5.それでも僕は彼女とシたい!
稲荷の雫月 珠恵さんを散々に犯した後、クールダウンした俺にのしかかったのは罪悪感であった。
巡子さん以外の人とエッチしてしまった。
これは完全な浮気である。
「やってしまった・・・」
誘ってきたのは向こうとは言えこっちは完全に乗り気だった。
まさか、一日と立たずに彼女の心を裏切ることになるなんて・・・。
そう言えば雫月さんはというと、服を着直した後ずっと壁の方を向いて体育座りをしたまま黙っていた。(お漏らしは俺が綺麗に拭き取った)
「あの・・・雫月さん・・・」
そんな重っくるしい空気はとても苦手だ、なので俺は彼女に謝るべく声をかける事にした。
流石に怒ってるだろうなぁ。
「さっきはスミマセンでした・・・えとどうお詫びしたらいいか・・・」
「・・・た・・・」
何かを呟いた彼女の顔を覗くと、水滴が頬を伝わった。
「犯された・・・ヒグッ・・・九尾たる私が・・・グスッ・・・何も出来ないまま・・・お漏らしまでして・・・」
彼女は目に一杯に涙を貯め、唇は泣くのを我慢するかのように噤んでいた。
「メスにぃ・・・ズズッ・・・堕ちちゃったぁ・・・ウワァァァァン!」
だが、それを堪えきれることは出来ず、彼女の泣き声が部屋中に響いた。
二重の罪悪感が真上からズシンと来た俺は、まず目の前の事態を処理することにした。
「調子に乗りすぎましたゴメンナサイ・・・だから落ち着いて、泣き止んで下さい」
まず、彼女をそっと後ろから抱きしめ耳元で囁く。
顔の横に触れた尻尾はモフモフと心地よい。
「グスッ・・・小僧、だれの所為だと・・・」
「ソレに俺嬉しかったんですよ、雫月さんが誰とも経験した事がなくて、貴方の初めてを貰えたことは俺にとってとても嬉しいことです」
彼女が怒り出す前に俺は本心を包み隠さず口にする。
ヘンに嘘を着いても彼女の勘に触るだけで事態が悪くなるだけだ。
でも処女貰って嬉しいって処女厨ってヤツなのかなぁ・・・。
「雫月さんは自分がメスに堕ちちゃった事相当悔しいと思ってますが、俺はメスになった雫月さん可愛くて好きですよ」
「え・・・す、好き・・・」
なんというか、勝ち気な性格の彼女がこんな大泣きするのは、巡子さんとはまた違った愛おしさを感じる。
その言葉に彼女の顔はカァと紅くなる。
「あとお漏らししちゃった所も」
「う、うるさい・・・それ以上言うな」
やっぱりお漏らしした事が相当恥ずかしかったのか悪戯っぽく言う俺の頬を引っ張った。
ただ雫月さんはもう泣き止んだようだ。
「イテテ・・・ですけど、ちょっとやりすぎちゃったってのは謝ります、ゴメンナサイ」
「ちょっと所ではない・・・それに九尾たる私をメスに堕として謝って済むと思うなよ。
・・・もうお、お前の事しか考えることが出来なくなった。
だから代償として、私をお前のモノにしろっ」
腫れぼったく充血した目をこちらに、真っ直ぐ向けた告白。
これは本気なのだろう。
「えと、こんな俺で良ければ・・・」
「よし、これでもう私はお前専用のメス狐だ。
でだ、これからどうする?他の魔物もいるのだろ?」
あー!そうでしたー!なんか事態がより悪化したー!
浮気から二股に究極進化したぁー!
