４語目 イライラブレター（イライラ＋ラブレター）
「『アン・バイレ・デ・ラ・サービエンタ』、通称『新君祭』」
新君祭・・・
「我々の世界にはＤＲコーポレーション以外にも、メイドを教育する企業がいくつもあります。そのいずれかの企業において新たに代表取締役の就任がなされた場合にのみ催される、いわば式典のようなものがこれです。」
・・・まただ
我々の世界、メイドを教育する企業
現実離れした言葉が次から次へと飛び出す。
「開催の周期は先程申し上げましたとおり不定期ですが、決まって人間界で行われることになっています。」
つまり前回の開催は去年だったかも知れないし、もしくは１００年前だったという可能性もあるということだろう。
「各社は自社を代表するに相応しいメイドを選出し、どの企業のメイドが優れているかを競います。そして人間界でペアを組ませ、全てのメイドがペアを組んだ時点で開幕となります。」
「競技内容は『戦闘』。それぞれ教育の中で培った能力を生かし、力の限り戦います。・・・とはいっても相手を殺すまではいかず、アンサーの身につけている『シンボル』の破壊で決着となります。」
「中には、シンボルを壊すことなく残虐な戦いをする者も出てくるのは事実です。必ずしも殺されないとは限りませんのでご注意ください。」
「私からの説明は以上です、ご静聴感謝致します。詳細や不明な点があればご質問を受けますが？」
言葉が出るはずない。
戦闘・破壊・殺される
比較的安全な今の世の中でこんな事を言われたら誰だってパニクるに違いない。
実際俺がそう。
言っている意味は把握できる、説明全ては理解した
だけど、分からない。
理解していないのではない、分からないんだ。
きっとこれは自分の気持ち的な問題で、これを受け入れてしまったら現実になってしまうのではないか
その気持ちが意図的に思考を鈍らせている。
「ではそろそろ失礼させて頂きます、アンサー。私たちは弊社を代表するあなたを敬意を表してそう呼びます。良い答えを提出して下さること、社員一同期待しております。」
ベンチ越しにあった気配が消える。
俺は振り返ろうとするが、体がベンチに”張り付いたよう”に動かない。
今のが現実だったのかどうか
確かめることすら俺には出来ないのか・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
あれからどれくらい経っただろう
未だベンチに座り続ける俺。
気持ちに整理がついたわけではないが、だんだん落ち着いてきた。
「ふぅ・・・・」
辺りからはようやく音がし始め
いつもの住宅街に戻っていた。
青葉も心配するだろうし、そろそろ行かなきゃな・・・・
「・・・青葉」
・・・・・・もし
もし、先程の話が本当だとしたら
彼女がこの戦いに巻き込まれる事は必須。
彼女が傷つく可能性も・・・・・
ドクン
そう考えると自分の胸の奥が熱くなるのを感じる。
守りたい、彼女を傷つけたくない
きっとそんな想いからくる熱さなのだろう。
・・・・・正直言って、らしくない。
俺はそんなにカッコイイ性格ではない、まして戦いから彼女を守るなんて出来るはずが
「ああっ！やめやめ！！」
まだ確定してない現実から未来を導き出すなんて蛇足は人を余計に不安にさせる
今はなるべく、そう、なるべく考えないようにしよう。その時が来るまで。
「よいしょ・・・」
その場をあとにしようと足に力を入れる
が、
なぜかベンチから体が離れない。
え、何？！
何度やっても結局だめ
はあ？どういう事？
クシャ・・・・
おっと、なんかゴミ踏んじゃった
辛うじて首だけ動かし足下に目をやる。
踏んだのはどうやら紙。
足首を動かし、足を避ける
『ペンキ塗り立て』
・・・・・・。
ヒュゥ〜〜・・・・・
風と共に紙が飛んでいく。
あ、「張り付いたように」じゃなくて、本当に張り付いてたんだ
ふふふふはははははははっ！！
「誰がやったコラァッ！！出てこいや我っ！！」
ベンチにくっついたまま挑発する間抜けな俺
その目の前を風が何度も何度も通りすぎるのだった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「青葉、ここに座ってくれない？」
夕食の後、俺は今日の出来事を彼女に話すことにした。
「わかりました」
俺の真剣な声を察してくれたようで、青葉は俺の隣にそっと腰掛ける。
「今日、ＤＲコーポレーションの使者に会ってさ」
「はい」
