58 逃げるということは後悔することか?
俺達がこの洞窟に入ってから、俺はメリィたちを探すのに、本当に苦労したぜ…
だって、メリィたちすぐに先に行くからさ…しかも、後から来る俺の為に待ってくれるなんて事は一切ないって言うこの事実…
まぁ、見つけたから良いんだけどさ…
え?どこにいたかって?普通に道の真ん中で皆集まってお菓子食べてたぜ?
…お、俺なんか、お菓子をいろいろな奴に食べられたからお菓子なんて残ってないって言うのに…
「……デメトリオ、遅かったじゃないの」
「…は、はぁ…」
メリィが無駄に早く先に行くからだろ!!って、俺は心の中でつぶやいたんだが、メリィはそんな事には気付いていないかのように、菓子パンを食べてたんだよ!!
頼むからその菓子パンを俺にくれな…い、いや…なんでもないぞ!?
なんでも無いんだからな!?
しばらくして、お菓子も食べ終わったらしく、俺たちはこの洞窟の中を進み始めたんだが…やけに、この洞窟人の手が入っているような気が…
だって、洞窟の壁はツルツルだし、天井にはランプが一定感覚ずつぶら下げられているし…床は床で、磨かれたかのようにツルツルだ!!
し、しかも…天然の大理石が使われているだと…?
なんて思っていた時だった…
目の前から、凄く特徴的な服装をしたラミアが歩いてきたんだよ!!
いや…正確には這ってきたんだよ!!
「……ん?おや、旅の人とは珍しいわね…アヴァル洞窟城下町へようこそ!」
「…え?ここは町か何かなの?」
リーネが思わずそんな事を聞いたが、それは俺も思ったぜ…だって、いきなり町とか言われても、そう思えないんだよ!!
だって…洞窟だからさ…ここ…
俺がそう思っていた時、そのラミアの女性は俺の方を見たあと去っていったんだよ!!
い、言うだけ言ってすぐにその場から去るってのも、ある意味どうかと思うぜ?俺はだけど…
更に少し歩いていると、だんだん声が聞こえてきたんだ!!
しかも、結構にぎやかそうな声だが…この先に何かあるのか?
なんて思っていた矢先にこの頑丈そうな扉と、武装したメデューサの女性のセットだ…絶対この先には何かあるだろ…これはさ…
で、俺達が近づくと、そのメデューサの女性が身構えて…って事は無かった。
あれ?なんで警戒しないんだ?普通、旅行者が来たら警戒すると思うんだが…
なんて思ったりもした訳だが…まぁ、普通に入れるならそれでいいのかも知れないな…
でも、メリィは俺とは違い、この先になにがあるのかを知った状態で進みたいようで、そのメデューサの女性に話し始めたんだよ!!
「…ちょっといい?この先には、なにがあるの?結構騒がしいけど…」
「あぁ…旅のお方ですか!えっと、この先は一番街となっております!!ただいま、一番街ではお祭りが行われているんですよ!」
……祭り?へぇ…祭りねぇ…
俺は祭りといわれて即座にジパングの最後の方であった、祭りのことをおもい出していたぜ…そういえば…仮面つけて叫んでたりもしてたっけ?
いやぁ…その時は内心、ジパングから先に行くことがあるのか本気で悩んでいたけど、今となって考えれば、あの時が一番時間の流れがゆっくりだった気がするぜ…
で、話が終わると俺たちは通行税として銅貨を2枚納め、一番街に入ったのだった…ってな?
だが、この時にはまだ何が起こるのか…それを誰も考えてもいなかったのだった…って、意味ありげなことをつぶやいてっと…
え?心で言ってみたかっただけだって!!気にするな!
なんと中では、物凄い数の魔物娘達が、広場に集まって何かをしていたんだよ!い、一体…何をしているんだ?
……やっぱ、気になるよな?な?
って事で、メリィたちの目を盗んで俺はこっそりその人ごみの中に向かって行ったんだ!!
さぁて…どんなことが起こるんだ?
「みんな〜〜!!今回はアタイたちのライブに来てくれてありがとう!!アタイたちは明日もいるから、今日は楽しんで行ってねーー!!」
「きゃーーー!!」
す、凄い歓声だ…い、いったいあのステージの上にいる三人の女性は何者なんだ!?右からラミア、エキドナ、メデューサって事はわかるが…
……!?な、なんだあの光っている棒は!?
俺は、余りにいろいろなことがありすぎて、若干だが混乱を隠せなかったぜ…
だって…俺は観客の方々が持っている光る棒に驚いていた位だからな…
だが、俺が驚くのはまだまだこんなものではない!!気がする…
変な感情を抱きながらも、じっと立っていると、いきなりその三人がマイクを持って歌う準備に入ったんだよ!!
し、しかも…それと同時に観客が一斉にタオルを頭に巻き始めるという謎の行為が行われたんだよ!!
な、なんだ…この変な統一感は…これ、俺が一人浮いているみたいじゃないか!
くそぉ…俺もみんなが頭に巻いてる【スニェイカーズ】とかかれたタオルをどこかで手に入れてくるか!?
