50砂漠にあった巨大な樹
さて…自分の部屋に戻ってきたわけなんだが…
本音を言えば、メリィの怒りが少々収まるまでは次の目的地を把握して置きたくないんだよなぁ…
え?なぜかって…?そりゃあ、早めに次の目的地を把握しておくのはいいことだけどさ…わかってしまったらすぐにメリィに目的地を告げて出発しないといけないし…
なんだか、あのメリィの怒りは俺の方にも飛び火する…そんな気がするんだよな?
さて…俺は目的地を把握しておきたくないわけだから…しばらく時間をつぶす手段が必要になってくるんだが…
そう思って自分の部屋を見回してみるが、我ながら惚れ惚れするほど俺の部屋に、暇をつぶせそうなものが無かったんだよ!!
ま、まぁ…生活に最低限必要なものしかおいていないから…当然といえば当然なんだけどな?
で、俺は散々悩んだ結果、一人でしりとりをして暇をつぶしていたわけだ…
え?そんな事をして面白いのかって?ふっ…一人でやってみればわかるんじゃないかな?
結構…つらいって事がさ…
そして、俺が一人しりとりをしていて20分が経過し、メリィのルタを怒る声が聞こえてこなくなった時、俺はようやく次の目的地を探し始めたんだ。
えっと…地図によれば、この『ナスバ』って地域が次の目的地なんだが…
この『ナスバ』を通過すれば、砂漠越えはもうすぐじゃないか!!
よぉーーっし!!テンション上がってきたぁーー!
いや…本音を言えば、砂漠というこの猛暑地帯…テンションを上げて行動しないと…やってられないんだぜ!!
そして、俺はメリィに次の目的地のことを報告すると、俺たちは第二テント地域を後にして、ナスバに向かうことになったのだった…
ここでも水を大量に獲得したし…俺にぬかりはないぜ!!
「デメさん、野菜をそんなに食べていないようですけど、大丈夫ですか?」
そういいながら、セムちゃんが俺に野菜を渡してくる…本当に…セムちゃんはいい子だなぁ…
こんな子だったら、結婚した旦那さんは幸せだろうって本気で思えるから面白いものだよ?
多分俺はそのとき、その相手に嫉妬するんだろうけどなぁ!!
そして、砂漠を移動し始めてちょうど今が昼…水を大量に獲得したから抜かりは無いって言っていた俺に文句を言いたい気分だぜ今…
昼なのに食糧がパンや干し肉など水分を吸い取る物しか残ってないんだよ!
こんなことなら…セムちゃんがくれたほうれんそう…もらったときに食べるんじゃなかったぜ…
などと内心思いながら歩いていたんだが…それでも、今回の砂漠越えは楽になりそうだから良かったぜ…
地図の通りにすすめば、危険は一切ないし…今日は心配する要素がないってのがいいところさ!!
そう思っていたときだった!!いきなり足場の砂が沈んでいって、ありじごくの巣のようになってしまったんだよ!!
こ、これって、流砂って奴じゃないのか!?一度中に入り込んでしまうと、絶対に抜けることの出来ない空間だと聞くが…
というか…こんな危険な場所があるなら地図に書いておいてくれよレノンさん!
……まさか、わざと書いていないって事は無いだろうしな?
それにしても…また今回もこんな目に会わされるなんて思ってもいなかったんだよな…
え?なんか若干わかってたって?ははっ!!それは嘘だろ?
だって…読者のみんなだって人間なんだから、未来がわかるわけがないじゃないか!!そうだろ?
なんて落ち着いて物事について語っている場合じゃない!!俺は今、流砂に巻き込まれているんだぞ!?
絶対に抜けることの出来ない空間って聞いたけど、そんな事は無いはずだ…なんとか、メリィたちが俺が流砂に落ちたって気付くまで…生き延びてやるぜ!
そう思うや否や、俺は出口めがけて必死に走り始めたのだった…
だが…いくら走っても進む事が出来ないんだ!!
この砂はさらさらしたタイプで、俺の力を変に吸収しているのか、本気で無意味だったんだ…
こ、このままでは…本気でやばい気がする!!
俺は遂に、必死になって叫び始めたんだ!!
この方法は結構体力を使うから危険なんだが、今は何もせずに足掻くほうが危険だと…俺はそう思うんだぜ!!
「誰かーー!!俺、流砂に落ちちゃったよーー!!助けてーー!!」
「……何か、デメトリオの声が聞こえた気がしない?スカニ…?」
「んあ?気のせいだろ…暑さで幻聴を聞いたんだって…」
ち、違うって!幻聴じゃないぞ!!これは俺の叫びなんだ!!
頼む…俺を無視して先にすすまないでくれよ!!せめて…せめてお慈悲を!!
神様ーー!!助けてくだせぇーー!!