「新君祭が開催したらしいんだ」
「そうですか・・・」
反応を見る限りその存在を認知しているようだが、あまり嬉しいものじゃないらしい。
そんな彼女に思い切って今の気持ちを言ってみた。
「俺は、どうしたらいいのかな？」
他人に自分の決定を委ねるのは正直残酷だと思う
それは受ける方に重荷を転嫁するのと変わらないのだから。
「私は」
沈黙が少し続いた後、青葉は口を開く
「私は、これからもずっと、あなた様にお仕えしたいと願っています。」
視線がぶつかる
「・・・・大樹様はいかがですか？」
真剣な眼差しが、俺の心に訴えかけてくる。
俺が
俺がどうしたいか
「俺は」
厳しい彼女、笑顔の彼女、健気な彼女、少し天然な彼女
そんな姿を見ているだけで、最近の俺は胸を高鳴らせ、胸の奥を熱くしたんだ。
「俺は、いや、俺も」
彼女と一緒にいたい。
「青葉にこれからも、側にいて欲しい」
その言葉を言った途端、自分の中で何かが噛み合ったような気がした。
俺を見つめ返してくる青葉の瞳には、薄く涙が滲んでいた。
「でしたら、戦わなければなりませんね」
戦う
そう、戦う。
恐怖や不安が一気に押し寄せるが、それは俺の心に届く前に塞き止められる。
『青葉とこれからも一緒に』
その言葉が俺を強くする。
「わかった」
俺は恐らく確信のこもった返事をしたのだろう。
青葉は温かな笑顔を浮かべ、こくりと頷いた。
それから真夜中まで、俺たちは二人でこれからについて話し合った。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ゆさゆさ
「大樹様、起きて下さい」
ゆさゆさ
「んが」
上体を起こし、まだ開ききっていない目で辺りを見渡した。
・・・・・・真っ暗。
「今、何時？」
「朝の４時３０分です」
な〜に〜ぃ〜
まだまだ〜寝れるだろぉ〜〜〜・・・
「まだ、起きなくても、良くない？」
「お忘れですか？今日から毎朝ランニングするのではありませんでしたか？」
・・・・あ
「おぉ、そうだった」
その言葉を聞いてようやく脳が覚醒し始めた。
昨日の夜、体力をつけることになった俺はとりあえずランニングから始めようという事になったのだ
「下で待っていますので、支度ができ次第出発致しましょう」
「おっけぃ」
部屋から青葉が出て行ったのを確認し、俺はジャージに着替える。
ウインドブレーカー着た方がいいかな？
うん、とりあえず着た方がいいか、そっちのほうが何か走ってる気がするし。
トントントン・・・・
「お待たせ」
玄関には段差に腰掛けながら靴ひもを結んでいる青葉の姿があった。
いつものメイド服から一転、グリーンのウインドブレーカーに身を包んだ彼女は
何かのアスリートに見えるくらい映えていた。
「似合うね、緑」
「そ、そんな・・・照れてしまいます・・・・」
顔を赤らめながら再び靴ひもを結び始める。
・・・そんなに照れられるとこっちまで照れ臭くなってきた
あぁ〜恥ずかしい恥ずかしい！
「それでは行きましょう」
「よっしゃあ」
玄関の戸を開けると、そこには極寒の地が待ちかまえていた。
「さ〜〜〜〜むっ！！」
「早く走り始めましょう、そちらの方が温かくなります」
「おう！」
ウインドブレーカーをシャカシャカいわせながら俺たちは並んで走り出す。
〜３分後〜
「はぁ、はぁ、も、もうだめ・・・・」
ぐあーーーーーっ！きつっ！！
それもこれもこの寒さのせい！
鼻毛が凍るだけならまだしも、鼻の中で鼻水が氷結するんだもん
呼吸出来ないの何のって！
・・・・・すんません、ただの運動不足です。
「休憩しますか？」
「はぁ、はぁ、た、助かるよ・・・」
あ、あなた、凄すぎです；
こんなに走って汗一つかいていないなんて・・・・
って、もしや俺本当に運動不足？？
丁度立ち止まると、いつぞや（昨日）座ってしまったトラップベンチがあった。
ペト
とりあえず触って確認
どうやら寒さでペンキは固まっているようだ。
「ふぅ」
俺が座るのを確認した後、隣に青葉が座る。
「リアル運動不足かも・・・」
「最初はこれで良いと思います」
「そう？」
「はい、これから頑張るのですから」
「そっか、そうだよね」
他愛のある話しが続く
と、
「わんわん」
「む？」
いつの間にか足下に一匹の犬が近寄ってきていた
そしてその後ろから中年のおばさんが追いかけてくる。
「やだ、すいません、いきなり逃げ出しちゃってねぇ」
「いやいや、大丈夫っすよ」
俺は犬を抱き上げるとおばさんに手渡した。
