連載小説
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2夜目
やぁやぁ、また会ったね。私としては、酔ったついでにぶちまけた駄文だったからね、読みにくさも相まって二度と君が訪れる事は無いだろうと思っていたんだ。
 でもね、世の中には奇妙な人間も居るものでね この肥溜めに君以外にも 997回訪れた人間が居るみたいなんだ。いやはや、嬉しいのかそれとも他人の人生を奪って悲しいのか複雑な気分ではあるね。
 折角だからね、貴重な人生を私の駄文に割いてくれた他ならない君の為に私は自分の恥ずかしい過去を記そうと思う。
 その前に、この世界について私が知りえる知識も前座として記しておくことにするよ。
 魔物娘が現代に溶け込んだ経緯は既に話したが、何故日本が選ばれたのかについてはまだだったね。これは知り合いの白澤(彼女探しの途中で知り合ったのだが、色々あってね・・・)から聞いた話だからイマイチ私も良く理解はしていないのだが・・・。
「日本」は古来から呪術や仙道を扱う人々が居たらしくてね、有名なのは「安倍晴明」だとか大ムカデを退治した「俵藤太秀郷」だとかだろうか?
 で、この頃から既に魔物娘が何人か居たらしくてね。例えば「俵藤太」が倒した大ムカデと言うのも、あれは伝承違いでね実は彼が橋で踏んだ大蛇はドMの魔物娘で、当時異形の魔物娘は人数も少ないから「好みの」男性を探すことすら難しかったんだ。そこで一計を案じて白蛇の魔物娘である彼女が変化して橋の上で待機しつつ良い男の臭いを察知、見つけたら大ムカデ退治と言う名前の結婚式を挙げさせていたとかなんとか・・・?尤も、踏まれたのは彼女の趣味らしいがね。その後、唾付きの矢を深く刺された大ムカデが絶頂失神してしまったのだけれどあまりに外聞が悪いからね、退治と言った形で書き記したらしいんだ。まぁ、他の人間からすれば単に倒れようにも見えたかもしれないがね。
ああ、それで一気に話がずれてしまったね、私の悪い癖で話し出すと止まらないんだ。普段人と会うことが少ないからね、君と話しているとついつい饒舌になってしまう。申し訳ないが、ここはもうそう言った性分だから諦めてくれたまえ。
後は安倍晴明の式神を奥さんが嫌ったのも、美少女である彼女達に嫉妬したとかなんとかあるらしいね、まあそこについても暇になったら別に書いてみるとするよ。
 さてと、本筋に戻るのだが。何故日本が選ばれたのか?答えは2つある。一つは、数百年前から魔物娘がちょこちょこ転移したりしていて根回しがかなり楽であった事。そして二つ目が日本には珍しい事に魔力が少し存在している事だ。
 尤も、魔力は異世界に比べると少ないらしくてね東京なんかはもうほとんど存在しないらしいが、京都とかはかなり濃いらしいね。これについて先程紹介した白澤が一生懸命に説明してくれたのだけれど私には理解できないシステムだったよ・・・。
 ま、色々話は飛んだにせよ要は「住みやすい」これが重要だったらしいね。とは言えここから先、海外に進出する事も十分にあり得るとかなんとか言っていたけれども、そこまでは私の知ったことではないね。今日の前座はあくまで日本が選ばれた理由だからね。前座としてはちと長くなってしまったかもしれないが、まぁそこはどうか許してくれ。


