1時限目『魔物概論』特別講師:ラタトスク 下編
「はっはっはっ! どうっすか皆さん! オレはやり遂げったっすよ! ミッションコンプリートっす!」
リーテン主神教会の小さな聖堂に騎士見習いクラルテの意気揚々とした声が響く。
そしてそれを何とも言えない面持ちで見つめるリーテン主神教会のいつものメンバー。
「はい。魔法による治癒効果の促進とアルコールによる患部の消毒をしておきました。数日もすれば傷跡も綺麗に消えると思いますぅ」
「親切な神官さん、ありがとー」
リーテン主神教会のメンバーが微妙な顔をしている原因はプティー司祭から足の傷の治療をうけ終わった、小さな体に大きく柔らかい栗色の尻尾を持つ獣人……ラタトスクである。
「キミかわいいねぇー。どう僕とお茶しない?」
「ごめんねー、もう気になっている人がいるからー」
オランニェ騎士団がさっそく振られているがそれはまぁいいだろう。
一番の年長者であるボル司教に対して何とかしてくれという視線が集まるが彼は目を逸らす。そして仕方なく、No2であるネーロ執政官が口を開く。
「えー、本日は当教会のためにわざわざ来ていただきありがとうございます。我々の目的を理解し、それに対して協力して下さる…つまり魔物に対する勉強会を開いて下さるという認識でよろしいでしょうか」
「はい。 クラルテ君から聞きました、魔物に対する理解を深める…それは素晴らしいことだと思いますし、ボクの能力がその一助となればと思います」
「はぁ……よりにもよってラタトスクを連れてくるなんて」
「どうされましたか、えーっと」
「ネーロです。皆からはネーロ執政官と呼ばれています。まぁ、こちらの話なのでお気になさらず」
「そうですか。あっ、私はラタトスクのラスクといいます。では、早速ですが勉強会を開かせていただいても?」
ラスクの問いにネーロ執政官は手を口元に当てて長考する。その長考の後、ネーロ執政官は「お願いします」とだけ短く伝える。
こうして魔物による反魔物国家の教団職員への勉強会という奇妙な取り組みがスタートした。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
「では、では、魔界の情報屋さんことラタトスクによる『魔物概論』の講義をはじめますー」
「……わぁーい」(意気消沈)
「むぅー、皆元気ないよー! 講義をはじめまーす」
「そうっすよ、折角の機会なんすから」
「そうだねー、元気にいこうよ」
「わぁあい!」(ヤケクソ)
講義に乗り気のクラルテとオランニェ騎士団、講義に気が進まない残りの面子も半ばヤケクソ気味に講義に参加する。
「では、そもそもですねー。皆さんは魔物ってどんなものだと認識してますか?」
「半裸のエロイねーちゃん……かな」
「だれかオランニェ騎士団長をこの部屋からつまみ出してくれませんか」
「そうですね、オランニェさんの認識でけっこう合ってますね」
「ま、まさかの正解だったみたいですぅ…」
「私たち魔物はだいたいエロイです。なぜなら、エロイことが私たちの本能に係るからです」
「あ、てめぇら魔物とエロイことになんの関係があんだよ、え!」
「私たち魔物は気性や性質については種族によって様々ではありますが、魔物達の多くは性欲旺盛かつ好色で、人間の男性、そして人間の男性との性交が大好きなんですよ。そうだとしたら……エロイ方が何かと都合がいいとは思いません?」
ラスクの語る魔物像にリーテン主神教会のメンバーはまったく納得できないという様である(一部除く)。
「あ? じゃあ見た目がバケモノみたいなやつらはどうなんだよ。 俺ら人間が肌が青い女や目が1つしかない女、背中に蜘蛛の足が生えてる上に男を半身に変えるような女に欲情するとでも思ってんのかぁ?」
「ふふーん、そういった普通の人間の女性にない特徴も私たち魔物にとっては結構魅力になるんだよー。例えば私たちラタトスクのこの大きな尻尾だって未来の旦那様に自慢できる1つだしね。あ、あとあんまり単眼っ子のことバカにしないほうがいいよ。単眼の子の中には上級の魔物がいるからね。」
ラスクはそういうと、つかつかと授業を受けているクラルテの方に歩み寄る。
そして、尻尾を差し出す。
さわさわ…
「こ、これは……やばいっす」
「なに触っとんねん!」
