連載小説
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07 俺の運命を変える日 (後編)
……今俺は、モンスターラグーンのメンバーに押し倒されているわけだが…
どうして俺はこのような状況に!?
「め、メリィさん!なんでモンスターラグーンのメンバーが!?」
「……デメトリオをそこの椅子に縛り付けなさい」
そして俺は椅子に縛り付けられた…って、締め付け強っ!!

「さて…私が言いたいことが何かわかる?デメトリオ…」
「わかりません!と言うか、どうしてこうなった!?」
俺はいまだにじたばたとしているが、ラグーンメンバーの一人の草の蔓に縛られているままだ。
そうだ…レベッカ!!あいつ、確か俺の宿のシェフになったんだよな!
だったら、俺のことを助けてくれるはず…
「レベッカ!お願いがあるんだ!俺をこの状態から解放してくれ!俺はお前を雇っただろ!?」
「ごめん、今料理を作ってて忙しいから…」
見ると、レベッカはモンスターラグーンのメンバーにいろいろ作っているようだ。
机の上に所狭しと並べられている料理にラグーンメンバーが食いついている。
……あの料理を食べてしまうと、頭がぼやけたりしないのだろうか?
俺は頭がぼやけてしまったのだが…
というか、なんで俺は縛られているのに、同じ宿の中にいるあいつは縛られてないんだ!?

「レベッカさんって、ケーキとか作れます?」
「簡単だよ!結構甘めのが作りやすくていいよね〜」
「やった〜!甘いものが食べられるなんて…」
……しかも、ラグーンメンバーと打ち解けているだと…
俺は物凄く複雑な心境だった。
そもそも、何で俺が椅子に縛られているのか…
それが良くわからないし…

そしてしばらくすると、メリィが俺に話しかけてきた。
「デメトリオ…お願いがあるの…」
「聞きますから、この蔓をほどいてくださいよ!」
「駄目よ…あなたを自由にしたらあなた、絶対にここから逃げるでしょ?」
ぎくっ…なぜ俺の考えていたことを…
いや、別にあせっているわけじゃないぞ!
「わ、わかりました!話を聞きます!聞きますよ…メリィさん、何のようですか?というか、メリィさんとモンスターラグーンの関連は?」
「……モンスターラグーンは、私が立ち上げた組織よ、気づいていなかったの?」
…気づくわけないだろ!?というか、初めて知った!
まさか、こんなに身近にいたなんて…
俺は口をぽかっと開き、呆然としていた。
「何も気づいていなかったみたいね…まぁ、いいわ」
「…俺を、狩りに来たって事ですか!?そうなんですね!?」
「はじめはそう思っていたんだけど…今はそんな事を言っている場合では無いでしょう?それで…別の話でメンバーとここに来たのよ」
本当か?俺をだますための嘘だったりしないだろうな…
まぁ、ここで疑っていても埒があかないしなぁ…

俺は一応別の話というものを聞いてみることにした。
聞いてみるだけなら…一応OKだろう?
俺に悪い条件の話じゃないなら受けるのもありだろうし…
「俺に話って…一体なんですか?」
「デメトリオには、連れて行かれた町の人たちを連れ戻す気ってあるの?」
「あぁ〜…まぁ、誰かが何とかしてくれるだろうし…時間の流れに任せるよ。話ってのはそれだけですか?」
そんなに大げさにこんなに人数を連れてくるほどの話じゃないじゃないか…
俺には関係ない話だな。

俺は、自分にはそんなに関係ない話だとわかり、安堵のため息を吐く…
だが、俺が思っていた事実よりも話は単純じゃなかったようだ。
なぜか俺のほうを冷ややかな目で見てくるメリィ…
なんだその目は!?
「デメトリオ…私はあなたに行く気が無いかを聞きたいのよ…」
えぇ!?俺に行く気が無いかを聞こうとしていただと…
答えなんか言わなくてもわかると思うんだけどなぁ…
「行きたくないに決まっているじゃないか!なんでわざわざ俺が…大体、俺は宿屋の店主だぞ!?メガロス帝国って、ここからかなり距離があるじゃないか!着くまでに一体どれほどの魔界化した国を通る羽目になるか…」
「……それで?」
「それに……無事に生きてたどり着いてもメガロス帝国って、最新の科学技術で守備を固めているって聞いたことあるし…」
「……で?」
「え?あ…え〜っと、後は…そうだ!一人で旅なんて怖くてできな…」
「その点は大丈夫よ…旅はラグーンのメンバー全員と、あなたの宿のコックとあなたでやるつもりだから…」
……マジかよ!?
うわぁ!神様すみません!俺も結婚したいとか言ってたけど俺は将来の相手は自分で決めたいんですぅ!無理やり結婚とか嫌だああ!!
俺の考えはだんだんおかしな方向に向かっていく。