「言っておくが魔物相手に隠し立ては出来んぞ、匂いで分かるからな。
こうなった以上包みか隠さず話した方が良い」
こうなりゃ隠し通すしかないと思った矢先に、雫月さんから放たれた追い打ちの矢が飛んできて、俺は更に絶望に打ちひしがれる。
「まぁ原因は私にもあるし、ここは私も助力しようではないか。
お前はそれまでに恋人に話をつけておくんだな」
それから俺は神社を出てトボトボと帰路についていた。
雫月さんは「準備がある、帰って待ってろ」と言って社の奥へと消えていった。
その足取りは重く、これか来る未来に絶望しかない。
雫月さんが言って事が本当なら会った瞬間二股がバレる可能性がある。
そうなったらどうなっちゃうんだろ・・・怒るかな、悲しむかな・・・最悪追い出されるのかな・・・。
そんなネガティブな考えが頭の中でぐるぐる回っている内に俺は『天龍荘』に着いていた。
「ええい、ままよっ」
このまま突っ立てても埒が明かないと思った俺は意を決して玄関の扉を開けた。
「ただいまー」
俺はおずおずと忍び込むようにアパート内に入る。
「あら純八さん、おかえりー結構長かったわねー」
そして、今一番見つかって欲しくない相手は、蛇のような尻尾で器用にスルスルと階段を下りてやって来たのだった。
「いやぁ、ちょっとね・・・」
「ふぅん・・・あっ」
俺は濁すように誤魔化すが、巡子さんは何かに気付いた様にこちらに近づき鼻をスンスンと鳴らした。
俺はつい、逃げるように後ずさる。
「純八さん・・・他の魔物の子とエッチしたでしょー」
そして、速攻でバレた。
俺は全身から冷や汗を流し、それにより身体が冷え切った。
雫月さんの言ってたことは本当だったのか。
「隠さないでよー匂いで分かるんだからー」
「その・・・スミマセン・・・」
俺は、申し訳なさ過ぎて萎縮し、それしか言えなかった。
「もー純八さんってば浮気性だったのねー・・・ところで何回シてもらったの?」
ちょっとむくれながら言ったその言葉が俺の胸に深々と突き刺さる。
何か気になる事を言ってはいるが、俺はそれに疑問することも忘れ、ただ正直に言うだけだった。
「本番を一回だけ・・・」
この"だけ"という部分が自分なりの精一杯の言い訳である。
「そうか・・・じゃあ今朝も会わせて2回目だよねー・・・」
俺の答えに巡子さんは「うーん」と考え事をする仕草をする。
「純八さん、今日はもうエッチなこと禁止、勿論オナニーもダメだからねー」
そして、俺には死刑宣告に近い言葉を投げつけられたのだった。
「ちょっ巡子さん・・・」
「今からお昼ご飯作るから部屋で待っててねー」
この時巡子さんの背中が、何かとても遠く感じ、俺はしばらく動けなかった。
「ハァ・・・サイアクだ・・・」
それから、俺は自室のベットに力無く横たわっていた。
自業自得とは言え、あんな拒絶のされ方をしてしまうと流石に堪える。
「これからマジどうなるんだろ・・・」
このままずっとエッチさせて貰えないのかな・・・それとも、昼飯の後に此処を出て行くよう言われるのかな・・・。
そん時は雫月さんの所に世話になろうかな・・・。
「でももう巡子さんとエッチできないのかー」
それはそれでイヤだ、どっちが良かったなどとは比べられないが、雫月さんもよかったケド巡子さんも気持ちよかった。
そんな人がいつでもシていいって言ってくれてたのに・・・。
彼女だって自分の正体を開かすのに相当な勇気がいるはずだ。
俺に拒絶されるんじゃないかって怖がってたはずだ。
それを踏みにじったのは俺だ・・・。
「・・・こういうのって自分で落とし前つけるのが漫画やアニメの王道だよな・・・」
なら、やることは一つだ。
フィクションの主人公でもない一般高校生がどこまで出来るか分からないが、きっちり全て元に戻してやる。
俺は覚悟を決めて部屋を出ると、巡子さんのいる食堂へと向かった。
そこには彼女がまだ昼食を作っている途中だった。
「巡子さんっ」
「純八さん、待っててねーもうすぐ出来るから・・・きゃぁっ」
俺は彼女を背後から抱きついた。
そして下からセーターに手を突っ込み、ノーブラの乳房を揉みし抱いた。
「アンッ♥・・・まって・・・今は・・・ウンッ!?」