……柄、かっこいいから買ってもいいって思ってるし…ね?
だが、結局買いに行くこともせず…俺はステージ上の彼女達が歌い終わるまで、そこにのんきに突っ立っていたってわけだぜ…うん…
……個人的には、3曲目の【蛇っ娘トリニティ(濃い口醤油)】って曲がよかったと思うぜ?
なんて思いつつ、人ごみがだんだん離れていっていたので、終わったのだと判断して俺もその場から去ろうとした…んだけど…
「ふぅ…あっ!!そこの男の人ーー!!ちょっと待ってーー!!」
……?俺か?まさかな…多分、別の人だろうし…
などと判断し、更に戻っていこうとすると、なんとさっきまでステージの上で歌っていた女性達の一人、ラミアの女性が俺を捕まえてきたんだよ!!
な、何なんだ一体!?俺は人ごみの中に紛れ込んでおり、更に目立った行動もとっていないのに…
なんて思っていると、そのラミアの女性がいきなり俺を向き直らせてこういったんだよ!!
「……デメトリオさんですよね?」
…!?な、なぜ俺の名前を…?怪しい…怪しすぎるぞ…
俺はこの人と会うのは初対面…のはずだが…?
俺は一応逃げる構えを取りながら話を聞くことにしたのだった…
だって、危ない話だったら逃げればいいだろ?だからさ…
「…えっと…誰ですか?」
「覚えていないんですか?ずっと前に前夫と一緒に泊まりに行ったじゃないですか…あの時、デメトリオさんが嫉妬心に駆られて凄い不機嫌そうな対応をしてきたのは今でも覚えていますよ?」
……そ、そうかぁ?俺には覚えが…待てよ!?
そういえば、今から1年くらい前に…風邪をひき、体の体調が回復したばかりで機嫌が悪い時が一回だけあったなぁ…
ま、まさか…その時に来たお客さんのうちの誰かか?
俺はそう思い、自分の今まで宿泊してくれたお客さんの名前が書かれてある手帳を取り出して確認し始めた…
あぁっ!?こ、この人か?確かに、思い当たる日にこの人は夫婦で来たな…
いや…確実にこの人だって思わないんだけどさ?でも…可能性は一番高いから、一応心で思ったことを言っただけだぜ?
まぁ…OK…誰かはわかったぜ!!
で、なんで彼女がここに?まさか…ここ出身だったのか!?
なんて、内心では結構いろいろなことを考えていたりいなかったり…
「…デメトリオさん、前に少し渡したいものがあったんですけど、渡し忘れてたんで…他の二人が来る前に渡したいので、待機室まで来ていただけませんか?」
……た、待機室ってどこだよ!?
…ま、まぁ…物をもらったらすぐに帰るし、いってもいいんだけど…場所が分からなければ待機室って場所に行くことなんて無理だろ!?
「…ど、どこに待機室があるんだ?」
「ついて来てください!!招待します!!」
こうして、俺は待機室と呼ばれる場所へ連れて行かれたのだった…
……あれ?あれ、セムちゃんじゃないか…こっちをストーキングしているようだけど…まぁ、いいかな…
別に、見られて困ることなんて無いしな!!
…で、俺はある建物の一室に連れて行かれたわけだが…
おいおい…古い建物だな…ここ…
そう思いながら、俺はジャルジィさんに連れて来られたのだが…無駄に…壁も厚くないか!?これ、大声出しても多分…外には聞こえないな…
別に、どうでもいいことだけどな?身の危険が訪れる雰囲気はしないし…
などと思っていると、不意に彼女は俺に話しかけてきたんだよ!!
「…あ、お茶飲みますか?」
「いえ…別に…で、渡すものって何ですか?」
俺は丁重にお茶をお断りすると、その部屋の壁際にあった椅子に近づいていった…なぜかって?そりゃあ、立って話するのって疲れるじゃないか!!
で、俺は椅子に座って、ジャルジィさんが渡したいものとやらを持ってくるまで待っておくことにしたんだ。
…でも、彼女はこの部屋から出て行く様子が見えないんだが…
そして、俺が何を持ってくるのかを聞こうとしたときだった…
いきなり、ジャルジィさんは入口の鍵を閉めたんだよ!!
し、しかも…5重ロックだぜ!?一体なぜだ?
はっ!?そうか…分かったぞ…
多分、誰にも知られたくないから、こっそり渡そうとしているんだな!?
……でも、オーラがなんだか暗いんだよな…何でだ?
なんて思っていた時だった…
「……ようやく捕まえたわ…デメトリオさん…」
…!?な、何だよこの嫌な雰囲気は…!?
そう思うと同時に、ジャルジィさんが俺の方に近づいてきたんだよ!!
……こ、これ…危険なパターンじゃないかよ!!
まさか…俺がこんな罠に引っかかろうとは…
俺はここから逃げるべきだと即座に判断し、ジャルジィさんの横を通って逃げようとしたのだが…
な、なんだよこの鍵!?電子ロックじゃないかよ!!