「何考えてるかわからないけど…あなたを連れて行くのは他のラグーンのメンバーと、私の妹のためだからね?」
「へ?でも…」
「…おかしなことを考えるのは駄目よ?もし、いやっほーい!ついに俺にも春が来たーーーー!とか思っているんなら検討違いだから」
な、なんで俺の考えてしまったことが…
まさか、本当にメリィさんは俺の考えていることがわかるんじゃないだろうな…
「はっきり言うけど、あなたは他のメンバーにいくら言い寄られても決して手を出しては駄目よ?」
「なんで!?」
「…向こうはうれしいだろうけど、サリィのことを考えると私が許さない」
「サリィのこと…?」
「それは自分で旅の途中で見つけなさい。そのかわり…もし手を出したら…私が裏で徹底的に奥さんのほうにあなたの弱点を教えてあげて、あなたを徹底的に精神まで奥さんのことしか考えられないようにしちゃうから…これが、奥さんにも迷惑をかけずに、夜の営みを絶やすことなく、さらにサリィにも心の傷をそこまで残さずにしておける方法だから」
……えぇーー!?
こんなに恐ろしいことが待っているなら、余計に旅なんか行きたくないよ!

俺は余計にどうにかして旅に行かない方法は無いかと考え始めた。
「……で、どうなの?行くの?行かないの?」
「やっぱり俺は行かな…」
「え?」
俺が行くのを拒否すると、メリィが物凄い眼光で俺を捕らえ、さらにラグーンメンバーの目が俺に集中する。
……集中するのはいいけど、リーネ…口元にケーキのクリームをつけながらこっちのほうを見てくるのはやめてくれないか…
うぐぅ…昔から人に見られるのって苦手なんだ…
どうしようか?もうOKしてしまうか?でも…

そう簡単に答えが出せるはずもなく、俺は非常に悩んでいた。
この話…俺の人生を変えるからなぁ…そう簡単に答えは出せないよ…
「決まった?まぁ、答えはわかっているんだけど…当然…」
「やっぱり、行かない…」
「ソフラン…絞めなさい」
メリィがそういうと、俺の体に巻きついている蔓が余計にきつくなってきた。
椅子に無理やり押さえつけられていくのがとても痛い。
「痛い!この椅子は木製なんだぞ…体の骨にめり込んで…痛いじゃないか…」
「でも、旅に行くのなら開放してあげてもいいわ…どうする?」
…わかりやすい飴と鞭だが、今回は俺のこれから先の人生が変わるんだ!
そう簡単に決断できるわけが無いじゃないか!
「だから、俺は連れて行かずにあなたたちだけで行けばいいじゃないですか!俺なんか、足手まといになるだけですって!」
俺がそういうと、メリィが指をパチンと鳴らし、俺に対する締め付けがさらに強くなっていった。
やばいぞ…少し呼吸がしにくいLVになってきた…
「そろそろ…答えを出さないと…空気がすえなくて死んでしまうわよ?」
「だから…俺は答えを…」
そういいかけ、メリィがまた手を鳴らそうとしたときだった。