彼女が何かを言う前にその唇にキスをする。
「ぷはっ・・・純八さん・・・今日は・・・」
その隙に彼女のスカートのホックを外し、緩んだところから手を突っ込む。
やはり蛇のような身体な為か下も履いておらず、俺は濡れていた女性器の膣肉に指を入れた。
「やぁっ♥・・・そこはっ・・・うむっ♥」
雫月さんの身体で学んだ(というか使った)テクを彼女にもし、更に俺のズボン越しに固くなったペニスを巡子さんの尻の谷間にそって押しつける。
それは俺はこんなにも貴方とシたいっていうセックスアピールというヤツだ。
「ダメェ♥・・・これ以上されたらっ・・・キちゃうゥ―――――――♥」
彼女は前戯行為だけですぐに絶頂し、全身を弓なりに反らした。
「ハァ・・・ハァ・・・もうこれ以上は怒るわ・・・」
「ゴメンっ!俺、巡子さんの思いを踏みにじっちまったっ!」
巡子さんが少しばかり怒気の含まれた声をだす前に俺はそれを遮るように切り出した。
「折角俺のこと好きだっていってくれたのに、俺は浮かれすぎて巡子さんの本当の気持ちを分かった気でいたんだ。
その所為で俺は貴方を悲しませてしまった。ホンット最低だよ。
これからは巡子の事を一番に考える。
これ以上なにも言葉は並べられないけど、出来ればこんな俺で良かったらやり直して欲しい、どうか嫌いにならないでくれ、お願いします!」
俺は後ろから力一杯抱きつき、精一杯の謝罪と思いをぶつけた。
巡子さんはきょとんとした表情でスカートを直すと口を開いた。
「えーっと・・・何を言ってるか分からないケド、私は悲しんでもないし純八さんの事嫌いになってないわよー」
「・・・へ?」
その言葉に、俺は呆気に取られて様な、間抜けな言葉が出た。
「え・・・でも俺浮気して、他の子とエッチしちゃったし・・・」
「別にいいわよー」
え?、別にいいって?浮気を?
「でもーとっても不安だったんだよー私のこと捨てちゃうんじゃないかって・・・」
そんな気の抜けた俺の腕の中で巡子さんは器用に身体を反転させ抱き返してきた。
「でも私だけが一番なのはちょっといただけないわねー」
「え、どういう・・・」
「おーい勝手に入らせてもらうぞー」
そんな矢先、玄関の方から声が聞こえてきた。
この声は聞き覚えがある、雫月さんの声だ。
そのままドカドカと食堂の方に足音が近づいてくる。
「純八ーお、いたいた、その様子からして丸く収まったようだな」
「あ、珠恵ちゃん」
そして巫女姿の雫月さんがこちらを覗いてきた。
俺は恥ずかしくなって巡子さんから離れる。
「匂いでだいたい分かったが、お前のカノジョってやはり龍田だったか」
「って事は珠恵ちゃんが?」
「え、二人って知り合いなの?」
まぁ同じ町に住んでるし、面識はあるよな。
「ああ、私と龍田はこの世界にくる以前から友人と呼べる関係だな」
「まさか珠恵ちゃんを食べちゃうなんてー純八さんったら以外とスゴイ人かも」
「いや、もっとマズイでしょ、俺恋人の友人と二股したんだよ!?」
そんな俺の心配を余所に、修羅場なんてなる雰囲気はまったく無く。
「別に魔物はハーレムになっても気にしないわよー」
「元いた世界のある国の女王の旦那は9人もの魔物を嫁にいるしな」
それどころか現代日本人の一般倫理を逸脱した答えが返ってきた。
中には集団で伴侶となる魔物や、意図的にハーレムを作り出す魔物まで存在するとか。
だが「でも中には一途で嫉妬深い子もいるから気をつけてねー」とは釘を刺されたが。
って事はだ・・・。
「雫月さん・・・まさか知ってて黙ってた?」
「当たり前だ。私を散々にいじめ抜いたお前が苦悩し悶絶する様を見たかったのだ」
そう言って雫月さんはムカツクくらいのドヤ顔を晒した。
そう、俺は雫月さんの仕返しにまんまと掌の上で踊らされていたのだ。
さっきまでの決意はなんだったのだ・・・俺は恥ずかしさに項垂れるしかなかった。
「でもー私、純八さんのその言葉を聞いて、とーっても嬉しかったな」
「お、どんな口説き文句を言ってきたんだ?」
「それはねー」
「ダメー、ストップストーップッ!」
今その言葉をリピートされたら恥ずかしくってホント死んじゃうっ!