そして…皆さんが思っている通り俺は捕まったのだった…
「な、何するんですか!?」
「…デメトリオさん…あんたのおかげで…私は!!」
……な、何だよ!?この恨みを物凄く抱いていそうなオーラは!?
ぜ、全然身に覚えが無いんですけど!?
なんて思っていると、尻尾で拘束されてしまったんだよ!!
「…なんでこんなことを!?俺が何したって言うんですか!?」
「あんたのおかげで私の夫は……盗られたのよ!!」
「えぇーー!?い、意味が分かりませんよ!!」
……まさに、八つ当たりもいいところだぜ!?
えっと、つまり夫を盗られた事を俺のせいだと言いたいのか!?
……お、俺は無実だっての!!大体…俺はその当時もあんた達ご夫妻に嫉妬していたんだ…分かるか!?
それなのに…どうして俺に八つ当たりするんだよぉーー!!
だが、俺の心の叫びがジャルジィさんに通じることはなく、俺はジャルジィさんに巻き付かれてしまったんだよ!!
ら、ラミアの女性に巻き付かれたら人生がもはや決まってしまったって考えろって…そういえば口コミで聞いたことがあるんだが…
嫌だー!!こ、こんなところで終わりたくない!!
ま、まだ…まだ俺にはやりのこしたことがあるんだ!!
……いや…待てよ?やりのこしたことなんて無いぞ…?
で、でも…きっと、やりのこしたことが後々出てくるはずなんだよ!!うん!
「デメトリオさんのせいで…今じゃあ前夫もどこにいるか分からないし…」
「だ、だから!!俺はその件では無関係ですって!!」
「黙りなさい!!私が夫がいなくなったことにより、夜自分をどんな気持ちで慰めているのか…それが分からないからそんな事を言えるのよ!!」
「いや…知らんよそんな事!!」
それ言ってしまったら、俺がどんな気持ちであなた達の夜の営みを聞いていたか…それが分かるのかよ!!って…聞くぞ!?
…まぁ、そんな勇気無いから聞かないけどさぁ…
「だから…これはデメトリオさんに対する復讐なのよ…まさか、ここでアイドル業をやっている時に偶然デメトリオさんと出会えるなんて思ってなかったけど…ふっふっふ…」
そう言いながら、怪しい笑みを浮かべるジャルジィ…なんだ?あの笑みは…?
「…それに、デメトリオさん…あなたも男なのよ?私、今だったら相手は誰でもいいし…アイドル業を辞めなきゃいけないのは心残りだけどね?」
そう言いながら、若干だが目を細めるジャルジィ…そ、そう思うなら、やらなければいいじゃないですか!!
俺はそう思いながら若干もがいていたんだ。
「落ち着けって!!俺なんかの為にアイドル人生を捨てるのはもったいないぞ!?ここは、穏便に俺を解放して…そんな恨みも忘れてのんびりと人生を楽しむべきですって!!」
おっ?俺、いい事言ったなぁ……
しかも…結構悩んでいるようだし…これは、もしかしたらもしかするかも…
そう思っていた時だった…
いきなりジャルジィさんが俺の体を締め付けてきたんだよ!!
まるで…一気に絞め殺す!!って雰囲気の絞めだな…
まぁ、雰囲気だけだけどな?
「私、少し考えたんだけど…ここで私があなたと体の関係を結ぶと、あなたもいろいろと不味いわけよねぇ…?だったら、一緒に人生を捨てるのも…ありって思ったのよ!!」
そう言いながら、更に強い締め付けで俺の体を締め付ける…
ぐっ…は、肺から空気が…空気がすえねぇ…けふっ…
…も、もう終わりか…俺の人生……
俺がそう思った時だった…なんと、いきなり天井からガタって音がして、そこからセムちゃんが降りてきたんだよ!!
ま、まさかの…ここでセムちゃん登場か!?
なんだろうな…この、心に芽生えてきた希望の光は…!!
た、助かったぜ!!
「だ、誰なの!?一体…?」
「デメさん!!大丈夫ですか!?」
「セムちゃん!!おかげで助かったよ!!」
なんて思っていると、次の瞬間…電子ロックがいきなり解除されたんだよ!!
こ、これは…一体?
俺がのんきにもそんな事を考えると、さっきのステージ上にいた二人の女性…エキドナとメデューサの女性が中に入ってきたんだ!!
「いやぁ〜…疲れたわね〜…」
「姫様…これが終わりましたらちゃんと城に戻っていただきますよ?」
「分かってるって!!もう…サーラは硬すぎるんだよー…」
「で、ですが姫様…あなた様は現女王の一人娘…本来なら、勝手に出歩くのも問題なのですよ?」
「だーかーらー…バンド活動中はコリンって呼んでって…言ってるでしょ?それに…サーラだってバンド中は内心、楽しいんでしょ?」
「そ、そんな事は…」
「嘘…頭の蛇は正直だよ〜?ホント…可愛い…」
………えっと、この変な空気の中、巻き疲れている俺はどんな反応をすればいいんだろうな?
