こんなクノイチさんは×××だ!
ここは大陸のとある街。
ジパングとの交易が古くから続いていたために、独自に発展を遂げたランダーという街。
いまこの街は反魔物派になるか親魔物派になるかで揉めている。
ジパングと交易を続ける上では親魔物派であるのが望ましいが、近くの街や国は反魔物派ばかり。
この街が如何発展するべきなのかの瀬戸際にあった。
「ガハハー!魔物なんか滅ぼしてしまえー!」
高級スシを食べジッポン酒を飲んで酔っ払っているのは、反魔物の主流派のデブった男。
美女を侍らせて酒で気分高揚し、いい気になって大声で叫んでいる。
その周りには高級スシ店に似合わない騎士風や冒険者風の男どもが周りを囲い、周囲に視線を走らせている。
あたかもこのデブ男が誰かに狙われているかのように。
「でも、こんなことしてていいんですか〜?」
「ガハハー!良いのだ!金ならばたんまりあるぞー!!」
「でもぉ、最近仲が良かった方々がお見えに成らないんですけどぉ。なにかあったのですか〜?」
「がははッ……フンッ、あいつらのことなんか知るか。皆親魔物派に鞍替えしちゃう奴なんか知るか……」
美女の言葉が心に染みたのか、男の目には涙が浮び、脂っぽい頬を伝って脂塗れの涙が床へ落ちる。
そんな男の様子を見ていた美女は、子供へする様に可愛そうにと頭を撫でてやっていた。
「じゃぁ〜、これから私が慰めて……」
――ズガガガガガーンッ!!
そこまで美女が口に出したとき、この部屋の扉が爆発した。
そしてもうもうと立ち込める煙の中から、一人の女性らしき影が出てきた。
女性の口元は布で覆われ、身に着けている衣服もジパングっぽいが露出が多いキモノ、腰にはカタナに手にはクナイダートという物々しい出で立ち。
「貴様!何者だッ!!」
騎士風の男が爆発に怯えて縮こまっている脂ギッシュな男の前に立ちはだかり、腰から剣を抜いて入ってきた女に向かい合った。
その騎士風の男を視界に捕らえた女は、行き成り直立不動の体制になったかと思えば、腰を九十度曲げてお辞儀をした。
「ドーモ、キシ=サン、マスタークノイチのミスマでーす」
片言で硬質な響きのある声で、行き成り挨拶をしてきた闖入者に騎士風の男は戸惑ったが、とりあえず下げている頭に剣を振り下ろそうとした。
「タイヘン・シツレイ」
しかしその剣が届く前に、騎士鎧を着た体に幾つものブキが生えた。
それはニンジャが使うと言われている、スリケンと言われるブキだった。
「アバーッ!」(ビュービュー!ビクビク!)
自分が魔界銀で出来たスリケンに刺されていたことに気が付いたのか、騎士風の男は断末魔を上げ、ズボンの中へ精液を迸らせながら、全身をビクビクと震わせて気絶した。
「ニンジャ!クノイチッ!!」
このミスマと名乗った女がどういう存在であるのかを悟ったのだろう、護衛の男たちはニンジャに出会った一般人の様に慌てふためいていた。
もう護衛にならない男たちを尻目に、クノイチ・ミスマは震え上がる脂ぎった男へ向って歩いていく。
しかしその時、彼女の目の前にカタナがぬっと差し込まれた。
「しばしまたれい、クノイチよ」
感情のない目でカタナの持ち主を見たミスマは、何かを悟った様に後ろへ下がる。
「先生!チャン先生!!」
地獄にブッダを見たような脂ぎった男の手をスルリとよけたチャンと呼ばれた侍風の男は、先ほど騎士風の男がしたようにミスマの前に立ちはだかる。
「その身のコナシ。相当のワザマエ。タツジン?」
「拝一刀流、免許皆伝。チャン・オガミ」
手にカタナをもったチャンとミスマはそう言葉を掛け合うと、二人が示し合わせたかの様に、全く同じ動作で直立不動の体勢から腰を九十度曲げてオジギをした。
「ドーモ、チャン・オガミ=サン、マスタークノイチのミスマです」
「ドーモ、ミスマ=サン、チャン・オガミです」
二人が言葉を交わした瞬間、二人の姿が消える。
「イヤーッ!」
攻撃を仕掛けたのはチャン。惚れ惚れする袈裟斬り。見事なワザマエ。
ミスマをキリステ・ゴメーンしたと思ったが、しかしクノイチの姿はそこには無かった。
あるのは半分に切られた、丸太が一本。
「ミガワリ・ジツ……ミスマ=さん、貴方もいいワザマエです」
「……」
嬉しそうに言うチャンとは正反対に、ミスマは感情を表に出さない無表情。
「「おおー!!」」
ようやくクノイチの恐怖から脱した護衛二人がミスマに襲い掛かる。しかしミスマはそれを見ずに、懐のアイクチで二人を斬った。
「「アタシいま体温何度あるのかなーッ!?」」(びゅーびゅー、びゅくびゅく)
魔界銀のアイクチで斬られて性的興奮を覚えた二人は、先ほどの騎士風の男と同じように、ズボンの仲に精液を放ちながら昇天して気を失った。
「他の者も邪魔立てするな。シツレイしたら、斬る」
チャンもミスマという強敵との対戦に水を刺されたくはないのだろう、未だに震えている護衛たちに言葉をかけ、護衛たちとオマケに脂ぎった男は首を縦に振った。
仕切り直しにとチャンはカタナを構え直し、ミスマも右手にニンジャ・カタナ、左手にアイクチを持ち、何時でもチャンに飛びかかれるようにと体勢を低くした。
「「イヤーッ!」」
二人同時に言葉を放ち、二人同時に攻撃を繰り出した。
チャンは先ほどと同じ袈裟斬り、ミスマはそれを迎え撃つようにニンジャ・カタナとアイクチを十字にして斬りかかる。
――ガキーンッ!