でもそんな浮気が問題無い事だったら一つの疑問が残る。
「ところで、じゃあなんで今日エッチ禁止なんて事言い出すのさ」
「だって・・・インキュバスにもなってない人間の身体で、精子を出し過ぎるのはとーっても身体に悪いことなんだよ」
俺の疑問に巡子さんは割とあっさりと答えてくれた。
はじめっから聞けば良かった・・・。
「精子には亜鉛が含まれていて一回の射精でかなりの量を消費しちゃうのよ。
で、その亜鉛は人間の身体にはちょっとだけしか含まれていないの。
毎日精の出る料理を食べさせても摂取量なんてたかがしれてるし、亜鉛不足は身体に様々な悪影響を及ぼすの、インポにもなっちゃうわ。
確かに好きなときにエッチしていいとは言ったけれど、人間の内は射精は一日に2回くらいにしてほしいなって」
なんか科学者めいた事いいだす巡子さん。
まぁ要するに、だ。
「俺の身体のこと、心配してのことだったの?」
「そうよー、純八さんにもしもの事があったら私達が困るわ」
「まさか、もう抱かせて貰えないと思ったか?」
雫月さんがニヤつきながら図星をついてくる、この人絶対分かって言ってるよ。
「ところで、"インキュバス"って何?それになれば回数とか気にしなくて済むって事でしょ?」
巡子さん曰く、インキュバスとは男性版の魔物であり、それになれば性病等を気にすることなく性交する事ができるらしい。
で、インキュバスになるには魔物と性交することによって魔力を注がれることでなれるんだとか。
「普通のサキュバスとかだったらエッチしてるだけでなれるんだけど・・・」
「龍や九尾の狐の吸収する精はハンパないからな、普通の人間が私達のペースに合わせれば先に干からびるのがオチだ」
「って事は・・・もしかして二人とも一回や二回じゃ満足してないの?」
俺は雫月さんの言葉に疑問を投げかけ、雫月さんは笑いながら、巡子さんは顔を紅くして頷いた。
「今朝も純八さんが出かけている間・・・ずっと一人でシちゃってた・・・」
「私もアレだけで満足するはずがないだろう」
一回だけであんなヨガってたクセにと言おうと思ったが後が怖いので止めた。
だが、その答えを聞いて俺はすぐにでもインキュバスになりたいと思った。
「どうすれば、すぐにインキュバスってのになれるの」
「まぁそう急くな、私達がゆっくりお前のペースに合わせれば良いのだ。
だが急ぎたいのであれば・・・これだな」
すると、雫月さんは懐から○リー・○ッターの世界に出てくるような紫色の小瓶を取り出した。
中には液体が入っており、いかにもな禍々しい雰囲気をだしていた。
「それは?」
「こいつは我々がいた世界から持って来た物だ。
"インキュバスの秘薬"と言ってな、これを飲めばすぐにインキュバスになれる。
が、同時に劇薬でもある。命に関わることはないが、相当の苦痛が伴う筈だ」
雫月さんは「それでも飲むか?」と念を押してきた。
だが、俺の意志は変わらないし、覚悟は決めている。
「ああ、飲むよ」
俺は雫月さんから小瓶を受け取るとその蓋を取り中身を一気に飲み込んだ。
「・・・グッ!?」
その瞬間、全身の血液の流れが速くなる感覚に襲われ全身が熱くなる。
身体の節々がギシギシと鳴り響き、まるで身体全体の構造が組み替えられていくような感覚。
