連載小説
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後編
 湯気の立つ風呂場に置かれた、丸い木製の浴槽。さながら大きな桶のようなその湯船に、小さな少年と大きな獣人が入っている。

 「やれやれ…正しいやり方はちゃんと教えたろう?もう一回教えてあげようか?」
 「はい……あ、いやその…」

 小さな男の子が、すなわちロショウが自慰を行うイメージが、背後のトウキから流れ込んでくる。
 彼女の頭の中のロショウは石鹸でぬめらせた手で自分の竿を包み、その小さな怒張を何度もしごき上げる。しばらくそれを続けていると赤く染まった顔の瞼がきゅっとつむられ、同時に小さな陰茎から白濁が飛び出した。少年は蕩けきった顔をしている。半開きの口からよだれがこぼれた。

 (僕、絶対こんな顔してないと思う…)
 いつもの事ながらトウキの脳内の自分は実物より──少なくともロショウ本人からすると──ずっとはしたない、快楽の虜として登場する。現実のものではないとはいえ、恥も外聞もなく快楽に溺れる自分の姿を脳内で見せつけられるとロショウはどうしようもなくこっぱずかしい気持ちになってしまうのだった。






 あの悲劇的もとい喜劇的な現場を目撃して、トウキは怒ったり叱ったりはしなかった。彼女はやはり悪戯っぽく微笑み「もったいないじゃあないか」とそう一言だけ囁いて、汚された自分の布団の横に跪いた。そうして土下座でもするように布団に顔を埋めると、まだ温かさの残る精液に口をつけて一滴残らず飲み干し、舐め取ってしまったのだった。
 静かな寝室にじゅる、ごく、じゅる、ごくりといういやらしい水音だけが響き渡る。ロショウにできるのはぼうっと呆けていることだけであった。しかしその余りに背徳的で扇情的な光景を前に、いつのまにか陰茎は再び勃起していた。
 「食事」が終わった彼女はいつものようにロショウの小柄な体躯を抱き上げ、風呂場に連れ込んだ。そうして彼は今、浅く湯の張られた湯船の中でトウキのむっちりとした太ももの上に抱えられている。


 「でもどうして布団なんかに?今のや…この前見せたような手淫では興奮できなかったのかい?」
 「ええ、と…そうというか、そうじゃないというか…」
 頭上から聞こえてくる問に、ロショウは歯切れ悪く応えた。なんというか、どうにも目を合わせられない。
 トウキは太ってはいないが大柄だ。身長に限っていえばロショウ二人分ほどはある。体育座りを重ねるようにトウキの上に座ると背中全体に彼女の腹が密着し、その高い体温と柔らかい感触を伝えてくる。両肩にはずっしりとした乳房がそれぞれ載せられて、両脇からロショウの頭を包み込んでいた。男を甘やかすためのその肉体に包まれれば、普段ならあっという間に脱力してなすがままになってしまう。しかし今日ばかりは──あんな現場を目撃されてしまってはそうはならなかった。羞恥と緊張と罪悪感で、ロショウの体は未だに固いままだ。
 それでも少年の股間には勃起したままの陰茎が隠しようもなくそそり立ち、脈打っている。今なお節操もなく性的興奮を示し続ける自分の分身を前に、ばつの悪そうな彼の顔は赤く染まっていた。



 「いやぁ困ったな…ロショウのその柔らかい手なら、きっと自慰でも気持ちよくなれると思ったんだけどねぇ?どうして達せなかったのやら…」
 「う…それは…その…」



 (とっくにお気づきのはずなのに…)
 白澤は見たり触れたりしたものの情報を得、反対に自身の記憶やイメージを他人と共有することもできる。人智を超えた力だ。そしてそれは人の心の動きにも通用するため、ロショウの感情は基本的にトウキに筒抜けであった。さらに肌と肌を触れあわせようものなら感情だけでなく何を考えているのかもお見通しになってしまうようで、それがしばしばロショウを悩ませている。
 (…お師匠さまとじゃないと、最後までできない…射精、できないってことを)
 悩ましいのは特に夜、つまり性交に及ぶときであった。トウキはロショウの性的欲望に関してはしばしば鈍くなる──表面上は。実際はロショウの淫らな欲望を知った上でわからないふりをしているのだ。少なくとも彼はそう確信していた。
 何より今。こうして密着しているのだから、この心の内の独言もきっと彼女には筒抜けになっているはずなのに。思わずロショウは口を開いた。


 「…お師匠さまっ…その……きっともうおわかりなんでしょう?なのに…い、意地悪ですっ」
 紅潮した顔でトウキを見上げ、震える声で抗議する。こちらを見下ろすトウキはやはり微笑むだけだった。
 「何のことかな。言われないとわからないよ」
 「……」

