連載小説
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85 油断と衝撃的現実の戦い
〜〜〜今回も、レヒテ目線でスタートします!!〜〜〜

「さて…速攻で片付けてあげるから、覚悟するのねぇ…?」
「ちょ、ちょっと待ってください…」

……何かしら?まさか…いまさら怖くなって戦いをやめたいとかいうつもりなのかしらねぇ?
世の中そんなに、甘くないわよぉ?私をあそこまで無視してきて…無事ですむわけがないじゃないの!!

「待つと思っているの…?これは戦いなのよ!!さぁ…覚悟しなさい!!私は妹とは違って、あなたの準備を待ってあげたりはしないんだから…ねぇっ!!

「くぅっ…少しぐらい待ってくれてもいいじゃないですか!!僕はまだ…武器も鞄から取り出してないのに…」
「嫌よ!!さぁ…抵抗もしないまま、ここで私の手によって華麗に散りなさい!」

私はそう言いながら、彼女を鎧越しに切ったのよ…
まぁ、鎧越しだけど、確実に切った感触は感じたから…後何回か…かしら?
私がそう思いながら、ちょっとだけ表情を和らげ、にやりとした時だった…
彼女が凄い速度で武器を取り出すと、いきなり体型に似合わない斧を物凄い速度で彼女が振ってきたのよ…
あ、余りの速さに…避けることが…出来なかった!?
私は腹で斧の衝撃を感じながら、そう思ったのだけど…一体…なにが…?

「近距離攻撃なんて…使ってんじゃ…ねぇーーーーっ!!」
「かはっ…!?」
「ふっふっふ…ダメージは決して、軽くなかったみたいですね…それに、なにが起こったのかわからないって顔をしていますよ?特別に教えてあげます…」
「……くっ…何か奇妙な…魔法でも使ったんでしょう?」
「違いますよー!!僕は魔法なんて…余り使いません!!実はですねー…僕のこの鎧は、近距離攻撃を受けると…斧に受けたダメージを全て蓄積し、そのダメージ分の速度を斧を振る時に発揮できるんですよ!そして…僕自身の戦闘能力も底上げしてくれる…完璧でしょ?」
「そう…だったら…遠距離だったらいいってことよね!?」

私はそういうと、即座に彼女から距離を取り、剣の持ち手の部分にある丸いボタンを押しながら…本気で振ったのよ!!
すると、私の剣がいくつかの刃に別れ、空気中のいたるところにとんでいったのよ…
そう、私の剣も少し特殊でね…?この剣はボタンを押しながら剣を振ると、剣がいくつもの刃に分裂して…空気中のいたるところに飛んでいくのよ…時速27.4キロの速度でね?
そして、この刃は、私の魔力を通じて空気中に飛ばしているから、私が全ての刃を操ることが出来るの…
つまり、彼女が刃を打ち返してきても、刃は不可解な動きをしながら彼女にあたるってわけなのよ…
つまり、この刃は私が相手に当てようと思ったときに当てることが出来る…いわばトラップねぇ…
さて、遠距離攻撃を…受けてもらおうかしら!?

「さぁ…いきなさい!!」

シュンッ…キュンッ…

「そこで一体、何をしているんですか?まさか、僕が近距離攻撃は無意味だと言ったから…距離を取ったと…」
「無駄話している暇があるなら…もっと周りを見るのねぇ…?bWと12に注意しなさい…?」
「えっ…!?うわぁっ!?さ、さっきのは…一体…?攻撃されたところの傷を見る限りでは、これも剣の切り口と同じだけど…まさか…遠距離攻撃も使えるって事ですか?はぁっ…それに、攻撃力も高いようですし…でも…甘いですね!」

カシュンッ…

「なにが甘いって言うの…?あなた…遠距離攻撃をしている間、私に近づくことも出来ないじゃないの…負け惜しみかしら?」
「いやいや…?違いますよ…あなた様は凄いですからねぇ…いや、ほんとに…」
「……何よそれ…私を馬鹿にしているのかしら?この…私を!!」

私は彼女が内心で私を馬鹿にしていることに気がつき、一気にbRと4と5の刃を彼女に向けて飛ばしたんだけど…

「遠距離なんて…使ってんじゃ…ねぇーーーーっ!!」
「えっ!?ちょっと…嘘でしょ…!?」
「行くよ!!ボルグ・カムラン…フォームチェンジ!!ボルグ・インドラ!そして…【デルタ・ディール】!!」
「…あ、あの形は…弓…!?」
「発射っ!!」

ぐぅっ…!?お、重い…なんて重い一撃なの…!?
でも…私は…いずれ国をすべる女王になるのよ…こんな矢の1本なんて、へし折ってあげるわよ!!
それに…ここでこの技を素直に受けたら…私がかませ犬みたいになるじゃない!
そんなの、素直に認めることなんて出来ないんだからね!!