耳鳴りに吐き気、心臓がバクバクと音が聞こえてくる。
俺は痛みに耐えきれず両膝をつく。
「純八さんっ!?」
「純八っ!?」
巡子さんと雫月さんが心配そうに見てる中。
俺は視界がブレるほどの目眩に見舞われ、意識を手放したのだった。
巡子さん以外の人とエッチしてしまった。
これは完全な浮気である。
「やってしまった・・・」
誘ってきたのは向こうとは言えこっちは完全に乗り気だった。
まさか、一日と立たずに彼女の心を裏切ることになるなんて・・・。
そう言えば雫月さんはというと、服を着直した後ずっと壁の方を向いて体育座りをしたまま黙っていた。(お漏らしは俺が綺麗に拭き取った)
「あの・・・雫月さん・・・」
そんな重っくるしい空気はとても苦手だ、なので俺は彼女に謝るべく声をかける事にした。
流石に怒ってるだろうなぁ。
「さっきはスミマセンでした・・・えとどうお詫びしたらいいか・・・」
「・・・た・・・」
何かを呟いた彼女の顔を覗くと、水滴が頬を伝わった。
「犯された・・・ヒグッ・・・九尾たる私が・・・グスッ・・・何も出来ないまま・・・お漏らしまでして・・・」
彼女は目に一杯に涙を貯め、唇は泣くのを我慢するかのように噤んでいた。
「メスにぃ・・・ズズッ・・・堕ちちゃったぁ・・・ウワァァァァン!」
だが、それを堪えきれることは出来ず、彼女の泣き声が部屋中に響いた。
二重の罪悪感が真上からズシンと来た俺は、まず目の前の事態を処理することにした。
「調子に乗りすぎましたゴメンナサイ・・・だから落ち着いて、泣き止んで下さい」
まず、彼女をそっと後ろから抱きしめ耳元で囁く。
顔の横に触れた尻尾はモフモフと心地よい。
「グスッ・・・小僧、だれの所為だと・・・」
「ソレに俺嬉しかったんですよ、雫月さんが誰とも経験した事がなくて、貴方の初めてを貰えたことは俺にとってとても嬉しいことです」
彼女が怒り出す前に俺は本心を包み隠さず口にする。
ヘンに嘘を着いても彼女の勘に触るだけで事態が悪くなるだけだ。
でも処女貰って嬉しいって処女厨ってヤツなのかなぁ・・・。
「雫月さんは自分がメスに堕ちちゃった事相当悔しいと思ってますが、俺はメスになった雫月さん可愛くて好きですよ」
「え・・・す、好き・・・」
なんというか、勝ち気な性格の彼女がこんな大泣きするのは、巡子さんとはまた違った愛おしさを感じる。
その言葉に彼女の顔はカァと紅くなる。
「あとお漏らししちゃった所も」
「う、うるさい・・・それ以上言うな」
やっぱりお漏らしした事が相当恥ずかしかったのか悪戯っぽく言う俺の頬を引っ張った。
ただ雫月さんはもう泣き止んだようだ。
「イテテ・・・ですけど、ちょっとやりすぎちゃったってのは謝ります、ゴメンナサイ」
「ちょっと所ではない・・・それに九尾たる私をメスに堕として謝って済むと思うなよ。
・・・もうお、お前の事しか考えることが出来なくなった。
だから代償として、私をお前のモノにしろっ」
腫れぼったく充血した目をこちらに、真っ直ぐ向けた告白。
これは本気なのだろう。
「えと、こんな俺で良ければ・・・」
「よし、これでもう私はお前専用のメス狐だ。
でだ、これからどうする?他の魔物もいるのだろ?」
あー!そうでしたー!なんか事態がより悪化したー!
浮気から二股に究極進化したぁー!