ロート副団長にどやされそのまま教壇の方に帰るラスク(の尻尾)を名残惜しそうに見るクラルテ。あの尻尾はどうやらやばいらしい。
「まぁそれに、魔物として一番は自分のエロさで男の人に振り向いてもらえるのが一番ですけど、それで無理なら、強引な性交、誘惑、魔術、薬、奉仕、様々な手段を用いて
男性の身も心も魅了し、自らの虜にして、男性を手に入れようとしますからね。例えば私たちが『情報』という武器を使うみたいにね」
「はぁ……人間と比べ長い寿命を持ち、一般的に人間と比べて高い身体能力や魔力を保有する魔物達が、その能力を1人の男性を自らのものとするためだけに使うのです。それに対する教団の対策の困難さと面倒さを魔物側にも考えてほしいものです」
頭を片手で押さえながらネーロ執政官がぼやく。
「ごめんねー、魔物としては悪気はないんだけどねー。では次に、なんで私たち魔物が人間の男性を欲しがるかについて話しましょうか」
「んなこと興味ねぇよ。向かってくるやつらは全員切り捨てるだけだ!」
「ま、まってくださいロート副団長様。魔物側が人間に興味を持つ理由が分かればそれらに事前に対策をうてる可能性があります…と思いますぅ」
「…ふん。」
「えーっと、では折角ですしまたクイズ形式にしてみましょうか。ずばり、私たち魔物が人間の男性を求める基本的な理由は3つ、あと特殊な場合に1つの計4つあります。なにか分かりますか?」
「はい、はーい!」
「では、どうぞオランニェさん」
「性欲!」
「はい、1つ目正解です」
「てめぇら魔物と騎士団長の頭の中には精液でも詰まってんのか?あぁ!性欲のためだけに襲われてたまるかよ!あいつら魔物はなぁ、巧妙に俺たち人間を騙して食っちまう気でいるんだ」
「ふむふむ、つまり食欲ですね。正解です」
「や…やっぱり魔物は私たち人間を頭からぼりぼり食べてしまうのですね…お、恐ろしいです」
ふるふると震えるプティー司祭に、ラスクは慌てて訂正を加える。
「いやそうじゃなくてね、ボクら魔物にとって人間、特に人間の男性が体内に持つ「精」と呼ばれる生体エネルギーは食料、それも飛び切りの御馳走になるんだ。だからその…物理的にばりばりと食べるわけでは無く、行為を通じてエネルギーを貰ってるだけだよ」
「そしてそれと関連して、ボクたち魔物にとって人間は食料でありいなくてはならない存在なんだ、だからこそ人間を物理的に食べてしまう事も、人間を殺す事も、精を得るための行為で吸い殺すような事も絶対にしないんだ。これは、絶対的なことでボクの命をかけて誓ってもいいよ」
ラスクの弁明を、プティー司祭は複雑な表情でみる。信じていいかどうか迷っているのだろう。
「主神教会は、魔物とは『人間を殺し、喰らう』存在としています。」
「うん、でもそれは主神教会の上層部が作り上げた嘘っぱちだよ。」
「……私はまだラスクさんの言っていることは信用できません。でも…ラスクさんの言っていることも覚えておこうと思います」
「うん、情報を鵜呑みにするんじゃなくて疑って真実を探ろうとするその姿勢は素晴らしいものだと思うよ。いつかは、神官さんも真実の情報にたどり着てもらえるとラタトスク冥利に尽きるね」
にっこりとプティー司祭に微笑むラスクに対して、プティー司祭もまだ堅いながらも笑顔を返す。
「さぁて、では、『性欲』『食欲』は出たけどあと2つは何かわかるかなー?」
ラスクの質問に答えようとする人はいない。見当もつかないという様子である。
「うーん……これ以上はでないかぁ…、全問正解の時のために粗品を用意していたんだけどなぁ」
「『愛情』と『生への執着』です。答える気はありませんでしたが、貰えるものがあるなら貰っておきましょう」
「えっ?」
面倒くさそうに、しかし自身を持って回答を挙げたネーロ執政官に皆が注目する。
「あっ、えっと…ネーロ執政官さん…2つとも正解です。ちなみに『生への執着』はアンデッド系の魔物さんに見られる特徴ですね……よ、よく知ってましたね」
「えぇ、まぁ、それくらいの知識なら持ち合わせています」
「あははー、ネーロは昔、教団のいいところにいたからねー、普通の市民や神官やらは知らない“本当の”魔物の生態とかを結構知っていても何もおかしくはないよー」
楽しそうに言うオランニェ騎士団長に一瞬ではあるが鋭い目線を向けるネーロ執政官。その目線の意味を理解できるのはこの場には当人たち2人しかいない。
