30 青年は木材運びが嫌いなようです
次の日の朝…やっぱり大陸が変わると何かが違うのか、微妙にだが体の疲労がここになって出てきた気がする…
俺はとてつもない疲労感を全身で味わいながらもロビーに出てきて朝食を取る事にした訳だが、ロビーにいるモンスターラグーンの彼女達がきれいに俺の今日の朝飯の分以上の飯を各自、がつがつと食べてくれちゃっている…
あのペースで食べ続けたらあっという間に食糧がそこを尽きるぞ…?
俺が真剣にそのことを考えたときだった…
「あ…デメトリオー!ちょっといい?」
レベッカが俺のことを呼ぶ…?珍しいこともあるんだな…
そう思いながら俺はのんびりとレベッカの元に向かって行った。
「何だいレベッカ?俺に何かようか?」
「ごめんデメトリオ…食料底をついちゃってさぁ…」
「はぁ?」
今、こいつなんて言った…?食糧が底をついたってそう言ったのか…?
一瞬だが、俺の回りで時間が停止したのを俺は肌で感じ取った…
「食料が底をついたって…そんなの冗談じゃないぞ!?まだ数日分は残っていたはずだろ!?」
「いや…張り切って作りすぎちゃって…ごめんね〜?」
……こ、こいつ…いや、今になって終わったことを追求しても埒が明かないか…
俺はこのタイミングで変に悟ったのだった…
また俺の財布から金が飛ぶんだろ…?わかってるよそのくらい…
そして朝飯をラグーンメンバーのみんなが食べ終わるのを乾パンを食べながら見ていた俺…
正直、この乾パン凄く硬いとか俺は絶対に文句は言わないぜ…?
「…はぁ…」
「…どうしたのデメトリオ…?」
「メリィ…もう少しラグーンメンバーのみんなに食べるのを自重してくれないかと言ってくれないか?このままじゃ俺の宿の金庫の金、全部吹き飛んでしまうぜ…」
「……まぁ、いいじゃない」
「いいじゃないって言うけど…君達、性別は女性の癖に食べる量が多すぎるんだよ!?」
「…そんなに怒らなくてもいいじゃないの…乳酸菌ちゃんと取ってる?」
……確かに、変に金のことになって一瞬だが理性がなくなったな…
この点については反省しないと…
などと思いながら俺はメリィの近くから離れ、このラグーンメンバーの中でも頼りに出来そうなジュンコさんに特定の銀貨を与えて買い物に行ってきてもらうことにした…
こっちは面倒だけど、船の素材集めの時間だぜ…
「みんな…もう用意はいいわね?じゃあ、各自ゾーネが作った船の設計書を配るから目を通して置きなさい…」
などとメリィが言って、横の方から設計書が配られてくる…
そして、俺の近くに回ってくるであろう設計書を俺が受け取ろうとすると引っ込めて取れないようにするルタ…
「…いいよそんなの、早く渡せって…」
「なによぉー…今回テンション下がってんじゃないのー…あたいもまだ眠いからあんたのこと言えないけど…」
いや、そんな事する奴も昔友達でいたんだけどさ…
結論的に諭してやると九割は普通にプリントを渡してくれるんだ…
それを実践しただけってやつかな?
設計図は異常に細かく書かれていた…でも、この字…魔物語学の授業をサボっていた俺には全然理解できないじゃないか!!
なんだよコレ!?
結果的に内容を理解することが出来なかった俺は、ただ一応形だけ合わせるために、わかったふりをしたわけだけど…
そして話も終わり…いよいよ俺も動かないといけないという時間になり、俺は何もわかっていない状況で動くことになった…
仕方が無い、誰か他のメンバーと一緒に行動しておくか…
いくらかは気も楽になりそうだしな?
でも…今頃だと他のメンバーはもうほとんど出発してるよなぁ…
俺はそう思いながら辺りをきょろきょろと見回すが、やっぱりほとんどのメンバーは出発して残っているのはスカニとリーネとレベッカとリバティーの4人、各自のんびりと準備をしているのが伺えるといったところか…?
など冷静に状況を見極めた振りをしながら俺は4人の下に近づいていった…
「なぁ…みんなはこれからどうするつもりなんだ?」
俺がそういう風に聞くと、全員自分のことに手が一杯のようで視線をちらりとこっちに向けただけで…他には何も無かった…
いや…俺は何かあると思っていたさ!!何か台詞があって、その後で進展があると期待もしていたさ!!
……まぁ、会話なんて無かったわけだけどな…?
そしてそれからまた少し時間が経ったときだった…
微妙にだが俺は運よく残っていたメンバーになんとか仲間に引き入れてもらっていた…
いやぁ…一時は本当にどうなることかと思ったけど、案外切り抜けることが出来るものなんだな…
そして俺たちはリバティーに宿の留守番を任せると宿を後にした…
リバティー…いくら働きたくないとはいえ、怠惰なやつだよまったく…
そして、宿を後にした俺たちが目指した場所は奉行所…クエストを受けることが出来る場所だ…
もう他のみんなはクエストを受けているのかも知れないから、俺たちも何とか遅れないようにと思いながらここにきたわけだったが…
「うはぁ…で、でかいなぁ…しかし…」
実際に奉行所の大きさを目で確認してある事実を俺は悟った…
この奉行所…かなりでかいぞ!?