『すまぬなデメトリオ…貴様の神を信じぬ心は既に我の元に通じておった…よって、貴様にはここで死んでもらおう!!第二の人生では、我のことを信じているがいい!』
なんて声が聞こえてきたんだが…やばい…俺にも遂に幻聴が聞こえてきたのか…
もう…絶対に神様なんて信じないんだからなぁーー!!
そう心で強く叫び、最後まで必死で走った後、俺は…抵抗するのをあきらめたのだった…
もう…あきらめても…いいよな?
そう思って、思わず目をつぶったとき、俺は背中を思いっきり何かに掴まれて次の瞬間、砂漠の砂の部分に投げ捨てられたのだった…
な、なにが起こったのか…目をつぶっていた俺にはわからなかったんだが…?
わかることは、俺を誰かが助けてくれたという事実…だが、一体誰が?
「……デメトリオ、あなたはもう少し回りに気を配るべきだわ…私が助けてあげたから良かったものを…」
なんと、俺を助けてくれたのはメリィだったんだ!!
本音、もう終わったと本気で思っていたから、感動がこみ上げてくるぜ…
まさか…メリィが助けてくれるなんて思ってもいなかったし…ね?
「め、メリィ…ありがとう!!本気で助かったよ!!」
「…別に…(デメトリオが死んだら、サリィが困るじゃないのよ!!サリィには幸せになってもらわないと困るんだから、あんたは死んだらダメなの!!全く…相変わらずノロマなんだからもう…)」
……別にといいながらも冷ややかな目で俺を見ているメリィ…
俺は内心、俺の悪口を言っているんじゃないのかって本気で思ってしまったぜ…?
そして、俺はレノンさんからもらった地図に流砂の場所を書き込むと、更に先へとすすんでいったわけだな?
そして、ナスバに到着したとき…夕方まで歩いていた俺たちは結構疲労もたまっていたこともあり、無言で宿屋を展開したんだ。
ここがナスバ…中々過ごしやすそうな場所だな…
砂漠地帯からこっちに向かっているときは暑さや疲れで気付かなかったが、ここには砂漠には珍しく大きな木が植えていたんだよ!!
おかげで、今まで行った第一テント地域やステンバイなどよりは緑が豊かだったわけだ…つまり、ここには水が豊富にあるって事だよな?
夕方…日がのんびりと沈みながらも、俺は宿屋に入る前に何か演奏が聞こえたので、ちょっと、聞きにいってみることにしたのさ!!
他のみんなは…ついてこないらしいぜ?薄情だよなぁ…
えっと…音楽はこっちの方から聞こえてくるんだが…
そう思いながら、俺は音楽が聞こえてくるほうにフラフラと行っていたわけだな?
音楽が聞こえてくる場所は、ちょうどこのナスバと呼ばれる場所の真ん中にある樹の根元だったんだが…落ち着きのあるいい音色だなぁ…
この音源は…リュートとハーモニカ辺りか?中々…上手だと思うよ?
まぁ…音楽については全く知識のない俺が言っても説得力は無いんだろうけどな?
近くに行ってみると、大勢の人だかりが出来ていて真ん中でエルフの女性とグールの女性が演奏しているのが見えたんだ…
さ、さすが…ここまで来ると演奏の凄さがわかるぜ…これが、人気って奴なのか?
そうしてのんびりと演奏が終わるまで曲を聴いていた俺は、曲が終わった後もただ、のんびりとしていたのだった…
え?早く宿屋に戻れって?たまには…のんびりしてもいいじゃないか?
焦っても、いいことないですよ?
……よしっ!!良い事言った!!
そして俺が、見ている人が思わず怒ってしまいそうなくらいのスローペースで立ち上がると、辺りには既に誰もいなかったわけだな?
……そして、不意になってしまう俺のおなか…腹減ったなぁ…
そう思った俺は、折角だし砂漠のものでも食べようとお店を探すことにしたんだ!
ふっふっふ……砂漠には、砂漠でしか作成できないサンドチーズとやらがあるらしいからな!?絶対…買いだぜ!!
そうして少しお店を探してみると、なんと…ちょうどいいところにあるじゃないか!!
少々つくりがアンティークだが、雰囲気もかなりいい、こじんまりとしたお店がそこにあって、ちゃんと看板に『ネ&ベッキーの店』って書いてあるし…
あ、どうでもいいことだけど、勘違いしたらいけないから一つ言っておくことがあったんだ…
このナスバって場所にはそんなに…と言うか全くテントが無いようだぜ?
以上…そこまで必要じゃない無駄な知識でしたぁーー!!っと…
さぁて…サンドチーズはあるかな…?
そう思いながらお店の中に入っていく俺…後ろ姿がやけにシュールだとか…言わないでくれよ?
