連載小説
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五月十六日 我が家でお泊り会 其の二
ただいまの時刻午後十時を回った頃だと思う。
先ほど帰宅した二人(魔物を〜人と考えていいのかは不明)が戻ってきた。
僕こと河野翔は現在腐れ縁の相坂徹と一緒に僕の家の大浴場にいる。

「なぁ…翔」
「どうかしたの徹?」
「この仕切り板を超えた先にはま、マリアちゃんとレヴァンが入浴してんだよな?」
「そうだろうね?」

そうこの浴場は十メートルある仕切り板で男女分けられている。
そこでどうやら徹の男魂に火をつけたようだ…―
正直に言うとめんどくさい。

「よしッ!!俺は覗くつ!!」
「頑張れ…」

徹は浴場の角に置いてある風呂桶を組体操のピラミットにしてその上に乗り板に手をやり覗くと…―

「にぎゃあああああああッ!!!!」

糸でぐるぐる巻きにされた徹が落ちてきた。
間違いなくここの専属家政婦の三根紗代さんが入っていたのだろう。
…恐ろしい家政婦である。

◇〜レヴァン視点〜

「ふぃ〜ッ…良いお湯だった…」

私は緑と黄緑のチェック柄のパジャマ姿で牛乳瓶を持ちながら縁側で足を組みながら座る。
そして私の隣には夜空を眺める赤い和服姿のマリア・シルヴァーノがいる。
その顔はどこか寂しい顔をしていた。

「ねぇ〜ッ…マリア?」
「…なによ?」
「…貴方…、何か悩んでる?」
「…悩んでないわよ…」

何よ…その悲しい目は…―
私はため息を付き夜空を眺める。

「…綺麗な星空ね?」
「…うん…そうね」

あぁ〜ッ!!イライラしてきたッ!?
私は立ち上がりマリアを指さす。

「いいマリアッ!!」
「…何よ?」
「悩んでもしょうがない時はあるでしょうがッ!?何よ、今のアンタはッ!!」
「…」

マリアは足を交互に動かしながら俯く。
その顔は何だか「切ない気持ちでいっぱいです」みたいな顔をしている。
そこで私は何も言わずにその場を離れる…―
これじゃあ…私の負けじゃない…―

◇〜マリア視点〜

私は何をしたいのかもわからない…―
私は胸に両手をあてると心臓の鼓動が激しいのがわかる。
こんな気持ちは初めてだ…―
どうしてだろう…胸が苦しい…―
私はどうしたら良いの…―

「…どうしたら良いの…翔…私わからないよ」

私は半泣きで夜空を見つめる。
もしこれが“恋心”だとすればそれは恐らく…―
翔にたいしてだったら嬉しいしずっと思っていたい。
でもそれで翔に告白して振られたら私は孤独になりそうで怖い。
どうしたら良いのかもわからない…―

「…翔」

私は俯きながら翔の名前を呟く。
それは何だか気恥ずかしくてなんだか苦しい。
でも何でだろう…全然嫌じゃない…―
私は俯きながら微笑む。

◇〜翔視点〜

僕と徹はパジャマで風呂を出て厨房に牛乳瓶を取りに向かう途中だったのだが…―

『悪い便所借りるはッ!!』

っと言ってトイレに駆け込んでいった。
まったくそれでも幼馴染の家ですることかよ…―
僕は縁側を歩いているとそこには月の明かりに照らされたマリアの姿があった。
マリアは縁側の庭ある大きな桜の木の下で月を眺めていた。
そこで僕は下駄を履いて彼女の元まで歩く。

「こんなところで何をしているの?」
「…翔」

僕が声をかけると和服姿のマリアがこちらに振り向く。
それと同時に彼女の綺麗な銀髪がかすかに揺れる。

「ただ月を見ていただけよ?」
「そうなんだ…、なら僕も付き合うよ」
「…好きにすれば?」

僕はマリアの隣に立つと突然マリアが僕の腕を組む。
そこから伝わる彼女の胸の柔らかさとぬくもりや香りがする。

「綺麗な…月だね?」
「…うん」

マリアが僕の肩に頭を乗せて微笑む。
そして僕は言った…―

「ねぇ…マリア」
「…何よ?」
「…好きです」
「…ッ…嬉しい」

すると僕らは向かい合った。
そして…―

「…へ、返事を聞いても良い?」
「…その返事は私の部屋で良いかしら?」
「…そう来ますか」
「…ふふッ、私はリリムなのを忘れてないかしら?」
「そうでした…忘れてた…」

そして僕らは手を握りながら月を眺める。
その日の月はとても綺麗でした…―
12/04/09 14:37更新 / パンドラ
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■作者メッセージ
せ、背中が…。
はいッ!!てなわけで主人公とメインヒロインが結ばれました。
この後の展開はいかにッ!?

感想や指摘がありましたら言ってください。

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