いや…門だけ大きいんだろうって意地を張ることも出来なかったわけではないよ?でも…へんな意地を張るのも無様だと最近気付いてきたんだ…
認めたくないけど…これが…現実だ!!
そう内心で一人ぼやきながら周りを確認してみるとやはり周りには俺と同じ考えのモンスターラグーンのメンバーが…
…………
えっと…あの、なんていうか…
また置いていかれてるっていうか…
「くそぉ!!先に中に入るなら俺に一言入れておいてからにしてくれよ!」
俺は非常に見苦しい言い訳をしたわけではないが、それに近いことを言いながら奉行所の中に入ってみた…
奉行所の中も…外から見たときの期待を裏切らずに無駄に広く、黒いカラーのジパングスタイルに身をつつんだ魔物娘や男性が必死に書類を管理していた…
なるほど…どうやらとても大変な仕事なんだということはよーくわかった…
俺は絶対にジパングで仕事に就くとしたらこの仕事には就きたくないな…
本気でそう思いながら俺は大きな掲示板のところに着いた…
この掲示板が多分…いや、おそらく依頼がたくさんある場所じゃないのか?
近くに行って見てみると…やっぱりなぁ?
俺の思ったとおり、この大きな掲示板が依頼が書いてある紙が張られる掲示板って訳か…まぁ、あらかたは理解できたぜ…
俺が掲示板の所でただ何も考えずにじっとしていると、後ろの方から他のみんなも集まってきた…
よし…出来るだけ楽そうな仕事を選ぶとしようかな…
いや…俺が選ぶと決まって行動が最近裏目に出るから今回は他の奴にやってもらおうか…
俺は真剣にそこで悩み、結果一つの事を導き出したわけだ…
よしっ!!他の誰かが選んだ奴でもやろう!!ってなぁ!!
「デメトリオはどれを選ぶか決めたのかよ?」
「えぇ…俺、他のみんなに任せるよ…」
「……それなら、この甘いもの試食編ってクエスト受けましょうよ〜!」
「リーネ…俺たちは船を造るうえで必要な木材等を受け取るために今、クエストを探しているんだろ?」
……へぇ、仕事をしているときのスカニって真面目なんだな…意外だったぜ…
などと思いながら俺はそこで何も言わずにぼけーっと突っ立っていたわけだったけどな?
だって…俺自信が動かなくても勝手に決めてくれるだろ?
俺は我ながらいいアイデアだと内心納得しながらスカニたちがクエストを選ぶのを見ていた。
「必要なのは木材…またはマストの素材だな…ある程度はお金ももらえる仕事の方がいいよな…」
「スカニさん…甘いもの…」
「甘ったれなくてもいいから、よさそうな仕事を探すんだ!」
「甘いものは私が作ってあげるわよ!」
……まだまだかかりそうだなぁ…
そう思いながら一人…辺りをきょろきょろしていると、騒がしい声が聞こえてきたのだった…
「てめぇ…もう一回言って見ろよ!!」
「やめなさい紅緒!!まったく…あなたはいつも面倒ごとばかり起こすんだから…」
「蒼葉姉は黙っててくれ!!こいつ絶対に…」
……アカオニが一人の男を殴りつけているようだな…
何だよ…争いごとなんて勘弁して欲しいぜ…
俺がそう思っていると、殴られた男がふらりと立ち上がった…
あの男の着ている鎧…珍しいタイプだなぁ…
いや…あの男の着ている鎧、一時期は流行を我が物にしたタイプの鎧で、確か二槍士の鎧だったはずだ…
「へへっ…勝ち組が…俺は本当のことを言っただけだろう!!世の中で勝ち組のことを負け組が羨ましく言ったとしても、お前らには関係ないだろうが…」
「おい!ドラグーン…お前少しは落ち着けよ!」
「うるさい!!お前には一切関係ないだろうが!!大体、この世の中には勝ち組が多すぎる!どうせあいつも同心という仕事につくことが出来て、何も悩みを抱えていないんだろうが!!」
………あいつ、いいこと言うぜ…
俺は若干だが昔、同じ事を考えていた身分だからあいつの言いたいことが良くわかるぜ…
つまり、その内に秘めた想いが抑えきれなくなったから、ついぼやいてしまって相手の気持ちを害してしまったんだな?
そしてしばらくすると、あのドラグーンと呼ばれていた男が颯爽とその場を去り、後にはあの軍団のリーダーであろうドラゴンが一人、アカオニと話し込んでいた。
……いや、後を追いかけないのか?俺的にはあのタイミングだとリーダーが追いかけるのが一番効果的だと思うのだが…
「…本当にすまなかった」
「いや…いいんだけどさ…あいつ、何であそこまで私のことを嫌うんだ?」
「彼は…あなた以外の人物も同様に全て嫌いだ…昔から、自分より出来る奴が嫌いな男でな?昔、自分の得意にしていた事で見事にボロボロに負けてから他人を皆勝ち組と思うようになってしまったんだ」
「…そうか、だったら一つ教えておいてやる…あいつの台詞に若干引っかかるものを感じたから、良く目を通しておけ…」
「わかった…」
……いや、自分が負け組と思い込んでいる奴にそんな勇気は無いと思うぜ?