そして私は、3メートルくらい後ろに押されつつも、彼女の攻撃を打ち消してあげたのよ…
ふぅっ…コツを掴めば簡単に魔力を分散できるわね…
私は…相手が一度使った技はもう、対処法をすぐに見つけることが出来るから、二度と通用しないのよね…

「……あれっ!?僕の技を打ち消すなんて…思ったよりも凄いですね…」
「あなた…私に偽の情報を教えたわね…覚悟しなさい!!」
「違いますよ!!僕は…この鎧のフォームに応じて対応する攻撃が変わるんです!!今のこのフォームが遠距離適応型で、さっきまでのが近距離適応型なんです!!近距離適応型は対象となる敵の、近距離攻撃と固有技…そして、回復アイテムの使用を行うと、僕がパワーアップして、なおかつ必殺レベルの攻撃を打ち出します!!遠距離適応型は、遠距離攻撃と支援アイテム…そして、第三者の攻撃が僕に当たった時に僕がパワーアップして、必殺レベルの技を繰り出します!!」
「…つまり、私の行動を縛るって事ね…」
「そうなりますねー…そして…魔法攻撃技はどちらの形態でも…禁止ですよ?」

ま、まさか…彼女の鎧にそんな面倒な能力があるとは思わなかったわね…
なるほど…王女となるこの私にふさわしい敵だって事…認めてあげるわ!!
でも、彼女は私に、肝心なことを教えてくれてないのよ…
そう…彼女にさっき私が繰り出した遠距離攻撃は一度だけ当たった…って事は、彼女はその時に遠距離適応型フォームではなかったって事になるのよね…
つまり、彼女はフォームを変更する時に、何かしらの合図を出しているはずなのよ…
それが、私でも分かるような大きなしぐさなのか…それとも、小さなしぐさなのかは私には分からないけど…それでも、彼女が常にフォームチェンジを繰り返しているわけではないって言うのは確かね…
じゃあ、まずはこの私が…彼女の鎧の謎を解いてあげようかしら…?

「さぁて…僕に近づいてくる前に、遠距離から攻撃させて貰うよ?」
「なら…私はその攻撃をかわしながらあなたに近づけばいいのよね?」
「それが…出来たらですけどね!!【デルタ・ディール】!!」

そう言いながら、彼女は自分の弓を凄い速度で放ってきたのよ…
でも…速度はあるけど…パワーアップ状態の技に比べたら、やっぱり攻撃力はないわね…
それに…彼女の縛りも中々だけど…私のも厄介よ…?
だって、私は一度体で体験した攻撃はもう…二度と当たらないんだから!!
つまり、あの固有技を彼女が何発連続で私に放ってこようが…私には意味が無いのよ!!

「そんな攻撃…二度と通用する訳ないだろう!!」
「僕の固有技が…素手で弾かれた…!?」
「正確には、分散させたんだけどね…?さて…遠距離が通用しないのなら、近距離を…使わせてもらおうかしら?」

私はそう言いながら、剣の持ち手の部分のボタンを離したのよ…
すると、刃に分散させていた私の魔力の伝達が出来なくなるから…もとの形状に戻るってつくりなんだけどね?
ボタン一つで近距離と遠距離を使い分けることが出来るんだから、彼女にとってはかなり…私は相性が悪いと思うわよ?
でもまぁ…王女として…こんなところで負けていられないから、当然だけどね?

「さて…その鎧が私の剣より強度が上って事に期待するのね!!」
「この鎧の方が…強度は上ですよ?でも、この鎧はダメージを体にダイレクトに伝えるから…あまり僕としては攻撃…して欲しくないかなぁ…まぁ、反撃出来たらダメージは0ですけどね?」

カシュン…

「それは…出来ない相談ね!!」
「近距離攻撃は…今通用しませんよ!!てやぁっ!!」
「甘いわね…その反撃は…一度食らっているわ!!」

ガキィンッ!!
ジジッ…ジッ…

「…!?僕のボルグ・カムランを…止めた?」
「さぁ…このパワーアップ状態の斧の攻撃の威力を利用し…あなたに攻撃させて貰うわ!!」
「…っ!?でも…その遠心力を利用しても、僕には通用しませんね…だって、今の僕は近距離攻撃が…通用しませんから!!」

……確かにそうではあるけれど…でも、近距離攻撃を仕掛けて敵の攻撃パターンをまた覚えれば…その後から二度と、その攻撃は通用しなくなるわけだからね?
それに、同じ攻撃が来る可能性だって0じゃないし…

でも、私の考えは綺麗に外れたわけだけれど…ね?
なんと今回、彼女は斧を上から振り下ろしてきたのよ…
私はギリギリのラインで…体を反らして回避したんだけど…少しだけかすってしまったわね…
でも、これでまた一つ、敵の動きを見切ることが出来たわ…
ふふっ…まるで、私が絶対に勝てるチェスを遊んでいるような気分よ?今…
さて…そろそろ近距離と遠距離を組み合わせて…攻撃するとしましょうか!