「えっと、と、とりあえず正解の賞品をどうぞ」
ラスクはポケットからイモのような何かを2つほど取り出す。
「なんですかこれ?」
「まかいもです」
「…………」
「うわっ、なんすかそれ、おもしろそー」
「…ほしいならあげます」
「やったー」
人間界では珍しい、まかいもこと睦びの野菜をネーロ執政官から譲ってもらい喜ぶクラルテ。その様子を見ながらラスクは何かをメモ帳にメモする。
「さて…と、ではこの講義も残すところ後わずかになりました。最後に、先ほど挙げた3 α個の私たち魔物が人間の男性を求める基本的な理由に関する重大な補足説明を行いましょう」
「私たち魔物は人間の男性に対してであればそこまで人を選ばずに『性欲』『食欲』『愛情』を向けます。無論、好みはあるけどどんな男性であれ1人はそれらの感情を向ける魔物がいるくらいには人を選びませんよ」
「見境なしかよ…」
「ですが! それらはあることを契機に大きく変化するんです。 その契機とは、ずばり!特定の男性を恋人や夫と認識することです。これにより、私たちは愛する夫や恋人には今まで以上の『性欲』『食欲』『愛情』を向け、対照的にそれ以外の男性に対する興味は大きく失われます。それこそ、夫以外の精を体が受け付けなくなるくらいにですね」
「へぇー、じゃぁオランニェ騎士団長様のお茶の誘いを断ったラスクさんには恋人や夫がもういて、その人を裏切るような不貞行為はできないってこと?」
クローロンの質問にラスクは顔を赤らめ答える。
「いやまだ…恋人や夫ってわけじゃないけど……その内、そうなるから同じようなものかな」
「なんか今、若干寒気がしたっすね…風邪かなぁ…」
「そして、その魔物の一途さは教団にとっては大きな脅威となるのです」
若干の悪寒を感じているクラルテはさておき、先ほどから苦い顔が張り付いているネーロ執政官がぼやく。
「ん、どういうこと? 一途な女性って魅力的だと思うけど」
クローロンは疑問を投げかけ、そうだそうだと同意するようにスイも揺れる。
「あははー、魔物は一度この男性と決めたら絶対に裏切らない。これは裏を返せば、絶対に好きになった男性を諦めず離れないってことなのさ。つまり、魔物に狙われてしまったら最後、その魔物を殺すくらいしか助かる道はないってことだよー。もっともジパングで『窮鳥懐に入れば猟師も殺さず』っていう言葉があるように殺すことも難しいとおもうけどねー」
「逃げ場をなくして困窮した鳥が懐に飛び込んできたら、たとえ猟師でも鳥を助ける。こんな風に自分を信用していたり好意を向けていたりする相手にひどいことをする、まして殺すなんてことは人間の善の心がどうしてもストッパーになりますからね。特に主神教を信じる多くの民は多くが善良な心をもっていますからなおさらでしょう…はぁ」
「ごほん……少し取り乱してしまったね。まぁ、こんな感じで魔物は人間と共に歩んでいく事を望むいい子たちばかりなんだ。ぜひ、宗教国家リーテンの皆さんにはご理解とご納得をいただきたいと思うよ。」
顔を赤らめてモジモジしていたラスクは表情をもとに戻して講義を締めくくる。
「では…質疑応答といこうかな? 何か質問がある方はいるかい?」
リーテン主神教会のメンバーは皆、神妙な面持ちで考え込んでいる。メンバーによって事前知識に差はあれど自分たちの認識とは違う莫大な量の情報をインプットしたのだ。まだ、情報が整理でき切っていないのだろう。
そんななか、クラルテが呟く。
「オレ……すげぇ事発見したっす」
ラスクを含めた他の全員がクラルテの方を見る。
「そうっすよ! 魔物は魔物じゃなくって、魔物娘なんすよ!」
「いやまぁ…教団としては魔物と呼んでいますが、魔物娘という表現も間違いではないと思いますよ」
「いや、違うんすよ。魔物娘って、魔物であるけど娘…つまり女の子でもあるんだなって思ったっす。」
クラルテの発言に全員が「?」を浮かべる。
「ラスク、魔物娘ってラスクが説明してくれたように人間と共に歩んでいく事を望むいい子たちばかりなんすよね」
「う、うんそうだね。例外はないと思うよ」
「俺たち教団の人間は魔物を怖がってるっす。それは、たとえばドラゴンの持つ強力な爪に対する恐怖であったり、魔女の持つ桁外れの魔力保有量に対する恐怖であったりすると思うんすよ。でも、それって1人の女の子に対してくっついてるラベルを見て怖がっているだけなんすよ」
