連載小説
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87 門番の苦悩と理想
〜〜〜今回は、ヤマト視点で始まります!!〜〜〜

ロンメルさんに前線で戦っているメンバーの手助けをして来いって言われて、花梨も連れてここに来たって言うのに…一体、どこに味方がいるんだ!?
そう…俺と花梨は今現在、迷うはずのないような草原で仲間も見つけることが出来ず…迷っている状況なんだよ!!
で、でもさ?迷っている状況ではあるのにも関わらず、こっちの方に向かってくる人影があるんだよな…
しかも、敵が攻めてきているって報告を受けた方角からだぜ?
これは…俺と花梨がいるこの場所は守りが無かったって事になるんじゃないのか…?こんな防衛網で、本当に大丈夫か心配だぜ…俺はさぁ…

「ねぇっ!!おなかすいたぁ!!」
「はぁ…?おなかすいただって?そんな事言っても、今は食べ物なんて…パン2枚とハンバーグとサラダしかないぜ?それに、パンとサラダは俺の…」
「全部ちょうだい!!いいでしょ?」
「待て待て…なんで全部あげないといけないんだよ!?俺だって小腹が空いたら間食で食べるんだぞ!?いくら俺の嫁でも、そんな暴挙は許せないなぁ」
「………むぅ…」

ん!?か、花梨の全身が…淡い紫と赤が交差したようなカラーリングに!?
しかも…右手の方に何かエネルギーが集中しているような…そんな気がする!

「待てって!!自分の思い通りにならなければ力で解決しようとする…その考えは確実には否定できないが、それでも俺は、今はそれをするべきでは無いと言い切れるぞ?」
「……それでもよこせぇ!!」

な、なんだっ!?いきなり花梨の体が発光し始めて…シルエット的に花梨の背が高くなった…?
で、光が収まった時、花梨がいたところに、謎の女性が立っていたんだよ!
しかも、物凄くこっちを睨んでさぁ…なぜだ?なぜ睨む?

「ヤマトは私と結婚したんだよね?それなら、妻である私を大切に養うのが夫であるヤマト…あなたの仕事なんじゃないの?」
「…っていうか、あんた誰だよ!?いきなり出てきて、しかもそんな事を言うなんて…意味が分からない!」
「私?私は花梨だけど…?」
「嘘だぁっ!!花梨はもっと小柄で、子供っぽくて、わがままなんだ!!あなたみたいに、身長も高くないし大人っぽくも無い!」
「誰が子供だぁ!!私は、いつもは力を制御するために子供のような姿でいるけど、本当は大人なんだ!!それに…わがままなんじゃなくて、少し甘やかされて成長しているから、甘えたがりなだけだ!!」
「な、なんだよ…?その後付された設定…」
「公式設定だぁっ!!それに…なぜ自分の妻のことが分からないんだ!?いつも夫は妻を見ているものではないのか!?」
「えっ…?あ、あぁ…見てるよ?見てますって!嫌だなぁ…えっと…そうそう、花梨だよね?うん」
「適当に答えるなぁ!!ええい…何か、私だと一発で分かるようなものは…そうだ!!ヤマト、この私のパーフェクツなボディを見れば、私が本当の花梨だと…分かるだろう!!」

花梨(?)はそういうと、いきなり自分の着ていた服を脱ぎ、全裸になったんだよ!!
か、彼女には抵抗というものがないのか…?
そう思いながら、彼女をチラ見している俺も俺だけど…

しかし、身長と体格を計算すると…そうだなぁ…
まぁ、門番として清い体を守り続けていた時期があったわけだし、その時に俺が夜中に一人でアレをしているときのおかずから得た知識では……

「少々、胸が…残念か…」
「う、うるさい!!黙れ!!他にないのか…!?私のこのパーフェクトなボディを見ていて思ったことは!?体がくびれているとか、無駄な脂肪がないとか…他にも色々、見るところはあるだろう!?」
「………脂肪が無いというか…やせすぎだな…俺はちょっとだけ油がのった感じの女性が好みでね…?でも、胸が無くても、それがいいって男もいると思うぜ?ほら…俺と親友になってくれて、結局俺が裏切っちまったデメトリオとかさ…?あいつ、大きいより小さいほうがいい派らしいし…」
「結局見るところはそこなの……もういい…はぁぁぁぁぁ…」