私はそう思いながら、ボタンを押し、一気に攻撃の刃を空気中に飛ばしたの…
さて、不意打ちに対応することが…果たして出来るのかしらねぇ?

「攻撃をしてこないんですか?怪しいですねぇ…?僕を誘っているんですか?」
「どうかしら…?私の余裕かも知れないわよ?」
「……そうですか…では、僕の方から攻撃を仕掛けます!!」

あらあら…ご丁寧に攻撃を仕掛けてくるタイミングまで教えるなんて…
彼女は本当に私のことを戦闘で倒すつもりがあるのかしら?
私のような勝者を敗者が倒すためには、不意打ちは必要不可欠だというのに…
さて…そろそろ、彼女の足元にもぐっている刃にも出番をあげようかしらね?
私はそう思うと同時に、無言で彼女の足元から刃を飛ばしたのよ…

「…これは、攻撃!?仕方がありませんね…」

カシュンッ…

「遠距離攻撃なんて、今のフォームでは通用しませんよ!!そして…これはどうですか?」
「なっ…!?いつの間にフォームをチェンジしたの…?しかもこれは…まだ受けていない技の予感が…」
「【ZERO距離射撃】!そして…あなたが空中に吹き飛ばされた瞬間に僕が…追撃を仕掛ける!!」
「くっ…!?広範囲の…魔力を感じる!?きゃあっ!?」

私はそれに気がついた瞬間、空中に爆風で飛ばされていたのよね…
早く、緊急回避行動を取って彼女の攻撃に備えないと…って、早い!?
そして私は、ほとんど彼女の攻撃に気がつかないまま、地面に流星の如く突き落とされたのよ…

ヒューーッ…ドガガガガガガッ!!

くぅっ…結構のダメージじゃない…弱者にしては、少々調子に乗りすぎなんじゃないの!?
私は、更なる追撃を受けないように地面を削りながら吹き飛ばされている最中に体の向きを変更…そして、風の風力が弱まったのを確認して、削られた地面の岩を空中で蹴り、彼女のところに飛んでいったのよ…
途中、彼女が魔力のこもった矢を撃ってきたけど、一度見たことがある技だから、全て無力化することが出来たしね?
いいわ…強者と弱者の違いを教えてあげようじゃないの!!

そして、私は即座に、自分の剣のボタンを2回押し、右斜め下に振り下ろした後、3回ボタンを押して左斜め上に切りつけたのよ…
まぁ、彼女に対して攻撃を仕掛けたわけじゃないけど…重要な行動なのよ…
知っているかしら…?世の中には裏技や小技…マル秘テクニックとやらがあるって事を…!!
この行動を取った時、私の刃に伝えている魔力は少々狂い始め、3番と5番と12番の刃だけを自在にコントロールしたまま、剣の状態で攻撃できるのよ!
これで、一斉に攻撃すれば…彼女がどちらのフォームであっても、私の攻撃は通用する!!

「くらいなさい!!」
「甘いですよ!!」
「…あら?今回は鎧に頼らずに、斧で攻撃を防いだの?」
「ふっ…何も鎧だけが体を守る手段ってわけじゃありませんからね!体を守る一番の方法は…テクニックです!!どれだけ高等なテクニックを駆使して、敵の攻撃を防ぎ、カウンターを叩き込めるか…これも結構重要ですから!」

キィンッ!!カンッ…カキキカカカンッ!!

あらあら…斧でここまで攻撃を防ぐことが出来るなんて…以外だったわ…
でも、少し速度が遅いようねぇ…
って事で、私は彼女に上半身に向けての攻撃を繰り出したと見せかけ、彼女にフェイントをかけたのよ…
そう!!実は、下半身への攻撃を仕掛けていたのよね…
やはり斧は速度が遅いから…彼女が気付いた時にはもう遅い!!