内装はいいな…こんなモダンな雰囲気の内装だったら落ち着くぜ…
そう思いながら俺は店内を探していたのだった…が…
店においてあるものがなんていうか、雰囲気と若干あっていない気がするんだよなぁ…
そう思いながら俺は、石版を見ていたわけだが…食料品や雑貨だけじゃないんだな…なんていうか、歴史を感じるものが多く置いてあるんだよなぁ…
これは…マニアだったら高額で買い取るんだろうなぁ…俺はマニアじゃないし、昔の石版や壁画などに興味も無いけど…
そしてしばらくしたときだった…
「いらっしゃい!何をお求めですか?」
「あれ…?あなたってさっき、あの大きな樹の下でリュートを吹いていませんでしたか?」
そう…さっき俺がのんびり聞いていた音楽を奏でていた人だったんだよ!!
見た目は…エルフの女性だよなぁ…少し、冗談が通じない…いわゆる真面目人間…いや、真面目エルフか?
って、そんな事はどうでもいいんだ!!
今…大切なのは彼女が俺の思っていた通り、大きな樹の下でリュートを吹いていたかどうか何だよ!!
「あぁ…さっきの演奏を聞いていたんですか?あまり上手くないので恥ずかしいんですが…」
う、上手くないだと!?その台詞…本当に上手くない奴からしたら嫉妬の現況にしかならない台詞…謙遜って奴じゃないのか!?
こ、こんな高等テクニックをよくもまぁ…一瞬だが俺は表情が固まったね…
だが、話してみると、さっきの嫉妬発言はどうやら気がつかずに言った物のようだな…
いや、あの発言が狙って言った物だったらそれはそれで問題だけどさ…
はっきりと言おう…いい人でした!!
「私はこの宿屋件雑貨屋を営んでいるネ=カシオペア=ホーツホーツっていいます…長いので、ネカホとでも呼んでいただければ…」
「あ、これはどうも…俺はデメトリオ=スタンダートっていいます…宿屋もやっているんですか?奇遇ですね…俺もなんですよ」
……本音を言えば、宿屋は絶対にありえないと思っていたんだけどな?
だって…アンティーク品が置いてあるんだぜ!?可能性はグッと下がるだろうよぉーー!!
だが、俺の名前を聞いたとたん、ネカホさんは少し顔をしかめて何かを考え始めたんだよ!!
「……もしかして、ハイネの宿のフェルトリオ=スタンダートさんの息子さんですか?」
「あれ?親父を知っているんですか?」
「……10年くらい前に一度、新聞に載りましたからね…まぁ、今はうわさは聞かないんですけど……なにぶん、ここは砂漠ですから…貿易交流はそこまで多いほうじゃないんですよ」
……10年前って、親父がハイネの宿を母さんと結婚して継いだときじゃないか?
あ、どうでもいいことだが…親父はバツ1だったり…
前の母さん…つまり、俺の本当の母さんなんだが…に扱き使われるのがつらかったってぼやいていたな…
でも、ここまで有名だったんだな親父…今じゃ風の噂すら聞かないって言うのに…
「…で、今日は何をお求めに?」
おっとそうだった…俺は買い物に来たんだよな…すっかり忘れていたぜ…
「サンドチーズってありますか?ちょっと食べてみたくて…」
「え?サンドチーズですか?ありますけど…塩辛いですよ?」
「サンドチーズを下さい!!食べてみたいんですよ!!」
俺が必死で頼み込むと、ネカホさんは一応売ってくれる気になったみたいだぜ…個人的には、本当にあるのかどうかの方が心配だったんだが…
そしてネカホさんがサンドチーズを探し始めて数分…まさか、本当にないんじゃないのかって思い始めてきたぜ俺は…
「あれぇ…ここに置いたはずなんだけど…グラスーー!!ちょっといいかしら?」
ネカホさんが二階に向かって声を上げると、二階からめんどくさそうな声が聞こえてきたんだ…もう一人いたんだな…
で、しばらく待っていると二階からさっきまで寝てましたって格好でグールの女性が降りてきたんだ……って、あの格好…あの音楽を奏でていた二人組みはここで店をやっていたんだな…
「なんだよーー?折角気持ちよく寝てたのにーー!!」
「サンドチーズが見つからないんだけど、知らない?」
「あれ?昨日の晩飯にチーズフォンデュをしたのはネカホじゃ無かったか?」
……なるほど、食べているってわけか…
そして間を空けずに悟ったかのようなこの表情!!か、完璧だ…
…まぁ、無いんだったら別に買わなくてもなんとも思わないけどなぁ…
別の食料を食べれば俺は満足できるし…
などと俺は内心思っていたんだが、ネカホさんはどうやら違ったようなんだ…
今現在、どうにかして手に入れようと悩んでいるところだぜ?
本音、こうやって悩まないでいてくれたほうが…気が楽なんだけど…
そうしてしばらくすると、ネカホさんが何かに気がついたかのように顔を上げたんだよ!!な、何かいいアイデアが…?
「ねぇグラス…ニギラさんだったら、もっているんじゃない?」
「…もっているだろうけど、あの人苦手で…」
……グラスさんは本気で行きたくなさそうだな…
ふっ…逃げる姿勢を取っているのなら、逃げさせてやらないとなぁ!!