「ベンチに一緒に座って仲いいねぇ〜、姉弟なの？」
うっ、言いにくい、ここはとりあえず姉弟で済ま
「いいえ、主従関係です」
・・・・え？うそ、今言っちゃった？？
「は？」
そういって呆けた顔をするおばさん。
あ〜ぁ、完全に思考停止しちゃったよ
「彼が私の主で、私が彼のメイドです」
青葉さん、そんな事言っちゃったら
「・・・・私たち、姉弟に見えますか？」
あなた鬼ですか！脳破壊の鬼ですか？！
一つのことを理解する前に更に質問ってどういう事？？
ほらほらほらほらおばさん瞳孔開きかけてるよ？！
「青葉！そろそろ行こう！！」
「え？」
「ダッシュ！」
「あ・・・・」
青葉の手を取りどんどんその場から遠ざかっていく
ああ、明日の朝、もしあのおばさんに会ったら何て言おう。
・・・・・はじめまして、かな
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ガチャッ
「・・・・っ？！」
ガチャンッ
今、とんでもないものが入っていたような気がする。
これ・・・・俺の下駄箱だよな・・・うん、そうだ。
ガチャッ
「なっ？！」
ガチャンッ
「何やってるの・・・・？」
千彰と青葉が不思議そうにこちらを見ている
やばい、誤魔化さなくてはっ！！
「なっ、なんだこの臭い！くせ〜っ、俺の足くせ〜っ！！」
ど、どうだ
意味の分からない醜態を晒してしまったが、この事実がバレないなら安いもんだ。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
二人ともこっちガン見！！
ばれるなよ〜、ばれるなよ〜〜〜
「臭いはどうでもいいけど、何隠してんの・・・・？」
ばれたーーーーーーーーっ！！
ってか、最初から気付いてたのかよっ？！
なんか一方的に恥かいた；
「大樹様？何があるのですか？」
Ｏｈ、ピーンチ！！
ガチャッ
「ちょ・・・・」
俺が制止するよりも前に千彰が俺の下駄箱を開ける
そしてそこから一通の封筒を取り出す。
白い封筒に四つ葉のクローバーのシールで封がしてある。
「ラブレター・・・・」
そうです、俺が隠したかったのはこれ。
千彰だけならまだしも青葉がいるとなると・・・・
「へぇ・・・・」
にこにこ。
ほらっ！怒ってる！！
にこにこ笑っているようで色々と笑ってない！！
「中、見ないの・・・・？」
「ここで開けるの？！・・・・恥ずか「開けて下さい。」
にこにこ。
「・・・・・・はい」
青葉の食い気味の返答に為す術なくそれを開封する。
中には二つ折りにしてある紙が一枚
『放課後、屋上でお待ちしています』
・・・・・ベタい、ベタいけど
正真正銘ラブレターです！
ただ、差出人の名前がないので釣りの可能性もある。
う〜〜〜ん、どうするべきか
「どうしたらいいと思う？」
とりあえず千彰を見る。
「俺なら行って『無理』って一言言って帰る・・・・」
「冷たっ」
「知ってる人だったら『誰』って言う」
「ひどっ」
だめだ、参考にならん
そう思った俺は青葉に視線を移す。
先程から変わらぬ笑顔（？）を浮かべている。
「あの？・・・怒ってます？？」
「いいえ。」
「・・・イライラしてます？」
「いいえ。」
優しい声だが明らかに不機嫌さが表面化している。
「あの・・・・」
「イライラブレター、してませんから」
えっ！ここで？！
突っ込み辛れぇーーーっ！！
まあでも、イライラ＋ラブレターなのは間違いない。
そうこう考えている内に、青葉はそのまま教室に向かって一人で歩き始めてしまった。
「あ、ちょっと待っ」
「大樹、あとで話したいことある・・・・」
「わ、わかった、とりあえず今は青葉を追おう」
「うん・・・・」
だっだっだっだっだっだっ
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「起立、気をつけ、さようなら」
ガラガラガラ〜〜〜〜
放課後
俺は結局屋上に行くことにした。
青葉にそう言うと
『私は先に帰って夕ご飯の支度をします。』
と、そっけない態度をとられてしまった。
ごめん、青葉。ホントごめん。
心の中で何度も青葉に謝りながら、屋上へと続く階段を登っていく。
ガチャッ、キィ・・・・
扉の先には茜色をした空と、それを遮断するように周囲を囲むフェンスがあった。
そこに佇む一人の少女。
「あ・・・・根本さん」
”さん”付けってことは下級生かな？
「来て下さったんですね？嬉しいです」