「デメトリオーーー!わしの研究がついに最終段階に…って、誰じゃそやつら…?」
ゾーネ!ナイスタイミング!!
俺はこのときほどゾーネが宿にいたことを喜んだことは無かった。
「かはっ…ぞ、ゾーネ…お、俺を助けて…拘束を解いてくれないか?」
「……嫌じゃ」
え?今…なんて?
俺は今、非常に困惑している。まさか、ゾーネが俺を見捨てた…?
「な、なんで…俺はお前を長い間泊めて…」
「お主、わしの研究成果を次々破壊していったであろう?わしにはお主がどうなろうとかまわぬ」
「そ、そんな…」
「大体、なぜそのようなことになっておるのだ?まぁ、わしの研究成果を試しやすい格好だから良いのだが…」
な!?まさか、このタイミングでか!?このタイミングであの恐怖の時間が…
「いやだぁ!!やめろ!やめてくれ!」
「…そこのあなた、ずいぶんデメトリオに何かしていたようね…彼がこれほどおびえているとは…」
「ん?おぬしは?」
「私はメリィっていうのよ…ちょっと、デメトリオがはっきりしないから困っていて…協力してくれない?」
「協力…か…お主がどれほどの者か、少しテストをしてみようか…」
「テスト?」
「そうじゃ、わしは認めたものと自分が支配できる者にしか協力してやらないのじゃ」
…ということは、俺は後者のほうなのか?
いやいや、そんなことより…はやくこんなことやめさせねば!!
「ゾーネ!!馬鹿なことはやめて…」
「ソフラン、少し静かにさせておいて」
そうメリィが言うと、いきなり草の蔓が口のほうに延びてきた。
口が覆われて、話すことが困難になる。

「んうーーー!!うーー!!」
やばい、本当に洒落にならなくなってきたぞ…
意識にもやがかかってきた気がする。
誰でもいいから…俺を助けてくれ。
「テストというのは他でもない…このわしの研究品の中でも一番扱いにくいコレはどのような装置なのかを見事当てて見せるのじゃ…」
「なら、私の手下が相手をするわ、スカニ、ミリアナ…あれを見て詳しく当ててみて」
「あぁ?あれか…一見、只の箱のように見えるが…たぶん違うだろうな」
「そうですね…たぶんあの箱は…空間転移系の何かじゃないでしょうか?こう…ふわ〜…どーん!見たいな…」
「馬鹿だな…もう少し深く考えてみろ…ジェネレーター部分にコードが4本ついているじゃないか、頭を使えよ頭を」
「それなら…熱発生系の装置ですよね?」
「そうだなぁ…理論が正しければ、この箱はジェネラル式熱源の証明だろ?」
「なかなかいい点をついておるが、惜しいのう…おぬしたちの着眼点は一箇所足りぬぞ?この箱の側面についているタングステンスイッチが二層作りなのじゃ!これによって、今まで従来の発明では出来なかったことが可能になったのじゃ!」
「な…タングステンスイッチが…二層だと!?今まで聞いたことがないぞ…」
「そうじゃろう?なかなか見る目があるのう…この方法によってなんと、この装置は熱発生装置とプラズマ発生装置を同時に発生させて物体を転送させることが出来るようになったのじゃ!」
…こいつらは一体、何を話しているんだ?

しばらくゾーネとスカニとミリアナの3人は話し込んでいたんだが、ゾーネは二人の着眼ポイントの鋭さが気に入ったようだ。
俺的にはそんなことどうでもいいから、早く助けてほしいんだが…
「よし!わしはおぬしらに協力してやるぞ!ちょうどデメトリオのやつに今までの仕返しもしてやりたかったしのぅ…」
そういいながら俺のほうをにやりと横目で見て、怪しいものを持ちながらこちらに歩いてくる。
どうやら、一番願っていなかった状況で話が進んだんじゃないか!?
「デメトリオよ…この装置、何かわかるかのぅ?」
「な、何だよ!?その怪しい物は!?」
俺の目には、ゾーネが作ったであろう変なものが近づいてくるのが見えた。
なんだ!?あの変な物…外見だけではぜんぜん想像つかない…
「これは、一体なんなんだ!」
「それは【ザ・ボディ敏感マシーンEX】じゃ!これを使えばどんな男でも一瞬で敏感な体に改造されてしまうという、強気な女性に人気のあった発明品のリメイク版じゃ!名前にEXがついているのがポイントじゃぞ?」
周りから、おおーっという声が聞こえてくる。
やばいぞ…コレは本当にまずい…

俺は必死に逃げようとするが、椅子から動くことが出来ない!
なんでこんなについてないんだ俺!
「さて…デメトリオが旅に行くのなら無事に開放してあげるわ…あなたは約束を裏切ることは出来ない男だしね。でも…行かないのなら、あの装置であなたの体を隅々まで敏感にしてもらってから、全員でくすぐってあげる…」
「そ…そんなことしたら、頭がおかしくなるじゃないか!」
「大丈夫よ、一週間もあれば直るわ…後遺症が出るかも知れないけど…」
……決めた。