 嘘だ、間違いなく。トウキの意味ありげに光る瞳が物語っている。ロショウは顔を下げ、悔しげに口をつぐむ。同時に悟ってもいた。こうなったトウキは譲らない。いつもは優しいのに、夜伽に限っては一変して残酷になってしまう。こういうときはロショウが負けを認めて、口に出して「答え合わせ」をするより他にないのだ。

 「……お師匠さまと、じゃないと」
 顔を俯かせたまま、か細い声を振り絞った。あまりの恥ずかしさに心臓がばくばくと高鳴って、無意識に両手が握りしめられる。

 「さ、最後まで…できないんです……──ひゃっ」
 言い終えるか終えないかのところで、右耳に熱い風があたった。側頭部に押し当てられていたはずの乳房が右肩の横に流れ、その代わりにふにふにとした柔らかい何かが耳介を挟んでいる。唇だ。その隙間からは囁きと一緒に熱い吐息が漏れ出し、耳を撫でてくすぐったい快感を浴びせてくる。
 「どういうこと?最後までできないって…具体的に言ってくれないと」
 「ひ、ぁぁっ…それ、あっ……だ、め…で…」
 破裂音が鼓膜を打つ度に首筋の産毛がさかだって、ぞくりと背筋が震える。体が、特に肩の周りの筋肉がひくひくと震えだした。痙攣というよりかは緊張と脱力を交互に繰り返している感じだ。
 (みみが、あつい…っ)
 肩が自然とすくみ、首が縮む。顔が上を向き、風呂場の暖かい照明が目に映る。視界が湯気で揺れているのか、快感に耐えられず朦朧としているのかわからない。耳を舐められているわけでもない、ただ囁かれているだけなのに首を縮めたまま動けなくなるほど強い快楽。耳はロショウの一番の性感帯であった。陰茎が一際大きく揺れ、触ってほしい、射精したいとせがんでいる。体をよじって逃れようにもロショウの腹にはトウキの両腕が回され、優しく、しかしがっちりと押さえつけられていた。
 「ねえ、言ってごらん?どうして…何ができないの?」
 容赦のないトウキの低い声が耳元で響く。
 「言わないならずぅっと…一晩中こうして囁いていてあげてもいいけど…ふふ、それだとおちんちんが苦しそうだよね?」

 (やっぱり、わかってるくせに…っ)
 言わなければ。トウキなしには達せられない体になっているということを白状しなくては、こうして抱きすくめられたままずっと耳を虐められる羽目になる。本当に一晩中だ。トウキはこういう言葉の綾のような脅し文句を文字通りに実行してしまう嫌いがある。
恥ずかしさと快感がないまぜになった頭の思考を必死にまとめ上げて、ロショウは口を開いた。叫ぶように言ったつもりでもその実小さな掠れ声が喉を震わすだけであった。

 「お師匠さまの、手じゃないと……しゃ、射精…できないんですっ…お師匠さまに、ち、ちんちん触って、そのっ、扱いて…もらわないと……独りじゃ、だめで…」


 途端に耳元の熱い吐息が去った。むにゅ、と乳房が再び右耳に押し当てられる。苛烈な責めの代わりに柔らかく心地よい感触に包まれ、ロショウはため息をつく。二人きりとはいえこんな恥をかかされて、それでもなおトウキの肉体に安らぎを感じてしまう自分が情けない。

 不意に頭上から笑い声が降ってきた。トウキの楽しそうな笑い声だ。
 「でも私の手じゃなくても…布団で射精できたろう?ふふ、あんなにたくさん」
 「そ、それはっ」
 「それは?」
 「あ…それ、は…」

 先ほどの痴態を指摘され、少し冷めてきていたロショウの顔が再び赤くなる。耳が熱い。語るに落ちるというか、どうにもトウキと話していると巧みに誘導されているような気がしてならない。

 「うふふ。お布団をお師匠と間違えるとはねえ」
 「そういうわけでは…──あっ!?待って、思い出さないでくださいっ…あっ、あ…やめてぇ…」

 唐突に脳内に浮かび上がる自分の痴態。トウキの、白澤の力だった。触れあった肌を通して彼女の記憶を流し込まれ、無理矢理に共有させられているのだ。
 入口から見た、薄暗い寝室。これは一時間ほど前のトウキの視点だ。床に落ちている赤い下着の横、布団の上でこちらに背を向けた少年の幼い尻がへこへこと揺れ、腰が何度も何度も掛け布団に打ち付けられている。ぱす、ぱす、と間抜けな音が響いていた。頭の方まではよく見えないものの、枕に押しつけられているのかくぐもった声と吐息が聞こえる。

