連載小説
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46 デメトリオ強化訓練!?
そして、第一テント地域で水飲み場を探していた俺は…しばらくして無事に水飲み場を見つけることに成功したんだ!!
ふっふっふ…今回はぬかりはないぜ!!この水筒5個全部に水を満タンで入れてやるっての!!
そうして、のんびりと水を汲んでいる俺…このテントには、砂漠に入ってすぐということもあってか結構人がいて、にぎやかなイメージもあるなぁ…
まぁ…水を汲んでいる俺の近くにはそこまでは…いなかったんだけどな?

…え?そんなことより、前にシャイニングが出した問題の答えを教えろって…?
仕方が無いなぁ…まず一つ目は…二匹目と三匹目がホントーンらしいですよ?
で…二つ目の問題だけど…答えは負け組と勝ち組さ!!どちらも人間界の基準では勝者と敗者をあらわすけど、その境界線をなくしてしまえば両方人間だろ?
などと説明をしている間に水は水筒の中に全部入り、俺はメリィたちがいる場所まで戻っていったんだ!!

……で、元の場所に戻ったんだが…メリィがいない!?
ど、どこにいったんだ…?他のモンスターラグーンのメンバーは皆ここにいるって言うのに…
疑問に思った俺は、ゾーネに聞いてみたんだが…はたして、真面目に答えてくれるだろうか?
「ゾーネ…メリィはどこに言ったんだ?」
「依頼があるそうじゃ…お主が戻ってくるまでここにいろと言ってどこかに行きおったのじゃ!!わしもこの地域に珍しいオーパーツがあるかも知れぬから探索したいというのに…」
…そう言いながら、俺の方を恨めしそうに見ているんだが…俺は何か悪いことをしたのか!?っていうか…俺、戻ってきたんだから行けばいいじゃないか!!
俺はおもわずそう思いはしたが…口には出さなかったんだぜ…
いっつも酷い目に会っているんだ…コレくらいは神様でも許して…
「ゾーネ…デメトリオが戻ってきたんだからオーパーツでも探しに行けばいいんじゃない?」
じ…ジャンヌ!?どうしてこのタイミングでそれを言うんだ!?
はっ…ま、まさか神は俺を許さなかったというのか…

せめて…俺の台詞を言い切った後に言って欲しいと…毎回思っているんだけど…まあいいかぁ…
俺がそう思うと同時に、モンスターラグーンのメンバーも各自、自分の行きたいところに行き始めたんだ…
え?俺は行かないよ…?まだまだ砂漠は長いってのに…こんな真昼からうろつきたくないんだって!あそこの建物の影で休んでるよ…
俺がそう思いながらそのテントの方にのんびりと移動していたときだった…
「…デメトリオ!!貴殿に少々だが話がある!」
アイネがいきなりこういいながらこっちに向かってきたんだよ!!
…アイネはデュラハンだから、本来こんな昼間には動けないんじゃないかって思っていた人もいると思うんだけど…アイネの武器には日光の赤外線を遮断する効果があって…平気らしい…って、ゾーネが言ってた!!

と…こんなことはどうでもよかったな…
一体…アイネがどんな用事で俺のところに来ているのか…それが気になる所だが…
「…一体、俺に何の用なんだアイネ…?」
「貴殿…かなり前にトレーニングをしてから…身体を鍛えてないだろう?ちょうどここは砂漠…この過酷な環境ならばいい筋肉がつく!!」
……こ、この物凄く暑苦しい中トレーニングだと!?な、何を馬鹿なことを…
そんな事…絶対に俺はしないぞ!!この環境でトレーニングをするということは…えっと…誕生日パーティーに誰も来なくて一人で誕生日会をすることと同じくらいつらいことだろ!!
…え?例えが微妙だって?…それは俺も思っていたけど、気にしないでくれ!

そして、アイネがじわじわと近づいてきて…俺はそっと遠ざかっていたんだが…そのとき、人にぶつかってしまったんだよ…
俺は振り向きざまにその人に謝ったんだが…
そこにはサングラスをつけているギルタブリルの女性が、腕組みをしてこっちを見ていたんだよ…
す、凄く…嫌な予感がするんだが…
「……しっかり前を見て歩け!!ここが戦場なら…貴様はすでに死んでいるぞ!」
ひ…ひぃぃ…は、早く退散したほうがよさそうだぜ…

俺は即座に彼女から離れようとしたのだが…
「デメトリオ!!貴殿は身体を鍛えなくてはいけないだろう!!おとなしくトレーニングに付き合え!!」
「い…嫌だって!!」
そう言い返し、俺は更に逃げようとするが……さっきのギルタブリルの女性になぜか肩をつかまれてしまったんだ!!
な、なぜなんだ!?誰か…理由を教えてくれ!!