俺は本意じゃないけど、旅に行くことにした。
ここでバッドエンドを迎えるのは、俺の人生には早すぎる気がしたんだ。
「わ、わかりました!俺も行きます!行きますよ!」
「はじめからそういえばいいのよ…じゃあ、早速明日からね」
「わしも行くぞ!ここの土地以外にも、この大陸には地域によっていろいろな素材がありそうなのでな!」
「ゾーネ…研究施設とかはどうするんだ?各土地に作るわけには行かないだろ?というか、頼むからこないでくれ」
「大丈夫じゃ!この宿はわしが改造しておいて、今じゃ折りたたむことも可能じゃ!もちろん家具もな」
……人の宿を勝手に改造するなと俺は何回思えばいいんだろう?
というか、研究施設って地下だったよな?さすがに地下を折りたたむことは出来るのか?
「デメトリオ…地下を折りたためないだろうと考えておるのかも知れぬが、天才のわしに出来ないことなど無いぞ?地下はすでに地上の部屋に移動済みじゃ、部屋も何部屋か増やしておるのじゃ!」
え!?俺が仕事をしている間にそんな事を!?でも、何か変わった様子は見えないし、部屋の数も変わっていないようじゃないか?
「部屋の数ならいつも確認しているけど、変わっていないような気が…」
「大丈夫じゃ!外付けじゃからのう」
本当になんて改造しているんだろうか…
ここ、俺の宿屋だぞ?しかも、親子3代引き継いできた宿なのに…
ハイネのおばあちゃんがはじめに立てて、それを母さんと親父が…そして親父についていた小さいころの俺が今…受け継いで来たはずなのに…
なんだろう、俺はとんでも無いことをゾーネにされてしまっているんじゃないか?

しばらくして、メリィが話しかけてきたとき、俺はいまだに後悔していた。
でも、仕方無いような状況だった気もするが…
「デメトリオに、明日の朝から一緒に旅に出るメンバーを紹介するわね?まぁ、感想を見たらすぐにわかるだろうけど…」
感想?感想って何だ?
まあいいや…
「メンバーは、セム…」
え!?セムちゃんって、ラグーンメンバーに入っていたの!?
というか、グロリアさんよく許したな…
お金持ちのお嬢様だろ!?まさか、そんなに男に不自由を?
「次に、リーネ、ヘレン、マヘリア、スカニ、ミリアナ…」
……リーネ以外見たことが無いなぁ…
いや、スカニって女の子とミリアナって女の子はさっき出てたな…
印象は、幼女だけどな…
「最後に、ヒュウ、キュラス、ナナ、ケイト、コニー、ペギー、ジュンコ…」
まだまだメンバーがいるんだが…こんなに大人数で行くのか!?
「アイネ、ククリ、チェルシー、ジャンヌ、シエスタよ…各自から自己紹介があるから、よく聞いておいてね?」
えぇーーー!?
全員から自己紹介がある!?
こんなにも大人数で旅して…誰か空気になったりしないかな?
《大丈夫だ!俺に任せろ!》
だ、誰だ!?
《……天の声とでも捉えておいてください、つい自分に突っ込みを入れたくて…忘れてください》
一体なんだったんだ…?