そっと微笑む少女。
まだ名前すら知らないが、とても人当たりの良い子だということがわかる。
「ああ、それで、どうしたの？こんなところに呼び出して」
薄々気付いてはいるが一応確認しよう。一応。
決して本人の口から直接聞きたいなんて思ってないぞ？ほんとに。
「実は・・・・」
と、
「危ない！！」
突然背後から声がしたかと思うと、急激に背中から押し倒される。
「ぐおっ」
どごぉぉんっ
続いて何かの破砕音。
もう、何が何だかさっぱり
「大丈夫ですか？大樹様」
聞き覚えのある声
「青葉？」
「はい」
起きあがると、名前の知らない少女（略：以下少女）は残念そうな目でこちらを見ていた。
「パートナー、来てしまいましたね」
それを言い終わるのと同時に、少女の横にもう一つ影が現れる
「もう少しだったんだけどなぁ」
猫のような尖った耳、金色の髪、獣のような手足。
作り物にしては精巧すぎて、本物にしては現実とかけ離れすぎている
そんなモノ。
「でも、ここで勝てば優勝へ一歩前進だね」
「大樹様、どうやら他のアンサーに見つかってしまったようです」
「うそっ」
遂に始まってしまったのか、新君祭。
そう考えると足が震え、手が冷え、唇が乾いた。
ってことはあの少女の隣にいるのが・・・・
「相手はワーキャット。攻撃パターンから第一世代教育＜炎＞（フィーゴ・アセッシノ）と確認しました。」
こんな時のために戦い方は昨日教えてもらったけど、大丈夫かなぁ・・・・
というより・・・・・戦うのか・・・・
やべ、足の震えが止まらん。
復習
『戦いの基本はアンサーの「創造」とパートナーの「技術」。シンボルを通してアンサーの創造したいもののイメージをパートナーに伝えることで、それが具現化。そしてパートナーが創造物から力を引き出し、技を繰り出す。』
『シンボルを破壊するのはアンサーのみ可能。又、自らの技のリフレクト（反射）によっても壊れる』
青葉の話だと、基本『第一世代教育』というものを受けた魔物が参加しているが、その中に『第二世代教育』を受けた魔物が３名混ざっているらしい。
そしてその内の一人が・・・・
「青葉、俺どうすればいいんだっけ？」
「シンボルは所持されていますね？」
ポケットを探す。
どこだどこだどこだ・・・・
完全にテンパった俺は中々見つけ出すことが出来ない。
「あれ？どこだ？？あれ？」
「きゃははは、シンボル見つけられないみたいだよ？」
ワーキャットとかいう魔物が笑い出す。
「では、彼の服を全て燃やすとしましょ」
「了解♪」
そう言った途端
ワーキャットは空高く跳躍し、両手に火球を造る。
「火球（ボラ・デ・フィーゴ）！！」
腕が振り下ろされると、火の玉が俺を目がけて飛んでくる。
「笛、笛、笛、笛ーーーーーっ！！」
飛んでくる火の玉を見つめながら、俺はポケットをまさぐり続けていた。
時が長く感じるとはこういうことなのかな・・・・
きっと本当は凄いスピードでこちらに向かっているのだろう
だけどまるでスローモーションを見ているように遅い。
これは・・・・当たっちゃうな・・・・
あ、笛あった
ズドォォンッ
しゅたっ
「これは跡形もないね♪」
「まずは一勝。また一歩目標に近づいたよ。ふふふ、後は他の人たちが潰し合うのを・・・」
ぶわぁっ
「「！！」」
「ごほっ、ごほっ、青葉、サンキュウね」
「いえ」
おぉ、見える見える
爆発の粉塵が辺りを煙らせていたが、青葉の腕の薙ぎで視界が開けた。
あの時
俺と火の玉の間に青葉が入り、片手で火の玉を払い墜とした
だから俺が直撃を免れたって訳。
でもこれでわかった
彼女は本当に、人間ではないのだと
「私の技を・・・・お前、一体何者だ！！」
ワーキャットは語調を強めてそう言うが、明らかに動揺が見える。
「青葉、吹くよ？」
「はい、・・・・大樹様？」
「え？」
「私の本当の姿を見ても・・・嫌いに、ならないでくださいますか？」
そ、そんな不安な事言うなよ
なんかちょっと迷いそうになったじゃん！
「もち」
「はい・・・・・お願いします！」
フィィィィィン
笛から大気を貫くような鋭い音が鳴り響く
すると
突然、青葉の両腕を繋ぐ枷が現れた。
「ん・・・・・」
ギシギシギシ・・・・ビキィィン！！
鎖が切れるのと同時に、目を開けることすら出来ない突風が吹く
「うおっとぉ」
「「うぐっ」」
突風はすぐに止んだ。
目を開ける。
すると
俺の視線の先には
全身に深緑を纏った青葉の姿があった。
新君祭・・・