 「ご、ごめんなさいっ、恥ずかしいからやめてっ…お願いですから…あ、ぅ…」
 ロショウの泣き出しそうな声での謝罪を無視し、トウキは彼の脳裏をスクリーンにした無慈悲な上映会を続ける。頭の中の映像であるので、目を背けられないどころか瞼を閉じればより鮮明に腰を振る自分の情けない姿が浮かび上がってくる始末。
 ロショウは気づく。トウキの記憶の中の自分はまだ射精していない。掛け布団には先走りによる濡れ染みができているが、あの精液だまりはまだだ。ということは。
 (あ、あの恥ずかしい「だいすき」が…)

 『あ…でそう…』

 必死に腰を振る少年がそう呟いた。その後の展開を悟り、ただでさえ赤かったロショウの顔がみるみるうちに真っ赤になっていく。「ほんとに…もう、ここで止めてください…」当然ロショウの懇願は聞き入れられなかった。



 『あ…うぅ、お師匠さま、だいすきっ…ご、ごめんなさいっ…』

 震える声での愛の告白、そして謝罪と同時に陰茎が跳ね、大きな律動を始めた。亀頭は布団に押しつけられてよく見えないが、あっという間に布団の上に溜まっていく白濁が射精に達した事実をまざまざと見せつけている。数十秒間に及ぶ射精をじっくり見せつけてから、トウキはようやく記憶の共有をやめた。


 「うふふふ…だいすきなお師匠さまならこっちだよ?」
 「うぅ…」
 嗜虐的で、かつ幸せそうな笑みをトウキは浮かべている。一方彼女の太ももに跨がらされたロショウは顔から火が出そうな思いで耳まで真っ赤にしているのだった。







 風呂から上がって少し遅い夕飯を食べ終わり、口を漱いで、蝋燭の灯りが揺れる仄明るい寝室に二人。例の布団は部屋の隅に畳まれている。決して大きくはない部屋には微かに栗の花のような匂いが漂っていた。

 「うふふ。部屋も布団もロショウのいい匂い…まるでロショウに包まれてるみたいだ。布団で達してしまうのもわかるかもしれない」
 「も、もう…からかわないでくださいよ…」

 二人が座っているのは小さな布団の上。ロショウのものだ。トウキのものは敷き布団も掛け布団も精液で汚れてしまったので、仕方なく二人で小さな布団を分け合っているのだった。
 ロショウは先刻の風呂場とは反対向きに、トウキと向き合うようにして彼女の太ももに跨がっている。トウキはわざわざ寝間着ではなくあの赤い下着を着けていて、それだけでロショウはどぎまぎとしてしまう。自分の顎のすぐ下で、お互いの胴体に押し潰されている二つの赤い膨らみを、直視することができない。

 「ほどきたい?」
 「え…その……」

 悪戯っぽい笑みを浮かべてトウキは問う。昨日の記憶が蘇って、ロショウは口ごもってしまう。
 「……あ」
 不意に布団の上に置いていた手がトウキの温かい掌に包み込まれ、引っ張られた。ロショウの手が導かれた先はもちろん彼女の腰、下着の紐だ。三対あるうち、一番下の一対だった。

 「まあでも、ほどきたくないなら別に良いんだけど…」
 わざとらしく、ゆっくりと手を腰から引き離されそうになる。
 「その、ほ、ほどきたいですっ…」
 慌てて素直な欲望を口走る。思わずトウキの顔を見て、目を合わせてしまう。彼女の朱色の瞳はじっとりとした情欲で光っていて、なんとなくいたたまれなくなったロショウはすぐに目を逸らした。
 「ふふ、ちゃんと私をごらん。それともやっぱり…脱がしたくなくなった?」
 「い…いえ…」
 脱がす。いささか直接的な表現にロショウの心臓がどきりとなった。努めて呼吸を落ち着かせながら、再びトウキと目を合わせる。
 「そう、いい子だ。そのままそのまま…」
 楽しそうに目を細めた彼女の顔は揺れる炎に照らされて、そのきめ細かい肌に影と橙の光とが交互に差す。形の良い唇は紅を差してもいないのにほんのりと桃色に色づき、彼女が喋る度に柔らかく形を変えた。蝋燭の光は両のこめかみから伸びたつややかな角にも降りかかり、一条の光を反射してきらきらと輝いている。若い水牛を思わせる太く短いその角は油を塗ったかのようによく磨かれていて、鏡の代わりにさえなりそうだ。
 (きれい…)
 トウキの美貌にすっかり見とれたロショウは、無意識のうちにゆっくりと顔を近づける。綺麗に切り揃えられた白い前髪が、くるりと上に反った長い睫が、左目の斜め下の小さなほくろが、虫眼鏡でも使ったかのようにロショウの目に映る。瞳はまるで赤い宝石のようで、その中心に大きく開いた瞳孔の奥の真っ暗闇に今にも吸い込まれてしまいそうだった。