って事で、俺はサンドチーズをあきらめる…または俺がそのニギラさんって人のところにサンドチーズを受け取りに行くと心の中で決意したんだ!!
「…あの、別にサンドチーズじゃなくてもいいんですよ?なんだったら、ここでお金を渡すので、証拠となる書類でも書いていただければ俺がニギラさんって人のところに行きますし…」
俺がこういった後、ネカホさんはしばらく無言で考えていたんだが、しばらく考えていた後にそっと俺に紙を渡してきたんだ。
「では…お手数かけますが、ニギラさんの所にもらいに行って下さい…これ、書類なので落とさないように…では、銀貨2枚になります」
……け、結構値段が…財布に入っている金額より若干少なかったから良かったけど…
そう思いながら名残惜しく銀貨二枚を手放す俺…絶対…これからはお金を無駄遣いしないようにしよう…
そして俺が『ネ&ベッキーの店』から離れて、ネカホさんから教えてもらった…ってか、大きな木の近くにある家にすんでいるって言ってたから一つしかないんだが!!
とにかく、ニギラさんって人のところに行っているところさ!!
……それにしても、ニギラさんって何者なんだろう…?グールの女性が苦手にするほどの猛者だと…そういう事か?
いやぁ…実際に会っていないから妄想は膨らむばかりだぜ…
そして…遂に俺はニギラさんがいると思われる場所に来たぜ!!来ちゃったぜ!
今…全身の震えが止まらないんだが、まだ見ない人物におびえているわけじゃないからな!?
こ、この震えは……え、えっと…俺に向かってピンポイントで小規模の地震が発生しているために俺が揺れているだけだからな!?
……見苦しい言い訳をして、すまなかったな
「あの〜…ニギラって人いますか?」
俺は呼び鈴を鳴らして叫んでみたが…変化はないぜ…
留守だったのか?だったら仕方が無いな…また後で…
そう思って俺が振り向こうとしたときに、その家の扉が開いて、そこにおじいさんが一人立っていたんだよ!!
こ…この人がニギラさんか?ただの爺さんじゃないか…
「……旅の方かの?まぁ、こんなところで立ち話も何じゃから中に入りなさい」
「あ、お邪魔します…」
こうして俺はニギラさんの家にお邪魔することになったんだ…
中は落ち着いた感じの内装で、老後の人生をエンジョイするには申し分ない空間って感じがしたぜ…
「で、今回は旅の方がこんな老いぼれになんのようかの?」
「そうだった…ネカホさんにチーズをここでもらってくれって…これはその書類です…見せればわかるって言われたので…」
「ふむ…ちょっと待っておいてくれよ?探してみるからの?」
そうしてニギラさんはサンドチーズを探し始めて、俺はその光景をのんびりと眺めていたんだ…
数分が経過し、ニギラさんがようやくサンドチーズを見つけた頃、俺は室内においてあったタペストリーを眺めていたわけですね?
いやぁ…結構珍しい絵でさ…これって、前魔物時代の頃の絵じゃないのか?
「旅の方…チーズあったぞ?ほれ…」
「あ…ありがとうございます…この絵って…?」
「あぁ…この絵は…いつのことじゃったか…わしの兄が人柱となってルーシャンティーに取り込まれている絵じゃな…」
…え!?こ、この絵って…そんな絵だったのか!?
し、知らなかったとはいえ…珍しいと思ってしまった事を反省しないといけないな…
本当に…申し訳ありませんでしたぁーーー!!
「わしの兄はガデオといっての?今から…かなり昔に民族間で決められている行事に選抜されてしまったのじゃ…当時は泣きながら嫌がっておったのじゃが…今では魔王交替ということもあり、それほど嫌ではないようじゃぞ?」
「は…はぁ…」
俺はそう言って話を返すことしか出来なかったわけだな…
で、一つ気になることがあったんだが、魔王交替って…このおじいさんは一体どれくらい前から生きているんだ!?
まぁ…人に年齢の話をするのはそこまでしてはいけないものだったから俺はこの件にはそんなに触れなかったんだけどな?
まぁ、人にはそれぞれ考えって物があったんだろうよ…昔は…
ま、俺は今を生きているわけだから関係ないんだが…
さて、そろそろ帰るとするかな…
「じゃあ俺はそろそろ…」
「ふむ…そうじゃ…明日は旅に出るつもりなら…やめておいたほうがいいぞ?ではな?」
……まぁ、一応覚えては置くんだけど…多分メリィに言っても通用しないんだろうなぁ…
なんて事を考えながら、すっかり暗くなった村の中を一人、自分の宿屋に向かって歩いて行っていたんだった…
明日…多分明日で砂漠は抜けられるのかなぁ…
そう思うと…少しだけど気が楽になっていくんだよな…不思議なものだぜ…
本音を言えば、メリィの怒りが少々収まるまでは次の目的地を把握して置きたくないんだよなぁ…
え?なぜかって…?そりゃあ、早めに次の目的地を把握しておくのはいいことだけどさ…わかってしまったらすぐにメリィに目的地を告げて出発しないといけないし…
なんだか、あのメリィの怒りは俺の方にも飛び火する…そんな気がするんだよな?