「我々の世界にはＤＲコーポレーション以外にも、メイドを教育する企業がいくつもあります。そのいずれかの企業において新たに代表取締役の就任がなされた場合にのみ催される、いわば式典のようなものがこれです。」
・・・まただ
我々の世界、メイドを教育する企業
現実離れした言葉が次から次へと飛び出す。
「開催の周期は先程申し上げましたとおり不定期ですが、決まって人間界で行われることになっています。」
つまり前回の開催は去年だったかも知れないし、もしくは１００年前だったという可能性もあるということだろう。
「各社は自社を代表するに相応しいメイドを選出し、どの企業のメイドが優れているかを競います。そして人間界でペアを組ませ、全てのメイドがペアを組んだ時点で開幕となります。」
「競技内容は『戦闘』。それぞれ教育の中で培った能力を生かし、力の限り戦います。・・・とはいっても相手を殺すまではいかず、アンサーの身につけている『シンボル』の破壊で決着となります。」
「中には、シンボルを壊すことなく残虐な戦いをする者も出てくるのは事実です。必ずしも殺されないとは限りませんのでご注意ください。」
「私からの説明は以上です、ご静聴感謝致します。詳細や不明な点があればご質問を受けますが？」
言葉が出るはずない。
戦闘・破壊・殺される
比較的安全な今の世の中でこんな事を言われたら誰だってパニクるに違いない。
実際俺がそう。
言っている意味は把握できる、説明全ては理解した
だけど、分からない。
理解していないのではない、分からないんだ。
きっとこれは自分の気持ち的な問題で、これを受け入れてしまったら現実になってしまうのではないか
その気持ちが意図的に思考を鈍らせている。
「ではそろそろ失礼させて頂きます、アンサー。私たちは弊社を代表するあなたを敬意を表してそう呼びます。良い答えを提出して下さること、社員一同期待しております。」
ベンチ越しにあった気配が消える。
俺は振り返ろうとするが、体がベンチに”張り付いたよう”に動かない。
今のが現実だったのかどうか
確かめることすら俺には出来ないのか・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
あれからどれくらい経っただろう
未だベンチに座り続ける俺。
気持ちに整理がついたわけではないが、だんだん落ち着いてきた。
「ふぅ・・・・」
辺りからはようやく音がし始め
いつもの住宅街に戻っていた。
青葉も心配するだろうし、そろそろ行かなきゃな・・・・
「・・・青葉」
・・・・・・もし
もし、先程の話が本当だとしたら
彼女がこの戦いに巻き込まれる事は必須。
彼女が傷つく可能性も・・・・・
ドクン
そう考えると自分の胸の奥が熱くなるのを感じる。
守りたい、彼女を傷つけたくない
きっとそんな想いからくる熱さなのだろう。
・・・・・正直言って、らしくない。
俺はそんなにカッコイイ性格ではない、まして戦いから彼女を守るなんて出来るはずが
「ああっ！やめやめ！！」
まだ確定してない現実から未来を導き出すなんて蛇足は人を余計に不安にさせる
今はなるべく、そう、なるべく考えないようにしよう。その時が来るまで。
「よいしょ・・・」
その場をあとにしようと足に力を入れる
が、
なぜかベンチから体が離れない。
え、何？！
何度やっても結局だめ
はあ？どういう事？
クシャ・・・・
おっと、なんかゴミ踏んじゃった
辛うじて首だけ動かし足下に目をやる。
踏んだのはどうやら紙。
足首を動かし、足を避ける
『ペンキ塗り立て』
・・・・・・。
ヒュゥ〜〜・・・・・
風と共に紙が飛んでいく。
あ、「張り付いたように」じゃなくて、本当に張り付いてたんだ
ふふふふはははははははっ！！
「誰がやったコラァッ！！出てこいや我っ！！」
ベンチにくっついたまま挑発する間抜けな俺
その目の前を風が何度も何度も通りすぎるのだった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「青葉、ここに座ってくれない？」
夕食の後、俺は今日の出来事を彼女に話すことにした。
「わかりました」
俺の真剣な声を察してくれたようで、青葉は俺の隣にそっと腰掛ける。
「今日、ＤＲコーポレーションの使者に会ってさ」
「はい」
「新君祭が開催したらしいんだ」
「そうですか・・・」
反応を見る限りその存在を認知しているようだが、あまり嬉しいものじゃないらしい。