「……トレーニングから逃げるというのは感心せんな…貴様を今から鍛えなおしてやる!!来い!!」
な、なんだか…話が変な方向に向かっているじゃないか!!
俺はいきなりの出来事に頭がついていっていなかったが…一つだけわかったことがあるんだ。
俺…このままじゃトレーニングさせられてしまう!!い、嫌だ!!それは絶対嫌だ!!
「嫌だ!!こんなに熱いのにトレーニングなんてしたくないよぉーー!!」
俺は必死に叫んだが…アイネとギルタブリルの女性二人の力は俺には振りほどくことが出来ず、俺はどこかに引き摺られていったのだった…

…で、ここは一体どこだよ!?いや…第一テント地域から出ていないってのはわかるんだけどさぁ…柵で覆われたこの場所は一体…
「よぉーし!!今から貴様のトレーニングを手伝ってやることになったマリリン・ロンメル大尉だ!!今回のトレーニングは貴様らデザートローズの隊員も参加する!!心してかかれ!!」
「サーイエッサー!!」
……な、なんだか不思議な空間に連れてこられた気がするぜ…
などと俺は思っていたが…たかがトレーニングだし、手を抜いても大丈夫だろうって俺は思っていたんだ。

「まずはランニングを40周だ!!合計8kmだから余裕だろう!!わかったら行け!!」
4…40!?ロンメルさんはバカじゃないのか!?
どうしてそんな悪魔のようなことを考えつくんだ…!?
絶対…この仕打ちはおかしいだろ!!
「あの…40はさすがに多いかと…」
「黙れ貴様!!上官に逆らうな!!早く行け!!それとも…もっと走りたいのか!?」
「す…すみません…」
ダメだ…俺、この人の仕打ちには必死に耐えよう…って、そう思った瞬間だぜ…

そしてトレーニングが始まって三周目…もう俺は限界だ…
息も完全に…上がって…きているしなぁ…
「こらーー!!貴様らそれでも男か!?もっと大きな声を出して走れ!!玉握りつぶすぞ!!」
……ロンメルさん、悪魔だ…
でも…俺はここで頑張らないと後でもっと嫌なことになる…そう思っていたから頑張るんだけどな?
それに…アイネも参加して走っているのに、アイネよりも先にリタイアなんて出来るわけないだろ…?
本音、これはつまらない意地なんだけど…たまには意地を張らしてくれよ!

そして40周が終わったときには…俺の心の中も体力も精神面も綺麗に真っ白だったんだ…
燃え尽きたぜ…真っ白にな…?

アイネは…普通にまだ平気そうな表情だったが…無理だ…俺はアイネに、体力面で勝てない…
周りを見てみると、男性諸君はすでにヘトヘトの状態のようだし…
俺は本気で思ったんだ…今日は人生で一番運動をした気がするってな?
まぁ…終わったんだし、よしとするかな…

俺がそう思ってこの場所から去ろうとしたときだった…
いきなり俺はロンメルさんに呼び止められたんだよ!!
一体俺に…なんのようがあるって言うんだ!?おとなしく返してくれてもいいじゃないか!!
俺はそう思いながらもしぶしぶロンメルさんのところに戻っていった。
「…まだ俺に何か用ですか?トレーニングなら十分やりましたよ?」
「アレでか?甘い!!この後、腕立て200回に腹筋200回、スクワット200回と20キロマラソンが残っている!!」
な…なんだってーーー!?嫌だ!!絶対に嫌だぜ俺は!!
大体…40周もランニングした後に…それほどの練習が待っているなんてやりたいって思う奴いるのか!?いたとしたらバカだってそいつは!!
俺は心の中で思いっきりそうまくし立てると、即座に振り向きながらそのトレーニング場所を後にしたんだ。

そ、そうだ…コレを言っておくのを忘れていたな…これは逃げるのではない!戦略的撤退だ!!
昔、そういうのを逃げるって事だってよくアルフォンスに言われたけど、俺はそうは思わないぜ!!戦略的撤退…つまり、次はちゃんと成功させるって事さ!
で、今俺が取るべき行動は一つ…アイネとロンメルさんの二人から無事、夜になるまで隠れ続けるって事さ!!
はたして俺の運がどこまで続くのか…楽しみなところだぜ!!

で…隠れるとなるとやっぱり隠れる道具がいるよなぁ…などと思いながら辺りを探してみるが…空き箱がある様子もないし…このままでは隠れることが出来ずに終わってしまう!!
だが…辺り一面にはテントしかないし…勝手にテントの中に入るというのも問題があるよなぁ…
などと思いながらうろついていたんだが…ダメだ!!全くいいアイデアが見つからないぞ…!?