「あー、新人が何いってんのか全くわからねぇ」
「つまり! 人間が全く歯の立たないような身体や能力を持っている魔物でも、くっついているラベルをはがしていけば最後に残るのは、1人の女の子っていう事実だけなんすよ!そうだとすれば! 1人の女の子と向かい合うことさえできれば、何の能力のない農民でもドラゴンや魔女を無力化することができるはずっす! 何も恐れることなんてなかったんすよ!」
クラルテの新発見?に対する反応は三者三葉だ。
「しかも、その女の子は大体がエロくて優しくて、自分に対して好意を向けてくれるんすよ。これはもう勝ったも同然っすよ」
「えーっと、クラルテさん。その認識は確かに正しいでしょう。恐らくその考え方を持ってすれば多くの魔物娘を無力化できる。ですが…」
苦い顔をしたネーロ執政官が告げる。
「その後のことまで考えてますか?」
「どういうことっすか?」
「例えばですね、ドラゴンを無力化したいとします。あなたは、ドラゴンに対して1人の女の子と接するように接し、ドラゴンの心をつかみ無力化に成功したとしましょう。その後に待っているのはなんですか?」
「さぁ?」
「はぁ……もう一度自分の案を見返すことをお勧めします。……もういい時間ですね。特別講師のラタトスクさんありがとうございました。これにて本日の特別授業は終わりとしましょう」
ネーロ執政官は、ラスクに今日の謝礼金を渡すと聖堂を後にする。空気に徹していたボル司教も何事も起きなかったことに安堵しつつ仕事に戻る。その他の面々も1人、また1人と普段の仕事に戻っていった。
聖堂に残ったのはラスクと首をかしげるクラルテの2人だけである。
「オレの案なんかまずかったんすかね…?」
「えーっとね、クラルテ君。確かにボクたち魔物娘としては人間の男性に1人の女性として見てもらえるならとっても嬉しいし、命令や仕事なんてどうでも良くなるよ。それは確かに無力化といえるね」
「そうっすよねぇ…うーん」
「でもさ、そんなことされちゃったらさ……スキになっちゃうよ、その男性のこと。これって主神教団としてはダメなことだよね。だから、他の教会のメンバーはあまり肯定的ではなかったんだ、まぁオランニェさんは別だったけど」
「そう言われればそうっすね……でも、大丈夫じゃないっすか?」
「えっ?」
「いや主神様だって、本当に人間と魔物の仲がいいなら大目に見てくれるっすよ。もちろん、人間と魔物が仲良くなることで主神様の説く『善良であり続けること』や『欲望に溺れることなく、高潔に生きること』が守れなくなるならダメだと思うっすけど…ちゃんと守れるなら別にいいんじゃないっすかね」
「……じゃあさ、キミはもし魔物娘がなるべく教団の教えを守るから付き合ってほしいって言ってきたらOKするのかい?」
「うん、するっすよ。 いやまぁ、相性とか色々あるとは思うっすけど…」
「……そうかい…言質は取ったからね。 それじゃぁクラルテ君、元気でね。そしてまた」
そう言うと、ラスクは聖堂から出ていく。
聖堂の中には見習い騎士クラルテ1人。
「なんだったんすかね……オレも仕事に戻るっすか…」
――――――――――――――――――――――――――――――――――
数日後……
「ほえー、魔界にはこんなに珍しい物もあるんすねー」
聖堂内の机に開けた小包や手紙、そして水っぽい不思議な植物を並べクラルテは楽しそうである。
「あん? 新人なにやってんだ」
「なになにー僕も気になるー」
ロート副団長とオランニェ騎士団長がそんなクラルテに気付き、声をかける。
「いやこれ、『とろけの野菜』っていう魔界産の野菜で水に埋まるような感じで育つらしいっすよ。不思議っすねー」
「んなもんどこから取ってきたんだよ。」
「いや、送られてきたっす」
「んーっと、なになに」
オランニェ騎士団長は机の上にあった手紙を拾い上げ内容を読み上げる。
「クラルテへ
元気にしてるかい? ボクは元気だよ…って言ってもあの勉強会からまだ2,3日しか経ってないけどね。
帰った後に、罠から助けてもらったお礼をまだしていないことに気が付いてね。『まかいも』に興味を持った君なら喜んでくれるだろうと思って小包に『とろけの野菜』を同封しておいたよ。水に埋まって育つ不思議な魔界の野菜さ。『まかいも』と違って特殊な効果があるから間違って食べないように!