などと話を盗み聞きしていた俺はそう思ったんだが…
「デメトリオ…よさそうな仕事が見つかったぞ…?」
「お…ようやくか…で、どんな仕事なんだ?」
「あぁ、これだ…」
そう言ってスカニは俺に書類を渡してきた…
えっと、なになに…
〜〜〜依頼〜〜〜
依頼者:ヨーニー=Q=ヤングブーケ(ダークプリースト)
内容:木材運搬
『現在私は堕落神様の教えを多くの方に知って貰う為教会を建設中です。
しかし木材運搬班の方々が怪我と病で休まれ人手が足りません。
木材運搬は私達で行う事を条件に格安で譲って頂いた為運搬が遅れれば
先方の御迷惑になります。申し訳有りませんが木材運搬の手伝いを
お願い出来ないでしょうか?』
報酬:銀貨1枚+肉体奉仕もOKですよ♥
備考:先方の木材組合の親方さんにはコネが有り、将来木材が入用の際には
安値で譲って頂ける様口添えが出来ます。新居建設や新規取引を考えて居られる方
如何ですか。
〜〜〜〜〜〜〜〜
銀貨1枚だと…!?なかなかいい報酬じゃないか…
俺は報酬の銀貨1枚に食いついたわけだが…
肉体労働だと…うわぁ…嫌だなぁ…
肉体労働だという点だけが非常に嫌だったけど…ま、まぁいい
俺は肉体労働だけはそこまで乗り気じゃなかったけど、何もせずにメリィに文句を言われるのも嫌だったので、早速目的地に出発した。
目的地はそこまで遠い場所ではなく、俺はのんびりと目的地に着くことが出来た。
「ここか…そんなにつらくない仕事だったらいいけどなぁ…」
「あ…皆さん集まってくれましたか〜?」
仕事をする現場の真ん中で明らかに黒い修道服を身にまとった女性が一人立って作業員に言っている…
あの人がヨーニーさんか?
……どうでもいいけど、凄く露出度が高いあの服装、そしてあの洗練されたボディライン…
作業をしている肉体派の男共の目がどこに向いているか一瞬でわかるな…
え?俺?いや…俺はこれから後の肉体労働のことを考えると素直に見ることはできなかったぜ…
もう少し気が楽だったら俺もしっかりと見ることが出来たんだろうけど…
俺の近くにはモンスターラグーンのみんなもいるしな…いろいろと気持ち的にもきついかと思うんだ…
しばらくすると…俺はある事実に気付かされたわけだ…
そう、凄くこの仕事きついんだよ…
いや、高いところ苦手だから下で木材を運ぶ方を選んだんだけど…
重いし木の破片が肩をこするし…親方風の男には怒られるし…俺、もう報酬なんていらないから帰ろうかな…
俺が本気でそう思っているのを矢先に、他のメンバーは各自の得意なことをやっている…
スカニは物凄い釘を打ち付けるテクニックがあるし、リーネは背中に箱を乗せて運ぶことに長けている…レベッカは料理を作るときに手に入れた手先の器用さが変なところで役に立っている…
そんなに皆頑張っているのに、俺だけ先に帰るなんて出来ない…
でも、つらいし…
「おい!!そこの新入り…何回言ったらわかるんだ!?その木材は壁際の木材だろうが!!」
「は…はい!!」
また怒られたし…
それに、木材は壁際…?どの木材も同じに見えるっての!!
などと内心文句を言いつつ…俺はこの環境の中を必死に耐えていた…
夕方近くになると、若干だが作業も楽になってきた気がするぜ…
建物の形も出来てきており、俺は下のほうで一人、他の連中にばれないようにのんびりしていた。
さ、サボっていたわけじゃないぞ!!のんびりしていたんだからな!?
幸い…上の方で作業していた方々も、下で必死に木材運んでいた方々も俺の存在に気がついていないし…俺がいなくても作業進んでいるんだしいいよな?
「いやぁ…俺、今度からは肉体労働はしたくないぜ…」
小さく小声でぼやきながら空を見上げて俺は一瞬たそがれたわけですね?
そして、作業が終わりを告げ、サボ…いや…きゅ、休憩していた俺もお金をもらうために依頼主のヨーニーさんのところに行った…
他のラグーンメンバー達はいい汗を流したようで、どこか満足そうな表情を浮かべている…
うん…俺も頑張ったぜ…
「また手伝ってくれたんですね?いつも助かります…」
「いやぁ…ヨーニーさんの為なら、どんなところでも作業しますって!で…今回の報酬のことですが…」
「…はい、あとであそこの倉庫の中でたくさんお払いします…うふふ…」
などと俺の前の男とヨーニーさんが話しているのを聞いた俺…
なんだ…他の皆が変にこの作業が手馴れているのは何度も来たからか…
俺はてっきり、他の人が余りにも手馴れすぎていたので、俺がヘタレているのかと心配になったぜ全く…
えっと…木材の件についてはスカニが話をつけておいてくれたらしいし、俺はお金だけ受け取ればいいな…
そう思いながら、出来るだけヨーニーさんの服装部分を見ないように、俺は依頼者のヨーニーさんのところに行った…
「あら…?あなたは初めて…ですよね?お疲れ様でした〜」
「あ、はい…あの、銀貨1枚お願いします」
俺は出来るだけヨーニーさんのナイスバディと、それをかろうじて支えているかのような服装を見ないように努めた…
は、早く銀貨を渡してくれないかな…
俺がそう思っていると、驚いたかのような表情を浮かべヨーニーさんが俺の方を見た…
俺のような男がそこまで珍しいのか!?俺の目に癒し…いや、毒であるそのボディをそれ以上俺の近くに展開させないでくれ!