さて…俺は目的地を把握しておきたくないわけだから…しばらく時間をつぶす手段が必要になってくるんだが…
そう思って自分の部屋を見回してみるが、我ながら惚れ惚れするほど俺の部屋に、暇をつぶせそうなものが無かったんだよ!!
ま、まぁ…生活に最低限必要なものしかおいていないから…当然といえば当然なんだけどな?
で、俺は散々悩んだ結果、一人でしりとりをして暇をつぶしていたわけだ…
え?そんな事をして面白いのかって?ふっ…一人でやってみればわかるんじゃないかな?
結構…つらいって事がさ…
そして、俺が一人しりとりをしていて20分が経過し、メリィのルタを怒る声が聞こえてこなくなった時、俺はようやく次の目的地を探し始めたんだ。
えっと…地図によれば、この『ナスバ』って地域が次の目的地なんだが…
この『ナスバ』を通過すれば、砂漠越えはもうすぐじゃないか!!
よぉーーっし!!テンション上がってきたぁーー!
いや…本音を言えば、砂漠というこの猛暑地帯…テンションを上げて行動しないと…やってられないんだぜ!!
そして、俺はメリィに次の目的地のことを報告すると、俺たちは第二テント地域を後にして、ナスバに向かうことになったのだった…
ここでも水を大量に獲得したし…俺にぬかりはないぜ!!
「デメさん、野菜をそんなに食べていないようですけど、大丈夫ですか?」
そういいながら、セムちゃんが俺に野菜を渡してくる…本当に…セムちゃんはいい子だなぁ…
こんな子だったら、結婚した旦那さんは幸せだろうって本気で思えるから面白いものだよ?
多分俺はそのとき、その相手に嫉妬するんだろうけどなぁ!!
そして、砂漠を移動し始めてちょうど今が昼…水を大量に獲得したから抜かりは無いって言っていた俺に文句を言いたい気分だぜ今…
昼なのに食糧がパンや干し肉など水分を吸い取る物しか残ってないんだよ!
こんなことなら…セムちゃんがくれたほうれんそう…もらったときに食べるんじゃなかったぜ…
などと内心思いながら歩いていたんだが…それでも、今回の砂漠越えは楽になりそうだから良かったぜ…
地図の通りにすすめば、危険は一切ないし…今日は心配する要素がないってのがいいところさ!!
そう思っていたときだった!!いきなり足場の砂が沈んでいって、ありじごくの巣のようになってしまったんだよ!!
こ、これって、流砂って奴じゃないのか!?一度中に入り込んでしまうと、絶対に抜けることの出来ない空間だと聞くが…
というか…こんな危険な場所があるなら地図に書いておいてくれよレノンさん!
……まさか、わざと書いていないって事は無いだろうしな?
それにしても…また今回もこんな目に会わされるなんて思ってもいなかったんだよな…
え?なんか若干わかってたって?ははっ!!それは嘘だろ?
だって…読者のみんなだって人間なんだから、未来がわかるわけがないじゃないか!!そうだろ?
なんて落ち着いて物事について語っている場合じゃない!!俺は今、流砂に巻き込まれているんだぞ!?
絶対に抜けることの出来ない空間って聞いたけど、そんな事は無いはずだ…なんとか、メリィたちが俺が流砂に落ちたって気付くまで…生き延びてやるぜ!
そう思うや否や、俺は出口めがけて必死に走り始めたのだった…
だが…いくら走っても進む事が出来ないんだ!!
この砂はさらさらしたタイプで、俺の力を変に吸収しているのか、本気で無意味だったんだ…
こ、このままでは…本気でやばい気がする!!
俺は遂に、必死になって叫び始めたんだ!!
この方法は結構体力を使うから危険なんだが、今は何もせずに足掻くほうが危険だと…俺はそう思うんだぜ!!
「誰かーー!!俺、流砂に落ちちゃったよーー!!助けてーー!!」
「……何か、デメトリオの声が聞こえた気がしない?スカニ…?」
「んあ?気のせいだろ…暑さで幻聴を聞いたんだって…」
ち、違うって!幻聴じゃないぞ!!これは俺の叫びなんだ!!
頼む…俺を無視して先にすすまないでくれよ!!せめて…せめてお慈悲を!!
神様ーー!!助けてくだせぇーー!!
『すまぬなデメトリオ…貴様の神を信じぬ心は既に我の元に通じておった…よって、貴様にはここで死んでもらおう!!第二の人生では、我のことを信じているがいい!』
なんて声が聞こえてきたんだが…やばい…俺にも遂に幻聴が聞こえてきたのか…
もう…絶対に神様なんて信じないんだからなぁーー!!