そんな彼女に思い切って今の気持ちを言ってみた。
「俺は、どうしたらいいのかな？」
他人に自分の決定を委ねるのは正直残酷だと思う
それは受ける方に重荷を転嫁するのと変わらないのだから。
「私は」
沈黙が少し続いた後、青葉は口を開く
「私は、これからもずっと、あなた様にお仕えしたいと願っています。」
視線がぶつかる
「・・・・大樹様はいかがですか？」
真剣な眼差しが、俺の心に訴えかけてくる。
俺が
俺がどうしたいか
「俺は」
厳しい彼女、笑顔の彼女、健気な彼女、少し天然な彼女
そんな姿を見ているだけで、最近の俺は胸を高鳴らせ、胸の奥を熱くしたんだ。
「俺は、いや、俺も」
彼女と一緒にいたい。
「青葉にこれからも、側にいて欲しい」
その言葉を言った途端、自分の中で何かが噛み合ったような気がした。
俺を見つめ返してくる青葉の瞳には、薄く涙が滲んでいた。
「でしたら、戦わなければなりませんね」
戦う
そう、戦う。
恐怖や不安が一気に押し寄せるが、それは俺の心に届く前に塞き止められる。
『青葉とこれからも一緒に』
その言葉が俺を強くする。
「わかった」
俺は恐らく確信のこもった返事をしたのだろう。
青葉は温かな笑顔を浮かべ、こくりと頷いた。
それから真夜中まで、俺たちは二人でこれからについて話し合った。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ゆさゆさ
「大樹様、起きて下さい」
ゆさゆさ
「んが」
上体を起こし、まだ開ききっていない目で辺りを見渡した。
・・・・・・真っ暗。
「今、何時？」
「朝の４時３０分です」
な〜に〜ぃ〜
まだまだ〜寝れるだろぉ〜〜〜・・・
「まだ、起きなくても、良くない？」
「お忘れですか？今日から毎朝ランニングするのではありませんでしたか？」
・・・・あ
「おぉ、そうだった」
その言葉を聞いてようやく脳が覚醒し始めた。
昨日の夜、体力をつけることになった俺はとりあえずランニングから始めようという事になったのだ
「下で待っていますので、支度ができ次第出発致しましょう」
「おっけぃ」
部屋から青葉が出て行ったのを確認し、俺はジャージに着替える。
ウインドブレーカー着た方がいいかな？
うん、とりあえず着た方がいいか、そっちのほうが何か走ってる気がするし。
トントントン・・・・
「お待たせ」
玄関には段差に腰掛けながら靴ひもを結んでいる青葉の姿があった。
いつものメイド服から一転、グリーンのウインドブレーカーに身を包んだ彼女は
何かのアスリートに見えるくらい映えていた。
「似合うね、緑」
「そ、そんな・・・照れてしまいます・・・・」
顔を赤らめながら再び靴ひもを結び始める。
・・・そんなに照れられるとこっちまで照れ臭くなってきた
あぁ〜恥ずかしい恥ずかしい！
「それでは行きましょう」
「よっしゃあ」
玄関の戸を開けると、そこには極寒の地が待ちかまえていた。
「さ〜〜〜〜むっ！！」
「早く走り始めましょう、そちらの方が温かくなります」
「おう！」
ウインドブレーカーをシャカシャカいわせながら俺たちは並んで走り出す。
〜３分後〜
「はぁ、はぁ、も、もうだめ・・・・」
ぐあーーーーーっ！きつっ！！
それもこれもこの寒さのせい！
鼻毛が凍るだけならまだしも、鼻の中で鼻水が氷結するんだもん
呼吸出来ないの何のって！
・・・・・すんません、ただの運動不足です。
「休憩しますか？」
「はぁ、はぁ、た、助かるよ・・・」
あ、あなた、凄すぎです；
こんなに走って汗一つかいていないなんて・・・・
って、もしや俺本当に運動不足？？
丁度立ち止まると、いつぞや（昨日）座ってしまったトラップベンチがあった。
ペト
とりあえず触って確認
どうやら寒さでペンキは固まっているようだ。
「ふぅ」
俺が座るのを確認した後、隣に青葉が座る。
「リアル運動不足かも・・・」
「最初はこれで良いと思います」
「そう？」
「はい、これから頑張るのですから」
「そっか、そうだよね」
他愛のある話しが続く
と、
「わんわん」
「む？」
いつの間にか足下に一匹の犬が近寄ってきていた
そしてその後ろから中年のおばさんが追いかけてくる。
「やだ、すいません、いきなり逃げ出しちゃってねぇ」
「いやいや、大丈夫っすよ」
俺は犬を抱き上げるとおばさんに手渡した。
「ベンチに一緒に座って仲いいねぇ〜、姉弟なの？」
うっ、言いにくい、ここはとりあえず姉弟で済ま
「いいえ、主従関係です」