 「…あっ」
 鼻先に、ふに、と何かが触れた。あまり顔を近づけすぎて鼻同士をぶつけてしまったようだった。ロショウは慌てて謝りつつ顔を引こうとする。
 「も、申し訳ござ──あ、えっ」
 がくんと抵抗が掛かり、顔を引くことができなかった。トウキの両腕がロショウの背中を押さえつけている。
 「うふふ」
 悪戯っぽい笑み。ロショウはこの顔にめっぽう弱かった。目を細めて口角をくっと上げてじっと見つめられると、追い詰められたような──まるで何か怒られるようなことをしてしまったかのような心持ちになってしまう。ましてこの、相手の吐息を顔で感じるほどの近さ。蛇に睨まれた蛙のように体が固まって動かない。

 「離れる必要なんてないだろう。そう、そのままだ…さ、この紐だよ。引っ張ってごらん?」
 指先に細い布の感触が伝わる。促されるがままにそれをつまみ、力を入れる。すぐ目の前にはトウキの綺麗な瞳があって、そこから目を離すことができない。
 く、と指先に抵抗を感じる。そのまま引っ張ると紐同士が擦れる感覚が伝わってきて、しかしすぐにふいと手応えが軽くなった。ロショウは蝶結びがほどけたことを悟る。


 (ほ、ほどいちゃった…お師匠さまの、下着の紐…)

 師と仰ぐ女性の下着を、自らの手で外していく背徳感。ばくばくと心臓が高鳴る。恥ずかしい。こんなことはやめなければ。両手を戻しトウキの瞳から目を逸らしたいはずなのに、まるで魔法に掛けられたかのように目も体も動かなかった。目と鼻の先で見つめ合ったまま抱きつくように腰に両腕を回して下着の紐をほどいていくその行為に、たまらないほどに興奮してしまっている自分がいる。

 「うふふ…胸が早鐘みたいに打ってる…ほらまだだよ、次は背中」
 依然見つめ合ったまま、手を上へと持ち上げられる。つ、と背中のそれが指先に触れる。再び紐をつまみ力を入れた。まるで糸で操られているかのように腕が緩慢に動き、蝶結びの一本ずつの紐の先を引っ張る。また、ふいと抵抗が消えた。
 はらり。紐が肌を掠めて垂れ下がる音。ロショウの肩がぴくりと跳ねる。
 
 「最後は首だ…ねぇ、もう手で教えなくても場所はわかるよね?私もちょっと…もう我慢できないな」
 「あっ…お師匠さま…ちか、近いですっ…」

 さらに二人の顔が近づいた。背中に再びトウキの手を回され、抱き寄せられたのだ。額同士がぺたりとくっついて、瞳と瞳の距離はピントが合わないほど。


 「近くないとできないだろう、口吻は…」
 「んっ!?…んんっ…」
 有無もいわさず唇を奪われた。ふにふにとした温かい唇で、唇を弄ぶようについばまれる。穏やかで儀礼的な口づけもそこそこに、トウキの舌がロショウの唇へ侵略を開始した。
 「ふ…ぁ…っ」
 口の端から唇の山までを、唾液でぬるぬるの舌が這い回る。背筋にぞくぞくとした感覚が走り、思わず吐息が漏れた。きゅ、と股に力が入る。自分のものではない舌でねっとりと唇を舐め回されるのは、何度体験しても慣れそうにない。

 (ほら、首の紐をほどいてごらん)
 口づけの最中で喋れないはずのトウキの声が聞こえた。直接的で濃密な身体接触により、脳内での会話までできるようになっているのだ。
 頭に直接響くトウキの声。それに付随して伝わってくる、ロショウに向けられた甘ったるい感情。
 
 ああ、こんなに滾らせてしまってなんとかわいらしいことか…少し腰を撫でてやるだけでも肩を跳ねさせて、まるで怯えたリスのようだ…口づけさえにも恥ずかしがって股を閉じようとして…その実戸惑いながらも雄の欲が顔に浮かんでいて、それなのに全ての選択を私に委ねて…私に言われるがまま、言われたとおりに健気に体を動かして、ああいじらしい…今すぐにでもこの子を、この子の体も心も…全て快楽でめちゃくちゃにしてしまいたい──

 言葉にならない感情であるそれはしかし、こうして言葉にできそうなほどに濃密ではっきりとしている。普段の理知的な彼女の言葉遣いで飾られない、抜き身の刀のように生々しい感情。声色で伝えきるのは難しい色情や恋慕、親愛、果ては嗜虐心まで、そんな溢れんばかりの情念が彼女の心の声を満たしていた。そして心と心が文字通り通じ合った今、その全てがロショウにも手に取るようにわかる。わかってしまう。
 この半ば一方的なコミュニケーションが始まる度に、ロショウはどうしようもなく恥ずかしいような、幸せなような気持ちになるのだった。