そう心で強く叫び、最後まで必死で走った後、俺は…抵抗するのをあきらめたのだった…
もう…あきらめても…いいよな?
そう思って、思わず目をつぶったとき、俺は背中を思いっきり何かに掴まれて次の瞬間、砂漠の砂の部分に投げ捨てられたのだった…
な、なにが起こったのか…目をつぶっていた俺にはわからなかったんだが…?
わかることは、俺を誰かが助けてくれたという事実…だが、一体誰が?
「……デメトリオ、あなたはもう少し回りに気を配るべきだわ…私が助けてあげたから良かったものを…」
なんと、俺を助けてくれたのはメリィだったんだ!!
本音、もう終わったと本気で思っていたから、感動がこみ上げてくるぜ…
まさか…メリィが助けてくれるなんて思ってもいなかったし…ね?
「め、メリィ…ありがとう!!本気で助かったよ!!」
「…別に…(デメトリオが死んだら、サリィが困るじゃないのよ!!サリィには幸せになってもらわないと困るんだから、あんたは死んだらダメなの!!全く…相変わらずノロマなんだからもう…)」
……別にといいながらも冷ややかな目で俺を見ているメリィ…
俺は内心、俺の悪口を言っているんじゃないのかって本気で思ってしまったぜ…?
そして、俺はレノンさんからもらった地図に流砂の場所を書き込むと、更に先へとすすんでいったわけだな?
そして、ナスバに到着したとき…夕方まで歩いていた俺たちは結構疲労もたまっていたこともあり、無言で宿屋を展開したんだ。
ここがナスバ…中々過ごしやすそうな場所だな…
砂漠地帯からこっちに向かっているときは暑さや疲れで気付かなかったが、ここには砂漠には珍しく大きな木が植えていたんだよ!!
おかげで、今まで行った第一テント地域やステンバイなどよりは緑が豊かだったわけだ…つまり、ここには水が豊富にあるって事だよな?
夕方…日がのんびりと沈みながらも、俺は宿屋に入る前に何か演奏が聞こえたので、ちょっと、聞きにいってみることにしたのさ!!
他のみんなは…ついてこないらしいぜ?薄情だよなぁ…
えっと…音楽はこっちの方から聞こえてくるんだが…
そう思いながら、俺は音楽が聞こえてくるほうにフラフラと行っていたわけだな?
音楽が聞こえてくる場所は、ちょうどこのナスバと呼ばれる場所の真ん中にある樹の根元だったんだが…落ち着きのあるいい音色だなぁ…
この音源は…リュートとハーモニカ辺りか?中々…上手だと思うよ?
まぁ…音楽については全く知識のない俺が言っても説得力は無いんだろうけどな?
近くに行ってみると、大勢の人だかりが出来ていて真ん中でエルフの女性とグールの女性が演奏しているのが見えたんだ…
さ、さすが…ここまで来ると演奏の凄さがわかるぜ…これが、人気って奴なのか?
そうしてのんびりと演奏が終わるまで曲を聴いていた俺は、曲が終わった後もただ、のんびりとしていたのだった…
え?早く宿屋に戻れって?たまには…のんびりしてもいいじゃないか?
焦っても、いいことないですよ?
……よしっ!!良い事言った!!
そして俺が、見ている人が思わず怒ってしまいそうなくらいのスローペースで立ち上がると、辺りには既に誰もいなかったわけだな?
……そして、不意になってしまう俺のおなか…腹減ったなぁ…
そう思った俺は、折角だし砂漠のものでも食べようとお店を探すことにしたんだ!
ふっふっふ……砂漠には、砂漠でしか作成できないサンドチーズとやらがあるらしいからな!?絶対…買いだぜ!!
そうして少しお店を探してみると、なんと…ちょうどいいところにあるじゃないか!!
少々つくりがアンティークだが、雰囲気もかなりいい、こじんまりとしたお店がそこにあって、ちゃんと看板に『ネ&ベッキーの店』って書いてあるし…
あ、どうでもいいことだけど、勘違いしたらいけないから一つ言っておくことがあったんだ…
このナスバって場所にはそんなに…と言うか全くテントが無いようだぜ?
以上…そこまで必要じゃない無駄な知識でしたぁーー!!っと…
さぁて…サンドチーズはあるかな…?
そう思いながらお店の中に入っていく俺…後ろ姿がやけにシュールだとか…言わないでくれよ?