「言っておくが魔物相手に隠し立ては出来んぞ、匂いで分かるからな。
こうなった以上包みか隠さず話した方が良い」
こうなりゃ隠し通すしかないと思った矢先に、雫月さんから放たれた追い打ちの矢が飛んできて、俺は更に絶望に打ちひしがれる。
「まぁ原因は私にもあるし、ここは私も助力しようではないか。
お前はそれまでに恋人に話をつけておくんだな」
それから俺は神社を出てトボトボと帰路についていた。
雫月さんは「準備がある、帰って待ってろ」と言って社の奥へと消えていった。
その足取りは重く、これか来る未来に絶望しかない。
雫月さんが言って事が本当なら会った瞬間二股がバレる可能性がある。
そうなったらどうなっちゃうんだろ・・・怒るかな、悲しむかな・・・最悪追い出されるのかな・・・。
そんなネガティブな考えが頭の中でぐるぐる回っている内に俺は『天龍荘』に着いていた。
「ええい、ままよっ」
このまま突っ立てても埒が明かないと思った俺は意を決して玄関の扉を開けた。
「ただいまー」
俺はおずおずと忍び込むようにアパート内に入る。
「あら純八さん、おかえりー結構長かったわねー」
そして、今一番見つかって欲しくない相手は、蛇のような尻尾で器用にスルスルと階段を下りてやって来たのだった。
「いやぁ、ちょっとね・・・」
「ふぅん・・・あっ」
俺は濁すように誤魔化すが、巡子さんは何かに気付いた様にこちらに近づき鼻をスンスンと鳴らした。
俺はつい、逃げるように後ずさる。
「純八さん・・・他の魔物の子とエッチしたでしょー」
そして、速攻でバレた。
俺は全身から冷や汗を流し、それにより身体が冷え切った。
雫月さんの言ってたことは本当だったのか。
「隠さないでよー匂いで分かるんだからー」
「その・・・スミマセン・・・」
俺は、申し訳なさ過ぎて萎縮し、それしか言えなかった。
「もー純八さんってば浮気性だったのねー・・・ところで何回シてもらったの?」
ちょっとむくれながら言ったその言葉が俺の胸に深々と突き刺さる。
何か気になる事を言ってはいるが、俺はそれに疑問することも忘れ、ただ正直に言うだけだった。
「本番を一回だけ・・・」
この"だけ"という部分が自分なりの精一杯の言い訳である。
「そうか・・・じゃあ今朝も会わせて2回目だよねー・・・」
俺の答えに巡子さんは「うーん」と考え事をする仕草をする。
「純八さん、今日はもうエッチなこと禁止、勿論オナニーもダメだからねー」
そして、俺には死刑宣告に近い言葉を投げつけられたのだった。
「ちょっ巡子さん・・・」
「今からお昼ご飯作るから部屋で待っててねー」
この時巡子さんの背中が、何かとても遠く感じ、俺はしばらく動けなかった。
「ハァ・・・サイアクだ・・・」
それから、俺は自室のベットに力無く横たわっていた。
自業自得とは言え、あんな拒絶のされ方をしてしまうと流石に堪える。
「これからマジどうなるんだろ・・・」
このままずっとエッチさせて貰えないのかな・・・それとも、昼飯の後に此処を出て行くよう言われるのかな・・・。
そん時は雫月さんの所に世話になろうかな・・・。
「でももう巡子さんとエッチできないのかー」
それはそれでイヤだ、どっちが良かったなどとは比べられないが、雫月さんもよかったケド巡子さんも気持ちよかった。
そんな人がいつでもシていいって言ってくれてたのに・・・。
彼女だって自分の正体を開かすのに相当な勇気がいるはずだ。
俺に拒絶されるんじゃないかって怖がってたはずだ。
それを踏みにじったのは俺だ・・・。
「・・・こういうのって自分で落とし前つけるのが漫画やアニメの王道だよな・・・」
なら、やることは一つだ。
フィクションの主人公でもない一般高校生がどこまで出来るか分からないが、きっちり全て元に戻してやる。
俺は覚悟を決めて部屋を出ると、巡子さんのいる食堂へと向かった。
そこには彼女がまだ昼食を作っている途中だった。
「巡子さんっ」
「純八さん、待っててねーもうすぐ出来るから・・・きゃぁっ」
俺は彼女を背後から抱きついた。
そして下からセーターに手を突っ込み、ノーブラの乳房を揉みし抱いた。
「アンッ♥・・・まって・・・今は・・・ウンッ!?」