そう思っている間にも、俺のボディは若干強めの締め付けを味わっているって事は…確かなことだぜ…
だが、どうやらこの二人も俺とセムちゃんの存在に気がついたようなんだよ!
で、サーラって呼ばれたメデューサの女性がすかさずジャルジィさんに聞いたんだ…
「ジャルジィ…?この男性と女の子は一体…?」
「……あっ…えーと、デメトリオさんは私の復讐の対象でこの子はよく分からないというか…そのぉ…」
「…はっきりと説明していただけます?」
スチャ…
す、すまない…サーラさんがめがねをかっこよく整えなおしたからつい効果音をつけたくなって…き、気にしないで下さい…
いやぁ…最近、自分自身調子に乗ってる気がするなぁ…
でも…一つ、分かったことがあるぜ!!
ジャルジィさん…サーラさんのことが少し怖いみたいだな…
そりゃあ…なんか、雰囲気的にも硬い雰囲気を出しているし…分からなくも無いんだけどさ?
で、ジャルジィさんがサーラさんに事情を説明しようとした瞬間に、セムちゃんがすばやく俺の拘束を解いてくれたんだよ!!
多分…ジャルジィさんがサーラさんに気を取られたってのも少なからずはあると思うけどさ…?
でも…まぁ、無事に逃げる準備が整ったんだから…俺は容赦なく逃げさせてもらいますよ!!
神様…助けてくれてありがとーー!!
だが、逃げようとした俺に壁が立ちふさがってきたんだ…
あの、コリンって名前のエキドナの女性がな?
だが…なんていうか…俺のことなんて眼中になさそうな雰囲気が…
こ、これ…いけるんじゃないか?
俺は一か八か、コリンの横を通ってこの部屋から脱出しようとしたんだ!!
結果は…出来たんだよ!!
こ、これは…今日って俺、かなり運がいいじゃないかよ!!
今なら…宝くじを買って5等の2銅貨くらいなら当てれる気がする…
と、とにかく…逃げるぜ!!ひゃっほーい!!
で、俺が逃げようとした時だった…俺はあることに気がついたんだよ!!
せ、セムちゃんがまだこっちに来ていないじゃないかよ!!
俺は慌てて部屋の中に目を通してみる…すると、セムちゃんが三人に捕まっているのが見えたんだよ!!
「きゃっ!?」
「ふっふっふ…デメトリオさん?こっちに戻ってこないとこの子がどうなるか…分かりませんよ?」
「…可愛いわねその子…うふふ…城に持って帰ってもいいかな?サーラ?」
「……ひ、姫様の趣味に私は意見するつもりはございませんので…」
「決まり〜!!あんなダメな男よりも私はこっちの方が重要だし…君、別に逃げてもいいよ〜?」
……お、俺は…俺は…ここでセムちゃんを助けたほうがいいのか!?
セムちゃんはグロリア家の四女だし…きっと内心では怖いって思っているんだろうし…
で、でも…俺が助けに行って俺が捕まってしまうの…嫌だし…
まさに俺は究極の選択を強いられていた…
セムちゃんは物凄く助けてほしそうな表情で俺の方を見ている…
だから、助けたいんだけど…でも、俺は素朴に助けに行くことが怖いんだ!
…そ、その後の人生がかかっているんだぞ!?簡単に結論なんて…出せるものかよ!!
そう思いながら立ち止まっていると、なんとジャルジィさんが俺の方に向かって這って来たんだよ!!
「デメトリオさん…諦めたらどうですか?諦めて、私の玩具としてその後の人生を過ごすってのも…ありだと思いますよ〜?」
「ひ、ひぃぃっ!!」
俺はジャルジィさんが近づいてくるのに対し、恐ろしくなって…その場から逃げてしまったんだ…
ただ、怖かったんだよ!!
で、メリィたちのところに戻って、俺はセムちゃんがいないんだけどって言われた時…凄く答えにくそうに事情をみんなに説明したんだ…
「……お、俺…捕まってさ…で、セムちゃんが助けに来てくれて…」
「…まさか、デメトリオ一人で帰ってきたの!?セムちゃんを残して!?」
「だ、だって……こ、怖かったし…」
「見損なったわ…そこは、自分の人生を捨ててでもセムちゃんを助けるのが当たり前でしょ!?あなた…それでも男なの!?えぇ!?」
メリィはそんな風に俺を怒ったし、他のモンスターラグーンのみんなも頷きながら俺の方を見ている…
お、俺だって…少しは助けようと思ったよ…でも、でもな?
誰でもそのタイミングで勇気を出して危険に飛び込めるのか!?
そんな風に…出来ない人もいると思うんだ…
なんて言い訳をしながら、今になって、セムちゃんを助けなかったことを心から後悔したんだ…
俺が後悔していると、メリィが俺の表情から俺が反省していると読み取ったらしく、大きくため息をついてこういってきた…
「仕方が無いわ…セムちゃんを取り戻すわよ!デメトリオ!!」
「は、はいぃ!!」
「…あなた、捕まっていたって場所に私達を案内しなさい…今すぐにね?」
で、俺たちはさっきまで連れて行かれてた場所に行ったのだった…
だって、メリィたちすぐに先に行くからさ…しかも、後から来る俺の為に待ってくれるなんて事は一切ないって言うこの事実…
まぁ、見つけたから良いんだけどさ…
え?どこにいたかって?普通に道の真ん中で皆集まってお菓子食べてたぜ?