内装はいいな…こんなモダンな雰囲気の内装だったら落ち着くぜ…
そう思いながら俺は店内を探していたのだった…が…
店においてあるものがなんていうか、雰囲気と若干あっていない気がするんだよなぁ…
そう思いながら俺は、石版を見ていたわけだが…食料品や雑貨だけじゃないんだな…なんていうか、歴史を感じるものが多く置いてあるんだよなぁ…
これは…マニアだったら高額で買い取るんだろうなぁ…俺はマニアじゃないし、昔の石版や壁画などに興味も無いけど…
そしてしばらくしたときだった…
「いらっしゃい!何をお求めですか?」
「あれ…?あなたってさっき、あの大きな樹の下でリュートを吹いていませんでしたか?」
そう…さっき俺がのんびり聞いていた音楽を奏でていた人だったんだよ!!
見た目は…エルフの女性だよなぁ…少し、冗談が通じない…いわゆる真面目人間…いや、真面目エルフか?
って、そんな事はどうでもいいんだ!!
今…大切なのは彼女が俺の思っていた通り、大きな樹の下でリュートを吹いていたかどうか何だよ!!
「あぁ…さっきの演奏を聞いていたんですか?あまり上手くないので恥ずかしいんですが…」
う、上手くないだと!?その台詞…本当に上手くない奴からしたら嫉妬の現況にしかならない台詞…謙遜って奴じゃないのか!?
こ、こんな高等テクニックをよくもまぁ…一瞬だが俺は表情が固まったね…
だが、話してみると、さっきの嫉妬発言はどうやら気がつかずに言った物のようだな…
いや、あの発言が狙って言った物だったらそれはそれで問題だけどさ…
はっきりと言おう…いい人でした!!
「私はこの宿屋件雑貨屋を営んでいるネ=カシオペア=ホーツホーツっていいます…長いので、ネカホとでも呼んでいただければ…」
「あ、これはどうも…俺はデメトリオ=スタンダートっていいます…宿屋もやっているんですか?奇遇ですね…俺もなんですよ」
……本音を言えば、宿屋は絶対にありえないと思っていたんだけどな?
だって…アンティーク品が置いてあるんだぜ!?可能性はグッと下がるだろうよぉーー!!
だが、俺の名前を聞いたとたん、ネカホさんは少し顔をしかめて何かを考え始めたんだよ!!
「……もしかして、ハイネの宿のフェルトリオ=スタンダートさんの息子さんですか?」
「あれ?親父を知っているんですか?」
「……10年くらい前に一度、新聞に載りましたからね…まぁ、今はうわさは聞かないんですけど……なにぶん、ここは砂漠ですから…貿易交流はそこまで多いほうじゃないんですよ」
……10年前って、親父がハイネの宿を母さんと結婚して継いだときじゃないか?
あ、どうでもいいことだが…親父はバツ1だったり…
前の母さん…つまり、俺の本当の母さんなんだが…に扱き使われるのがつらかったってぼやいていたな…
でも、ここまで有名だったんだな親父…今じゃ風の噂すら聞かないって言うのに…
「…で、今日は何をお求めに?」
おっとそうだった…俺は買い物に来たんだよな…すっかり忘れていたぜ…
「サンドチーズってありますか?ちょっと食べてみたくて…」
「え?サンドチーズですか?ありますけど…塩辛いですよ?」
「サンドチーズを下さい!!食べてみたいんですよ!!」
俺が必死で頼み込むと、ネカホさんは一応売ってくれる気になったみたいだぜ…個人的には、本当にあるのかどうかの方が心配だったんだが…
そしてネカホさんがサンドチーズを探し始めて数分…まさか、本当にないんじゃないのかって思い始めてきたぜ俺は…
「あれぇ…ここに置いたはずなんだけど…グラスーー!!ちょっといいかしら?」
ネカホさんが二階に向かって声を上げると、二階からめんどくさそうな声が聞こえてきたんだ…もう一人いたんだな…
で、しばらく待っていると二階からさっきまで寝てましたって格好でグールの女性が降りてきたんだ……って、あの格好…あの音楽を奏でていた二人組みはここで店をやっていたんだな…
「なんだよーー?折角気持ちよく寝てたのにーー!!」
「サンドチーズが見つからないんだけど、知らない?」
「あれ?昨日の晩飯にチーズフォンデュをしたのはネカホじゃ無かったか?」
……なるほど、食べているってわけか…
そして間を空けずに悟ったかのようなこの表情!!か、完璧だ…
…まぁ、無いんだったら別に買わなくてもなんとも思わないけどなぁ…
別の食料を食べれば俺は満足できるし…
などと俺は内心思っていたんだが、ネカホさんはどうやら違ったようなんだ…
今現在、どうにかして手に入れようと悩んでいるところだぜ?
本音、こうやって悩まないでいてくれたほうが…気が楽なんだけど…
そうしてしばらくすると、ネカホさんが何かに気がついたかのように顔を上げたんだよ!!な、何かいいアイデアが…?
「ねぇグラス…ニギラさんだったら、もっているんじゃない?」
「…もっているだろうけど、あの人苦手で…」
……グラスさんは本気で行きたくなさそうだな…
ふっ…逃げる姿勢を取っているのなら、逃げさせてやらないとなぁ!!