それじゃぁ、また! クラルテもお返事くれると嬉しいな。
ラスクより」
「クラルテてめぇ……何仲良く魔物と文通してんだよ、あぁん?」
「ちょちょっと…首が閉まるっす」
ロート副団長に襟首を掴まれたクラルテはばたばたする。
「うーん、でも不思議だよねぇ…」
「あ? 何がだよ、団長」
「いや、このリーテンと魔界や親魔物国家は物流を結んでないのにどうやって文通してるんだろうと思って」
「こうやってしてるんだよ」
大きな肩掛けカバンを持ったラスクが中央の扉から聖堂の中に入ってくる。
「あっ、ラスク。ほい、これ返事の手紙」
「ありがと、後で読ませてもらうね」
「それじゃぁ、また」
そのままラスクは聖堂から退場する。
「文通をする必要あるのかな、これ? 直接話せば?」
「そういえば良く考えたら、実際に会っているんだからその時話せばいいっすね」
「そういう問題じゃねぇー!」
いつも通りのリーテン主神教会。
今日もやっぱり騒がしい。
でも、そのリーテン主神教会にラスクという魔物娘が時々来るようになったよう。
はてさて、次は何が起こるやら……
リーテン主神教会の小さな聖堂に騎士見習いクラルテの意気揚々とした声が響く。
そしてそれを何とも言えない面持ちで見つめるリーテン主神教会のいつものメンバー。
「はい。魔法による治癒効果の促進とアルコールによる患部の消毒をしておきました。数日もすれば傷跡も綺麗に消えると思いますぅ」
「親切な神官さん、ありがとー」
リーテン主神教会のメンバーが微妙な顔をしている原因はプティー司祭から足の傷の治療をうけ終わった、小さな体に大きく柔らかい栗色の尻尾を持つ獣人……ラタトスクである。
「キミかわいいねぇー。どう僕とお茶しない?」
「ごめんねー、もう気になっている人がいるからー」
オランニェ騎士団がさっそく振られているがそれはまぁいいだろう。
一番の年長者であるボル司教に対して何とかしてくれという視線が集まるが彼は目を逸らす。そして仕方なく、No2であるネーロ執政官が口を開く。
「えー、本日は当教会のためにわざわざ来ていただきありがとうございます。我々の目的を理解し、それに対して協力して下さる…つまり魔物に対する勉強会を開いて下さるという認識でよろしいでしょうか」
「はい。 クラルテ君から聞きました、魔物に対する理解を深める…それは素晴らしいことだと思いますし、ボクの能力がその一助となればと思います」
「はぁ……よりにもよってラタトスクを連れてくるなんて」
「どうされましたか、えーっと」
「ネーロです。皆からはネーロ執政官と呼ばれています。まぁ、こちらの話なのでお気になさらず」
「そうですか。あっ、私はラタトスクのラスクといいます。では、早速ですが勉強会を開かせていただいても?」
ラスクの問いにネーロ執政官は手を口元に当てて長考する。その長考の後、ネーロ執政官は「お願いします」とだけ短く伝える。
こうして魔物による反魔物国家の教団職員への勉強会という奇妙な取り組みがスタートした。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
「では、では、魔界の情報屋さんことラタトスクによる『魔物概論』の講義をはじめますー」
「……わぁーい」(意気消沈)
「むぅー、皆元気ないよー! 講義をはじめまーす」
「そうっすよ、折角の機会なんすから」
「そうだねー、元気にいこうよ」
「わぁあい!」(ヤケクソ)
講義に乗り気のクラルテとオランニェ騎士団、講義に気が進まない残りの面子も半ばヤケクソ気味に講義に参加する。
「では、そもそもですねー。皆さんは魔物ってどんなものだと認識してますか?」
「半裸のエロイねーちゃん……かな」
「だれかオランニェ騎士団長をこの部屋からつまみ出してくれませんか」
「そうですね、オランニェさんの認識でけっこう合ってますね」
「ま、まさかの正解だったみたいですぅ…」
「私たち魔物はだいたいエロイです。なぜなら、エロイことが私たちの本能に係るからです」
「あ、てめぇら魔物とエロイことになんの関係があんだよ、え!」
「私たち魔物は気性や性質については種族によって様々ではありますが、魔物達の多くは性欲旺盛かつ好色で、人間の男性、そして人間の男性との性交が大好きなんですよ。そうだとしたら……エロイ方が何かと都合がいいとは思いません?」
ラスクの語る魔物像にリーテン主神教会のメンバーはまったく納得できないという様である(一部除く)。
「あ? じゃあ見た目がバケモノみたいなやつらはどうなんだよ。 俺ら人間が肌が青い女や目が1つしかない女、背中に蜘蛛の足が生えてる上に男を半身に変えるような女に欲情するとでも思ってんのかぁ?」
「ふふーん、そういった普通の人間の女性にない特徴も私たち魔物にとっては結構魅力になるんだよー。例えば私たちラタトスクのこの大きな尻尾だって未来の旦那様に自慢できる1つだしね。あ、あとあんまり単眼っ子のことバカにしないほうがいいよ。単眼の子の中には上級の魔物がいるからね。」