 (お師匠さまに、好きって…抱きたいって思われてる…)
 そう思うと心がむずむずする。上手く言葉にできないが、誰にも聞かれたくないような、それでいて誰かに自慢したいようなそんな気分。嬉しい感情なのは確かだった。

 (そう、そのもう少し上だね…うふふ、くすぐったい)
 「…ん、む…」
 口を貪られ、その身に余るほどの愛情を浴びせられながら、ゆっくりと両手を上へと動かす。トウキの背中のなめらかな肌をなで、背骨の曲線を辿り肩甲骨の凹凸を経て、うなじへと至る。震える手でさらさらとした髪の毛をかき分けて、下着の紐を探り当てた。ゆっくりと、ゆっくりとそれを引っ張る。




 「よくできました」
 耳から入ってくるトウキの声。熱烈な口づけがようやく止んで、それでもまだ吐息が唇にあたるような距離に彼女の顔はある。あの悪戯っぽい笑みは少し赤く染まり、瞳は心なしか潤んでいた。


 「ふふ…もう邪魔だね?これは」
 下着の紐は遂に三対全てほどけてしまった、いやロショウがほどいてしまった。トウキは左手で彼を強く抱き寄せたまま、右手で二人の身体の隙間から赤い布を引っ張り出していく。ゆっくりと下着が持ち上がって、お互いの顔を隠した。

 絹の布地は頭の方へ上っていく過程で少年の小さな乳首を擦り上げる。
 「ふ、あっ…あ、ん…」
 まだ色づかないその蕾は毎晩の様にトウキに吸い付かれ舐め回され爪弾かれて、とうに性感帯の一つになってしまっていた。幼い身には不釣り合いな胸の快感に、ロショウは思わず女のような声を漏らしてしまう。

 「ん、ふ…っ」
 下着の向こうのトウキの喉からも艶やかな喘ぎが漏れた。彼女もまた乳房の頂点、膨らんだ乳首に下着がすりすりと擦れる快感を味わっているのだ。触れあった肌を通して彼女が今どこで感じているのか、どんな快感を味わっているのかが漏れなく伝わってくる。じんじんとした快感が自分のものなのかトウキのものなのか、もうわからない。一度に二人分の快楽に苛まれると腰が勝手にもじもじと動き、トウキのうなじに抱きつく両手に力がこもる。トウキもきっとロショウの快楽まで甘受しているのだろう。幼い躰を跨がらせた彼女の太ももも、落ち着かずもぞもぞと摺り合わされている。




 「…ふう、ようやく…脱げたね。いや…脱がされてしまった、かな?うふふ…」
 やがて縦に長い下着の布が、二人の身体の間から全て引き抜かれた。再び交わった目と目の間には、蜂蜜のようにあまくもったりとした空気が満ちている。間近で見つめ合う二人はどちらも息を荒くし顔を赤くして、すっかりできあがってしまっていた。
 トウキは右手を開き、床にその赤い布を落とす。彼女の浮かべる笑みからは心なしか余裕が失われていた。二人の胸の間を満たす柔らかい乳房は布によって引っ張り上げられ、膨れた乳首がつんと上を、もといロショウの顔の方を向いている。

 「…お師匠さまっ、もう、我慢できません…その、い、入れたいです…っ」
 「うふふ、愛い子…私ももう、これ以上問答を続ける余裕はない…から」



 「一緒になろうか」
 ぐらり。目の前の、トウキの身体が後ろへ傾いた。彼女と一緒に倒れ込むロショウは、うなじに回していた両手を反射的に床につく。体格差によってすぐ目の前に裸の乳房が揺れて、桃色に色づいた乳首に目を奪われた。その視界の端でトウキの右手がさっと動く。
 それはあっという間の出来事だった。ぴと、と勃起した陰茎に柔らかい指先が触れたかと思うと、次の瞬間には──。


 「──あっ」
 にゅるり。小さな肉棒は熱くぬめった肉壺に導かれ、迎え入れられていた。挿入しようと思う間もなく、ロショウの怒張はトウキの膣に根本まで丸ごと飲み込まれてしまったのだった。

 「ふーっ……うふふ、入ってしまったね…じゃあ早速」
 「ひっ!?あ、あっ…まってくだ…ひぁ、ああぁ…っ」
 一息つく暇さえ与えないままにトウキの膣がなまめかしく蠢き、咀嚼のような動きを始めた。ぬちゅ、ぬちゅという水音が、ロショウの耳にまで届く。既に昂ぶっていた怒張を揉みくちゃにする愛液まみれの大量の襞。少しもこらえられないままに、腰から熱い塊がせり上がってくる。

 「あ…あー……っ…♪」
 挿入してから十秒も経たないうちの射精だった。無論そんなことを気にする余裕はロショウにはない。蕩けた顔で、布団に出したのと同じかそれ以上の量の精液をトウキの中にどくどくと注ぎ込んでいる。心ここにあらずといった起伏のない喘ぎ声が喉から漏れた。

