。
下半身にこみ上げる、熱い快感。
それが高まり、吐き出される寸前。
責めが、止む。
「え…」
生殺しの快感。
後もう少しで絶頂へと向かえるのに、一撫でなのに…
彼女は、それをしてくれない。
初めて彼女に射精を寸止めされ、
呆気に取られた俺は、乳首から口を離し、彼女を見上げる。
「レアードさん、どうしたんですか…？
おっぱいが出るまで吸ってくれるんですよね…？」
そう言って微笑み、俺を見つめる彼女。
しかし、その目はじっとりと据わっている。
「ああ…うん…」
リーシャの視線にぞくぞくとした物を感じながらも、『イかせて』とも言えず、再び、彼女の乳首に吸いつく。
そして、彼女も再び、張り詰めた肉棒を、撫で回し始める。
俺がイキそうになるたびに、彼女は愛撫を止め、
寸止めに気を取られた俺が乳首を吸う事をおざなりにすると、
脚と上半身に巻きついた尾が、きゅっと俺を絞め上げて、催促してくる。
下半身に力を入れて、無理矢理自力で射精に近づこうとしても、
彼女はそれを見透かし、俺が力を入れることによって、逆に自分で自分を焦らす形になるようにして、
俺を決してイかせてくれない。
彼女の支配下に置かれた俺に出来ることは、彼女の満足を待つ事だけ。
ただ、それだけだった。
…どれだけ経ったんだろうか。
彼女は数えきれないほど絶頂に達しているというのに…
未だに、俺は一度もイかせて貰えていない。
いてもたっても居られなくなり、彼女の乳首から口を離す。
「イかせて…」
縋るような声で、彼女に懇願する。
即座に身体を絞め上げられるが、もう、そんな事より、イきたい。
イきたいんだ。
「おっぱいが出るまで吸ってくれると言いましたよね…？
ふふふっ…だいぶ張ってきましたから…
そろそろ、出るかも知れませんよ…？」
微笑みを崩さず、容赦なく、彼女は俺を絞め上げる。
イかせてもらえない。それなのに、何故かぞくぞくしてしまいながら、彼女の乳首を吸う。
吸い上げて、吸い上げて…ただひたすらに、彼女の乳首を吸い上げる。
愛しい妻の機嫌を直すために、精一杯。
「ふぁ…あぁん…
出ちゃいそうです、出ちゃいそうです…！
ぁぁぁあああぁぁぁぁぁぁぁ…！」
絶頂に達した彼女は、身体を大きく弓なりに反らせ、俺の身体を絞めつけ、
その胸に、強く俺の頭を押し付ける。
そして、口の中に、彼女の母乳が流れこんでくる。
彼女の母乳は、とても柔らかく、蕩けるように甘く。
舌を、優しく包みこみ、優しい香りが広がる。
ホルスタウロスの牛乳とは比べものにならないぐらいに、美味しい。
…もっと、飲みたい。
射精する事は既に意識の外。
意識は、この至福の味に埋め尽くされていた俺は、
無我夢中で彼女の乳首に吸いつく。
「ぁ…
私のおっぱい、美味しいですか…？」
『美味しい』の言葉の代わりに、喉を鳴らし、母乳を飲む。
「ふふ…愛情たっぷりですから…
赤ちゃんみたいで可愛いですよ、レアードさん…」
満足気にそう言う彼女の声は、いつもどおりの優しげな声だった。
「あら…？」
不意に、下半身にこみ上げる感覚。
彼女に寸止めされていたはずなのに、
彼女は肉棒を刺激していないのに、迸る精液。
「イっちゃうぐらい美味しかったんですね…
嬉しいです、レアードさん…」
感極まった様で彼女が言うまで、
それが、彼女の母乳を飲むことによって引き起こされたと気づかなかった。
「気が済むまで、いっぱい吸ってくださいね、レアードさん…
ふふふ…やっぱり可愛いです…
愛していますよ…」
すっかり機嫌を良くした彼女。
いつの間にか、赤子にするように、俺を抱いてくれている。
あれだけ焦らされた事は、もうどうでも良くなっていて。
いつものように、彼女は俺を優しく抱いて、安心させてくれる。
いつものように、俺は彼女に身体を預ける。
安らぎの中で飲む母乳の味は、幸せその物だった。
14/05/11 20:30更新 / REID