読切小説
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最強の稲妻と竜の……


これほどまでに最高の目覚めは今まで生きてきた十七年間、一度としてあっただろうか?
あるはずがない。
これほどまでに清々しい気分は今まで生きてきた十七年間、一度としてあっただろうか?
あるはずがない、あってたまるか。
あれが神なのか悪魔なのか、力を手に入れた今は些細なことだ。
力を手に入れた代償として記憶を捨てた。今はなにも覚えていないと言えるほど以前の記憶が朧気だ。
だが全く覚えていないわけではない……。
記憶がなくても今は最高の気分だ。なにせ数年間思い続けていた願いが叶ったのだからな。
「さて、行くか……」
俺は最強の力を手に、新たなる世界に足を踏み出した。



私の名はエルシィア・シードレット。ドラゴンと言う種族の者だ。
いきなりだが、私は人間男性に興味を持っている。
なぜかと言うと、ついさっきも見たんだが魔物と人間のカップルが野外でニャンニャンしているのを見掛けて、あの行為はそこまで気持ちのいいものなのかな、と思ったわけだ。
野外でニャンニャンしている連中ならたくさんいる。空を飛んでいれば結構目に付くし聞こえてくる。
私達は眼や耳がいいからだ。男女の喘ぎ声を聞いていると頬が熱くなる。
私もいつかあんな風に、と思っている辺りから私はドラゴンでも変わり者なんだろう。とても不思議だ。
そういうわけで、私は理想の男性との性行為を妄想しちゃったりする。
数々の文献と私の妄想と照らし合わせた結果、私は軽いマゾ性を持っているらしい。
文献を参照にして、縄で縛られたり、首輪を付けられたり、ご主人様と呼んでみたりしたい……、うん。
そのためにはまず適正のある男性を探さねば。その上で私の好みかと言うこともあるのだから。
私はとてつもなく強い人がいいと思う。私をペッ、じゃなかった、私と性行為をするのだから、私を倒せるほどの強さを持つのは絶対条件だ。
しかし、ドラゴンである私を倒せるほどの人間はそうそういない。

「どこかにいないものか、強い男性は……」

洞窟の中、私の宝物庫で寝っ転がりながら呟く。
雨の音が洞窟の中にも響く。この宝物庫は深くないので外の音がよく聞こえるのだ。
少したつと洞窟に誰か入ってきた。声からして若い男性だ。雨に対する愚痴を言っている。どうやらしばらく雨宿りするつもりらしい。
見に行ってみるか……、もしかしたら……。なわけないか。ここは私の家だと忠告しておこう。宝をくすねるような奴なら即刻死刑だぞ。


変わった男がそこにいた。
ジパング人のような黒髪黒目だが、顔立ちが全く違う。
服装も変わっている。黒い布の上着にズボン、金のボタン、上着の下の真っ白な服。見たことのない布で出来ているようだ。
「誰だ」
男が声を出す。恐らく私のことだろう。なるべく遠くから、なるべく気配を消していたと言うのに。この男、かなりできるのでは?
「よく気付いたな」
私は声をかけながら、姿を現す。男は私の姿を見ずに黒い上着を脱ぎ、水を払う。
「ここは私の家だ。奥で食事でも出そうか?」
私はこの男が気になり、ふとそんなことを言った。
「……いただこう」
男は少し迷ったようだが私の提案を飲んだ。この様子から私のことは特に警戒する必要はないと覚ったようだ。
私は男を奥に案内し、保存してある食材で料理を作った。
文献で見て興味があったので覚えたのだ。私の姉は美味しいと言ってくれたし、かなり練習もしたからこの男の舌に合わない限り不味いとは言わないだろう。
男はまだ一度も私と目を合わせていない。興味がなさそうに。
「いただきます……」
男は小さく言うと私の料理を食べ始めた。
「味はどうだ?それなりに自信はあるんだが」
なにも言わずに食べるのを見ながら私は聞いてみる。
「普通にうまい」
普通か……、少し残念だな。
「普通にできる方が難しい。普通じゃないのが当たり前なのだから」
こ、心でも読んだのか?そんなフォローするようなこと、無口な奴は言わないだろう?
コクッ
頷いたよ、心読めるって認めちゃったよ。
「君になら教えても問題ないと判断したから」
え!?それって信用されたってこと?
フルフル
く、首振ったよ。信用されてないならなぜ!?
「特に問題ないと思ったから……」
そう……、相変わらず無口だな……。
「親しくなるつもりがないから」
酷くないかな?
フルフル
さいですか……。
「え〜と、そうだ、名前は?」
間が持たない……。
「……シン」
少し迷ってから口を開いた。
変わった名前だね。どんな意味があるのかな?
「罪……」
し、シビアな名前だ……。偽名?
フルフル
本名ですか……。
「私の名前はエルシィア・シードレットね」
コクッ
ま、間が持たないよ〜。
「えっと……。さっき直ぐに私の気配に気付いたけど、シンは強いのかな?」
コクッ
「ボクは二つの特異体質を持っているから」
へっ?いきなりなんの話?
「ボクの強さに関して」
と、特異体質ねぇ……。
「特異体質とは常人とは圧倒的に違うものを体質として持っていること」
説明ありがとう。
「ボクの持つ特異体質は帯電体質と筋肉変異発達体質の二つ。帯電体質は雷を遥かに超える電力を体に持ち、操る。自家発電もできる。筋肉変異発達体質は説明が面倒、ドラゴンと比べても異常なほど力と防御があって、スタミナとスピードもとてつもないくらいある、こんな感じに捉えてくれればいい」
……マジで!?滅茶苦茶強くない!?
コクッ
やばくない?
コクッ
「帯電体質は応用すれば、動物の放つ微弱な電磁波を捉え、行動の先読み、位置の特定、記憶の閲覧、思考を読むことができる。その気になれば触れた相手の感覚も制御できる」
ああ、それで私の位置がばれたのか。思考を読むねえ……。
ん?記憶の閲覧?私の記憶も見た?
コクッ
私の妄想も見た?
……コクッ
ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
「気にすることはない。性欲は生物が子孫を残すために設けられた当然の本能。性癖も個人によって違う、縄で縛られたり、首輪を付けられたり、ご主人様って呼びたいと言うのも個人の性癖、誰もせめる権利はない」
顔を赤くして眼をそらしながら言うなぁぁぁぁぁぁ!!
恥ずかしすぎる!!勝手にカミングアウトしないでぇぇぇぇぇぇ!!
「雨が止んだ、行く」
逃げる気かっ!!
コクッ
待って!!
「私と勝負して!!あなたが勝ったらあなたは私の家に住む、私が勝ったらあなたは帰る!!これでどう!!」
「普通逆では?」
わ、私は強い人のペッ、じゃなかったお嫁さんになりたいの!!
「死なない程度に本気を出して勝負!!」