 「おししょう、さまぁ…」
 「ああ、かわいい…すっかり蕩けてしまって…」
 自分のふやけた声とトウキのうっとりとした声が遠くに聞こえる。背中を這い回る柔らかな感触は彼女の手だろうか。紅潮した彼女の顔がぼんやりとにじんでいく。聴覚、触覚、視覚まで。そうした外界の情報が全ておぼろげになって、精液を吐き出す快感だけが頭いっぱいに──。


 「ひゃんっ!?」
 そんな甘い快楽の時間が不意に打ち破られた。冷たくぬるぬるとした何かが押し当てられている。自分の身体のことなのに、奇妙な感触の発信源がどこなのかを理解するのには少し時間が掛かった。
 「お…おし、り…っ!?」
 トウキの指がロショウの肛門を弄っているのだった。彼女の柔らかい指は油のような潤滑剤か何かでぬめらされているようで、強烈な違和感と得体の知れない快感を伝えてくる。指の腹でくるくると撫で回されると肛門が勝手にひくつき、トウキの熱い肉壺の中で陰茎が跳ねた。
 「やめ、てくださいっ、汚いですからっ」
 尻穴をつかった性戯はこれが初めてで、当然抵抗がある。肛門性交というものがあるのは書物で読んで知っているが、現実にやるとなると話は別だ。それは大抵男同士で行うはずのものだし、それに男女で行うとしても肛門に挿入する側なのは男であるロショウのはずだ。そもそも排泄をするはずの場所を使うなど衛生的に受け入れがたい。
 にわかに清明になった視界の真ん中、トウキの顔を見据えてロショウは必死に抗議する。しかし彼女は慌てることも狼狽えることもなく、楽しげに笑ってこう言った。

 「ふふ、そう言うと思ってさっき念入りに洗ってあげたんだよ?…それに」
 湯船に浸かる前、やたらと丁寧に尻を洗われたのはそれだったのか。いやに冷静にロショウは分析してしまった。

 「…ん、いっ…!?」
 「おやごめんよ、痛かったかな」
 痛くはない、痛くはないが──。
 「な、にを…な、なにか、おしりに入ってっ…」
 異物感。小さな豆のような何かが、トウキの指によって肛門に押し込まれたようだった。それはまだ緩みきらない括約筋を通過して直腸に入り、留まっている。

 「浄錠ってお薬だよ。今日遅くなったのはこれを買いに麓まで降りていたから」
 少年の背中に腕を乗せその先でひくつく肛門を優しく撫で回しながら、トウキはすらすらと語る。
 「じょ、じょうじょう…?」
 「そう。洗浄の浄に錠前の錠。これは水がなくても溶けて効くものだね。おしりから入れると素早く溶けて、お腹の中を綺麗にしてくれるの…腸全部ではないけど。汚いものを分解、合成して多糖類…要は粘液に変えて、潤滑剤の代わりにもなってくれるんだよ。だから汚いなんて心配は不要なのさ」
 「は、はあ……」
 「あと便利なことに媚薬効果もある」
 「は………はい?」
 「子供用は品切れだったから大人用を買ってきたんだけど、洗浄成分の内容は問題ないから安心してくれていい」
 「えっ…」
 「何かお腹を痛めたり下痢をしたりといった副作用を起こす事はない。媚薬の成分量は大人用に違いないけど」
 「あの、それはつまり…」
 「媚薬としての効きが良い腸内洗浄剤、兼潤滑剤ってことだね。我ながらいい買い物だった」
 「そんな…!?」