いや…別に、後ろの方でスカニとかリーネとかが俺に睨みを利かせてなかったらじっくり目に焼き付けても良かったんだけど、明らかにあの目線は俺が早く銀貨を受け取るのを待っている目線だろ!?
す、鋭い眼光に射抜かれて俺の…えっと…ま、まあいい!
とにかく、今の俺は早く銀貨1枚を受け取らなくてはならなかったんだ!
「あの…別に銀貨1枚じゃなくてもいいんですよ〜?あなたの疲れた身体と心を私が優しく癒してあげても…いいんですからぁ…」
こ、この台詞…いつもの心に余裕がある俺だったら喜んで言葉にすがるところだが…状況が状況だ!!
み、未練はあったりするけど…い、今はとにかく早く銀貨を受け取らなくては!
「け、結構です!銀貨を早く俺に下さい!」
「ま、まぁ…いいですけど…(まさかこの人…堕落神さまを心の底から信仰することが出来ていない迷える青年なのでは……この青年の道を正しき道に戻すのもまた…堕落神さまが私にお教えになられた意思なのでは…)」
…何を迷っているんだヨーニーさんは…?
とにかく今は俺に銀貨1枚をくれればいいんだって!!
あぁ…す、スカニが明らかに今から激怒しそうな一歩手前を行っているじゃないか!や、やばい…
「こ、この銀貨は受け取っていきますね!!ありがとうございましたーー!」
俺は悩んでいるヨーニーさんの持っていた銀貨を少々強引に受け取ると、慌ててスカニたちがいるところに走って行った…
「あ…あの!!ちょっとー!!」
ヨーニーさんが俺を引きとめようとするけど…俺は今はそれどころではないんだ!
俺は…その引きとめに立ち止まることは無かった…
すっかりあたりも暗くなり、俺は運よくスカニの怒りが頂点に達する前に合流できたので、小言を少しもらうだけで後は何も言われなかったので、内心ほっとしながら宿屋に戻ってきた…
他のみんなももうすでに帰ってきたようで、テーブルの上にはちゃんとレベッカほどではなかったが、質素な料理が置かれていた…
あ…そういえば、今日から宿屋業を少々するんだったな…といっても、客は多分来ないだろう…
それから数時間…辺りは夜の静寂に包まれ、俺もそろそろ寝るかと思い始めたときだった…
ラグーンメンバーは夜型のコニーやケイトなど以外、仕事の疲れで爆睡しているというこの状況で、お客さんが来たわけだな…
本音、来ないと思っていたから内心複雑だぜ…
「ここ…宿屋なわけ?」
「はい…あの、何名さ…」
「一名よ、見て分からないの?というか、早くしてよ…私は疲れてるのよ?」
くっ…な、生意気なお客様だな…こんな夜遅くに来たくせに、早くしろだと…
「お、お客様、お名前は…」
「ミーシャ・ハインエルよ、早く部屋の鍵を渡しなさいよ!私は寝たいの!分かる!?」
時間が時間だから、眠たいっていうのは分かるぜ…でも、少しこのお客様…
言葉遣いが偉そうっていうか…世間知らずな言動というか…
はっきり言うと、凄く文句が言いたいわけだ…ま、言わなかったけどな?
「これが部屋の鍵です…どうぞ」
「ありがと…じゃあね」
……くっ、お、お客様は…神様って事なのか…
俺は、一瞬だけ心の中に悪い部分が浮かんできた気がした…
まぁ、そんな部分分かるわけ無いんだけど…
そして俺が部屋に戻ろうとしたとき…メリィがお客様と何か話し込んでいるのが見えた…
ま、まぁ、お客様に粗相ある行為をメリィだったらしないだろうし…良いとするかな?
そうして俺は自分の部屋のベッドに飛び込み、一気に眠りについたのだった…
「……ようやく寝たか…今回はまた遅かったのぅ…さて、絞るのじゃ!」
「ゾーネさん、今日もやるんですか?」
「セムもどうじゃ?中々に味わうと習慣になるぞ?ほれ…このぐにゅぐにゅした部分に精液がたまるのじゃ…」
「こ、こんなのよくないと思います…!!」
「……行ってしまったようじゃな…仕方が無いのぅ、今日はわしの分をたくさん…それにしても、この皮…少々機械をセットするのに邪魔じゃのぅ…明日機械に少々手を加えて皮を違和感無くむけるようにしておくとするか…」
また今夜も…デメトリオは変な夢を見るのだった…
俺はとてつもない疲労感を全身で味わいながらもロビーに出てきて朝食を取る事にした訳だが、ロビーにいるモンスターラグーンの彼女達がきれいに俺の今日の朝飯の分以上の飯を各自、がつがつと食べてくれちゃっている…
あのペースで食べ続けたらあっという間に食糧がそこを尽きるぞ…?