彼女が何かを言う前にその唇にキスをする。
「ぷはっ・・・純八さん・・・今日は・・・」
その隙に彼女のスカートのホックを外し、緩んだところから手を突っ込む。
やはり蛇のような身体な為か下も履いておらず、俺は濡れていた女性器の膣肉に指を入れた。
「やぁっ♥・・・そこはっ・・・うむっ♥」
雫月さんの身体で学んだ(というか使った)テクを彼女にもし、更に俺のズボン越しに固くなったペニスを巡子さんの尻の谷間にそって押しつける。
それは俺はこんなにも貴方とシたいっていうセックスアピールというヤツだ。
「ダメェ♥・・・これ以上されたらっ・・・キちゃうゥ―――――――♥」
彼女は前戯行為だけですぐに絶頂し、全身を弓なりに反らした。
「ハァ・・・ハァ・・・もうこれ以上は怒るわ・・・」
「ゴメンっ!俺、巡子さんの思いを踏みにじっちまったっ!」
巡子さんが少しばかり怒気の含まれた声をだす前に俺はそれを遮るように切り出した。
「折角俺のこと好きだっていってくれたのに、俺は浮かれすぎて巡子さんの本当の気持ちを分かった気でいたんだ。
その所為で俺は貴方を悲しませてしまった。ホンット最低だよ。
これからは巡子の事を一番に考える。
これ以上なにも言葉は並べられないけど、出来ればこんな俺で良かったらやり直して欲しい、どうか嫌いにならないでくれ、お願いします!」
俺は後ろから力一杯抱きつき、精一杯の謝罪と思いをぶつけた。
巡子さんはきょとんとした表情でスカートを直すと口を開いた。
「えーっと・・・何を言ってるか分からないケド、私は悲しんでもないし純八さんの事嫌いになってないわよー」
「・・・へ?」
その言葉に、俺は呆気に取られて様な、間抜けな言葉が出た。
「え・・・でも俺浮気して、他の子とエッチしちゃったし・・・」
「別にいいわよー」
え?、別にいいって?浮気を?
「でもーとっても不安だったんだよー私のこと捨てちゃうんじゃないかって・・・」
そんな気の抜けた俺の腕の中で巡子さんは器用に身体を反転させ抱き返してきた。
「でも私だけが一番なのはちょっといただけないわねー」
「え、どういう・・・」
「おーい勝手に入らせてもらうぞー」
そんな矢先、玄関の方から声が聞こえてきた。
この声は聞き覚えがある、雫月さんの声だ。
そのままドカドカと食堂の方に足音が近づいてくる。
「純八ーお、いたいた、その様子からして丸く収まったようだな」
「あ、珠恵ちゃん」
そして巫女姿の雫月さんがこちらを覗いてきた。
俺は恥ずかしくなって巡子さんから離れる。
「匂いでだいたい分かったが、お前のカノジョってやはり龍田だったか」
「って事は珠恵ちゃんが?」
「え、二人って知り合いなの?」
まぁ同じ町に住んでるし、面識はあるよな。
「ああ、私と龍田はこの世界にくる以前から友人と呼べる関係だな」
「まさか珠恵ちゃんを食べちゃうなんてー純八さんったら以外とスゴイ人かも」
「いや、もっとマズイでしょ、俺恋人の友人と二股したんだよ!?」
そんな俺の心配を余所に、修羅場なんてなる雰囲気はまったく無く。
「別に魔物はハーレムになっても気にしないわよー」
「元いた世界のある国の女王の旦那は9人もの魔物を嫁にいるしな」
それどころか現代日本人の一般倫理を逸脱した答えが返ってきた。
中には集団で伴侶となる魔物や、意図的にハーレムを作り出す魔物まで存在するとか。
だが「でも中には一途で嫉妬深い子もいるから気をつけてねー」とは釘を刺されたが。
って事はだ・・・。
「雫月さん・・・まさか知ってて黙ってた?」
「当たり前だ。私を散々にいじめ抜いたお前が苦悩し悶絶する様を見たかったのだ」
そう言って雫月さんはムカツクくらいのドヤ顔を晒した。
そう、俺は雫月さんの仕返しにまんまと掌の上で踊らされていたのだ。
さっきまでの決意はなんだったのだ・・・俺は恥ずかしさに項垂れるしかなかった。
「でもー私、純八さんのその言葉を聞いて、とーっても嬉しかったな」
「お、どんな口説き文句を言ってきたんだ?」
「それはねー」
「ダメー、ストップストーップッ!」
今その言葉をリピートされたら恥ずかしくってホント死んじゃうっ!