な、なんだ…!?正直な意見を俺は…述べただけだってのに、どうして花梨と名乗っているあの女性は右手に意識を集中させて…
はっ…!?そういえば、花梨も…い、嫌な予感がするぜ…

「【花梨パンチ】!!」
「ぐはあぁっ!?こ、この威力は…た、確かに花梨だ…仕方がないが、認めてやっても…」
「3倍だぁぁぁぁぁっーーー!!」
「火力が増して…うおぉぉぉぉおぉぉぉぉぉおぉぉぉっーーーーー引火したぁーーー!!あちぃーーーっ!!し、しかも…炎の勢いに押されて…ちょっと待て!!あそこに明らかに岩があるんだが…ぐぼぁっ!!か、貫通して…ぐぼぁっ…い、威力が…収まってきた…か?ちょっ…炎が俺の顔に…あちぃーー!それに…じ、地面に当たってるって!!髪の毛が無くなったらどうする…最後にでかいの来たぁーーー!!く、くそぉ…いわぁぁぁぁぁぁぁぁぁくっ!!」
「ふぅっ…スッキリした♪」
「う…うぐぐっ…どうして俺は…生きていることが出来るのだろうか…?それはね?デメトリオがかつていったように…この作品は…ギャグ寄りだから…らしいよ?がくっ…」

そうして俺が、黒い炭化した何かになるとすぐ、花梨は満足したような表情で俺にドヤ顔を見せてくると、子供のような姿に戻ったんだよ…
これ…完璧に服、破れてるよなぁ…?だって、200メートル飛ばされたんだぜ?しかも、完璧に燃やされてるし…
待てよ…もし、これが服だけ燃やされていたら…俺は服を着ていた部分だけが焦げずに残っていて、痕になっているという無様な状況に…

……チラッ…や、やっぱりかよ…だが、心配はいらないんだよ…
そう!!俺は常に私服と勤務用の甲冑を持ち歩いているからな!!甲冑を着込めばいい!!動きは遅くなるし、鉄だから熱を伝道するけど…何も着ていないよりはいいと思うよ?
そう思った俺は、さっきまでのダメージはどこにいったのか、自分の鎧を着始めたんだよなぁ…
でも、花梨…怒りすぎだと思うぞ…?俺は胸は大きいほうには大きいなりの、小さいほうには小さいなりのすばらしさがあると…言おうとしてたのに…この仕打ちだからな…
でも、俺は自分が悪かったって分かってるから、ちゃんと逃げずに攻撃を食らったろ?ここのところは、評価して欲しいね…
さて、ハンドボウガンの調整でもするかなぁ…

なんて思いながら、俺が移動し始めた時だった…
敵が来る方角から、植物系魔物の集団があるいてきたんだよ!!
しかも…のんきにトークしながらさ?

「でもまさか…マンドラゴラであるレザーまで、ここに来ることが出来るなんてねー?」
「そうですね…まぁ、ご都合主義って奴なんじゃないでしょうか…?」
「……ふーん…レザーって口下手なんだね」
「えっ…そうですか?私は普通だと思っているのですが…」
「口下手だよ!!それに、そんなに見事な体つきをしているんだったら、もっと自分に自信を持ちなよ!」
「こ、この体つきになっているにも関わらず、私は夫がいないんですよ?」
「それは、レザーがあんな地味なところにいたからだよ!!今の世の中、自分から行動しないと干されてしまうよ?」
「……そりゃあ、最初に自分から動けたら少しは違うでしょうよ…それに、自信を持てっていうけど、私…一番初めに初めて出会った男性に…逃げられましたし…やっぱり、おかしいんですよ…」

………あれ?彼女たち、気がついてないのか…?
そう思いながら、ボウガンを調整していると、花梨が彼女たちに気がついたんだよ!!