「もらったわっ!!」
「くっ…まだですよ!!まだ油断するのは…早すぎます!!」

カシュンッ…

「これで今は…近距離攻撃は私に通用しな……えっ…?」
「ふふっ…実は遠距離攻撃も同時に仕掛けておいたのよ…果たして、あなたは同時の属性の攻撃を受けた時に、攻撃を跳ね返すことが出来るのかな?その様子では…ふふっ…出来なかったようねぇ?」
「せ、背中の羽を攻撃されたかぁ…まだ、少し動くようだけど…まさか、両方同時に攻撃を仕掛けてくるなんて、考えてなかったなぁ…」
「やはり、これが勝者と敗者の実力の差…そして、性能の差って奴よ…!さぁ、もう諦めなさい…?この一撃を体で経験しただけでも、あなたの防御は崩されたと分かったでしょう…?」
「……まだ、まだ僕は負けていませんよ!!」
「ほぉっ…?まさか、ここまで負ける要因を与えてあげてまだ諦めないなんて…いいわ、その根拠の無い自信…私が切り裂いてあげる!!」

そう言いながら、私は彼女に攻撃を仕掛けたんだけど…
よくもまぁ、斧で攻撃を防ぎきることが出来るものねぇ…
この私が相手じゃなかったら確実に…彼女は勝者の部類に入るのに…残念だわ

カンッ!!カンッ!!

「くっ…この刃…一度弾いてもすぐに空中で旋回して戻ってくる…!?」
「刃ばかりに目を向けていて…いいのかしら?」

私は勝利を確信した瞬間から、彼女に物凄い勢いで猛攻を仕掛けたんだけど…
彼女は彼女で…よく私の攻撃をかわすわね…
でも、あなたとの戦いも…そろそろ飽きてきたし、終わりにしてもいいか…

「今…楽にしてあげるわ…【カッセルダイン】」
「あぁっ!?ぼ、僕の巾着袋がぁっ!?大切なお金がぁ…ゆ、許さない!許さないよ!!」
「ふっ…あなたはお金に執着しすぎるようねぇ…?まぁ、どうでもいいことだけど…ここでそろそろ…終わりなさい!!」

そして、私は容赦なく私の最強技…【カッセルダイン】を繰り出したの…
この技は、先ほどの攻撃と同じように近距離攻撃と遠距離攻撃を同時に繰り出すことが出来る、無駄の無いコンビネーションとやらを発揮することが出来るのよね…
敵に息継ぎや反撃をする機会を与えないようにする…大技って奴ね

「ほらほらぁっ!!どうしたの…?初めに私に抗ってきた時と同じように、私に反撃でもしてみたらどうよ?金に溺れた天使さん?」
「……僕は、好きでお金に…執着しているわけじゃない!!それに、あなただって、傲慢すぎますよ!!自分の思い通りに行かないのが人生って物なんです!それに、死んだら確実に地獄に落ちますよ!?今のままだと…考え方を改めてください!」
「リンケみたいなことを…言わないでくれるかしら?私は自分の理論に絶対的な自信を持っているのよ…考え方を改めろというなら、私を倒して見なさい?まぁ、出来ないとはおもうけど…!私は勝者だからね?」
「あなたに…僕はこの言葉をささげさせて貰いますよ…ある人が言った台詞を借りさせてもらうんですが…『敗者でも…必死に努力すれば勝者を越えることがあるかも知れない』ってね?戦いは、決着がつくまで、勝敗は決まらないんです!!その油断は…大きな負けにつながりますよ?」
「……生意気ね…だったら、努力だけでは超えられない壁を…見せてあげるわ!」

生意気よ…こんどこそ、確実に潰してあげるわ…
そんな綺麗事…聞き飽きた!!

「はぁっ!!」
「甘いです!!うおぉぉぉぉっ!!高速フォームチェンジ!!そして、私の…反撃です!!」

カシュシュシュシュシュシュッ!

「そして…僕の攻撃で倒れてください!!」
「甘いわね…その技はすでに、一度見ているのよ!!」
「だったら、これはどうですか!?二刀斧…シエルorクォール」
「なっ…でも、二刀流ねぇ…初めは避けることが出来ないけど、まぁ…みていなさい…?今に…凄いことになるんだからね?」

そう…私が言った凄いこと…それは、私に攻撃が一切通用しないようになる事なのよ!!これこそが…私がどんな敵と戦っても絶対に負けなかった理由だから、仕方ないんだけどね?
相手の手数が多ければ多いほど…私に攻撃は出来なくなっていく!!
ほら…だんだん動きが読めてきたわよ…?