俺が真剣にそのことを考えたときだった…
「あ…デメトリオー!ちょっといい?」
レベッカが俺のことを呼ぶ…?珍しいこともあるんだな…
そう思いながら俺はのんびりとレベッカの元に向かって行った。
「何だいレベッカ?俺に何かようか?」
「ごめんデメトリオ…食料底をついちゃってさぁ…」
「はぁ?」
今、こいつなんて言った…?食糧が底をついたってそう言ったのか…?
一瞬だが、俺の回りで時間が停止したのを俺は肌で感じ取った…
「食料が底をついたって…そんなの冗談じゃないぞ!?まだ数日分は残っていたはずだろ!?」
「いや…張り切って作りすぎちゃって…ごめんね〜?」
……こ、こいつ…いや、今になって終わったことを追求しても埒が明かないか…
俺はこのタイミングで変に悟ったのだった…
また俺の財布から金が飛ぶんだろ…?わかってるよそのくらい…
そして朝飯をラグーンメンバーのみんなが食べ終わるのを乾パンを食べながら見ていた俺…
正直、この乾パン凄く硬いとか俺は絶対に文句は言わないぜ…?
「…はぁ…」
「…どうしたのデメトリオ…?」
「メリィ…もう少しラグーンメンバーのみんなに食べるのを自重してくれないかと言ってくれないか?このままじゃ俺の宿の金庫の金、全部吹き飛んでしまうぜ…」
「……まぁ、いいじゃない」
「いいじゃないって言うけど…君達、性別は女性の癖に食べる量が多すぎるんだよ!?」
「…そんなに怒らなくてもいいじゃないの…乳酸菌ちゃんと取ってる?」
……確かに、変に金のことになって一瞬だが理性がなくなったな…
この点については反省しないと…
などと思いながら俺はメリィの近くから離れ、このラグーンメンバーの中でも頼りに出来そうなジュンコさんに特定の銀貨を与えて買い物に行ってきてもらうことにした…
こっちは面倒だけど、船の素材集めの時間だぜ…
「みんな…もう用意はいいわね?じゃあ、各自ゾーネが作った船の設計書を配るから目を通して置きなさい…」
などとメリィが言って、横の方から設計書が配られてくる…
そして、俺の近くに回ってくるであろう設計書を俺が受け取ろうとすると引っ込めて取れないようにするルタ…
「…いいよそんなの、早く渡せって…」
「なによぉー…今回テンション下がってんじゃないのー…あたいもまだ眠いからあんたのこと言えないけど…」
いや、そんな事する奴も昔友達でいたんだけどさ…
結論的に諭してやると九割は普通にプリントを渡してくれるんだ…
それを実践しただけってやつかな?
設計図は異常に細かく書かれていた…でも、この字…魔物語学の授業をサボっていた俺には全然理解できないじゃないか!!
なんだよコレ!?
結果的に内容を理解することが出来なかった俺は、ただ一応形だけ合わせるために、わかったふりをしたわけだけど…
そして話も終わり…いよいよ俺も動かないといけないという時間になり、俺は何もわかっていない状況で動くことになった…
仕方が無い、誰か他のメンバーと一緒に行動しておくか…
いくらかは気も楽になりそうだしな?
でも…今頃だと他のメンバーはもうほとんど出発してるよなぁ…
俺はそう思いながら辺りをきょろきょろと見回すが、やっぱりほとんどのメンバーは出発して残っているのはスカニとリーネとレベッカとリバティーの4人、各自のんびりと準備をしているのが伺えるといったところか…?
など冷静に状況を見極めた振りをしながら俺は4人の下に近づいていった…
「なぁ…みんなはこれからどうするつもりなんだ?」
俺がそういう風に聞くと、全員自分のことに手が一杯のようで視線をちらりとこっちに向けただけで…他には何も無かった…
いや…俺は何かあると思っていたさ!!何か台詞があって、その後で進展があると期待もしていたさ!!
……まぁ、会話なんて無かったわけだけどな…?
そしてそれからまた少し時間が経ったときだった…
微妙にだが俺は運よく残っていたメンバーになんとか仲間に引き入れてもらっていた…
いやぁ…一時は本当にどうなることかと思ったけど、案外切り抜けることが出来るものなんだな…
そして俺たちはリバティーに宿の留守番を任せると宿を後にした…
リバティー…いくら働きたくないとはいえ、怠惰なやつだよまったく…
そして、宿を後にした俺たちが目指した場所は奉行所…クエストを受けることが出来る場所だ…
もう他のみんなはクエストを受けているのかも知れないから、俺たちも何とか遅れないようにと思いながらここにきたわけだったが…
「うはぁ…で、でかいなぁ…しかし…」
実際に奉行所の大きさを目で確認してある事実を俺は悟った…
この奉行所…かなりでかいぞ!?