そして二人の前でぶつかった三つの金属は、金属音を発してかみ合ったままギリギリと音を立てる。
そのまま鍔競り合いの形では決着が付かないと思ったのだろう、二人は一旦離れるとまた攻撃しあう。
「イヤーッ!」
「イヤーッ!」
「イヤーッ!」
「イヤーッ!」
一般人には全く見えない二人の攻防は、唯一金属がぶつかって奏でる音だけが、二人が本当の意味で鎬を削り合っているという証になっていた。
しかしワザマエはチャンの方が上手なのか、段々とミスマが押され始める。
「イヤーッ!」
とうとうミスマがチャンにキリステ・ゴメーンされたと思いきや、先ほどとおなじブンシン・ジツでミスマは切り抜けた。
しかしそのジツを見切っていたチャンは、ミスマが逃れた先へとカタナを振るう。
「ウカツ!」
「ンアーッ!」
とうとうチャンのカタナがミスマを捉えた。
お腹を真横イチモンジに斬られたミスマは、そのまま地面へと倒れこんだ。
「キュウショは外した。ハイクを読め。カイシャクしてやる」
せめてもの情けと、辞世の句を読ませてやろうとしたチャンの目の前で、地面へ倒れていたミスマは霧となって消えた。
それを見たチャンは、急いで周りを見渡した。
そこには何人ものミスマの姿があった。
「これはブンシン・ジツ。シークレット・ジツを使えるのか、ミスマ=さん、スゴイ!!だが、これでドッコイドッコイのワザマエ!」
何人ものニンジャを相手にしなくてはならなくなるブンシン・ジツを見せられれば、タツジンであっても戦意を失うのは当然。
だがチャンは逆に嬉しそうにカタナを構えた。
しかしそんなチャンを見て、ミスマは首を横に振る。
もう戦う意味は無いと言いたげに。
そしてミスマとそのブンシンたちは、チャンの後ろを指差した。
視線を外すのは危険だったが、ミスマがシツレイするとは思えなかったチャンは、ミスマの指差した方に目を向けた。
「むふーむふー、アタシいま体温何度あるのかなーッ!?」(びゅーびゅー、ビュクンビュクンッ)
「もっと、出して良いのよぉ」
そこに居たのは脂ぎった男と侍らせていた女が、くんずほぐれつしている様子。
いったい命のやり取りをしているときに何をしているのかと思えなくはないが、しかしその女の尻にしなやかな尾が付いているのを見たチャンは、その女がクノイチであると悟った。
そしてアンサツが完了している事も。
「戦う意味が無くなった。ミスマ=さんとの決着はまた次の機会に。オタッシャデー」
そう呟きミスマに挨拶をしたチャンは、鞘にカタナを収めると、どこかへと去っていった。
その後姿をミスマは少し熱っぽい瞳で見ていた。
場所は変わり、シノビの里。
「ご苦労だったミスマ。あの脂っぽい男は親魔物派に鞍替えした」
頭領の言葉を跪いて聞いているミスマ。
これでミスマともう一人の名のないクノイチの、アンサツ任務は終わった。
だがあの名の無いクノイチはコトブキ・引退したが、ミスマはまだ現役。
「トウリョウ・センセー。アンサツしたい人がいます。チャン・オガミという――」
そう、ミスマとチャンの決着はこれからだ!