雨が止み、濡れてみずみずしくなった草原で私達は対峙している。
お互い死なれちゃ困るので、死なない程度に本気で勝負をする。
「お先にどうぞ」
彼はそう言うと私を見詰めた。私は既に竜化して戦闘態勢に入っている。
私は炎の息を彼に向かって放つ。
「フンッ!!」
彼は力を籠めて裏拳の容量で拳を振るった。そうすると衝撃波が発生し、炎を吹き飛ばす。私の方まで衝撃が来た。
そのまま彼は右手を私の方に向けて砲台のような態勢に入った。すると……。
バリバリバリッ
雷の数十倍はあろうかと言う電気の塊が打ち出さってきゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!


「気が付いたか」
私は眼を開けるとそこは宝物庫の中だった。
どうやら私はあのあと気絶したらしい。彼がここまで運んでくれたようだ。
勝負は一瞬で終わった。ドラゴンすら一撃で戦闘不能にするなんて。とんでもない人ね。
「大したことではない。あれでも最大威力の五分の一だ」
あれで五分の一、本気を出したらどうなるんだろう……。
「城付きの街が一つ消し飛ぶ」
そう言うのは真面目に答えないで欲しい。怖いから
私が食らったのだって人が数十人死ねるくらいの威力だった。あれはヤバすぎる。
「約束は守る」
へっ!?まさか!!私のご主人様に!!
コクッ
きゃぁぁぁぁぁ!!夢叶っちゃったよぉぉぉぉぉ!!
と言うか私今まで膝枕されてたの!!顔が熱くてヤバイ!!膝の上気持ちいい!!
「君の性癖に合わせられるかは疑問だけど」
別にいい!!強い人と一緒になると言う夢は叶ったから!!
「そうか……」
「こ、こりぇかりゃよろひく」
噛みまくった……。
「クスクス」
笑った!!私と会ってからはじめて笑ったよ!!
「笑うくらいなんでもない」
「今まで無口だったから……」
私は体を起こそうとしたが力がうまく入らない、体が痺れる。
「あれだけの電気を食らったから筋肉が硬直している。しばらくはまともに動けない」
動けない!!
「期待してるよ……」
ハッ!!頭の中がピンク色に!!
ジト目で私を見てくるシン。
「やってほしいのかい?」
「ふぇ!!えと、その……、はい……」
そう言うとシンは私をお姫様だっこで持ち上げた。
「私はシンに信用されてるの?」
私がそう言うとシンは私の目を見て頷いた。