「デメトリオー!!訓練はまだ終わってないぞー?貴殿はまた逃げるのか!?

などという声が少々の風に乗って聞こえてくるし…このままだと、いずれはアイネかロンメルさんに鉢合わせしてしまって、一回逃げたからもっときつい訓練をする羽目になってしまうかも知れないぜ…
などと焦っていたときだった…俺は不意に、近くに立てかけてあったスコップに目を向けたんだ。
あのスコップ…使えるぞ!?

そして俺は、そのスコップの持ち主に頼み込んでスコップを借りると、若干テントが集合している場所にばれないように移動し、スコップでおもむろにテントの下の部分を掘り始めたんだ。
幸い、この砂漠にあるテントは結構大きいつくりだから、テントの端の一角部分に俺一人が入れるくらいの穴を開けても、大丈夫だし…ここに穴が開いていると知っていなければ外からは絶対に気がつかない…
これほど安全な場所が他にあるだろうか!?

そして俺は、なるべく目立たず…慌てずに穴を掘り始め、ようやく穴を掘ることに成功したんだ。
しかも…わかりにくいようにちゃんと表面上の砂は均しておくという手の入れよう…完璧だぜ!!
そして、中に入って様子を見てみたんだが…思った以上に上手くいったぞ!?
本来なら砂が崩れてきたりとか心配な部分も多いはずだけど…こんなに上手く穴を掘ることが出来るなんて…最高だ!!

【デメトリオは墓荒しの称号を手に入れた!!】

って…こんな称号いらねぇ!!墓荒しっておい!!
あ…でも、ステルス機能が20%上昇は魅力的…でも…モラルが下がるってのはいやだな…
なんて自分が新しく手に入れた称号に対して突っ込みを入れていると、なんとすぐ目の前にアイネが歩いているのが隙間から見えたんだよ!!
もう少し遅かったら…完璧にアウトだったなぁ…今日は運がいい気がするぜ!

そしてしばらく時間が立つと、あたりはすっかり暗くなってきたんだ!!
もう見つかってもトレーニングしろとか言われない時間帯になったな…
そ、そういえば…メリィたちと別れてから物凄い時間がたったけど、メリィたち待ってたなんて事は…ないよな?
俺はそう思いながらメリィたちと別れた所に入ってみたんだが…

「…デメトリオ、遅いわね…」
「全くじゃ!!どこをうろついているのか…」
「あたいでも時間はちゃんと守ったのに…デメトリオは本当に全く…」
「そうですよ!!ルタちゃんでも時間を守ったのに!!」

うはぁ…す、凄く行きにくいんだが…でも、行かないとダメなんだろ!?
俺はゆっくりとみんなの前に歩いて行ったんだが…
「……どこに行ってたの?」
「め、メリィ…あの、そのですね…逃げてたといいますか、そうじゃなく穴に入っていたといいますか…」
まさに…下手な言い訳をしているなぁ…俺は…
「…そんなのが聞きたいわけじゃないわよ?本来だったら今日はもう既に第二テントまでいって夜になっている予定なんだから…」
「す、すみません…」
俺だって…俺だって好きで穴の中に隠れていたわけじゃないのに…
なんて口に出して抗議する勇気もなかった俺はそれからしばらくの間…ずっと説教というべきか…それとも小言というべきなのか…とにかくそれに耐えていたんだ。

で、長かった説教も終わり、俺の宿屋を展開して今現在…俺は一階でのんびりとカスタニアワインを異常に薄めたものを飲んでいたんだ。
ほとんど水だが…後味で少しワインの味がするから少しは楽しめるといったところだろうか?
ワインを全体濃度が10と考えると、ワイン0.8、水9.2の比率だな…
あっ!!ほとんど水じゃないかとか思うのはやめてくれよ!?

どうでもいいことなんだが…体のあちこちが痛いんだよ今…
洒落にもならない痛さってのはこのことか…なんて思ってしまうほどにな!
これだからトレーニングなんて嫌だったんだ!!
俺は心の中でそう思いながらカスタニアワイン(ほとんど水)を飲んでいたんだが…
「…デメトリオ、ちょっと貴殿に話がある」
…ひぃい!?あ、アイネ!?お、俺に何の話があるというんだ…
途中で逃げたことに若干俺は負い目を感じていたのか…アイネの、元にすぐに行きたくは無かったんだよ!!