って事で、俺はサンドチーズをあきらめる…または俺がそのニギラさんって人のところにサンドチーズを受け取りに行くと心の中で決意したんだ!!
「…あの、別にサンドチーズじゃなくてもいいんですよ?なんだったら、ここでお金を渡すので、証拠となる書類でも書いていただければ俺がニギラさんって人のところに行きますし…」
俺がこういった後、ネカホさんはしばらく無言で考えていたんだが、しばらく考えていた後にそっと俺に紙を渡してきたんだ。
「では…お手数かけますが、ニギラさんの所にもらいに行って下さい…これ、書類なので落とさないように…では、銀貨2枚になります」
……け、結構値段が…財布に入っている金額より若干少なかったから良かったけど…
そう思いながら名残惜しく銀貨二枚を手放す俺…絶対…これからはお金を無駄遣いしないようにしよう…
そして俺が『ネ&ベッキーの店』から離れて、ネカホさんから教えてもらった…ってか、大きな木の近くにある家にすんでいるって言ってたから一つしかないんだが!!
とにかく、ニギラさんって人のところに行っているところさ!!
……それにしても、ニギラさんって何者なんだろう…?グールの女性が苦手にするほどの猛者だと…そういう事か?
いやぁ…実際に会っていないから妄想は膨らむばかりだぜ…
そして…遂に俺はニギラさんがいると思われる場所に来たぜ!!来ちゃったぜ!
今…全身の震えが止まらないんだが、まだ見ない人物におびえているわけじゃないからな!?
こ、この震えは……え、えっと…俺に向かってピンポイントで小規模の地震が発生しているために俺が揺れているだけだからな!?
……見苦しい言い訳をして、すまなかったな
「あの〜…ニギラって人いますか?」
俺は呼び鈴を鳴らして叫んでみたが…変化はないぜ…
留守だったのか?だったら仕方が無いな…また後で…
そう思って俺が振り向こうとしたときに、その家の扉が開いて、そこにおじいさんが一人立っていたんだよ!!
こ…この人がニギラさんか?ただの爺さんじゃないか…
「……旅の方かの?まぁ、こんなところで立ち話も何じゃから中に入りなさい」
「あ、お邪魔します…」
こうして俺はニギラさんの家にお邪魔することになったんだ…
中は落ち着いた感じの内装で、老後の人生をエンジョイするには申し分ない空間って感じがしたぜ…
「で、今回は旅の方がこんな老いぼれになんのようかの?」
「そうだった…ネカホさんにチーズをここでもらってくれって…これはその書類です…見せればわかるって言われたので…」
「ふむ…ちょっと待っておいてくれよ?探してみるからの?」
そうしてニギラさんはサンドチーズを探し始めて、俺はその光景をのんびりと眺めていたんだ…
数分が経過し、ニギラさんがようやくサンドチーズを見つけた頃、俺は室内においてあったタペストリーを眺めていたわけですね?
いやぁ…結構珍しい絵でさ…これって、前魔物時代の頃の絵じゃないのか?
「旅の方…チーズあったぞ?ほれ…」
「あ…ありがとうございます…この絵って…?」
「あぁ…この絵は…いつのことじゃったか…わしの兄が人柱となってルーシャンティーに取り込まれている絵じゃな…」
…え!?こ、この絵って…そんな絵だったのか!?
し、知らなかったとはいえ…珍しいと思ってしまった事を反省しないといけないな…
本当に…申し訳ありませんでしたぁーーー!!
「わしの兄はガデオといっての?今から…かなり昔に民族間で決められている行事に選抜されてしまったのじゃ…当時は泣きながら嫌がっておったのじゃが…今では魔王交替ということもあり、それほど嫌ではないようじゃぞ?」
「は…はぁ…」
俺はそう言って話を返すことしか出来なかったわけだな…
で、一つ気になることがあったんだが、魔王交替って…このおじいさんは一体どれくらい前から生きているんだ!?
まぁ…人に年齢の話をするのはそこまでしてはいけないものだったから俺はこの件にはそんなに触れなかったんだけどな?
まぁ、人にはそれぞれ考えって物があったんだろうよ…昔は…
ま、俺は今を生きているわけだから関係ないんだが…
さて、そろそろ帰るとするかな…
「じゃあ俺はそろそろ…」
「ふむ…そうじゃ…明日は旅に出るつもりなら…やめておいたほうがいいぞ?ではな?」
……まぁ、一応覚えては置くんだけど…多分メリィに言っても通用しないんだろうなぁ…
なんて事を考えながら、すっかり暗くなった村の中を一人、自分の宿屋に向かって歩いて行っていたんだった…
明日…多分明日で砂漠は抜けられるのかなぁ…
そう思うと…少しだけど気が楽になっていくんだよな…不思議なものだぜ…
12/05/24 21:55更新 / デメトリオン
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