「リラックスするといい」
シンは私をベッドの上に下ろし服を脱ぎ始めた。私も鱗と甲殻を消す。
「感覚を制御できるから痛覚を消すこともできる」
じゃあはじめては痛いって言うし……、お願いします。
シンは優しく笑うと私の頭に触れて、ゆっくりと撫でる。もうお互い裸になっている。
「それじゃあ、はじめて……」
私が言うとシンは頷いてチ……、だ、男性器を私の女性器に当てる。シンの男性器はギンギンに硬くなり、私の女性器は既に濡れているから大丈夫だろう。
シンの視線が入れるよ、と言うように見詰めてくる。それに私は頷き目を瞑る。
「んっ……はぁ……んんっ」
シンの男性器が私の女性器に入ってきた。痛覚を消していると言った通り痛みはない、そのかわりいつも想像していた快楽が体に染み渡っていく。指なんかと全然違、ハッ、じ、自慰なんてしたことないからね!!
「アゥ……ンゥ、はぁ……んくぅ」
ゆっくりと進むシンの男性器。シンは私の大きな胸に手を当て、形を変えるほど揉む。私の胸は他の魔物やドラゴン、人間と比べてもかなり大きい。
そしてついに男性器は処女膜を突き破った。
「はぅぅぅぅぅぅぅぅぅん!!」
処女喪失で派手にイッてしまった。痛みがない他、感覚がかなり鋭敏になってる気がする。
「よく気が付いたね」
シンは極めて涼しい顔で微笑んでいた。
「快楽を二倍にブーストさせた」
えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!
「あとボクの快感を半分以下に落とした」
えぇ!!それじゃあ意味なくない!?
「ボクは女の子をイキ狂わせるのが好きなんだ。何回か一緒にイッてあげるからむくれないでね」
えっ!!ちょっ、ま、
「ふぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
一気に奥まで突き込まれ、またイッてしまう。
シンは乳首と女性の一番敏感なところ(自分で言いたくない)をつまむ。
「んきゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」
もう三回もイッてしまった。シンは荒々しくピストンをはじめる。
「ふあっ!きゃ!んにゃ!こわ!れちゃ!う!アゥ!」
一回突くごとに一回イク、これ何て地獄!?
「ほら!!一緒にイッてやるぞ!!」
私が十回イッたところでシンが声をあげる。
十一回目の突きでシンは私と一緒にイク。
「ふにゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」
とてつもない量の精が吐き出され、私のお腹が少し膨らむ。
私はあまりの快感に気を失いそうになるもシンに繋ぎ止められる。
「まだまだ終わりじゃないぞ?」

結果として私は百回もイカされた。廃人にならなかったのは、シンが頭の中を調節してくれたかららしい。
調節しなかったら間違いなく廃人になっていたとか……。
そしてしばらく私は腰が抜けたままになり、彼に世話をされていた。あれは恥ずかしかった。



ボクはエルシィアと旅に出た。
彼女の財産はボクに力をくれた人に貰った某耳無し猫のポケットに近い物に収納している。はじめて彼女に見せたときは驚かれた。古代のマジックアイテムとして通している。
「あと少ししたら村が見えてくる」
彼女の財産があれば金に困ることなく生活できるが、それではつまらないので、旅に出て盗賊狩りや依頼を受けたりしている。
エルシィアと出会ってもう数ヵ月たつ。
「地面を歩いて移動するのもなかなか楽しいわね」
彼女が竜化して空を飛べばあっという間につくが、景色を見ながらゆっくりと旅をしたいので徒歩である。エルシィアは最初は嫌がったが今は気に入ったようだ。
「師匠、次の村はどんなところなんですか?」
リザードマンのアリアが後ろから聞いてくる。
この間勝負を吹っ掛けてきたから、剣術で負かしてあげたら弟子入りしてきた。その上で側室にしてくれとか言ってくる。エルシィアが冷や汗をかきながら了承したせいで愛人(?)になった。
剣の修行も付けてやっている、俺が我流で生み出した流派だがな。
「ブドウ作りが盛んな村だ。ワインとジャムがうまいらしい」
「ジャムですか。楽しみです」
最初に言っておく、こいつはかなりの甘党だ。
「日がくれる前にはつくだろう」

まあ、こんな感じで冒険を満喫しているわけだ。適当な迷宮を探索したり、盗賊団を潰したり、国王の依頼を受けたり、<轟雷の魔神>て言う通り名がついたりとね。
そして愛人が増えていった、十人くらい。理由をエルシィアに聞いてみたら体が持たないと返してきた。まあそうだろう。
エキドナやリリムが愛人にしてくれと来たのは驚いたな。
そして俺がこっちに来てから二年がたった。
「さあて、次はどこに行く?」
俺は妻と愛人達に声をかける。だが彼女達は必ずこう言う。
「「「「シンが行きたいところへ」」」」


12/01/03 19:55更新 / レギオン

■作者メッセージ
チート万歳!!
俺も力が欲しいよ〜

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