…お、俺なんか、お菓子をいろいろな奴に食べられたからお菓子なんて残ってないって言うのに…
「……デメトリオ、遅かったじゃないの」
「…は、はぁ…」
メリィが無駄に早く先に行くからだろ!!って、俺は心の中でつぶやいたんだが、メリィはそんな事には気付いていないかのように、菓子パンを食べてたんだよ!!
頼むからその菓子パンを俺にくれな…い、いや…なんでもないぞ!?
なんでも無いんだからな!?
しばらくして、お菓子も食べ終わったらしく、俺たちはこの洞窟の中を進み始めたんだが…やけに、この洞窟人の手が入っているような気が…
だって、洞窟の壁はツルツルだし、天井にはランプが一定感覚ずつぶら下げられているし…床は床で、磨かれたかのようにツルツルだ!!
し、しかも…天然の大理石が使われているだと…?
なんて思っていた時だった…
目の前から、凄く特徴的な服装をしたラミアが歩いてきたんだよ!!
いや…正確には這ってきたんだよ!!
「……ん?おや、旅の人とは珍しいわね…アヴァル洞窟城下町へようこそ!」
「…え?ここは町か何かなの?」
リーネが思わずそんな事を聞いたが、それは俺も思ったぜ…だって、いきなり町とか言われても、そう思えないんだよ!!
だって…洞窟だからさ…ここ…
俺がそう思っていた時、そのラミアの女性は俺の方を見たあと去っていったんだよ!!
い、言うだけ言ってすぐにその場から去るってのも、ある意味どうかと思うぜ?俺はだけど…
更に少し歩いていると、だんだん声が聞こえてきたんだ!!
しかも、結構にぎやかそうな声だが…この先に何かあるのか?
なんて思っていた矢先にこの頑丈そうな扉と、武装したメデューサの女性のセットだ…絶対この先には何かあるだろ…これはさ…
で、俺達が近づくと、そのメデューサの女性が身構えて…って事は無かった。
あれ?なんで警戒しないんだ?普通、旅行者が来たら警戒すると思うんだが…
なんて思ったりもした訳だが…まぁ、普通に入れるならそれでいいのかも知れないな…
でも、メリィは俺とは違い、この先になにがあるのかを知った状態で進みたいようで、そのメデューサの女性に話し始めたんだよ!!
「…ちょっといい?この先には、なにがあるの?結構騒がしいけど…」
「あぁ…旅のお方ですか!えっと、この先は一番街となっております!!ただいま、一番街ではお祭りが行われているんですよ!」
……祭り?へぇ…祭りねぇ…
俺は祭りといわれて即座にジパングの最後の方であった、祭りのことをおもい出していたぜ…そういえば…仮面つけて叫んでたりもしてたっけ?
いやぁ…その時は内心、ジパングから先に行くことがあるのか本気で悩んでいたけど、今となって考えれば、あの時が一番時間の流れがゆっくりだった気がするぜ…
で、話が終わると俺たちは通行税として銅貨を2枚納め、一番街に入ったのだった…ってな?
だが、この時にはまだ何が起こるのか…それを誰も考えてもいなかったのだった…って、意味ありげなことをつぶやいてっと…
え?心で言ってみたかっただけだって!!気にするな!
なんと中では、物凄い数の魔物娘達が、広場に集まって何かをしていたんだよ!い、一体…何をしているんだ?
……やっぱ、気になるよな?な?
って事で、メリィたちの目を盗んで俺はこっそりその人ごみの中に向かって行ったんだ!!
さぁて…どんなことが起こるんだ?
「みんな〜〜!!今回はアタイたちのライブに来てくれてありがとう!!アタイたちは明日もいるから、今日は楽しんで行ってねーー!!」
「きゃーーー!!」
す、凄い歓声だ…い、いったいあのステージの上にいる三人の女性は何者なんだ!?右からラミア、エキドナ、メデューサって事はわかるが…
……!?な、なんだあの光っている棒は!?
俺は、余りにいろいろなことがありすぎて、若干だが混乱を隠せなかったぜ…
だって…俺は観客の方々が持っている光る棒に驚いていた位だからな…
だが、俺が驚くのはまだまだこんなものではない!!気がする…
変な感情を抱きながらも、じっと立っていると、いきなりその三人がマイクを持って歌う準備に入ったんだよ!!
し、しかも…それと同時に観客が一斉にタオルを頭に巻き始めるという謎の行為が行われたんだよ!!
な、なんだ…この変な統一感は…これ、俺が一人浮いているみたいじゃないか!
くそぉ…俺もみんなが頭に巻いてる【スニェイカーズ】とかかれたタオルをどこかで手に入れてくるか!?
……柄、かっこいいから買ってもいいって思ってるし…ね?