いや…門だけ大きいんだろうって意地を張ることも出来なかったわけではないよ?でも…へんな意地を張るのも無様だと最近気付いてきたんだ…
認めたくないけど…これが…現実だ!!
そう内心で一人ぼやきながら周りを確認してみるとやはり周りには俺と同じ考えのモンスターラグーンのメンバーが…
…………
えっと…あの、なんていうか…
また置いていかれてるっていうか…
「くそぉ!!先に中に入るなら俺に一言入れておいてからにしてくれよ!」
俺は非常に見苦しい言い訳をしたわけではないが、それに近いことを言いながら奉行所の中に入ってみた…
奉行所の中も…外から見たときの期待を裏切らずに無駄に広く、黒いカラーのジパングスタイルに身をつつんだ魔物娘や男性が必死に書類を管理していた…
なるほど…どうやらとても大変な仕事なんだということはよーくわかった…
俺は絶対にジパングで仕事に就くとしたらこの仕事には就きたくないな…
本気でそう思いながら俺は大きな掲示板のところに着いた…
この掲示板が多分…いや、おそらく依頼がたくさんある場所じゃないのか?
近くに行って見てみると…やっぱりなぁ?
俺の思ったとおり、この大きな掲示板が依頼が書いてある紙が張られる掲示板って訳か…まぁ、あらかたは理解できたぜ…
俺が掲示板の所でただ何も考えずにじっとしていると、後ろの方から他のみんなも集まってきた…
よし…出来るだけ楽そうな仕事を選ぶとしようかな…
いや…俺が選ぶと決まって行動が最近裏目に出るから今回は他の奴にやってもらおうか…
俺は真剣にそこで悩み、結果一つの事を導き出したわけだ…
よしっ!!他の誰かが選んだ奴でもやろう!!ってなぁ!!
「デメトリオはどれを選ぶか決めたのかよ?」
「えぇ…俺、他のみんなに任せるよ…」
「……それなら、この甘いもの試食編ってクエスト受けましょうよ〜!」
「リーネ…俺たちは船を造るうえで必要な木材等を受け取るために今、クエストを探しているんだろ?」
……へぇ、仕事をしているときのスカニって真面目なんだな…意外だったぜ…
などと思いながら俺はそこで何も言わずにぼけーっと突っ立っていたわけだったけどな?
だって…俺自信が動かなくても勝手に決めてくれるだろ?
俺は我ながらいいアイデアだと内心納得しながらスカニたちがクエストを選ぶのを見ていた。
「必要なのは木材…またはマストの素材だな…ある程度はお金ももらえる仕事の方がいいよな…」
「スカニさん…甘いもの…」
「甘ったれなくてもいいから、よさそうな仕事を探すんだ!」
「甘いものは私が作ってあげるわよ!」
……まだまだかかりそうだなぁ…
そう思いながら一人…辺りをきょろきょろしていると、騒がしい声が聞こえてきたのだった…
「てめぇ…もう一回言って見ろよ!!」
「やめなさい紅緒!!まったく…あなたはいつも面倒ごとばかり起こすんだから…」
「蒼葉姉は黙っててくれ!!こいつ絶対に…」
……アカオニが一人の男を殴りつけているようだな…
何だよ…争いごとなんて勘弁して欲しいぜ…
俺がそう思っていると、殴られた男がふらりと立ち上がった…
あの男の着ている鎧…珍しいタイプだなぁ…
いや…あの男の着ている鎧、一時期は流行を我が物にしたタイプの鎧で、確か二槍士の鎧だったはずだ…
「へへっ…勝ち組が…俺は本当のことを言っただけだろう!!世の中で勝ち組のことを負け組が羨ましく言ったとしても、お前らには関係ないだろうが…」
「おい!ドラグーン…お前少しは落ち着けよ!」
「うるさい!!お前には一切関係ないだろうが!!大体、この世の中には勝ち組が多すぎる!どうせあいつも同心という仕事につくことが出来て、何も悩みを抱えていないんだろうが!!」
………あいつ、いいこと言うぜ…
俺は若干だが昔、同じ事を考えていた身分だからあいつの言いたいことが良くわかるぜ…
つまり、その内に秘めた想いが抑えきれなくなったから、ついぼやいてしまって相手の気持ちを害してしまったんだな?
そしてしばらくすると、あのドラグーンと呼ばれていた男が颯爽とその場を去り、後にはあの軍団のリーダーであろうドラゴンが一人、アカオニと話し込んでいた。
……いや、後を追いかけないのか?俺的にはあのタイミングだとリーダーが追いかけるのが一番効果的だと思うのだが…
「…本当にすまなかった」
「いや…いいんだけどさ…あいつ、何であそこまで私のことを嫌うんだ?」
「彼は…あなた以外の人物も同様に全て嫌いだ…昔から、自分より出来る奴が嫌いな男でな?昔、自分の得意にしていた事で見事にボロボロに負けてから他人を皆勝ち組と思うようになってしまったんだ」
「…そうか、だったら一つ教えておいてやる…あいつの台詞に若干引っかかるものを感じたから、良く目を通しておけ…」
「わかった…」
……いや、自分が負け組と思い込んでいる奴にそんな勇気は無いと思うぜ?