「あぁっ!?やみゃと、あれ、敵だよ?」
「そうだな…それと、前から気になっていることが一つあるんだが…その状態の時に呼ぶ俺の名前…わざとじゃないだろうな?もしわざとなら、直してくれないか?なんだか…イライラする感じがあるから」
「ちっ…いたいけな少女を演じてたのに…」
「悪いが、俺はロリコンじゃないんでね?そういう風にキャラを演じるなら、デメトリオみたいなロリコン相手にしたほうが…いいぜ?」
「…デメトリオって人物は…ロリコンなのか…」
「……あぁー…俺が勝手に決め付けてるだけだけどな?もしかしたら違うかも知れな…」

俺がそう言おうとしたときだった…
どうやら、こっちに向かっていた魔物娘達も俺達に気がついたみたいなんだよ!

「あのぉ…さっきデメトリオって言いましたよね?もしかして、デメトリオさんと知り合いなんですか…?」
「…ん?君は一体誰…!?」

な、なん…だとぉっ!?
そう、俺の目の前には物凄く大人っぽい、まさに俺の理想!!って俺が言いたくなるようなドリアードの女性が立っていたんだよ!!
いや…なにより、あのD以上はありそうな胸…あれが相当、LV高いね

「あっ…私はレザー=コットンっていいます…あの、デメトリオって人物について教えて貰いたくて…」
「デメトリオ?別にいいけど…なぜ?」
「えっ…?そ、それは…デメトリオさんが私が初めて出会った男性で…彼を私の夫にして、一生分愛してあげたいからです!彼には一度…逃げられてしまっていますし…」
「デメトリオ…なぜ逃げたんだ…?俺だったら、確実に逃げないくらい、LV高いじゃないか…細かいところに気を配りそうだし…いい女性だと思うけど…」
「そ、そんなに褒めないで下さいよ〜…でも、デメトリオさんにはそう思われていないみたいで…で、私がデメトリオさんのことをもっと分かれば、変わると思うんですよ!」

くぅっ…デメトリオ…羨ましい奴!!
こんないいボディの女性にこんなに思われているなんて…爆発して消し飛べばいいのに…
でもまぁ、デメトリオを裏切って先に結婚したこともあるからな…
仕方が無い!!ここは一つ…デメトリオのためにも協力してあげるとするか!
彼女は敵のようだけど、巨乳の女性に悪い人はいないってのが、俺の理論だし

「わかった、協力してもいいよ?で、なにが聞きたいんだ?まぁ、俺が分かることしか答えることが出来ないんだけどな?」
「じゃあ…そのぉ、聞きたいんですけど、デメトリオさんって、まさか彼女持ちなんですか?だから、私の誘いを断って逃げたのでしょうか?」
「いやあ…?デメトリオが彼女持ちって事は無いんじゃないか?だって、彼女持ちだったら、俺に嫁ができた時に泣きながら去っていったりしないだろうしそもそも、なんでデメトリオが逃げたのかが俺には理解できないわけだし」
「じゃあ…女性には興味がない系の人なんでしょうか?」
「そ、それもさすがに…ないと思うぜ?だって、そんな人物が水着はどんなタイプが一番好きかって話題に乗ってくるはずないだろ?それに、あいつはスクール水着だって言ってたし…」
「むぅ…」
「そうだな…あいつは結構奥手だと思うから…いや、俺も奥手だったけどさ?そういったシチュエーションに陥ったら、あいつだったら逃げるんじゃないか?」
「なんで…デメトリオさんは奥手だからってすぐに逃げるんですか?やっぱり、私が女性としてあまりにも魅力がないから…?」

そう言いながら、レザーさんが顔を伏せるのを見て、俺は複雑な気分になったんだ…
彼女に魅力が無い…?そんな事があるわけがないだろう!!