でもそんな浮気が問題無い事だったら一つの疑問が残る。
「ところで、じゃあなんで今日エッチ禁止なんて事言い出すのさ」
「だって・・・インキュバスにもなってない人間の身体で、精子を出し過ぎるのはとーっても身体に悪いことなんだよ」
俺の疑問に巡子さんは割とあっさりと答えてくれた。
はじめっから聞けば良かった・・・。
「精子には亜鉛が含まれていて一回の射精でかなりの量を消費しちゃうのよ。
で、その亜鉛は人間の身体にはちょっとだけしか含まれていないの。
毎日精の出る料理を食べさせても摂取量なんてたかがしれてるし、亜鉛不足は身体に様々な悪影響を及ぼすの、インポにもなっちゃうわ。
確かに好きなときにエッチしていいとは言ったけれど、人間の内は射精は一日に2回くらいにしてほしいなって」
なんか科学者めいた事いいだす巡子さん。
まぁ要するに、だ。
「俺の身体のこと、心配してのことだったの?」
「そうよー、純八さんにもしもの事があったら私達が困るわ」
「まさか、もう抱かせて貰えないと思ったか?」
雫月さんがニヤつきながら図星をついてくる、この人絶対分かって言ってるよ。
「ところで、"インキュバス"って何?それになれば回数とか気にしなくて済むって事でしょ?」
巡子さん曰く、インキュバスとは男性版の魔物であり、それになれば性病等を気にすることなく性交する事ができるらしい。
で、インキュバスになるには魔物と性交することによって魔力を注がれることでなれるんだとか。
「普通のサキュバスとかだったらエッチしてるだけでなれるんだけど・・・」
「龍や九尾の狐の吸収する精はハンパないからな、普通の人間が私達のペースに合わせれば先に干からびるのがオチだ」
「って事は・・・もしかして二人とも一回や二回じゃ満足してないの?」
俺は雫月さんの言葉に疑問を投げかけ、雫月さんは笑いながら、巡子さんは顔を紅くして頷いた。
「今朝も純八さんが出かけている間・・・ずっと一人でシちゃってた・・・」
「私もアレだけで満足するはずがないだろう」
一回だけであんなヨガってたクセにと言おうと思ったが後が怖いので止めた。
だが、その答えを聞いて俺はすぐにでもインキュバスになりたいと思った。
「どうすれば、すぐにインキュバスってのになれるの」
「まぁそう急くな、私達がゆっくりお前のペースに合わせれば良いのだ。
だが急ぎたいのであれば・・・これだな」
すると、雫月さんは懐から○リー・○ッターの世界に出てくるような紫色の小瓶を取り出した。
中には液体が入っており、いかにもな禍々しい雰囲気をだしていた。
「それは?」
「こいつは我々がいた世界から持って来た物だ。
"インキュバスの秘薬"と言ってな、これを飲めばすぐにインキュバスになれる。
が、同時に劇薬でもある。命に関わることはないが、相当の苦痛が伴う筈だ」
雫月さんは「それでも飲むか?」と念を押してきた。
だが、俺の意志は変わらないし、覚悟は決めている。
「ああ、飲むよ」
俺は雫月さんから小瓶を受け取るとその蓋を取り中身を一気に飲み込んだ。
「・・・グッ!?」
その瞬間、全身の血液の流れが速くなる感覚に襲われ全身が熱くなる。
身体の節々がギシギシと鳴り響き、まるで身体全体の構造が組み替えられていくような感覚。
耳鳴りに吐き気、心臓がバクバクと音が聞こえてくる。
俺は痛みに耐えきれず両膝をつく。
「純八さんっ!?」
「純八っ!?」
巡子さんと雫月さんが心配そうに見てる中。
俺は視界がブレるほどの目眩に見舞われ、意識を手放したのだった。
14/09/20 07:23更新 / ふじやん
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