だが、じっとして動かずにいると多分、アイネの方からこっちに歩いてくるんだろ?だったら、自分から行った方が少しはかっこいい…そう思わないか!?
俺はそう考えると、ゆっくりと立ってアイネのところに歩いて行ったんだ。
「…な、何だ?」
「貴殿は…なんでそこまで苦労からいつも逃げようとするんだ?今日のトレーニングの時も、今まで旅してきた戦闘などの大半も…基本的に自分から戦いに行かないし、逃げてばかりじゃないか?」
……い、痛いところをつくなぁ…
でも、俺にはちゃんとその点では考えていることがあるんだぜ?

「だって…やっても意味が無いじゃないか…自分から戦いを仕掛けに行くのも無意味だし、苦労ごとなんてしたくないって思うのは人間の心理だろ!?」
「…だが、苦労から逃げてばかりではいずれ自分の身に逃げられない時が訪れたとき、それでも逃げようとしてしまうぞ?」
それは…そうかも知れないけど…でも、なんか違うんだよなぁ…
「待て待て…そりゃあ、俺に勇気があったりとか力があったりとか、他にもいいところがあったら逃げない勇気ってのは出てきたかも知れないぜ?でも…やっても出来ないことをやる意味は無いって言っているんだ!」
俺は自分が内心思っていることを素直に今回、少しだけさらけ出してみたんだ。

「貴殿は、なぜやらずして出来ないと決め付けるのだ?実際にやってみないとわからない物ってのはあると思うぞ?」
「…やらなくても、大体わかるだろ?俺は昔から何も出来ないって周りからも言われて、自分でも思ってるし、出来る方々…つまり、勝ち組の方々が頑張って、何も出来ない俺のような負け組…もといカスはその勝ち組の方々の顔色を伺いながら生きていけばいいんだ。それで世の中は回るんだし、当然の摂理だろ!!」
少々熱くなってしまったな…
自分で負け組とかカスとか言ってしまった…ま、まぁ…いいかな…

アイネはまだ納得していなかったようだが、俺はそんなアイネから逃げるようにカスタニアワインを持って自分の寝室に戻っていったんだ。
そして、去ろうとしている俺にアイネはこんなことを行ってきたんだよ。
「……貴殿の考え方は…間違っているぞ?この世界に勝ち組と負け組なんてものは存在しないんだからな?」
だが、俺はその言葉に反応を返すことが出来なかったんだ…
勝ち組と負け組はいない…そう誰もが思いたくなるのはわかるが…
負け組と勝ち組が存在しないと世の中は上手く回らないんだぜ?
それが…社会って物だろ?

そして逃げるように自分の部屋に戻った俺…
やることが無いんだが…どうしようか?
そう思いながら、俺は自分の布団に目を向けて…
待て!な、なんだ!?あの布団のふくらみは…!?
…確かに、俺の布団には人が数人はもぐりこんでいるであろうふくらみがあったんだよ!!

俺はそっと布団の端に移動すると、一気に布団をオープンしたんだ!!
そこには…セムちゃんとキュラスとルタときーちゃんとメアリーが、布団の中で眠っていたんだ…
し、しかも…ルタが持っていた牛乳が眠っている間にふたがのいて大変なことになっているじゃないか!!
な、なぜこいつらは俺の部屋で寝ているんだ…

俺はここで、無い知恵を絞って考えてみたんだ。
一つ目は…間違って俺の部屋を寝室だと勘違いした可能性だが…
こんなに大勢で間違えるか!?それに、全員二階の部屋が寝室じゃないか!!
一つ目は違うとして…二つ目…俺を驚かそうとしてみんなで布団に隠れていて後で俺を驚かせようとしていたって可能性だが…
だったら、こんなシャツ姿にパンツで眠っている意味がわからなくなるじゃないかよ!!
せ、セムちゃんまでしているって言うのも…複雑な気分にさせてくれるよなぁ…というか、セムちゃん良家の生まれなのに…隙がありすぎだろ…
俺はそう思うと、すっかり眠ってしまっているみんなの上にそっと布団をかぶせてから、部屋においてあった空き箱の中に入ると、麻の袋を取り出して上に被ったのだった…

はぁ…今日の晩は…すぐに眠れそうにないなぁ…
そう思いながら空き箱のふたを取り、そっとふたを閉めて、俺は明日のことを考えてみたんだ…
多分、あと二日で砂漠は越えられるかな…?なんて思ったりもしたんだが…
砂漠以降のたびの土地がわからないというのが…曲者だぜ…

俺はそう思うと…それから40分後に眠りについたのだった…
12/06/04 19:13更新 / デメトリオン
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■作者メッセージ
どうも!!

さて…第一テントには無事に到着しましたが…
デメトリオにこれからどんな出来事が訪れるのか…

あと、問題の答え…わかりましたか!?
TATさん…おめでとうございます!!

では…次回も見ていただけるとうれしいです…
ありがとうございましたーー!!

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