そして、無駄に大人数の仲魔(?)の自己紹介が始まった。
「……セムです。お兄さん…一緒の旅が出来て…うれしいです」
相変わらずだな…旅している間に怪我させないようにしないと…
「リーネです!デメトリオさん!レベッカさんも居ますし、ケーキの作る練習を存分に出来ますね!それで…ケーキが作れるようになったら…やっぱり、結婚ですか?」
「……それはないな」
いきなり結婚とか…どんな考えをしたらそうなるんだ?
それとも、俺のような優柔不断な男でもいいってことか!?
いやいや、まさかな…
「ヘレンっていうわ…あと、この私の後ろで寝ている子がマヘリア…彼女は朝専門みたいな感じだから、あたしは夜だけど…今回の旅で可愛い男の子を見つけるのが目的、よろしく。あと…マヘリアは私の相手が見つかった後は、誰でもいいみたいだから、あなたに預けようと思うの。よろしくね」
……俺にはそんなにちょっかいを出してきそうには無いな。
いやぁ、少しは気が楽になりそうだ。
「あたいはスカニ!よろしくな?お前は…俺の好みには程遠そうだな!俺の好みは強くて賢いやつだから…」
俺の心にぐさりと刺さってくる言葉をありがとう…
確かに俺は明らかに体つきも細身で力も無く、さらには馬鹿ですよーだ!
「ミリアナっていいま〜す!好きなものはシチューとか…リゾットとかです〜よろしくお願いしますね〜!」
俺、シチューなら作れるぞ!?
……俺にロリコンの気は無いからな…時々作ってやることにするかなぁ…
「お兄さ〜ん!また会いましたね?」
「あれ?声が聞こえるのに姿は見えず…どこにいるんだ?」
「……背筋をそっとなでてみたりとかして〜」
ひぃっ!?
背筋がぞくっとした俺は、その場に座り込む。
「興奮させたら後は…えへへ〜」
えへへ〜の部分で俺の目の前に、青白い少女が浮かび上がってきた。
って、お、お化け!?まさか…本当に?
「私はヒュウって言うんですけど、物心ついたときに死んでしまって…お兄さんなら、私が他の人たちのえっちなことを見て学んだことを喜んで受けてくれそうなので、絶対に私の旦那さんに…はぁ…はぁ…」
ヒュウという少女は興奮しながら消えていった。
本当に…俺は心臓が止まるかと思った…
昔から肝試しなどのイベントが大嫌いなんだ、仕方が無いだろう?
「次はあたし、キュラスだよ〜!!」
ま、まだいるのか…!?
一人ひとりに突っ込むのに疲れてきたんだが…
「あたしのこのナイスバデーに見とれているんでしょ?お兄さん…忠実そうだね?あたし、気に入ったなぁ〜…」
「悪い…俺は子供のボディを見たって…仕事柄、大して興味わかないんだ」
「子供っていうなぁ!あたしの調教を受けたらそんなこといえないんだから!お兄さんなんか、あっという間に奴隷にしてあげるから!そして…私の独り立ちのための技の練習台になってもらうから!」
な…なんて気迫なんだ…しつこそうだなぁ…
俺は、旅の間キュラスのことは気にとどめておこうと決めた。
メリィとの締約もあるしなぁ…
「私は、ナナといいます。デメトリオさんの家の清掃を担当させてもらいたくて、モンスターラグーンのメンバーに入ったんですよ、もし良かったら雇ってくだされば…」
……あれ?魔物娘じゃないのか?普通の人間に見えるな…
見た目はお手伝いさんのようだが…もう、二人居座ることになってるし…
一人増えても一緒かな、普通の人間のようだし…
「わかった、雇うよ。その代わり、俺の手伝いをしっかり頼むよ?」
「はい!頑張りますね!(計画通り…)」
ん?なんか寒気がしたんだが…俺の気のせいか?
「私はケイトって言うんだけど…あんた、私の好みじゃないわ…男らしさがかけているのよねぇ…ま、よろしく!」
……そうかな…
結構男らしいと思っていたんだけどな…体は貧弱で気は弱いけどなぁ…
俺は少し心が傷ついた気がした。
「わっ!!」
「うわぁ!?な、何だ!?」
いきなり俺の後ろから手が伸びてきて俺の首に何かがかかる。
これは…手か?なんだ…
「あははっ!やっぱり、あたし好みの男じゃない!あたしはコニー…気に入ったわあんた、あたしの好みにクリーンヒット!!…あれ?あんた、歯にかつおぶしが着いてるわよ?」
「え?」
俺は言われたことを確かめてみたんだが…
これは木屑じゃないか!この木屑…あのときの箱か?
今思えば…あの箱が無かったら死んでしまっていたかもしれないな…
俺は、今回の旅にはあの壊れた箱も持っていくことに決めた。
「とにかく、あんたならあたしの伴侶にしてあげてもいいよ?というか、なれ!」
……強引だなぁ、本当に…
「あたしはペギーっていうんだけど、あんた若いわねぇ…あたしはもう少し年上がいいからこの旅で見つけるつもりよ」
「そうなんですか?頑張ってくださいね!」
俺は心のそこから応援した。
これで確実にペギーっていうこの子も安全だとわかった。なんだ、結構俺ってもてないんじゃん!安心したなぁ…はぁっ…
安心したといいながら、心の端っこで複雑な気分になっていた。
「あたしはジュンコ!よろしく!もしも悩み事があれば聞くからね?」
また子供か…このモンスターラグーンって、子供率高いよなぁ…
俺は年下には興味が無いんだよね…なんどもいうけど。
でも…可愛いよなぁ…あ、いや、なんでもない!
「そうだ、デメトリオさんお肉食べます?食べないとがっしりとしたおなかになりませんよ?今から少し作ってきましょうか?」
「え!?肉ですか?いや…俺は肉は…」
俺はその場で丁重に断ると、次の人が話かけてきた。
「青年!そんなことではイケメンにはなれないぞ!?もっと筋肉をつけて男らしくなるべきだ!」
「えぇ!?イケメンって、マッチョのことだったんですか!?」
そんな…だから俺はモテてなかったのか?
そんな…そんな、嘘だぁーーー!!
俺はこの事実に大しては本当にショックだった。
まさか、イケメンの代名詞=マッチョ…
「なにいってんのアイネ?マッチョなんかよりも細身のほうがいいじゃん!」
「チェルシー…貴殿にはあの洗練された肉体美がわからぬのか?」
「え?デメトリオの?たしかに細いし弱そうなあのオーラは只者では…」
ほっといてくれよ…弱そうは余計だっての…
「デメトリオは鍛えれば必ずイケメンになれる!この私が保証しよう…私がデメトリオをマッチョにして見せる!」
「あのままでもいいと思うけどなぁ…案外、面白そうだし」
……マッチョか…
俺は、一瞬だけ頭の中で自分がポーズをとっているところを想像すると、吐き気がした。だめだ、ぜんぜん似合わない…
「疲れたでしょ?こんなに長い自己紹介をずっと聞いてて…」
「え?」
驚いた…このメンバーの中にもこんなにやさしい子が…
「これ、ハーブティー、勘違いしないでよ?その疲れたような顔が気に入らなかっただけだから!」
「あ…あぁ、ありがとう」
「……じゃ!熱いから気をつけて飲みなさいよ!?」
……性格はかなり扱いにくそうだがなぁ…
ふぅ…このハーブティー、おいしいじゃないか。
あと自己紹介は二人だし…長かったがもうすぐ終わりそうだ。
「あたしはジャンヌ、あんたと一緒に旅はしてあげるけど、足を引っ張るのだけはやめてよ?」
……ものすごい高圧的な態度の女性だなぁ…この地域には珍しいサラマンダーじゃないか?
後ろに抱えた大剣…なんだろう、かっこいいな〜!
「シエスタっていいます。よろしく」
「あ、はぁ…」
一番最後の彼女…ネレイスの彼女が自己紹介をしたところで、ようやく全員の自己紹介が終わった。