そして、私は動きが完全に把握できたのを確認した後、即座に彼女が持った斧を止めてあげたのよ!!
あたりに金属がぶつかり合う音がすると、彼女は即座に私から距離を取り、別の構えで攻撃を仕掛けてくる…
でも…その構えを私は一度見ているから、次にどんな攻撃が来るのか…分かってしまっているのよねぇ…

キィンッ!!カァンッ!!カカァンッ!!

「そろそろ…疲れてきたんじゃないの?今なら、諦めれば悪いようにはしないわよ?あなたを、私がつくる国の戦闘要員のボスにしてあげてもいいし…」
「……諦めるのは、あなたの方です…僕はただ、無意味に斧を振り回していたわけじゃ…ないんですよ!!」
「…なんですって…?はっ!?魔方陣…!?」
「これこそが究極の縛り技…束縛の魔陣…そして、動けなくなったところで、僕の全力技…受けてください!!」
「…くっ!?拘束が…強い…?」
「さぁ…あなたの性格を、僕の技で直してください!!【追想撃】」

そして、私は彼女が放った光を見ているうちに…自分がまだ幼かった頃のイメージが頭の中に…入ってくるのよ…!!
そして…私の人生の中で一番のトラウマの部分に……

これは、私が始めてお母様と喧嘩した時の…
思えば、今の私の性格はこの喧嘩が原因って気も…しなくはないわね…
でも…いまさら…いまさら、こんなシーンを見せられても…

私はそう思いながら、じっと時間が経過していくのを感じていたのよ…
ほら…幼かったときの私が…泣きながら部屋から出て行ったでしょ?
って、あれ?私…ここから先のシーンを見てないわよ?

「お母様ぁーーっ!!」
「はぁっ…あら、リンケ…どうしたの?」
「お母様…お姉ちゃんを苛めちゃだめだよぉっ!!かわいそうじゃない!」
「……それはね?私は…レヒテお姉ちゃんに、私よりも立派な城主になって貰いたいからよ?いつかは…あなた達も私のところから離れる時が来る…その時に、彼女に他人を思いやる気持ち…それを持っていい大人になってくれることを信じて、今さっき…つらく当たったのよ?って、まだ3歳のリンケには分からなかったかな?」
「むぅっーー…じゃあねぇ…私は、お姉ちゃんを応援してあげるんだぁっ!」
「うふふっ…じゃあ、お姉ちゃんが道を間違えた時に…元の道に戻してあげたりしてね?お母さんとの…約束だよ?」
「うん!!やく…」

私は、ここで現実の世界に戻されたのよ…
あ、あれは…彼女が見せた幻…?それとも…本当に会ったことなの?

「あなたが見た映像は、あなたの人生を大きく変えたかも知れない出来事の別の視点です…そして、その映像に間違いは無い…」
「じゃあ……あの時…」
「とにかく、僕はあなたに改心するチャンスを与えました…その後の行動はあなたが決めてください…」

私は彼女にそういわれた瞬間、体からふっと力が抜けていくような気がして、剣を手放したのよね…
……今となっては、お母様に聞くことはできない事実…だけど…リンケが変にこだわるのも…分かる気がするわね…
そう…私はこの技一つ受けただけで、改心を決意したのよ…
私の心も…コレくらいのことでここまで変わるって事ね…

「いいわ…私の負けよ…さぁ、私を縛りなさい…」
「ふぅっ…じゃあ遠慮なく…さぁて、僕は今から天界に戻って神様に報告しないと…一人、改心させたってね?行こうか?」
「行くって…まさか、天界?」
「そうだよ?でも、特殊な門を使っていくから、死んだことにはならないし、戻ってこれるから安心してね?お金を受け取ってこの戦争が終わりを迎えたら、元の世界に戻してあげるからさ?」
「……ちょっと、気になってはいたんだけど…あなたはどうして、そんなにお金に執着するの?それも、弱点となりえるかも知れないのに…」
「ははっ…嫌だなぁ…お金があれば、妹達や親に楽…させてあげれるからですよ…あっ!?こ、これ…神様はもちろん、他の誰にも内緒ですよ!?」
「わかった…じゃあ、天界に行きましょうか…」

そう言いながら、私は彼女と一緒に天界へ続く門をくぐったのだった…
そうね……戻ってきたら…リンケと一緒に…国を…おさ…
そして、私と彼女の姿は戦場から消えたのだった…
12/09/07 22:43更新 / デメトリオン
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■作者メッセージ
どうも!!

さて…またここに、決着がついた戦いがありますね…
次の戦いは、妹の方と…あのお方です!!
まぁ、誰なのかをのんびりと考えていただけるとうれしいですので、
のんびりとお考え下さい…!!

と、とにかく…ありがとうございましたーー!!

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