だが、結局買いに行くこともせず…俺はステージ上の彼女達が歌い終わるまで、そこにのんきに突っ立っていたってわけだぜ…うん…
……個人的には、3曲目の【蛇っ娘トリニティ(濃い口醤油)】って曲がよかったと思うぜ?
なんて思いつつ、人ごみがだんだん離れていっていたので、終わったのだと判断して俺もその場から去ろうとした…んだけど…
「ふぅ…あっ!!そこの男の人ーー!!ちょっと待ってーー!!」
……?俺か?まさかな…多分、別の人だろうし…
などと判断し、更に戻っていこうとすると、なんとさっきまでステージの上で歌っていた女性達の一人、ラミアの女性が俺を捕まえてきたんだよ!!
な、何なんだ一体!?俺は人ごみの中に紛れ込んでおり、更に目立った行動もとっていないのに…
なんて思っていると、そのラミアの女性がいきなり俺を向き直らせてこういったんだよ!!
「……デメトリオさんですよね?」
…!?な、なぜ俺の名前を…?怪しい…怪しすぎるぞ…
俺はこの人と会うのは初対面…のはずだが…?
俺は一応逃げる構えを取りながら話を聞くことにしたのだった…
だって、危ない話だったら逃げればいいだろ?だからさ…
「…えっと…誰ですか?」
「覚えていないんですか?ずっと前に前夫と一緒に泊まりに行ったじゃないですか…あの時、デメトリオさんが嫉妬心に駆られて凄い不機嫌そうな対応をしてきたのは今でも覚えていますよ?」
……そ、そうかぁ?俺には覚えが…待てよ!?
そういえば、今から1年くらい前に…風邪をひき、体の体調が回復したばかりで機嫌が悪い時が一回だけあったなぁ…
ま、まさか…その時に来たお客さんのうちの誰かか?
俺はそう思い、自分の今まで宿泊してくれたお客さんの名前が書かれてある手帳を取り出して確認し始めた…
あぁっ!?こ、この人か?確かに、思い当たる日にこの人は夫婦で来たな…
いや…確実にこの人だって思わないんだけどさ?でも…可能性は一番高いから、一応心で思ったことを言っただけだぜ?
まぁ…OK…誰かはわかったぜ!!
で、なんで彼女がここに?まさか…ここ出身だったのか!?
なんて、内心では結構いろいろなことを考えていたりいなかったり…
「…デメトリオさん、前に少し渡したいものがあったんですけど、渡し忘れてたんで…他の二人が来る前に渡したいので、待機室まで来ていただけませんか?」
……た、待機室ってどこだよ!?
…ま、まぁ…物をもらったらすぐに帰るし、いってもいいんだけど…場所が分からなければ待機室って場所に行くことなんて無理だろ!?
「…ど、どこに待機室があるんだ?」
「ついて来てください!!招待します!!」
こうして、俺は待機室と呼ばれる場所へ連れて行かれたのだった…
……あれ?あれ、セムちゃんじゃないか…こっちをストーキングしているようだけど…まぁ、いいかな…
別に、見られて困ることなんて無いしな!!
…で、俺はある建物の一室に連れて行かれたわけだが…
おいおい…古い建物だな…ここ…
そう思いながら、俺はジャルジィさんに連れて来られたのだが…無駄に…壁も厚くないか!?これ、大声出しても多分…外には聞こえないな…
別に、どうでもいいことだけどな?身の危険が訪れる雰囲気はしないし…
などと思っていると、不意に彼女は俺に話しかけてきたんだよ!!
「…あ、お茶飲みますか?」
「いえ…別に…で、渡すものって何ですか?」
俺は丁重にお茶をお断りすると、その部屋の壁際にあった椅子に近づいていった…なぜかって?そりゃあ、立って話するのって疲れるじゃないか!!
で、俺は椅子に座って、ジャルジィさんが渡したいものとやらを持ってくるまで待っておくことにしたんだ。
…でも、彼女はこの部屋から出て行く様子が見えないんだが…
そして、俺が何を持ってくるのかを聞こうとしたときだった…
いきなり、ジャルジィさんは入口の鍵を閉めたんだよ!!
し、しかも…5重ロックだぜ!?一体なぜだ?
はっ!?そうか…分かったぞ…
多分、誰にも知られたくないから、こっそり渡そうとしているんだな!?
……でも、オーラがなんだか暗いんだよな…何でだ?
なんて思っていた時だった…
「……ようやく捕まえたわ…デメトリオさん…」
…!?な、何だよこの嫌な雰囲気は…!?
そう思うと同時に、ジャルジィさんが俺の方に近づいてきたんだよ!!
……こ、これ…危険なパターンじゃないかよ!!
まさか…俺がこんな罠に引っかかろうとは…
俺はここから逃げるべきだと即座に判断し、ジャルジィさんの横を通って逃げようとしたのだが…
な、なんだよこの鍵!?電子ロックじゃないかよ!!
そして…皆さんが思っている通り俺は捕まったのだった…
「な、何するんですか!?」
「…デメトリオさん…あんたのおかげで…私は!!」
……な、何だよ!?この恨みを物凄く抱いていそうなオーラは!?