 悪びれることもなくトウキは笑っている。ロショウは到底笑う気にはなれない。恐ろしいことにはさっきまであったはずの尻の中の異物感がすっかりなくなっているのだ。件の錠剤は既に溶けてしまった、つまりそういうことだろう。
 「怖がらないで…さあ、私に全て委ねておくれ…」
 「あっ…ん…っ」
 ロショウの背中を抱くトウキの左手に力が込められた。その抱擁はややきつく、自然と顔を彼女の乳房に押しつける格好になってしまう。むにむにと柔らかい乳の肉に顔を押しつけていると、自分でもわかる程にあっという間に理性が崩されていく。
 (柔らかくて、いいにおい…)
 気づけば両手をトウキの腋の下から肩に回して、彼女の大きく柔らかい躰にしがみついてしまっていた。
 「そう、いい子いい子…」
 先ほどから延々と指で弄ばれている肛門は次第に熱感を帯びてきていた。くるくると円を描くように這い回るトウキの指の感触が、やけにはっきりと感じられる。強く緊張して閉じていたその門はトウキの愛撫に促されるように開いたり閉じたりを繰り返して、徐々に緩みはじめていた。強い淫剤と聡明な魔物の手捌きが合わさって、幼い少年の躰は容赦なく攻め落とされていく。ロショウがトウキの指に侵入を許すまで、そう長くは掛からなかった。
 「あ…」
 再び尻を襲う異物感。トウキの指は細いとはいえ先ほどの錠剤よりは確実に大きく、ロショウの肛門は強い拒絶を示す。括約筋が強く収縮して、指を排除しにかかった。トウキの指はそれに抵抗するわけでもなく、ぬるりと押し出される。しかし筋の緊張の後には脱力が訪れるものだ。
 「あっ…!」
 指を押し出しきって気の緩んだ肛門に、すかさずまたトウキの指が挿入される。今度はより深いところまで。
 「うふふ」
 慌てて力み指を押し出すが、次の脱力をトウキが見逃すわけもない。挿入され、押し出して、また挿入されるその繰り返し。振り子のような指の動きはあっという間に大きくなり、気づけばトウキの細長い指は根本まで肛門に入り込んでしまっていた。もう押し出すことはできない。それなのに括約筋の緊張の波に合わせた指の前後運動だけは続いていて、ロショウに今できるのは肛門が指になぶられるのを黙って耐えることだけだった。

 「ひゃ…だ、だしいれ、するの、やめてくださ…あっあぁっ…」
 「このお薬を買ったのはね、いろんな気持ちよくなる方法を知ってもらおうと思ったから。どうにも自慰が上手くいってないみたいだったからね…ふふ」
 「…おし、おしりがっ……あつくて、へんっ…で…っ」
  トウキの言葉を理解する余裕さえなかった。会話にならない答えを返してしまう。
 「うふふ、最初は変でも大丈夫。気持ちよくなるのは…これからだからね」
 「あ…っ」

 最初に秒殺された、あの膣のなまめかしい咀嚼が再開された。ロショウは乳房と尻に夢中になる余り、トウキと繋がったままである事を──すっかりとまではいかないまでも──忘れかけていた。さあ思い出せとでも言うように、ぐちゅりといういやらしい水音が再び聞こえてくる。大量の襞が一斉にざわざわと蠢き、固いままの陰茎を舐め回し──ロショウはまたもやあっという間に追い詰められてしまった。

 「おちんちんとお尻、最初は別々の快感でもいいんだよ。まずはお尻を犯されながら射精してしまう感覚を…体に覚えさせてあげる」

 「ひ…あ、あぁ…♪」
 あっけなくも狂おしい脈動が始まった。ただ前回と違うのは──。
 (おしりが…ちから、はいって…びくびくしてる…)
 トウキの指が入り込んでいるせいか、射精に伴う会陰周辺の痙攣が鮮明に感じられた。肛門に意図せずとも勝手に力が入って、異物をきゅうきゅうと締め付けている。その初めての感覚は独特で、今は快感よりも戸惑いの方が勝っていた。
 「ロショウの体が精液を送り出すためにびくびくしてるの、わかるだろう?今からこれを逆さまにするの。気持ちよくてびくびくしちゃうせいで、思わず精液を漏らしてしまうようにするんだよ」
 「え……あ、あっ…」
 唐突に訪れた、尻の中を引っ張られるような感覚。快感とはほど遠い、寧ろ不快とも言えそうなそれに、ロショウは顔をしかめる。その感覚はトウキにも伝わっているようで、彼女も少々眉間にしわを寄せた。
 「ちょっといやだね…今は指を曲げてるの。ごめんね、すぐによくしてあげるから」
 再び背中をぐっと抱き寄せられて、二つの大きな膨らみに顔を沈められる。顔を甘やかされる心地よさで意識が尻から逸れ、体の力が抜けた。計算ずくだったのか、ロショウの体が快楽に素直すぎたのか。肛門の緊張が緩んだ隙を見逃さずトウキの指が一際奥へと入り込み──。
 「っ!?」
 がくりと腰が揺れた。腹の奥を内側から押される、奇妙な感覚。しかしそれは不思議なことに、間違いなく快感であった。背筋ではなく腹全体に電流が走るような未知の感覚に、体がぶるっと震える。
 「ここだね」
 「あっ…!?あ、やめ…て…っ」
 トウキの指が、直腸の中を小刻みに前後する。その「場所」を彼女の第二関節と思しき出っ張りが往復する度に、腰が浮くほどの快感が襲った。
 前立腺。直腸のすぐ腹側、射精管と尿道の合流部を包み込む分泌器官。骨盤の奥深くに位置するそれを一瞬で、しかも指の真ん中の第二関節で探し当ててしまうのは白澤の成せる技だろうか。周りよりもやや膨れ弾力のあるそれを、トウキは優しく何度も擦り上げる。その度に尻から快感が走って腰はがくがくと浮き上がり、肛門は射精時のような痙攣を繰り返した。全て体の勝手な反応で、ロショウにはそれを制御することができない。
 「うふふ、前立腺ってこんなに気持ちいいんだねぇ…少々嫉妬してしまうな」
 快楽を同期してうっとりと緩んだトウキの顔を見る余裕などロショウにはなかった。勝手に浮いてしまう腰を必死で押さえつけようとトウキの肢体に思い切り抱きつき、顔を乳房に埋めている。
 (なにこれっ…しらない、わからないのに)
 わからないのに、気持ちいい。初めての前立腺への刺激でここまで感じるのは恐らく浄錠の媚薬効果だろう。体は火照り、肌は汗で湿って、思考が正常に働かないままに体の前後から──尻と陰茎から快感を擦り込まれ続ける。
 尻の中で指は蠢き続け、やがて四肢にも力が入らなくなる。細い胴はトウキの腹にぺたりとくっつき、腰だけがかくかくと浮き始める。まるでトウキが指一本でロショウの体を持ち上げているようだ。トウキも自身の腰を持ち上げて、膣でロショウの陰茎を迎えに行っている。
 「…びくびく、大きくなってきたね…さ、我慢しないで」
 ロショウの肉体はもはやトウキの指に支配されてしまったかのようだった。彼女の手の往復に合わせて腰がびくり、びくりと跳ねて肛門がきゅうと締まる。肛門から発せられるぬぷぬぷといういやらしい音に同期して、小さな躰がびくびくと揺れるのだ。枕に顔を埋めていたときのように乳房越しに荒い息と喘ぎが漏れ、時折それに師を呼ぶ切なそうな声が交じった。
 浮いた腰はやがて上り詰め、痙攣は小さくなる。一方でトウキの指をしゃぶるかのような肛門のひくつきは次第に大きくなり、うねるような動きに変わりつつあった。
 (しゃせいの時と、おんなじ、感じ…)
 ぼんやりとした頭でそう悟る。事実膣の中では陰茎が大きく膨れ、震え始めていた。
 「腰の力を抜いて…お漏らししてしまうのをイメージして…」
 トウキの右手が背中から腰をゆっくりと撫で下ろし、それと同時にイメージが流れ込んできた。腰回りの筋肉の緊張を解放して、放尿するかのような感覚。それがとどめになった。