「レザーさんは十分魅力的だと思いますよ?デメトリオがおかしいだけなんですって!!そうだなぁ…そういえば、デメトリオが一回だけ一緒に飲んだ時に、興味深い話をしていたな…それが、女性を避ける原因じゃないのかな?」
「えっ…?そ、その話って…?」
「あれは、一緒に飲みながらトークを初めて、少しした時かな?微妙にしていた人の気配が完全になくなった時に話した話なんだけど…」

そう言いながら、俺はその時のことを思い出し始めていた…

〜〜〜回想シーンに移ります!〜〜〜

「なぁ…ヤマト…ここで、お前に真面目な話をしたいんだが…いいかな?」
「なんだ?酔ってるから明日になっても覚えていないと思うけど…」
「だから話すんだよ…お前さ、人生って何だと思う?」
「人生?人生は人生だろ…変なことを聞くなぁ…」
「いや、真面目な話なんだ…もし、人生で生きている間に結婚できたと仮定して話を進めたいんだけど…そもそも、お前は結婚をどう思ってる?」
「えっ?分からないけど…人生で大切なこと…じゃないか?」
「ふむっ…まぁ、その考え方も無しじゃないんだけど…俺は、結婚は墓場だと思うんだ」
「は、墓場ぁっ!?お、おまっ…そんな考え方の奴と初めて出会ったぞ!?」
「……とにかく、俺はそう思ってるんだよなぁ…結婚すれば、夫として必要最低限の義務…家族を守るという現実に直面するだろ?まぁ、俺のポリシーから考えても、普段は愛するもの同士とじゃなきゃ、性行為は行わないっていってるけど、多分…結婚してもしないだろうからなぁ…子供が出来る可能性は0って奴かな?もしも妻に子供が出来たら、それは確実に俺の…子供じゃないし」
「……で?」
「俺は、家族は命を賭けてでも守るべきものだとは思ってる…まぁ、普段逃げてばかりだから、いまさらこんな事言っても、綺麗事にしかならないんだけどなぁ?で、結婚してしまったら、俺の人生のレールはもう一つしかないだろ?」
「一つって…?何が言いたいんだよ?」
「いや、親父がさ…昔、俺にいったんだよ…『他人を信じるのは勝手だが、あまり信じないことだ…俺は結婚してるから、息子のお前にあまり偉そうな事はいえないけど、これだけは覚えておけ…結婚は裏切られることを前提としてするものだ』ってな?」
「そ、それはまた…面白い意見の持ち主なんだな…デメトリオの親父…」
「まぁ、それもあってか、俺は裏切られるのが嫌でねぇ…でも、裏切ることに関してはあまり嫌じゃないんだけどな?まぁ、その部分は俺の安全と仲間が俺のことをどう思っているのかを天秤にかけて決めるからさ…そこの部分はなんとも言えない」
「えぇっ!?じゃあお前、結婚…」
「俺は結婚は…多分出来ないだろうなぁ…大体、そんな風に言い寄られたら、華麗に受け流すか、その場から逃げる!!それしかないだろ?」
「に、逃げるのかよ…?」
「おうっ!!逃げるって便利だぜ?まさに、人類が考えた中で最高の作戦だ」
「でも、逃げてばかりじゃ…」
「いやいや…逃げるということは戦わない…もしくは生き残るための手段なのさ…ここぞという時に逃げる…いや、もう人生の選択肢に直面したら俺は迷わず、逃げるって選択するね!お前はどうなんだ?」
「俺…?俺は…逃げるのはどうも…好きじゃないからなぁ…」
「ふぅん…あっ!?もう時間も遅いな…じゃあ、俺はそろそろ戻るよ…」
「んっ?サンキュー!!明日、霧蒸散器を持って行ってやるからなー?」
「おぉーー!!よろしく頼むぜーー!!」