ジパングとの交易が古くから続いていたために、独自に発展を遂げたランダーという街。
いまこの街は反魔物派になるか親魔物派になるかで揉めている。
ジパングと交易を続ける上では親魔物派であるのが望ましいが、近くの街や国は反魔物派ばかり。
この街が如何発展するべきなのかの瀬戸際にあった。
「ガハハー!魔物なんか滅ぼしてしまえー!」
高級スシを食べジッポン酒を飲んで酔っ払っているのは、反魔物の主流派のデブった男。
美女を侍らせて酒で気分高揚し、いい気になって大声で叫んでいる。
その周りには高級スシ店に似合わない騎士風や冒険者風の男どもが周りを囲い、周囲に視線を走らせている。
あたかもこのデブ男が誰かに狙われているかのように。
「でも、こんなことしてていいんですか〜?」
「ガハハー!良いのだ!金ならばたんまりあるぞー!!」
「でもぉ、最近仲が良かった方々がお見えに成らないんですけどぉ。なにかあったのですか〜?」
「がははッ……フンッ、あいつらのことなんか知るか。皆親魔物派に鞍替えしちゃう奴なんか知るか……」
美女の言葉が心に染みたのか、男の目には涙が浮び、脂っぽい頬を伝って脂塗れの涙が床へ落ちる。
そんな男の様子を見ていた美女は、子供へする様に可愛そうにと頭を撫でてやっていた。
「じゃぁ〜、これから私が慰めて……」
――ズガガガガガーンッ!!
そこまで美女が口に出したとき、この部屋の扉が爆発した。
そしてもうもうと立ち込める煙の中から、一人の女性らしき影が出てきた。
女性の口元は布で覆われ、身に着けている衣服もジパングっぽいが露出が多いキモノ、腰にはカタナに手にはクナイダートという物々しい出で立ち。
「貴様!何者だッ!!」
騎士風の男が爆発に怯えて縮こまっている脂ギッシュな男の前に立ちはだかり、腰から剣を抜いて入ってきた女に向かい合った。
その騎士風の男を視界に捕らえた女は、行き成り直立不動の体制になったかと思えば、腰を九十度曲げてお辞儀をした。
「ドーモ、キシ=サン、マスタークノイチのミスマでーす」
片言で硬質な響きのある声で、行き成り挨拶をしてきた闖入者に騎士風の男は戸惑ったが、とりあえず下げている頭に剣を振り下ろそうとした。
「タイヘン・シツレイ」
しかしその剣が届く前に、騎士鎧を着た体に幾つものブキが生えた。
それはニンジャが使うと言われている、スリケンと言われるブキだった。
「アバーッ!」(ビュービュー!ビクビク!)
自分が魔界銀で出来たスリケンに刺されていたことに気が付いたのか、騎士風の男は断末魔を上げ、ズボンの中へ精液を迸らせながら、全身をビクビクと震わせて気絶した。
「ニンジャ!クノイチッ!!」
このミスマと名乗った女がどういう存在であるのかを悟ったのだろう、護衛の男たちはニンジャに出会った一般人の様に慌てふためいていた。
もう護衛にならない男たちを尻目に、クノイチ・ミスマは震え上がる脂ぎった男へ向って歩いていく。
しかしその時、彼女の目の前にカタナがぬっと差し込まれた。
「しばしまたれい、クノイチよ」
感情のない目でカタナの持ち主を見たミスマは、何かを悟った様に後ろへ下がる。
「先生!チャン先生!!」
地獄にブッダを見たような脂ぎった男の手をスルリとよけたチャンと呼ばれた侍風の男は、先ほど騎士風の男がしたようにミスマの前に立ちはだかる。
「その身のコナシ。相当のワザマエ。タツジン?」
「拝一刀流、免許皆伝。チャン・オガミ」
手にカタナをもったチャンとミスマはそう言葉を掛け合うと、二人が示し合わせたかの様に、全く同じ動作で直立不動の体勢から腰を九十度曲げてオジギをした。
「ドーモ、チャン・オガミ=サン、マスタークノイチのミスマです」
「ドーモ、ミスマ=サン、チャン・オガミです」
二人が言葉を交わした瞬間、二人の姿が消える。
「イヤーッ!」
攻撃を仕掛けたのはチャン。惚れ惚れする袈裟斬り。見事なワザマエ。
ミスマをキリステ・ゴメーンしたと思ったが、しかしクノイチの姿はそこには無かった。
あるのは半分に切られた、丸太が一本。
「ミガワリ・ジツ……ミスマ=さん、貴方もいいワザマエです」
「……」
嬉しそうに言うチャンとは正反対に、ミスマは感情を表に出さない無表情。
「「おおー!!」」
ようやくクノイチの恐怖から脱した護衛二人がミスマに襲い掛かる。しかしミスマはそれを見ずに、懐のアイクチで二人を斬った。
「「アタシいま体温何度あるのかなーッ!?」」(びゅーびゅー、びゅくびゅく)
魔界銀のアイクチで斬られて性的興奮を覚えた二人は、先ほどの騎士風の男と同じように、ズボンの仲に精液を放ちながら昇天して気を失った。
「他の者も邪魔立てするな。シツレイしたら、斬る」
チャンもミスマという強敵との対戦に水を刺されたくはないのだろう、未だに震えている護衛たちに言葉をかけ、護衛たちとオマケに脂ぎった男は首を縦に振った。
仕切り直しにとチャンはカタナを構え直し、ミスマも右手にニンジャ・カタナ、左手にアイクチを持ち、何時でもチャンに飛びかかれるようにと体勢を低くした。
「「イヤーッ!」」
二人同時に言葉を放ち、二人同時に攻撃を繰り出した。
チャンは先ほどと同じ袈裟斬り、ミスマはそれを迎え撃つようにニンジャ・カタナとアイクチを十字にして斬りかかる。
――ガキーンッ!