・・・・え？うそ、今言っちゃった？？
「は？」
そういって呆けた顔をするおばさん。
あ〜ぁ、完全に思考停止しちゃったよ
「彼が私の主で、私が彼のメイドです」
青葉さん、そんな事言っちゃったら
「・・・・私たち、姉弟に見えますか？」
あなた鬼ですか！脳破壊の鬼ですか？！
一つのことを理解する前に更に質問ってどういう事？？
ほらほらほらほらおばさん瞳孔開きかけてるよ？！
「青葉！そろそろ行こう！！」
「え？」
「ダッシュ！」
「あ・・・・」
青葉の手を取りどんどんその場から遠ざかっていく
ああ、明日の朝、もしあのおばさんに会ったら何て言おう。
・・・・・はじめまして、かな
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ガチャッ
「・・・・っ？！」
ガチャンッ
今、とんでもないものが入っていたような気がする。
これ・・・・俺の下駄箱だよな・・・うん、そうだ。
ガチャッ
「なっ？！」
ガチャンッ
「何やってるの・・・・？」
千彰と青葉が不思議そうにこちらを見ている
やばい、誤魔化さなくてはっ！！
「なっ、なんだこの臭い！くせ〜っ、俺の足くせ〜っ！！」
ど、どうだ
意味の分からない醜態を晒してしまったが、この事実がバレないなら安いもんだ。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
二人ともこっちガン見！！
ばれるなよ〜、ばれるなよ〜〜〜
「臭いはどうでもいいけど、何隠してんの・・・・？」
ばれたーーーーーーーーっ！！
ってか、最初から気付いてたのかよっ？！
なんか一方的に恥かいた；
「大樹様？何があるのですか？」
Ｏｈ、ピーンチ！！
ガチャッ
「ちょ・・・・」
俺が制止するよりも前に千彰が俺の下駄箱を開ける
そしてそこから一通の封筒を取り出す。
白い封筒に四つ葉のクローバーのシールで封がしてある。
「ラブレター・・・・」
そうです、俺が隠したかったのはこれ。
千彰だけならまだしも青葉がいるとなると・・・・
「へぇ・・・・」
にこにこ。
ほらっ！怒ってる！！
にこにこ笑っているようで色々と笑ってない！！
「中、見ないの・・・・？」
「ここで開けるの？！・・・・恥ずか「開けて下さい。」
にこにこ。
「・・・・・・はい」
青葉の食い気味の返答に為す術なくそれを開封する。
中には二つ折りにしてある紙が一枚
『放課後、屋上でお待ちしています』
・・・・・ベタい、ベタいけど
正真正銘ラブレターです！
ただ、差出人の名前がないので釣りの可能性もある。
う〜〜〜ん、どうするべきか
「どうしたらいいと思う？」
とりあえず千彰を見る。
「俺なら行って『無理』って一言言って帰る・・・・」
「冷たっ」
「知ってる人だったら『誰』って言う」
「ひどっ」
だめだ、参考にならん
そう思った俺は青葉に視線を移す。
先程から変わらぬ笑顔（？）を浮かべている。
「あの？・・・怒ってます？？」
「いいえ。」
「・・・イライラしてます？」
「いいえ。」
優しい声だが明らかに不機嫌さが表面化している。
「あの・・・・」
「イライラブレター、してませんから」
えっ！ここで？！
突っ込み辛れぇーーーっ！！
まあでも、イライラ＋ラブレターなのは間違いない。
そうこう考えている内に、青葉はそのまま教室に向かって一人で歩き始めてしまった。
「あ、ちょっと待っ」
「大樹、あとで話したいことある・・・・」
「わ、わかった、とりあえず今は青葉を追おう」
「うん・・・・」
だっだっだっだっだっだっ
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「起立、気をつけ、さようなら」
ガラガラガラ〜〜〜〜
放課後
俺は結局屋上に行くことにした。
青葉にそう言うと
『私は先に帰って夕ご飯の支度をします。』
と、そっけない態度をとられてしまった。
ごめん、青葉。ホントごめん。
心の中で何度も青葉に謝りながら、屋上へと続く階段を登っていく。
ガチャッ、キィ・・・・
扉の先には茜色をした空と、それを遮断するように周囲を囲むフェンスがあった。
そこに佇む一人の少女。
「あ・・・・根本さん」
”さん”付けってことは下級生かな？
「来て下さったんですね？嬉しいです」
そっと微笑む少女。
まだ名前すら知らないが、とても人当たりの良い子だということがわかる。
「ああ、それで、どうしたの？こんなところに呼び出して」