〜〜〜回想終了〜〜〜

「って事があってさ?あいつは結婚願望がそもそも、俺よりは強くないんだよまぁ、結婚願望が完璧に無いってわけじゃないんだろうけどさ」
「じゃあ、デメトリオさんは…そもそも私と結婚することなど、頭の中で考えてもいないと?」
「まぁ、そうなるかな…デメトリオはそういう男だし…でも、デメトリオは押しに弱いところがあるからなぁ…とにかく押してみることだと思うよ?でも、あまり押しても逃げられるから、そこは注意かな?」
「えっ…?」
「行動しろって事さ!!大丈夫だ…とにかく、謙虚に押せばいいからさ?」
「や、やってみます!!じゃあ…親切にどうも…」

そう言いながら、レザーさんが先に行こうとしているのをのんびりと見ていた俺だったが、そんな事をあまりよく思っていなかった人物がいたんだよ…
なんと、花梨が物凄く不機嫌そうな表情を浮かべながら、レザーさん一行の前に立ちふさがったんだ!

「……待ってくれない?あなた…敵の癖に、人の夫と楽しそうにトークするなんて、いい度胸じゃないの…」
「…え?いや…私はですね、デメトリオさんのことを聞いただけで…」
「デメトリオだろうがなんだろうが、どうでもいいの!私は…ヤマトと普通に楽しそうにトークしているって事実と、あなたがメリィさんの所に行こうとしているって事実を会わせても、ここから先に行かせる訳にはいかない!」
「おいおい…花梨、別にいいんじゃないか?大きな胸には愛がつまっているんだから、きっと大丈夫だって!!」
「何よヤマト…あなたは私にはむかうの?それに、さっきあなたが言ったことって、私には愛が無いって事になるのよ?」
「そ、それを考えてなかったな…悪かったよ、次からは間違った言動は避けるから…彼女を行かせてやろうよ?」
「嫌よ!!ええい…デメトリオに会いたいなら、メガロス帝国に行けばいいじゃない!ここから先に行っても、デメトリオはいないんだから…」
「えっ…!?そうなんですか?」
「そうよ!!私が嘘をついていると思うの?」
「い、いえ…(こ、怖いなぁ…)」

……おおう…か、花梨が…怖い…
そんなにヒステリックにならなくてもいいと思うが…確かに、そうだよなぁ…
デメトリオは今、メガロス帝国にいるからな…メリィのところに行くだけ無駄じゃないか…

「確かに、デメトリオは今、メガロス帝国に行ったからなぁ…会いたいならメガロス帝国に行くしかないなぁ…ここから、北にひたすら行けば、いいと思うよ?」
「は、はいっ…色々教えていただいて、ありがとうございました!みんな、行こうか?」
「うん…行こうか?じゃあね〜?」
「ちょっ…ま、待ちなさいよ!!」
「落ち着け、落ち着けって花梨…別にメガロス帝国に行くのを阻止する必要はないだろ!?」
「私は、私をのけ者にして、あなたとレザーが話していたのが、気に入らないの…」
「じゃあ、話に参加したかったって事か?」
「べ、別にそんなわけじゃないけど…」
「だったらいいじゃないか…なっ?」
「くっ…あぁっ!?いっちゃった…何だろう?このイライラ感…」

花梨はそう言いながら、爪を噛むしぐさを行ったんだが…
ふぅっ…まぁ、これでデメトリオに対しての春を送ってやったからなぁ?あいつもそろそろ、結婚する時期だろ…
なんて、俺がのんびりと考えていた時だった…
花梨がそっと俺の背後に忍び寄り、肩を叩いてきたんだよ!
まったく…今度はなんだ?

「どうしたんだ?今度は…」
「なんだか…ムシャクシャするの…!」
「ふむ…それで?」
「殴らせてくれないかな?」

……はぁっ!?俺の妻はいったい、夫に対してどんな感情を抱いているんだ!?一体…どんな流れで俺が殴られる話が発生した!?えぇっ!?
待て待て…俺には1%も理解することが出来ないんだが!?