などと話を盗み聞きしていた俺はそう思ったんだが…
「デメトリオ…よさそうな仕事が見つかったぞ…?」
「お…ようやくか…で、どんな仕事なんだ?」
「あぁ、これだ…」
そう言ってスカニは俺に書類を渡してきた…
えっと、なになに…
〜〜〜依頼〜〜〜
依頼者:ヨーニー=Q=ヤングブーケ(ダークプリースト)
内容:木材運搬
『現在私は堕落神様の教えを多くの方に知って貰う為教会を建設中です。
しかし木材運搬班の方々が怪我と病で休まれ人手が足りません。
木材運搬は私達で行う事を条件に格安で譲って頂いた為運搬が遅れれば
先方の御迷惑になります。申し訳有りませんが木材運搬の手伝いを
お願い出来ないでしょうか?』
報酬:銀貨1枚+肉体奉仕もOKですよ♥
備考:先方の木材組合の親方さんにはコネが有り、将来木材が入用の際には
安値で譲って頂ける様口添えが出来ます。新居建設や新規取引を考えて居られる方
如何ですか。
〜〜〜〜〜〜〜〜
銀貨1枚だと…!?なかなかいい報酬じゃないか…
俺は報酬の銀貨1枚に食いついたわけだが…
肉体労働だと…うわぁ…嫌だなぁ…
肉体労働だという点だけが非常に嫌だったけど…ま、まぁいい
俺は肉体労働だけはそこまで乗り気じゃなかったけど、何もせずにメリィに文句を言われるのも嫌だったので、早速目的地に出発した。
目的地はそこまで遠い場所ではなく、俺はのんびりと目的地に着くことが出来た。
「ここか…そんなにつらくない仕事だったらいいけどなぁ…」
「あ…皆さん集まってくれましたか〜?」
仕事をする現場の真ん中で明らかに黒い修道服を身にまとった女性が一人立って作業員に言っている…
あの人がヨーニーさんか?
……どうでもいいけど、凄く露出度が高いあの服装、そしてあの洗練されたボディライン…
作業をしている肉体派の男共の目がどこに向いているか一瞬でわかるな…
え?俺?いや…俺はこれから後の肉体労働のことを考えると素直に見ることはできなかったぜ…
もう少し気が楽だったら俺もしっかりと見ることが出来たんだろうけど…
俺の近くにはモンスターラグーンのみんなもいるしな…いろいろと気持ち的にもきついかと思うんだ…
しばらくすると…俺はある事実に気付かされたわけだ…
そう、凄くこの仕事きついんだよ…
いや、高いところ苦手だから下で木材を運ぶ方を選んだんだけど…
重いし木の破片が肩をこするし…親方風の男には怒られるし…俺、もう報酬なんていらないから帰ろうかな…
俺が本気でそう思っているのを矢先に、他のメンバーは各自の得意なことをやっている…
スカニは物凄い釘を打ち付けるテクニックがあるし、リーネは背中に箱を乗せて運ぶことに長けている…レベッカは料理を作るときに手に入れた手先の器用さが変なところで役に立っている…
そんなに皆頑張っているのに、俺だけ先に帰るなんて出来ない…
でも、つらいし…
「おい!!そこの新入り…何回言ったらわかるんだ!?その木材は壁際の木材だろうが!!」
「は…はい!!」
また怒られたし…
それに、木材は壁際…?どの木材も同じに見えるっての!!
などと内心文句を言いつつ…俺はこの環境の中を必死に耐えていた…
夕方近くになると、若干だが作業も楽になってきた気がするぜ…
建物の形も出来てきており、俺は下のほうで一人、他の連中にばれないようにのんびりしていた。
さ、サボっていたわけじゃないぞ!!のんびりしていたんだからな!?
幸い…上の方で作業していた方々も、下で必死に木材運んでいた方々も俺の存在に気がついていないし…俺がいなくても作業進んでいるんだしいいよな?
「いやぁ…俺、今度からは肉体労働はしたくないぜ…」
小さく小声でぼやきながら空を見上げて俺は一瞬たそがれたわけですね?
そして、作業が終わりを告げ、サボ…いや…きゅ、休憩していた俺もお金をもらうために依頼主のヨーニーさんのところに行った…
他のラグーンメンバー達はいい汗を流したようで、どこか満足そうな表情を浮かべている…
うん…俺も頑張ったぜ…
「また手伝ってくれたんですね?いつも助かります…」
「いやぁ…ヨーニーさんの為なら、どんなところでも作業しますって!で…今回の報酬のことですが…」
「…はい、あとであそこの倉庫の中でたくさんお払いします…うふふ…」
などと俺の前の男とヨーニーさんが話しているのを聞いた俺…
なんだ…他の皆が変にこの作業が手馴れているのは何度も来たからか…
俺はてっきり、他の人が余りにも手馴れすぎていたので、俺がヘタレているのかと心配になったぜ全く…
えっと…木材の件についてはスカニが話をつけておいてくれたらしいし、俺はお金だけ受け取ればいいな…
そう思いながら、出来るだけヨーニーさんの服装部分を見ないように、俺は依頼者のヨーニーさんのところに行った…
「あら…?あなたは初めて…ですよね?お疲れ様でした〜」
「あ、はい…あの、銀貨1枚お願いします」
俺は出来るだけヨーニーさんのナイスバディと、それをかろうじて支えているかのような服装を見ないように努めた…
は、早く銀貨を渡してくれないかな…
俺がそう思っていると、驚いたかのような表情を浮かべヨーニーさんが俺の方を見た…
俺のような男がそこまで珍しいのか!?俺の目に癒し…いや、毒であるそのボディをそれ以上俺の近くに展開させないでくれ!