薄々気付いてはいるが一応確認しよう。一応。
決して本人の口から直接聞きたいなんて思ってないぞ？ほんとに。
「実は・・・・」
と、
「危ない！！」
突然背後から声がしたかと思うと、急激に背中から押し倒される。
「ぐおっ」
どごぉぉんっ
続いて何かの破砕音。
もう、何が何だかさっぱり
「大丈夫ですか？大樹様」
聞き覚えのある声
「青葉？」
「はい」
起きあがると、名前の知らない少女（略：以下少女）は残念そうな目でこちらを見ていた。
「パートナー、来てしまいましたね」
それを言い終わるのと同時に、少女の横にもう一つ影が現れる
「もう少しだったんだけどなぁ」
猫のような尖った耳、金色の髪、獣のような手足。
作り物にしては精巧すぎて、本物にしては現実とかけ離れすぎている
そんなモノ。
「でも、ここで勝てば優勝へ一歩前進だね」
「大樹様、どうやら他のアンサーに見つかってしまったようです」
「うそっ」
遂に始まってしまったのか、新君祭。
そう考えると足が震え、手が冷え、唇が乾いた。
ってことはあの少女の隣にいるのが・・・・
「相手はワーキャット。攻撃パターンから第一世代教育＜炎＞（フィーゴ・アセッシノ）と確認しました。」
こんな時のために戦い方は昨日教えてもらったけど、大丈夫かなぁ・・・・
というより・・・・・戦うのか・・・・
やべ、足の震えが止まらん。
復習
『戦いの基本はアンサーの「創造」とパートナーの「技術」。シンボルを通してアンサーの創造したいもののイメージをパートナーに伝えることで、それが具現化。そしてパートナーが創造物から力を引き出し、技を繰り出す。』
『シンボルを破壊するのはアンサーのみ可能。又、自らの技のリフレクト（反射）によっても壊れる』
青葉の話だと、基本『第一世代教育』というものを受けた魔物が参加しているが、その中に『第二世代教育』を受けた魔物が３名混ざっているらしい。
そしてその内の一人が・・・・
「青葉、俺どうすればいいんだっけ？」
「シンボルは所持されていますね？」
ポケットを探す。
どこだどこだどこだ・・・・
完全にテンパった俺は中々見つけ出すことが出来ない。
「あれ？どこだ？？あれ？」
「きゃははは、シンボル見つけられないみたいだよ？」
ワーキャットとかいう魔物が笑い出す。
「では、彼の服を全て燃やすとしましょ」
「了解♪」
そう言った途端
ワーキャットは空高く跳躍し、両手に火球を造る。
「火球（ボラ・デ・フィーゴ）！！」
腕が振り下ろされると、火の玉が俺を目がけて飛んでくる。
「笛、笛、笛、笛ーーーーーっ！！」
飛んでくる火の玉を見つめながら、俺はポケットをまさぐり続けていた。
時が長く感じるとはこういうことなのかな・・・・
きっと本当は凄いスピードでこちらに向かっているのだろう
だけどまるでスローモーションを見ているように遅い。
これは・・・・当たっちゃうな・・・・
あ、笛あった
ズドォォンッ
しゅたっ
「これは跡形もないね♪」
「まずは一勝。また一歩目標に近づいたよ。ふふふ、後は他の人たちが潰し合うのを・・・」
ぶわぁっ
「「！！」」
「ごほっ、ごほっ、青葉、サンキュウね」
「いえ」
おぉ、見える見える
爆発の粉塵が辺りを煙らせていたが、青葉の腕の薙ぎで視界が開けた。
あの時
俺と火の玉の間に青葉が入り、片手で火の玉を払い墜とした
だから俺が直撃を免れたって訳。
でもこれでわかった
彼女は本当に、人間ではないのだと
「私の技を・・・・お前、一体何者だ！！」
ワーキャットは語調を強めてそう言うが、明らかに動揺が見える。
「青葉、吹くよ？」
「はい、・・・・大樹様？」
「え？」
「私の本当の姿を見ても・・・嫌いに、ならないでくださいますか？」
そ、そんな不安な事言うなよ
なんかちょっと迷いそうになったじゃん！
「もち」
「はい・・・・・お願いします！」
フィィィィィン
笛から大気を貫くような鋭い音が鳴り響く
すると
突然、青葉の両腕を繋ぐ枷が現れた。
「ん・・・・・」
ギシギシギシ・・・・ビキィィン！！
鎖が切れるのと同時に、目を開けることすら出来ない突風が吹く
「うおっとぉ」
「「うぐっ」」
突風はすぐに止んだ。
目を開ける。
すると
俺の視線の先には
全身に深緑を纏った青葉の姿があった。
11/01/23 10:28更新 / パっちゃん
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