ラスクはそういうと、つかつかと授業を受けているクラルテの方に歩み寄る。
そして、尻尾を差し出す。
さわさわ…
「こ、これは……やばいっす」
「なに触っとんねん!」
ロート副団長にどやされそのまま教壇の方に帰るラスク(の尻尾)を名残惜しそうに見るクラルテ。あの尻尾はどうやらやばいらしい。
「まぁそれに、魔物として一番は自分のエロさで男の人に振り向いてもらえるのが一番ですけど、それで無理なら、強引な性交、誘惑、魔術、薬、奉仕、様々な手段を用いて
男性の身も心も魅了し、自らの虜にして、男性を手に入れようとしますからね。例えば私たちが『情報』という武器を使うみたいにね」
「はぁ……人間と比べ長い寿命を持ち、一般的に人間と比べて高い身体能力や魔力を保有する魔物達が、その能力を1人の男性を自らのものとするためだけに使うのです。それに対する教団の対策の困難さと面倒さを魔物側にも考えてほしいものです」
頭を片手で押さえながらネーロ執政官がぼやく。
「ごめんねー、魔物としては悪気はないんだけどねー。では次に、なんで私たち魔物が人間の男性を欲しがるかについて話しましょうか」
「んなこと興味ねぇよ。向かってくるやつらは全員切り捨てるだけだ!」
「ま、まってくださいロート副団長様。魔物側が人間に興味を持つ理由が分かればそれらに事前に対策をうてる可能性があります…と思いますぅ」
「…ふん。」
「えーっと、では折角ですしまたクイズ形式にしてみましょうか。ずばり、私たち魔物が人間の男性を求める基本的な理由は3つ、あと特殊な場合に1つの計4つあります。なにか分かりますか?」
「はい、はーい!」
「では、どうぞオランニェさん」
「性欲!」
「はい、1つ目正解です」
「てめぇら魔物と騎士団長の頭の中には精液でも詰まってんのか?あぁ!性欲のためだけに襲われてたまるかよ!あいつら魔物はなぁ、巧妙に俺たち人間を騙して食っちまう気でいるんだ」
「ふむふむ、つまり食欲ですね。正解です」
「や…やっぱり魔物は私たち人間を頭からぼりぼり食べてしまうのですね…お、恐ろしいです」
ふるふると震えるプティー司祭に、ラスクは慌てて訂正を加える。
「いやそうじゃなくてね、ボクら魔物にとって人間、特に人間の男性が体内に持つ「精」と呼ばれる生体エネルギーは食料、それも飛び切りの御馳走になるんだ。だからその…物理的にばりばりと食べるわけでは無く、行為を通じてエネルギーを貰ってるだけだよ」
「そしてそれと関連して、ボクたち魔物にとって人間は食料でありいなくてはならない存在なんだ、だからこそ人間を物理的に食べてしまう事も、人間を殺す事も、精を得るための行為で吸い殺すような事も絶対にしないんだ。これは、絶対的なことでボクの命をかけて誓ってもいいよ」
ラスクの弁明を、プティー司祭は複雑な表情でみる。信じていいかどうか迷っているのだろう。
「主神教会は、魔物とは『人間を殺し、喰らう』存在としています。」
「うん、でもそれは主神教会の上層部が作り上げた嘘っぱちだよ。」
「……私はまだラスクさんの言っていることは信用できません。でも…ラスクさんの言っていることも覚えておこうと思います」
「うん、情報を鵜呑みにするんじゃなくて疑って真実を探ろうとするその姿勢は素晴らしいものだと思うよ。いつかは、神官さんも真実の情報にたどり着てもらえるとラタトスク冥利に尽きるね」
にっこりとプティー司祭に微笑むラスクに対して、プティー司祭もまだ堅いながらも笑顔を返す。
「さぁて、では、『性欲』『食欲』は出たけどあと2つは何かわかるかなー?」
ラスクの質問に答えようとする人はいない。見当もつかないという様子である。
「うーん……これ以上はでないかぁ…、全問正解の時のために粗品を用意していたんだけどなぁ」
「『愛情』と『生への執着』です。答える気はありませんでしたが、貰えるものがあるなら貰っておきましょう」
「えっ?」
面倒くさそうに、しかし自身を持って回答を挙げたネーロ執政官に皆が注目する。
「あっ、えっと…ネーロ執政官さん…2つとも正解です。ちなみに『生への執着』はアンデッド系の魔物さんに見られる特徴ですね……よ、よく知ってましたね」
「えぇ、まぁ、それくらいの知識なら持ち合わせています」
「あははー、ネーロは昔、教団のいいところにいたからねー、普通の市民や神官やらは知らない“本当の”魔物の生態とかを結構知っていても何もおかしくはないよー」
楽しそうに言うオランニェ騎士団長に一瞬ではあるが鋭い目線を向けるネーロ執政官。その目線の意味を理解できるのはこの場には当人たち2人しかいない。
「えっと、と、とりあえず正解の賞品をどうぞ」
ラスクはポケットからイモのような何かを2つほど取り出す。
「なんですかこれ?」
「まかいもです」
「…………」