そして二人の前でぶつかった三つの金属は、金属音を発してかみ合ったままギリギリと音を立てる。
そのまま鍔競り合いの形では決着が付かないと思ったのだろう、二人は一旦離れるとまた攻撃しあう。
「イヤーッ!」
「イヤーッ!」
「イヤーッ!」
「イヤーッ!」
一般人には全く見えない二人の攻防は、唯一金属がぶつかって奏でる音だけが、二人が本当の意味で鎬を削り合っているという証になっていた。
しかしワザマエはチャンの方が上手なのか、段々とミスマが押され始める。
「イヤーッ!」
とうとうミスマがチャンにキリステ・ゴメーンされたと思いきや、先ほどとおなじブンシン・ジツでミスマは切り抜けた。
しかしそのジツを見切っていたチャンは、ミスマが逃れた先へとカタナを振るう。
「ウカツ!」
「ンアーッ!」
とうとうチャンのカタナがミスマを捉えた。
お腹を真横イチモンジに斬られたミスマは、そのまま地面へと倒れこんだ。
「キュウショは外した。ハイクを読め。カイシャクしてやる」
せめてもの情けと、辞世の句を読ませてやろうとしたチャンの目の前で、地面へ倒れていたミスマは霧となって消えた。
それを見たチャンは、急いで周りを見渡した。
そこには何人ものミスマの姿があった。
「これはブンシン・ジツ。シークレット・ジツを使えるのか、ミスマ=さん、スゴイ!!だが、これでドッコイドッコイのワザマエ!」
何人ものニンジャを相手にしなくてはならなくなるブンシン・ジツを見せられれば、タツジンであっても戦意を失うのは当然。
だがチャンは逆に嬉しそうにカタナを構えた。
しかしそんなチャンを見て、ミスマは首を横に振る。
もう戦う意味は無いと言いたげに。
そしてミスマとそのブンシンたちは、チャンの後ろを指差した。
視線を外すのは危険だったが、ミスマがシツレイするとは思えなかったチャンは、ミスマの指差した方に目を向けた。
「むふーむふー、アタシいま体温何度あるのかなーッ!?」(びゅーびゅー、ビュクンビュクンッ)
「もっと、出して良いのよぉ」
そこに居たのは脂ぎった男と侍らせていた女が、くんずほぐれつしている様子。
いったい命のやり取りをしているときに何をしているのかと思えなくはないが、しかしその女の尻にしなやかな尾が付いているのを見たチャンは、その女がクノイチであると悟った。
そしてアンサツが完了している事も。
「戦う意味が無くなった。ミスマ=さんとの決着はまた次の機会に。オタッシャデー」
そう呟きミスマに挨拶をしたチャンは、鞘にカタナを収めると、どこかへと去っていった。
その後姿をミスマは少し熱っぽい瞳で見ていた。
場所は変わり、シノビの里。
「ご苦労だったミスマ。あの脂っぽい男は親魔物派に鞍替えした」
頭領の言葉を跪いて聞いているミスマ。
これでミスマともう一人の名のないクノイチの、アンサツ任務は終わった。
だがあの名の無いクノイチはコトブキ・引退したが、ミスマはまだ現役。
「トウリョウ・センセー。アンサツしたい人がいます。チャン・オガミという――」
そう、ミスマとチャンの決着はこれからだ!
12/02/28 23:52更新 / 中文字