ぜ、全然身に覚えが無いんですけど!?
なんて思っていると、尻尾で拘束されてしまったんだよ!!
「…なんでこんなことを!?俺が何したって言うんですか!?」
「あんたのおかげで私の夫は……盗られたのよ!!」
「えぇーー!?い、意味が分かりませんよ!!」
……まさに、八つ当たりもいいところだぜ!?
えっと、つまり夫を盗られた事を俺のせいだと言いたいのか!?
……お、俺は無実だっての!!大体…俺はその当時もあんた達ご夫妻に嫉妬していたんだ…分かるか!?
それなのに…どうして俺に八つ当たりするんだよぉーー!!
だが、俺の心の叫びがジャルジィさんに通じることはなく、俺はジャルジィさんに巻き付かれてしまったんだよ!!
ら、ラミアの女性に巻き付かれたら人生がもはや決まってしまったって考えろって…そういえば口コミで聞いたことがあるんだが…
嫌だー!!こ、こんなところで終わりたくない!!
ま、まだ…まだ俺にはやりのこしたことがあるんだ!!
……いや…待てよ?やりのこしたことなんて無いぞ…?
で、でも…きっと、やりのこしたことが後々出てくるはずなんだよ!!うん!
「デメトリオさんのせいで…今じゃあ前夫もどこにいるか分からないし…」
「だ、だから!!俺はその件では無関係ですって!!」
「黙りなさい!!私が夫がいなくなったことにより、夜自分をどんな気持ちで慰めているのか…それが分からないからそんな事を言えるのよ!!」
「いや…知らんよそんな事!!」
それ言ってしまったら、俺がどんな気持ちであなた達の夜の営みを聞いていたか…それが分かるのかよ!!って…聞くぞ!?
…まぁ、そんな勇気無いから聞かないけどさぁ…
「だから…これはデメトリオさんに対する復讐なのよ…まさか、ここでアイドル業をやっている時に偶然デメトリオさんと出会えるなんて思ってなかったけど…ふっふっふ…」
そう言いながら、怪しい笑みを浮かべるジャルジィ…なんだ?あの笑みは…?
「…それに、デメトリオさん…あなたも男なのよ?私、今だったら相手は誰でもいいし…アイドル業を辞めなきゃいけないのは心残りだけどね?」
そう言いながら、若干だが目を細めるジャルジィ…そ、そう思うなら、やらなければいいじゃないですか!!
俺はそう思いながら若干もがいていたんだ。
「落ち着けって!!俺なんかの為にアイドル人生を捨てるのはもったいないぞ!?ここは、穏便に俺を解放して…そんな恨みも忘れてのんびりと人生を楽しむべきですって!!」
おっ?俺、いい事言ったなぁ……
しかも…結構悩んでいるようだし…これは、もしかしたらもしかするかも…
そう思っていた時だった…
いきなりジャルジィさんが俺の体を締め付けてきたんだよ!!
まるで…一気に絞め殺す!!って雰囲気の絞めだな…
まぁ、雰囲気だけだけどな?
「私、少し考えたんだけど…ここで私があなたと体の関係を結ぶと、あなたもいろいろと不味いわけよねぇ…?だったら、一緒に人生を捨てるのも…ありって思ったのよ!!」
そう言いながら、更に強い締め付けで俺の体を締め付ける…
ぐっ…は、肺から空気が…空気がすえねぇ…けふっ…
…も、もう終わりか…俺の人生……
俺がそう思った時だった…なんと、いきなり天井からガタって音がして、そこからセムちゃんが降りてきたんだよ!!
ま、まさかの…ここでセムちゃん登場か!?
なんだろうな…この、心に芽生えてきた希望の光は…!!
た、助かったぜ!!
「だ、誰なの!?一体…?」
「デメさん!!大丈夫ですか!?」
「セムちゃん!!おかげで助かったよ!!」
なんて思っていると、次の瞬間…電子ロックがいきなり解除されたんだよ!!
こ、これは…一体?
俺がのんきにもそんな事を考えると、さっきのステージ上にいた二人の女性…エキドナとメデューサの女性が中に入ってきたんだ!!
「いやぁ〜…疲れたわね〜…」
「姫様…これが終わりましたらちゃんと城に戻っていただきますよ?」
「分かってるって!!もう…サーラは硬すぎるんだよー…」
「で、ですが姫様…あなた様は現女王の一人娘…本来なら、勝手に出歩くのも問題なのですよ?」
「だーかーらー…バンド活動中はコリンって呼んでって…言ってるでしょ?それに…サーラだってバンド中は内心、楽しいんでしょ?」
「そ、そんな事は…」
「嘘…頭の蛇は正直だよ〜?ホント…可愛い…」
………えっと、この変な空気の中、巻き疲れている俺はどんな反応をすればいいんだろうな?
そう思っている間にも、俺のボディは若干強めの締め付けを味わっているって事は…確かなことだぜ…
だが、どうやらこの二人も俺とセムちゃんの存在に気がついたようなんだよ!