「うわっ、なんすかそれ、おもしろそー」
「…ほしいならあげます」
「やったー」
人間界では珍しい、まかいもこと睦びの野菜をネーロ執政官から譲ってもらい喜ぶクラルテ。その様子を見ながらラスクは何かをメモ帳にメモする。
「さて…と、ではこの講義も残すところ後わずかになりました。最後に、先ほど挙げた3 α個の私たち魔物が人間の男性を求める基本的な理由に関する重大な補足説明を行いましょう」
「私たち魔物は人間の男性に対してであればそこまで人を選ばずに『性欲』『食欲』『愛情』を向けます。無論、好みはあるけどどんな男性であれ1人はそれらの感情を向ける魔物がいるくらいには人を選びませんよ」
「見境なしかよ…」
「ですが! それらはあることを契機に大きく変化するんです。 その契機とは、ずばり!特定の男性を恋人や夫と認識することです。これにより、私たちは愛する夫や恋人には今まで以上の『性欲』『食欲』『愛情』を向け、対照的にそれ以外の男性に対する興味は大きく失われます。それこそ、夫以外の精を体が受け付けなくなるくらいにですね」
「へぇー、じゃぁオランニェ騎士団長様のお茶の誘いを断ったラスクさんには恋人や夫がもういて、その人を裏切るような不貞行為はできないってこと?」
クローロンの質問にラスクは顔を赤らめ答える。
「いやまだ…恋人や夫ってわけじゃないけど……その内、そうなるから同じようなものかな」
「なんか今、若干寒気がしたっすね…風邪かなぁ…」
「そして、その魔物の一途さは教団にとっては大きな脅威となるのです」
若干の悪寒を感じているクラルテはさておき、先ほどから苦い顔が張り付いているネーロ執政官がぼやく。
「ん、どういうこと? 一途な女性って魅力的だと思うけど」
クローロンは疑問を投げかけ、そうだそうだと同意するようにスイも揺れる。
「あははー、魔物は一度この男性と決めたら絶対に裏切らない。これは裏を返せば、絶対に好きになった男性を諦めず離れないってことなのさ。つまり、魔物に狙われてしまったら最後、その魔物を殺すくらいしか助かる道はないってことだよー。もっともジパングで『窮鳥懐に入れば猟師も殺さず』っていう言葉があるように殺すことも難しいとおもうけどねー」
「逃げ場をなくして困窮した鳥が懐に飛び込んできたら、たとえ猟師でも鳥を助ける。こんな風に自分を信用していたり好意を向けていたりする相手にひどいことをする、まして殺すなんてことは人間の善の心がどうしてもストッパーになりますからね。特に主神教を信じる多くの民は多くが善良な心をもっていますからなおさらでしょう…はぁ」
「ごほん……少し取り乱してしまったね。まぁ、こんな感じで魔物は人間と共に歩んでいく事を望むいい子たちばかりなんだ。ぜひ、宗教国家リーテンの皆さんにはご理解とご納得をいただきたいと思うよ。」
顔を赤らめてモジモジしていたラスクは表情をもとに戻して講義を締めくくる。
「では…質疑応答といこうかな? 何か質問がある方はいるかい?」
リーテン主神教会のメンバーは皆、神妙な面持ちで考え込んでいる。メンバーによって事前知識に差はあれど自分たちの認識とは違う莫大な量の情報をインプットしたのだ。まだ、情報が整理でき切っていないのだろう。
そんななか、クラルテが呟く。
「オレ……すげぇ事発見したっす」
ラスクを含めた他の全員がクラルテの方を見る。
「そうっすよ! 魔物は魔物じゃなくって、魔物娘なんすよ!」
「いやまぁ…教団としては魔物と呼んでいますが、魔物娘という表現も間違いではないと思いますよ」
「いや、違うんすよ。魔物娘って、魔物であるけど娘…つまり女の子でもあるんだなって思ったっす。」
クラルテの発言に全員が「?」を浮かべる。
「ラスク、魔物娘ってラスクが説明してくれたように人間と共に歩んでいく事を望むいい子たちばかりなんすよね」
「う、うんそうだね。例外はないと思うよ」
「俺たち教団の人間は魔物を怖がってるっす。それは、たとえばドラゴンの持つ強力な爪に対する恐怖であったり、魔女の持つ桁外れの魔力保有量に対する恐怖であったりすると思うんすよ。でも、それって1人の女の子に対してくっついてるラベルを見て怖がっているだけなんすよ」
「あー、新人が何いってんのか全くわからねぇ」
「つまり! 人間が全く歯の立たないような身体や能力を持っている魔物でも、くっついているラベルをはがしていけば最後に残るのは、1人の女の子っていう事実だけなんすよ!そうだとすれば! 1人の女の子と向かい合うことさえできれば、何の能力のない農民でもドラゴンや魔女を無力化することができるはずっす! 何も恐れることなんてなかったんすよ!」
クラルテの新発見?に対する反応は三者三葉だ。
「しかも、その女の子は大体がエロくて優しくて、自分に対して好意を向けてくれるんすよ。これはもう勝ったも同然っすよ」