「じゃあ、もうすぐ朝になるから、みんな準備して?」
先ほど自己紹介が終わったばかりだというのに、もう行く準備!?
「あの…メリィさん、俺は少し寝たいんですが…」
「時間は無いんだから、早く出発するわよ?寝てる暇なんてないわね…」
なんてことだ…でも、逆らったらなんかなぁ…怖い。
「わかりましたよ…でも、どうやって行くつもりですか?」
「歩きよ…後から他のメンバーも追いかけてくるから、そのときはよろしくね?」
「歩きですか!?」
そんな馬鹿な!?メガロス帝国までって…結構距離があるぞ!?
「歩きって…魔界化した土地を歩いていくんですか?」
「当然よ…モンスターラグーンのメンバーも増やしていきたいし…」
「俺、男ですよ!?もし魔物モンスターに襲われたら…」
「必死で逃げなさい、そろそろ行くわよ?」

そして、その後俺の宿はゾーネの手によりきれいに折りたたまれルービックキューブ状になり、ゾーネのかばんの中に入った。

本当に…どうしてこうなってしまったんだ!?
俺は後悔しながら、墓場をとおり空き箱を回収…
そして、今まで暮らしていたフェルス興国を後にした。
12/01/11 23:43更新 / デメトリオン
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■作者メッセージ
ついに!デメトリオの旅が強引に始まりました。

今回から長い間のたびが始まる…
デメトリオは一気に勝ち組の階段を上るのか!?それとも、フラグを折っていくのか!?みなさん、これからも楽しんでみてくださるとありがたいです!

募集情報は、モンスターラグーンの、あとからデメトリオたちを追いかけるメンバーの情報と、旅の途中で出会う魔物娘たちを…
お願いしますね!!

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