で、サーラって呼ばれたメデューサの女性がすかさずジャルジィさんに聞いたんだ…
「ジャルジィ…?この男性と女の子は一体…?」
「……あっ…えーと、デメトリオさんは私の復讐の対象でこの子はよく分からないというか…そのぉ…」
「…はっきりと説明していただけます?」
スチャ…
す、すまない…サーラさんがめがねをかっこよく整えなおしたからつい効果音をつけたくなって…き、気にしないで下さい…
いやぁ…最近、自分自身調子に乗ってる気がするなぁ…
でも…一つ、分かったことがあるぜ!!
ジャルジィさん…サーラさんのことが少し怖いみたいだな…
そりゃあ…なんか、雰囲気的にも硬い雰囲気を出しているし…分からなくも無いんだけどさ?
で、ジャルジィさんがサーラさんに事情を説明しようとした瞬間に、セムちゃんがすばやく俺の拘束を解いてくれたんだよ!!
多分…ジャルジィさんがサーラさんに気を取られたってのも少なからずはあると思うけどさ…?
でも…まぁ、無事に逃げる準備が整ったんだから…俺は容赦なく逃げさせてもらいますよ!!
神様…助けてくれてありがとーー!!
だが、逃げようとした俺に壁が立ちふさがってきたんだ…
あの、コリンって名前のエキドナの女性がな?
だが…なんていうか…俺のことなんて眼中になさそうな雰囲気が…
こ、これ…いけるんじゃないか?
俺は一か八か、コリンの横を通ってこの部屋から脱出しようとしたんだ!!
結果は…出来たんだよ!!
こ、これは…今日って俺、かなり運がいいじゃないかよ!!
今なら…宝くじを買って5等の2銅貨くらいなら当てれる気がする…
と、とにかく…逃げるぜ!!ひゃっほーい!!
で、俺が逃げようとした時だった…俺はあることに気がついたんだよ!!
せ、セムちゃんがまだこっちに来ていないじゃないかよ!!
俺は慌てて部屋の中に目を通してみる…すると、セムちゃんが三人に捕まっているのが見えたんだよ!!
「きゃっ!?」
「ふっふっふ…デメトリオさん?こっちに戻ってこないとこの子がどうなるか…分かりませんよ?」
「…可愛いわねその子…うふふ…城に持って帰ってもいいかな?サーラ?」
「……ひ、姫様の趣味に私は意見するつもりはございませんので…」
「決まり〜!!あんなダメな男よりも私はこっちの方が重要だし…君、別に逃げてもいいよ〜?」
……お、俺は…俺は…ここでセムちゃんを助けたほうがいいのか!?
セムちゃんはグロリア家の四女だし…きっと内心では怖いって思っているんだろうし…
で、でも…俺が助けに行って俺が捕まってしまうの…嫌だし…
まさに俺は究極の選択を強いられていた…
セムちゃんは物凄く助けてほしそうな表情で俺の方を見ている…
だから、助けたいんだけど…でも、俺は素朴に助けに行くことが怖いんだ!
…そ、その後の人生がかかっているんだぞ!?簡単に結論なんて…出せるものかよ!!
そう思いながら立ち止まっていると、なんとジャルジィさんが俺の方に向かって這って来たんだよ!!
「デメトリオさん…諦めたらどうですか?諦めて、私の玩具としてその後の人生を過ごすってのも…ありだと思いますよ〜?」
「ひ、ひぃぃっ!!」
俺はジャルジィさんが近づいてくるのに対し、恐ろしくなって…その場から逃げてしまったんだ…
ただ、怖かったんだよ!!
で、メリィたちのところに戻って、俺はセムちゃんがいないんだけどって言われた時…凄く答えにくそうに事情をみんなに説明したんだ…
「……お、俺…捕まってさ…で、セムちゃんが助けに来てくれて…」
「…まさか、デメトリオ一人で帰ってきたの!?セムちゃんを残して!?」
「だ、だって……こ、怖かったし…」
「見損なったわ…そこは、自分の人生を捨ててでもセムちゃんを助けるのが当たり前でしょ!?あなた…それでも男なの!?えぇ!?」
メリィはそんな風に俺を怒ったし、他のモンスターラグーンのみんなも頷きながら俺の方を見ている…
お、俺だって…少しは助けようと思ったよ…でも、でもな?
誰でもそのタイミングで勇気を出して危険に飛び込めるのか!?
そんな風に…出来ない人もいると思うんだ…
なんて言い訳をしながら、今になって、セムちゃんを助けなかったことを心から後悔したんだ…
俺が後悔していると、メリィが俺の表情から俺が反省していると読み取ったらしく、大きくため息をついてこういってきた…
「仕方が無いわ…セムちゃんを取り戻すわよ!デメトリオ!!」
「は、はいぃ!!」
「…あなた、捕まっていたって場所に私達を案内しなさい…今すぐにね?」
で、俺たちはさっきまで連れて行かれてた場所に行ったのだった…
12/06/18 19:01更新 / デメトリオン
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