 「っ…ん、ふぁ…あぁ…」
 したことのない射精だった。ゆっくり精液が尿道をのぼって、とろりと漏れ出す感覚。それがいつまでも続く。本当に失禁しているようだ。熱い液体がとろとろと溢れ続け、トウキの中に注がれる。指で内側から精液を押し出されているような感覚だった。
 (きもちいい…きもちいいの、ゆっくりで…ぜんぜんとまんない…)
 下半身がとろけてしまいそうなその射精は長く続いた。いつもなら爆発的な勢いで吐き出される量の精液を時間を掛けて放出しているようで、一分間以上は情けない喘ぎ声と精液を漏らし続けていただろうか。普段から二、三十秒間程度と長い射精をしているロショウにしても尋常ではない時間だった。

 ようやく射精が終わった頃にはロショウは息も絶え絶えで、腰も力なく落ちていた。陰茎だけは未だに勃起したままトウキの肉壺に突き立てられ、まるで精液を漏らさないように蓋をしているようだ。彼女の下腹部は心なしか膨らんでいるように見える。

 「ふーっ…ふぅっ…私でさえ…気をやってしまいそうだった、この快楽は…ロショウの身には重かったね、少し。…ドライオーガズムとやらはまだまだ先のことだろうかねぇ」
 「……ぅ…おし、しょう、さまぁ…」

 普段の射精とは比べものにならないほどの疲労感。トウキの柔らかく温かい乳房は高級な枕のようで、それに頭を包まれていると秋の日暮れのような速さで意識が混濁していく。

 「うふふ…こんな時まで私を愛して、呼んでくれて…」
 眠りに落ちていく間にも心がトウキと繋がっていて、音が遠ざかっても彼女の言葉が伝わってくる。
 「ふふ、自慢したいような…でも知られたくないようなその気持ちの名前はね、独占欲っていうの」
 トウキの低くゆったりとした声は子守歌のよう。甘ったるい愛情が二人の間を、ぺたりとくっついた肌同士を通して循環し増幅していく。

 どくせんよく、独占欲、そう…離したくない、ぼくのもの…私のものだって、そういう気持ち…すき、好き…大好き、だいすき──


 やっぱり全部筒抜けで、よかった。そう思った。
20/03/17 13:43更新 / キルシュ
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■作者メッセージ
正直に言うと城之内構文が使いたかったそれだけで連載にしました。

毎回意識混迷状態で執筆しているので投稿する頃には何かわからんがくらえッ!という気分になっています。

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