「えーっと、クラルテさん。その認識は確かに正しいでしょう。恐らくその考え方を持ってすれば多くの魔物娘を無力化できる。ですが…」
苦い顔をしたネーロ執政官が告げる。
「その後のことまで考えてますか?」
「どういうことっすか?」
「例えばですね、ドラゴンを無力化したいとします。あなたは、ドラゴンに対して1人の女の子と接するように接し、ドラゴンの心をつかみ無力化に成功したとしましょう。その後に待っているのはなんですか?」
「さぁ?」
「はぁ……もう一度自分の案を見返すことをお勧めします。……もういい時間ですね。特別講師のラタトスクさんありがとうございました。これにて本日の特別授業は終わりとしましょう」
ネーロ執政官は、ラスクに今日の謝礼金を渡すと聖堂を後にする。空気に徹していたボル司教も何事も起きなかったことに安堵しつつ仕事に戻る。その他の面々も1人、また1人と普段の仕事に戻っていった。
聖堂に残ったのはラスクと首をかしげるクラルテの2人だけである。
「オレの案なんかまずかったんすかね…?」
「えーっとね、クラルテ君。確かにボクたち魔物娘としては人間の男性に1人の女性として見てもらえるならとっても嬉しいし、命令や仕事なんてどうでも良くなるよ。それは確かに無力化といえるね」
「そうっすよねぇ…うーん」
「でもさ、そんなことされちゃったらさ……スキになっちゃうよ、その男性のこと。これって主神教団としてはダメなことだよね。だから、他の教会のメンバーはあまり肯定的ではなかったんだ、まぁオランニェさんは別だったけど」
「そう言われればそうっすね……でも、大丈夫じゃないっすか?」
「えっ?」
「いや主神様だって、本当に人間と魔物の仲がいいなら大目に見てくれるっすよ。もちろん、人間と魔物が仲良くなることで主神様の説く『善良であり続けること』や『欲望に溺れることなく、高潔に生きること』が守れなくなるならダメだと思うっすけど…ちゃんと守れるなら別にいいんじゃないっすかね」
「……じゃあさ、キミはもし魔物娘がなるべく教団の教えを守るから付き合ってほしいって言ってきたらOKするのかい?」
「うん、するっすよ。 いやまぁ、相性とか色々あるとは思うっすけど…」
「……そうかい…言質は取ったからね。 それじゃぁクラルテ君、元気でね。そしてまた」
そう言うと、ラスクは聖堂から出ていく。
聖堂の中には見習い騎士クラルテ1人。
「なんだったんすかね……オレも仕事に戻るっすか…」
――――――――――――――――――――――――――――――――――
数日後……
「ほえー、魔界にはこんなに珍しい物もあるんすねー」
聖堂内の机に開けた小包や手紙、そして水っぽい不思議な植物を並べクラルテは楽しそうである。
「あん? 新人なにやってんだ」
「なになにー僕も気になるー」
ロート副団長とオランニェ騎士団長がそんなクラルテに気付き、声をかける。
「いやこれ、『とろけの野菜』っていう魔界産の野菜で水に埋まるような感じで育つらしいっすよ。不思議っすねー」
「んなもんどこから取ってきたんだよ。」
「いや、送られてきたっす」
「んーっと、なになに」
オランニェ騎士団長は机の上にあった手紙を拾い上げ内容を読み上げる。
「クラルテへ
元気にしてるかい? ボクは元気だよ…って言ってもあの勉強会からまだ2,3日しか経ってないけどね。
帰った後に、罠から助けてもらったお礼をまだしていないことに気が付いてね。『まかいも』に興味を持った君なら喜んでくれるだろうと思って小包に『とろけの野菜』を同封しておいたよ。水に埋まって育つ不思議な魔界の野菜さ。『まかいも』と違って特殊な効果があるから間違って食べないように!
それじゃぁ、また! クラルテもお返事くれると嬉しいな。
ラスクより」
「クラルテてめぇ……何仲良く魔物と文通してんだよ、あぁん?」
「ちょちょっと…首が閉まるっす」
ロート副団長に襟首を掴まれたクラルテはばたばたする。
「うーん、でも不思議だよねぇ…」
「あ? 何がだよ、団長」
「いや、このリーテンと魔界や親魔物国家は物流を結んでないのにどうやって文通してるんだろうと思って」
「こうやってしてるんだよ」
大きな肩掛けカバンを持ったラスクが中央の扉から聖堂の中に入ってくる。
「あっ、ラスク。ほい、これ返事の手紙」
「ありがと、後で読ませてもらうね」
「それじゃぁ、また」
そのままラスクは聖堂から退場する。
「文通をする必要あるのかな、これ? 直接話せば?」
「そういえば良く考えたら、実際に会っているんだからその時話せばいいっすね」
「そういう問題じゃねぇー!」
いつも通りのリーテン主神教会。
今日もやっぱり騒がしい。
でも、そのリーテン主神教会にラスクという魔物娘が時々来るようになったよう。
はてさて、次は何が起こるやら……
18/09/07 21:23更新 / みかん畑
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