「落ち着け!!いいか?俺を殴るのは簡単だ…でも、殴らないって選択肢もあるって事に気がついてくれないか?」
「はあああぁぁぁぁぁっ!!【大人モード】!!」
「大体、ムシャクシャしたから俺を殴るってその頭の中がよく分からない!世の中にはな…理屈ってもんがあるんだよぉ!!なっ?だったら、このタイミングで俺を攻撃するのは、理屈にかなってない!」
「ふうぅぅぅぅぅぅっ…【妖気装着モード】…」
「……ってか、話を聞けよぉっ!!」
「…………【フルパワー】」

……な、何が起こったんだ…俺に!?
気がつけば俺は、自分の嫁の放つオーラに圧倒されていたんだよ…
なんていうか、雰囲気が凛としてるよね…うん…
って、そんな事はどうでもいい!!いや、どうでもよくないけど、どうでもいい!!

そして俺は、花梨がパンチを放つ構えをすると同時に確信したんだ…
あっ…これ、よけれねぇな…ってな?
まぁ、逃げるつもりはないから、正面で受け止めるけど…
いいだろう…俺も夫として、花梨の思うがままにさせてたまるかぁっ!!

「【花梨パンチ】」

ヒュッ…ドゴォォォォォオォォオオンッ!!

「うおぉぉぉぉぉぉっ…俺はヤマト…門番なんだぁっ!!こんなしょぼい技で、負けられるかぁーー!!」
「【花梨キック】」
「なんだと…!?か、花梨が…炎の上にのって、こっちに飛んでくるエフェクトが!?だが…ただの火なら怖くはない!!散々火だるまにされて、こっちは耐性がついてんだ!!うおぉぉぉぉぉぉぉっ…こいやぁぁぁぁぁぁっ!!」

そして、花梨と俺の体が接触した瞬間だった…
俺は耳元で…
ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ
という音を聞いたと思った瞬間、物凄い火力で一気にカラッと揚げられ今現在…地面で9999コンボダメージを受けたところだろうか?
蹴りが…俺には見えないだと!?って蹴られながら思ってしまう始末だからな

「ぐぼぉっ!?なんて…綺麗なサマーソルト…花梨の…勝ちだ!」
「……まだまだ、これからっ!!」
「なにっ!?空中で俺を蹴り落し…右へ体を捻りながら地面に押し付け…頭を本気で蹴ってくるだとぉっ……正直、俺は自分が生きているのが信じられないぜ…なんか、デメトリオが出ていない分、俺が酷い目に…会っている気が…」

そしてその後も俺は、花梨の容赦ない攻撃にさらされていたんだ…
まさに俺の状況は虫の息といったところか…?

「ぐふっ…ぜぇっ…ぜぇっ…花梨、俺が今まで出会った中で、ここまで容赦なかったのは花梨が始めてだ…花梨…貴様がオンリーワンだっ!!がふぅっ…」

〜〜〜花梨視点に移ります!〜〜〜

……ちょっと、やりすぎたかな?
でも、ヤマトが他の女性と楽しそうに話すのがいけないんだから、しょうがないよね?
だって、奥さんは私だけだっていうのに、他の胸が少しある女性にすぐホイホイついていってしまうんだから…自業自得ってやつだよね?

なんて、私はヤマトをぼこぼこにした後、そう考えていたんだけど…
最近、人を殴っても気持ちよくない…特に、ヤマトを殴っても、心が…
これはやっぱり、私がヤマトのことを本気で好きである証…なのかな?
……よしっ!!今から、テントにヤマトを連れて行ってヤってみよう…そうすれば、何かが分かるかも知れない…

私はそう考えると、ヤマトを連れて自分のテントに戻っていったのだった…
12/09/14 23:53更新 / デメトリオン
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■作者メッセージ
どうも!!

今回、久しぶりに対戦を入れないで進めてみました!!
次回の話も含め、後3話でガデッド勢力との戦闘も終わりますが…
その後のメガロス帝国の戦いも見所はあるので…楽しみにして置いてください

当然、主人公であるデメトリオも出ますからねーー!!
最近、全くでないけど…後3話ですからねーー!!

と、とにかく…次回ものんびりと見ていただけるとうれしいです!
ありがとうございましたーー!!

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