 でだ、漸く私の恥ずかしいお話に戻るわけだが・・・。
 会う猫又に事の如く「くさい」と言われた私は流石に心が折れてね、別の魔物娘にアプローチする事にしたんだ。 とは言え、「くさい」以外にも確かに私が言葉につっかえていたり、魔物娘だからって二言目で告白をするのは良くなかったかもしれないからね。どうやら猫又は時間をかけて愛を育む性格の子が多いらしいから、これはもう魔物娘に興味があるだけでしっかり事前知識を得ないまま突っ込んだ私にも責があるかもしれないね。だからこそ!!今回はある程度時間をかけてみることにしたのさ。(あまりの可愛さに我を忘れていたのだけれど、初対面の男性に二言目で告白されたら誰でも怖いよね)
 基本的に魔物娘とコンタクトを取るには3種類の方法がある。一つ目は天然にごく自然に出会うパターンだね。幼少期に出会った魔物娘と成長してからラブラブする記録なんて言うのは君たちも腐るほど知っているだろう? 二つ目は魔物娘の生息域に自ら侵入して探すこと。これも既に多くの被害報告が結婚届と共に上がってきているね。そして三つ目が「恋愛相談所」に行くことだね。魔物娘が経営している相談所でね、魔物娘と独身男性を引き合わせる結婚相談所のような仕事をしている場所なんだ。まぁ、その性質上働いているのは既に成立したカップルや独身の魔物娘しかいないのだけれども。
私がファーストアタックをかけた道路に面している「猫屋敷」もその相談所の一つと言うわけだ。大元は刑部狸が経営している大企業らしいけど、そこは私の知ったことではないね。
 で、重要なのは私がどの手段を取るかなのだが・・・。まぁ妥当な手段として、待ち伏せを辞めて恋愛相談所に行くことにしたんだ。それはもう一張羅のスーツを着てまるで大企業の面接に挑むような心持ちで扉をくぐったんだ。
「こんにちは、ここが恋愛相談所の猫屋敷でしょうか?」
すると受付のハーピー嬢が完璧なスマイルでこう返してきたんだ。
「ええ、ここは猫屋敷ですよ。本日はどのようなご用件でしょうか?」
「ああ、えっと・・・私はその・・・あの・・・。」
彼女を探しに来ましたなんて恥ずかしくて口が裂けても言えないね・・・。
「お客様?大丈夫でしょうか・・・?」
このまま帰ってしまおうかと思ったのだけれどもここで思わぬ助け船が入ったんだ。
「クーちゃん、その人見たら何しに来たかは一目瞭然やがな」
背後から聞こえてきた声に振り向くといかにも仕事の出来るビジネスウーマン然とした刑部狸がにやりと笑いながらこちらを見ていたんだ。
「クーちゃん、その子はお客様やあらへん。ウチに仕事しに来たアルバイト君や!」
 刑部狸は渾身のどや顔でこちらを見てきていたのだが・・・。

        なんでやねん!!!
「ああ、そうでしたか。ではこれから宜しくお願いしますね!新人君!」
「いやぁ、ほんま助かったで!ウチはほら、ちょっと特殊やから中々若い子で条件に合う子がおらんくてなぁ、張り紙出してから全然誰も来てくれへんかってんけど助かるわぁ!いやぁ、なんかあんねんろ?バイト代はたっぷり弾むからええもん買いや?」
 刑部狸(森永さんと言うらしい)のマシンガントークに押されてあれよあれよという間にその日一日は猫屋敷でアルバイトする事となったのだが・・・。
 これは逆にチャンスかもしれない!独身魔物娘も相手を探して働く恋愛相談所なら!!今日一日働くことで恋が芽生える可能性も!!
 


 まぁ知ってましたよ、独身魔物娘はなんかもうそもそも必要以上に寄ってこないし、逆に男性からはお互い頑張ろうぜとか謎の友情を押し付けられるし。誰が既婚者なんかと仲良くするか!リア充なんかさっさと幸せにテクノブレイクしやがれ!あれですかね?私ホモになればいいのでしょうか?それとも、魔物娘なんて本当は居なくて、私だけ幻覚見てるだけなんですかね?
 ・・・・ふぅ、ついつい思い出すと感情的になって口調が乱れてしまうね。これのせいで読みにくくなってるだろうから、話を聞いてくれている君には申し訳ないばかりだよ。これだけ饒舌になるのも君の前以外には私のたったひとりの友人ぐらいだろうか?
 まぁ、そんな事はおいておいて。路上でのナンパ失敗は兎も角、番を求める魔物娘が揃う恋愛相談所の子ですら私を拒否って来たんだ。これはもう呪われているのかもしれないね。挙句の果てにバイトと間違えられて一日中働かされる事になるし・・・。
 スーツ姿で相談所に行った私にも非があるのかもしれないが・・・・。にしてもさっぱり解らないんだ魔物娘に愛されない理由。
 君なら少しはこの疑問を解き明かしてくれるのではないかと思っていたのだけれど・・・そう簡単にはいかなさそうだね。まぁまだ私の失敗談はあるからね、暇なら又来てほしいんだ、私も君に会うのがだんだん楽しみになってきた。
18/06/19 16:45更新 / JPcat
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■作者メッセージ
駄文で黒歴史を作り上げていくスタイル。これを書いている時に丁度地震が来てね、驚いたよ。君は大丈夫だったかい? そうそう、恐らく後数回でこの下らない改行をしない物語もおしまいだ。コメントが無ければ1話目で失踪していたと言ったね、あれは本当だ。 好きな魔物娘を書いておいてくれれば登場するかもしれないし、しないかもしれない。どうせ素人の駄文だ。読むのが苦痛だろうし、誰も興味なんて持っていないのだろう?だったら別にどうでもいいじゃないか?
 ・・・・まぁでも君が来てくれている事で私自身の安らぎになっている事も事実ではあるんだ。良ければ読みにくいだろうが来てくれると嬉しい。

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