いや…別に、後ろの方でスカニとかリーネとかが俺に睨みを利かせてなかったらじっくり目に焼き付けても良かったんだけど、明らかにあの目線は俺が早く銀貨を受け取るのを待っている目線だろ!?
す、鋭い眼光に射抜かれて俺の…えっと…ま、まあいい!
とにかく、今の俺は早く銀貨1枚を受け取らなくてはならなかったんだ!
「あの…別に銀貨1枚じゃなくてもいいんですよ〜?あなたの疲れた身体と心を私が優しく癒してあげても…いいんですからぁ…」
こ、この台詞…いつもの心に余裕がある俺だったら喜んで言葉にすがるところだが…状況が状況だ!!
み、未練はあったりするけど…い、今はとにかく早く銀貨を受け取らなくては!
「け、結構です!銀貨を早く俺に下さい!」
「ま、まぁ…いいですけど…(まさかこの人…堕落神さまを心の底から信仰することが出来ていない迷える青年なのでは……この青年の道を正しき道に戻すのもまた…堕落神さまが私にお教えになられた意思なのでは…)」
…何を迷っているんだヨーニーさんは…?
とにかく今は俺に銀貨1枚をくれればいいんだって!!
あぁ…す、スカニが明らかに今から激怒しそうな一歩手前を行っているじゃないか!や、やばい…
「こ、この銀貨は受け取っていきますね!!ありがとうございましたーー!」
俺は悩んでいるヨーニーさんの持っていた銀貨を少々強引に受け取ると、慌ててスカニたちがいるところに走って行った…
「あ…あの!!ちょっとー!!」
ヨーニーさんが俺を引きとめようとするけど…俺は今はそれどころではないんだ!
俺は…その引きとめに立ち止まることは無かった…
すっかりあたりも暗くなり、俺は運よくスカニの怒りが頂点に達する前に合流できたので、小言を少しもらうだけで後は何も言われなかったので、内心ほっとしながら宿屋に戻ってきた…
他のみんなももうすでに帰ってきたようで、テーブルの上にはちゃんとレベッカほどではなかったが、質素な料理が置かれていた…
あ…そういえば、今日から宿屋業を少々するんだったな…といっても、客は多分来ないだろう…
それから数時間…辺りは夜の静寂に包まれ、俺もそろそろ寝るかと思い始めたときだった…
ラグーンメンバーは夜型のコニーやケイトなど以外、仕事の疲れで爆睡しているというこの状況で、お客さんが来たわけだな…
本音、来ないと思っていたから内心複雑だぜ…
「ここ…宿屋なわけ?」
「はい…あの、何名さ…」
「一名よ、見て分からないの?というか、早くしてよ…私は疲れてるのよ?」
くっ…な、生意気なお客様だな…こんな夜遅くに来たくせに、早くしろだと…
「お、お客様、お名前は…」
「ミーシャ・ハインエルよ、早く部屋の鍵を渡しなさいよ!私は寝たいの!分かる!?」
時間が時間だから、眠たいっていうのは分かるぜ…でも、少しこのお客様…
言葉遣いが偉そうっていうか…世間知らずな言動というか…
はっきり言うと、凄く文句が言いたいわけだ…ま、言わなかったけどな?
「これが部屋の鍵です…どうぞ」
「ありがと…じゃあね」
……くっ、お、お客様は…神様って事なのか…
俺は、一瞬だけ心の中に悪い部分が浮かんできた気がした…
まぁ、そんな部分分かるわけ無いんだけど…
そして俺が部屋に戻ろうとしたとき…メリィがお客様と何か話し込んでいるのが見えた…
ま、まぁ、お客様に粗相ある行為をメリィだったらしないだろうし…良いとするかな?
そうして俺は自分の部屋のベッドに飛び込み、一気に眠りについたのだった…
「……ようやく寝たか…今回はまた遅かったのぅ…さて、絞るのじゃ!」
「ゾーネさん、今日もやるんですか?」
「セムもどうじゃ?中々に味わうと習慣になるぞ?ほれ…このぐにゅぐにゅした部分に精液がたまるのじゃ…」
「こ、こんなのよくないと思います…!!」
「……行ってしまったようじゃな…仕方が無いのぅ、今日はわしの分をたくさん…それにしても、この皮…少々機械をセットするのに邪魔じゃのぅ…明日機械に少々手を加えて皮を違和感無くむけるようにしておくとするか…」
また今夜も…デメトリオは変な夢を見るのだった…
12/03/25 16:18更新 / デメトリオン
戻る
次へ